(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077450
(43)【公開日】2024-06-07
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム、情報表示方法、チャットシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240531BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189555
(22)【出願日】2022-11-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】竹原 健
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】端末装置から第二の情報を要求された第一の情報の顧客接点ごとの分析結果を表示すること。
【解決手段】本発明は、第一の端末装置から送信された第一の情報に対し第二の情報を前記第一の端末装置へ返す応答処理部と、前記第一の情報、及び、前記第一の情報の入力の際に使用された顧客接点情報が対応付けられた履歴情報に基づいて、前記顧客接点情報ごとに前記第一の情報の分析結果を表示する情報を第二の端末装置に送信する通信部と、を有することを特徴とする情報処理システムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の端末装置から送信された第一の情報に対し第二の情報を前記第一の端末装置へ返す応答処理部と、
前記第一の情報、及び、前記第一の情報の入力の際に使用された顧客接点情報が対応付けられた履歴情報に基づいて、
前記顧客接点情報ごとに前記第一の情報の分析結果を表示する情報を第二の端末装置に送信する通信部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第一の端末装置が前記第一の情報を送信した宛先のアドレスから前記顧客接点情報を特定し、前記第一の情報、回答に使用された前記第二の情報、及び、前記顧客接点情報を対応付けて前記履歴情報として保存する情報管理部、
を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報管理部は、更に、前記第一の端末装置から送信されたユーザーの識別情報を、前記第一の情報、前記第二の情報、及び、前記顧客接点情報と対応付けて前記履歴情報として保存することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記アドレスはURLであり、前記情報管理部は、前記URLの最後のパス名を前記顧客接点情報の識別情報として特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記URLの最後のパス名は、前記顧客接点情報の識別情報がハッシュ化されたものであり、前記情報管理部は、顧客接点情報記憶部に登録されている全ての前記顧客接点情報の識別情報をハッシュ化し、前記URLの最後のパス名と一致する前記顧客接点情報の識別情報を特定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記アドレスはURLであり、前記情報管理部は、顧客接点情報記憶部において前記URLに対応付けられている前記顧客接点情報の識別情報を特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記応答処理部は、前記URLから最後のパス名を除いた前記URLによりチャットボットを特定し、前記顧客接点情報に関わらず、同じチャットボットにより前記第二の情報を決定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記応答処理部は、顧客接点情報記憶部において前記顧客接点情報に対応付けられたカテゴリ情報を取得し、前記カテゴリ情報で制限された範囲の質問回答情報を、前記顧客接点情報を使用して入力された前記第一の情報で検索することで前記第二の情報を決定することを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第二の端末装置から前記顧客接点情報の名称と共に、前記顧客接点情報の追加要求を受信した場合、前記顧客接点情報に識別情報を付与し、前記アドレスを生成し、前記顧客接点情報の識別情報と前記アドレスを対応付けて顧客接点情報記憶部に保存する顧客接点受付部を有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記顧客接点受付部は、前記第二の端末装置から受信した、前記顧客接点情報において使用されるチャットボットのカテゴリ情報を、前記顧客接点情報の識別情報と前記アドレスを対応付けて顧客接点情報記憶部に保存することを特徴とする請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記通信部は、前記アドレスを前記第二の端末装置に送信し、前記第二の端末装置が前記アドレスを表示することを特徴とする請求項9又は10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記アドレスは、Webページ、電子メール、ECサイト、SNS、ブログ、又は広告に配置され、
前記第一の端末装置が前記アドレスを宛先に前記第一の情報を送信することを特徴とする請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記アドレスは、二次元コードに変換されてから印刷され、
前記第一の端末装置が前記二次元コードを撮像して取得した前記アドレスを宛先に前記第一の情報を送信することを特徴とする請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記顧客接点情報ごとに複数の前記第一の情報が含むキーワードと数を分析する分析部と、
前記顧客接点情報ごとに前記キーワードと数を表示する画面を作成する画面生成部と、を有し、
前記第一の端末装置が前記画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記画面生成部は、同じユーザーの識別情報に対応付けられている、前記第一の情報を表示する画面を作成し、
前記第一の端末装置が前記画面を表示することを特徴とする請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記第一の端末装置が表示する前記画面は、前記顧客接点情報の選択欄を有し、
前記第一の端末装置は、ユーザーが選択した前記顧客接点情報から送信された前記第一の情報のみを表示することを特徴とする請求項15に記載の情報処理システム。
【請求項17】
情報処理システムを、
第一の端末装置から送信された第一の情報に対し第二の情報を前記第一の端末装置へ返す応答処理部と、
前記第一の情報、及び、前記第一の情報の入力の際に使用された顧客接点情報が対応付けられた履歴情報に基づいて、
前記顧客接点情報ごとに前記第一の情報の分析結果を表示する情報を第二の端末装置に送信する通信部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項18】
情報処理システムが行う情報表示方法であって、
第一の端末装置から送信された第一の情報に対し第二の情報を前記第一の端末装置へ返す処理と、
前記第一の情報、及び、前記第一の情報の入力の際に使用された顧客接点情報が対応付けられた履歴情報に基づいて、
前記顧客接点情報ごとに前記第一の情報の分析結果を表示する情報を第二の端末装置に送信する処理と、
を実行することを特徴とする情報表示方法。
【請求項19】
第一の端末装置、及び、第二の端末装置と、ネットワークを介して情報処理システムが通信できるチャットシステムであって、
前記情報処理システムは、
第一の端末装置から送信された第一の情報に対し第二の情報を前記第一の端末装置へ返す応答処理部と、
前記第一の情報、及び、前記第一の情報の入力の際に使用された顧客接点情報が対応付けられた履歴情報に基づいて、
前記顧客接点情報ごとに前記第一の情報の分析結果を表示する情報を第二の端末装置に送信する通信部を、を有し、
前記第一の端末装置は、
前記第一の情報、及び、前記第一の情報の入力の際に使用された顧客接点情報を特定できる情報を前記情報処理システムに送信し、前記情報処理システムから受信した第二の情報を表示し、
前記第二の端末装置は、
前記顧客接点情報ごとの前記履歴情報の分析を前記情報処理システムに要求し、前記情報処理システムから受信した、前記顧客接点情報ごとの前記分析結果を表示することを特徴とするチャットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム、情報表示方法、及びチャットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業がユーザー対応を行う際、オペレータ又はチャットボットがユーザーからの問い合わせに対して回答するチャットサービスが知られている。企業は、チャットボットを利用することにより営業時間外でもユーザー対応が可能となり、また、より多くのユーザーの声を収集することができる。企業では、ユーザー対応により収集した情報を分析することで、自社サービスの課題やユーザーの関心事を顕在化して問題点を改善することができる。
