(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077448
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/32 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
H04N1/333
H04N1/32 609
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189551
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】松田 範久
(57)【要約】
【課題】電源の状態が不安定であっても通信機能を使用できる技術を提供する。
【解決手段】通信装置は、外部装置と通信可能であり、通信装置に電力を供給する電源の状態が不安定である場合に、電源の状態に関わらず通信可能な所定の通信規格により外部装置との通信を実行する通信制御部と、電源の状態が不安定である場合に所定の通信規格を用いて通信を実行する旨を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信可能な通信装置であって、
前記通信装置に電力を供給する電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態に関わらず通信可能な所定の通信規格により前記外部装置との通信を実行する通信制御部と、
前記電源の状態が不安定である場合に前記所定の通信規格を用いて前記通信を実行する旨を出力する出力部と、
を備える、通信装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記通信装置に前記電力を供給する商用電源の交流電圧の周波数変動に基づいて前記商用電源の状態が不安定であるかを判断する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記商用電源の交流電圧のゼロクロス点を示すゼロクロス信号に基づいて前記交流電圧の周波数変動を監視する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、
基準時間信号を発生させる基準時間信号発生回路と、
前記基準時間信号および前記ゼロクロス信号を入力して前記基準時間信号が立ち上がっている間にゲートを開いて前記ゼロクロス信号を通過させるゲート回路と、
通過した前記ゼロクロス信号をカウントするカウンタと、
を備え、
前記カウンタのカウンタ値に基づいて前記交流電圧の周波数変動を検出する、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記ゼロクロス信号は前記交流電圧のゼロクロス点ではない非ゼロクロス幅が立ち上がって立ち下がり、前記カウンタは基準時間における前記非ゼロクロス幅の個数をカウントする、請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信制御部は、通信速度が互いに異なる複数の通信規格を使用可能であり、前記電源の状態が不安定であり且つ前記通信が正常終了しない場合に、前記通信速度が比較的速い前記通信規格から前記通信速度が比較的遅い前記通信規格へ自動的にシフトダウンする、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態が安定している通常時よりも遅い通信速度で前記通信を実行する旨と、通信終了までに掛かる残り時間と、を出力する、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記電源の状態が不安定である場合に、前記通信の実行を取消す機能をユーザに提供する、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
外部装置と通信可能な通信装置により実行される通信方法であって、前記通信装置が、
前記通信装置に電力を供給する電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態に関わらず通信可能な所定の通信規格により前記外部装置との通信を実行するステップと、
前記電源の状態が不安定である場合に前記所定の通信規格を用いて前記通信を実行する旨を出力するステップと、
を実行する、通信方法。
【請求項10】
外部装置と通信可能な通信装置のコンピュータに、
前記通信装置に電力を供給する電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態に関わらず通信可能な所定の通信規格により前記外部装置との通信を実行するステップと、
前記電源の状態が不安定である場合に前記所定の通信規格を用いて前記通信を実行する旨の出力を指令するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、通信方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部装置と通信を行う通信装置が知られている。また、通信装置により実行される通信方法、および、通信方法を通信装置のコンピュータに実行させるプログラムが知られている。
【0003】
特許文献1には、交流電源の瞬断に基づいて、交流電源の状態が不安定であると判定された場合に、外部から送信された画像情報に基づき、記録媒体に画像形成する処理を制限する画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電源の状態が不安定である場合に処理を制限する。したがって、通信機能を使用したいにも関わらず、電源の状態が不安定である場合には機能が使用できない状態になる。
