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特開2024-77098システム、情報処理装置、方法およびプログラム
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  • 特開-システム、情報処理装置、方法およびプログラム 図1
  • 特開-システム、情報処理装置、方法およびプログラム 図2
  • 特開-システム、情報処理装置、方法およびプログラム 図3
  • 特開-システム、情報処理装置、方法およびプログラム 図4
  • 特開-システム、情報処理装置、方法およびプログラム 図5
  • 特開-システム、情報処理装置、方法およびプログラム 図6
  • 特開-システム、情報処理装置、方法およびプログラム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077098
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】システム、情報処理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240531BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188942
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】大竹 裕也
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】 ユーザの幸福感が低下傾向にあることを、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者が把握することができるシステム、情報処理装置、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 ユーザにより装着されたセンサまたはユーザに近接して設置されるセンサが取得したデータに基づいて、ユーザの幸福感を算出する幸福感算出部312と、幸福感の推移が低下傾向にあると判定した場合に、ユーザの幸福感が低下している旨を通知するケア情報通知部314とを含む。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより装着されたセンサまたはユーザに近接して設置されるセンサが取得したデータに基づいて、前記ユーザの幸福感を算出する算出手段と、
前記幸福感の推移が低下傾向にあると判定した場合に、前記ユーザの幸福感が低下している旨を、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者に通知する通知手段と
を含む、システム。
【請求項2】
前記データは、前記ユーザの体の動きを示す情報であり、
前記算出手段は、体の揺らぎの頻度に基づいて、前記幸福感を算出する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサは、ウェアラブル端末に含まれる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ユーザと、当該ユーザに関連する対象者とを対応付けて格納する記憶手段をさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記通知手段は、前記対象者に係る情報を併せて通知する、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記通知手段は、前記対象者に通知をする、
請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記ユーザのタスクと、前記幸福感とを対応付けて格納する記憶手段をさらに含み、
前記通知手段は、前記幸福感の低下に係るタスクを併せて通知する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ユーザにより装着されたセンサまたはユーザに近接して設置されるセンサが取得したデータに基づいて、前記ユーザの幸福感を算出する算出手段と、
前記幸福感の推移が低下傾向にあると判定した場合に、前記ユーザの幸福感が低下している旨を、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者に通知する通知手段と
を含む、情報処理装置。
【請求項9】
ユーザにより装着されたセンサまたはユーザに近接して設置されるセンサが取得したデータに基づいて、前記ユーザの幸福感を算出するステップと、
前記幸福感の推移が低下傾向にあると判定した場合に、前記ユーザの幸福感が低下している旨を、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者に通知するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
情報処理装置を、
ユーザにより装着されたセンサまたはユーザに近接して設置されるセンサが取得したデータに基づいて、前記ユーザの幸福感を算出する算出手段、
前記幸福感の推移が低下傾向にあると判定した場合に、前記ユーザの幸福感が低下している旨を、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者に通知する通知手段
として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幸福感を評価するシステム、情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人が感じる幸福感は、当該個人が行うタスクの効率と密接に関連している。すなわち、企業などにおける従業者の幸福感が業務の生産性と関連するため、幸福感の低下を防止する対策を講じることは、業務効率の改善に資するものである。