【0003】
ユーザーとチャットボットとの会話の履歴情報に基づき、企業側がユーザーの関心事や動線を分析する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、問い合わせ内容を複数の指標に基づいて分析した複数の分析結果を一覧表示する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、端末装置から質問に対する回答等の第二の情報の要求のために送信された質問等の第一の情報が顧客接点ごとに分析されていない。
【0005】
本発明は、端末装置から第二の情報の要求のために送信された第一の情報の顧客接点ごとの分析結果を表示する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第一の端末装置から送信された第一の情報に対し第二の情報を前記第一の端末装置へ返す応答処理部と、前記第一の情報、及び、前記第一の情報の入力の際に使用された顧客接点情報が対応付けられた履歴情報に基づいて、前記顧客接点情報ごとに前記第一の情報の分析結果を表示する情報を第二の端末装置に送信する通信部と、を有することを特徴とする情報処理システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
端末装置から第二の情報を要求された第一の情報の顧客接点ごとの分析結果を表示する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】各種のタッチポイントの具体例を示す図である。
【
図2】管理者によるタッチポイントの設定、問い合わせに関するチャット、及び、質問文とタッチポイントの保存の流れを説明する一例のシーケンス図である。
【
図3】情報処理システムを含むチャットシステムの構成例を示す図である。
【
図4】情報処理システム、ユーザー端末及び管理者端末の一例のハードウェア構成を示す図である。
【
図5】管理者端末、ユーザー端末、情報処理システムの一例の機能構成を示す図である。
【
図6】質問回答情報記憶部に記憶されている一例の質問回答情報を示す図である。
【
図7】カスタマジャーニーマップ情報記憶部に記憶されている一例のカスタマジャーニーマップ情報を示す図である。
【
図8】顧客接点情報記憶部に記憶されている一例のタッチポイントに関する情報を示す図である。
【
図9】チャットボットURLとクエリパラメータを説明する一例の図である。
【
図10】履歴情報記憶部に記憶されている一例の会話の履歴情報を示す図である。
【
図11】管理者端末と情報処理システムが通信して、チャットボットに1つ以上のタッチポイントを登録する処理を説明する一例のシーケンス図である。
【
図12】顧客接点受付部がチャットボットURLを生成する処理を説明する一例のフローチャート図である。
【
図13】管理者端末が表示する一例のカスタマジャーニーマップ一覧画面を示す図である。
【
図14】管理者端末が表示する一例のタッチポイント追加画面を示す図である。
【
図15】ユーザー端末と情報処理システムが通信して、情報処理システムが質問文を保存する処理を説明する一例のシーケンス図である。
【
図16】
図15のステップS23の処理の詳細を説明する一例のフローチャート図である。
【
図17】
図15のステップS30の処理の詳細を説明する一例のフローチャート図である。
【
図18】ユーザー端末が表示する一例の質問画面を示す図である。
【
図19】管理者が質問回答情報を分析する処理を説明する一例のシーケンス図である。
【
図20】管理者端末が表示する一例の分析画面を示す図である。
【
図21】タッチポイントが「店舗・会議室」で頻出キーワードが「椅子 足りない」の問い合わせの詳細ボタンが押下された場合に表示される一例の問い合わせ一覧画面を示す図である。
【
図22】同一ユーザーの問い合わせ一覧画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、情報処理システムと情報処理システムが行う情報表示方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<処理の概略>
本実施形態の情報処理システムは、管理者が1つのチャットボットについて複数のタッチポイントを設定し、タッチポイントごとに接続先(URL)を生成する。情報処理システムは、ユーザーがチャットボットに問い合わせを送信したときのURLに基づいてタッチポイントを判断し、タッチポイント、ユーザーID及び質問文を対応付けて保存する。
【0011】
図1は、各種のタッチポイントの具体例を示す。
図1(a)は、電子メールに配置されたURL101を示す。このURL101には電子メールがタッチポイントであることを特定する情報が含まれる。
図1(b)は、二次元コードに変換され店舗(オープンスペース)に配置されたURL102を示す。このURL102には店舗(オープンスペース)がタッチポイントであることを特定する情報が含まれる。
図1(c)は、二次元コードに変換され店舗(個室)に配置されたURL103を示す。このURL103には店舗(個室)がタッチポイントであることを特定する情報が含まれる。
図1(d)は、二次元コードに変換され店舗(会議室)に配置されたURL104を示す。このURL104には店舗(会議室)がタッチポイントであることを特定する情報が含まれる。
図1(e)は、Webページに配置されたURL105を示す。このURL105にはWebページがタッチポイントであることを特定する情報が含まれる。
【0012】
このように
図1(a)~(e)のURLには、それぞれタッチポイントを特定する情報が含まれているので、情報処理システムはどのURLに対しユーザー端末が接続したかによって、タッチポイントを特定できる。したがって、情報処理システムはユーザーからの質問文とタッチポイントとを対応付けて保存できる。
【0013】
図2は、管理者によるタッチポイントの設定、問い合わせに関するチャット、及び、質問文とタッチポイントの保存の流れを説明するシーケンス図である。
【0014】
S91:まず、管理者は管理者端末10(第一の端末装置の一例)を情報処理システム50に接続し、タッチポイント登録画面から1つのチャットボットに複数のタッチポイントを設定する。
【0015】
S92:情報処理システム50は、タッチポイントに対応するURLを生成し、タッチポイントと対応付けて保存しておく。
【0016】
S93:情報処理システム50はURLを管理者端末10に送信する。
【0017】
S94:管理者はこのURLをWebページに配置したり、二次元コードにして施設に貼付したりする。
【0018】
S95:ユーザーが何らかの問い合わせを行う場合、Webページや施設の二次元コードをユーザー端末20(第二の端末装置の一例)で取得し、これらに埋め込まれたURLに接続する。
【0019】
S96:情報処理システム50は、URLに含まれるタッチポイントIDでチャットボットを特定すると共に、質問画面の画面情報をユーザー端末20に送信する。
【0020】
S97:ユーザーが質問画面に質問文(第一の情報の一例)を入力し、送信ボタンを押下すると、ユーザー端末20は質問文を上記のURLを宛先に情報処理システム50に送信する。
【0021】
S98:情報処理システム50は、URLに含まれるタッチポイントID及び質問文を対応付けて後述する顧客接点情報記憶部に保存する。
【0022】
S99:情報処理システム50は、質問文に回答するための回答(第二の情報の一例)を検索しこの回答をユーザー端末20に送信する。
【0023】
S100:管理者が質問文などを分析する場合、管理者端末10を情報処理システム50に接続させ、後述する分析画面を表示させる。
【0024】
S101:管理者は、質問文などを分析する場合、タッチポイント別に質問文に含まれるキーワードなどを表示することができる。
【0025】
このように、本実施形態の情報処理システム50は、タッチポイントに対応するURLを生成するので、管理者がタッチポイントに対応する媒体に配置できる。ユーザーが任意のタッチポイントから接続すると、タッチポイントが特定され、情報処理システム50はタッチポイントと質問文を対応付けて保存できる。管理者は、タッチポイントごとに質問文の分析結果を表示できる。
【0026】
<用語について>
顧客接点情報とは、企業と顧客が関わる様々な機会、場面、物理的な場所をいう。本実施形態では、顧客接点をタッチポイントという。ネットワークを介したサービスの場合、タッチポイントは、例えば、メール、ECサイト、SNS、ブログ、広告などがある。また、ユーザーが物理的に存在する場所からネットワークに接続すれば、その場所もタッチポイントである。タッチポイントをチャネルという場合もある。
【0027】
第一の情報は、ユーザー端末が情報処理システムに回答を求めるための情報である。第一の情報は、テキスト、音声、音楽、静止画、動画、ジェスチャなどでよい。本実施形態では、質問文を例にして説明する。質問文とは、自分が持ってる疑問を提示して、相手に答えを示してもらうための1文字以上の文字列である。質問文は、文の他、1つ以上の単語でもよい。質問文は、ファイル形式でもよい。質問を要求、疑問、問い合わせ等と称してもよい。
