(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077277
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240531BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240531BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20240531BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/00 519
H04N1/00 L
G03B27/62
H04N1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189269
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】河本 康太
【テーマコード(参考)】
2H012
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2H012CC15
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA25
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB08
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AD06
5C072AA01
5C072BA04
5C072BA20
5C072DA03
5C072DA25
5C072EA07
5C072LA02
5C072LA07
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA16
5C072UA06
5C072UA17
5C072WA02
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】凸形状部と凹形状部とが嵌り合う箇所にはみ出して載置される原稿が凸形状部により受けるダメージを軽減しつつ、スキュー画像の発生も抑制する。
【解決手段】自動原稿送り装置20によって搬送される原稿を、自動原稿送り装置が回動動作によって開閉可能に取り付けられる画像読取装置本体4の画像読取部で読み取る画像読取装置5であって、自動原稿送り装置が閉じたときに自動原稿送り装置と画像読取装置本体のうちの一方に設けられる凸形状部42F,42Rが他方に設けられる凹形状部43F,43Rに嵌り込むことで自動原稿送り装置と画像読取装置本体との位置合わせを行う位置合わせ手段を有し、前記位置合わせ手段は、凸形状部と凹形状部との組を少なくとも2組備え、前記少なくとも2組の凸形状部は、進退自在に保持されて突出方向へ付勢された可動式凸形状部42Fと、進退不能な固定式凸形状部42Rとを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動原稿送り装置によって搬送される原稿を、該自動原稿送り装置が回動動作によって開閉可能に取り付けられる画像読取装置本体の画像読取部で読み取る画像読取装置であって、
前記自動原稿送り装置が閉じたときに該自動原稿送り装置と前記画像読取装置本体のうちの一方に設けられる凸形状部が他方に設けられる凹形状部に嵌り込むことで、該自動原稿送り装置と該画像読取装置本体との位置合わせを行う位置合わせ手段を有し、
前記位置合わせ手段は、前記凸形状部と前記凹形状部との組を少なくとも2組備え、
前記少なくとも2組の前記凸形状部は、進退自在に保持されて突出方向へ付勢された可動式凸形状部と、進退不能な固定式凸形状部とを含むことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記固定式凸形状部は、前記可動式凸形状部よりも前記自動原稿送り装置の回動軸に近い位置に配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取装置において、
前記可動式凸形状部は、前記自動原稿送り装置の回動軸とは反対側の端部近傍に配置されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像読取装置において、
前記可動式凸形状部及び前記固定式凸形状部は、前記自動原稿送り装置側に設けられていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像読取装置において、
前記可動式凸形状部及び前記固定式凸形状部が凹形状部に嵌り込む箇所は、前記画像読取部の原稿幅方向両外側に位置することを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の画像読取装置において、
前記位置合わせ手段は、前記凸形状部と前記凹形状部との組を2組だけ備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の画像読取装置において、
前記位置合わせ手段による前記位置合わせが正常に行われているかどうかを検知する検知手段を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の画像読取装置において、
