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特開2024-77428印刷装置、印刷システム、印刷方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077428
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷システム、印刷方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240531BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240531BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240531BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G21/00 530
B41J29/38 202
G03G15/00 460
G06F3/12 353
G06F3/12 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189520
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ10
2C061HK07
2C061HK10
2C061HN15
2H072AA16
2H072AA30
2H072AA36
2H072AB17
2H072AB28
2H072HB03
2H270KA59
2H270KA70
2H270LA24
2H270LA28
2H270LA29
2H270LC05
2H270MA29
2H270MC47
2H270MC55
2H270MH06
2H270SA14
2H270SA18
2H270SB30
(57)【要約】
【課題】印刷媒体の環境情報に応じて除電する。
【解決手段】印刷装置が、印刷媒体が指定又は検知された印刷ジョブを受け付ける受付部と、印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、環境情報及び印刷媒体に関する媒体情報に基づいて印刷媒体を除電するための制御情報を取得する制御情報取得部と、制御情報に基づいて印刷媒体を除電するための除電装置を制御する除電制御部と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体が指定又は検知された印刷ジョブを受け付ける受付部と、
前記印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記環境情報及び前記印刷媒体に関する媒体情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための除電装置を制御する除電制御部と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御情報取得部は、複数の前記印刷媒体に関する前記制御情報を記憶する記憶部から、指定又は検知された前記印刷媒体に関する前記制御情報を取得する、
印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記環境情報は、湿度に関する情報を含む、
印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置であって、
前記制御情報は、前記印刷媒体に帯電させる電荷量を含む、
印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記制御情報は、前記湿度の範囲及び前記印刷媒体の種類に応じて予め定められている、
印刷装置。
【請求項6】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記除電制御部は、前記印刷媒体を搬送するローラに前記電荷量を与えるように前記除電装置を制御する、
印刷装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記電荷量が大きいとき、環境を調整すべき旨を示す通知を出力する通知出力部をさらに備える、
印刷装置。
【請求項8】
請求項4から6のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記電荷量が大きいとき、外部装置に環境の調整を指示する信号を出力する調整指示部をさらに備える、
印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷装置であって、
前記外部装置は、加湿機能を有する設備機器である、
印刷装置。
【請求項10】
利用者が操作する利用者端末と印刷装置とがネットワークを介して通信可能な印刷システムであって、
前記利用者端末は、
指定又は検知された印刷媒体に関する媒体情報及び印刷データを含む印刷ジョブを前記印刷装置に送信するジョブ入力部を備え、
前記印刷装置は、
前記利用者端末から受信した前記印刷ジョブに従って前記印刷媒体に前記印刷データを印刷する印刷制御部と、
前記印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記環境情報及び前記媒体情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための除電装置を制御する除電制御部と、
を備える印刷システム。
【請求項11】
印刷装置が、
印刷媒体が指定又は検知された印刷ジョブを受け付ける手順と、
前記印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する手順と、
前記環境情報及び前記印刷媒体に関する媒体情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための制御情報を取得する手順と、
前記制御情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための除電装置を制御する手順と、
を実行する印刷方法。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷方法であって、
前記制御情報を取得する手順は、複数の前記印刷媒体に関する前記制御情報を記憶する記憶部から、指定又は検知された前記印刷媒体に関する前記制御情報を取得する、
印刷方法。
【請求項13】
請求項11に記載の印刷方法であって、
前記環境情報は、湿度に関する情報を含む、
印刷方法。
【請求項14】
請求項13に記載の印刷方法であって、
前記制御情報は、前記印刷媒体に帯電させる電荷量を含む、
印刷方法。
【請求項15】
請求項14に記載の印刷方法であって、
前記制御情報は、前記湿度の範囲及び前記印刷媒体の種類に応じて予め定められている、
印刷方法。
【請求項16】
請求項14に記載の印刷方法であって、
前記制御する手順は、前記印刷媒体を搬送するローラに前記電荷量を与えるように前記除電装置を制御する、
印刷方法。
【請求項17】
請求項14から16のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記電荷量が大きいとき、環境を調整すべき旨を示す通知を出力する手順をさらに実行する、
印刷方法。
【請求項18】
請求項14から16のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記電荷量が大きいとき、外部装置に環境の調整を指示する信号を出力する手順をさらに実行する、
印刷方法。
【請求項19】
請求項18に記載の印刷方法であって、
前記外部装置は、加湿機能を有する設備機器である、
印刷方法。
【請求項20】
コンピュータに、
印刷媒体が指定又は検知された印刷ジョブを受け付ける手順と、