【0028】
第二の情報は、第一の情報に対し情報処理システムが回答した情報である。第二の情報は、テキスト、音声、音楽、静止画、動画、などでよい。本実施形態では、第二の情報として回答という用語を用いる。回答とは、質問・要求などに対する何らかの返答である。回答は、ユーザーが求めるものと必ずしも一致しない場合がある。
【0029】
チャットサービスとは、WebサイトやSNS上から、ユーザーに対して会話形式でユーザーの要求を満たすためのサポートを行うサービスである。本実施形態では、チャットサービスを例にするが、ビデオ会議のように遠隔地のユーザーがオペレータのサポートを受けるサービスでもよい。この場合、オペレータは有人でもAI等で擬人化された架空の存在でもよい。この他、チャットサービスは、FAQサービス、検索サービスなどでもよい。
【0030】
チャットボットとは、テキストや音声を使って会話を自動的に行ってくれる「自動会話プログラム」である。チャットボットはWebアプリの一形態ともいえる。チャットボットは、企業が1つのチャットボットを持つ場合もあるし、1つの企業がテーマごとに複数持つ場合もある。1つのチャットボットがどこまで回答するかは、質問回答情報の設計によって変わってくる。
【0031】
<システム構成例>
図3は、情報処理システム50を含むチャットシステム100の構成例を示す図である。情報処理システム50は、いわゆるチャットボットを利用して、ユーザー端末20を使用するユーザーからの質問等に対して自動的又は半自動的に回答するためのシステムである。情報処理システム50は、有人チャットも可能である。
【0032】
図3に示す構成例において、情報処理システム50は、ネットワークを介してユーザー端末20及び管理者端末10と通信可能に接続している。ネットワークは、インターネット、WAN、LAN、Wi-Fi(登録商標)、広域イーサネット(登録商標)、及び4G、5G、6G等の携帯電話網、などの1つ以上が組み合わされたものである。ネットワークがVPN(Virtual Private Network)として使用されてもよい。管理者端末10とユーザー端末20はそれぞれ汎用的な端末装置でよいので、チャットシステム100と常に接続している必要はない。
【0033】
ユーザー端末20は、ユーザーが使用する端末装置である。ここでユーザーとは、チャットサービス8のユーザーである。ユーザーは、ユーザー端末20をチャットサービス8に接続させて有人又はチャットボットとのチャットが可能である。
【0034】
ユーザー端末20は、例えば、デスクトップPC、ノート型PC、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等である。ユーザー端末20ではWebブラウザ、又は、チャットサービス8に専用のネイティブアプリが動作する。ユーザー端末20はWebブラウザ、又は、ネイティブアプリを実行できれば、どのような装置でもよい。
【0035】
管理者端末10は、管理者が使用する端末装置である。ここで管理者とは、チャットサービス8及び分析サービス9の管理者である。管理者は、管理者端末10をチャットサービス8に接続させてチャットサービス8に質問回答情報を追加したり、ユーザーの質問が解決しなかった質問に対する回答を編集したりする。管理者は、分析サービス9が保存している会話の履歴情報やユーザーの行動履歴を用いたカスタマジャーニーマップを表示させる。カスタマジャーニーマップは、主に時間軸で利用シーンを順に追い、複数のタッチポイントにおいて顧客がどのようにアクションしてゴール(商談成立)まで到達するのかを表現する。
【0036】
管理者端末10の具体的な装置例は、ユーザー端末20と同様でよい。ユーザー端末20及び管理者端末10はそれぞれ複数であってもよい。
【0037】
情報処理システム50は、一台以上の情報処理装置である。情報処理システム50は、チャットサービス8及び分析サービス9を有する。チャットサービス8は、ユーザー端末20との間で対話型通信を確立し、ユーザー端末20から送信された質問文に対する回答情報を、当該質問文を送信したユーザー端末20に送信する。チャットサービス8としては、予め登録された質問と回答の対応情報を利用するサービスでもよいし、AI(人工知能)型のサービスでもよい。AI型のチャットボットは、予め学習させたデータ及びユーザーが利用することで集まったデータを、AIが解析し統計的に最も適切とした回答を返す。
【0038】
分析サービス9は、カスタマジャーニーマップや会話の履歴情報の分析結果を表示する。会話の履歴情報の分析結果において、管理者端末10は、タッチポイントごと、ユーザーIDごと、又は、あるユーザーのタッチポイントごとの質問文などを表示できる。
【0039】
情報処理システム50において、チャットサービス8と分析サービス9とが独立した態様であってもよい。情報処理システム50は、例えば、チャットサービス8用の情報処理装置、及び、分析サービス9用の情報処理装置、を別々に有していてよい。あるいは、情報処理システム50が有するサービスに関わらず、情報処理システム50は、複数の情報処理装置を有していてよい。この場合、情報処理システム50の機能(チャットサービス8と分析サービス9)は複数の情報処理装置に分散して配置されてもよいし、全機能を有する複数の情報処理システム50が存在して負荷に応じて情報処理システム50が使い分けられてもよい。
【0040】
<ハードウェア構成例>
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る情報処理システム50、ユーザー端末20及び管理者端末10のハードウェア構成について説明する。
【0041】
<<管理者端末、ユーザー端末、情報処理システム>>
図4は、本実施形態に係る情報処理システム50、ユーザー端末20及び管理者端末10の一例のハードウェア構成を示す図である。
図4に示されているように、情報処理システム50、ユーザー端末20及び管理者端末10はコンピュータ500によって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD(Hard Disk)504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0042】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0043】
また、キーボード511は、文字、数値、又は各種指示などの入力に使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWドライブ514は、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0044】
<機能について>
次に、
図5を参照し、本実施形態に係る管理者端末10,ユーザー端末20、情報処理システム50の機能構成について説明する。
図5は、管理者端末10,ユーザー端末20、情報処理システム50の一例の機能構成を示す図である。
【0045】
<<管理者端末>>
管理者端末10は、第一通信部31aと、表示制御部32aと、操作受付部33aとを有する。これら各機能部は、管理者端末10にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。なお、このプログラムはWebブラウザでもよいし、専用のソフトウェアでもよい。
【0046】
第一通信部31aは、情報処理システム50との間で各種の情報を送受信する。本実施形態では各種の画面情報等を情報処理システム50から受信し、管理者が設定した情報を情報処理システム50に送信する。
【0047】
表示制御部32aは、各種の画面の画面情報を解釈してディスプレイ506に表示する。操作受付部33aは、ディスプレイ506に表示された各種画面における管理者の各種操作を受け付ける。なお、Webブラウザ用の画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(Cascading Style Sheet)等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が規定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが規定される。ネイティブアプリ用の画面情報は、ネイティブアプリ側が画面構成を有しているので、表示されるコンテンツが主な画面情報である。
【0048】
<<ユーザー端末>>
ユーザー端末20は、第二通信部31bと、表示制御部32bと、操作受付部33bとを有する。これら各機能部は、ユーザー端末20にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。なお、このプログラムはWebブラウザでもよいし、専用のソフトウェアでもよい。
【0049】
第二通信部31bは、情報処理システム50との間で各種の情報を送受信する。本実施形態では例えば後述する質問画面の画面情報等を情報処理システム50から受信し、ユーザーが入力した質問文を情報処理システム50に送信する。
【0050】
表示制御部32bは、各種の画面の画面情報を解釈してディスプレイ506に表示する。操作受付部33bは、ディスプレイ506に表示された例えば画面におけるユーザーの各種操作を受け付ける。
【0051】