【0005】
そこで、本開示は、上記課題に鑑み、電源の状態が不安定であっても通信機能を使用できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の一態様によれば、
外部装置と通信可能な通信装置であって、
前記通信装置に電力を供給する電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態に関わらず通信可能な所定の通信規格により前記外部装置との通信を実行する通信制御部と、
前記電源の状態が不安定である場合に前記所定の通信規格を用いて前記通信を実行する旨を出力する出力部と、
を備える、通信装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電源の状態が不安定であっても通信機能を使用できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る通信装置の概略構成図である。
【
図2】一実施形態に係る通信制御部のハードウェア構成図である。
【
図3】一実施形態に係るゼロクロス信号を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る周波数変動を監視するブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る出力部の構成を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る通信装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係る整形後の電圧信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成要素には同一符号を付与し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
(通信装置の概略構成)
図1は、一実施形態に係る通信装置の概略構成図である。
図1には、通信装置の一例であるMFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)1の概略構成が示されている。
【0011】
MFP1は、スキャナ機能およびプリンタ機能に加えて、通信機能としてファクシミリ通信機能を有する複合機である。MFP1は、AC/DCコンバータ2、スキャナ3、プリンタ4、エンジン制御基板5、コントローラ制御基板6、ファクシミリ制御基板7、操作パネル8、およびネットワーク制御基板9等を備える。
【0012】
AC/DCコンバータ2は、商用電源10から供給される交流電力を直流電力に変換して、画像形成装置1を構成する各種電気部品に電力を供給する回路である。商用電源10は、通信装置に電力を供給する電源の一例である。
【0013】
スキャナ3は、エンジン制御基板5からの指令に応じて用紙等の記録媒体から画像データを読み取る装置である。プリンタ4は、エンジン制御基板5からの指令に応じて画像データを記録媒体に出力する装置である。
【0014】
プリンタ4は、線画を記録媒体に印刷するプロッタであってもよい。プリンタ4には、電子写真方式、インクジェット方式、および感熱方式等のいずれか一つの印字方式が用いられる。プリンタ4は、各種情報を出力する出力部の一例である。出力部は、操作パネル8であってもよい。
【0015】
エンジン制御基板5は、コントローラ制御基板6からの指令に応じてスキャナ3およびプリンタ4を制御する回路基板である。
【0016】
コントローラ制御基板6は、MFP1の全体を制御する回路基板である。コントローラ制御基板6は、各種ハードウェアを各種バスにより接続して構成される。コントローラ制御基板6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等を備える。またコントローラ制御基板は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびHDD(Hard Disk Drive)等をさらに備える。
【0017】
コントローラ制御基板6は、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、プログラムをCPUで実行することにより、MFP1の全体を制御する。ASICは、画像処理用途向けの集積回路であり、各種バスを介してHDDを含む各種ハードウェアを中継する。
【0018】
ファクシミリ制御基板7は、通信回線を通じた外部装置とのファクシミリ通信を制御する回路基板である。ファクシミリ制御基板7は、PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)回線等の通信回線に接続される。ファクシミリ制御基板7は、PBX(Private Branch eXchange:構内交換機)回線等の通信回線に接続されてもよい。通信相手である外部装置には、ファクシミリ制御基板7と同じ通信規格に対応したMFPおよびファクシミリ通信端末等のいずれか一つが含まれる。ファクシミリ制御基板7は、通信制御部の一例である。
【0019】
操作パネル8は、ユーザからの入力を受付けると共に、各種情報を出力する装置である。ユーザには、MFP1の利用者の他、MFP1のサービスマン等の管理者が含まれる。操作パネル8には、例えば、タッチパネル、LED(Light Emitting Diode)ライト等が用いられる。操作パネル8は、各種情報を出力する出力部の一例である。
