(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077899
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240603BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240603BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240603BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20240603BHJP
F21V 3/08 20180101ALI20240603BHJP
F21Y 105/16 20160101ALN20240603BHJP
F21Y 115/00 20160101ALN20240603BHJP
【FI】
F21S2/00 482
H01L33/50
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V9/32
F21V3/08
F21S2/00 481
F21Y105:16
F21Y115:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190117
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】西野 光治
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 佳典
(72)【発明者】
【氏名】中島 範之
(72)【発明者】
【氏名】西井 健太
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真樹
【テーマコード(参考)】
3K013
3K244
5F142
【Fターム(参考)】
3K013AA05
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K244AA05
3K244BA11
3K244BA28
3K244BA31
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA03
3K244DA19
3K244FA06
3K244FA13
3K244LA10
5F142AA58
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB03
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD15
5F142CG05
5F142CG24
5F142CG43
5F142DA14
5F142DB16
5F142EA18
(57)【要約】
【課題】より信頼性に優れる発光装置を提供すること。
【解決手段】発光装置の製造方法は、上面に素子載置領域を有し、前記素子載置領域に複数の発光素子が配置された基板を準備する基板準備工程と、平面視形状が矩形状であり、未硬化の透光性部材を、前記複数の発光素子を覆うように配置し、前記透光性部材の4つの角部周辺に位置する領域をそれぞれ押圧することにより、前記透光性部材の下面の一部を前記基板の前記素子載置領域の外側に位置する上面に接触させる透光性部材配置工程と、前記透光性部材配置工程の後、前記透光性部材を硬化する透光性部材硬化工程と、を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に素子載置領域を有し、前記素子載置領域に複数の発光素子が配置された基板を準備する基板準備工程と、
平面視形状が矩形状であり、未硬化の透光性部材を、前記複数の発光素子を覆うように配置し、前記透光性部材の4つの角部周辺に位置する領域をそれぞれ押圧することにより、前記透光性部材の下面の一部を前記基板の前記素子載置領域の外側に位置する上面に接触させる透光性部材配置工程と、
前記透光性部材配置工程の後、前記透光性部材を硬化する透光性部材硬化工程と、を有する発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記透光性部材配置工程は、前記透光性部材上に保護シートが配置された前記透光性部材を準備する工程を含み、
前記透光性部材配置工程において、前記領域を前記保護シートを介して押圧する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記透光性部材配置工程の後、前記保護シートのうち前記領域の上方に位置する部分から、前記保護シートを除去する保護シート除去工程をさらに有する請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記透光性部材配置工程において、前記領域のみをそれぞれ押圧する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記透光性部材硬化工程の後、前記基板の上面と、前記透光性部材の上面と、に連続する被覆部材を、前記透光性部材の外縁に沿って形成する被覆部材形成工程をさらに有する請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記透光性部材は、波長変換部材を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の発光素子がサブマウント上に配列され、サブマウントをさらに配線基板に搭載し、サブマウントと配線基板とがワイヤにより接続された発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