<<情報処理システム>>
情報処理システム50は、通信部51、画面生成部52、応答処理部53、情報管理部54、顧客接点受付部55、及び、分析部56を有している。情報処理システム50が有する各機能部は、情報処理システム50にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU501が実行することで実現される機能又は手段である。
【0052】
また、情報処理システム50は、質問回答情報記憶部5001、カスタマジャーニーマップ情報記憶部5002、顧客接点情報記憶部5003、及び、履歴情報記憶部5004を有している。情報処理システム50が有する各記憶部は、RAM503、HD504等に構築されるが、これらは情報処理システム50がアクセスできるネットワーク上に存在してもよい。
【0053】
通信部51は、ユーザー端末20及び管理者端末10との間で各種の情報を送受信する。本実施形態では、通信部51は各種の画面の画面情報をユーザー端末20及び管理者端末10に送信し、入力された各種の情報をユーザー端末20及び管理者端末10から受信する。
【0054】
画面生成部52は、例えばユーザー端末20が送信したチャットボットURLに基づいて、ユーザー端末20が表示する質問画面の画面情報を生成する。また、画面生成部52は、管理者端末10が表示するタッチポイント設定画面、分析画面等の画面情報を生成する。
【0055】
応答処理部53は、ユーザー端末20からの質問文に適合した質問テキストに対応付けられた回答テキストを質問回答情報記憶部5001から取得して、ユーザー端末20に返す。応答処理部53は、例えば、質問文を形態素解析してベクトル化し、doc2vecなどの文章類似度の算出方法を用いて、質問回答情報記憶部から質問テキストを特定する。これにより、応答処理部53は、質問テキストに対応付けられた回答テキストを取得できる。応答処理部53は、質問文に対し正しい回答を学習したAI型のチャットサービス8を提供してもよい。
【0056】
情報管理部54は、ユーザー端末20から送信された質問文、ユーザーID、及び、タッチポイントIDを対応付けて履歴情報記憶部5004に保存する。質問文にユーザーID、及び、タッチポイントIDが対応付けられるので、管理者は、ユーザーごと又はタッチポイントごとに会話の履歴情報を分析できる。
【0057】
顧客接点受付部55は、管理者端末10から送信されたタッチポイント名に対し、タッチポイントIDの付与、タッチポイントに対応するチャットボットURLの生成等を行い、これらを対応付けて顧客接点情報記憶部5003に保存する。これにより、1つのチャットボットに複数のタッチポイントを管理者が設定できる。
【0058】
分析部56は、履歴情報記憶部5004に記憶されている会話の履歴情報を分析し、タッチポイントごとやユーザーIDごとの分析結果を作成する。
【0059】
<<質問回答情報記憶部5001>>
図6は、質問回答情報記憶部5001に記憶されている質問回答情報を模式的に示す。質問回答情報は、ユーザーからの質問文に対し情報処理システム50が回答するための回答テキストが対応付けられた情報である。質問回答情報は、テナントとカスタマジャーニーマップに対応付けられている。カスタマジャーニーマップは、本来ツール又はツールによる分析内容であるが、カスタマジャーニーマップはチャットボットごとに用意されるので、チャットボットを識別又は管理する情報と理解してよい。テナントとは、サービスの提供者(本実施形態では情報処理システム50)から分析サービス9を受けることを契約した顧客を示しており、契約した企業、組織、又は、個人等である。
【0060】
・質問回答IDの項目は、質問テキストと回答テキストの組を識別する識別情報が格納される。質問回答IDは、質問回答情報のレコードを識別する識別情報ともいえる。
【0061】
・更新日時の項目は、質問テキスト又は回答テキストが最後に更新された日時が格納される。更新には新規の登録も含まれる。
【0062】
・カテゴリの項目は、管理の都合上、質問テキストの種類がいくつかに分類したカテゴリ情報が格納される。カテゴリ情報は、顧客(分析サービス9を利用する企業等)がどのようなサービスを提供しているかによって様々である。
図6では、チャットボットがワーキングスペースに関するものなので、一例として予約、設備などのカテゴリがある。
【0063】
・質問テキストの項目は、ユーザー端末20が送信した質問文と比較される基準となる質問の内容が格納される。ユーザーが質問文を入力するのでなく、質問テキストがユーザー端末20に表示され、ユーザーがその中から選択することも可能である。
【0064】
・回答テキストの項目は、質問テキストに対する回答の文例やURLが格納される。ユーザー端末20が送信した質問文と類似する、質問テキストに対応付けられた回答テキストがユーザー端末20に表示される。回答テキストは、テキストの他、静止画や動画でもよい。
【0065】
<カスタマジャーニーマップ情報記憶部5002>
図7は、カスタマジャーニーマップ情報記憶部5002に記憶されているカスタマジャーニーマップ情報を模式的に示す。カスタマジャーニーマップは上記のようにタッチポイントからのアクセスから商談成立までを分析するツールであるが、ここではカスタマジャーニーマップがチャットボットごとに作成されるので、チャットボットを管理する情報と理解してよい。カスタマジャーニーマップ情報には、チャットサービス8を提供するためのチャットボットURL等が登録されている。
【0066】
・カスタマジャーニーマップIDの項目は、カスタマジャーニーマップを一意に識別する識別情報が格納される。
【0067】
・カスタマジャーニーマップ名の項目は、カスタマジャーニーマップの名称が格納され、主に、管理者がカスタマジャーニーマップを判別するために使用される。カスタマジャーニーマップ名はチャットボット名と言うことができる。
【0068】
・基本チャットボットURLの項目は、カスタマジャーニーマップを作成するために使用されたチャットボットのURLが格納される。基本チャットボットURLは、
図8のチャットボットURLを生成するための元になるURLである。チャットボットURLが異なっても基本チャットボットURLは同じなので、ユーザーが使用するタッチポイントに関わらず、チャットサービス8は同じチャットボットでユーザーからの質問文に回答できる。
【0069】
・テナントIDの項目は、カスタマジャーニーマップを使用してマーケティングを行う顧客など、テナントの識別情報が格納される。
【0070】
<<顧客接点情報記憶部5003>>
図8は、顧客接点情報記憶部5003に記憶されているタッチポイントに関する情報を模式的に示す。顧客接点情報記憶部5003には、1つのチャットサービス8(
図8では1つのカスタマジャーニーマップID)について1つ以上のタッチポイントが登録されている。顧客接点情報記憶部5003は、テナントとカスタマジャーニーマップに対応付けられている。
【0071】
・タッチポイントIDの項目は、タッチポイントを一意に識別する識別情報が格納される。
【0072】
・タッチポイント名の項目は、タッチポイントの名称が格納され、主に、管理者が付与し、タッチポイントを判別するために使用される。
【0073】
・チャットボットURLの項目は、タッチポイントに対応したURLが格納される。ユーザーがチャットサービス8を利用する場合、ユーザー端末20をこのタッチポイントに対応するチャットボットURLに接続させる。
図8では、チャットボットURLの最後のパス名(
図8ではa~e)がタッチポイントIDである。これは一例であって、タッチポイントIDと最後のパス名が対応付けられていることで、チャットボットURLからタッチポイントIDが特定できればよい。情報処理システム50がチャットボットURLからタッチポイントを特定できればよい。また、チャットボットURLは基本チャットボットURLにタッチポイントIDを追加したものであり、タッチポイントが変わってもユーザーは同じチャットボットでチャットサービス8を受けられる。
【0074】
・質問する回答のカテゴリの項目は、管理者が設定した、各タッチポイントで回答が得られる質問回答情報のカテゴリが格納される。例えばタッチポイントが宣伝メールでは予約に関する質問が送信されるが、店舗(個室)から質問が送信される場合は、ユーザーが予約済みなので予約に関する質問が少ないと予想される。よって、店舗(個室)からの質問時に応答処理部53が予約のカテゴリの回答テキストを検索する必要性が低い。このように、タッチポイントごとにカテゴリが設定されることでチャットボットの検索時間を短くできる。ただし、管理者がこのようにタッチポイントごとにカテゴリを制限しなくてもよい。
【0075】
図9を参照して、チャットボットURLについて説明する。
図9は、チャットボットURLとクエリパラメータを説明する図である。
図9のようなURLでは、以下のように呼称がある。
AがURLである。
Bが通信のプロトコルである。
Cがドメインである。
Dがディレクトリである。本実施形態では"/a"を最後のパス名という。
Eがファイル名である。ファイル名はタッチポイントIDとして使用されるので、このファイルそのものが使用されるのではない。
Fがクエリパラメータである。「プロジェクターの使い方」が質問文である。
【0076】
<<履歴情報記憶部5004>>