【0003】
ここで、幸福感を定量的に評価する方法として、「ウェアラブル技術による幸福感の計測」(矢野和男ほか、日立評論、Vol.97 No.06-07 396-397、イノベイティブR&Dレポート 2015)(非特許文献1)において、人の身体運動に基づく評価が提案されている。非特許文献1によれば、人の身体運動の持続時間をTとした場合の頻度分布において、自然なゆらぎ(1/Tゆらぎ)が見られると、幸福感が高いという法則が示されている。
【0004】
ところで、幸福感が低下した従業者は、従来は、自らアクションを起こして、幸福感が低下する原因に対処しなければならなかった。そのため、幸福感の低下が把握できなかったり、業務上の繁忙期の場合には適切な対処できなかったりするなど、実効的な改善が行えないという問題があった。そこで、幸福感低下に伴う生産性の低下を防止する技術が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの幸福感が低下傾向にあることを、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者が把握することができるシステム、情報処理装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明によれば、
ユーザにより装着されたセンサまたはユーザに近接して設置されるセンサが取得したデータに基づいて、前記ユーザの幸福感を算出する算出手段と、
前記幸福感の推移が低下傾向にあると判定した場合に、前記ユーザの幸福感が低下している旨を、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者に通知する通知手段と
を含む、システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの幸福感が低下傾向にあることを、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者が把握することができるシステム、情報処理装置、方法およびプログラムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
図2】本実施形態のシステムを構成する各種装置に含まれるハードウェア構成を示す図。
図3】本実施形態のシステムに含まれるソフトウェアブロック図。
図4】本実施形態の送信先データ記憶部に格納されるデータの例を示す図。
図5】本実施形態のタスク記憶部に格納されるデータの例を示す図。
図6】本実施形態における幸福感の評価に基づくケア情報を通知する処理を示すフローチャート。
図7】本実施形態において通知されるケア情報の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
【0010】
図1は、本実施形態におけるシステム100全体のハードウェアの概略構成を示す図である。図1では、例として、サーバ110と、情報処理端末120と、ウェアラブル端末130とが、インターネットやLANなどのネットワーク140を介して接続された環境を例示している。なお、サーバ110、情報処理端末120、ウェアラブル端末130の台数は、図1に示したものに限らず、システム100に含まれる台数に制限はない。また、各種装置から、ネットワーク140へ接続する方法は、有線または無線のどちらでもよい。
【0011】
サーバ110は、本実施形態のサービスを提供する情報処理装置である。本実施形態のサーバ110は、ウェアラブル端末130から各種データを収集して、幸福感の傾向を算出し、その結果を情報処理端末120に通知することができる。なお、説明する実施形態において、幸福感の一例として、ハピネス度が挙げられるが、特に実施形態を限定するものではない。
【0012】
情報処理端末120は、例えば、パーソナルコンピュータのような情報処理装置であって、ユーザに各種情報を提供することができる。なお、情報処理端末120の形態は、パーソナルコンピュータに限らず、例えば、タブレット端末やスマートホン端末などであってもよく、特に実施形態を限定するものではない。
【0013】
ウェアラブル端末130は、例えば、いわゆるスマートウォッチのような情報処理装置である。本実施形態のウェアラブル端末130は、装着したユーザの身体の運動に係る情報を取得し、ネットワーク140を通じて、システム100を構成する他の装置に提供することができる。
【0014】
なお、説明する実施形態では、ユーザの幸福感を算出するためのデータを取得するためのデバイスとしてウェアラブル端末130を例示しているが、特に実施形態を限定するものではない。したがって、ウェアラブル端末130に代えて、ユーザの身体の運動に係る情報を取得可能なセンサであってもよく、例えばユーザに近接して設置されるものであってもよい。
【0015】
次に、各装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態のシステム100を構成する各種装置に含まれるハードウェア構成を示す図であり、図2(a)は、サーバ110および情報処理端末120の構成を、図2(b)は、ウェアラブル端末130の構成をそれぞれ示している。
【0016】
サーバ110および情報処理端末120は、図2(a)に示すように、CPU210と、RAM220と、ROM230と、記憶装置240と、通信I/F250と、ディスプレイ260と、入力装置270とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。