前記印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する手順と、
前記環境情報及び前記印刷媒体に関する媒体情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための制御情報を取得する手順と、
前記制御情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための除電装置を制御する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷システム、印刷方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば印刷工場等の施設では、大型かつ高速の印刷装置を使用し、大量の印刷が行われている。印刷装置で印刷された印刷媒体(印刷用紙等)には、製本等の後処理(次工程ともいう。)が行われることがある。印刷直後の印刷媒体には静電気が帯電しているため、印刷媒体同士が密着して離れなくなることがある。印刷媒体が密着すると、製本機等の後処理に用いる機器で紙詰まり等の不具合が発生する原因となる。
【0003】
この場合、印刷工程から次工程(例えば製本工程等)に進む前に印刷済みの印刷媒体を除電するために長時間留置する必要がある。例えば、印刷工場では各工程で大量の印刷媒体を取り扱うため、工程間で滞留する印刷媒体があると、印刷工場全体における効率性が低下する要因となる。印刷媒体を適切に除電できれば、印刷工程から製本工程に進む前に除電のために留置する必要性を、より低減することが期待できる。
【0004】
例えば、特許文献1には、印刷用紙における残留静電気を減少させ或いは除去する静電記録装置が開示されている。特許文献1に開示された静電記録装置は、静電気の作用により印刷用紙にトナーを吸着させた後、印刷用紙に向けて除電用イオンガスを吹き付けるイオンガス吹付部が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷処理に伴う印刷媒体に残存する静電気の量は、印刷媒体の種類やその環境(例えば、印刷媒体周辺の雰囲気湿度)等に影響を受けやすい。そのため、印刷媒体の環境に応じた適切な除電制御が必要となる。
【0006】
しかしながら、従来技術では、与える電荷量によっては逆帯電による静電気が発生してしまうことや、逆に静電気を十分に除電することができずに静電気が残存してしまうことがあり、上記問題を解決するものではない。
【0007】
本発明の一実施形態は、印刷媒体の環境情報に応じて除電することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態である印刷装置は、印刷媒体が指定又は検知された印刷ジョブを受け付ける受付部と、印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、環境情報及び印刷媒体に関する媒体情報に基づいて印刷媒体を除電するための制御情報を取得する制御情報取得部と、制御情報に基づいて印刷媒体を除電するための除電装置を制御する除電制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、印刷媒体の環境情報に応じて除電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態における印刷工場の一例を示す模式図である。
図2】一実施形態における印刷機の一例を示す外観側面図である。
図3】一実施形態における印刷工場で行われる作業の一例を示す図である。
図4】第1実施形態における印刷システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図5】一実施形態における印刷装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
図6】一実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図7】一実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図8】第1実施形態における印刷システムの機能構成の第1の例を示すブロック図である。
図9】第1実施形態における印刷システムの機能構成の第2の例を示すブロック図である。
図10】第1実施形態における印刷方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図11】一実施形態における制御情報テーブルの一例を示す概念図である。
図12】第2実施形態における印刷システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図13】第2実施形態における印刷システムの機能構成の第1の例を示すブロック図である。
図14】第2実施形態における印刷システムの機能構成の第2の例を示すブロック図である。
図15】第2実施形態における印刷方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16】一実施形態における通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、図面中において同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の一実施形態は、例えば印刷工場等のように大量の印刷を行う施設で用いられる印刷システムである。本実施形態における印刷工場は、数千枚から数万枚の大量の印刷用紙(媒体)に印刷データを印刷する印刷工程と、印刷済みの印刷用紙に対して、裁断、折り及び製本等の加工を行う製本工程とを実行することで、本や冊子等の印刷物を製造する。本実施形態における印刷システムは、印刷工場で行われる印刷工程に用いられる。ただし、本実施形態における印刷システムの用途は上記に限定されるものではなく、大量の印刷用紙に印刷を行う用途であればどのような用途で用いられてもよい。
【0013】
<印刷工場の概要>
本実施形態における印刷工場について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における印刷工場の一例を示す模式図である。
【0014】
図1に示されているように、本実施形態における印刷工場9は、例えば、印刷エリア90、製本エリア91、倉庫エリア92及び事務所エリア93に区画されている。事務所エリア93には、機械室94が含まれる。印刷工場9の各エリア90~93は、通路95を介して往来可能に配置されている。
【0015】
印刷エリア90には、複数台の印刷機901-1~901-2、印刷物保管場所902及び空調設備903が設置されている。製本エリア91には、複数台の裁断機911-1~911-2、複数台の折機912-1~912-2及び製本機913が設置されている。倉庫エリア92には、複数台の用紙棚921-1~921-2、複数台のトナー棚922-1~922-2及び空調設備923が設置されている。
【0016】
以下、複数台の印刷機901-1~901-2、裁断機911-1~911-2、折機912-1~912-2、用紙棚921-1~921-2又はトナー棚922-1~922-2について、個々を区別する必要がない場合、印刷機901、裁断機911、折機912、用紙棚921又はトナー棚922と総称する。
【0017】
なお、印刷機901、裁断機911、折機912、製本機913、用紙棚921及びトナー棚922の各台数は一例であり、印刷工場9の規模や印刷量等に応じて任意に増減すればよい。印刷エリア90及び製本エリア91に設置される機器の種類は一例であり、印刷工程又は製本工程で要する機器を任意に設置すればよい。倉庫エリア92に設置される棚の種類は一例であり、印刷工場9で必要となる備品の種類や数量等に応じて任意に変更すればよい。また、各エリアの仕切り方も任意であり、仕切ることなく一つまたは任意のフロアで実現することも可能である。