、より信頼性に優れる発光装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光装置の製造方法は、上面に素子載置領域を有し、前記素子載置領域に複数の発光素子が配置された基板を準備する基板準備工程と、平面視形状が矩形状であり、未硬化の透光性部材を、前記複数の発光素子を覆うように配置し、前記透光性部材の4つの角部周辺に位置する領域をそれぞれ押圧することにより、前記透光性部材の下面の一部を前記基板の前記素子載置領域の外側に位置する上面に接触させる透光性部材配置工程と、前記透光性部材配置工程の後、前記透光性部材を硬化する透光性部材硬化工程と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る実施形態によれば、より信頼性に優れる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図2のIII-III線における断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線における部分の断面図である。
【
図7】
図2のVII-VII線における断面図である。
【
図8】実施形態に係る発光装置の製造方法のフローチャートである。
【
図9A】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図9B】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図9C】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための拡大平面図である。
【
図9D】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図9E】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図9F】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図9G】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図9H】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図10A】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図10B】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図10C】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図11】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図12】実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するための拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材のサイズや位置関係などは、説明を明確にするため誇張していることがある。また、平面図と対応する断面図とで、各部材の寸法や配置が厳密には一致しないことがある。図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略したり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりする場合がある。更に以下の説明において、上下は相対的なものであり、絶対的な方向を示すものではない。そして、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する場合がある。また、実施形態について、「被覆」や「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して被覆する場合も含む。本明細書において平面視とは、発光装置の上面側から観察することを意味する。
【0009】
[発光装置の構成]
本実施形態に係る発光装置の構成について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0010】
発光装置100は、複数の発光素子1と、上面に複数の発光素子1が配置された素子載置領域13を有する第1基板10と、発光素子1を覆う透光性部材5と、第1基板10の上面と透光性部材5の上面とに連続し、透光性部材5の上面の外縁に沿って配置される第1被覆部材41と、を有する。さらに、発光装置100は、上面に第1基板10を載置する基板載置領域23を有する第2基板20と、素子載置領域13より外側に位置する第1基板10の上面に配置される第1端子110と、基板載置領域23より外側に位置する第2基板20の上面に配置される第2端子120と、第1端子110と第2端子120とを接続するワイヤ130と、ワイヤ130を被覆する樹脂部材40と、を有する。さらに、発光装置100は、素子載置領域13において、発光素子1の上面を露出し側面を覆う反射性部材7と、第2基板20の上面において、第2端子120より外側に配置され、樹脂部材40に接する第2被覆部材42と、を有する。
【0011】