【0017】
CPU210は、各情報処理装置の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。RAM220は、CPU210が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。ROM230は、CPU210が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。
【0018】
記憶装置240は、各情報処理装置を機能させるOSや種々のソフトウェア、設定情報、各種データなどを記憶する、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。記憶装置240の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。
【0019】
通信I/F250は、各情報処理装置とネットワーク140とを接続し、ネットワーク140を介して他の装置との通信を可能にする。ネットワーク140を介した通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよく、TCP/IPなどの所定の通信プロトコルを使用し、各種データを送受信できる。
【0020】
ディスプレイ260は、各種データや各情報処理装置の状態などを、ユーザに対して表示する装置であり、例として、LCD(Liquid Crystal Display)などが挙げられる。入力装置270は、ユーザが情報処理装置を操作するための装置であり、例として、キーボード、マウスなどが挙げられる。なお、ディスプレイ260と入力装置270は、それぞれ別個の装置であってもよいし、タッチパネルディスプレイのような両方の機能を備えるものであってもよい。また、例えば、サーバ110は、ディスプレイ260および入力装置270を備えない構成であってもよい。
【0021】
次に、ウェアラブル端末130の構成について説明する。ウェアラブル端末130は、図2(b)に示すように、CPU210と、RAM220と、ROM230と、記憶装置240と、通信I/F250と、ディスプレイ260と、入力装置270と、センサ280と、GPS290とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。なお、ウェアラブル端末130に含まれるCPU210と、RAM220と、ROM230と、記憶装置240と、通信I/F250と、ディスプレイ260と、入力装置270は、図2(a)において説明したサーバ110または情報処理端末120のものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
センサ280は、ウェアラブル端末130の周辺環境の測定、ウェアラブル端末130を装着したユーザの動きや生体情報の測定などを行う装置である。センサ280の例としては、温度センサ、慣性センサ、脈拍計、歩数計などが挙げられるが、特に実施形態を限定するものではない。
【0023】
GPS290は、GPS衛星から受信した電波に基づいて、緯度および経度からなるウェアラブル端末130の位置情報を算出するための装置である。GPS290が算出した位置情報は、記憶装置240に格納されたり、通信I/F250を介して他の装置に送信されたりする。
【0024】
以上、本実施形態の各種情報処理装置に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、図3を以て説明する。図3は、本実施形態のシステム100に含まれるソフトウェアブロック図である。
【0025】
図3に示すように、サーバ110は、データ収集部311、幸福感算出部312、幸福感傾向判定部313、ケア情報通知部314、送信先データ記憶部315、タスク記憶部316の各機能手段を含む。情報処理端末120は、通知受信部321、表示部322の各機能手段を含む。ウェアラブル端末130は、センサデータ取得部331、データ送信部332の各機能手段を含む。以下では、各機能手段の詳細を説明する。
【0026】
まず、ウェアラブル端末130の機能手段について説明する。センサデータ取得部331は、センサ280が測定した各種データを取得する手段である。本実施形態のセンサデータ取得部331は、当該ウェアラブル端末130を装着したユーザの身体の動きを、例えばジャイロセンサや加速度センサなどから構成される慣性センサによって取得する。データ送信部332は、通信I/F250を制御して、センサデータ取得部331が取得したデータを、ネットワーク140を介してサーバ110に送信する手段である。
【0027】
次にサーバ110の機能手段について説明する。データ収集部311は、通信I/F250を制御して、ウェアラブル端末130のデータ送信部332から送信されたセンサデータを受信して収集する手段である。収集したセンサデータは、記憶装置240などに一時的に格納することができる。
【0028】
幸福感算出部312は、データ収集部311が収集したセンサデータに基づいて、当該センサデータを送信したウェアラブル端末130を装着したユーザの幸福感を算出する手段である。本実施形態の幸福感算出部312は、当該ユーザの身体運動の持続時間Tの頻度分布が自然なゆらぎ(1/Tゆらぎ)であるか否かに基づいて、幸福感を算出することができる。幸福感算出部312は、例えば、幸福感を、「通常」、「低」のようにレベル分けして算出することができる。また、算出された幸福感は、タスク記憶部316に格納することができる。
【0029】
