(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077445
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】出力機器、出力システム、出力方法、プログラム、端末装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240531BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240531BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B41J29/38 206
B65H37/04 D
B41J29/38 202
G06F3/12 310
G06F3/12 353
G06F3/12 364
G06F3/12 382
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189545
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】葛西 正
【テーマコード(参考)】
2C061
3F108
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HK05
2C061HN06
2C061HN15
2C061HN18
3F108HA02
3F108HA32
3F108HA44
(57)【要約】
【課題】後処理装置の耐久性の低下を抑制する技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、出力物に後処理を行うための後処理装置を有する出力機器であって、前記出力物の出力条件に応じて決定された、前記後処理装置の稼働に対応する処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを受信する通信部と、前記処理設定パターンと前記出力条件に基づいて前記後処理装置を用いた前記画像データの出力制御を行う出力制御部と、を有する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力物に後処理を行うための後処理装置を有する出力機器であって、
前記出力物の出力条件に応じて決定された、前記後処理装置の稼働に対応する処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを受信する通信部と、
前記処理設定パターンと前記出力条件に基づいて前記後処理装置を用いた前記画像データの出力制御を行う出力制御部と、
を有する出力機器。
【請求項2】
前記処理設定パターンは、前記出力条件において前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている場合に、前記後処理装置の稼働量を、稼働量を低減する前記設定がされていない場合よりも低減する印刷設定のパターン、又は、
前記処理設定パターンは、前記出力条件において前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない場合に、前記後処理装置の稼働量を、稼働量を低減しない前記設定がされている場合よりも低減する印刷設定のパターンであることを特徴とする請求項1に記載の出力機器。
【請求項3】
前記処理設定パターンは、出力する前記画像データの回転、排紙時のおもて面が上か否か、又は、原稿方向が横か縦かを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力機器。
【請求項4】
前記出力条件は、給紙方向、印刷面を両面若しくは片面のどちらにするか、又は、前記後処理装置が出力物に処理する際の位置を含むことを特徴とする請求項1に記載の出力機器。
【請求項5】
前記後処理装置は、ステープラであり、
前記出力条件は、ステープラにより長辺を綴じるか又は短辺を綴じるかを含むことを特徴とする請求項4に記載の出力機器。
【請求項6】
前記出力条件が、給紙方向、印刷面を両面若しくは片面のどちらにするか、及び、前記ステープラが長辺を綴じるか短辺を綴じるか、に応じて、
前記処理設定パターンが有する、出力する前記画像データの回転、排紙時のおもて面が上か否か、及び、原稿方向が横か縦かが決定されていることを特徴とする請求項5に記載の出力機器。
【請求項7】
前記出力条件が、横方向給紙、片面印刷、及び、ステープル位置が右上の場合、
前記処理設定パターンは、出力する画像データを180度回転、及び、排紙時のおもて面を上であることを特徴とする請求項5に記載の出力機器。
【請求項8】
前記出力条件が、横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上、及び、短辺綴じの場合、
前記処理設定パターンは、両面の画像データを180度回転、及び、排紙時のおもて面を上であることを特徴とする請求項5に記載の出力機器。
【請求項9】
プリンタドライバを実行する端末装置と、前記プリンタドライバから受信した画像データを出力する出力機器とを有する出力システムであって、
前記プリンタドライバは前記端末装置を、
所定の画面に対し出力物の出力条件を受け付ける設定受付部と、
前記出力条件に応じて後処理装置の稼働に対応する処理設定パターンを決定する設定変更部と、
前記処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを前記出力機器に送信する第一の通信部、として機能させ、
前記出力機器は、
出力物に後処理を行うための後処理装置と、
前記処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを受信する第二の通信部と、
前記処理設定パターンと前記出力条件に基づいて前記後処理装置を用いた前記画像データの出力制御を行う出力制御部と、
を有する出力システム。
【請求項10】
前記後処理装置は、ステープラであり、
前記出力条件にステープル処理が含まれている場合、前記設定変更部が、前記処理設定パターンを決定することを特徴とする請求項9に記載の出力システム。
【請求項11】
前記出力条件に前記後処理装置の稼働量を低減する設定が含まれている場合、又は、前記出力条件に前記後処理装置の稼働量を低減しない設定が含まれていない場合、前記設定変更部が、前記処理設定パターンを決定することを特徴とする請求項10に記載の出力システム。
【請求項12】
前記設定受付部が、前記所定の画面において前記後処理装置の稼働量を低減する設定を受け付けた場合、又は、前記所定の画面において前記後処理装置の稼働量を低減しない設定を受け付けない場合、
前記処理設定パターンに含まれる前記出力条件の設定を受け付けられない態様で該出力条件を前記所定の画面に表示することを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の出力システム。
【請求項13】
前記出力機器は、前記出力条件に対応付けて前記後処理装置の稼働量を記憶しており、
前記プリンタドライバは前記端末装置を、
前記出力条件に対応付けられた、前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている場合又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない場合の前記後処理装置の稼働量を用いて、前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている場合又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない場合の前記後処理装置の稼働量を推定する耐久性予測部と、
前記出力機器から取得した前記後処理装置の稼働量と、前記耐久性予測部が推定した前記後処理装置の稼働量を表示する表示部、として機能させることを特徴とする請求項9に記載の出力システム。
【請求項14】
前記出力機器は、前記出力条件に対応付けて前記後処理装置の稼働量を記憶しており、
前記プリンタドライバは前記端末装置を、
前記画像データを出力したジョブ数に対応付けて、
前記出力機器から取得した過去の前記後処理装置の稼働量を累積した第一のラインと、
ジョブ数と前記後処理装置の稼働量の変化の標準的な関係を示す第二のラインと、
前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている場合又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない場合に予測される、ジョブ数と前記後処理装置の稼働量の変化の関係を示す第三のラインと、を表示する表示部として機能させることを特徴とする請求項9に記載の出力システム。
【請求項15】
前記表示部は、前記出力機器から取得した前記後処理装置の稼働量が予め設定された閾値を超えた場合、前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている設定又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない設定にすることを推奨するメッセージを表示することを特徴とする請求項13に記載の出力システム。
【請求項16】
前記設定受付部は、前記出力機器から取得した前記後処理装置の稼働量が予め設定された閾値を超えた場合、前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている状態又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない状態を初期設定にすることを特徴とする請求項13に記載の出力システム。
【請求項17】
出力物に後処理を行うための後処理装置を有する出力機器が行う出力方法であって、
前記出力物の出力条件に応じて決定された、前記後処理装置の稼働に対応する処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを通信部が受信するステップと、
出力制御部が、前記処理設定パターンと前記出力条件に基づいて前記画像データの出力制御を行うステップと、
を有する出力方法。
【請求項18】
端末装置から受信した印刷ジョブを後処理装置を用いてた実行する出力機器と、ネットワークを介して通信可能な端末装置を、
所定の画面に対し出力物の出力条件を受け付ける設定受付部と、
前記出力条件に応じて後処理装置の稼働に対応する処理設定パターンを決定する設定変更部と、
前記処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを前記出力機器に送信する通信部、として機能させるプログラム。
【請求項19】
端末装置から受信した印刷ジョブを後処理装置を用いて実行する出力機器と、ネットワークを介して通信可能な端末装置であって、
所定の画面に対し出力物の出力条件を受け付ける設定受付部と、
前記出力条件に応じて後処理装置の稼働に対応する処理設定パターンを決定する設定変更部と、
前記処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを前記出力機器に送信する通信部と、
を有する端末装置。
【請求項20】
プリンタドライバを実行する端末装置と、前記プリンタドライバから受信した画像データを出力する出力機器とを有する出力システムが行う出力方法であって、
前記端末装置が、
所定の画面に対し出力物の出力条件を受け付ける処理と、
前記出力条件に応じて後処理装置の稼働に対応する処理設定パターンを決定する処理と、
前記処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを前記出力機器に送信する処理と、を行い、
出力物に後処理を行うための後処理装置を有する前記出力機器が、
前記処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを受信する処理と、
前記処理設定パターンと前記出力条件に基づいて前記後処理装置を用いた前記画像データの出力制御を行う処理と、を行う出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力機器、出力システム、出力方法、プログラム、及び、端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データが印刷された用紙などの出力物を出力する出力機器は、出力物を綴じるステープラなどの後処理装置を備えたものがある。ステープラは、各種の機械的な動作を伴うため、所定の耐久性を満たすように設計されている。しかし、ユーザーが規定枚数以上の出力物に対しステープルを実行することなどにより、設計されている耐久性を低下させてしまう場合がある。
【0003】
ステープラの耐久性に影響を与えるような使い方を制限する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、ステープル設定された印刷ジョブの印刷枚数が規定枚数以上の場合にステープル設定を解除する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、後処理装置の稼働により耐久性が低下することを抑制するものではないという問題がある。例えば、ユーザーが、右上、左上、長辺綴じ又は短辺綴じなど任意のステープル位置を設定できるように、ステープラは指定された用紙上のステープル位置まで移動して出力物を綴じる動作を行う。このため、ユーザーが、ステープラの稼働量が大きくなるようなステープル位置を多用すると、設計されている耐久性を低下させてしまう場合がある。
【0005】