以下、発光装置100の各構成について説明する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、第1基板10は、平板状の支持部材と、支持部材の上面に配置された第1端子110とを含む。第1基板10の上面は、複数の発光素子1が載置される素子載置領域13を有する。素子載置領域13には、発光素子1と接続される配線を配置してもよい。第1基板10の上面には、素子載置領域13よりも外側に位置する複数の第1端子110が配置されている。第1端子110は、素子載置領域13に配置された配線と電気的に接続される。第1基板10は、例えば、シリコン等の半導体基板である。第1基板10の上面のうち、配線が配置されていない領域は絶縁膜で覆われている。配線は、支持部材の内部や下面にも配置されていてもよい。第1端子110及び配線には、例えば、Cu、Ag、Au、Al、Pt、Ti、W、Pd、Fe、Niなどの金属又はその合金などを用いることができる。例えば、第1基板10は、複数の発光素子1の駆動を制御するための回路が集積された集積回路(IC)基板を用いることができる。
【0013】
素子載置領域13には、複数の発光素子1が行列状に配列されている。平面視において、素子載置領域13は、例えば、矩形状の領域である。素子載置領域13の平面視形状が長辺及び短辺を有する長方形状である場合、例えば、長辺の長さを8mm以上18mm以下、短辺の長さを2mm以上6mm以下とすることができる。第1基板10の短辺に沿う方向において、素子載置領域13は、複数の第1端子110間に位置している。
【0014】
第1端子110は、第1基板10の給電用端子である。
図1及び
図2に示すように、第1端子110の平面視形状は、例えば、矩形状、円形状、楕円形状である。複数の第1端子110は、第1基板10の上面において、それぞれが互いに離隔し、素子載置領域13の長辺に沿って配置されている。
【0015】
複数の発光素子1のそれぞれは、第1端子110のいずれかと電気的に接続されている。なお、複数の発光素子1が所定個数のグループとして、第1端子110と直列接続又は並列接続されていてもよい。
【0016】
図1及び
図2に示すように、第2基板20は、平板状の基材と、基材の上面に配置された配線とを含む。第2基板20の上面は、第1基板10を載置する基板載置領域23を有する。第2基板20の上面には、基板載置領域23よりも外側に位置する複数の第2端子120が配置されている。
【0017】
基板載置領域23は、第1基板10の平面視形状と略同じ面積を有する領域である。例えば、第1基板10の平面視形状が長方形状とする場合、基板載置領域23の平面視形状も第1基板10と略同じの面積の長方形状とすることができる。ここで、略同じとは、部材公差や実装公差により生じる誤差を許容範囲として含むものとする。
【0018】
第2端子120の平面視形状は、例えば、矩形状、円形状、楕円形状である。複数の第2端子120は、第2基板20の上面において、それぞれが互いに離隔し、基板載置領域23の長辺に沿って配置されている。第1端子110と第2端子120とにワイヤ130が電気的に接続されることで、第1基板10と第2基板20とは電気的に接続されている。第2端子120には、例えば、上述した第1端子110と同様の金属材料を用いることができる。
【0019】
基材は、放熱性が高い材料を用いるのが好ましく、さらに、高い遮光性や基材強度を備える材料であることがより好ましい。基材には、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどのセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン(bismaleimide triazine resin)、ポリフタルアミド(PPA)などの樹脂、Cu、Al等の金属、さらに、樹脂と金属又はセラミックスとで構成される複合材などを用いることができる。基材には、例えば、上面にキャビティを備えるものを用いてもよい。この場合、第2基板20はキャビティの底を基板載置領域として、キャビティ内に第1基板10を載置することができる。第2基板20は、基板載置領域23の表面に、第1基板10を載置するための配線を備えていてもよい。第1基板10と第2基板20とは、Agを含む焼結体、半田、樹脂などの接合材を介して接合することができる。
【0020】
ワイヤ130には、Au、Cu、Pt、Al等の金属及び/又は少なくともそれらの金属を含有する合金を用いることができる。特に、熱抵抗等に優れたAuを用いたワイヤ130を用いることが好ましい。ワイヤ130の径は、例えば、15μm以上50μm以下が挙げられる。なお、ワイヤ130は、それぞれ長さの異なる第1ワイヤ31、第2ワイヤ32、及び第3ワイヤ33を含む。第1ワイヤ31、第2ワイヤ32、及び第3ワイヤ33には、それぞれ同様の金属材料を用いることができる。ワイヤ130は、平面視で略長方形の第1基板10の長辺を跨いで配置されている。ワイヤ130は、例えば、第1基板10の長辺と略直交するように配置することができる。
【0021】
発光素子1の平面視形状は、例えば、矩形状である。発光素子1の1辺は、例えば、40μm以上100μm以下とすることできる。発光素子1は、半導体積層体と、半導体積層体の表面に配置される正負の電極と、を有する。発光素子1は、半導体積層体の同一面側に正負の電極が配置されており、電極が配置された面と、第1基板10の上面とを対面させた状態で、第1基板10に実装されている。この場合、電極が配置された面とは反対側の面が、発光素子1の主な光取り出し面となる。複数の発光素子1は、第1基板10上において、所定の間隔を開けて行列状に配列されている。発光素子1の個数は、例えば、1000個以上20000個以下とすることできる。発光素子1の大きさや個数は、発光装置の形態によって適宜選択することができる。例えば、比較的小さい素子載置領域として、より多い分割数で制御する場合には、より小さい発光素子1をより多く高密度に配置することが好ましい。
【0022】