【0020】
ネットワーク制御基板9は、ネットワークを通じた外部装置とのネットワーク通信を制御する回路基板である。ネットワークには、LAN(Local Area Network)およびWAN(Wide Area Network)の少なくとも一方が含まれ、WANには、インターネット、移動体通信網、および衛星通信網等の少なくとも一つが含まれる。
【0021】
ネットワーク制御基板9は、CPU、ROM、およびRAM等を有するコンピュータを備える。ネットワーク制御基板9は、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、プログラムをCPUで実行することにより、ネットワーク通信を実行する。通信相手である外部装置には、サーバ、MFP、PC(Personal Computer)、および携帯端末等のいずれか一つが含まれる。
【0022】
ファクシミリ送信の際、操作パネル8は、ユーザからのファクシミリ送信指示を受付ける。コントローラ制御基板6は、操作パネル8からのファクシミリ送信指示に応じて、スキャナ3に配置された用紙等の記録媒体から画像データを読み取る制御をエンジン制御基板5に実行させる。エンジン制御基板5は、スキャナ3に対して記録媒体から画像データを読み取る制御を行い、読み取られた画像データを、コントローラ制御基板6を介してファクシミリ制御基板7に送出する。ファクシミリ制御基板7は、読み取られた画像データを外部装置へファクシミリ送信する。
【0023】
ファクシミリ受信の際、ファクシミリ制御基板7は、外部装置から画像データをファクシミリ受信して、コントローラ制御基板6に送出する。コントローラ制御基板6は、ファクシミリ受信した画像データをHDDに保存する。或いは、コントローラ制御基板6は、ファクシミリ受信した画像データをエンジン制御基板5に送出して、画像データを記録媒体に出力する制御をエンジン制御基板5に実行させる。エンジン制御基板5は、ファクシミリ受信した画像データをコントローラ制御基板6から受付け、プリンタ4に対して画像データを記録媒体に印刷する制御を行う。
【0024】
(通信制御部のハードウェア構成)
図2は、一実施形態に係る通信制御部のハードウェア構成図である。通信制御部の一例であるファクシミリ制御基板7は、AC/DCコンバータ2から直流電力を供給される。
【0025】
ファクシミリ制御基板7は、コントローラ制御基板6から画像データを受付けて、画像データを外部装置へファクシミリ送信する。またファクシミリ制御基板7は、外部装置から画像データをファクシミリ受信して、コントローラ制御基板6に送出する。
【0026】
ファクシミリ制御基板7は、コンピュータおよびNCU(Network Control Unit:網制御装置)等を備える。ファクシミリ制御基板7は、コンピュータとして、CPU11、SRAM(Static RAM)12、FROM(Flash ROM)13、およびDRAM(Dynamic RAM)14等を備える。
【0027】
SRAM12は、各種設定データ等を保存する不揮発性メモリである。FROM13は、各種プログラム等を保存するメモリである。DRAM14は、CPU11のワーキングエリアとして利用され、各種データを記憶するメモリである。CPU11は、FROM13に保存された各種プログラムに従ってSRAM12に保存された各種設定データを用いて各種処理を実行する。
【0028】
CPU11は、FROM13に保存された各種プログラムにより、ファクシミリの通信制御機能、画像データの符号化機能(圧縮伸張機能)、および画像データの変復調機能(モデム機能)等の各種機能を実現する。
【0029】
CPU11は、ITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication standardization sector)勧告の通信規格によりファクシミリ通信を制御する。例えばCPU11は、G3およびスーパーG3等のいずれか一つの通信規格によりファクシミリ通信を実行する。CPU11は、発呼制御、着呼制御、回線接続の開始制御および切断制御、およびファクシミリ番号の通知制御等を実行する。
【0030】
またCPU11は、MH(Modified Huffman)、MR(Modified Read)およびMMR(Modified Modified Read)等の符号化方式を使用可能である。CPU11は、MH、MR、およびMMRのうちのいずれか一つの符号化方式を選択して画像データの符号化処理を実行する。
【0031】
またCPU11は、通信速度が互いに異なる複数の通信規格を使用可能である。CPU11は、V.34、V.17、V.29、およびV.27ter等のうちのいずれか一つのITU-T勧告の通信規格を選択して画像データの変復調処理を実行する。
【0032】
V.34の最高通信速度は33.6kbpsであり、V.17の最高通信速度は14.4kbpsであり、V.29の最高通信速度は9.6kbpsであり、V.27terの最高通信速度は4.8kppsである。つまり、V.34、V.17、V.29、V.27terの順に通信速度が段階的に遅くなるが、通信速度が遅いほど電源のノイズまたは瞬断の影響を受け難い特徴を有している。
【0033】