【0018】
印刷工場9における作業の流れについて説明する。印刷工場9の従業員等のオペレータは、まず、印刷エリア90において、印刷ジョブで必要となる印刷用紙及びトナーなどの記録材が印刷機901にセットされていることを確認する。印刷用紙又はトナーが不足する場合、オペレータは倉庫エリア92の用紙棚921又はトナー棚922から必要となる数量の印刷用紙又はトナーを取り出し、使用する印刷機901にセットする。
【0019】
オペレータは、印刷用紙及びトナーなどの記録材が十分にセットされていることを確認した後、印刷機901を操作することで、所望の枚数の印刷用紙に所望の印刷データを印刷する。印刷機901から排出された印刷済みの印刷用紙は、印刷物保管場所902に一時的に保管される。ここまでが印刷工程である。
【0020】
印刷工程が完了すると、オペレータは、印刷物保管場所902から印刷済みの印刷用紙を製本エリア91に搬入する。製本エリア91に搬入された印刷用紙は、裁断機911の作業場へ配置される。次に、オペレータは、裁断機911を操作することで、印刷用紙を裁断する。
【0021】
続いて、オペレータは、裁断済みの印刷用紙を折機912の作業場へ配置し、折機912を操作することで、印刷用紙に折り加工を施す。次に、オペレータは、折り加工後の印刷用紙を製本機913の作業場へ配置し、製本機913を操作することで、印刷用紙に製本加工を施す。
【0022】
完成した本や冊子等の印刷物には、必要に応じてカバー、帯又は売上カード等の付属品が装着される。その後、印刷物は梱包されて、印刷工場9から出荷される。
【0023】
<印刷機の概要>
本実施形態における印刷機901について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態における印刷機の一例を示す外観側面図である。
【0024】
図2に示されているように、本実施形態における印刷機901は、印刷装置10、給紙ユニット11、排紙ユニット12及び操作パネル13を有する。印刷機901は、用途に応じてユニットを追加、変更又は削除することが可能である。例えば、使用する印刷用紙の種類や一度に印刷する枚数等に応じて給紙ユニット11を選択することができる。また、例えば、折り、綴じ、パンチ等の後処理や一度に印刷する枚数等に応じて排紙ユニット12を選択することができる。
【0025】
給紙ユニット11の内部には、未印刷の印刷用紙P1-1~P1-2がそれぞれ数千枚から数万枚程度セットされている。印刷用紙P1-1~P1-2は、それぞれ素材やサイズ等の種類が異なる印刷用紙であってもよいし、同じ種類の印刷用紙であってもよい。印刷装置10は、オペレータの指示に従って、給紙ユニット11にセットされた印刷用紙に印刷データを印刷する。印刷済みの印刷用紙は排紙ユニット12に搬送される。排紙ユニット12から排出された印刷済みの印刷用紙P2は、所定の排紙トレイに蓄積される。
【0026】
オペレータは、操作パネル13を操作することで、印刷用紙の種類、印刷枚数、後処理の要否等を設定することができる。また、オペレータは、操作パネル13を操作することで、印刷の開始又は停止等の制御を行うことができる。さらに、オペレータは、操作パネル13に表示されるメッセージ等を参照することで、印刷機901の状態を把握することができる。
【0027】
印刷用紙の種類は、オペレータが操作パネル13に表示された選択肢から選択することで指定することができる。また、印刷機901が印刷用紙の種類を識別するためのセンサを搭載していれば、オペレータが印刷用紙をセンサで識別することで、その印刷用紙の種類が操作パネル13に表示することができる。さらに、給紙ユニット11が印刷用紙の種類を識別するためのセンサを搭載することで、セットされた印刷用紙P1-1~P1-2の種類を識別して操作パネル13に表示してもよい。
【0028】
図3は、本実施形態における印刷工場で行われる作業の一例を示す図である。図3に示されているように、印刷工場9では、印刷工程又は製本工程で用いる機器82-1~82-2の周辺に大量の印刷用紙83-1~83-3が配置されている。オペレータ81は、例えば、印刷用紙83-1に対して機器82-1を用いて所望の加工を行い、次工程を行う機器82-2の周辺に加工済みの印刷用紙83-2を配置する。
【0029】
印刷機901は、給紙ユニット11及び排紙ユニット12の仕様が許す限り、一度に数千枚から数万枚の印刷を行うことが可能である。印刷済みの印刷用紙は、排紙ユニット12の所定の排紙トレイに積み重なって排紙される。印刷済みの印刷用紙には印刷処理で帯電した静電気が残存しているため、排紙された印刷用紙は静電気の作用により密着することがある。
【0030】
従来の印刷工場では、印刷済みの印刷用紙に残存する静電気が十分に除電されるまで、図1に示した印刷物保管場所902等に印刷済みの印刷用紙を一定時間(例えば、数時間)留置している。留置すべき時間は印刷用紙に残存する静電気量に応じて異なる。従来の印刷工場では、オペレータの経験等に基づいて、十分に静電気が除電されるまで印刷物保管場所902に留置することが行われている。
【0031】
印刷物保管場所902に留置される印刷用紙は、除電が完了するまで製本工程に進むことができない。そのため、印刷物保管場所902に留置する時間が長いと後工程の進捗に影響を及ぼす。逆に言うと、印刷物保管場所902に留置する時間が短ければ、印刷工場9全体の生産性を向上することができる。
【0032】
印刷済みの印刷用紙に残存する静電気の量は、印刷用紙の種類や印刷用紙の周辺環境(特に、印刷用紙周辺(例えば、印刷用紙の置かれている部屋やスペースなど)の空間の環境(湿度)である雰囲気湿度)等に大きく影響を受ける。したがって、印刷用紙の種類及び印刷用紙の周辺環境に基づいて、印刷用紙に残存する静電気量を推定することができる。静電気量が推定できれば、その逆電荷を印刷用紙に帯電させることで、印刷済みの印刷用紙を適切に除電することができる。その結果、印刷済みの印刷用紙を印刷工程から製本工程へ遅滞なく進めることができ、印刷工場9の生産性が向上する。
【0033】
<印刷システムの全体構成>
本実施形態における印刷システムの全体構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態における印刷システムの全体構成の一例を示す概念図である。
【0034】
図4に示されているように、本実施形態における印刷システム1は、印刷装置10、プリントサーバ20及びユーザ端末30を含む。印刷装置10、プリントサーバ20及びユーザ端末30は、それぞれ通信ネットワークN1に接続している。通信ネットワークN1は、接続されている各装置が相互に通信可能となるように構成されている。
【0035】
通信ネットワークN1は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、又はWAN(Wide Area Network)等の有線通信によるネットワークによって構築されている。通信ネットワークN1は、有線通信だけでなく、例えば、無線LAN、又は近距離無線通信等の無線通信、もしくはWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)、又は5G(5th Generation)等の移動体通信によるネットワークが含まれていてもよい。
【0036】
印刷装置10は、印刷用紙に印刷データを印刷する画像形成装置である。本実施形態における印刷装置は、静電気の作用により印刷用紙にトナーを付着させる静電記録装置である。本実施形態における印刷装置の一例は、レーザープリンタ又は静電式複写機等である。印刷データは、印刷用紙に印刷する文字及び画像等がレイアウトされた電子データである。