発光素子1には、任意の波長の光を発するものを用いることができる。例えば、青色光、緑色光を発する発光素子1としては、窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いたものを用いることができる。また、赤色光を発する発光素子1としては、例えば、GaAlAs、AlInGaPで表される半導体を用いることができる。発光素子1の発光色は目的に応じて適宜選択することができる。
【0023】
発光素子1と第1基板10とを接合するときには、接合部材として、Au、Ag、Cu、Alなどの金属材料からなるバンプを用いることができる。また、接合部材として、AuSn系合金、Sn系の鉛フリー半田などの半田材料を用いるようにしてもよい。また、接合部材として、樹脂に導電性粒子を含有させた導電性接合材を用いることもできる。発光素子1と第1基板10とは、めっき法を用いて発光素子1と第1基板10との間に接合部材を形成することで接合してもよい。めっき材料には、例えば、Cuを用いることができる。また、発光素子1と第1基板10とは、接合部材を介さずに、発光素子1の電極と第1基板10の配線とが直接接合により接合されていてもよい。
【0024】
反射性部材7は、
図7に示すように、第1基板10の上面と、発光素子1の側面とを被覆している。発光素子1の上面は、反射性部材7から露出する。反射性部材7は、発光素子1の下面と第1基板10との間に配置されていてもよい。反射性部材7は、発光素子1の側面から出射する光を透光性部材5の上面側に反射させ、発光装置100の光取り出し効率を向上することができる。また、複数の発光素子1を個別に点灯する際に、発光領域と非発光領域との境界を明確にし、発光領域と非発光領域とのコントラスト比を向上することができる。また、
図5に示すように、反射性部材7は、第1被覆部材41から離隔して配置されている。なお、反射性部材7は、第1被覆部材41に接して配置されていてもよい。
【0025】
反射性部材7は、比較的低弾性であり、形状に対する追従性に優れた軟質の樹脂を用いることが好ましい。具体的には、反射性部材7は、母材となる樹脂に、光反射性物質の粒子を含有させた樹脂を用いることが好ましい。樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができる。なかでも耐熱性、耐光性に優れるシリコーン樹脂を用いることが好ましく、ジメチルシリコーン樹脂を用いることがより好ましい。ジメチルシリコーン樹脂は、より高温耐性等の信頼性に優れるため、車載用途の材料として好適に用いることができる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ガラスフィラーなどを好適に用いることができる。なお、反射性部材7は、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック等の光吸収性物質を含有してもよい。
【0026】
透光性部材5は、透光性を有し、複数の発光素子1の上面を被覆する。透光性部材5は、
図3及び
図4に示すように、複数の発光素子1の上面と、反射性部材7の上面及び側面を連続して被覆する。複数の発光素子1から出射される光は、透光性部材5を通過し透光性部材5の上面から主に取り出される。
【0027】
透光性部材5の平面視形状は、
図1及び
図2に示すように、例えば、矩形状である。透光性部材5の平面視形状が長辺及び短辺を有する長方形状である場合、例えば、長辺の長さを10mm以上20mm以下、短辺の長さを3mm以上7mm以下とすることができる。
図5及び
図6に示すように、透光性部材5の下面の外縁51は、素子載置領域13の外側に位置する第1基板10の上面に接している。透光性部材5の一部は、第1被覆部材41に覆われている。つまり、透光性部材5の一部は、第1基板10の上面と第1被覆部材41との間に位置している。これにより、透光性部材5と第1基板10との密着性が向上し、透光性部材5が第1基板10から剥離しにくくなるため、信頼性に優れた発光装置とすることができる。
【0028】
図5に示すように、透光性部材5の長辺に沿う外縁51は第1被覆部材41に覆われ、第1被覆部材41よりも外側に位置していない。
図6に示すように、透光性部材5の短辺に沿う外縁51の一部は、第1被覆部材41よりも外側に位置し、樹脂部材40と接している。これにより、透光性部材5と第1基板10との接合面積を増加させ、透光性部材5が第1基板10から剥離しにくくなるため、信頼性に優れた発光装置とすることができる。なお、透光性部材5の外縁51のすべてが、第1被覆部材41の外側に位置しないようにしてもよいし、第1被覆部材41の外側に位置するようにしてもよい。
【0029】
透光性部材5は、母材となる樹脂を含み、その母材中に波長変換部材を含有してもよい。本実施形態では、透光性部材5が波長変換部材を含み、発光素子1から出射される光の一部は波長変換部材により波長変換されて外部に取り出される。透光性部材5の母材として用いる樹脂は、発光素子1から出射される光の波長に対して高い透光性を有する。透光性部材5の母材として用いる樹脂は、発光素子1から出射される光の波長に対して、例えば、60%以上、好ましくは70%以上の透光率を有することが好ましい。波長変換部材を含有する透光性部材5としては、母材となる樹脂に、蛍光体の粉末を含有させたものを挙げることができる。母材としては、反射性部材7の母材で例示した樹脂と同様の樹脂を用いることができる。透光性部材5の厚さは、例えば、20μm以上100μm以下とすることができる。
【0030】
蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、α系サイアロン蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si,Al)F6:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2又はAgInSe2)等を用いることができる。
【0031】
樹脂部材40は、
図1~
図4に示すように、第1被覆部材41及び第2被覆部材42に接し、第1被覆部材41より外側の第1基板10の上面を被覆している。樹脂部材40は、素子載置領域13よりも外側においてワイヤ130を覆っている。樹脂部材40は、平面視において、例えば、素子載置領域13を囲むように配置されている。
【0032】
平面視において、第1基板10の長辺側に位置する樹脂部材40の幅は、第1基板10の短辺側に位置する樹脂部材40の幅よりも広い。樹脂部材40の高さは、ワイヤ130の頂部130aの直上において最も高くなっている。樹脂部材40の頂部40aの位置は、第1被覆部材41の頂部41aよりも上方に位置している。なお、樹脂部材40の高さとは、第2基板20の上面から樹脂部材40の上面までの距離である。
【0033】
樹脂部材40としては、例えば、遮光性を有するフィラーを含有する樹脂が挙げられる。母材の樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。遮光性を有するフィラーとしては、顔料、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック等の光吸収性物質、上述した反射性部材に含まれる光反射性物質と同様の光反射性物質などが挙げられる。光吸収による樹脂の劣化を考慮して、樹脂部材40の最表面には光反射性を有する樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
第1被覆部材41は、
図3及び
図4に示すように、第1基板10の上面と、透光性部材5の上面と、に連続して配置されている。第1被覆部材41は、透光性部材5の上面の外縁に沿って配置されている。具体的には、第1被覆部材41は、素子載置領域13と第1端子110との間の第1基板10上において、透光性部材5の上面の外縁に沿って配置されている。これにより、透光性部材5と第1基板10との密着性が向上し、信頼性に優れる発光装置100とすることができる。また、第1被覆部材41で囲まれる領域に、第1基板10の上面が露出していないため、素子載置領域13に配置された配線等を塵芥、水分、外力等から保護することができる。その結果、より信頼性に優れる発光装置100とすることができる。
【0035】
第1被覆部材41は、
図1及び
図2に示すように、平面視において、素子載置領域13を囲むように配置されている。なお、平面視において、第1被覆部材41を囲むように配置せず、例えば、透光性部材の対向する2辺に沿って直線状に配置する構成としてもよい。
【0036】
第2被覆部材42は、
図1及び
図2に示すように、第2基板20の上面において、樹脂部材40に接して配置されている。第2被覆部材42は、平面視において、第1基板10及び第2端子120を囲むように配置されている。
【0037】
第1被覆部材41及び第2被覆部材42には、発光素子1から出射される光に対して透光性又は遮光性を有する材料を用いることができる。第1被覆部材41及び第2被覆部材42には、上述した樹脂部材40の母材として例示した材料を用いることができる。第1被覆部材41には、発光素子1から出射される光に対して透光性を有する材料を用いることが好ましい。これにより、発光素子1から第1被覆部材41に向かう光が反射されることで発光装置100内で生じる迷光の発生を低減することができる。なお、第1被覆部材41及び第2被覆部材42に樹脂を用いる場合、樹脂部材40よりも高い粘度の樹脂を用いることが好ましい。樹脂の粘度は、例えば、樹脂に含有させるフィラーの量により調整することができる。
【0038】
樹脂部材40は、
図3及び
図4に示すように、第1基板10の上面と、第2基板20の上面とに連続して配置されている。樹脂部材40は、平面視において、第1被覆部材41と第2被覆部材42との間に配置されている。つまり、樹脂部材40は、第1基板10上において素子載置領域13を囲むように配置された第1被覆部材41と、第2基板20上において基板載置領域23を囲むように配置された第2被覆部材42との間に配置される。樹脂部材40は、例えば、第1被覆部材41及び第2被覆部材42のそれぞれの頂部に接するように配置される。
【0039】
以上の構成を備える発光装置100は、例えば、車両のヘッドライトの光源として使用することができる。この際、例えば、光源からレンズを介して外部へ光を照射する構成がとられる。発光装置100の発光素子1は、外部からの電源スイッチにより点灯制御される。なお、発光装置100は、予め設定された発光素子1の一部又は全部を個別に点灯させることができるように構成されている。
【0040】
【0041】
発光装置の製造方法は、上面に素子載置領域13を有し、素子載置領域13に複数の発光素子1が配置された第1基板10を準備する第1基板準備工程S11と、平面視形状が矩形状であり、未硬化の透光性部材5を、複数の発光素子1を覆うように配置し、透光性部材5の4つの角部周辺に位置する領域Rをそれぞれ押圧することにより、透光性部材5の下面の一部を第1基板10の素子載置領域13の外側に位置する上面に接触させる透光性部材配置工程S15と、透光性部材配置工程S15の後、透光性部材5を硬化する透光性部材硬化工程S16と、を有する。
【0042】
さらに、発光装置の製造方法は、複数の発光素子1の側面を覆う反射性部材7を形成する反射性部材形成工程S12を有していてもよい。