図10は、履歴情報記憶部5004に記憶されている会話の履歴情報を模式的に示す。会話の履歴情報には、ユーザーが質問した質問文や回答テキスト等の会話の履歴が登録されている。会話の履歴情報は、テナントとカスタマジャーニーマップに対応付けられている。
【0077】
・問い合わせ日時の項目は、ユーザーが質問文を情報処理システム50に送信した(すなわち、問い合わせした)日時が格納される。
【0078】
・質問文の項目は、ユーザーがユーザー端末20に入力し、情報処理システム50に送信した質問文が格納される。
【0079】
・タッチポイントIDの項目は、ユーザー端末20が質問文を送信した際のタッチポイントIDが格納される。タッチポイントIDは、ユーザー端末20が質問画面130を表示することで特定されている。
【0080】
・ユーザーIDの項目は、ユーザーの識別情報が格納される。このユーザーIDはログインやサインインなどのユーザー認証により特定されてもよいが、単にWebブラウザのCookie(クッキー)に書き込まれたユーザー情報でもよい。一般にクッキーには、ユーザー識別情報やセッション管理情報、訪問回数、サイトに入力したデータなどが保存されている。Cookieではなくローカルストレージが使用されてもよい。ローカルストレージとは、Webブラウザ上に情報を保存する仕組みをいう。
【0081】
・回答種別の項目は、質問文に回答した回答者が格納される。回答者は、有人の場合は「オペレータ名」であり、チャットボットの場合は「自動」である。
【0082】
・回答テキストの項目は、質問文に対し回答者又はチャットボットが回答した回答テキストが格納される。回答テキストは、質問回答情報の回答テキスト又はオペレータが入力したテキストである。
【0083】
<動作又は処理>
<<タッチポイント追加>>
次に、
図11を参照して、管理者がチャットボットにタッチポイントを登録又は追加する流れについて説明する。
図11は、管理者端末10と情報処理システム50が通信して、チャットボットに1つ以上のタッチポイントを登録する処理を説明するシーケンス図である。
【0084】
S1:まず、管理者端末10が
図13にて後述するカスタマジャーニーマップ一覧画面110を表示しているとする。管理者がタッチポイントを追加したい場合、管理者端末10にカスタマジャーニーマップ一覧画面110に対し
図14のタッチポイント追加画面120を表示する操作を入力する。管理者端末10の操作受付部33aが操作を受け付ける。なお、要求の際、チャットボットが特定されている。
【0085】
S2:管理者端末10の第一通信部31aは、タッチポイント追加画面120を情報処理システム50に要求する。
【0086】
S3:情報処理システム50の通信部51はタッチポイント追加画面120の要求を受信し、画面生成部52がタッチポイント追加画面120を生成する。通信部51は、タッチポイント追加画面120の画面情報を管理者端末10に送信する。
【0087】
S4:管理者端末10の第一通信部31aはタッチポイント追加画面120の画面情報を受信し、表示制御部32aがタッチポイント追加画面120を表示する。管理者は、タッチポイント追加画面120に必要事項(タッチポイント名、質問回答情報記憶部のカテゴリ等)を入力する。管理者端末10の操作受付部33aが操作を受け付ける。
【0088】
S5:管理者端末10の第一通信部31aは、タッチポイント名、カテゴリなどを指定して、タッチポイント追加要求を情報処理システム50に要求する。
【0089】
S6:情報処理システム50の通信部51はタッチポイント追加要求を受信し、顧客接点受付部55がタッチポイント追加要求に応じて、送信されたタッチポイントにタッチポイントIDを付与する。そして、顧客接点受付部55は、基本チャットボットURLの最後にタッチポイントIDをパス名とするパスを追加することで、チャットボットURLを作成する。この作成方法は一例であって、パス名は任意でよい。ステップS6の詳細を
図12にて説明する。
【0090】
S7:顧客接点受付部55は、タッチポイントID、タッチポイント名、チャットボットURL及び使用する質問回答のカテゴリを顧客接点情報記憶部5003に保存する。
【0091】
S8:チャットボットURLは、ユーザーが質問画面130を表示させるためのリンクとなる。管理者はチャットボットURLを、Webページ、メール、二次元コード等に埋め込むことで、ユーザーを質問画面130に誘導できる。
【0092】
管理者がチャットボットURLをWebページ等のタッチポイントに使用したい場合、カスタマジャーニーマップ一覧画面110において、タッチポイントを選択し、チャットボットURLを表示する操作を入力する。管理者端末10の操作受付部33aが操作を受け付ける。
【0093】
S9:管理者端末10の第一通信部31aは、管理者が選択したタッチポイントのタッチポイントID及びカスタマジャーニーマップID(タッチポイントの選択で自動的に定まる)を指定して、チャットボットURLを情報処理システム50に要求する。
【0094】
S10:情報処理システム50の通信部51はチャットボットURLの要求を受信し、画面生成部52がカスタマジャーニーマップID及びタッチポイントIDに対応付けられたチャットボットURLを顧客接点情報記憶部5003から取得する。
【0095】
S11:画面生成部52はチャットボットURLを表示する画面を生成する。通信部51は、チャットボットURLを表示する画面の画面情報を管理者端末10に送信する。
【0096】
S12:管理者端末10の第一通信部31aはチャットボットURLを表示する画面の画面情報を受信し、表示制御部32aがチャットボットURLを含む画面を表示する。管理者は、チャットボットURLをWebページ等のタッチポイントに張り付けたり、二次元コードを印刷したりすることができる。なお、表示されるチャットボットURLは、
図8のURL(Aの部分)である。
【0097】
図8に示したように、顧客接点情報記憶部5003において、チャットボットURLはタッチポイントIDを含むか又は少なくともタッチポイントIDに対応付けられている。したがって、ユーザーがチャットボットURLに接続するとタッチポイントIDが特定される。また、チャットボットURLは基本チャットボットURLを含むので、質問文に対する回答テキストを検索するための質問回答情報も特定される。
【0098】
図12は、顧客接点受付部55がチャットボットURLを生成する処理を説明するフローチャート図である。
図12では、
図11のステップS6の処理について詳細に説明する。
【0099】
顧客接点受付部55は、カスタマジャーニーマップIDとテナントIDに対応する基本チャットボットURLをカスタマジャーニーマップ情報記憶部5002から取得する(S101)。テナントIDは、管理者が情報処理システム50にログインすることで特定されている。
【0100】
顧客接点受付部55は、顧客接点情報記憶部5003に新しいレコードを生成し、新たに付与したタッチポイントIDを設定する(S102)。
【0101】
顧客接点受付部55は、取得した基本チャットボットURLとタッチポイントIDに基づいて、チャットボットURLを生成する(S103)。
【0102】
基本チャットボットURLとタッチポイントIDは、例えば「https://chatbot/foo/e」のように、単に連結するだけでもよいし、タッチポイントIDの部分(eの部分)をハッシュ化や符号化したものでもよい。タッチポイントIDを秘匿化できる。ハッシュとは、ハッシュ関数によりデータを固定長のランダムに見えるハッシュ値に不可逆変換して置き換えることをいう。主に、データの改ざんに使用される。配信されたメールのメッセージが改ざんされていないか、Webサイトからダウンロードしたファイルやメディアからコピーしたファイルのデータが破損していないかを確認するために使う。符号化とは、データに元のデータに戻せる特定の方法で変換を加えることである。符号化は暗号化でもよい。タッチポイントIDが平文の場合、ユーザーがタッチポイントIDを解読してタッチポイントを書き換えることでタッチポイントを詐称することが可能であるので、タッチポイントの詐称を抑制できる。
【0103】
タッチポイントIDがハッシュ化されている場合、質問文の送信時に情報管理部54は、
図8のタッチポイントIDの項目の値を全てハッシュ化し、タッチポイントIDの部分(eの部分)と一致するタッチポイントIDを特定する。タッチポイントIDが符号化されている場合、情報管理部54は復号することでタッチポイントIDを取得できる。
【0104】
図13は、管理者端末10が表示するカスタマジャーニーマップ一覧画面110の一例である。カスタマジャーニーマップ一覧画面110は、情報処理システム50に登録されているカスタマジャーニーマップの一覧(リスト)を表示する画面である。カスタマジャーニーマップは上記のようにチャットボットの種類でよい。
【0105】
カスタマジャーニーマップ一覧画面110は、カスタマジャーニーマップ名111及びタッチポイント名112の項目を有する共に、タッチポイントごとにURL表示ボタン113、編集ボタン114、削除ボタン115を有している。また、各カスタマジャーニーマップ名111に1つのタッチポイント追加ボタン116が表示される。
【0106】