前記固定式凸形状部が嵌り込む凹形状部の周囲に、突起形状部を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
画像読取装置を備えた画像形成装置であって、
前記画像読取装置として、請求項1又は2に記載の画像読取装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動原稿送り装置によって搬送される原稿を、該自動原稿送り装置が回動動作によって開閉可能に取り付けられる画像読取装置本体の画像読取部で読み取る画像読取装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スキャナ筐体(画像読取装置本体)のコンタクトガラスの画像読取位置を通過するように原稿を搬送する原稿搬送装置(自動原稿送り装置)がスキャナ筐体に対して開閉可能に取り付けられた画像読取装置が開示されている。この画像読取装置では、スキャナ筐体上の画像読取位置を通過する原稿が所定の原稿搬送方向に対して傾いて搬送されることによるスキュー画像の発生を抑制するための位置決め手段が設けられている。この位置決め手段は、スキャナ筐体の2つの位置決め係合部(凹形状部)に原稿搬送装置の2つの被係合部(凸形状部)がそれぞれ係合することで、閉じた状態における原稿搬送装置のスキャナ筐体に対する位置決めを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の画像読取装置では、画像読取装置本体のコンタクトガラス上に載置した原稿を読み取る場合、原稿を押さえるために自動原稿送り装置を閉じる。このとき、原稿が凸形状部と凹形状部とが嵌り合う箇所にはみ出して載置されると、凸形状部が原稿に接触して原稿にダメージを与えることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、自動原稿送り装置によって搬送される原稿を、該自動原稿送り装置が回動動作によって開閉可能に取り付けられる画像読取装置本体の画像読取部で読み取る画像読取装置であって、前記自動原稿送り装置が閉じたときに該自動原稿送り装置と前記画像読取装置本体のうちの一方に設けられる凸形状部が他方に設けられる凹形状部に嵌り込むことで、該自動原稿送り装置と該画像読取装置本体との位置合わせを行う位置合わせ手段を有し、前記位置合わせ手段は、前記凸形状部と前記凹形状部との組を少なくとも2組備え、前記少なくとも2組の前記凸形状部は、進退自在に保持されて突出方向へ付勢された可動式凸形状部と、進退不能な固定式凸形状部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、凸形状部と凹形状部とが嵌り合う箇所にはみ出して載置される原稿に凸形状部が接触して与えるダメージを軽減しつつ、スキュー画像の発生も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】同画像読取装置に設けられる画像読取装置の要部構成を示す拡大構成図。
【
図3】実施形態において、コンタクトガラスの面方向におけるADFとスキャナ部との位置合わせを行う位置合わせ手段の構成を示す斜視図。
【
図4】(a)は可動式凸形状部が進出位置(突出位置)にあるときの斜視図。(b)は進出位置(突出位置)にあるときの可動式凸形状部の進退機構を示す断面図。
【
図5】(a)は可動式凸形状部が後退位置(非突出位置)にあるときの斜視図。(b)は後退位置(非突出位置)にあるときの可動式凸形状部の進退機構を示す断面図。
【
図6】(a)は凸形状部が嵌り込む凹形状部を示す斜視図。(b)は同凹形状部の断面図。
【
図7】凸形状部が凹形状部に嵌り込む様子を示す断面図。
【
図8】(a)は固定式凸形状部が嵌り込む凹形状部の周囲に突起形状部を設けた例を示す斜視図。(b)は同凹形状部の断面図。
【
図9】固定式凸形状部が凹形状部の周囲の突起形状部に乗り上げた様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、画像読取装置を備えた画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置1を示す斜視図である。
図1に示す画像形成装置1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、スキャナ等の機能を併有しており、読取画像データ等の入力データを基にフルカラー画像やモノクロ画像を記録紙に記録出力したり所定のデータ形式で出力したりすることができる。
【0009】
画像形成装置1は、給紙部、スキャナ部4および画像形成部15の上方側に、自動原稿送り装置であるADF20を備えている。スキャナ部4は画像読取装置本体を構成し、ADF20とともに画像読取装置5を構成する。
【0010】
画像形成部15の給紙部は、例えばそれぞれカット状の記録紙を収納する複数段の給紙カセットと、それらのうち任意の給紙カセットから記録紙をピックアップして給紙する複数組の給紙ローラとを備える。また、給紙部は、給紙ローラのいずれかから給紙された記録紙を画像形成部15の所定の画像形成位置まで搬送する各種ローラ等を含む給紙経路を有している。
【0011】
画像形成部15は、例えば露光ユニットと、複数の感光体ドラムと、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーを用いる現像装置と、転写ベルト、二次転写部および定着部等とを備えている。