また、従来技術のように、後処理機能の使用を一律に制限すると、ユーザーの利便性を損なう場合もある。例えば、ユーザーによっては一時的に、規定枚数以上のステープルを行わざるを得ない場合もあり、必ずしも耐久性を考慮した機能制限を望まないユーザーもいる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、後処理装置の耐久性の低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、出力物に後処理を行うための後処理装置を有する出力機器であって、前記出力物の出力条件に応じて決定された、前記後処理装置の稼働に対応する処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを受信する通信部と、前記処理設定パターンと前記出力条件に基づいて前記後処理装置を用いた前記画像データの出力制御を行う出力制御部と、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
後処理装置の耐久性の低下を抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1B】画像形成装置の一構成例を示す概略構成図である。
【
図2】画像形成システムを構成する後処理装置の内部及びその周辺の一構成例を示す概略構成図である。
【
図3】後処理装置のステープルモードにおける用紙受入れ・整合処理の一例を示す説明図である。
【
図4】後処理装置の綴じ手段としてのステープラを移動させる移動手段の一例を示す説明図である。
【
図5】後処理装置のステープラの移動制御を行う制御系の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】ステープラを綴じ位置まで位置移動速度V1及び基準速度V2でそれぞれ移動させたときのステープラの挙動について示す説明図である。
【
図7】出力システムの構成を示す一例のブロック図である。
【
図8】端末装置の一例のハードウェア構成を示す図である。
【
図9】画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。
【
図10】プリンタドライバの機能構成と出力機器の機能構成とを示す一例のブロック図である。
【
図11A】処理設定パターン記憶部に記憶されている一例の処理設定パターンを示す図である。
【
図11B】処理設定パターン記憶部に記憶されている一例の処理設定パターンを示す図である。
【
図12】最小稼働量記憶部に保存されている一例の最小稼働量を示す図である。
【
図13】印刷ジョブ記憶部に記憶されている一例の印刷ジョブ情報を示す図である。
【
図14】プリンタドライバが表示する一例の印刷設定画面を示す図である。
【
図15】端末装置と出力機器が通信して印刷ジョブを実行する処理を説明する一例のシーケンス図である。
【
図16】横方向給紙、ステープル位置が右上と左下の場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図17】縦方向給紙、ステープル位置が右上と左下の場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図18A】設定変更部が
図16、
図17の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図18B】設定変更部が
図16、
図17の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図19A】横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上で短辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図19B】横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上で長辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図20A】設定変更部が
図19の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図20B】設定変更部が
図19の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図21A】横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上で、短辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図21B】横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上で、長辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図22A】設定変更部が
図21の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明するフローチャート図である。
【
図22B】設定変更部が
図21の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明するフローチャート図である。
【
図23A】縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上で、長辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図23B】縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上で、短辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図24A】設定変更部が
図23の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図24B】設定変更部が
図23の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図25A】縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上で長辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図25B】縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上で短辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。
【
図26A】設定変更部が
図25の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図26B】設定変更部が
図25の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図27】ステープラの稼働状況と耐久性の対応を可視化した一例の耐久性予測画面を示す図である。
【
図28】印刷ジョブ数に対する、「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの場合の稼働量と実際の稼働量を比較した一例の稼働量比較画面を示す図である。
【
図29】端末装置が耐久性予測画面又は稼働量比較画面を表示する処理を説明する一例のシーケンス図である。
【
図30】出力機器とサーバー装置がネットワークを介して接続されたネットワークシステムの一例のシステム構成図を示す図である。
【
図31】管理者端末が出力機器の「ステープラ稼働最小モード」の設定においてオンを初期設定とする処理を説明する一例のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、出力機器と出力機器が行う出力方法について図面を参照しながら説明する。
【0011】
<ステープラに関する補足>
世界的に見ると、ユーザーによる出力機器の使い方は様々であり、無理に本来の仕様を超えるような厚みの用紙や、規定枚数を超える出力物をステープル処理してしまう場合がある。また、ユーザーが、ステープラの稼働量が大きくなるようなステープル位置を多用する場合がある。このような適切でない使い方はステープラの耐久性を低下させるおそれがある。すなわち、出力機器自体はそのような仕様を超える多少無理なステープル処理でも実行可能だが、耐久性に影響を与えてしまう。ユーザーが適切でない使い方をしたため耐久性が低下しても、想定より早く故障が生じれば出力機器に対する不満などにつながってしまう。
【0012】
そこで、適切でない使い方をするユーザーに対応するために、a.ステープラ自体の耐久性を上げたり、b.使用時に(又は使用にあたっての)警告のガイダンスを出したり、c.適切でない使い方の上限を設定したりするなどの対応が考えられる。
【0013】
しかし、a.の対応方法はコスト増になるし、そこまでのスペックを求めていないユーザーも多い。b.やc.の対応方法は、一時的にせよ一律的な制限を設けることになる。よって、b.やc.の対応方法は年に数回とか数年に一回だけそのような使い方をせざるを得ないユーザーとしては好ましくない。
【0014】
<本実施形態の処理の態様>
そこで、本実施形態では、現状の耐久性を大きく変えることなく、例えばプリンタドライバが、ステープラへの負荷が最小限になるように自動的に印刷設定を変更する。つまり、プリンタドライバは、ステープラの可動域が最小化するように排紙時におもて面の方向(上又は下)を変更したり、画像データを回転したりする印刷設定に変更する。これにより、出力機器10が、ステープル処理を伴い印刷ジョブを実行する際のステープラの負荷を低減できる。また、こうすることで、ユーザーに一律的な制限を強いることなく、ステープラの耐久性が低下することを抑制できる。
【0015】
<用語について>
出力物とは、出力機器が出力する媒体である。本実施形態では、出力物は、例えば用紙、フィルム等のシート材である。出力物には画像データが印刷される場合がある。
【0016】
後処理装置は、出力物に何らかの後処理を行う装置である。後処理には、ステープル処理、パンチ処理、製本処理などがある。
【0017】
処理装置の稼働量は、後処理装置がその機能を発揮するために動いた量である。したがって、稼働量は、平行移動、回転、処理回数、及び1回の稼働時の負荷、の1つ以上を任意に含んでよい。このような処理装置の稼働量は、ステープル等の上記後処理装置の耐久性に影響し、当該稼働量が多くなるほど、故障や交換等の要因(時期が短くなってしまう又は発生確率を高めてしまう)となり得る。
【0018】
出力条件は、出力物をどのように出力するかを定める設定である。出力条件はユーザーが設定する場合も初期値が決まっている場合もある。出力条件は、印刷装置の場合は印刷設定という。本実施形態では、出力条件は、処理設定パターンを決定する項目を含む。
【0019】
処理設定パターンは、後処理装置の稼働量が少なくなる印刷設定である。処理設定パターンは出力条件に応じて決定される。後処理装置の稼働に対応するとは、処理設定パターンが後処理装置を所定の設定で稼働させることをいう。
【0020】
<ステープラの構造>
まず、
図1A~
図6を参照し、ステープラの構造について説明する。
図1Aは、画像形成システムの外観図である。
図1Aにおいて枠線99で囲まれた部分が後処理装置9であり、枠線98で囲まれた部分が画像形成装置8である。以下、画像形成装置8と後処理装置9について詳細に説明する。以下の図は、あくまでステープラの説明のための一例に過ぎない。
図1Bは、画像形成装置8の概略構成図である。画像形成装置8は、中間転写体を用いた間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置8のほぼ中央部には、トナー像形成手段としての作像部110が配置されている。作像部110は、所定方向に並ぶように配置された4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の作像ステーション111Y,111M,111C,111K(以下、適宜、添え字Y,M,C,Kを省略する。)を有する。また、画像形成装置8は、作像部110の下方に設けられた記録媒体供給手段としての給紙部120と、給紙部120でピックアップされた記録媒体としての用紙を2次転写部140及び定着部150に搬送する給紙搬送路(縦搬送路)130とを備えている。更に、画像形成装置8は、画像(トナー像)が定着された用紙を後処理装置9側に搬送する分岐排紙経路160と、第一面(表面)に画像が形成された用紙を反転して第二面(裏面)に画像形成させるための両面搬送路170とを備えている。
【0021】
作像部110は、作像ステーション111のYMCK各色用の像担持体としての感光体ドラムを備えている。各感光体ドラムの周囲には、その外周に沿って、帯電手段としての帯電ユニットと、現像手段としての現像ユニットと、1次転写ユニットと、クリーニングユニットと、除電手段としての除電ユニットとを備えている。また、作像部110は、露光手段である光書き込みユニットと、中間転写体としての中間転写ベルト112とを備えている。光書き込みユニットは、各作像ステーション111の下側に配置され、各色ごとに、画像データに基づいて各感光体ドラムに光を照射して静電潜像を形成する。中間転写ベルト112は、作像ステーション111の上側に配置され、各感光体ドラムに形成された画像(トナー像)が1次転写ユニットによって転写される。
【0022】