【0043】
さらに、発光装置の製造方法は、透光性部材硬化工程S16の後、第1基板10の上面と、透光性部材5の上面と、に連続する第1被覆部材41を、透光性部材5の外縁に沿って形成する第1被覆部材形成工程S17を有していてもよい。さらに、透光性部材配置工程S15は、透光性部材5上に保護シート50が配置された透光性部材5を準備する工程を含んでいてもよい。さらに、透光性部材配置工程S15の後、保護シート50のうち透光性部材5の角部に位置する部分から、保護シート50を透光性部材5から除去する保護シート除去工程を有していてもよい。
【0044】
さらに、発光装置の製造方法は、第2基板20を準備する第2基板準備工程と、第1基板10を第2基板20に配置する基板配置工程S13と、第1基板10と第2基板20とを電気的に接続するワイヤ130を形成するワイヤ形成工程S14と、第2被覆部材42を形成する第2被覆部材形成工程S18と、ワイヤ130を被覆する樹脂部材40を形成する樹脂部材形成工程S19と、を有していてもよい。なお、第1被覆部材形成工程S17と、第2被覆部材形成工程S18とは、どちらが先でも後でもよく、あるいは同時に行ってもよい。
【0045】
以下、各工程について説明する。
【0046】
第1基板準備工程S11は、
図9Bに示すように、素子載置領域13に複数の発光素子1が配置された第1基板10を準備する工程である。第1基板10としては、
図9Aに示すように、素子載置領域13および素子載置領域13の周縁に予め複数の第1端子110及び配線が配置された第1基板10を準備することが好ましい。第1端子110及び配線は、例えば、めっき法、スパッタリング法、蒸着法等により形成することができる。複数の発光素子1は、例えば、素子載置領域13にフリップチップ実装により実装することができる。発光素子1は、半導体積層体を形成する工程、半導体層に電極を形成する工程等の複数の工程を行うことで準備することができる。なお、第1基板10は、購入等により準備してもよい。
【0047】
反射性部材形成工程S12は、複数の発光素子1の側面を覆う反射性部材7を形成する工程である。第1基板10に複数の発光素子1を配置した後に、複数の発光素子1の側面を覆うように反射性部材7を形成する。反射性部材形成工程S12により、
図9Cに示すように、反射性部材7が複数の発光素子1間に配置される。反射性部材7は、例えば、圧縮成形、トランスファーモールド、ポッティング、印刷、スプレー等の方法で形成することができる。
【0048】
基板配置工程S13は、
図9Eに示すように、複数の発光素子1を配置した第1基板10を第2基板20の基板載置領域23に配置する工程である。基板配置工程S13により、第2基板20の基板載置領域23に第1基板10が接合される。第1基板10と第2基板20とは、例えば、接合部材を第1基板10と第2基板との間に配置し、接合部材を介して接合することができる。なお、基板配置工程S13を行う前に、
図9Dに示すように、予め複数の第2端子120が配置された第2基板20を準備することが好ましい。第2端子120は、上述した第1基板10の第1端子110と同様の方法により形成することができる。なお、第2基板20は、購入等により準備してもよい。
【0049】
ワイヤ形成工程S14は、
図9Fに示すように、第1基板10の第1端子110と第2基板20の第2端子120とをワイヤ130で接続する工程である。ワイヤ130は、第1基板10上の第1端子110と接続した後、第2基板20上の第2端子120と接続させるのが好ましい。これにより、第1基板10と第2基板20との段差に沿ってワイヤ130を形成させやすくすることができる。そのため、後述する樹脂部材形成工程S19において、ワイヤ130と第2基板20との間に配置される樹脂量を少なくし、樹脂部材40の熱膨張に起因したワイヤ130の断線を低減することができる。
【0050】
透光性部材配置工程S15は、
図9Gに示すように、複数の発光素子1及び反射性部材7を覆う透光性部材5を配置する工程である。透光性部材5は、平面視形状が矩形状であり、未硬化の状態である。透光性部材配置工程S15は、透光性部材5上に保護シート50が配置された透光性部材5を準備する工程を含んでもよい。保護シート50の平面視形状は、例えば、矩形状である。平面視において、保護シート50の外形は、透光性部材5の外形と略同じである。透光性部材5が複数の発光素子1上に固定されたとき、透光性部材5と発光素子1との密着性は、透光性部材5と保護シート50との密着性よりも高くなっていることが好ましい。これにより、後述する保護シート50除去工程において、保護シート50を透光性部材5から除去しやすい。保護シート50には、粘着性の低い材料を用いることが好ましく、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂を用いることができる。
【0051】
透光性部材配置工程S15では、まず、
図10Aに示すように、透光性部材5を、複数の発光素子1を覆うように配置する。透光性部材5は、複数の発光素子1上に、樹脂等の透光性の接合部材を介して固定されてもよいし、接合部材を介さずに透光性部材5の粘着性等により固定されてもよい。透光性部材5を発光素子1上に配置する際、透光性部材5を吸着可能なコレット等の治具を用いてもよい。
【0052】