ファクシミリ制御基板7は、NCUとして、SiDAA(Silicon Data Access Arrangement)15~16、スピーカ駆動回路17、スピーカ18、通信回路19、リレー21、および鳴動回路23をさらに備える。CPU11は、FROM13に保存された各種プログラムに従ってNCUを制御する。なお、NCUの機能は、MFP1の外部機器が担当してもよい。
【0034】
SiDAA(SSD)15は、SiDAAのシステムサイドデバイスである。SiDAA(SSD)15は、ファクシミリ通信時にスピーカ駆動回路17を制御する。スピーカ駆動回路17は、ファクシミリ通信時のモニタ音声信号をスピーカ18に出力する。またSiDAA(SSD)15は、CPU11とSiDAA(LSD)16との間で各種制御信号および画像データの送受信を行う。
【0035】
SiDAA(LSD)16は、SiDAAのラインサイドデバイスである。SiDAA(LSD)16は、通信回路19を制御する。通信回路19は、PSTN等の通信回線20を介してファクシミリ制御基板7と外部装置との間で各種制御信号および画像データの送受信を行う。SiDAA(LSD)16は、通信回路19と共に、回線接続、回線解放、呼出信号の検出、および極性反転の検出等を行う。
【0036】
通信回路19は、PSTN等の通信回線20およびハンドセット等の外付け電話22に接続するインタフェースである。鳴動回路23は、外付け電話22がリレー21により通信回線20から切り離されている場合に、鳴動信号を生成して外付け電話22等を鳴動させる。
【0037】
(通信装置による通信方法)
以下、通信装置として機能するMFP1による通信方法の一例について説明する。
【0038】
従来の技術では、商用電源10にノイズまたは瞬断が発生した場合、各種機能を制限してしまうので、ファクシミリ機能を使用したいにも関わらず、商用電源10の状態が不安定である場合にはファクシミリ機能を使用できない問題があった。
【0039】
そこで、本実施形態に係るMFP1は、商用電源10の状態が不安定であってもファクシミリ機能を使用できる通信方法を実行する。
【0040】
商用電源10の状態が安定した状態である場合、ファクシミリ制御基板7は、通信速度が最も速いV.34の通信規格により外部装置とのファクシミリ通信を実行する。
【0041】
一方、商用電源10の状態が不安定である場合、ファクシミリ制御基板7は、商用電源10の状態に関わらず通信可能なV.17の通信規格によりファクシミリ通信を実行する。
【0042】
但し、ファクシミリ制御基板7は、商用電源10の状態が不安定であり且つV.17の通信規格を用いてもファクシミリ通信が正常終了しない場合、V.17よりも通信速度が遅いV.29の通信規格によりファクシミリ通信を実行してもよい。
【0043】
さらにファクシミリ制御基板7は、商用電源10の状態が不安定であり且つV.29の通信規格を用いてもファクシミリ通信が正常終了しない場合、V.29よりも通信速度が遅いV.27terの通信規格によりファクシミリ通信を実行してもよい。
【0044】
つまりファクシミリ制御基板7は、商用電源10の状態が不安定である場合にファクシミリ通信が正常終了しないときは、通信速度が比較的速い通信規格(V.17等)から通信速度が比較的遅い通信規格(V.29等)へ自動的にシフトダウンしてもよい。
【0045】
ファクシミリの通信速度が比較的遅い場合、通信費が高くなるため、コストの観点では比較的速い通信速度の通信規格(V.34等)を選択することが好ましい。しかし、商用電源10のノイズまたは瞬断の影響により、ファクシミリ通信がエラーになる場合、ファクシミリ制御基板7は、画像データを確実に送受信可能な通信規格を選択する。
【0046】
そこで、ファクシミリ制御基板7は、商用電源10のノイズまたは瞬断の状態を監視して、監視結果をもとに通信規格を変更する。
【0047】
商用電源10のノイズまたは瞬断の状態の監視方法として、ファクシミリ制御基板7は、例えば商用電源10の交流電圧の周波数変動を監視する。ファクシミリ制御基板7は、商用電源10の交流電圧の周波数変動が所定の閾値(例えば1Hz)を超える場合に、商用電源10の状態が不安定であると判断する。
【0048】
例えば商用電源10の交流電圧の周波数が50Hzである場合、ファクシミリ制御基板7は、交流電圧の周波数変動が1Hzを超える場合に(交流電圧の周波数が49Hz未満または51Hz超の場合に)、商用電源10の状態が不安定であると判断する。
【0049】
交流電圧の周波数変動の検出方法として、ファクシミリ制御基板7は、例えば商用電源10の交流電圧のゼロクロス点を示すゼロクロス信号を監視することが好ましい。ファクシミリ制御基板7は、AC/DCコンバータ2からゼロクロス信号を入力する。
【0050】
図3は、一実施形態に係るゼロクロス信号V0を示す図である。ゼロクロス信号V0は、AC/DCコンバータ2により生成される。AC/DCコンバータ2は、例えば、ダイオードブリッジ整流回路、抵抗分圧回路、およびフォトカプラ等を備える。
【0051】
ダイオードブリッジ整流回路は、商用電源10の交流電流を全波整流して、整流後の電圧信号V2を出力する。抵抗分圧回路は、整流後の出力電流を所定の電圧に降圧する。フォトカプラの発光素子は、所定の電圧に降圧された出力電流により駆動され、フォトカプラの受光素子は、パルス波のゼロクロス信号V0を出力する。AC/DCコンバータ2は、ゼロクロス信号V0をファクシミリ制御基板7に送出する。
【0052】
ゼロクロス信号V0には、交流電圧のゼロクロス点ではない非ゼロクロス幅が含まれる。非ゼロクロス幅は、交流電圧の半周期ごとに立ち上がって立ち下がる。
【0053】