中間転写ベルト112は複数の支持ローラによって回転可能に支持されている。その複数の支持ローラのうちの1つの支持ローラ114は、2次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写ローラ115と対向している。この2次転写部140で、中間転写ベルト112上の画像(トナー像)が用紙に2次転写される。中間転写ベルト112の上方には、交換可能なトナー収容容器116が配置されている。
【0023】
なお、上記構成の画像形成装置(間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置)の画像形成プロセスは公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0024】
定着部150で定着処理された定着済みの用紙は、搬送ローラ162で搬送され、その搬送方向が搬送路切り換え部材161により切り換えられる。これにより、定着済みの用紙は、分岐排紙経路160又は両面搬送路170に搬送される。
【0025】
図2は、本実施形態の画像形成システムを構成する後処理装置9の内部及びその周辺の一構成例を示す概略構成図である。後処理装置9は、用紙搬送方向上流側から、入口ローラ対201と排紙搬送路202とシフト排紙ローラ対204とステープルトレイ219とを備える。更に、後処理装置9は、用紙搬送方向下流側に向けて、叩きコロ211と後端基準フェンス220とジョガーフェンス212と排紙ローラ206と排紙ガイド板205と排紙トレイ203とを備える。すなわち、後処理装置9の用紙受入れ部には、画像形成装置8の分岐排紙経路160から用紙を受入れる入口ローラ対201が設けられている。入口ローラ対201で受入れた用紙は、排紙搬送路202を介してシフト排紙ローラ対204側に搬送される。シフト排紙ローラ対204は、排紙トレイ203に用紙をシフトして排紙する機能を有する。入口ローラ対201及びシフト排紙ローラ対204は、駆動源としてのステッピングモータからなる入口モータ216によって回転駆動される。これにより、排紙搬送路202に沿って用紙が搬送される。
【0026】
また、排紙搬送路202には、用紙検知手段としての入口センサ207が配置されている。この入口センサ207により、排紙搬送路202に沿って搬送される用紙の先端と後端とが検知される。この用紙の先端及び後端の検知タイミングと、ステッピングモータからなる入口モータ216及び後述の排紙モータ217の駆動ステップ数とにより、各用紙処理を行う際のタイミングが制御されている。
【0027】
ステープルトレイ219の排紙ローラ206側の端部には、用紙の詰まり(ジャム)を検知する用紙詰まり検知手段としてのジャムセンサ210が設けられている。また、ステープルトレイ219の後端基準フェンス220側の端部には、処理対象の用紙を検知する用紙センサ213が設けられている。また、ステープルトレイ219と後端基準フェンス220との間には、処理対象の用紙の搬送方向における整合性を保つ戻しコロ214が設けられている。
【0028】
叩きコロ211は、図中の実線の位置と破線の位置との間で上下動可能に設けられ、駆動源としての排紙モータ217の駆動力により所定のタイミングで回転駆動される。
【0029】
排紙トレイ203は、用紙排出方向下流側の固定部208aと、用紙処理装置本体側の可動部208bとを有する。可動部208bは、駆動源としてのDCモータ221aによって回転駆動されるカム221に連結され、揺動軸221cを中心に揺動するように制御可能になっている。例えば排紙方向後端部(図中の右側の端部)に綴じ処理した用紙束が複数排紙される場合、その用紙束の排紙方向後端部が嵩張って上方の反るおそれがある。
その場合は、DCモータ221aを駆動することにより、可動部208bの用紙処理装置本体側を下げるように、揺動軸221cを中心に時計方向に揺動させる。これにより、排紙方向後端部に綴じ処理した用紙束を複数排紙する場合でも、その用紙束の最上面が上方に反るのを防止できる。また、可動部208b上に排紙される用紙束の用紙処理装置本体側の排紙方向後端部は、ソレノイド218で揺動可能な押えレバー209の先端部で押さえることができる。
【0030】
上記構成の後処理装置9は、画像形成装置8の本体制御部から通知される通紙モードに基づいて、用紙に対して綴じ処理などの所定の処理を施し、排紙トレイ203に用紙を排紙する。なお、本実施形態における「通紙モード」としては、用紙を搬送方向と直交する方向に仕分けして排紙するシフトモードと、複数枚の用紙を綴じて排紙するステープルモードとがあるが、これらのモードに限定されるものではない。
【0031】
図3(a)~(d)は後処理装置9のステープルモードにおける用紙受入れ・整合処理の一例を示す説明図である。
【0032】
図3(a)はステープルモードで使用するステープルトレイ219、ステープラ263及びその周辺の主要な構成と、用紙受入・整合処理の動作とを示したものである。ここで、「ステープルモード」は、用紙を排紙する際に所定枚数毎に綴じ処理手段としてのステープラ263によって綴じ、綴じた用紙束を排紙するモードである。
【0033】
前述の
図2で示した排紙搬送路202の最下流に設けられたシフト排紙ローラ対204と、排紙トレイ203に排紙する直前に設けられた排紙ガイド板との間には、叩きコロ211が配置されている。叩きコロ211は例えばステッピングモータからなる排紙モータ217により上下方向に駆動される。より詳しくは、叩きコロ211は、上下動するレバー部分とコロ部分とからなり、コロ部分は排紙モータ217により用紙搬送方向(図中の左方向である排紙方向)とは逆方向に用紙を搬送するように回転駆動される。
【0034】
用紙受入れ時は、
図3(b)に示すように、予めステープラ263を待機位置に移動させ、ジョガーフェンス212を用紙受入れ位置に退避させておき、画像形成装置8から用紙Pを受入れる。用紙後端がシフト排紙ローラ対204を通過したタイミングで叩きコロ211を下降させ、叩きコロ211のコロ部分で用紙Pをステープルトレイ219に押し付ける。更に、叩きコロ211のコロ部分を回転させ、用紙Pの後端の端面e1が後端基準フェンス220に突き当たるまでスイッチバックさせる。ここで、叩きコロ211のコロ部分の回転駆動は、排紙モータ217によって行われ、排紙ローラ206と同一駆動である。
【0035】
ジョガーフェンス212は、用紙Pのスイッチバックが完了するまで、搬送中及びスイッチバック中の用紙と接触しない位置で待機している。そして、用紙Pのスイッチバックが完了すると、叩きコロ211を上昇させ、ジョガーフェンス212を
図3(c)のように用紙幅方向に移動させる。これにより、ジョガーフェンス212の側面が用紙Pの端面e2、e3に当接して用紙Pを基準位置に揃えて整合させることができる。
【0036】
戻しコロ214は、そのローラ軸214aの外周にスポンジ部材214bを設けたスポンジコロである。戻しコロ214は入口モータ216により回転駆動され、ステープルトレイ219上にスタックされた用紙Pに当接し、後端基準フェンス220側への搬送力を与えることで、用紙Pの搬送方向の整合性を保つ。
【0037】
用紙Pの整合が完了すると、
図3(d)に示すように、ジョガーフェンス212は次用紙の受入れに備えて用紙と接触しない位置まで退避する。
【0038】
以降、整合・退避を繰り返し、指定枚数の用紙の搬送動作、スイッチバック動作、及び整合処理が完了した後、ステープラ263によって綴じ処理される。
【0039】
図4は、後処理装置9の綴じ手段としてのステープラ263を移動させる移動手段の一例を示す説明図である。ステープラ263は、正逆転可能なステープラ移動モータ271によりタイミングベルト272を介して駆動される。この駆動により、ステープラ263は、用紙Pの端面e1の1箇所もしくは複数箇所(一般には2箇所)を綴じるため、ガイド軸275に沿って用紙幅方向に移動可能に構成される。ステープラ移動モータ271及びタイミングベルト272がステープラ263の移動手段として機能し、ステープラ263は少なくとも後端基準フェンス220によって支持される端面e1の全幅に渡って移動可能となっている。ここで、ステープラ263の一部に設けられた被ガイド部263Bは、例えばガイド軸275に沿ってスライドするように構成されている。この被ガイド部263Bを間にしたステープラ263の両端部のうち、タイミングベルト272側の一方の端部側に設けられた被駆動部263Aが、タイミングベルト272に固定されている。そして、ステープラ263のもう一方の端部側に、後述の被検知部としてのセンサフィラー274が設けられている。
【0040】
ステープラ263の移動範囲の一端部側(図中の左側)には、ステープラ263の待機位置(ホームポジション)を検知する待機位置検知手段としてのステープラホームポジションセンサ(以下、「ステープラHPセンサ」という。)273が設けられている。また、ステープラ263には、ステープラHPセンサ273で検知される被検知部としてのセンサフィラー274が設けられている。ステープラHPセンサ273がステープラ263のセンサフィラー274を検知することにより、ステープラ263の待機位置(ホームポジション)を検出することができる。用紙Pの幅方向における所定の綴じ位置へステープラ263を移動させる制御は、センサフィラー274がステープラHPセンサ273の検知部を抜けた時点を基準にして行われる。すなわち、ステープラ263が動き始めた後にステープラHPセンサ273によってステープラ263のセンサフィラー274が検知されなくなった時点を基準にして行われる。つまり、センサフィラー274がステープラHPセンサ273の検知部を抜けてからステープラ263を所定の目標移動量だけ移動させるように制御する。いいかえると、ステープラ263が動き始めた後にステープラHPセンサ273によってステープラ263のセンサフィラー274が検知されなくなってから、ステープラ263を所定の目標移動量だけ移動させるように制御する。以上のようにステープラ263の移動を制御することにより、待機位置のステープラ263を、用紙Pの幅方向における所定の綴じ位置へ移動させることができる。
【0041】
図5は、本実施形態の後処理装置9のステープラ263の移動制御を行う制御系の要部構成の一例を示すブロック図である。後処理装置9は、制御手段として、CPU401、ROM402、RAM403、シリアルI/F404などを内蔵した制御手段としての制御部400を備えている。制御のためのプログラムコードはROM402に格納される。CPU401はプログラムコードをRAM403に展開し、制御に必要なデータをRAM403に記憶し、RAM403をワークエリアとして使用しながら前記プログラムコードによって定義される制御を実行する。これにより、ステープラ263の移動を制御することができる。
【0042】
画像形成装置8と後処理装置9とは、シリアルI/F404を介して互いに通信できるように制御される。この通信制御により、画像形成装置8から通紙される用紙サイズ情報や後処理装置9の動作完了通知など、用紙処理に必要なコマンドをやり取りする。
【0043】
なお、本実施形態では、ステープラ263を綴じ処理時の所定の移動速度(以下「綴じ位置移動速度」という。)V1で移動させたときの移動量を記憶する第一の記憶部としては、例えばRAM403が用いられる。また、ステープラ263を綴じ位置移動速度V1よりも低い後述の基準速度V2で移動させたときの移動量を記憶する第二の記憶部についても、例えばRAM403が用いられる。すなわち、ステープラ263を綴じ位置移動速度V1で移動させたときの移動量及び基準速度V2で移動させたときの移動量それぞれは、RAM403に設定された所定の記憶領域に記憶することができる。なお、上記移動量を記憶する記憶手段として、RAM403のほか、制御部400に設けられた他の内蔵メモリ、着脱自在のメモリカードやUSBメモリなどの外部記憶媒体、又は、磁気ディスクや光ディスクなどの外部記憶装置などが用いられてもよい。また、CPU401は、上記RAMなどの第一の記憶部及び第二の記憶部に記憶された移動量を比較する比較手段としても機能する。
【0044】
図6(a)~(g)はステープラ263を綴じ位置移動速度V1及び基準速度V2でそれぞれ移動させたときのステープラ263の挙動について示す説明図である。
【0045】
まず、ステープラ263が待機位置であるホームポジション(HP)から脱出する方向にステープラ移動モータ271を回転駆動させ、タイミングベルト272を回転させる。すると、
図6(a)に示したタイミングベルト272の取り付け部である被駆動部263Aが動かされ、ステープラ263移動し始める。
【0046】
ここで、後処理装置9の生産性を高くするため、制御部400は、ステープラ263を高速である綴じ位置移動速度V1で移動させる。このように高速移動すると、ステープラ263にかかる慣性力により、タイミングベルト272の取り付け部(被駆動部)263Aの動きにステープラ263が全体としては追従しきれず、
図6(b)に示すようにステープラ263は傾いた状態で移動する。
【0047】
ステープラ263が傾いた状態で移動し始める場合は、傾きがない状態で移動し始める場合よりも、ステープラHPセンサ273でステープラ263を検知しなくなるOFFタイミングが遅れることになる。この傾きはステープラ263の移動を停止した際に解消される。そのため、ステープラHPセンサ273がOFFしてから(すなわち、ステープラ263を検知しなくなってから)、所定の補正用目標移動量D1だけ移動させて(
図6(c)参照)、ステープラ263の移動を停止したとき、ステープラ263が移動し過ぎた状態になる。つまり、ステープラ263の傾きによってステープラHPセンサ273のOFFタイミングが遅れた分に相当する進み過ぎ移動量D1xが生じてしまう(
図6(d)参照)。
【0048】