【0012】
画像形成部15は、画像読取装置5で読み取った読取画像に基づき、例えば露光ユニットにより各色の感光体ドラムを露光して各感光体ドラム上に静電潜像を形成し、現像装置の各色の現像ユニットで各感光体ドラムの潜像上にトナーを供給して現像する。また、画像形成部15は、各色の感光体ドラム上のトナー像を転写ベルトに一次転写し、二次転写部で記録紙上に重ねて二次転写した後、定着部により記録紙上のトナー像を加熱および加圧して定着させ、カラー画像を形成できるようになっている。さらに、画像形成部15は、スキャナ部4かまたは後述する裏面画像読取モジュール35(第二画像読取部)での読取り画像を基に、外部に出力可能な画像ファイルやデータ等の外部出力画像を形成できるようになっている。以上のような電子写真方式の画像形成部15に代えインクジェット方式などの他の記録方式を採用した画像形成部を用いてもよい。
【0013】
次に、画像読取装置5について説明する。
図2は、画像読取装置5の要部構成を示す拡大構成図である。
画像読取装置5は、フラットベッドスキャナモード(載置原稿読取りモード)と、DFスキャナモード(搬送原稿読取りモード)とに切替え可能に構成されている。
【0014】
フラットベッドスキャナモードは、スキャナ部4の上部のフラットベッドコンタクトガラス13上に原稿が載置された状態で、コピー開始ボタン押下等の読取り開始要求操作がなされたときに実行され、載置原稿の画像を読み取る動作モードである。このモードでは、フラットベッドコンタクトガラス13直下の移動読取領域11で画像読取部16を移動させながら、原稿の画像面に対して光を照射する。そして、その原稿の画像面からの反射光を画像信号に変換することにより、原稿の画像を読み取る。
【0015】
DFスキャナモードは、画像読取部16を、DFコンタクトガラス14直下の停止読取領域12で停止させ、搬送原稿の画像を読み取る動作モードである。ADF20は、DFスキャナモードで、原稿載置トレイ21(原稿載置台)上に積載された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して原稿搬送路22内に搬入し、原稿搬送路22に沿って搬送する。そして、その搬送中、原稿が、搬送方向の上流側部分から順次部分的にDFコンタクトガラス14の上面に対面するようになっている。
【0016】
ADF20は、スキャナ部4の上面の後部(装置背面側(リア側))に開閉機構であるヒンジ41(
図3参照)を介して回動可能に取り付けられている。これにより、ADF20は、スキャナ部4に対してフラットベッドコンタクトガラス13上を開放する開位置と、フラットベッドコンタクトガラス13上の原稿を押付け可能な閉位置とをとることができる。
【0017】
画像読取部16は、CCDモジュールもしくはCISモジュールなどのコンタクトガラス13,14上の所定の画像読取位置で、原稿の表面側の画像を繰り返しライン走査して、読み取りができるものであればよい。また、停止読取領域12に固定した固定画像読取部と、移動読取領域11でフラットベッドコンタクトガラス13に沿って移動する移動読取部とをそれぞれ設けてもよい。
【0018】
原稿載置トレイ21には、ADF20にセットされた原稿をその給紙方向と直交する原稿幅方向で位置決めする幅方向に可動の一対のサイドフェンス23が装着されている。これらサイドフェンス23は、原稿載置トレイ21と原稿の幅方向の中心を一致させるように相対的に接近および離隔可能である。
【0019】
ADF20は、少なくともその上方を開閉可能としたカバー38Aにより覆われている。ADF20の原稿搬送路22を形成する主要なガイド部分は、カバー38Aに形成されたリブ等によって形成されている。一方、ADF20は、原稿載置トレイ21上にセットされた原稿を給紙方向に呼び出す呼出ローラ24と、呼出ローラ24で給紙方向に呼び出された原稿を原稿搬送路22に向けて送るためのフィードローラ25および分離パッド43を備えている。
【0020】
また、ADF20は、フィードローラ25によって原稿搬送路22内に給紙された原稿をDFコンタクトガラス14上に画像読取り可能な姿勢で搬送し、画像読取り後の原稿を排出口36まで搬送する搬送部27を備えている。
【0021】
この搬送部27は、フィードローラ25等により分離・搬入された原稿を原稿搬送路22に沿って反転させるとともに、DFコンタクトガラス14の上面の所定の読取位置を通過するように、原稿を搬送する。そのような原稿搬送のために、原稿搬送路22のうちDFコンタクトガラス14より上流側には、第一搬送ローラ28、第二搬送ローラ29と、原稿の搬送方向の先端を検知するレジストセンサ31とが設けられている。
【0022】
フィードローラ25等により分離された原稿は、第一搬送ローラ28、第二搬送ローラ29によりDFコンタクトガラス14上を通るように搬送される。そして、レジストセンサ31による原稿の先端検知タイミングを基に、画像読取部16により適時に原稿表面画像が読み取られる。
【0023】
例えば、原稿の先端がレジストセンサ31により検知されると、駆動源である給紙モータのパルスカウントで検出可能な原稿の先端位置がDFコンタクトガラス14上の読取位置に達するタイミングが特定される。原稿の表面の副走査方向での有効画像領域を示すゲート信号が送信され始め、その原稿の後端位置が読取位置を通過するまでゲート信号が送信され続ける。