ファクシミリ制御基板7は、1秒間当たりの非ゼロクロス幅の個数/2を算出することにより、商用電源10の交流電圧の周波数を計測する。例えば1秒間に非ゼロクロス幅の数が96個であった場合は、交流電圧の周波数は48Hzということになる。
【0054】
商用電源10の基準周波数が50Hzであり、実際に計測した計測周波数が48Hzであった場合は、周波数変動が閾値1Hz以上あるため、ファクシミリ制御基板7は、商用電源10の状態が不安定であると判断する。
【0055】
以上のように周波数変動の検出方法として、交流電圧のゼロクロス点を示すゼロクロス信号V0を用いる場合、交流電圧の周波数変動を半周期ごとに監視することになる。したがって、交流電圧の周波数変動を1周期ごとに監視する場合に比べて、交流電圧の周波数の計測精度を高めることができる。
【0056】
図4は、一実施形態に係る周波数変動を監視するブロック図である。ファクシミリ制御基板7は、商用電源10の交流電圧の周波数を計測する周波数カウンタ30を備える。周波数カウンタ30は、基準時間信号発生回路31、ゲート回路32、およびカウンタ33等を備える。
【0057】
基準時間信号発生回路31は、水晶発振器等のクロック信号をもとに1秒間立ち上がって立ち下がるパルス波の基準時間信号CLKを発生させて、基準時間信号CLKをゲート回路32に送出する。
【0058】
ゲート回路32は、例えばAND(論理積)回路である。ゲート回路32は、基準時間信号CLおよびゼロクロス信号V0を入力して、基準時間信号CLKが立ち上がっている1秒間にゲートを開いてゼロクロス信号V0′を通過させる。ゲート回路32は、通過したゼロクロス信号V0′をカウンタ33に送出する。
【0059】
カウンタ33は、基準時間(1秒間等)におけるゼロクロス信号V0′の非ゼロクロス幅V01の個数をカウントして、カウンタ値CvをDRAM14等のメモリに送出する。
【0060】
なお、ゼロクロス信号V0において交流電圧のゼロクロス点であるゼロクロス幅が立ち上がって立ち下がる場合、カウンタ33は、基準時間(1秒間等)におけるゼロクロス信号V0′のゼロクロス幅の個数をカウントしてもよい。しかし、カウンタ33がゼロクロス幅よりも時間的に長い非ゼロクロス幅をカウントすることにより、交流電圧の周波数の計測精度を高めることができる。
【0061】
CPU11は、MFP1の起動後、DRAM14等のメモリからカウンタ値Cvを取得して、カウンタ値Cvをもとに商用電源10の交流電圧の周波数変動fvを監視する。
【0062】
以下の式(1)は、周波数変動fvの算出式および監視結果Mvの判定式である。なお、frは商用電源10の交流電圧の基準周波数(50Hz等)であり、Thは周波数変動fvの閾値(1Hz等)であり、Mvは監視結果(0は周波数変動なし、1は周波数変動あり)である。
【0063】
【0064】
CPU11は、商用電源10の交流電圧の周波数変動fvが閾値Th以内である場合には(監視結果Mv=0の場合)、商用電源10の状態が安定した状態であると判断して、V.34の通信規格を用いてファクシミリ通信(受信または送信)を実行する。
【0065】
一方、CPU11は、商用電源10の交流電圧の周波数変動fvが閾値Thを超える場合には(監視結果Mv=1の場合)、商用電源10の状態が不安定であると判断して、V.17の通信規格を用いてファクシミリ通信(受信または送信)を実行する。
【0066】
またCPU11は、商用電源10の状態が不安定であり且つV.17の通信規格を用いてもファクシミリ通信が正常終了しない場合、V.17よりも通信速度が遅いV.29、V.27ter等の通信規格へシフトダウンしてもよい。
【0067】
(出力部の構成)
図5は、一実施形態に係る出力部の構成を示す図である。出力部の一例である操作パネル8は、商用電源10の状態が不安定である場合に、ファクシミリ制御基板7からの指令に応じて出力する出力画面40を備える。
【0068】
操作パネル8の出力画面40には、電源の状態が不安定であるため、電源の影響を受け難い通信規格(V.17、V.29またはV.27ter等)によりファクシミリを実行中である旨が表示される。斯かる表示により、ユーザは電源の状態が不安定であってもファクシミリ機能を使用できることを認識できる。
【0069】
また操作パネル8の出力画面40には、電源の状態が安定している通常時よりも遅い通信速度でファクシミリを実行している旨が表示されてもよい。さらに操作パネル8の出力画面40には、通信終了までに掛かる残り時間が表示されることが好ましい。操作パネル8が通信時間に関する表示を行うことにより、ユーザの利便性を高めることができる。
【0070】
また操作パネル8は、ファクシミリの実行を取消す機能をユーザに提供することが好ましい。例えば操作パネル8の出力画面40には、ファクシミリの実行を取消す取消ボタン41が表示される。通信の取消し機能により、ユーザに選択肢を付与することができる。
【0071】
なお、出力部は、操作パネル8に限定されるものではなく、プリンタ4であってもよい。プリンタ4は、商用電源10の状態が不安定である場合に、ファクシミリ制御基板7の指令に応じて出力画面40と同じ内容を記録媒体に印刷する。
【0072】
また出力部は、ネットワーク制御基板9であってもよい。ネットワーク制御基板9は、商用電源10の状態が不安定である場合に、ファクシミリ制御基板7の指令に応じて出力画面40と同じ内容を電子メールに添付して外部装置へ送信する。
【0073】
(通信装置の処理手順)
図6は、一実施形態に係る通信装置の処理手順を示すフローチャートである。通信装置の一例であるMFP1は、斯かる処理手順を記述したプログラムをプロセッサに実行させる。
【0074】