透光性部材5は、透光性部材5の外縁の一部が第1基板10の上面と接している状態で複数の発光素子1上に配置されることが好ましい。例えば、透光性部材5を発光素子1上に配置する際、透光性部材5の外縁51のうち透光性部材5の短辺に沿った外縁51をコレット等の治具で押圧することで、透光性部材5の外縁51の一部が第1基板10の上面に接触するようにしてもよい。これにより、透光性部材5を第1基板10により強固に接合させることができる。また、透光性部材5の外縁51のうち透光性部材5の長辺に沿った外縁51は、コレット等の治具で押圧せず、第1基板10の上面と接触していない状態とすることが好ましい。これにより、後述する透光性部材硬化工程S16において、透光性部材5の長辺及び短辺が第1基板10の上面と接している場合に比べて、空気が透光性部材5の長辺に沿った領域から出ていき、透光性部材5と第1基板10との間に空気が残存しにくくなる。その結果、第1基板10と透光性部材5とが空気が残存した状態で接合されることによる透光性部材5と第1基板10との接合性の悪化を低減し、発光装置100の信頼性を向上させることができる。
【0053】
次に、透光性部材5の4つの角部周辺に位置する領域Rをそれぞれ押圧することにより、
図10Bに示すように、透光性部材5の下面の一部を第1基板10の素子載置領域13の外側に位置する上面に接触させる。透光性部材5の角部周辺に位置する領域Rは、後述する透光性部材硬化工程S16において、透光性部材5の外縁51のうち第1基板10から特に剥離しやすい領域である。透光性部材5の領域Rの下面を第1基板10に接触させることで、後述する透光性部材硬化工程S16において、透光性部材5が第1基板から剥離しにくくできるので、信頼性に優れた発光装置100を得ることができる。
図11に示すように、透光性部材5の4つの角部周辺に位置する領域Rは、平面視において、反射性部材7の外側に位置し、透光性部材5の角部に隣接する領域である。
図12に示すように、押圧された領域Rの透光性部材5の厚さD2は、発光素子1の直上の被覆する透光性部材5の厚さD1よりも薄くなる。透光性部材5の領域Rを押圧する押圧部材には、例えば、先端が尖った形状を有する部材や、透光性部材5を押圧する部分が円形状、多角形状である部材を用いることができる。なお、透光性部材5の領域Rのすべてを押圧するようにしてもよいし、透光性部材5の領域Rの一部を押圧するようにしてもよい。
【0054】
透光性部材5の領域Rを含む領域をコレット等の治具で押圧し、その後、さらに透光性部材5の領域Rを押圧することが好ましい。つまり、透光性部材5の領域Rは、コレット等の治具で押圧された領域と重なる領域であることが好ましい。透光性部材5の領域Rが第1基板10に接触した状態で、さらに透光性部材5の領域Rを押圧することで、透光性部材5の領域Rが第1基板10に接触していない場合よりも高い位置精度で透光性部材5の領域Rを第1基板10側に押圧することができる。
【0055】
透光性部材の4つの角部周辺に位置する領域Rは、保護シート50を介して押圧することが好ましい。これにより、押圧に用いる押圧部材と透光性部材5とが直接接することにより透光性部材5が損傷することが生じにくくなる。
【0056】
透光性部材配置工程S15において、透光性部材5の領域Rのみをそれぞれ押圧することが好ましい。つまり、透光性部材配置工程S15において、透光性部材5の外縁51のうち長辺に沿った外縁51を押圧しないようにすることが好ましい。これにより、透光性部材5の長辺に沿った外縁51が第1基板10と接触していない状態で後述する透光性部材硬化工程S16が行われるため、上述したように第1基板10と透光性部材5とが空気が残存した状態で接合されにくくなる。その結果、透光性部材5と第1基板10との接合性の悪化を低減し、発光装置100の信頼性を向上させることができる。なお、透光性部材配置工程S15において、透光性部材5の外縁51のうち長辺に沿った外縁51の一部を押圧してもよい。
【0057】
保護シート50を有する透光性部材5を用いる場合、透光性部材配置工程S15の後、
図10Cに示すように、保護シート50を除去する保護シート除去工程を有していてもよい。保護シート50の除去には、例えば、粘着性を有する粘着部材を保護シート50に当接させて、粘着部材を透光性部材5から離れる方向に移動させる方法や、保護シート50の一部をピンセット等で摘み、ピンセットを透光性部材5から離れる方向に移動させる方法を用いることができる。
【0058】
透光性部材5を押圧し、第1基板10に接触させることで、透光性部材5と第1基板10との間の密着力は、透光性部材5と保護シート50との間の密着力よりも高くなるため、押圧された透光性部材5の領域Rの上方に位置する保護シート50は、透光性部材5から剥がれやすい状態となる。そのため、保護シート50は、保護シート50のうち透光性部材5の領域Rの上方に位置する部分から除去することが好ましい。保護シート除去工程は、後述する透光性部材硬化工程S16の前に行うことが好ましい。これにより、後述する透光性部材硬化工程S16において、透光性部材5と保護シート50との密着性が高くなりにくく、保護シート50を透光性部材5から除去しやすい。
【0059】
透光性部材硬化工程S16は、透光性部材5を硬化する工程である。未硬化の透光性部材5は加熱等によって軟化し、反射性部材7の形状に沿って変形することで透光性部材5の外縁51は第1基板10の上面と接触する。その後、透光性部材5を軟化させるときよりも高い温度で加熱することで透光性部材5が硬化し、透光性部材5が第1基板10の上面に接合される。透光性部材5を硬化するとき、透光性部材5の外縁51は、第1基板10の上面から離れる方向に反りやすく、特に透光性部材5の角部は他の領域に比べて反りが発生しやすい。本実施形態では、上述したように、透光性部材硬化工程S16の前に、透光性部材5の角部周辺に位置する領域Rを第1基板10の上面に接触させている。これにより、透光性部材硬化工程S16において、第1基板10から透光性部材5が剥離することが低減できるため、信頼性に優れた発光装置とすることができる。