【0024】
原稿の裏面画像の読取りが要求される場合、裏面画像は、裏面読取用の密着型イメージセンサからなる裏面画像読取モジュール35(第二画像読取部)によって読み取られる。
【0025】
裏面画像読取モジュール35は、制御部からの点灯信号に基づいて原稿に光を照射する光源部と、原稿からの反射光を受光する複数のセンサチップと、各センサチップから出力された信号を増幅する複数の増幅部とを備えている。裏面画像読取モジュール35は、また、増幅部で増幅された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換部と、デジタル変換された信号に画像処理を施す画像処理部とを備えている。さらに、この裏面画像読取モジュール35は、制御部からのタイミング信号に基づいてフレームメモリに記憶された信号の出力制御を行う出力制御回路や、出力制御回路からの信号を装置本体側に出力するインターフェース回路等を有している。この裏面画像読取モジュール35による裏面画像読取りのタイミングも、表面側の画像読取りタイミングと略同様に制御され、読取り後の原稿は、排紙トレイ39に排紙されるようになっている。
【0026】
原稿搬送路22のうちDFコンタクトガラス14より下流側には、表面側の画像読取済み原稿を裏面画像読取モジュール35側に搬送する搬送回転体対たる読取出口ローラ対32が設けられている。読取出口ローラ対32の下流側には、裏面画像読取モジュール35に対面するガイド部たる白色ガイド部材33が設けられている。さらに、裏面画像読取モジュール35および白色ガイド部材33より下流側には、搬送回転体対たる排紙ローラ対37が設けられている。
【0027】
これら搬送および排紙用のローラ群の配置数や配置場所は、原稿搬送路22の経路設定条件や、最小サイズの原稿の搬送方向の長さ等に応じて任意に設定可能である。
【0028】
裏面画像読取モジュール35は、焦点深度の浅い密着型イメージセンサを用いており、原稿の裏面を、裏面画像読取モジュール35のガラス面に接触させながら搬送している。そのため、裏面画像読取モジュール35のガラス面に原稿の紙粉やトナー等が付着し、ガラス面が汚れやすい。そのため、ガラス面の汚れによって裏面画像読取モジュール35で読み取った画像に黒スジなどの異常が発生するおそれがある。従って、定期的なガラス面の清掃が必要となってくる。
【0029】
図3は、本実施形態において、コンタクトガラス13,14の面方向におけるADF20とスキャナ部4との位置合わせを行う位置合わせ手段の構成を示す斜視図である。
DFスキャナモード(搬送原稿読取りモード)において、原稿を搬送するADF20と画像読取部16を有するスキャナ部4との位置精度は重要である。ADF20によって搬送される原稿が所定の搬送方向(スキャナ部4の読取ラインLに対して直交する方向)から傾いて搬送されると、スキャナ部4の読取ラインLに対して原稿が斜めに搬送され、読取画像がその斜めの分だけ傾いた画像すなわちスキュー画像となってしまうためである。
【0030】
一般に、スキャナ部4に対してADF20を開閉するためのヒンジ41はガタツキがあるため、ADF20を閉じたときにADF20とスキャナ部4との間で位置ずれ(コンタクトガラス13,14の面方向における位置ずれ。以下同じ。)が起こり得る。そのため、ADF20とスキャナ部4との位置合わせを行う位置合わせ手段が必要となる。
【0031】
位置合わせ手段としては、例えば、ADF20が閉じたときにADF20に設けられる凸形状部42F,42Rがスキャナ部4に設けられる凹形状部43F,43Rに嵌り込むことで、ADF20とスキャナ部4との位置合わせを行う構成を採用するものが挙げられる。この位置合わせ手段では、ADF20が閉じたときに凸形状部42F,42Rが凹形状部43F,43Rに嵌り込むことで位置合わせがなされ、DFスキャナモード時のスキュー画像の発生が抑制される。
【0032】
しかしながら、スキャナ部4のフラットベッドコンタクトガラス13上に載置した原稿を読み取るフラットベッドスキャナモード(載置原稿読取りモード)において、その原稿が凸形状部42F,42Rと凹形状部43F,43Rとが嵌り合う箇所にはみ出して載置されると、ADF20を閉じたときに凸形状部42F,42Rが原稿に接触する。これにより、凸形状部42F,42Rが原稿を凹形状部43F,43Rへ押し込むような状況となり、原稿にダメージを与えてしまう。
【0033】
特に、ヒンジ41が一般的なフリーストップ機能を有する場合、ADF20の開き角度がおおよそ10°~20°以上であるときにフリーストップ機能が作用するように構成される。ただし、それ以下の開き角度の時には、フラットベッドコンタクトガラス13上の原稿をADF20で押さえるために、ADF20の自重によるモーメントがヒンジ41のトルクよりも大きくなるように設定される。しかも、画像読取部16が等倍光学系である密着イメージセンサ(CIS)を採用する場合、ADF20により原稿を押さえる力が弱いと、原稿の浮きが発生しやすく、照明深度や焦点深度の影響で画像濃度の面内均一性や解像度が劣化しやすいので、比較的大きな力でADF20により原稿を押さえる必要がある。したがって、フラットベッドコンタクトガラス13上の原稿がはみ出して載置されると、ADF20の自重により凸形状部42F,42Rが原稿を凹形状部43F,43Rへ押し込み、原稿に大きなダメージを与えるおそれがある。
