(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077900
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】エネルギー線硬化性インクジェット印刷インク及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/38 20140101AFI20240603BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20240603BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
C09D11/38
B41M5/00 120
B41M5/00 100
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190125
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 直人
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA13
2C056FC01
2C056FD20
2H186AB11
2H186BA08
2H186DA08
2H186FB04
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB48
4J039AD21
4J039BC54
4J039BC56
4J039BC61
4J039BE01
4J039BE24
4J039BE27
4J039EA04
4J039EA16
4J039EA46
4J039FA02
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、薄膜の印刷を施した場合であっても硬化性に優れ、密着性に優れたエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを提供することである。
【解決手段】本発明は、特定構造の化合物(A)とホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)とアシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)とを含有するエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクであって、質量比[前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)/前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)]が所定の範囲内であり、前記化合物(A)が前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して所定量含まれるエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクによって、前記課題を解決した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物(A)とホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)とアシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)とを含有するエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクであって、質量比[前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)/前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)]が2~10であり、前記化合物(A)が前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して30質量%~60質量%含まれることを特徴とする特徴とするエネルギー線硬化性インクジェット印刷インク。
CH2=CR1-CO-O-R2-O-CH=CH-R3 (1)
(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素原子数2~20を含む構造を表し、R3は水素原子または炭素原子数1~11を含む構造を表す。)
【請求項2】
前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)がフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルであり、かつ、前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)がフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドである請求項1に記載のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インク。
【請求項3】
前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)が前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して1.5~8質量%の範囲で含まれ、かつ、前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)が前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して0.4~1.7質量%の範囲で含まれる請求項1または2に記載のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インク。
【請求項4】
さらに2個の重合性不飽和二重結合を有する化合物(C1)を前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して35質量%~65質量%の範囲で含有する請求項1または2に記載のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インク。
【請求項5】
さらに水素引き抜き型重合開始剤(B3)とアミン系光開始助剤(D)とを含有する請求項1に記載のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インク。
【請求項6】
前記水素引き抜き型重合開始剤(B3)が、チオキサントン系光重合開始剤またはケトクマリン系光重合開始剤を含有するものである請求項5に記載のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インク。
【請求項7】
前記水素引き抜き型重合開始剤(B3)が、チオキサントン系光重合開始剤及びケトクマリン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上と、メチルベンゾイルフォルメイト及び1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オンからなる群より選ばれる1種以上とを組み合わせ含有するものである請求項5に記載のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インク。
【請求項8】
[前記アミン系光開始助剤(D)/前記チオキサントン系光重合開始剤及びケトクマリン系光重合開始剤の合計]が3~6の範囲である請求項5に記載のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インク。
【請求項9】
被記録媒体に、請求項1~8のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを用いて印刷し、その印刷面に、エネルギー線を照射し硬化させることによって塗膜を形成することを特徴とする印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な印刷物の製造に使用可能なエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクは、他のインクと比較して、硬化性や乾燥性に優れることから、例えばプラスチックフィルムをはじめとする様々な被記録媒体への印刷に使用されている。