【0060】
第1被覆部材形成工程S17は、第1基板10の上面と、透光性部材5の上面と、に連続する第1被覆部材41を形成する工程である。第1被覆部材41は、平面視において、透光性部材5の外縁51に沿って形成される。第1被覆部材41は、例えば、未硬化の樹脂をディスペンサのノズルから供給しながら、ノズルを移動させることで透光性部材5の外縁51に沿って第1被覆部材41を形成することができる。第1被覆部材41は、第1基板10の上面と、押圧された領域Rの透光性部材5の上面と、に連続するように形成される。
【0061】
透光性部材5の高さは、複数の発光素子1を覆う透光性部材5の中央領域よりも透光性部材5と第1基板10の上面とが接する外縁領域の方が低い。第1被覆部材41は、透光性部材5のうち外縁領域に位置する部分を被覆するように形成される。これにより、第1被覆部材41を供給する際に、透光性部材5の中央領域に第1被覆部材41を形成する未硬化の樹脂が這い上がりにくくすることができる。なお、透光性部材5の高さとは、第1基板10の上面から透光性部材5の上面までの高さである。
【0062】
第2被覆部材形成工程S18は、第2基板20の上面において第2端子120より外側に第2被覆部材42を形成する工程である。第2被覆部材42は、平面視において、第1基板10及び第2端子120を囲むように形成される。第2被覆部材42は、例えば、未硬化の樹脂をディスペンサのノズルから供給しながら、ノズルを移動させることで第1基板10及び第2端子120を囲むように第2被覆部材42形成することができる。なお、工程を簡略化する観点から、第1被覆部材41と第2被覆部材42には同じ材料を用いることが好ましい。
【0063】
第1被覆部材41及び第2被覆部材42は、未硬化の樹脂を高さ方向に複数重なるように設けることで所定高さとすることができる。例えば、第1被覆部材41及び第2被覆部材42は、ノズルから所定粘度に調整された樹脂を基板上に形成し、その樹脂の上方に樹脂を形成する工程を繰り返すことで所定の高さとすることができる。第1被覆部材41及び第2被覆部材42は、後述する樹脂部材形成工程S19において、未硬化の樹脂材料を第1被覆部材41と第2被覆部材42とに囲まれる領域に留めるための壁部として用いることができる。
【0064】
樹脂部材形成工程S19は、第1被覆部材41より外側において、第1被覆部材41及び第2被覆部材42に接し、ワイヤ130を被覆する樹脂部材40を形成する工程である。樹脂部材40は、平面視において、第1被覆部材41と第2被覆部材42との間に未硬化の樹脂を供給することで形成される。樹脂部材40は、例えば、第1被覆部材41及び第2被覆部材42よりも低粘度の樹脂を用いて形成する。樹脂部材40は、第1基板10の上面及び側面と、第2基板20の上面とに連続して配置される。
【0065】
樹脂部材40の頂部40aの位置は、第1被覆部材41の頂部41aよりも高い位置になるように形成することが好ましい。これにより、第1被覆部材41の頂部41aよりも低い位置にあるワイヤ130の頂部130aが、樹脂部材40から露出しないようにすることができるため、発光装置100の信頼性を向上することができる。
【0066】
以上、本発明に係る発光装置及びその製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0067】
本開示の態様は、例えば、以下のとおりである。
(付記1) 上面に素子載置領域を有し、前記素子載置領域に複数の発光素子が配置された基板を準備する基板準備工程と、
平面視形状が矩形状であり、未硬化の透光性部材を、前記複数の発光素子を覆うように配置し、前記透光性部材の4つの角部周辺に位置する領域をそれぞれ押圧することにより、前記透光性部材の下面の一部を前記基板の前記素子載置領域の外側に位置する上面に接触させる透光性部材配置工程と、
前記透光性部材配置工程の後、前記透光性部材を硬化する透光性部材硬化工程と、を有する発光装置の製造方法。
(付記2) 前記透光性部材配置工程は、前記透光性部材上に保護シートが配置された前記透光性部材を準備する工程を含み、
前記透光性部材配置工程において、前記領域を前記保護シートを介して押圧する付記1に記載の発光装置の製造方法。
(付記3) 前記透光性部材配置工程の後、前記保護シートのうち前記領域の上方に位置する部分から、前記保護シートを除去する保護シート除去工程をさらに有する付記2に記載の発光装置の製造方法。
(付記4) 前記透光性部材配置工程において、前記領域のみをそれぞれ押圧する付記1から3のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
(付記5) 前記透光性部材硬化工程の後、前記基板の上面と、前記透光性部材の上面と、に連続する被覆部材を、前記透光性部材の外縁に沿って形成する被覆部材形成工程をさらに有する付記1から4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
(付記6) 前記透光性部材は、波長変換部材を含む付記1から5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【符号の説明】
【0068】
1 発光素子
5 透光性部材
7 反射性部材
10 第1基板
110 第1端子
13 素子載置領域
20 第2基板
120 第2端子
23 基板載置領域
130 ワイヤ
130a ワイヤの頂部
31 第1ワイヤ
32 第2ワイヤ
33 第3ワイヤ
40 樹脂部材
40a 樹脂部材の頂部
41 第1被覆部材
41a 第1被覆部材の頂部
42 第2被覆部材
50 保護シート
100 発光装置