【0037】
印刷装置10は、印刷ジョブに従って印刷データを印刷用紙に印刷する。本実施形態における印刷ジョブは、印刷する内容を示す印刷データ、使用する印刷用紙の種類等を示す用紙情報、及び印刷枚数、カラー、印刷面(片面又は両面)、印刷倍率等の印刷設定を含む。印刷ジョブは、オペレータの操作により、操作パネル13又はプリントサーバ20から印刷装置10に入力される。印刷装置10は、印刷中の状態等をオペレータに通知するためのメッセージを操作パネル13又はプリントサーバ20に出力する。
【0038】
プリントサーバ20は、印刷装置10で印刷するための印刷ジョブをスプールし、ジョブスケジューラに従って印刷装置10に送信する情報処理装置の一例である。プリントサーバ20の一例は、コンピュータである。プリントサーバ20は、例えば、図1に示した機械室94等に設置される。
【0039】
プリントサーバ20は、ユーザ端末30から印刷ジョブを受信し、スプールに蓄積する。プリントサーバ20は、印刷装置10のジョブ実行状態に応じて、スプールから印刷ジョブを読み出し、印刷装置10に送信する。
【0040】
ユーザ端末30は、オペレータが操作する情報処理端末である。ユーザ端末30の一例は、コンピュータである。ユーザ端末30の他の例は、スマートフォン又はタブレット端末等である。ユーザ端末30は、例えば、図1に示した印刷エリア90、事務所エリア93又は機械室94等に設置される。
【0041】
ユーザ端末30は、オペレータの操作に応じて、プリントサーバ20に印刷ジョブを送信する。ユーザ端末30は、印刷装置10から受信したメッセージをオペレータに対して出力する。
【0042】
プリントサーバ20及びユーザ端末30は、通信機能を備えた装置であれば、情報処理装置に限られない。プリントサーバ20及びユーザ端末30は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0043】
なお、図4に示した印刷システム1の全体構成は一例であって、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があり得る。例えば、印刷装置10、プリントサーバ20及びユーザ端末30の1つ以上が、印刷システム1に複数台含まれていてもよい。例えば、プリントサーバ20は、複数台のコンピュータにより実現してもよいし、クラウドコンピューティングのサービスとして実現してもよい。図4に示す印刷装置10、プリントサーバ20、ユーザ端末30のような装置の区分は一例である。
【0044】
<印刷装置のハードウェア構成>
本実施形態における印刷装置のハードウェア構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態における印刷装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0045】
図5に示されているように、本実施形態における印刷装置10は、書込みユニット101、作像ユニット102、中間転写ベルト103、二次転写部104、定着部105、除電装置106、除電ローラ107、湿度センサ108及び制御装置110を備える。
【0046】
書込みユニット101は、レーザ光によって転写画像(トナー画像)を作像ユニット102に形成する。
【0047】
作像ユニット102は、感光体、現像剤及びトナーを保持し、書込みユニット101からのレーザ光によってトナー画像を形成する。作像ユニット102は、感光体ドラムY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、BK(ブラック)を備える。作像ユニット102は、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を行い、感光体ドラムY、M、C、BKそれぞれにトナー像を形成する。感光体ドラムY、M、C、BKに形成されたトナー像は転写工程によって中間転写ベルト103に転写される。トナー像の転写後、作像ユニット102は、中間転写ベルト103を清掃して次の作像プロセスに備えるためにクリーニング工程を行う。
【0048】
フルカラーのトナー画像を形成するときは、作像ユニット102は、イエロートナー像を中間転写ベルト103に転写し、続いてマゼンダトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像を順次形成し、それらを重ね合わせ、中間転写ベルト103に転写する。なお、作像ユニット102は、イエロートナー像、マゼンダトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像をそれぞれ、感光体ドラムY、M、C、BK上に形成する。
【0049】
感光体ドラムY、M、C、BKから中間転写ベルト103へのトナー画像の転写は一次転写であり、中間転写ベルト103から印刷用紙への転写は二次転写である。作像ユニット102は、中間転写ベルト103に感光体ドラムY、M、C、BKから重畳して転写されたトナー像(フルカラーのトナー画像)を、二次転写部104の位置(二次転写位置)に搬送する。二次転写位置は、二次転写ローラと搬送路R1又はR2とが接する位置である。なお、R1は片面印刷時の搬送路であり、R2は両面印刷時の搬送路である。
【0050】
二次転写部104は、中間転写ベルト103に転写されたフルカラーのトナー画像を、二次転写位置で印刷用紙に一括転写(二次転写)する。
【0051】
定着部105は、トナー画像転写済みの印刷用紙を、ローラ対により加熱及び加圧することにより、トナー画像を印刷用紙に定着させる。
【0052】
除電装置106は、除電ローラ107により搬送される印刷用紙に静電気と逆の電荷を与える逆帯電を行う。除電装置106が印刷用紙に与える電荷量は、制御装置110により制御される。
【0053】
除電ローラ107は、定着部105のローラ対から排出されるトナー定着後の印刷用紙を搬送するローラ対である。ローラ対のうち印刷面側に位置するローラは除電装置106に接続され、反対面側に位置するローラは接地される。
【0054】
湿度センサ108は、除電ローラ107から排出される印刷用紙周辺の雰囲気湿度を検出する。湿度センサ108により検出された雰囲気湿度は制御装置110に入力される。
【0055】
制御装置110は、印刷装置10の全体の動作を制御する。本実施形態では、さらに、制御装置110は、上位装置から送られてきた画像データを、書込みユニット101が画像形成できる形式(転写画像)に変換する。
【0056】
制御装置110は、操作パネル13と信号の送受信を行うことにより、オペレータによる操作内容を把握し、オペレータに対して各種情報を報知する。また、制御装置110は、プリントサーバ20等の外部機器から入力される印刷ジョブ等に基づいて、所定の印刷処理を実行する。
【0057】
本実施形態における制御装置110のハードウェア構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0058】
図6に示されているように、本実施形態における制御装置110は、CPU(Central Processing Unit)121、ROM(Read Only Memory)122、RAM(Random Access Memory)123、外部メモリI/F(Interface)124、通信系I/F125、内部バスI/F126、PCIeI/F127、画像出力用DMAC(Direct Memory Access Controller)128、画像処理部129及び圧縮/伸長器130を備える。内部バス120は、これらの各部を接続する。
【0059】
内部バス120は、さらに、内部バスI/F126及びPCIeI/F127を介して、各部を、PCIeバス134に接続する。
【0060】