カスタマジャーニーマップ名111とタッチポイント名112はカスタマジャーニーマップ情報記憶部5002と同じものである。URL表示ボタン113はチャットボットURLを管理者端末10が表示させるためのボタンである。編集ボタン114は管理者がタッチポイント名やカテゴリ等を編集するためのボタンである。削除ボタン115は、管理者がタッチポイントを削除するためのボタンである。タッチポイント追加ボタン116は、管理者がタッチポイントを追加するために押下するボタンである。タッチポイント追加ボタン116の押下により、
図14に示すタッチポイント追加画面120が表示される。
【0107】
図14は、管理者端末10が表示するタッチポイント追加画面120の一例である。タッチポイント追加画面120は、管理者がチャットサービス8にタッチポイントを新たに追加するための画面である。タッチポイント追加画面120は、タッチポイント名入力欄121、カテゴリ選択チェックボックス122を有している。タッチポイント名入力欄121は、追加されるタッチポイントの名称の入力欄である。顧客接点受付部55が何らかの初期値を設定してもよい。
【0108】
カテゴリ選択チェックボックス122は、追加されるタッチポイントのカテゴリ(質問回答情報のカテゴリ)を管理者が選択するためのチェックボックスである。管理者は1つのタッチポイントに対し複数のカテゴリを選択できる。質問回答情報において検索されるカテゴリが制限されるので、チャットサービス8において検索時間が短くなる。
【0109】
<<質問文の保存>>
次に、
図15を参照して、ユーザーが問い合わせした質問文を管理者が分析する流れについて説明する。
図15は、ユーザー端末20と情報処理システム50が通信して、情報処理システム50が質問文を保存する処理を説明するシーケンス図である。
【0110】
S21:ユーザーが何らかの問い合わせを行う場合、ユーザーはWebページやメールに埋め込まれたチャットボットURL(又はリンク)を押下する。ユーザー端末20の操作受付部が操作を受け付ける。また、ユーザーはユーザー端末20で二次元コードを撮像することで、チャットボットURLを取得する。
【0111】
S22:ユーザー端末20の第二通信部31bは、チャットボットURLを宛先としてチャットサービス8に接続する。チャットボットURLを宛先とする接続は、質問画面130の要求に相当する。
【0112】
S23:情報処理システム50の通信部51はチャットボットURLへの接続により、質問画面130の要求を受信する。これにより、画面生成部52がチャットボットURLを解析してチャットボットを特定する。すなわち、画面生成部52は、チャットボットURLの最後のパス名を除くことで基本チャットボットURLを特定する。ステップS23の処理の詳細を
図16にて説明する。
【0113】
S24、S25:画面生成部52は、基本チャットボットURLに対応した質問画面130に初期状態で表示されるメッセージ等を取得し、これらを配置して質問画面130を生成する。質問画面130の一例を
図18に示す。
【0114】
S26:通信部51は、ユーザー端末20のWebブラウザのクッキーに保存するためのユーザーIDを生成する。ユーザー端末20が同じチャットボットに接続するのが二回目以降の場合、ステップS22で通信部51がユーザー端末20からユーザーIDを取得できる。ユーザーIDが使用されるのは、分析サービス9が各ユーザーの行動履歴等を分析するためである。通信部51は、質問画面130の画面情報と生成したユーザーIDをユーザー端末20に送信する。
【0115】
S27:ユーザー端末20の第二通信部31bは質問画面130の画面情報を受信し、表示制御部32bが質問画面130を表示する。
【0116】
S28:ユーザーは、質問画面130に質問文を入力する。ユーザー端末20の操作受付部33bが操作を受け付ける。ユーザーは音声で質問文を入力することもできる。
【0117】
S29:ユーザー端末20の第二通信部31bは、チャットボットURLを宛先として質問文とユーザーID(クッキーに設定済み)をチャットサービス8に送信する。質問文は、チャットボットURLのクエリパラメータとして送信される。チャットボットURL+クエリパラメータは例えば
図8に示した内容にユーザーIDが追加されたものとなる。
https://chatbot/foo/a?question="プロジェクターの使い方"&useID=1234abcd
S30:情報処理システム50の通信部51はチャットボットURLに対するリクエスト(質問文とユーザーID)を受信し、画面生成部52が解析してタッチポイントIDとユーザーIDを取得する。タッチポイントIDはチャットボットURLの最後のパス名である。ステップS30の処理の詳細を
図17にて説明する。
【0118】
S31:次に、応答処理部53がタッチポイントIDに対応付けられたカテゴリを顧客接点情報記憶部5003から取得する。
【0119】
S32:また、応答処理部53は、チャットボットURLが含む基本チャットボットURL(あるいは基本チャットボットURLは、カスタマジャーニーマップIDで特定されてもよい)によりチャットボットに対応する質問回答情報記憶部5001を特定する。ユーザーが使用するタッチポイントに関わらず、応答処理部53は同じチャットボットでユーザーからの質問文に対応する回答テキストを決定できる。応答処理部53は、例えば質問文を形態素解析して単語に分解し、質問文に類似した質問回答情報の質問テキストを特定し、この質問テキストに対応付けられた回答テキストを特定した質問回答情報記憶部5001から取得する。なお、応答処理部53は、質問回答情報記憶部5001においてタッチポイントIDに対応付けられたカテゴリのみを検索することで回答テキストを決定する。
【0120】
S33:また、応答処理部53は、問い合わせ日時、質問文、タッチポイントID、ユーザーID、回答種別、及び回答テキストを履歴情報記憶部5004に保存する。
【0121】
S34:画面生成部52は、通信部51を介して、回答テキストをユーザー端末20に送信する。ユーザー端末20は、質問画面130そのものを更新することなく、回答テキストのみを質問画面130に表示できる。
【0122】
S35:ユーザー端末20の第二通信部31bは回答テキストを受信し、表示制御部32bが質問画面130に追加して表示する。
【0123】
以上で、1レコード分の質問回答情報が質問回答情報記憶部5001に保存された。ユーザー端末20と情報処理システム50はステップS28~S35の処理を繰り返すことができる。
【0124】
図16は、ステップS23の処理の詳細を説明するフローチャート図である。画面生成部52は、ステップS23で通信部51が受信したHTTPリクエストからチャットボットURLを取得する(S201)。
【0125】
画面生成部52は、チャットボットURLからクエリパラメータ及び最後のパス名(タッチポイントID)を取得する(S202)。最後のパス名はハッシュ化されていてもよいし、符号化されていてもよい。ステップS23ではまだユーザーが質問文を入力していないので、クエリパラメータにはユーザーが使用する言語の種類などが含まれている。チャットボットURLからクエリパラメータ及び最後のパス名が取り除かれると基本チャットボットURLが特定される。
【0126】
次に、情報管理部54は、カスタマジャーニーマップ情報記憶部5002に基本チャットボットURLが登録済みか否か判断する(S203)。
【0127】
チャットボットURLがカスタマジャーニーマップ情報記憶部5002に登録済みでない場合(S203のNo)、情報管理部54は、不正アクセスと判断し、以降の処理は実行しない(S205)。
【0128】
チャットボットURLがカスタマジャーニーマップ情報記憶部5002に登録済みである場合(S203のYes)、画面生成部52は、カスタマジャーニーマップ情報記憶部5002で特定されたチャットボットに対応した質問画面130の画面情報を生成する(S204)。
【0129】
図17は、ステップS30の処理の詳細を説明するフローチャート図である。画面生成部52は、ステップS30で通信部51が受信したHTTPリクエストからチャットボットURLを取得する(S301)。
【0130】
画面生成部52は、チャットボットURLからクエリパラメータ及び最後のパス名(タッチポイントID)を取得する(S302)。最後のパス名はハッシュ化されていてもよいし、符号化されていてもよい。ステップS30ではユーザーが質問文を入力しているので、クエリパラメータには質問文が含まれている。チャットボットURLからクエリパラメータ及び最後のパス名が取り除かれると基本チャットボットURLが特定される。
【0131】
次に、情報管理部54は、カスタマジャーニーマップ情報記憶部5002に基本チャットボットURLが登録済みか否か判断する(S303)。
【0132】
チャットボットURLがカスタマジャーニーマップ情報記憶部5002に登録済みでない場合(S303のNo)、情報管理部54は、不正アクセスと判断し、以降の処理は実行しない(S307)。
【0133】
チャットボットURLがカスタマジャーニーマップ情報記憶部5002に登録済みである場合(S303のYes)、情報管理部54は、HTTPリクエストからチャットボットURLの最後のパス名(タッチポイントID)を取得する(S304)。情報管理部54は、チャットボットURLに対応付けられたタッチポイントIDを顧客接点情報記憶部5003から取得してもよい。
【0134】