【0034】
この課題を解決する方法としては、凸形状部42F,42Rとして、進退自在に保持されて突出方向へ付勢された可動式凸形状部を採用する方法が挙げられる。この方法によれば、フラットベッドコンタクトガラス13上の原稿がはみ出して載置された場合でも、原稿に接触した可動式凸形状部が原稿に押されて後退し、原稿が凹形状部43F,43Rへ押し込まれず、原稿に与え得るダメージが軽減される。
【0035】
しかしながら、可動式凸形状部を採用すると、DFスキャナモード時において、ADF20を閉じたときに可動式凸形状部が凹形状部43F,43Rに嵌り込んでいない状態でも、ADF20が閉じた状態になってしまう。そのため、このままの状態でADF20により原稿が搬送されると、読取画像がスキュー画像になってしまう。
【0036】
そこで、本実施形態においては、凸形状部と凹形状部との組を、装置前面側(フロント側)に配置される凸形状部42Fと凹形状部43Fの組と、装置背面側(リア側)に配置される凸形状部42Rと凹形状部43Rの組の2組としている。そして、フロント側の凸形状部42Fには可動式凸形状部を採用し、リア側の凸形状部42Rには、進退不能な固定式凸形状部を採用する。
【0037】
図4(a)は、可動式凸形状部42Fが進出位置(突出位置)にあるときの斜視図であり、
図4(b)は、進出位置(突出位置)にあるときの可動式凸形状部42Fの進退機構を示す断面図である。
図5(a)は、可動式凸形状部42Fが後退位置(非突出位置)にあるときの斜視図であり、
図5(b)は、後退位置(非突出位置)にあるときの可動式凸形状部42Fの進退機構を示す断面図である。
【0038】
可動式凸形状部42Fは、ADF20のフレーム38Bとは別部材で構成される。可動式凸形状部42Fは、フレーム38Bから突出するように配置される段付きピン44aと、圧縮バネ44bと、ガイド部材44cと、E形止め輪44dとから構成される。
【0039】
段付きピン44aの先端にはR面またはC面が形成され、段付きピン44aの先端部が多少位置ずれしていても、スキャナ部4の凹形状部43Fに嵌り込みやすくなっている(
図7参照)。圧縮バネ44bは、段付きピン44aの段部(段付きピン44aの先端部よりも径の小さいくびれ部分)に装着され、ADF20のフレーム38Bと段付きピン44aの先端部との間に介在する。これにより、段付きピン44aは、圧縮バネ44bの付勢力により、進出方向(突出方向)に向けて付勢される。
【0040】
また、ガイド部材44cは、段付きピン44aの姿勢を保持するために、段付きピン44aの後端部分を摺動可能に支持している。ガイド部材44cはフレーム38Bと一体構成であってもよいし、別構成であってもよい。別構成の場合には、フレーム38Bに対してネジ等を用いて固定することが好ましい。また、E形止め輪44dは、段付きピン44aの後端部分に取り付けられ、段付きピン44aが突出方向へ外れないように、ガイド部材44cに引っ掛かるように構成されたストッパ部材である。
【0041】
図6(a)は、凸形状部42F,42Rが嵌り込む凹形状部43F,43Rを示す斜視図であり、
図6(b)は、凹形状部43F,43Rの断面図である。
凹形状部43F,43Rは、段付きピン44aの先端部よりもわずかに大きな寸法をもつ。本実施形態では、段付きピン44aの先端部が略円柱形状であるため、例えば、これに対応して丸穴形状とするか、もしくは、装置前後方向に長尺な長穴形状とするのが好ましい。また、凹形状部43F,43Rの開口縁部にはC面を設け、段付きピン44aの先端部が多少位置ずれしていても、スキャナ部4の凹形状部43Fに嵌り込みやすくなっている(
図7参照)。
【0042】
また、
図8(a)及び(b)に示すように、固定式凸形状部42Rが嵌り込む凹形状部43Rの周囲に突起形状部45を設けた構成としてもよい。このとき、突起形状部45にはC面を設けることが好ましい。これにより、固定式凸形状部42Rが凹形状部43Rの位置から多少ずれても突起形状部45のC面に案内されて凹形状部43Rに嵌り込み、正常な位置合わせがなされる。
【0043】
一方、固定式凸形状部42Rが凹形状部43Rの位置から外れて凹形状部43Rに入り込むことができない状況では、
図9に示すように、固定式凸形状部42Rが突起形状部45に突き当たって乗り上げた状態になる。これにより、ADF20を閉じても固定式凸形状部42Rが凹形状部43Rに嵌り込まない状況、すなわち、ADF20を閉じてもADF20とスキャナ部4との位置合わせが正常に行われていない状況であるとき、突起形状部45が無い構成と比べて、この時のADF20の開く角度が大きくなる。これにより、ユーザーはADF20が完全に閉じていないことを認識しやすくなる結果、ユーザーが再度ADF20を閉じる操作をし直すなどして正常な位置合わせが促され、スキュー画像の発生が抑制される。
【0044】
本実施形態の構成によれば、ADF20を閉じるとき、固定式凸形状部42Rが凹形状部43Rに嵌り込むことで、ADF20とスキャナ部4との仮位置合わせがなされる。この仮位置合わせにより、可動式凸形状部42Fは凹形状部43Fの位置から外れずに凹形状部43Fに向かうことができる。そして、可動式凸形状部42Fが凹形状部43Fに嵌り込むことで、凸形状部42F,42Rが凹形状部43F,43Rにそれぞれ嵌り込み、これらの2点で位置決めなされる本位置決めが完了する。この本位置決めにより、ADF20とスキャナ部4との高精度な位置合わせがなされ、DFスキャナモード時のスキュー画像の発生が抑制される。