CPU121は、各種演算処理を実行することによって、システム関係の全ての設定を行い、画像出力用DMAC128、画像処理部129及び圧縮/伸長器130を起動する。
【0061】
ROM122には、主にCPU121のための動作制御プログラムが格納される。RAM123は、CPU121の演算結果や種々のデータの一次的な記憶場所としても使用される他、画像保存用のメモリとして機能する。ROM122、RAM123等は、特に区別する必要がない場合は、内部メモリと総称する。
【0062】
外部メモリI/F124には、画像保存用のメモリとして用いられる画像メモリが接続される。CPU121は、プリントサーバ20から印刷データを受信すると、プリンタ言語に基づいて外部メモリI/F124を介して画像メモリに描画を行う。
【0063】
通信系I/F125は、プリントサーバ20及び操作パネル13と制御装置110との間のインターフェースである。
【0064】
内部バスI/F126は、PCIeI/F127と内部バス120との間のインターフェースである。内部バスI/F126は、PCIeバスマスタが指定するアドレスと画像メモリとの間で、外部メモリI/F124を経由して画像データを入出力する。
【0065】
PCIeI/F127は、PCIeバス134のプロトコルに準じてPCIeバスマスタとデータのやりとりを行う。
【0066】
画像出力用DMAC128及び画像処理部129は、内部バス120を介してCPU121や外部メモリI/F124等に接続される。画像出力用DMAC128は、PCIeI/F127にも接続される。
【0067】
画像出力用DMAC128は、印刷時のDMAコントローラとして機能する。つまり、画像出力用DMAC128は、CPU121により起動されると、予め指定された領域の外部メモリから画像データを読み出して、当該画像データをPCIeI/F127に出力する。この出力は、随時ハンドシェークのやりとりで行われる。
【0068】
画像処理部129は、読み取り画像の歪みを補正する。
【0069】
圧縮/伸長器130は、CPU121によって起動され、様々なデータの圧縮又は伸長を行う。圧縮/伸長器130は、省メモリ化のために使用される。
【0070】
<コンピュータのハードウェア構成>
本実施形態におけるプリントサーバ20及びユーザ端末30は、コンピュータにより実現される。図7は、プリントサーバ20又はユーザ端末30がコンピュータで実現される場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0071】
図7に示されているように、本実施形態におけるコンピュータは、CPU501、ROM502、RAM503、HD(Hard Disk)504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティング機器512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0072】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0073】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークN1を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図7に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0074】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティング機器512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0075】
<印刷システムの機能構成>
本実施形態における印刷システムの機能構成の一例について、図8及び図9を参照しながら説明する。
【0076】
≪機能構成の第1の例≫
図8は、本実施形態における印刷システムの機能構成の第1の例を示すブロック図である。第1の例における印刷システムは、オペレータが操作パネル13を操作することで印刷が行われるときの構成である。
【0077】
図8に示されているように、本実施形態における制御装置110は、ジョブ受付部111、印刷制御部112、環境情報取得部113、制御情報取得部114、除電制御部115及び制御情報記憶部116を備える。
【0078】
ジョブ受付部111、印刷制御部112、環境情報取得部113、制御情報取得部114、除電制御部115は、例えば、図6に示されているROM122からRAM123上に展開されたプログラムがCPU121及び通信系I/F125に実行させる処理によって実現される。制御情報記憶部116は、例えば、図6に示されているRAM123又は外部メモリI/F124に接続された外部メモリによって実現される。
【0079】
ジョブ受付部111は、オペレータにより操作パネル13で入力された印刷ジョブを受け付ける。本実施形態における印刷ジョブには、印刷データ及び印刷用紙に関する用紙情報が含まれる。印刷用紙は、ユーザにより指定されてもよいし、印刷装置10にセットされている印刷用紙から自動的に検知してもよい。
【0080】
印刷制御部112は、ジョブ受付部111により受け付けられた印刷ジョブに従って、印刷用紙に印刷データを印刷する。
【0081】
環境情報取得部113は、排紙される印刷済みの印刷用紙の周辺環境を示す環境情報を取得する。本実施形態における環境情報には、湿度センサ108により検出された雰囲気湿度に関する情報が含まれる。
【0082】
制御情報取得部114は、環境情報取得部113により取得された環境情報及び印刷ジョブに含まれる用紙情報に基づいて、印刷用紙を除電するための制御情報を制御情報記憶部116から取得する。本実施形態における制御情報には、印刷用紙に帯電させる電荷量が含まれる。
【0083】
制御情報記憶部116は、制御装置110が備えなくともよく、制御装置110とは異なる外部装置が備えてもよい。この場合、制御情報取得部114は、通信ネットワークN1を介して外部装置が備える制御情報記憶部116から制御情報を取得する。また、制御情報取得部114は、外部装置に記憶されている制御情報を、通信ネットワークN1を介して取得し、制御情報記憶部116に一時保存(キャッシュ)してもよい。
【0084】
除電制御部115は、制御情報取得部114により取得された制御情報に基づいて、除電装置106を制御する。具体的には、除電制御部115は、制御情報に含まれる電荷量を印刷用紙に与えるように、除電装置106を制御する。
【0085】
上述のように、除電装置106は、印刷用紙の印刷面側に位置する除電ローラに接続されており、当該除電ローラと対となる除電ローラは接地されている。したがって、除電制御部115は、印刷面側の除電ローラに逆電荷を与えるように除電装置106を制御する。
【0086】
制御情報記憶部116には、印刷用紙を除電するための制御情報が記憶されている。本実施形態における制御情報は、制御情報テーブルに格納されている。制御情報テーブルには、湿度の範囲と印刷用紙の種類の組合せごとに制御情報が格納されている。
【0087】
制御情報には、印刷用紙に帯電させる単位時間当たりの電荷量が含まれる。制御情報に含まれる電荷量は、異なる湿度と異なる種類の印刷用紙の組合せごとに、実験又は過去の印刷工場での実績や業界実績等で測定した静電気量に基づいて予め定められている。静電気量は複数の実験結果又は過去の印刷工場の実績や業界実績等の統計量(例えば、算術平均又は中央値等)であってもよい。制御情報は、新たな実験結果又は印刷工場の実績や業界実績等が得られたときに、それらに基づいて追加又は更新してもよい。
【0088】
≪機能構成の第2の例≫
図9は、本実施形態における印刷システムの機能構成の第2の例を示すブロック図である。第2の例における印刷システムは、オペレータがユーザ端末30を操作することで印刷が行われるときの構成である。