【0003】
前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクとしては、例えば所定のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類とフェノキシエチル(メタ)アクリレートとを含有する重合性化合物と光重合開始剤と色材とを含有する光硬化型インクジェット記録用インク組成物が記載されている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、印刷物を製造する際にインクの硬化性や、インクの被記録媒体への密着性とを両立することが難しい場合があり、とりわけ塗膜の膜厚が薄い(薄膜)場合、硬化性の著しい低下を引き起こす場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、薄膜の印刷を施した場合であっても硬化性に優れ、密着性に優れたエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、下記一般式(1)で示される化合物(A)とホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)とアシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)とを含有するエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクであって、質量比[前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)/前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)]が2~6であり、前記化合物(A)が前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して30質量%~60質量%含まれることを特徴とする特徴とするエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクによって、前記課題を解決した。
CH2=CR1-CO-O-R2-O-CH=CH-R3 (1)
(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素原子数2~20を含む構造を表し、R3は水素原子または炭素原子数1~11を含む構造を表す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクは、薄膜の印刷を施した場合であっても硬化性に優れ、被記録媒体への密着性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクは、下記一般式(1)で示される化合物(A)とホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)とアシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)とを含有するエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクであって、質量比[前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)/前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)]が2~6であり、前記化合物(A)が前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して30質量%~60質量%含まれることを特徴とする。
CH2=CR1-CO-O-R2-O-CH=CH-R3 (1)
(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素原子数2~20を含む構造を表し、R3は水素原子または炭素原子数1~11を含む構造を表す。)
【0010】
前記化合物(A)としては、一般式(1)で示される構造を有するものを使用する。前記一般式(1)中のR1は水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素原子数2~20のを含む構造を表し、R3は水素原子または炭素原子数1~11を含む構造を表す。
【0011】
R2は、具体的には、炭素原子数2~20の直鎖状のアルキレン基、炭素原子数2~20の分枝したアルキレン基、炭素原子数2~20の環状のアルキレン基、エーテル結合やエステル結合と炭素原子数2~20とを含む構造、水素原子の一部または全部型の官能基に置換されていてもよい炭素原子数6~11の芳香族環式構造が挙げられる。
【0012】
なかでも、前記R2としては、炭素原子数2~6のアルキレン基、エーテル結合と炭素原子数2~9を含む構造を使用することが、硬化性に優れたエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえでより好ましい。
【0013】
前記R3としては、具体的には、炭素原子数1~11の直鎖状のアルキレン基、炭素原子数1~11の分枝したアルキレン基、炭素原子数1~11の環状のアルキレン基、炭素原子数6~11の置換されてもよい芳香族基等が挙げられる。
【0014】
なかでも、前記R3としては、水素原子または炭素原子数1~2のアルキル基を使用することが、硬化性に優れたエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえでより好ましい。
【0015】
前記化合物(A)としては、具体的には、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルを使用することが好ましい。
【0016】
前記(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルをはじめとする前記化合物(A)は、ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)とアシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)とを上記した特定の質量比で組み合わせ使用する実施形態において、35~60質量%範囲で使用することが特に好ましく、40~60質量%範囲で使用することが、被記録媒体への密着性と優れた硬化性とを両立するうえで特に好ましい。
【0017】
次に、本発明で使用するホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)について説明する。
【0018】
前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)としては、例えばフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸メチル、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル、(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン酸メチル、(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン酸エチル、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピル等を単独または2以上組み合わせ使用することができる。
【0019】
なかでも、前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)としては、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルを使用することが、LED-UV光源下で硬化塗膜を得るうえで好ましい。
【0020】