次に、情報管理部54は、クエリパラメータから、ユーザーが入力した質問文を取得する(S305)。
【0135】
情報管理部54はユーザー端末20のWebブラウザのクッキーに含まれていたユーザーIDを取得する(S306)。情報管理部54は、質問文、タッチポイントID及びユーザーIDを履歴情報記憶部5004に保存する。
【0136】
<<質問画面例>>
図18は、ユーザー端末20が表示する質問画面130の一例である。質問画面130では、左寄りのメッセージボックスと右寄りのメッセージボックスが、時系列に、上方から下方に配置される。左寄りのメッセージボックスにはチャットボット又はオペレータのメッセージが表示され、右寄りのメッセージボックスにはユーザーが入力したメッセージ(主に質問文)が表示される。
【0137】
メッセージボックス131は、画面生成部52が初期状態で質問画面130に配置するメッセージ131aとボタン131b、131cを表示している。メッセージ131aは「なにかご質問はありますか? 質問を直接入力するか、ボタンから調べる方法をお選びください。」である。ボタン131bは、ユーザーがカテゴリを絞って調べるためのカテゴリの選択ボタンである。ボタン131cは、ユーザーがよくある質問を見るためのボタンである。
【0138】
メッセージボックス132は、ユーザーが質問文入力欄135に入力した質問文を表示している。この質問文は「プロジェクターの使い方」である。
【0139】
メッセージボックス133は、質問文に対する回答テキストを表示している。回答テキストは「プロジェクターの使い方はこちらのマニュアルを御確認ください。 https://……」である。
【0140】
メッセージボックス134は、回答テキストと共に表示される定型文134aとボタン134b、134cを表示する。定型文134aは「今の回答で解決しましたか? はい、いいえで回答を終了します」である。
【0141】
また、質問画面130の下部には質問文入力欄135がある。ユーザーは任意の質問文を質問文入力欄135に入力し、送信ボタン136を押下する。これにより、質問文が右寄りのメッセージボックスに表示されると共に、ユーザー端末20が質問文に対する回答をチャットサービス8に要求できる。
【0142】
<タッチポイントごとの質問回答情報を分析>
続いて、
図19を参照して、管理者が質問回答情報を分析する処理について説明する。
図19は、管理者が質問回答情報を分析する処理を説明するシーケンス図である。
【0143】
S41:管理者が、ユーザーがどのような質問をどのタッチポイントから行ったか等を分析する場合、テナントを指定して分析画面140を表示する操作を管理者端末10に入力する。管理者端末10の操作受付部33aが操作を受け付ける。なお、管理者はテナントIDとパスワードなどにより情報処理システム50にログインする。
【0144】
S42:管理者端末10の第一通信部31aは、テナントIDを指定した分析画面140を分析サービス9に要求する。
【0145】
S43:情報処理システム50の通信部51は分析画面140の要求を受信し、分析サービス9がチャットサービス8に対し、テナントIDに対応付けられた会話の履歴情報を要求する。
【0146】
S44:チャットサービス8はテナントIDに対応付けられた会話の履歴情報を分析サービス9に返す。
【0147】
S45:分析部56は、会話の履歴情報の分析を行う。種々の分析手法があるが、例えば質問文を形態素解析することによるキーワードの抽出、及び、キーワードごとの出現回数のカウントなどが行われる。
【0148】
S46:画面生成部52が分析結果(表示する情報の一例)を用いて分析画面140を生成する。
【0149】
S47:通信部51は、分析画面140の画面情報をユーザー端末20に送信する。
【0150】
S48:ユーザー端末20の第二通信部31bは分析画面140の画面情報を受信し、表示制御部32aが分析画面140を表示する。
【0151】
図20は、管理者端末10が表示する分析画面140の一例である。分析画面140は、管理者が所属するテナントに関してユーザーとチャットサービス8の会話の履歴情報を表示する画面である。分析画面140は、期間入力欄141と時間帯入力欄142を有している。管理者は、期間及び時間帯で問い合わせ日時の範囲が制限された会話の履歴情報のみを表示できる。分析画面140は、タッチポイント143の項目に対応付けて、問い合わせ回数144、及び、頻出キーワード145を表示する。また、問い合わせの詳細ボタン146がキーワードごとに表示される。
【0152】
・問い合わせ回数144はタッチポイントを経由して質問文が送信された回数である。
【0153】
・頻出キーワード145は、分析部56が質問文を形態素解析してキーワードを抽出した場合に、一定回数以上、抽出されたキーワードである。また、頻出キーワード145は、各キーワードの出現回数を表示する。
【0154】
・問い合わせの詳細ボタン146は、頻出キーワードを含む全ての質問文を別画面で表示するためのボタンである。
【0155】
例えば、タッチポイントが「宣伝メール」の場合、問い合わせ回数が201、頻出キーワードが「食事」「コピー機」「パソコン 貸し出し」等である。
【0156】
管理者は、タッチポイントごとに問い合わせ回数や頻出キーワードを確認できるので、問い合わせ回数が少ないタッチポイントの問い合わせ回数を増やすための戦略を検討したり、頻出キーワードに対し具体的な対応を検討したりできる。例えば、管理者は、問い合わせ回数144が少ない「店舗・会議室」というタッチポイントについて二次元コードをもっと目立つように貼付することを検討する。また、管理者は、例えば、「エアコン 寒い」のような頻出キーワードを確認して、「店舗・個室」の設定温度を上げるなどを対応が可能になる。また、管理者は、例えば、「会員カード紛失」のような頻出キーワードを確認して、「ホームページ」のQ&Aに目立つように会員カード紛失時の対応方法を記載することを検討できる。
【0157】
図21は、タッチポイントが「店舗・会議室」で頻出キーワードが「椅子 足りない」の問い合わせの詳細ボタン146が押下された場合に表示される問い合わせ一覧画面150を示す。問い合わせ一覧画面150は、「椅子 足りない」を含む質問文について、問い合わせ日時151、問い合わせ内容152、回答テキスト153、及びユーザーID154等の項目を表示する。これらは会話の履歴情報に含まれている。
【0158】
図22は、
図21の問い合わせ一覧画面で管理者がユーザーIDで問い合わせ一覧を絞り込んだ場合に表示される、同一ユーザーの問い合わせ一覧画面160である。
図22では、ある同じユーザーについて、問い合わせ日時161、タッチポイントID162、質問文163、回答テキスト164、及び、ユーザーID165が表示される。ユーザーID165に示すように同じユーザーIDのみが表示されている。
【0159】
図22ではタッチポイントは様々である。このため、同一ユーザーの問い合わせ一覧画面160は、タッチポイント選択欄167を有する。タッチポイント選択欄167はプルダウンメニューやチェックボックス欄となっており、当該ユーザーが使用したタッチポイントのリストが選択可能に表示される。したがって、管理者はユーザーだけでなく、ユーザー及びタッチポイントで絞り込んで質問文を表示できる。
【0160】
<主な効果>
企業が例えばチャットサービスで得た情報の分析を行う目的の1つにカスタマジャーニーマップの作成がある。カスタマジャーニーマップとは、ユーザーが商品・サービスを知ってから最終的に購買に至るまでのプロセスを視覚化した資料である(形式が決まっているわけではない)。カスタマジャーニーマップの作成の際、第一の情報から得られるユーザーの行動、興味又は関心事、及び、回答である第二の情報だけでなく、顧客接点に基づく分析が必要であるが、従来は容易でなかった。管理者が手動で第一の情報を閲覧し、第一の情報から顧客接点を推測したり、顧客接点ごとに問い合わせを分類したりすることは可能である。しかし、このような作業は非常に手間がかかり、顧客接点の推測精度も低いおそれがある。
本実施形態の情報処理システム50は、タッチポイントに対応するチャットボットURLを生成するので、管理者がタッチポイントに対応する媒体に配置できる。ユーザーが任意のタッチポイントから接続するとタッチポイントが特定され、情報処理システム50はタッチポイントと質問文を対応付けて保存できる。管理者は、タッチポイントごとに質問文の分析結果を表示できる。
【0161】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0162】
例えば、チャットサービスにおいて、タッチポイントをより細分化することもできる。例えば広告にチャットボットURLが配置される場合、広告される商品やサービスの違いで異なるタッチポイントを情報処理システムが設定する。この場合、情報処理システムが商品やサービスと紐付けてタッチポイントIDを自動的に設定すればよい。同様に、ターゲッティング広告においては、広告対象(年齢層、性別等)の違いに応じて異なるタッチポイントを情報処理システムが設定できる。管理者は、商品やサービスの違い、広告対象に応じてどのような質問文が送信されたかを分析できる。
【0163】