そこで、上記進み過ぎ移動量D1xを求めるために、制御部400は、綴じ位置移動速度V1で任意の補正用目標移動量D1だけ移動させたときの位置から、ステープラ263に傾きを生じないよう綴じ位置移動速度V1よりも低速に設定した基準速度V2で移動を開始する。この移動開始からステープラHPセンサ273がONして待機位置(ホームポジション)に復帰したときまでの移動量D1A(
図6(e)参照)を得る。
【0049】
ここで、上記「基準速度」V2は、ステープラ263の移動開始時にステープラ263に傾きを生じないように低速に設定されたステープラ263の移動速度である。つまり、言い換えると、上記「基準速度」V2は、ステープラ263が動き始めてからステープラHPセンサ273によってステープラ263が検知されなくなる時点までの遅れ時間が発生しないように低速に設定された移動速度である。この基準速度V2でステープラ263を移動させた場合は、例えばステープラ263の移動時間と基準速度V2との積から、ステープラ263が実際に移動した移動量(
図6(e)の例では移動量D1A)がわかる。
【0050】
次に、センサ遅れによる進み過ぎ移動量D1xを求める際の基準となる移動量を得るために、制御部400は、基準速度V2で動作させて、ステープラHPセンサ273のOFFタイミングから所定の補正用目標移動量D1だけ移動させる(
図6(f)参照)。制御部400は、この位置から、基準速度V2でホームポジションに復帰させたときの移動量を得て、これを基準となる移動量D1Bとする(
図6(g))。
【0051】
<システム構成例>
図7は、本実施形態における出力システム100の構成を示す一例のブロック図である。この出力システム100は、複数の端末装置30と、複数の出力機器10とがネットワークNを介して通信可能に接続されており、端末装置30はネットワークN上の各出力機器10を利用して印刷を行うことができる。なお、
図7では端末装置30と出力機器10とはそれぞれ一台のみを図示し、その他を省略している。
【0052】
端末装置30は、
図8に示すCPU,ROM、RAM及びHDD等を有するマイクロコンピュータによって実現される制御部14を備えており、制御部14に入力部12と表示部13が接続されている。
【0053】
制御部14は、CPUがROMやHDDに格納された各種の制御プログラムを実行することにより、端末装置30の全体を制御し、同じくROMやHDDに格納されたプリンタドライバ11を実行することによって実現される機能部により、出力機器10への印刷制御を実行する。
【0054】
入力部12は、キーボードやマウスを含む入力装置であり、ユーザーが端末装置30へ各種の操作情報(例えば印刷設定)を入力する装置であり、この入力部12によって入力された操作情報は制御部14へ送られ、制御部14は操作情報に基づく各種の処理を実行する。
【0055】
表示部13は、
図8に示すディスプレイ506を含む表示装置であり、ユーザーに各種の作業画面や各種の情報を表示する装置であり、制御部14の制御処理によって表示が行われる。
【0056】
出力機器10は、端末装置30から送信される印刷ジョブを端末装置30によって指示された印刷設定に基づいて印刷を実行する印刷装置であり、モノクロプリンタでもカラープリンタでも良い。また、インクジェット方式,電子写真方式を含む各種の方式のプリンターが対象となる。なお、この実施例では、出力機器10が印刷機能を有する装置であればよい。出力機器10は、印刷機能を備えたものならば、ファクシミリ装置、複写機、コピー機、又は、複合機を含む装置全般に適用することができる。また、端末装置30がプリントサーバーに印刷ジョブを登録し、出力機器10がプリントサーバーから印刷ジョブを取得して実行してもよい。
【0057】
ネットワークNは、インターネット、ローカルエリアネットワークを含む各種の通信網であり、有線でも無線でもよい。ネットワークNは、3G、4G、5G、6Gなどの携帯電話網を含んでいてもよい。
【0058】
<ハードウェア構成例>
図8、
図9を参照して、本実施形態に係る端末装置30と画像形成装置8のハードウェア構成について説明する。
【0059】
<<端末装置>>
図8は、本実施形態に係る端末装置30の一例のハードウェア構成を示す図である。
図8に示されているように、端末装置30はコンピュータ500によって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0060】
これらのうち、CPU501は、情報処理システム40及び端末装置30全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンター等である。ネットワークI/F509は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図8に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0061】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWは、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0062】
<<画像形成装置>>
図9は、画像形成装置8の一例のハードウェア構成図である。
図9に示されているように、画像形成装置8は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0063】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0064】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置8の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0065】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0066】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931、プリンター部932、及びファクシミリ部との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906は、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを有し、これらと接続されてもよい。
【0067】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0068】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0069】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931、プリンター部932及びファクシミリ部933を有している。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。コントローラ910は、画像形成装置8全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンター部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0070】
なお、画像形成装置8は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。画像形成装置8は、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンター機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0071】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0072】
<機能について>
図10は、
図7に示したプリンタドライバ11の機能構成と出力機器10の機能構成とを示すブロック図である。
【0073】
<<プリンタドライバ(端末装置)>>
プリンタドライバ11は、制御部14のROMやHDDに格納され、CPUが実行するプログラムを実行することで実現される、通信部22と、設定受付部20と、描画モジュール25と、を有する。
【0074】
設定受付部20は、CPUがプログラムを実行することによって実現されるUI表示部21、設定変更部23、耐久性予測部24、処理設定パターン記憶部26、及び、最小稼働量記憶部27の各機能を果たす。UI表示部21は、端末装置30の表示部13に印刷設定画面等を表示し、ユーザーが印刷設定画面に行った印刷設定の変更を受け付ける。本実施形態では、UI表示部21は、後述する「ステープラ稼働最小モード」の設定を受け付ける。
【0075】
設定変更部23は、UI表示部21から「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンである旨を通知されると、処理設定パターン記憶部26に保持している、印刷設定に対応付けられた処理設定パターンに基づいて、印刷設定を変更する。処理設定パターンは、ステープラ263への負荷を最小限にするようにおもて面の向きや、画像データの回転等の画像処理をステープラ263の可動域が最小化するように制御する設定である。なお、本実施形態での「最小」とは厳密な意味でなく、通常の設定に基づく出力機器10におけるステープラ263の実際の稼働よりもステープラ263への負荷を低減するように稼働が抑えられたものであれば含まれる。
なお、「設定がオンである旨」とは、「ステープラ稼働最小モード」を実行する設定であることの例を示す。すなわち、設定がオンである旨は、設定がオフでない旨、有効である旨(無効でない旨)、又は、実行する選択である旨(実行しない選択でない旨)など様々な呼称があってよい。
【0076】
耐久性予測部24は、出力機器10から取得したステープラ263の実際の稼働量と、予め設定された最小稼働量から耐久性を予測する。このため、耐久性予測部24は、最小稼働量記憶部27を参照する。耐久性予測部24は、例えば、現在の稼働量が交換目安の稼働量に近付いたか否かを判断したり、ステープラ263の実際の稼働量と「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの場合の稼働量を比較したりする。
【0077】
描画モジュール25は、印刷設定に基づいてプリントデータを描画する処理を行うが、公知技術なので詳細な説明を省略する。
【0078】
通信部22は、設定受付部20が受け付け、設定変更部23が変更した印刷設定(処理設定パターンも含まれる)と印刷ジョブ(描画モジュールが描画した画像データ)を出力機器10に送信する(第一の通信部の一例)。
【0079】
図11は、処理設定パターン記憶部26に記憶されている処理設定パターンの一例を示す。処理設定パターンは、ステープラ263への負荷が最小限になる印刷設定の一部である。処理設定パターンは、ステープラ263に関する印刷設定と対応付けられている。すなわち、処理設定パターンも印刷設定の一部である。
図11に示すように、ステープラ263の稼働量に影響する印刷設定としては、給紙方向、片面印刷又は両面印刷(印刷面が片面か両面か)、ステープル位置(左上又は右上)、及び、ステープラで綴じる方向(長辺綴じ、短辺綴じ)、がある。各印刷設定に対応付けられた処理設定パターンが、ステープラ263の稼働量を最小限にする処理設定パターンである。処理設定パターンは、印刷条件において「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの場合に、ステープラ263の稼働量を設定がオフ(設定がされていない一例)の場合よりも低減する印刷設定のパターンである。処理設定パターンの詳細については後に詳述する。
【0080】
なお、給紙方向とは、横方向給紙=LEF(long edge feed) 、縦方向給紙=SEF(short edge feed)である。本実施形態では、給紙方向は、各給紙方向に印刷されるように作成した画像データを意味する(画像データの向き)。
【0081】
図12は、最小稼働量記憶部27に保存されている最小稼働量を示す。最小稼働量とは、「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの場合に、ステープラ263に関するある印刷設定でステープル処理が実行された場合の稼働量である。すなわち、最小稼働量は、本実施形態のように、耐久性の低下が最小限となる処理設定パターンでステープル処理を実行した場合の稼働量である。したがって、最小稼働量は、予め担当者が実測又は見積もっておき、最小稼働量記憶部27に保存しておくことができる。
【0082】
<<出力機器>>
図10に戻って説明する。出力機器10は、通信部31と、出力制御部32と、稼働量監視部33と、印刷ジョブ記憶部34とを有している。出力機器10が有するこれら機能部は、出力機器10にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を
図9に示したCPU901が実行し、
図9に示した各ブロックと協働及び制御することで実現される機能又は手段である。また、印刷ジョブ記憶部34は
図9に示したHD909、RAM902b等に構築される。
【0083】
通信部31は、端末装置30から印刷設定と印刷ジョブを指定した印刷要求を受信し、印刷ジョブ記憶部34に保存する(第二の通信部の一例)。通信部31は、印刷ジョブにジョブIDや日時などを対応付ける。なお、ジョブIDはジョブの識別情報である。
【0084】
出力制御部32は、印刷ジョブ記憶部34に保存された印刷ジョブを、保存された順(登録順)に実行する。すなわち、出力制御部32は、プリンタドライバ11が変更した処理設定パターンと出力条件に基づいて画像データの出力制御を行う。出力制御部32は、ステープラ263の耐久性の低下が最小限となる印刷設定で印刷ジョブを実行する。印刷ジョブには、画像データの印刷とステープル処理(印刷物を綴じる)が含まれる。