前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)は、本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して1.5~8質量%の範囲で使用することが好ましく、2~6質量%の範囲で使用することが、被記録媒体への密着性をより一層向上するうえでより好ましい。
【0021】
次に、本発明で使用するアシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)について説明する。
【0022】
前記アシルホスフィン系重合開始剤(B2)としては、例えば2-メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキシド等を単独または2以上組み合わせ使用することができる。
【0023】
なかでも、前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B2)としては、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを使用することが、LED-UV光源下で硬化塗膜を得るうえで好ましい。
【0024】
前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B2)は、本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して_0.4~1.7質量%の範囲で使用することが好ましく、0.5~1.6質量%の範囲で使用することが、硬化性と被記録媒体への密着性をより一層向上するうえでより好ましい。
【0025】
本発明では、単に、前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)及び前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)を組み合わせ使用するのではなく、前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)及び前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)の質量比[前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)/前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)]が、2~10となる範囲で使用する。これにより、含有量が多いホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)だけでなく、含有量の少ない前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)も効果的に作用し、結果として硬化性と被記録媒体への密着性とを向上させることが可能となる。
【0026】
また、本発明では、単に上記質量比の範囲内で前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)及び前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)を組み合わせ使用するだけでなく、さらに、前記化合物(A)を上記した30質量%~60質量%の範囲で使用することによって、被記録媒体への密着性に優れ、かつ優れた硬化性のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得ることができる。
【0027】
本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクとしては、前記した成分のほかに、必要に応じて、その他の成分を含有するものを使用することができる。
【0028】
前記その他の成分としては、例えば前記化合物(A)以外の重合性不飽和二重結合を有する化合物を使用することができる。具体的には、前記重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、2個の重合性不飽和二重結合を有する化合物(C1)や3個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(C2)を使用することができる。
【0029】
前記2個の重合性不飽和二重結合を有する化合物(C1)としては、例えば1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド変性物やカプロラクトン変性物が挙げられる。
【0030】
前記化合物(C1)としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートを使用することが、より一層優れた密着性等を発現するうえで好ましい。
【0031】
前記化合物(C1)は、本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して、35~70質量%が好ましく、40~70質量%の範囲で使用することが好ましく、55~65質量%の範囲で使用することが、被記録媒体への密着性をより一層向上するうえでより好ましい。
【0032】
前記3個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(C2)としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキ変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを使用することができる。
【0033】
前記化合物(C2)は、本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して、1質量%~20質量%の範囲で使用することが好ましく、3質量%~15質量%
の範囲で使用することが、被記録媒体への密着性や塗膜硬度をより一層向上するうえでより好ましい。
【0034】
また、前記その他の成分としては、重合性不飽和二重結合を1個有する化合物(C3)を使用することもできる。前記化合物(C3)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミノ(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド等が挙げられる。
【0035】
また、前記その他の成分としては、前記ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)及び前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)以外のその他の重合開始剤を組み合わせ使用することができる。
【0036】
前記その他の重合開始剤としては、例えば分子開裂型または、水素引き抜き型光重合開始剤(B3)を使用することができる。なかでも、本発明では、チオキサントン系光重合開始剤やケトクマリン系光重合開始剤などの水素引き抜き型光重合開始剤(B3)を使用することが好ましく、前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)とアミン系光開始助剤(D)とを組み合わせ使用することが、より一層優れた密着性と硬化性とを両立したネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえで特に好ましい。
【0037】
前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)としては、例えば2,4-ジエチルチオキサントン[2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オンとも称する]や2-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、3-ケトクマリン系開始剤が挙げられる。
【0038】
なかでも、前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)としては、チオキサントン系光重合開始剤を使用することが好ましく、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンをそれぞれ単独または組み合わせ使用することが、より一層優れた密着性と硬化性とを両立したエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえで特に好ましい。