【0045】
しかも、本実施形態では、2つの凸形状部のうちの一方が可動式凸形状部42Fであるため、この可動式凸形状部42Fと凹形状部43Fとが嵌り込む箇所に原稿がはみ出しても、その原稿に与え得るダメージが軽減される。
【0046】
特に、本実施形態では、ADF20が開閉するときの回動動作の回動軸側すなわち装置背面側に位置するリア側の凸形状部42Rではなく、ADF20が開閉するときの回動動作外周側すなわち装置前面側に位置するフロント側の凸形状部42Fを、可動式凸形状部としている。フロント側の凸形状部42Fの箇所の方がリア側の凸形状部42Rの箇所に比べて原稿がはみ出しやすいので、原稿に与え得るダメージをより有効に軽減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、ADF20の回動軸とは反対側の端部近傍に配置されているフロント側の凸形状部42Fを可動式凸形状部としている。このように配置されるフロント側の凸形状部42Fは、ユーザーの手に触れやすいため、ADF20を閉じたときに凸形状部42Fがユーザーの手に接触して不快感を与えやすい。この点、本実施形態のようにフロント側の凸形状部42Fを可動式凸形状部とすることで、ADF20を閉じたときに凸形状部42Fがユーザーの手に接触しても、圧縮バネ44bの作用で接触の衝撃が緩和され、ユーザーに与える不快感を低減することができる。
【0048】
また、本実施形態では、可動式凸形状部42FよりもADF20の回動軸に近い位置に配置されているリア側の凸形状部42Rを固定式凸形状部としている。これにより、ADF20を閉じるとき、可動式凸形状部42Fが凹形状部43Fに達するよりも先に、固定式凸形状部42Rが凹形状部43Rに達して嵌り込むことができる。よって、可動式凸形状部42Fが凹形状部43Fに嵌り込む際には、固定式凸形状部42Rと凹形状部43Rとによる仮位置決めが完了しているため、可動式凸形状部42Fが凹形状部43Fから外れて嵌り込むことができずに本位置決めが完了しないという事態を抑制することができる。
【0049】
また、リア側の凸形状部42Rは、通常、ユーザーの手が触れることが少ないため、このリア側の凸形状部42Rを固定式凸形状部としても、ユーザーに与える不快感の問題は生じない。なお、固定式凸形状部42Rは、例えばADF20のフレーム38Bと一体構成であってもよいし、別体構成としてフレーム38Bに取り付けられるものであってもよい。
【0050】
なお、本実施形態では、凸形状部42F,42RがADF20側に設けられ、凹形状部43F,43Rがスキャナ部4側に設けられる例で説明したが、凸形状部42F,42Rがスキャナ部4側に設けられ、凹形状部43F,43RがADF20側に設けられる例であってもよい。ただし、凸形状部42F,42Rをスキャナ部4側に設けると、スキャナ部4の上面に凸形状部42F,42Rによる突出部分が存在することにより、スキャナ部4の上面の平面性が損なわれる点で、本実施形態の構成の方が好ましい。
【0051】
また、本実施形態においては、可動式凸形状部42F及び固定式凸形状部42Rが凹形状部43F,43Rに嵌り込む箇所が、DFスキャナモード(搬送原稿読取りモード)時に位置する画像読取部16の原稿幅方向両外側(DFコンタクトガラス14の原稿幅方向両外側)に位置している。このように画像読取部16の読取位置の近くで位置決めを行うことで、ADF20による原稿搬送方向が画像読取部16の読取ラインLに対して斜めにならないようにする位置合わせの精度が高まる。よって、より精度よくスキュー画像の発生を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態において、ADF20を閉じるときに、可動式凸形状部42F及び固定式凸形状部42Rが凹形状部43F,43Rに嵌り込むことができず、ADF20とスキャナ部4との位置合わせが正常に行われない状況も起こり得る。そのため、この位置合わせが正常に行われているかどうかを検知する検知手段を設けてもよい。
【0053】
このような検知手段を設けることで、位置合わせが正常に行われていないときには、DFスキャナモード(搬送原稿読取りモード)の実行を許可しないように制御したり、ユーザーに対して位置合わせを促すメッセージなどを報知したりするなどの対処処理を実行することができる。このような対処処理により、位置合わせが正常に行われないままDFスキャナモードでの画像読取が行われてスキュー画像が発生してしまう事態が抑制される。
【0054】
前記検知手段としては、例えば、可動式凸形状部42Fの段付きピン44aの進退状態を検知する手段を用いてもよい。この場合、段付きピン44aが後退位置にあるときには位置合わせが正常に行われていないと判断することができる。
【0055】
また、前記検知手段としては、例えば、ADF20の開閉センサを利用してもよい。この場合、ADF20が閉じていないときには位置合わせが正常に行われていないと判断することができる。特に、検知手段としてADF20の開閉センサを利用する場合、
図8(a)及び(b)並びに