幸福感傾向判定部313は、幸福感が低下傾向にあるか否かを判定する手段である。本実施形態の幸福感傾向判定部313は、例えば、幸福感が低いレベルにある状態が所定回数や所定時間を超えた場合に、幸福感が低下傾向にあると判定することができる。また、幸福感傾向判定部313は、タスク記憶部316に格納された幸福感の時間的な推移に基づいて幸福感の傾向を判定することとしてもよい。
【0030】
ケア情報通知部314は、幸福感傾向判定部313が、あるユーザの幸福感が低下傾向にあると判定した場合に、通信I/F250を制御して、ネットワーク140を介してケア情報を通知する手段である。ここで、本実施形態のケア情報は、ユーザの幸福感が低下している旨や、対策を講じた方が好ましい旨などを含むことができ、これによって、幸福感が低下した要因を除去するなどの対応を取ることができる。なお、ケア情報通知部314は、送信先データ記憶部315を参照して、例えば、当該ユーザ本人、当該ユーザを管理または監督する立場にある者(例えば、上司など)、当該ユーザを管轄する産業医などにケア情報を通知することができる。
【0031】
送信先データ記憶部315は、各ユーザについてケア情報の送信先などを記憶装置240に格納する手段である。ここで、送信先データ記憶部315について、図4を以て説明する。図4は、本実施形態の送信先データ記憶部315に格納されるデータの例を示す図である。
【0032】
図4(a)に示すように、送信先データ記憶部315には、例えば、従業者のID、役職、名前、メールアドレスが対応付けて格納される。また、送信先データ記憶部315には、各従業者を管理または監督する者(例えば上司)を上長として格納することができる。さらに、送信先データ記憶部315には、各従業者を担当する産業医を格納することとしてもよい。本実施形態の送信先データ記憶部315は、従業者の幸福感が低下傾向にある場合に、当該従業者に対応付けられた上長や担当産業医へのケア情報の通知の要否を格納することができる。
【0033】
図4(b)は、従業者のデータを登録する画面の例を示している。図4(b)に示す画面では、図4(a)の各項目に対応する情報を入力することができる。したがって、従業者ごとに上長や担当産業医などへのケア情報の通知の要否を設定することができ、これによって、幸福感が低下傾向にある場合に、適切な対応を促すことができる。
【0034】
説明を図3に戻す。タスク記憶部316は、従業者が行うタスクと、当該タスクを行っている間の幸福感の評価とを対応付けて、記憶装置240に格納する手段である。ここで、タスク記憶部316について、図5を以て説明する。
【0035】
図5は、本実施形態のタスク記憶部316に格納されるデータの例を示す図である。本実施形態のタスク記憶部316には、日付と、時間帯と、タスクの内容と、幸福感の評価とが対応付けて格納される。タスク記憶部316は、従業者ごとに図5のようなデータを格納することができる。例えば、ある従業者のタスクの例を示す図5では、当該従業者が「2022年9月1日」の「9:00-10:00」において、「製品Aの設計開発」というタスクを行っているが、幸福感が低かったことが登録されている。このように、タスクと幸福感とを対応付けることにより、幸福感が低下する要因に対して適切な対処を促すことができる。
【0036】
説明を再び図3に戻し、続いて情報処理端末120の機能手段について説明する。通知受信部321は、通信I/F250を制御し、サーバ110のケア情報通知部314が送信したケア情報を受信する手段である。表示部322は、ディスプレイ260を制御して、各種情報を表示してユーザに提示する手段である。本実施形態の表示部322は、受信したケア情報を表示することができ、これによって、ケア情報を閲覧した者が、幸福感の低下に対して、
【0037】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU210が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0038】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが図3に示すような構成で含まれていなくてもよい。例えば、他の好ましい実施形態では、各機能手段は、各情報処理装置の協働によって実現されてもよい。また、例えば、サーバ110に係る機能手段は、必ずしも1つのサーバ装置に含まれていなくてもよく、複数のサーバ装置に分散されていてもよい。
【0039】
ここまで、本実施形態の各機能手段について説明した。次に、各機能手段が実行する処理について、図6を以て説明する。図6は、本実施形態における幸福感の評価に基づくケア情報を通知する処理を示すフローチャートである。
【0040】
本実施形態のシステム100は、ステップS1000から処理を開始する。ステップS1001において、データ収集部311は、システム100を構成するウェアラブル端末130から、ユーザの身体運動について測定されたセンサデータを取得する。次に、ステップS1002において、幸福感算出部312は、取得したセンサデータに基づいて、幸福感を算出する。本実施形態における幸福感の算出は、身体運動の持続時間Tの頻度分布が自然なゆらぎであるか否かに基づいて行うことができる。したがって、幸福感を算出する処理は、所定の時間が経過するごとに行うことができ、これによって、所定の時間内における幸福感を評価することができる。ステップS1002において算出された幸福感は、例えば、図5に示したようにタスク記憶部316に、日時やタスクの内容とともに格納することができる。
【0041】
その後、ステップS1003では、幸福感傾向判定部313は、幸福感を集計し、傾向を判定する。ステップS1003における判定は、例えば、幸福感が低いと判定された回数や時間などが所定の閾値を超えた場合に、幸福感が低下傾向にあると判定することができる。なお、幸福感の傾向を判定する方法は、上述したものに限らず、特に実施形態を限定するものではない。