<ステップS10>
MFP1は、主電源の投入により起動する。
【0075】
<ステップS11>
MFP1は、起動した後、ファクシミリ制御基板7により、商用電源10の交流電圧の周波数変動fvの監視を開始する。例えばMFP1は、AC/DCコンバータ2から入力したゼロクロス信号V0をもとに交流電圧の周波数変動fvの監視を開始する。具体的には、MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、ゼロクロス信号V0の非ゼロクロス幅V01をカウントする周波数カウンタ30を用いて交流電圧の周波数変動fvを監視する。
【0076】
<ステップS12>
MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、NCUからファクシミリ通信指示(受信指示)を受付ける。或いは、MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、操作パネル8からファクシミリ通信指示(送信指示)を受付ける。
【0077】
<ステップS13>
MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、ファクシミリ通信の開始前に、商用電源10の交流電圧の周波数変動の監視結果Mvをメモリから参照する。
【0078】
<ステップS14>
MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、商用電源10の交流電圧の周波数変動fvが閾値Th(1Hz等)以内であるか(監視結果Mvが1であるかまたは0であるか)を判定する。
【0079】
<ステップS15>
MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、商用電源10の交流電圧の周波数変動が閾値以内であると判定した場合(ステップS14のYES)、商用電源10の状態が安定した状態であると判断する。そしてMFP1は、ファクシミリ制御基板7により、通信速度が比較的高速なV.34の通信規格によりファクシミリ通信(受信または送信)を実行する。
【0080】
<ステップS16>
MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、ファクシミリ通信(受信または送信)を正常終了する。
【0081】
<ステップS17>
一方、MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、商用電源10の交流電圧の周波数変動が閾値を超えると判定した場合(ステップS14のNO)、商用電源10の状態が不安定であると判断する。そしてMFP1は、ファクシミリ制御基板7により、商用電源10の状態に関わらず通信可能なV.17の通信規格によりファクシミリ通信(受信または送信)を実行する。
【0082】
またMFP1は、商用電源10の状態が不安定であり且つファクシミリ通信が正常終了しない場合、ファクシミリ制御基板7により、通信速度が比較的速い通信規格から通信速度が比較的遅い通信規格(V.29等)へ自動的にシフトダウンしてもよい。
【0083】
<ステップS18>
MFP1は、ファクシミリ制御基板7により、ファクシミリ通信(受信または送信)を正常終了する。
【0084】
(変形例1)
以下、通信装置の変形例について説明する。通信装置は、ファクシミリ通信を行う通信装置に限定されるものではなく、ネットワーク通信を行う通信装置であってもよい。例えば通信装置は、プロジェクタ、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ、およびデスクトップPC等のうちのいずれか一つであってもよい。
【0085】
或いは、通信装置は、自動車(Connected Car)、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、医療機器、およびネットワーク家電等のいずれか一つであってもよい。また通信装置は、ノートPC、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC、および等のいずれか一つであってもよい。
【0086】
(変形例2)
通信制御部は、画像データをファクシミリにより送受信するファクシミリ制御基板7に限定されるものではなく、ネットワークを通じて各種データを送受信するネットワーク制御基板9であってもよい。
【0087】
ネットワーク制御基板9は、通信速度が互いに異なる複数の通信規格を使用可能である。例えばネットワーク制御基板9は、ファクシミリ制御基板7を中継するゲートウェイ機能を有し、T.38、T.37等のうちのいずれか一つのITU-T勧告の通信規格を選択して画像データのネットワーク通信を実行してもよい。
【0088】
T.38は、IP(Internet Protocol)ネットワーク上でリアルタイムにファクシミリ通信を行う、いわゆるIP-ファックスの通信規格であり、T.37よりもリアルタイム性が高い。一方、T.37は、電子メールにファクシミリデータを添付してファクシミリ通信を行う、いわゆるインターネットファックスの通信規格であり、T.38よりもリアルタイム性は劣るが、ファクシミリデータを確実に送受信できる。
【0089】
ネットワーク制御基板9は、商用電源10の状態が安定した状態である場合、リアルタイム性が高いT.38の通信規格により外部装置とのファクシミリ通信を実行する。
【0090】
一方、ネットワーク制御基板9は、商用電源10の状態が不安定である場合、商用電源10の状態に関わらず通信可能なT.37の通信規格により外部装置とのファクシミリ通信を実行する。