図9に例示した構成、すなわち、固定式凸形状部42Rが嵌り込む凹形状部43Rの周囲に突起形状部45を設けた構成を採用するのが好ましい。この場合、ADF20を閉じても固定式凸形状部42Rが凹形状部43Rに入り込まず正常な位置合わせが行われない時のADF20の開き角度が大きくなるので、ADF20が閉じていないことをADF20の開閉センサでより精度よく検知することが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態の説明では、いわゆる1パス両面同時読取タイプ(原稿表面側をスキャナ部4の画像読取部16で読み取り、原稿裏面側をADF20の裏面画像読取モジュール35(第二画像読取部)で読み取る構成)の画像読取装置について説明したが、これに限られない。例えば、原稿の片面のみをスキャナ部4の画像読取部16で読み取る片面読取タイプの画像読取装置であってもよい。また、ADF20には画像読取部を備えていない両面読取タイプ(原稿表面側をスキャナ部4の画像読取部16で読み取った後、原稿を反転搬送して画像読取部16で再度読み取る構成)の画像読取装置であってもよい。
【0057】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、自動原稿送り装置(例えばADF20)によって搬送される原稿を、該自動原稿送り装置が回動動作によって開閉可能に取り付けられる画像読取装置本体(例えばスキャナ部4)の画像読取部16で読み取る画像読取装置5であって、前記自動原稿送り装置が閉じたときに該自動原稿送り装置と前記画像読取装置本体のうちの一方に設けられる凸形状部42F,42Rが他方に設けられる凹形状部43F,43Rに嵌り込むことで、該自動原稿送り装置と該画像読取装置本体との位置合わせを行う位置合わせ手段を有し、前記位置合わせ手段は、前記凸形状部と前記凹形状部との組を少なくとも2組備え、前記少なくとも2組の前記凸形状部は、進退自在に保持されて突出方向へ付勢された可動式凸形状部42Fと、進退不能な固定式凸形状部42Rとを含むことを特徴とするものである。
自動原稿送り装置が回動動作によって画像読取装置本体に開閉可能に取り付けられる構成では、一般に、一定のガタツキがあるため、自動原稿送り装置を閉じたときに自動原稿送り装置と画像読取装置本体との間で位置ずれが起こり得る。この位置ずれが起きると、自動原稿送り装置で搬送される原稿の搬送方向が画像読取装置本体上の所定の搬送方向から外れ、画像読取装置本体の画像読取部に対して原稿が斜めに搬送される。これにより、読み取った画像が傾斜した状態のものとなるスキュー画像が発生する。
このスキュー画像の発生を抑制するため、従来の画像読取装置では、自動原稿送り装置が閉じたときに自動原稿送り装置と画像読取装置本体のうちの一方に設けられる2つの凸形状部が他方に設けられる2つの凹形状部にそれぞれ嵌り込むことで、自動原稿送り装置と画像読取装置本体との位置合わせを行う位置合わせ手段を採用するものがある。この画像読取装置では、スキュー画像の発生を抑制できるが、画像読取装置本体上に載置した原稿を読み取る場合に原稿が凸形状部と凹形状部とが嵌り合う箇所にはみ出して載置されると、凸形状部が原稿に接触して原稿にダメージを与えてしまうという課題があった。
この課題を解決する方法としては、前記凸形状部として、進退自在に保持されて突出方向へ付勢された可動式凸形状部を採用する方法が挙げられる。この方法によれば、原稿が可動式凸形状部と凹形状部とが嵌り合う箇所にはみ出して載置された場合でも、原稿に接触した可動式凸形状部が原稿に押されて後退し、原稿に与え得るダメージを軽減することができる。
しかしながら、すべての凸形状部で可動式凸形状部を採用すると、自動原稿送り装置を閉じたときに可動式凸形状部が凹形状部に嵌り込んでいない状態でも自動原稿送り装置が閉じた状態になってしまう。そのため、このままの状態で自動原稿送り装置により原稿が搬送されて原稿の読み取りが行われ、スキュー画像が発生するおそれがある。
そこで、本態様においては、凸形状部と凹形状部とからなる少なくとも2組において、一部の組の凸形状部には、進退自在に保持されて突出方向へ付勢された可動式凸形状部を採用し、他の組の凸形状部には、進退不能な固定式凸形状部を採用する。これにより、自動原稿送り装置を閉じるときに固定式凸形状部が凹形状部に嵌り込むことで、自動原稿送り装置と画像読取装置本体との仮位置合わせがなされ、可動式凸形状部が凹形状部から外れてしまうことが抑制される。そして、可動式凸形状部も凹形状部に嵌り込むことで、少なくとも2箇所で凸形状部が凹形状部に嵌り込み、本位置決めがなされる。しかも、少なくとも2組のうちの一部の組みの凸形状部については可動式凸形状部を採用しているので、当該一部の組の凸形状部も固定式凸形状部である構成と比較して、その凸形状部の箇所まではみだした原稿に与えるダメージを軽減できる。よって、本態様によれば、可動式凸形状部を採用して原稿に与え得るダメージを軽減できるとともに、可動式凸形状部が凹形状部に嵌り込んでいない状態で自動原稿送り装置が閉じた状態になることを抑制してスキュー画像の発生も抑制することができる。
【0058】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記固定式凸形状部は、前記可動式凸形状部よりも前記自動原稿送り装置の回動軸に近い位置に配置されていることを特徴とするものである。