また、管理者は、Webページにおいて、同じ商品やサービスを広告するが文面が異なる広告に異なるタッチポイントを割り当ててもよい。文面によって質問文の数や内容が異なれば、管理者は消費者に訴求しやすい文面を分析できる。また、管理者は、広告の媒体に応じて異なるタッチポイントを割り当ててもよい。広告の媒体によって質問文の数や内容が異なれば、管理者は消費者に訴求しやすい媒体を分析できる。
【0164】
また、電子メールにチャットボットURLが配置される場合、電子メールの送信曜日の違い、又は、時間帯の違いで異なるタッチポイントを情報処理システムが設定することもできる。管理者は、電子メールが送信される曜日や時間帯に応じてどのような質問文が送信されたかを分析できる。なお、電子メールにおいても、文面が異なる電子メールに異なるタッチポイントを割り当ててもよい。
【0165】
また、ECサイトにチャットボットURLが配置される場合、商品又はサービスの違いで情報処理システムが異なるタッチポイントを設定することができる。ECサイトにおいても、同じ商品又はサービスについて説明が異なるWebページに異なるタッチポイントを割り当ててもよい。
【0166】
また、SNSにチャットボットURLが配置される場合、SNSのブランドの違いで情報処理システムがタッチポイントを設定することができる。また、ブログにチャットボットURLが配置される場合、ブログのブランドの違い又はブロガーの違いで情報処理システムがタッチポイントを設定することができる。
【0167】
また、本実施形態では、チャットサービスを例にしてタッチポイントごとに質問文を分析する実施例を説明したが、FAQサイト及びサーチエンジンにも対応できる。FAQサイトは、Webページで提供されるので、この場合のタッチポイントはどのWebページからFAQサイトにユーザーが接続したかがタッチポイントに対応する。サーチエンジンの場合、サーチエンジンの種類やユーザーが検索に使用した検索語等、がタッチポイントに対応する。
【0168】
また、本実施形態では、クライアント・サーバー形式のチャットサービスについて説明したが、チャットサービスは1つの端末装置内に収容されていてもよい。例えば、チャットサービスは店舗の店頭など接客の窓口に配置されていてもよいし、移動ロボットに配置されていてもよい。この場合、分析サービスは、端末装置内にあってもよいし、ネットワーク上のサーバー内にあってもよい。管理者端末は端末装置又はサーバーと通信して分析画面等を表示できる。
【0169】
また、
図5などの構成例は、管理者端末10、ユーザー端末20、及び情報処理システム50による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。管理者端末10,ユーザー端末20、及び情報処理システム50の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0170】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0171】
また、記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、情報処理システム50は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0172】
本発明の実施形態は、コンピュータの能力及び機能性に大きな改善をもたらす。これらの改善により、ユーザーは、情報処理装置において情報を格納し提示する方法であるテーブルとの、より効率的で堅牢な対話を提供するコンピュータを利用することができる。更に、本発明の実施形態は、より効率的で強力かつ堅牢なユーザーインターフェースの使用を通じて、より良いユーザー体験を提供する。このようなユーザーインターフェースは、人間と機械との間のより良い相互作用を提供する。
【0173】
<請求項に関する付記>
[請求項1]
第一の端末装置から送信された第一の情報に対し第二の情報を前記第一の端末装置へ返す応答処理部と、
前記第一の情報、及び、前記第一の情報の入力の際に使用された顧客接点情報が対応付けられた履歴情報に基づいて、
前記顧客接点情報ごとに前記第一の情報の分析結果を表示する情報を第二の端末装置に送信する通信部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
[請求項2]
前記第一の端末装置が前記第一の情報を送信した宛先のアドレスから前記顧客接点情報を特定し、前記第一の情報、前記第二の情報、及び、前記顧客接点情報を対応付けて前記履歴情報として保存する情報管理部、
を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
[請求項3]
前記情報管理部は、更に、前記第一の端末装置から送信されたユーザーの識別情報を、前記第一の情報、前記第二の情報、及び、前記顧客接点情報と対応付けて前記履歴情報として保存することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
[請求項4]
前記アドレスはURLであり、前記情報管理部は、前記URLの最後のパス名を前記顧客接点情報の識別情報として特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
[請求項5]
前記URLの最後のパス名は、前記顧客接点情報の識別情報がハッシュ化されたものであり、前記情報管理部は、顧客接点情報記憶部に登録されている全ての前記顧客接点情報の識別情報をハッシュ化し、前記URLの最後のパス名と一致する前記顧客接点情報の識別情報を特定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
[請求項6]
前記アドレスはURLであり、前記情報管理部は、顧客接点情報記憶部において前記URLに対応付けられている前記顧客接点情報の識別情報を特定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
[請求項7]
前記応答処理部は、前記URLから最後のパス名を除いた前記URLによりチャットボットを特定し、前記顧客接点情報に関わらず、同じチャットボットにより前記第二の情報を決定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
[請求項8]
前記応答処理部は、顧客接点情報記憶部において前記顧客接点情報に対応付けられたカテゴリ情報を取得し、前記カテゴリ情報で制限された範囲の質問回答情報を、前記顧客接点情報を使用して入力された前記第一の情報で検索することで前記第二の情報を決定することを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[請求項9]
前記第二の端末装置から前記顧客接点情報の名称と共に、前記顧客接点情報の追加要求を受信した場合、前記顧客接点情報に識別情報を付与し、前記アドレスを生成し、前記顧客接点情報の識別情報と前記アドレスを対応付けて顧客接点情報記憶部に保存する顧客接点受付部を有することを特徴とする請求項2~8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[請求項10]
前記顧客接点受付部は、前記第二の端末装置から受信した、前記顧客接点情報において使用されるチャットボットのカテゴリ情報を、前記顧客接点情報の識別情報と前記アドレスを対応付けて顧客接点情報記憶部に保存することを特徴とする請求項9に記載の情報処理システム。
[請求項11]
前記通信部は、前記アドレスを前記第二の端末装置に送信し、前記第二の端末装置が前記アドレスを表示することを特徴とする請求項9又は10に記載の情報処理システム。
[請求項12]
前記アドレスは、Webページ、電子メール、ECサイト、SNS、ブログ、又は広告に配置され、
前記第一の端末装置が前記アドレスを宛先に前記第一の情報を送信することを特徴とする請求項11に記載の情報処理システム。
[請求項13]
前記アドレスは、二次元コードに変換されてから印刷され、
前記第一の端末装置が前記二次元コードを撮像して取得した前記アドレスを宛先に前記第一の情報を送信することを特徴とする請求項11に記載の情報処理システム。
[請求項14]
前記顧客接点情報ごとに複数の前記第一の情報が含むキーワードと数を分析する分析部と、
前記顧客接点情報ごとに前記キーワードと数を表示する画面を作成する画面生成部と、を有し、
前記第一の端末装置が前記画面を表示することを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[請求項15]
前記画面生成部は、同じユーザーの識別情報に対応付けられている、前記第一の情報を表示する画面を作成し、
前記第一の端末装置が前記画面を表示することを特徴とする請求項14に記載の情報処理システム。
[請求項16]
前記第一の端末装置が表示する前記画面は、前記顧客接点情報の選択欄を有し、
前記第一の端末装置は、ユーザーが選択した前記顧客接点情報から送信された前記第一の情報のみを表示することを特徴とする請求項15に記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0174】
10 管理者端末
20 ユーザー端末
50 情報処理システム
100 チャットシステム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0175】