【0091】
(変形例3)
ネットワーク制御基板9は、UDP(User Datagram Protocol)およびTCP(Transmission Control Protocol)等のうちのいずれか一つの通信プロトコルを使用可能である。ネットワーク制御基板9は、UDPおよびTCP等のうちのいずれか一つの通信プロトコルを選択して外部装置とのネットワーク通信を実行してもよい。UDPおよびTCP等の通信プロトコルは、通信規格の一例である。
【0092】
UDPは、コネクションレス型の通信プロトコルであり、リアルタイム性が高く、TCPよりも通信速度が速い。一方、TCPは、コネクション型の通信プロトコルであり、ハンドシェーク機能、確認応答機能、順序制御機能、および再送制御機能等を有し、UDPよりも信頼性が高いが、通信速度は遅い。
【0093】
ネットワーク制御基板9は、商用電源10の状態が安定した状態である場合、リアルタイム性が高いUDPの通信プロトコルにより外部装置とのネットワーク通信を実行する。
【0094】
一方、ネットワーク制御基板9は、商用電源10の状態が不安定である場合、商用電源10の状態に関わらず通信可能なTCPの通信プロトコルにより外部装置とのネットワーク通信を実行する。
【0095】
(変形例4)
交流電圧の周波数変動の検出方法は、ゼロクロス信号を用いる方法に限定されるものではなく、交流電圧の周波数を直接監視する方法であってもよい。
【0096】
図7は、変形例に係る整形後の電圧信号V3を示す図である。整形後の電圧信号V3は、AC/DCコンバータ2により生成される。AC/DCコンバータ2は、例えば、抵抗分圧回路およびフォトカプラ等を備える。
【0097】
抵抗分圧回路は、商用電源10の交流電流を所定の電圧に降圧する。フォトカプラの発光素子は、所定の電圧に降圧された出力電流により駆動され、フォトカプラの受光素子は、パルス波の整形後の電圧信号V3を出力する。AC/DCコンバータ2は、交流電流を直接整形した電圧信号V3をファクシミリ制御基板7に送出する。
【0098】
整形後の電圧信号V3には、交流電圧の1周期ごとに立ち上がって立ち下がるパルス幅が含まれる。
【0099】
ファクシミリ制御基板7は、1秒間当たりのパルス幅の個数を算出することにより、商用電源10の交流電圧の周波数を計測する。例えば商用電源10の交流電圧の基準周波数が50Hzであり、実際に計測した計測周波数が48Hzである場合は、周波数変動が閾値1Hz以上あるため、ファクシミリ制御基板7は、商用電源10の状態が不安定であると判断する。
【0100】
整形後の電圧信号V3は、交流電圧の1周期ごとに立ち上がって立ち下がるパルス幅を含み、カウンタはパルス幅の個数をカウントする。したがって、ゼロクロス信号を用いる場合と比べて交流電圧の周波数の計測精度は劣るが、AC/DCコンバータ2の構成をより簡素化することができる。
【0101】
(変形例5)
通信制御部の一例であるファクシミリ制御基板7は、AC/DCコンバータ2から直流電力を供給されるが、バッテリー等の二次電池から直流電力を供給されてもよい。
【0102】
ファクシミリ制御基板7は、二次電池から供給される直流電圧の変動に基づいて二次電池の状態が不安定であるかを判断する。
【0103】
例えばファクシミリ制御基板7は、抵抗分圧回路および正常カウンタを備える。抵抗分圧回路は、二次電池からの出力電流を所定の電圧に降下して、パルス波のモニタ電圧信号を正常カウンタに送出する。正常カウンタは、抵抗分圧回路からモニタ電圧信号のパルス波をカウントする。
【0104】
ファクシミリ制御基板7は、正常カウンタが閾値以上である場合には、二次電池の状態が安定した状態であると判断して、V.34の通信規格を用いてファクシミリ通信(受信または送信)を実行する。
【0105】
ファクシミリ制御基板7は、正常カウンタが閾値未満である場合には、二次電池の状態が不安定であると判断して、V.17の通信規格を用いてファクシミリ通信(受信または送信)を実行する。
【0106】
(作用効果)
以上の実施形態によれば、通信装置の一例であるMFP1は、商用電源10の状態が不安定であっても通信機能を使用することができる。
【0107】
またMFP1は、商用電源10の交流電圧の周波数変動に基づいて商用電源10の状態が不安定であるかを判断するため、商用電源10におけるノイズの有無または瞬断の有無を監視する場合と比べて構成を簡素化することができる。
【0108】
また商用電源10の交流電圧の周波数変動の検出方法として、交流電圧のゼロクロス点を示すゼロクロス信号V0を用いる場合、交流電圧の周波数変動を半周期ごとに監視することになる。したがって、MFP1は、交流電圧の周波数変動を1周期ごとに監視する場合に比べて、交流電圧の周波数の計測精度を高めることができる。
【0109】
またゼロクロス信号V0は交流電圧のゼロクロス点ではない非ゼロクロス幅が立ち上がって立ち下がり、カウンタ33は基準時間(1秒間等)における非ゼロクロス幅の個数をカウントする。カウンタ33が交流電圧のゼロクロス点であるゼロクロス幅よりも時間的に長い非ゼロクロス幅をカウントすることにより、交流電圧の周波数の計測精度を高めることができる。
【0110】
またファクシミリ制御基板7は、商用電源10の状態が不安定であり且つファクシミリ通信が正常終了しない場合に、通信速度が比較的速い通信規格(V.17等)から通信速度が比較的遅い通信規格(V.29等)へ自動的にシフトダウンする。したがって、ファクシミリ制御基板7は、商用電源10の状態が不安定であっても画像データを確実に送受信できる。