【0042】
次に、ステップS1004では、幸福感が低下傾向であると判定されたか否かによって処理が分岐する。幸福感が低下傾向であないと判定された場合には(NO)、ステップS1006に進み、処理を終了する。一方で、幸福感が低下傾向であると判定された場合には(YES)、ステップS1005に進む。
【0043】
ケア情報通知部314は、ステップS1005において、送信先データ記憶部315を参照して、ケア情報を通知する。例えば、図4(a)の例において、従業者Aに対しては、IDがP101、P102、D001である者がケア情報通知「要」と設定されている。したがって、ステップS1005においてケア情報通知部314は送信先データ記憶部315を参照して、従業者Aの幸福感が低下傾向にある場合には、Aの他に、Aの上司である課長C(P101)、部長D(P102)と、担当する産業医E(D001)にケア情報を通知することができる。
【0044】
ここで、ステップS1005において通知されるケア情報の例について図7を以て説明する。図7は、本実施形態において通知されるケア情報の例を示す図である。図7(a)は、幸福感が低下傾向にあるユーザ本人に通知されるケア情報の例を、図7(b)は、当該ユーザと関連付けられて、通知対象者として設定された者に通知されるケア情報の例を、それぞれ示している。なお、図7は、図4(a)の例において従業者Aの幸福感が低下傾向にある場合の例を示している。
【0045】
まず、図7(a)の例に示すように、ユーザ(例えば、従業者)本人にケア情報を通知する場合には、幸福感が低下傾向にある旨や、上長や産業医に対して相談することを促す文面などが記載される。また、ケア情報は、相談をする対象者の連絡先を含むことができる。
【0046】
次に、図7(b)の例に示すように、幸福感が低下傾向にあるユーザに関連する通知対象者には、幸福感が低下傾向にあるユーザの名前や連絡先とともに、ケアする機会を設けることを促す文面などが通知される。また、幸福感の低下傾向が顕著なタスクがある場合には、当該タスクの内容を併せて通知することとしてもよい。図5に示したようなタスクと幸福感との関連付けを例にすると、「製品Aの設計開発」において幸福感が低い状態が5回であり、「製品Bの設計開発」において幸福感が低い状態が2回である。ここで、例えば、幸福感が低い状態が所定回数(例えば3回)以上であるタスクをケア情報に含んで通知する設定がなされている場合には、図7(b)に示すように、「幸福感の低下傾向が確認されたタスク」が「製品Aの設計開発」である旨がケア情報に含まれて通知される。このように幸福感低下に関連する蓋然性の高いタスクを通知することで、通知対象者は、ユーザを当該タスクの担当から外すことや、当該タスクに関わる人員を増やすなどの対策をとり、幸福感低下を防止することができる。なお、ケア情報にタスク内容を含む場合の判断は、上述したような閾値を設けて判定するものでなくてもよく、特に実施形態を限定するものではない。例えば、幸福感が低下する回数が、他のタスクよりも多いものをケア情報に含めて通知することとしてもよい。
【0047】
図7に示したようなケア情報を通知することで、ユーザ本人や関連する人物が幸福感低下を適切に把握でき、さらに低下する原因を取り除くなどの対処をすることができるため、幸福感の低下を防止できる。
【0048】
説明を図6に戻す。ステップS1005においてケア情報を通知した後、ステップS1006に進み、システム100は処理を終了する。
【0049】
図6に示した処理によって、システム100は、幸福感の低下傾向に基づく通知を行うことができる。これによって、幸福感が低下したユーザに対して、低下の要因となるタスクの改善を促したり、他者と相談する機会を設けたりさせることができ、幸福感低下に伴う生産性の低下を防止することができる。
【0050】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、ユーザの幸福感が低下傾向にあることを、当該ユーザまたは当該ユーザに関係する者が把握することができるシステム、情報処理装置、方法およびプログラムを提供することができる。
【0051】
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM(登録商標)、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0052】
上記で説明した実施形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュールなどのデバイスを含むものとする。
【0053】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
100…システム、110…サーバ、120…情報処理端末、130…ウェアラブル端末、140…ネットワーク、210…CPU、220…RAM、230…ROM、240…記憶装置、250…通信I/F、260…ディスプレイ、270…入力装置、280…センサ、290…GPS、311…データ収集部、312…幸福感算出部、313…幸福感傾向判定部、314…ケア情報通知部、315…送信先データ記憶部、316…タスク記憶部、321…通知受信部、322…表示部、331…センサデータ取得部、332…データ送信部
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0055】
【非特許文献1】ウェアラブル技術による幸福感の計測、矢野和男ほか、日立評論、Vol.97 No.06-07 396-397、イノベイティブR&Dレポート 2015
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7