【0089】
図9に示されているように、本実施形態におけるプリントサーバ20は、ジョブ記憶部200及びジョブ送信部201を備える。本実施形態におけるユーザ端末30は、ジョブ入力部301を備える。
【0090】
ジョブ送信部201及びジョブ入力部301は、例えば、図7に示されているROM502からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501及びネットワークI/F509に実行させる処理によって実現される。
【0091】
ジョブ記憶部200は、例えば、図7に示されているHD504を用いて実現される。HD504が記憶するデータの読み込み又は書き込みは、例えば、HDDコントローラ505を介して行われる。
【0092】
ユーザ端末30のジョブ入力部301は、オペレータによる操作に応じて、印刷ジョブの入力を受け付ける。ジョブ入力部301は、受け付けた印刷ジョブをプリントサーバ20に送信する。
【0093】
プリントサーバ20のジョブ送信部201は、ユーザ端末30から受信した印刷ジョブをジョブ記憶部200に記憶する。ジョブ送信部201は、印刷装置10のジョブ実行状態を監視し、印刷ジョブを実行可能な状態となったとき、ジョブ記憶部200に記憶されている印刷ジョブの一つを印刷装置10に送信する。
【0094】
<印刷方法の処理手順>
本実施形態における印刷方法の処理手順について、図10を参照しながら説明する。図10は、本実施形態における印刷方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下では、オペレータが操作パネル13を操作することで印刷が行われるときの処理手順について説明する。
【0095】
ステップS1において、操作パネル13は、印刷システム1のオペレータによる操作に応じて、印刷ジョブの入力を受け付ける。次に、操作パネル13は、受け付けた印刷ジョブを制御装置110に送信する。
【0096】
制御装置110では、ジョブ受付部111が、操作パネル13から印刷ジョブを受信する。次に、ジョブ受付部111は、受信した印刷ジョブを受け付ける。ジョブ受付部111は、受け付けた印刷ジョブを印刷制御部112に送る。
【0097】
ステップS2において、制御装置110の印刷制御部112は、ジョブ受付部111から印刷ジョブを受け取る。次に、印刷制御部112は、受け取った印刷ジョブに従って、印刷用紙に印刷データを印刷する。印刷用紙の種類は、印刷ジョブに含まれる用紙情報で指定される。
【0098】
ステップS3において、制御装置110の環境情報取得部113は、排紙される印刷済みの印刷用紙周辺の雰囲気湿度を湿度センサ108から取得する。次に、環境情報取得部113は、取得した雰囲気湿度を含む環境情報を制御情報取得部114に送る。
【0099】
ステップS4において、制御装置110の制御情報取得部114は、環境情報取得部113から環境情報を受け取る。次に、制御情報取得部114は、ジョブ受付部111から用紙情報を受け取る。
【0100】
続いて、制御情報取得部114は、制御情報記憶部116に記憶された制御情報テーブルにおいて、環境情報に含まれる雰囲気湿度及び用紙情報に含まれる印刷用紙の種類により制御情報を特定する。次に、制御情報取得部114は、特定した制御情報を制御情報記憶部116から読み出す。そして、制御情報取得部114は、読み出した制御情報を除電制御部115に送る。
【0101】
≪制御情報テーブル≫
本実施形態における制御情報テーブルについて、図11を参照しながら説明する。図11は、本実施形態における制御情報テーブルの一例を示す概念図である。
【0102】
図11に示されているように、本実施形態における制御情報テーブルは、印刷用紙の種類(用紙名、サイズ・方向)と、雰囲気湿度の範囲(0%~5%、5%~10%・・・等)との組合せごとに、制御情報を格納している。図11に示した制御情報は、除電装置106が除電ローラ107に、単位時間当たりに与える電荷量(V)である。
【0103】
用紙名は、印刷用紙の種類を示す。印刷用紙の種類は、例えば、普通紙、上質紙、コート紙、マット紙、レザック、厚紙又は薄紙(薄さ)、OHP(Overhead projector)シート等が挙げられる。印刷用紙の種類は、一般に使用される名称に限らず、例えば、表面の滑らかさ等に基づいて定義してもよい。なお、表面の滑らかさは、印刷用紙同士の密着性に大きく影響する。
【0104】
ここで、単位時間当たりに与えるべき電荷量の傾向を説明する。印刷用紙の種類により、静電気が多く発生する印刷用紙と多く発生しない印刷用紙とがある。通常、印刷用紙の種類が同じであれば、雰囲気湿度が低いほど静電気は多く発生する。
【0105】
同じ種類の印刷用紙かつ同じ雰囲気湿度であっても、印刷用紙のサイズと印刷用紙の搬送方向によって、単位時間当たりに与えるべき電荷量は異なる。具体的には、除電ローラ107と印刷用紙との接触面積(言い替えると、印刷用紙の搬送方向と直交する辺の長さ)が長いほど単位時間当たりに与えるべき電荷量は多くなる。
【0106】
より具体的に説明すると、A4版の印刷用紙を横向きに印刷する「A4横」と、A4版の印刷用紙を縦向きに印刷する「A4縦」とを比較すると、「A4横」の方が単位時間当たりに与えるべき電荷量が多くなる。「A4横」では印刷用紙の長辺の長さで除電ローラ107と接し、「A4縦」では印刷用紙の短辺の長さで除電ローラ107と接する。そのため、「A4横」の方が除電ローラ107と印刷用紙との接触面積が広くなることが理由である。
【0107】
なお、除電装置106が単位時間当たりの電荷量を除電ローラ107に与え続ける継続時間は、印刷用紙が除電ローラ107の位置を通過している時間である。当該通過時間は、例えば、正常な印刷のために、オペレータが選択した印刷用紙ごとに、印刷用紙が搬送経路のセンサなど特定の場所を通過する時間を管理(例えば、2秒)する印刷装置10によれば算出することができる。
【0108】
図10に戻って説明する。ステップS5において、制御装置110の除電制御部115は、制御情報取得部114から制御情報を受け取る。次に、除電制御部115は、受け取った制御情報に含まれる電荷量を印刷用紙に与えるように、除電装置106を制御する。
【0109】
除電装置106は、除電制御部115からの制御に従って、指定された電荷量を除電ローラ107に与える。これにより、除電ローラ107により搬送されている印刷用紙が静電気と逆の電荷で帯電し、印刷用紙が適切に除電される。
【0110】
<第1実施形態の効果>
本実施形態における印刷装置10は、排紙される印刷用紙の周辺環境及び用紙情報に基づいて印刷用紙を除電するための制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて印刷用紙を除電するための除電装置を制御する。本実施形態における印刷装置10は、印刷済みの印刷用紙を適切に除電できるため、印刷済みの印刷用紙を除電のために留置する必要がない。したがって、本実施形態における印刷装置10によれば、印刷済みの印刷用紙を遅滞なく製本工程に進めることができる。
【0111】
本実施形態における印刷装置10は、周辺環境として湿度に関する情報を取得し、制御情報として印刷用紙に帯電させる電荷量を含む。したがって、本実施形態における印刷装置10によれば、印刷用紙の雰囲気湿度に応じて適切な電荷量を印刷用紙に与えることができる。
【0112】
本実施形態における印刷装置10は、湿度の範囲及び印刷用紙の種類に応じて電荷量が予め定められている。したがって、本実施形態における印刷装置10によれば、印刷用紙の雰囲気湿度及び印刷用紙の種類に応じて適切な電荷量を印刷用紙に与えることができる。
【0113】
[第2実施形態]