【0111】
出力部の一例である操作パネル8は、商用電源10の状態が不安定である場合に、商用電源10の状態が安定している通常時よりも遅い通信速度でファクシミリ通信を実行する旨と、通信終了までに掛かる残り時間と、を表示する。操作パネル8が通信時間に関する表示を行うことにより、ユーザの利便性を高めることができる。
【0112】
また操作パネル8は、商用電源10の状態が不安定である場合に、ファクシミリ通信の実行を取消す機能をユーザに提供する。通信の取消し機能により、ユーザに選択肢を付与することができる。
【0113】
上記で説明した実施形態の各種機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」には、電子回路で実装するプロセッサのようにソフトウェアで各機能を実行するようにプログラミングしたプロセッサが含まれる。また「処理回路」には、各機能を実行するように設計されたASICおよびDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかのデバイスが含まれる。また「処理回路」には、FPGA(Field Programmable Gate Array)および従来の回路モジュール等のデバイスが含まれる。
【0114】
本開示の態様は、例えば以下の通りである。
<1> 外部装置と通信可能な通信装置であって、
前記通信装置に電力を供給する電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態に関わらず通信可能な所定の通信規格により前記外部装置との通信を実行する通信制御部と、
前記電源の状態が不安定である場合に前記所定の通信規格を用いて前記通信を実行する旨を出力する出力部と、
を備える、通信装置。
<2> 前記通信制御部は、前記通信装置に前記電力を供給する商用電源の交流電圧の周波数変動に基づいて前記商用電源の状態が不安定であるかを判断する、前記<1>に記載の通信装置。
<3> 前記通信制御部は、前記商用電源の交流電圧のゼロクロス点を示すゼロクロス信号に基づいて前記交流電圧の周波数変動を監視する、前記<2>に記載の通信装置。
<4> 前記通信制御部は、
基準時間信号を発生させる基準時間信号発生回路と、
前記基準時間信号および前記ゼロクロス信号を入力して前記基準時間信号が立ち上がっている間にゲートを開いて前記ゼロクロス信号を通過させるゲート回路と、
通過した前記ゼロクロス信号をカウントするカウンタと、
を備え、
前記カウンタのカウンタ値に基づいて前記交流電圧の周波数変動を検出する、前記<3>に記載の通信装置。
<5> 前記ゼロクロス信号は前記交流電圧のゼロクロス点ではない非ゼロクロス幅が立ち上がって立ち下がり、前記カウンタは基準時間における前記非ゼロクロス幅の個数をカウントする、前記<4>に記載の通信装置。
<6> 前記通信制御部は、通信速度が互いに異なる複数の通信規格を使用可能であり、前記電源の状態が不安定であり且つ前記通信が正常終了しない場合に、前記通信速度が比較的速い前記通信規格から前記通信速度が比較的遅い前記通信規格へ自動的にシフトダウンする、前記<1>から<5>のいずれか一つに記載の通信装置。
<7> 前記出力部は、前記電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態が安定している通常時よりも遅い通信速度で前記通信を実行する旨と、通信終了までに掛かる残り時間と、を出力する、前記<1>から<5>のいずれか一つに記載の通信装置。
<8> 前記出力部は、前記電源の状態が不安定である場合に、前記通信の実行を取消す機能をユーザに提供する、前記<7>に記載の通信装置。
<9> 外部装置と通信可能な通信装置により実行される通信方法であって、前記通信装置が、
前記通信装置に電力を供給する電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態に関わらず通信可能な所定の通信規格により前記外部装置との通信を実行するステップと、
前記電源の状態が不安定である場合に前記所定の通信規格を用いて前記通信を実行する旨を出力するステップと、
を実行する、通信方法。
<10> 外部装置と通信可能な通信装置のコンピュータに、
前記通信装置に電力を供給する電源の状態が不安定である場合に、前記電源の状態に関わらず通信可能な所定の通信規格により前記外部装置との通信を実行するステップと、
前記電源の状態が不安定である場合に前記所定の通信規格を用いて前記通信を実行する旨の出力を指令するステップと、
を実行させる、プログラム。
【符号の説明】
【0115】
1 MFP
2 AC/DCコンバータ
3 スキャナ
4 プリンタ
5 エンジン制御基板
6 コントローラ制御基板
7 ファクシミリ制御基板
8 操作パネル
9 ネットワーク制御基板
10 商用電源
11 CPU
12 SRAM
13 FROM
14 DRAM
15 SiDAA(SSD)
16 SiDAA(LSD)
17 スピーカ駆動回路
18 スピーカ
19 通信回路
20 通信回線
21 リレー
22 外付け電話
23 鳴動回路
30 周波数カウンタ
31 基準時間信号発生回路
32 ゲート回路
33 カウンタ
40 出力画面
41 取消ボタン
V0 ゼロクロス信号
V1 交流電圧
V2 整流後の電圧信号
V3 整形後の電圧信号
CLK 基準時間信号
Cv カウンタ値
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】