【0039】
また、前記水素引き抜き型重合開始剤(B3)としては、前記したチオキサントン系光重合開始剤及びケトクマリン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上と、メチルベンゾイルフォルメイト及び1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オンからなる群より選ばれる1種以上とを組み合わせ含有するものを使用することが、塗膜の表面硬化性を高め耐溶剤性に優れた塗膜を形成エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえで特に好ましい。
【0040】
前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)はエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して0.5~2.0質量%の範囲で使用することが好ましく、0.8~1.5質量%の範囲で使用することが、より一層優れた密着性と硬化性とを両立したエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえで特に好ましい。
【0041】
また、前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)のうちチオキサントン系重合開始剤を使用する場合には、前記アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)の含有量は好ましくは0.3~1.7質量%の範囲、より好ましくは0.8~1.5質量%の範囲となるように調整することが、より一層優れた密着性と硬化性とを両立したエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえで特に好ましい。
【0042】
また、前記チオキサントン系光重合開始剤及びケトクマリン系光重合開始剤からなる群より選ばれる1種以上と、メチルベンゾイルフォルメイト及び1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オンからなる群より選ばれる1種以上とを組み合わせ使用する場合、前記チオキサントン系光重合開始剤及びケトクマリン系光重合開始剤はエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して、合計0.3~3.0質量%の範囲で使用し、かつ、メチルベンゾイルフォルメイト及び1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オンは、エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクの全量に対して、好ましくは合計0.2~3質量%、より好ましくは合計0.5~2質量%の範囲で使用することが、優れた密着性と硬化性とを損なうことなく、優れた耐溶剤性も備えた印刷物を製造可能なエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえで特に好ましい。
【0043】
また、前記その他の成分としては、増感剤を使用することができる。とりわけ、前記チオキサントン系重合開始剤等の前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)を使用する場合には、光開始助剤と組み合わせ使用することが、より一層優れた密着性と硬化性とを両立したエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得るうえで特に好ましい。
【0044】
前記光開始助剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を使用することができる。なかでも、前記光開始助剤としては、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン系光開始助剤(D)を使用することが、前記チオキサントン系重合開始剤(B3)等の前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)と組み合わせ使用した場合により一層優れた密着性と硬化性とを両立したエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得ることができるため特に好ましい。
【0045】
前記チオキサントン系重合開始剤等の前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)とアミン系光開始助剤(D)とを組み合わせ使用する場合、それらの質量比[前記アミン系光開始助剤(D)/前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)]は3~6の範囲であることが好ましく、4~6の範囲であることが、より一層優れた密着性と硬化性とを両立したエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得ることができるため特に好ましい。
【0046】
とりわけ、前記水素引き抜き型光重合開始剤(B3)として前記チオキサントン系光重合開始剤またはケトクマリン系光重合開始剤を使用する場合、それらの質量比[前記アミン系光開始助剤(D)/前記チオキサントン系光重合開始剤及びケトクマリン系光重合開始剤の合計]は3~6の範囲であることが好ましく、4~6の範囲であることが、より一層優れた密着性と硬化性とを両立したエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを得ることができるため特に好ましい。
【0047】
また、前記その他の成分としては、着色剤を使用することができる。
【0048】
前記着色剤としては、例えば顔料や染料を使用することができる。前記顔料としては、例えばシアンインクに使用されるフタロシアニン顔料、マゼンタインクに使用されるキナクリドン系顔料、イエローインクに使用されるアゾ顔料、ブラックインクに使用されるカーボンブラック、ホワイトインクに使用可能な白色顔料等が挙げられる。
【0049】
前記シアンインクに使用されるフタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルーの1、2、3、15:3、15:4、16:6、16、17:1、75、79等が挙げられる。
【0050】
マゼンタインクに使用されるキナクリドン系顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0051】
イエローインクに使用されるアゾ顔料としては、例えばC.I.ピグメント イエローの120、151、154、175、180、181、1、65、73、74、116 、12、13、17、81、83、150、155、214、128等のモノアゾ及びジスアゾ顔料を使用することができる。
【0052】
ブラックインクに使用されるカーボンブラックとしては、三菱化学株式会社のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、キャボット社製のRegal400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlack S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Special Black 6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
【0053】
ホワイトインクに使用可能な白色顔料としては、特に限定はなく公知の無機白色顔料を使用できる。前記無機白色顔料としては、例えば、アルカリ土類金属の硫酸塩または炭酸塩、微粉ケイ酸や合成珪酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。前記無機白色顔料としては、前記したシリカ類等の表面が各種表面処理方法によって表面処理されたものを使用することもできる。
【0054】