第1実施形態では、印刷用紙の周辺環境及び用紙情報に基づいて制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて除電装置を制御するように構成した。第2実施形態では、制御情報に含まれる電荷量が大きいとき、印刷用紙にとって適切な環境に調整するように構成する。
【0114】
印刷用紙に残存する静電気量は、印刷用紙の雰囲気湿度に大きく影響を受ける。そのため、雰囲気湿度が印刷用紙にとって適正な範囲から外れている場合、除電装置が消費する電力が大きくなる。このとき、雰囲気湿度を適正な範囲に調整することができれば、除電装置が消費する電力を低減することができる。
【0115】
<印刷システムの全体構成>
本実施形態における印刷システムの全体構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、本実施形態における印刷システムの全体構成の一例を示す概念図である。
【0116】
図12に示されているように、本実施形態における印刷システム1は、印刷装置10、プリントサーバ20、ユーザ端末30及び設備機器40を含む。すなわち、第1実施形態における印刷システム1と比較して、本実施形態では設備機器40が追加されている。
【0117】
設備機器40は、通信ネットワークN1に接続している。設備機器40は、通信ネットワークN1を介して、印刷装置10、プリントサーバ20及びユーザ端末30と相互に通信可能となるように構成されている。
【0118】
設備機器40は、印刷装置10が設置されている空間の環境を調整するための設備機器である。設備機器40は、例えば、図1に示した印刷エリア90に設置される。本実施形態における設備機器は、空間の湿度を上昇させる加湿機能を備える。本実施形態における設備機器の一例は、加湿器、加湿機能付き空気清浄機又は加湿機能付き空気調和機等である。
【0119】
<印刷システムの機能構成>
本実施形態における印刷システムの機能構成について、図13及び図14を参照しながら説明する。
【0120】
≪機能構成の第1の例≫
図13は、本実施形態における印刷システムの機能構成の第1の例を示すブロック図である。第1の例における印刷システムは、オペレータが操作パネル13を操作することで印刷が行われるときの構成である。
【0121】
図13に示されているように、本実施形態における制御装置110は、ジョブ受付部111、印刷制御部112、環境情報取得部113、制御情報取得部114、除電制御部115、制御情報記憶部116、調整指示部117及び通知出力部118を備える。すなわち、本実施形態における制御装置110は、第1実施形態における制御装置110と比較して、調整指示部117及び通知出力部118を備える点が異なる。
【0122】
調整指示部117は、制御情報取得部114により取得された制御情報に含まれる電荷量が予め定めた閾値より大きいとき、設備機器40に環境の調整を指示する信号を送信する。本実施形態における環境の調整とは、印刷装置10が設置された空間の湿度を、印刷用紙にとって適正な湿度の範囲となるように調整することである。
【0123】
通知出力部118は、制御情報取得部114により取得された制御情報に含まれる電荷量が予め定めた閾値より大きいとき、環境を調整すべき状態であることを示す警告等の通知メッセージを操作パネル13に送信する。
【0124】
なお、設備機器40と連携して環境の調整を行うか否かは設定可能とする。すなわち、設備機器40と連携する設定がされている場合、電荷量が閾値を超えたとき、調整指示部117が環境の調整を指示する信号を設備機器40に送信し、設備機器40が自動で環境の調整を行う。一方、設備機器40と連携する設定がされていない場合、電荷量が閾値を超えたとき、通知出力部118が通知メッセージを出力し、当該通知メッセージを確認したオペレータが手動で環境の調整を行う。
【0125】
≪機能構成の第2の例≫
図14は、本実施形態における印刷システムの機能構成の第2の例を示すブロック図である。第2の例における印刷システムは、オペレータがユーザ端末30を操作することで印刷が行われるときの構成である。
【0126】
図14に示されているように、本実施形態におけるプリントサーバ20は、ジョブ記憶部200、ジョブ送信部201及び通知送信部202を備える。すなわち、本実施形態におけるプリントサーバ20は、第1実施形態におけるプリントサーバ20と比較して、通知送信部202を備える点が異なる。
【0127】
本実施形態におけるユーザ端末30は、ジョブ入力部301及び通知表示部302を備える。すなわち、本実施形態におけるユーザ端末30は、第1実施形態におけるユーザ端末30と比較して、通知表示部302を備える点が異なる。
【0128】
プリントサーバ20の通知送信部202は、印刷装置10から受信した通知メッセージをユーザ端末30に送信する。
【0129】
ユーザ端末30の通知表示部302は、プリントサーバ20から受信した通知メッセージを表示するための通知画面をディスプレイ506に表示する。
【0130】
<印刷方法の処理手順>
本実施形態における印刷方法の処理手順について、図15を参照しながら説明する。図15は、本実施形態における印刷方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0131】
ステップS1からS5の処理は、第1実施形態と同様である。そのため、ここでは説明を省略する。
【0132】
ステップS6において、制御装置110は、ステップS4で読み出した制御情報に含まれる電荷量の絶対値が所定の閾値より大きいか否かを判定する。電荷量の絶対値が所定の閾値より大きい場合(YES)、制御装置110はステップS7に処理を進める。一方、電荷量の絶対値が所定の閾値以下である場合(NO)、制御装置110は処理を終了する。
【0133】
ステップS7において、制御装置110は、環境の調整を行うか否かを判定する。環境の調整を行うか否かは、設備機器40との連携を行う設定がされているか否かにより判定する。環境の調整を行う場合(YES)、制御装置110はステップS8に処理を進める。一方、環境の調整を行わない場合(NO)、制御装置110はステップS9に処理を進める。
【0134】
ステップS8において、制御装置110の調整指示部117は、設備機器40に環境の調整を指示する信号を送信する。環境の調整を指示する信号には、印刷用紙に応じた適正な湿度の範囲を示す情報が含まれる。なお、印刷用紙に応じた適正な湿度の範囲は、制御情報テーブルにおいて、電荷量が所定の閾値以下となる雰囲気湿度の範囲とすればよい。
【0135】
設備機器40は、印刷装置10から環境の調整を指示する信号を受信する。設備機器40は、受信した信号に含まれる適正な湿度の範囲を目標湿度として、加湿機能の運転を開始する。
【0136】
ステップS9において、制御装置110の通知出力部118は、環境を調整すべき状態であることを示す警告等の通知メッセージを操作パネル13に送信する。環境を調整すべき状態とは、例えば、印刷用紙の雰囲気湿度が印刷用紙にとって適正な範囲ではない状態である。
【0137】
操作パネル13は、制御装置110から通知メッセージを受信する。次に、操作パネル13は、受信した通知メッセージを示す通知画面をディスプレイに表示する。
【0138】
≪通知画面≫
本実施形態における通知画面について、図16を参照しながら説明する。図16は、本実施形態における通知画面の一例を示す図である。
【0139】
図16に示されているように、通知画面400は、環境を調整すべき状態であることを示す通知メッセージ401及びOKボタン402を有する。通知メッセージ401には、印刷用紙にとって適正な湿度ではないことを通知する内容、及び適正な湿度に調整することを提案する内容が含まれている。
【0140】
<第2実施形態の効果>
本実施形態における印刷装置10は、電荷量が所定の閾値より大きいとき、環境を調整すべき状態であることを示す警告等の通知メッセージをオペレータに対して出力する。したがって、本実施形態における印刷装置10によれば、オペレータが環境を調整すべき状態を容易に把握することができる。