【0085】
稼働量監視部33は、ステープラ263の稼働量を監視する。稼働量とは、ステープル回数とステープラ263の移動量の少なくとも一方である。ステープラ263の移動量は上記のステープラ263がステープラ移動モータ271によりタイミングベルト272に沿って駆動された量である。移動量は、実測値でもステープラ移動モータ271の駆動量でもよい。
【0086】
ステープル回数は、1つの印刷ジョブにおける綴じ位置の数を合計したものである。本実施形態では、ステープルはステープラ263の移動を伴うため、ステープル回数のみも稼働量とみなして説明する。すなわち、稼働量とは、ステープル回数とステープラ263の移動量の少なくとも一方でよい。
【0087】
また、稼働量監視部33は、薄紙や少ない枚数のステープル回数と、厚紙や多い枚数のステープル回数それぞれについて重み付けをして稼働量を算出してよい。稼働量監視部33は、例えば薄紙と比較して、ステープラ263への機械的負荷が大きい厚紙は、実施回数を(ステープル回数)×1.2倍として稼働量を算出してよい。つまり、ステープラ263への機械的負荷が大きい条件でステープル処理が実施された場合、実際のステープル回数に1を超える係数を乗じて、重み付けを行う。稼働量監視部33は印刷ジョブに対応付けて稼働量を保存しておく。
【0088】
図13は、印刷ジョブ記憶部34に記憶されている印刷ジョブ情報の一例である。なお、
図13では、ステープラ263に関する印刷設定を主に示し、その他の情報は省略している。
図13に示すように、印刷ジョブ情報は、ジョブIDに対応付けられたファイル名、日時、印刷設定、及びステープラ稼働量の各項目を有している。印刷設定の項目は、ユーザーが設定した印刷設定のうち処理設定パターンに対応付けられているものを示した。また、ステープラ稼働量の項目は、稼働量監視部33が監視したステープラ263の稼働量である。稼働量は、ステープラの移動量、ステープルの回数、又は、ステープラの移動量にステープル回数を重み付けしたもの等でよい。
【0089】
<印刷設定画面>
図14は、プリンタドライバ11が表示する印刷設定画面300の一例である。印刷設定画面300は印刷に関する各種の設定を有している。
図14では主要な印刷設定の項目について説明する。印刷設定画面300はステープル設定欄302を有している。ステープル設定欄302が「する」に設定されると、印刷ジョブにステープル処理が設定される。なお、ユーザーは、ステープル処理を「する」に設定するとステープル位置と綴じる方向を設定できる。
【0090】
また、ステープル設定欄302が「する」に設定されると、「ステープラ稼働最小モード」のチェックボックス303をユーザーが設定できる。ステープル設定欄302が「する」に設定される前は、「ステープラ稼働最小モード」のチェックボックス303は非表示か又はグレーアウトされている。チェックボックス303がチェックされると「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンになる。
【0091】
また、
図14では、原稿方向301が処理設定パターンで変更され得る印刷設定の一例である。このように、処理設定パターンで変更され得る印刷設定(原稿方向301、180度回転、おもて面を上)は、「ステープラ稼働最小モード」がオンになると、例えば、ユーザー設定ができないようにグレーアウト(出力条件の設定を受け付けられない態様)される。また、ユーザーが処理設定パターンで変更可能な印刷設定は、すでに設定していても「ステープラ稼働最小モード」がオンになることで、プリンタドライバ11により無視される。
【0092】
<処理の全体的な流れ>
図15は、端末装置30と出力機器10が通信して印刷ジョブを実行する全体的な処理を説明するシーケンス図の一例である。
【0093】
S101:ユーザーが印刷設定画面300に対し印刷設定を行う。設定受付部20が印刷設定を受け付ける。
【0094】
S102:ステープル設定欄302が「する」に設定され、「ステープラ稼働最小モード」のチェックボックス303がチェックされている。この場合、設定変更部23は、処理設定パターン記憶部26において印刷設定に対応付けられた処理設定パターンに、印刷設定の一部を変更する。
【0095】
S103:通信部22が印刷要求と共に印刷設定と印刷ジョブを出力機器10に送信する。
【0096】
S104:出力機器10の通信部31が印刷要求と共に印刷設定と印刷ジョブを受信し、印刷ジョブ記憶部34に保存する。出力制御部32は、処理設定パターンと印刷設定に基づいて画像データの出力制御を行う(印刷ジョブの実行)。すなわち、出力制御部32は、元の文書のページ数分の画像データを用紙に印刷し、複数の用紙をステープルで綴じるステープル処理を実行する。
【0097】
以下では、主にステップS102の処理について詳細に説明する。
【0098】
<ステープラ稼働最小モードが設定された場合のステープル処理>
図16~
図26を参照して、処理設定パターンについて詳細に説明する。
【0099】
<<横方向給紙又は縦方向給紙、ステープル位置(右上・左下)>>
図16は、横方向給紙、ステープル位置が右上と左下の場合の処理設定パターンを説明する図である。
図16では、ステープル位置が右上335か左上336の場合の仕上がりを下から上方向の流れで説明する。また、
図16では、用紙の移動方向とステープラ263の位置を示すため出力機器10の平面図(上面図)と正面図を示す。
図16等の、「180度回転」の設定338、「おもて面を上にして排紙」の設定337が、
図11に示した印刷設定に対応した処理設定パターンである。
【0100】
・横方向給紙、ステープル位置が右上設定332の場合
(1) 設定変更部23は、「180度回転」の設定338をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「180度回転」の設定338がオフである場合は破棄される。
(2) したがって、出力機器10は用紙に印刷される画像データ331を180度回転する。
(3) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフである場合は破棄される。
(4) 用紙334は出力機器10の側面から排紙される。「180度回転」の設定338及び「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙334の右上335にステープル処理することができている。すなわち、ステープラ263のホームポジションが平面図に向かって左端なので、「180度回転」の設定338又は「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフである場合、用紙の高さだけステープラ263の移動量が多くなるからである。
【0101】
・横方向給紙、ステープル位置が左上設定333の場合
(1) 設定変更部23は、「180度回転」の設定338をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「180度回転」の設定338がオフである場合は破棄される。
(2) したがって、出力機器10は用紙に印刷される画像データを180度回転する。
(5) 設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフのままにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンである場合は破棄される。
(6) 用紙は出力機器10の側面から排紙される。「180度回転」の設定338がオンであり、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の左上336にステープル処理することができている。すなわち、ステープラ263のホームポジションが平面図に向かって左端なので、「180度回転」の設定338がオフ、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンである場合、用紙の高さだけステープラ263の移動量が多くなるからである。
【0102】
なお、
図16では、ステープラ263の位置が正面図の左端にあるため、説明した処理設定パターンが有効になる。仮に、ステープラ263の位置が正面図の右端にある場合、処理設定パターンも右端にあるステープラ263に対し稼働量が最小となるように設定される。ステープラ263の位置が正面図の中央など、その他の場所にある場合も同様である。
【0103】
図17は、縦方向給紙、ステープル位置が右上と左下の場合の処理設定パターンを説明する図である。
図17では、ステープル位置が右上341か左上342の場合の仕上がりを下から上方向の流れで説明する。また、用紙の移動方向とステープラ263の位置を示すため出力機器10の平面図(上面図)と正面図を示す。なお、
図17の説明において、
図16において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に
図17の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0104】
・縦方向給紙、ステープル位置が左上設定333の場合
(11) 設定変更部23は、「原稿方向」の設定339をヨコにする。初期設定又はユーザー設定による「原稿方向」の設定339がタテである場合は破棄される。なお、「原稿方向」の設定339がヨコ又はタテとは、画像データを決まった方向に90度回転することを意味する(給紙される用紙を回転する処理ではない)。
(12) したがって、出力機器10は画像データの向きを90度回転する(本実施形態では、回転方向は反時計回りとする)。
(13) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフである場合は破棄される。
(14) 用紙334は出力機器10の側面から排紙される。「原稿方向」の設定339がヨコ及び「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の左上342にステープル処理することができている。
【0105】
・縦方向給紙、ステープル位置が右上設定332の場合
(11) 設定変更部23は、「原稿方向」の設定339をヨコにする。初期設定又はユーザー設定による「原稿方向」の設定339がタテである場合は破棄される。
(15) 設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフのままにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンである場合は破棄される。
(16) 用紙334は出力機器10の側面から排紙される。「原稿方向」の設定339がヨコ及び「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の右上341にステープル処理することができている。
【0106】
図18は、設定変更部23が
図16、
図17の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明するフローチャート図である。設定変更部23は、処理設定パターン記憶部26に記憶されている印刷設定に対応付けられた処理設定パターンを以下のように決定する。
【0107】
まず、
図18(a)について説明する。設定受付部20がステープルを実行する印刷ジョブの入力を受け付ける(S1)。
【0108】
設定変更部23は、ユーザーが「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにしたか否か判断する(S2)。
【0109】
ステップS2の判断がYesの場合、設定変更部23は、印刷設定が片面か否か判断する(S3)。ステップS3の判断がNoの場合、処理は
図20(a)に進む。
【0110】
ステップS3の判断がYesの場合、設定変更部23は、横方向給紙か否か判断する(S4)。ステップS4の判断がNoの場合、処理は
図18(b)に進む。
【0111】
ステップS4の判断がYesの場合、設定変更部23は、「180度回転」の設定338をオンにする(S5)。
【0112】
また、設定変更部23は、ステープル位置が右上か左上かを判断する(S6)。ステープル位置が右上の場合、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする(S7)。
【0113】
ステープル位置が左上の場合、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフにする(S8)。
【0114】
図18(b)に基づいて説明する。
図18(b)は、印刷設定が片面、縦方向給紙の場合の処理である。
【0115】
まず、設定変更部23は、「原稿方向」の設定339をヨコに設定する(S9)。
【0116】
設定変更部23は、ステープル位置が右上か左上かを判断する(S10)。ステープル位置が右上の場合、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフにする(S11)。
【0117】
ステープル位置が左上の場合、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする(S12)。
【0118】
<<横方向給紙、両面印刷、ステープル位置(右上)、短辺綴じ又は長辺綴じ>>
図19は、横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上で短辺綴じ又は長辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。なお、短辺綴じの右上345と長辺綴じの右上346とは、印刷される画像データの第一面の「天地」を正面に見た場合の右上である。