これによれば、自動原稿送り装置を閉じるとき、可動式凸形状部が凹形状部に達するよりも先に、固定式凸形状部が凹形状部に達して嵌り込むことができる。よって、可動式凸形状部が凹形状部に嵌り込む際には、固定式凸形状部と凹形状部とによる仮位置決めが完了しているため、可動式凸形状部が凹形状部から外れて嵌り込むことができずに本位置決めが完了しないという事態を抑制することができる。
【0059】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記可動式凸形状部は、前記自動原稿送り装置の回動軸とは反対側の端部近傍に配置されていることを特徴とするものである。
自動原稿送り装置の回動軸とは反対側の端部近傍に配置されている凸形状部は、ユーザーの手に触れやすいため、自動原稿送り装置を閉じたときにユーザーの手に接触して不快感を与えやすい。本態様によれば、この凸形状部が可動式凸形状部で構成されているため、自動原稿送り装置を閉じたときに当該可動式凸形状部がユーザーの手に接触しても、可動式凸形状部が後退して接触の衝撃が緩和され、ユーザーに与える不快感を低減することができる。
【0060】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記可動式凸形状部及び前記固定式凸形状部は、前記自動原稿送り装置側に設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、画像読取装置本体側に凸形状部を設けずに済むので、画像読取装置本体上の平面性を損なわずに済む。
【0061】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記可動式凸形状部及び前記固定式凸形状部が凹形状部に嵌り込む箇所は、前記画像読取部の原稿幅方向両外側に位置することを特徴とするものである。
これによれば、画像読取部の読取位置の近くで自動原稿送り装置と画像読取装置本体との位置合わせを行うことができるので、自動原稿送り装置による原稿搬送方向が画像読取部に対して斜めにならないようにする位置合わせの精度が高まる。よって、より精度よくスキュー画像の発生を抑制することができる。
【0062】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記位置合わせ手段は、前記凸形状部と前記凹形状部との組を2組だけ備えることを特徴とするものである。
これによれば、位置合わせ精度を確保しつつ、凸形状部が凹形状部に嵌り込まずに正常に位置合わせが行われない状況になりにくい。
【0063】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様のいずれかにおいて、前記位置合わせ手段による前記位置合わせが正常に行われているかどうかを検知する検知手段を有することを特徴とするものである。
これによれば、自動原稿送り装置と画像読取装置本体との位置合わせが正常に行われない状況になっても、その状況に対処するための対処処理を実行することが可能になる。そのため、自動原稿送り装置と画像読取装置本体との位置合わせが正常に行われない状況になっても、位置合わせが正常に行われないまま画像読取が行われてスキュー画像が発生してしまうような事態が抑制される。
【0064】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様のいずれかにおいて、前記固定式凸形状部が嵌り込む凹形状部の周囲に、突起形状部を備えることを特徴とするものである。
これによれば、自動原稿送り装置を閉じても、固定式凸形状部が凹形状部の位置から外れて凹形状部に入り込むことができない状況、すなわち、自動原稿送り装置と画像読取装置本体との位置合わせが正常に行われていない状況において、固定式凸形状部が突起形状部に突き当たって乗り上げた状態になる。これにより、突起形状部が無い構成と比べて、自動原稿送り装置を閉じたときの開き角度が大きくなるので、ユーザーは自動原稿送り装置が完全に閉じていないことを認識しやすくなる。その結果、ユーザーは再度自動原稿送り装置を閉じる操作をし直すなどして正常な位置合わせが促され、スキュー画像の発生が抑制される。
【0065】
[第9態様]
第9態様は、画像読取装置5を備えた画像形成装置1であって、前記画像読取装置として、第1乃至第8態様のいずれかの画像読取装置を用いることを特徴とするものである。
これによれば、可動式凸形状部を採用して原稿に与え得るダメージを軽減できるとともに、可動式凸形状部が凹形状部に嵌り込んでいない状態で自動原稿送り装置が閉じた状態になることを抑制してスキュー画像の発生も抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 :画像形成装置
4 :スキャナ部
5 :画像読取装置
13 :フラットベッドコンタクトガラス
14 :DFコンタクトガラス
15 :画像形成部
16 :画像読取部
20 :ADF
38B :フレーム
41 :ヒンジ
42F :フロント側の凸形状部(可動式凸形状部)
42R :リア側の凸形状部(固定式凸形状部)
43F :フロント側の凹形状部
43R :リア側の凹形状部
44a :段付きピン
44b :圧縮バネ
44c :ガイド部材
44d :E形止め輪
45 :突起形状部
L :読取ライン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】