【0141】
本実施形態における印刷装置10は、電荷量が所定の閾値より大きいとき、加湿機能を有する設備機器に環境の調整を指示する信号を出力する。したがって、本実施形態における印刷装置10によれば、印刷用紙にとって適切な湿度に自動的に調整することができる。
【0142】
本実施形態における印刷装置10によって、印刷用紙の周辺環境が適切な状態に調整されると、除電装置106が消費する電力を低減することができる。消費電力が低減すれば、システムの負荷、電気料金、環境負荷等を改善することやSDGs等への貢献に繋がる。
【0143】
[補足]
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
[1] 印刷媒体が指定又は検知された印刷ジョブを受け付ける受付部と、
前記印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記環境情報及び前記印刷媒体に関する媒体情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための除電装置を制御する除電制御部と、
を備える印刷装置。
[2] 上記[1]に記載の印刷装置であって、
前記制御情報取得部は、複数の前記印刷媒体に関する前記制御情報を記憶する記憶部から、指定又は検知された前記印刷媒体に関する前記制御情報を取得する、
印刷装置。
[3] 上記[1]又は上記[2]に記載の印刷装置であって、
前記環境情報は、湿度に関する情報を含む、
印刷装置。
[4] 上記[3]に記載の印刷装置であって、
前記制御情報は、前記印刷媒体に帯電させる電荷量を含む、
印刷装置。
[5] 上記[4]に記載の印刷装置であって、
前記制御情報は、前記湿度の範囲及び前記印刷媒体の種類に応じて予め定められている、
印刷装置。
[6] 上記[4]又は上記[5]に記載の印刷装置であって、
前記除電制御部は、前記印刷媒体を搬送するローラに前記電荷量を与えるように前記除電装置を制御する、
印刷装置。
[7] 上記[4]から上記[6]のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記電荷量が大きいとき、環境を調整すべき旨を示す通知を出力する通知出力部をさらに備える、
印刷装置。
[8] 上記[4]から上記[6]のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記電荷量が大きいとき、外部装置に環境の調整を指示する信号を出力する調整指示部をさらに備える、
印刷装置。
[9] 上記[8]に記載の印刷装置であって、
前記外部装置は、加湿機能を有する設備機器である、
印刷装置。
[10] 利用者が操作する利用者端末と印刷装置とがネットワークを介して通信可能な印刷システムであって、
前記利用者端末は、
指定又は検知された印刷媒体に関する媒体情報及び印刷データを含む印刷ジョブを前記印刷装置に送信するジョブ入力部を備え、
前記印刷装置は、
前記利用者端末から受信した前記印刷ジョブに従って前記印刷媒体に前記印刷データを印刷する印刷制御部と、
前記印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記環境情報及び前記媒体情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための制御情報を取得する制御情報取得部と、
前記制御情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための除電装置を制御する除電制御部と、
を備える印刷システム。
[11] 印刷装置が、
印刷媒体が指定又は検知された印刷ジョブを受け付ける手順と、
前記印刷媒体用紙の環境を示す環境情報を取得する手順と、
前記環境情報及び前記印刷媒体に関する媒体情報に基づいて前記印刷用紙を除電するための制御情報を取得する手順と、
前記制御情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための除電装置を制御する手順と、
を実行する印刷方法。
[12] 上記[11]に記載の印刷方法であって、
前記制御情報を取得する手順は、複数の前記印刷媒体に関する前記制御情報を記憶する記憶部から、指定又は検知された前記印刷媒体に関する前記制御情報を取得する、
印刷方法。
[13] 上記[11]又は上記[12]に記載の印刷方法であって、
前記環境情報は、湿度に関する情報を含む、
印刷方法。
[14] 上記[13]に記載の印刷方法であって、
前記制御情報は、前記印刷媒体に帯電させる電荷量を含む、
印刷方法。
[15] 上記[14]に記載の印刷方法であって、
前記制御情報は、前記湿度の範囲及び前記印刷媒体の種類に応じて予め定められている、
印刷方法。
[16] 上記[14]又は上記[15]に記載の印刷方法であって、
前記制御する手順は、前記印刷媒体を搬送するローラに前記電荷量を与えるように前記除電装置を制御する、
印刷方法。
[17] 上記[14]から上記[16]のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記電荷量が大きいとき、環境を調整すべき旨を示す通知を出力する手順をさらに実行する、
印刷方法。
[18] 上記[14]から上記[16]のいずれかに記載の印刷方法であって、
前記電荷量が大きいとき、外部装置に環境の調整を指示する信号を出力する手順をさらに実行する、
印刷方法。
[19] 上記[18]に記載の印刷方法であって、
前記外部装置は、加湿機能を有する設備機器である、
印刷方法。
[20] コンピュータに、
印刷媒体が指定又は検知された印刷ジョブを受け付ける手順と、
前記印刷媒体の環境を示す環境情報を取得する手順と、
前記環境情報及び前記印刷媒体に関する媒体情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための制御情報を取得する手順と、
前記制御情報に基づいて前記印刷媒体を除電するための除電装置を制御する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【0144】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等の機器を含むものとする。
【0145】
実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、プリントサーバ20は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0146】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 印刷システム
10 印刷装置
11 給紙ユニット
12 排紙ユニット
13 操作パネル
20 プリントサーバ
30 ユーザ端末
40 設備機器
101 書込みユニット
102 作像ユニット
103 中間転写ベルト
104 二次転写部
105 定着部
106 除電装置
107 除電ローラ
108 湿度センサ
110 制御装置
111 ジョブ受付部
112 印刷制御部
113 環境情報取得部
114 制御情報取得部
115 除電制御部
116 制御情報記憶部
117 調整指示部
118 通知出力部
200 ジョブ記憶部
201 ジョブ送信部
202 通知送信部
301 ジョブ入力部
302 通知表示部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0148】
【特許文献1】特開平11-102093号公報
図1
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