【0119】
・横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上設定332、短辺綴じ設定343の場合
(21) 設定変更部23は、第一面の画像データ331aと第二面の画像データ331bについて「180度回転」の設定338をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「180度回転」の設定338がオフである場合は破棄される。
(22) したがって、出力機器10は用紙に印刷される両面の画像データをそれぞれ180度回転する。
(23) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフである場合は破棄される。
(24) 用紙334は出力機器10の側面から排紙される。第一面と第二面の「天地」が同じなので、短辺綴じになっている。両面とも「180度回転」の設定338、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の右上345にステープル処理することができている。
【0120】
・横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上設定332、長辺綴じ設定344の場合
(25) 設定変更部23は、第一面のみの画像データ331aについて「180度回転」の設定338をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「180度回転」の設定338がオフである場合は破棄される。
(26) したがって、出力機器10は用紙に印刷される第一面の画像データ331aを180度回転させ、第二面の画像データ331bを回転しない。
(27) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフである場合は破棄される。
(28) 用紙334は出力機器10の側面から排紙される。第一面と第二面の「天地」が逆なので、長辺綴じになっている。片面のみ「180度回転」の設定338、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の右上346にステープル処理することができている。
【0121】
図20(a)は、設定変更部23が
図19の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明するフローチャート図である。
【0122】
まず、
図18(a)のステップS3のNoに続いて、設定受付部20は横方向給紙か否か判断する(S21)。縦方向給紙の場合、処理は
図24(a)に進む。
【0123】
横方向給紙の場合、設定変更部23は、ステープル位置が右上か左上かを判断する(S22)。ステープル位置が左上の場合、処理は
図22(a)に進む。
【0124】
ステープル位置が右上の場合、設定変更部23は、短辺綴じか否か判断する(S23)。長辺綴じの場合、処理は
図20(b)に進む。
【0125】
短辺綴じの場合、設定変更部23は、第一面と第二面について「180度回転」の設定338をオンにする(S24、S25)。
【0126】
また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする(S26、S27)。「おもて面を上にして排紙」の設定337は、1枚の用紙に関する設定なので、第一面と第二面の設定が共通になる。
【0127】
図20(b)に基づいて説明する。
図20(b)は、印刷設定が両面、横方向給紙、ステープル位置が右上、長辺綴じの場合の処理である。
【0128】
設定変更部23は、第一面のみについて「180度回転」の設定338をオンにする(S28)。
【0129】
また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする(S29、S30)。
【0130】
<<横方向給紙、両面印刷、ステープル位置(左上)、短辺綴じ又は長辺綴じ>>
図21は、横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上で、短辺綴じ又は長辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。なお、短辺綴じの左上347と長辺綴じの左上348とは、印刷される画像データの第一面の「天地」を正面に見た場合の右上である。
【0131】
・横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上設定333、短辺綴じ設定343の場合
(31) 設定変更部23は、第一面の画像データ331aと第二面の画像データ331bについて「180度回転」の設定338をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「180度回転」の設定338がオフである場合は破棄される。
(32) したがって、出力機器10は用紙に印刷される両面の画像データをそれぞれ180度回転する。
(33) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフのままにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンである場合は破棄される。
(34) 用紙334は出力機器10の側面から排紙される。第一面と第二面の「天地」が同じなので、短辺綴じになっている。両面とも「180度回転」の設定338がオン、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の左上347にステープル処理することができている。なお、
図21では、第一面が下になっている。
【0132】
・横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上設定333、長辺綴じ設定344の場合
(35) 設定変更部23は、第一面の画像データ331aのみ「180度回転」の設定338をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「180度回転」の設定338がオフである場合は破棄される。
(36) したがって、出力機器10は用紙に印刷される第一面の画像データ331aのみ180度回転する。
(37) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフのままにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンである場合は破棄される。
(38) 用紙334は出力機器10の側面から排紙される。第一面と第二面の「天地」が逆なので、長辺綴じになっている。片面のみ「180度回転」の設定338がオン、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の左上348にステープル処理することができている。なお、
図21では、第一面が下になっている。
【0133】
図22(a)は、設定変更部23が
図21の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明するフローチャート図である。
図22(a)は、印刷設定が両面、横方向給紙、ステープル位置が左上の場合の処理である。
【0134】
設定変更部23は、短辺綴じか否か判断する(S31)。長辺綴じの場合、処理は
図22(b)に進む。
【0135】
短辺綴じの場合、設定変更部23は、第一面と第二面について「180度回転」の設定338をオンにする(S32、S33)。
【0136】
また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフにする(S34、S35)。したがって、第一面が下向きで排紙される。
【0137】
図22(b)は、印刷設定が両面、横方向給紙、ステープル位置が左上、長辺綴じの場合の処理である。
【0138】
長辺綴じの場合、設定変更部23は、第一面のみについて「180度回転」の設定338をオンにする(S36)。
【0139】
また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフにする(S37、S38)。したがって、第一面が下向きで排紙される。
【0140】
<<縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置(左上)、短辺綴じ又は長辺綴じ>>
図23は、縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上で、短辺綴じ又は長辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。なお、長辺綴じの左上351と短辺綴じの左上352とは、印刷される画像データの第一面の「天地」を正面に見た場合の右上である。
【0141】
・縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上設定333、長辺綴じ設定344の場合
(41) 設定変更部23は、第一面の画像データ331aと第二面の画像データ331bについて「原稿方向」の設定339をヨコにする。初期設定又はユーザー設定による「原稿方向」の設定339がタテである場合は破棄される。
(42) したがって、出力機器10は画像データの向きを90度回転する。
(43) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフである場合は破棄される。
(44) 用紙は出力機器10の側面から排紙される。第一面と第二面の「天地」が同じなので、長辺綴じになっている。「原稿方向」の設定339がヨコ、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の左上351にステープル処理することができている。
【0142】
・縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置が左上設定333、短辺綴じ設定343の場合
(45) 設定変更部23は、第一面の画像データ331aと第二面の画像データ331bについて「原稿方向」の設定339をヨコにする。初期設定又はユーザー設定による「原稿方向」の設定339がタテである場合は破棄される。
(46) 設定変更部23は、第二面の画像データ331bのみ「180度回転」の設定338をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「180度回転」の設定338がオフである場合は破棄される。
(47) したがって、出力機器10は画像データの向きを90度回転し、更に第二面の画像データ331bのみ180度回転させる。
(48) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフである場合は破棄される。
(49) 用紙は出力機器10の側面から排紙される。第一面と第二面の「天地」が逆なので、短辺綴じになっている。「原稿方向」の設定339がヨコ、第二面の画像データ331bのみ「180度回転」の設定338がオン、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の左上352にステープル処理することができている。
【0143】
図24(a)は、設定変更部23が
図23の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明するフローチャート図である。
図24(a)は、印刷設定が両面、縦方向給紙の場合の処理である。
【0144】
設定変更部23は、ステープル位置が右上か左上かを判断する(S41)。ステープル位置が右上の場合、処理は
図26(a)に進む。
【0145】
ステープル位置が左上の場合、設定変更部23は、長辺綴じか否か判断する(S42)。短辺綴じの場合、処理は
図24(b)に進む。
【0146】
長辺綴じの場合、設定変更部23は、第一面と第二面について「原稿方向」をヨコに設定する(S43、S44)。
【0147】
また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする(S45、S46)。したがって、第一面が上向きで排紙される。
【0148】
図24(b)は、印刷設定が両面、縦方向給紙、ステープル位置が左上、短辺綴じの場合の処理である。
【0149】
短辺綴じの場合、設定変更部23は、第一面と第二面について「原稿方向」をヨコに設定する(S47、S48)。
【0150】
また、設定変更部23は、第二面についてのみ「180度回転」をオンに設定する(S49)。
【0151】
また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオンにする(S50、S51)。したがって、第一面が上向きで排紙される。
【0152】
<<縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置(右上)、短辺綴じ又は長辺綴じ>>
図25は、縦方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上で短辺綴じ又は長辺綴じの場合の処理設定パターンを説明する図である。なお、長辺綴じの右上353と短辺綴じの右上354とは、印刷される画像データの第一面の「天地」を正面に見た場合の右上である。
【0153】
・縦方向給紙、ステープル位置が右上設定332、長辺綴じ設定344の場合
(51) 設定変更部23は、第一面の画像データ331aと第二面の画像データ331bについて「原稿方向」の設定339をヨコにする。
(52) したがって、出力機器10は画像データの向きを90度回転する。
(53) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフのままにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンである場合は破棄される。
(54) 用紙は出力機器10の側面から排紙される。第一面と第二面の「天地」が同じなので、長辺綴じになっている。「原稿方向」の設定339がヨコ、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の右上353にステープル処理することができている。
【0154】
・縦方向給紙、ステープル位置が右上設定332、短辺綴じ設定343の場合
(55) 設定変更部23は、第一面の画像データ331aと第二面の画像データ331bについて「原稿方向」の設定339をヨコにする。
(56) 設定変更部23は、第二面の画像データ331bのみ「180度回転」の設定338をオンにする。
(57) したがって、出力機器10は画像データの向きを90度回転し、更に第二面の画像データ331bのみ180度回転させる。
(58) また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフのままにする。初期設定又はユーザー設定による「おもて面を上にして排紙」の設定337がオンである場合は破棄される。
(59) 用紙は出力機器10の側面から排紙される。第一面と第二面の「天地」が同じなので、短辺綴じになっている。「原稿方向」の設定339がヨコ、第二面の画像データ331bのみ「180度回転」の設定338がオン、「おもて面を上にして排紙」の設定337がオフであるため、ステープラ263が少ない移動量で用紙の右上354にステープル処理することができている。
【0155】
図26(a)は、設定変更部23が
図25の処理設定パターンに印刷設定を変更する処理を説明するフローチャート図である。
図26(a)は、印刷設定が両面、縦方向給紙、ステープル位置が右上の場合の処理である。
【0156】
設定変更部23は、長辺綴じか否か判断する(S61)。短辺綴じの場合、処理は
図26(b)に進む。
【0157】
長辺綴じの場合、設定変更部23は、第一面と第二面について「原稿方向」をヨコに設定する(S62、S63)。
【0158】
また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフにする(S64、S65)。したがって、第一面が下向きで排紙される。
【0159】
図26(b)は、印刷設定が両面、縦方向給紙、ステープル位置が右上、短辺綴じの場合の処理である。
【0160】
短辺綴じの場合、設定変更部23は、第一面と第二面について「原稿方向」をヨコに設定する(S66、S67)。
【0161】
また、設定変更部23は、第二面についてのみ「180度回転」をオンに設定する(S68)。
【0162】
また、設定変更部23は、「おもて面を上にして排紙」の設定337をオフにする(S69、S70)。したがって、第一面が下向きで排紙される。
【0163】
<耐久性の予測>
ユーザーが任意にステープル処理を実施したいが、耐久性が低下するのであれば本実施形態の「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにする使い方を望む場合がある。例えば、端末装置30のプリンタドライバが現在までの使用状況を可視化する画面を表示することによって、ユーザーが手動で「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンに切り替える。あるいは、ユーザーが設定しなくても、ステープラ263のメンテナンス(交換時期)が早まる場合に、プリンタドライバが、「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの状態を初期設定にしてもよい。
【0164】
図27は、ステープラ263の稼働状況と耐久性の対応を可視化した耐久性予測画面310の一例である。耐久性予測画面310は、端末装置30のプリンタドライバが出力機器10と通信することで表示できる。ステープラ263の交換時期を予測する方法の簡単な例として、例えば、ステープルの総実施回数に基づく方法がある。耐久性予測部24は、総実施回数がある閾値を超えた場合に、「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにすることを促す、又は、「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの状態を初期設定にする。あるいは、耐久性予測部24は、「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにして、オフへの変更を制限してもよい。
【0165】
図27では、横軸がステープル処理を含む印刷ジョブ数、縦軸が耐久性である。縦軸の最大値から交換目安までの長さは、設計上、故障しないと想定されるステープルの稼働量である。過去の履歴ライン311(第一のラインの一例)は、過去の印刷ジョブの実行による耐久性の低下を示す。低下する耐久性の数値は、印刷ジョブ記憶部34に保存されたステープラ稼働量を合計したものである。
【0166】
標準的予測ライン312(第二のラインの一例)は、設計時に想定された、ステープル処理を含む印刷ジョブ数と耐久性の関係を示す。標準的予測ライン312には複数の出力機器10が監視サーバーに接続されたネットワークを使用できる。出力機器10はネットワークNを介して監視サーバーに印刷枚数のカウント値や故障などを通知する機能を有している。この機能を利用して出力機器10が印刷ジョブごとにステープラの稼働量を監視サーバーに送信しておく。監視サーバーは、ネットワークに接続している各出力機器10の過去のステープラの稼働量を集計し、耐久性予測部24が、1回の印刷ジョブあたりの平均から標準的予測ライン312を生成する。
【0167】
あるいは、設計上のステープラの移動量の最大と最小の中央値を1回の印刷ジョブあたりの平均的なステープラの稼働量とみなし、耐久性予測部24が、この中央値を用いて標準的予測ライン312を生成してよい。
【0168】
図27では、過去の履歴ライン311は、ある印刷ジョブ数までは標準的予測ライン312とほぼ同じであった。しかし、ある印刷ジョブ数以降、過去の履歴ライン311の傾きが急に大きくなっている。そして、耐久性予測部24は、現在の耐久性と交換目安との差異316(メンテナンスなしに使用できる残りの稼働量)が閾値未満になったと判断する。このため、プリンタドライバ11が、「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにすることを推奨するメッセージ315を表示している。ユーザーは、過去の履歴ライン311が交換目安に近づいていることやメッセージ315を確認して、「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにするか否か判断できる。
【0169】
耐久性予測部24は、現在の耐久性と交換目安との差異316と閾値とを比較するのでなく、過去の履歴ライン311を外挿した直線313が交換目安の稼働量と交差する印刷ジョブ数と、現在の印刷ジョブ数との差異317を閾値と比較してもよい。
【0170】
また、
図27では、モード設定後の予測ライン314(第三のラインの一例)が示されている。モード設定後の予測ライン314は、「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの場合に、印刷ジョブ数に対する耐久性の変化を示す。耐久性の変化はステープラ263の稼働量により減少する耐久性を示す。「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの場合のステープラ263の稼働量は、最小稼働量記憶部27に保存されている最小稼働量である。すなわち、モード設定後の予測ライン314は、印刷ジョブにおける印刷設定に対応付けられた最小移動量を累積した稼働量である。
【0171】
ユーザーは、モード設定後の予測ライン314により「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにした場合の効果を把握して、「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにするか否か判断できる。
【0172】
また、耐久性予測部24は、過去の履歴ライン311の傾きが標準的予測ライン312に対し閾値以上大きくなったことを検出して、UI表示部21がメッセージ315を表示してもよい。
【0173】
なお、
図27では、耐久性予測画面310の横軸を、ステープル処理を実施する印刷ジョブ数としたが、印刷ジョブには日時が対応付けられているので横軸を使用期間とすることもできる。
【0174】
図28は、印刷ジョブ数に対する、「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの場合の稼働量と実際の稼働量を比較した稼働量比較画面320を示す。
図28において、横軸は印刷ジョブ数、縦軸は稼働量である。実際稼働量ライン322は、印刷ジョブ記憶部34に記憶されたステープラ稼働量を累積した稼働量である。推定稼働量ライン321は、印刷ジョブ記憶部34に記憶された印刷設定と最小稼働量記憶部27に記憶された最小稼働量に基づいて推定されるステープラ263の稼働量を累積した稼働量である。すなわち、推定稼働量ライン321は、印刷ジョブにおける印刷設定に対応付けられた最小稼働量を累積した稼働量である。
【0175】
ユーザーは、稼働量比較画面320により、「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにした場合の効果を把握して、「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにするか否か判断できる。
【0176】
図29は、端末装置30が耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320を表示する処理を説明するシーケンス図の一例である。
【0177】
S201:まず、ユーザーが耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320を表示する操作を端末装置30に入力する。設定受付部20が入力を受け付ける。
【0178】
S202:通信部22は、これらの画面に必要なステープラ稼働量を出力機器10に要求する。
【0179】
S203:出力機器10の通信部31が要求を受信し、印刷ジョブ記憶部34に記憶されているステープラ稼働量を端末装置30に送信する。
【0180】
S204:端末装置30の通信部22がステープラ稼働量を受信し、UI表示部21がステープラ稼働量及び最小稼働量等に基づいて耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320を表示する。耐久性予測部24は、現在の耐久性と交換目安との差異が閾値未満になるとメッセージ315を表示する。
【0181】
なお、
図29ではプリンタドライバ11が耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320を生成しているが、出力機器10がこれらの画面を生成してもよい。すなわち、出力機器10がWebサーバーの機能を有している場合、HTML等で耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320を生成し、端末装置30に送信する。端末装置30はWebブラウザで耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320を表示する。
【0182】
<管理者端末による「ステープラ稼働最小モード」の設定>
「ステープラ稼働最小モード」の設定はユーザーがプリンタドライバ11に対し行う他にも、管理者がサーバー装置600を介して各出力機器10に設定することができる。
【0183】
図30は、出力機器10とサーバー装置600がネットワークNを介して接続されたネットワークシステム1000のシステム構成例を示す。ネットワークシステム1000は、管理者端末601、サーバー装置600、及び、出力機器10を有している。サーバー装置600と出力機器10、及び、サーバー装置600と管理者端末601はインターネットなどの広域なネットワークNを介して相互に通信可能に接続されている。
【0184】
サーバー装置600は、出力機器10から印刷ジョブ記憶部34の内容を随時取得できる。また、サーバー装置600は上記の耐久性予測部24と最小稼働量記憶部27を有している。このため、サーバー装置600は、管理者端末601からの要求に対し、
図27,
図28の画面を含むWebページを管理者端末601に提供できる。
【0185】
図31は、管理者端末601が出力機器10の「ステープラ稼働最小モード」の設定においてオンを初期設定とする処理を説明するシーケンス図である。
【0186】
S301:出力機器10の通信部31は印刷ジョブ記憶部34の内容を随時、サーバー装置600に送信する。
【0187】
S302:また、管理者が耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320を表示する操作を管理者端末601に入力する。
【0188】
S303:管理者端末601は、これらの画面をサーバー装置600に要求する。
【0189】
S304:サーバー装置600が要求を受信し、印刷ジョブ記憶部34の内容や最小稼働量等を使用して、耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320を生成する。サーバー装置600は、耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320の画面情報を管理者端末601に送信する。管理者端末601は耐久性予測画面310又は稼働量比較画面320の画面情報を受信し、これらの画面を表示する。管理者端末601が
図27,
図28の画面を表示することで、管理者が「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにすべきと判断できる。管理者は、管理者用の印刷設定画面300を表示させ、出力機器10を指定して「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにする。
【0190】
S305:管理者端末601が、「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにする要求をサーバー装置600に送信する。
【0191】
S306:サーバー装置600は「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンにした状態を、初期設定とする要求を出力機器10に送信する。
【0192】
S307:出力機器10はサーバー装置600からの要求に応じて、「ステープラ稼働最小モード」の設定においてオンを初期状態に設定する。
【0193】
これにより、端末装置30が出力機器10と通信すると、プリンタドライバ11は、「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンの状態で印刷設定画面300を表示できる。
【0194】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態では、プリンタドライバが、ステープラへの負荷が最小限になるように自動的に印刷設定を変更する。つまり、プリンタドライバは、ステープラの可動域が最小化するように排紙時におもて面の方向(上又は下)を変更したり、画像データを回転したりする印刷設定に変更する。これにより、出力機器10が、ステープル処理を伴い印刷ジョブを実行する際のステープラの負荷を低減できる。また、こうすることで、ユーザーに一律的な制限やハード面での対応を強いることなく、ステープラの耐久性が低下することを抑制できる。
【0195】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0196】
例えば、本実施形態では、後処理装置9の一例としてステープラを例に説明したが、後処理装置9はパンチ装置でもよい。本実施形態の処理設定パターンは、この他の後処理装置9についても適用できる。
【0197】
また、本実施形態では、端末装置30から出力機器10への印刷要求した場合の出力機器10におけるステープラの稼働量を低下する処理を説明したが、出力機器10がコピー機として使用される場合に適用してもよい。
【0198】
また、本実施形態では、プリンタドライバ11が印刷設定に対応付けられた処理設定パターンを決定したが、処理設定パターンを出力機器10が決定してもよい。この場合、出力機器10が設定変更部23と処理設定パターン記憶部26を有しており、プリンタドライバ11から受信した印刷設定に対応付けられた処理設定パターンを処理設定パターン記憶部26から出力機器10が決定する。
【0199】
また、Webサーバーが処理設定パターンを決定してもよい。この場合、プリンタドライバ11が印刷設定をWebサーバーに送信し、Webサーバーが印刷設定に対応付けられた処理設定パターンをプリンタドライバ11に返す。
【0200】
また、ユーザーが出力機器10の操作パネルを操作して蓄積された印刷ジョブを印刷する場合にも適用できる。ユーザーが予め印刷ジョブを出力機器10に送信しておき、ユーザーが出力機器10の操作パネルを操作して印刷する態様をプル印刷という。ユーザーは操作パネルから印刷設定を変更でき、印刷設定の変更の際、ステープル処理を設定したり「ステープラ稼働最小モード」の設定をオンに変更したりできる。「ステープラ稼働最小モード」の設定がオンになると、出力機器10は、印刷設定に対応付けられた処理設定パターンを処理設定パターン記憶部26から決定する。
【0201】
また、本実施形態では、出力物の排紙方向が横向きであったが、出力機器10が横向きと縦向きの排紙方向に対応している場合、処理設定パターンに、更に、出力物の排紙方向が含まれていてもよい。
【0202】
また、本実施形態で原稿方向をヨコやタテにするという設定は90度の画像データの回転に対応するが、90度の回転は回転方向によっては270度の回転として処理されてもよい。また、出力機器が90度と180度の回転を両方行う場合、270度の回転として処理されてもよい。
【0203】
また、
図10などの構成例は、端末装置30と出力機器10による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。端末装置30と出力機器10の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0204】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0205】
本発明の実施形態は、コンピュータの能力及び機能性に大きな改善をもたらす。これらの改善により、ユーザーは、情報処理装置において情報を格納し提示する方法であるテーブルとの、より効率的で堅牢な対話を提供するコンピュータを利用することができる。更に、本発明の実施形態は、より効率的で強力かつ堅牢なユーザーインターフェースの使用を通じて、より良いユーザー体験を提供する。このようなユーザーインターフェースは、人間と機械との間のより良い相互作用を提供する。
【0206】
<請求項に関する付記>
[請求項1]
出力物に後処理を行うための後処理装置を有する出力機器であって、
前記出力物の出力条件に応じて決定された、前記後処理装置の稼働に対応する処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを受信する通信部と、
前記処理設定パターンと前記出力条件に基づいて前記後処理装置を用いた前記画像データの出力制御を行う出力制御部と、
を有する出力機器。
[請求項2]
前記処理設定パターンは、前記出力条件において前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている場合に、前記後処理装置の稼働量を、稼働量を低減する前記設定がされていない場合よりも低減する印刷設定のパターン、又は、
前記処理設定パターンは、前記出力条件において前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない場合に、前記後処理装置の稼働量を、稼働量を低減しない前記設定がされている場合よりも低減する印刷設定のパターンであることを特徴とする請求項1に記載の出力機器。
[請求項3]
前記処理設定パターンは、出力する前記画像データの回転、排紙時のおもて面が上か否か、又は、原稿方向が横か縦かを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力機器。
[請求項4]
前記出力条件は、給紙方向、印刷面を両面若しくは片面のどちらにするか、又は、前記後処理装置が出力物に処理する際の位置を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の出力機器。
[請求項5]
前記後処理装置は、ステープラであり、
前記出力条件は、ステープラにより長辺を綴じるか又は短辺を綴じるかを含むことを特徴とする請求項4に記載の出力機器。
[請求項6]
前記出力条件が、給紙方向、印刷面を両面若しくは片面のどちらにするか、及び、前記ステープラが長辺を綴じるか短辺を綴じるか、に応じて、
前記処理設定パターンが有する、出力する前記画像データの回転、排紙時のおもて面が上か否か、及び、原稿方向が横か縦かが決定されていることを特徴とする請求項5に記載の出力機器。
[請求項7]
前記出力条件が、横方向給紙、片面印刷、及び、ステープル位置が右上の場合、
前記処理設定パターンは、出力する画像データを180度回転、及び、排紙時のおもて面を上であることを特徴とする請求項5に記載の出力機器。
[請求項8]
前記出力条件が、横方向給紙、両面印刷、ステープル位置が右上、及び、短辺綴じの場合、
前記処理設定パターンは、両面の画像データを180度回転、及び、排紙時のおもて面を上であることを特徴とする請求項5に記載の出力機器。
[請求項9]
プリンタドライバを実行する端末装置と、前記プリンタドライバから受信した画像データを出力する出力機器とを有する出力システムであって、
前記プリンタドライバは前記端末装置を、
所定の画面に対し出力物の出力条件を受け付ける設定受付部と、
前記出力条件に応じて後処理装置の稼働に対応する処理設定パターンを決定する設定変更部と、
前記処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを前記出力機器に送信する第一の通信部、として機能させ、
前記出力機器は、
出力物に後処理を行うための後処理装置と、
前記処理設定パターン、前記出力条件及び出力する画像データを受信する第二の通信部と、
前記処理設定パターンと前記出力条件に基づいて前記後処理装置を用いた前記画像データの出力制御を行う出力制御部と、
を有する出力システム。
[請求項10]
前記後処理装置は、ステープラであり、
前記出力条件にステープル処理が含まれている場合、前記設定変更部が、前記処理設定パターンを決定することを特徴とする請求項9に記載の出力システム。
[請求項11]
前記出力条件に前記後処理装置の稼働量を低減する設定が含まれている場合、又は、前記出力条件に前記後処理装置の稼働量を低減しない設定が含まれていない場合、前記設定変更部が、前記処理設定パターンを決定することを特徴とする請求項10に記載の出力システム。
[請求項12]
前記設定受付部が、前記所定の画面において前記後処理装置の稼働量を低減する設定を受け付けた場合、又は、前記所定の画面において前記後処理装置の稼働量を低減しない設定を受け付けない場合、
前記処理設定パターンに含まれる前記出力条件の設定を受け付けられない態様で該出力条件を前記所定の画面に表示することを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の出力システム。
[請求項13]
前記出力機器は、前記出力条件に対応付けて前記後処理装置の稼働量を記憶しており、
前記プリンタドライバは前記端末装置を、
前記出力条件に対応付けられた、前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている場合又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない場合の前記後処理装置の稼働量を用いて、前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている場合又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない場合の前記後処理装置の稼働量を推定する耐久性予測部と、
前記出力機器から取得した前記後処理装置の稼働量と、前記耐久性予測部が推定した前記後処理装置の稼働量を表示する表示部、として機能させることを特徴とする請求項9~12のいずれか1項に記載の出力システム。
[請求項14]
前記出力機器は、前記出力条件に対応付けて前記後処理装置の稼働量を記憶しており、
前記プリンタドライバは前記端末装置を、
前記画像データを出力したジョブ数に対応付けて、
前記出力機器から取得した過去の前記後処理装置の稼働量を累積した第一のラインと、
ジョブ数と前記後処理装置の稼働量の変化の標準的な関係を示す第二のラインと、
前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている場合又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない場合に予測される、ジョブ数と前記後処理装置の稼働量の変化の関係を示す第三のラインと、を表示する表示部として機能させることを特徴とする請求項9~12のいずれか1項に記載の出力システム。
[請求項15]
前記表示部は、前記出力機器から取得した前記後処理装置の稼働量が予め設定された閾値を超えた場合、前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている設定又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない設定にすることを推奨するメッセージを表示することを特徴とする請求項13又は14に記載の出力システム。
[請求項16]
前記設定受付部は、前記出力機器から取得した前記後処理装置の稼働量が予め設定された閾値を超えた場合、前記後処理装置の稼働量を低減する設定がされている状態又は前記後処理装置の稼働量を低減しない設定がされていない状態を初期設定にすることを特徴とする請求項13又は14に記載の出力システム。
【符号の説明】
【0207】
10 出力機器
30 端末装置
100 出力システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0208】