前記顔料の体積平均粒径は、10~300nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50~200nmである。
【0055】
前記顔料は、十分な画像濃度や印刷画像の耐光性を得るため、各インクの全量に対して1~20質量%の範囲で含まれることが好ましく、1~10質量%の範囲で含まれることがなお好ましく、1~5質量%の範囲で含まれることが最も好ましい。また、マゼンタインクは、他の色インクよりも顔料濃度を高くすることが好ましい。具体的には他の色インクよりも顔料濃度を1.2倍以上とすることが好ましく、1.2~4倍とすることがより好ましい。
【0056】
前記酸化チタンの体積平均粒径としては、100~500nmのものを使用することが好ましく、より一層優れた吐出安定性と、印刷画像の高い発色性とを備えたインクを得るうえで、150nm~400nmの体積平均粒径を有するものを使用することがより好ましい。
【0057】
前記顔料は、前記化合物(A)等に対する分散安定性を高める目的で顔料分散剤や顔料誘導体(シナジスト)等と組合せ使用してもよい。
【0058】
前記顔料分散剤としては、例えば味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、PB822、PB817、ルーブリゾール社製のソルスパーズ24000GR、32000、33000、39000、楠本化成株式会社製のディスパロンDA-703-50、DA-705、DA-725等を使用することができる。
【0059】
前記顔料分散剤の使用量は、前記顔料に対して10~100質量%の範囲が好ましく、より一層優れた吐出安定性と顔料分散性とを備えたインクを得るうえで、20~60質量%の範囲であるものを使用することがより好ましい。また、前記顔料誘導体としては、例えば顔料のスルホン酸誘導体等を使用することができる。
【0060】
また、前記その他の成分としては、必要に応じてハイドロキノン、メトキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、P-メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等の重合禁止剤を含有するものを使用することができる。前記重合禁止剤は、本発明のインクの全量に対して0.01質量%~2質量%の範囲で使用することができる。
【0061】
また、前記その他の成分としては、プラスチック基材等の基材に対する密着性をより一層向上させるうえで、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル等の非反応性樹脂等を含有するものを使用することができる。
【0062】
本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクは、例えば前記化合物(A)と、必要に応じて使用可能なものとして例示した顔料等のその他の成分とをビーズミル等の分散機を用いて混合した後、ホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)とアシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)等の重合開始剤を加え、さらに必要に応じ重合禁止剤や増感剤や、表面張力調整剤等の添加剤を加えて攪拌、溶解することで製造することができる。
【0063】
前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクは、予め、ビーズミル等の通常の分散機を用いて、顔料や顔料分散剤や樹脂等を含有する高濃度の顔料分散体(ミルベース)を製造後、化合物(C)やホスフィン酸エステル系重合開始剤(B1)とアシルホスフィンオキサイド系重合開始剤(B2)等の重合開始剤や添加剤等を供給し、攪拌、混合することによって製造することもできる。
【0064】
前記分散機としては、ビーズミルの他、たとえば超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザーなど、公知慣用の各種分散機を使用することができる。
【0065】
本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクとしては、25℃の粘度が3mPa・sec~30mPa・secの範囲であるものを使用することが好ましく、5mPa・sec~20mPa・secの範囲のものを使用することが、インクジェット吐出安定の効果を奏するうえでより好ましい。
【0066】
本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクは、活性エネルギー線、好ましくは紫外線等の光照射をすることにより硬化する。紫外線等の光源としては、通常、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷インクに使用する光源、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、UV-LEDランプ等を使用することができる。
【0067】
本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクは、もっぱらインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方式での印刷に好適に使用することができる。
【0068】
インクジェット記録方式としては、従来公知の方式がいずれも使用できる。例えば圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)や熱エネルギーを利用する方法が挙げられる。
【0069】
前記エネルギー線硬化性インクジェット印刷インクを、インクジェット記録装置を用いて、被記録媒体である基材に吐出し、活性エネルギー線を照射することによって硬化させることによって、印刷物を製造することができる。前記印刷物としては、例えば広告、看板、案内板、販促品印刷などが挙げられる。
【0070】
本発明のエネルギー線硬化性インクジェット印刷インクは、被記録媒体である様々な基材に対する密着性に優れるため、曲面や凹凸した不規則な形状を有するような基材の表面にも容易に印刷することができる。
【0071】
前記基材としては、例えばプラスチック基材を使用することができる。前記プラスチック基材としては、具体的には、汎用の射出成形用プラスチックとして使用される、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)/ABS樹脂、PA(ポリアミド)/ABS樹脂、PC(ポリカーボネート)/ABS樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)/ABS等のABS系のポリマーアロイ、AAS(アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレンゴム・スチレン)樹脂、MS((メタ)アクリル酸エステル・スチレン)系樹脂、PC(ポリカーボネート)系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、PP(ポリプロピレン)系樹脂等からなる基材が挙げられる。
【0072】
また、前記プラスチック基材としては、例えば包装材料用に使用される熱可塑性樹脂フィルム等を使用することも可能である。
【0073】
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、一般に食品包装用として使用される熱可塑性樹脂フィルムとして使用されるものが挙げられ、例えばポリエチレンレテフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、一軸延伸や二軸延伸等の延伸処理されたものや、表面に火炎処理やコロナ放電処理等が施されたものを使用することもできる。
【実施例0074】
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0075】
[シアン顔料分散体(1)の調製例]
ファストゲンブルーTGR(DIC製 フタロシアニン顔料C.I.ピグメントブルー15:3) 10質量部と、ソルスパーズ 32000(ルーブリゾール社製 高分子顔料分散剤) 4.5質量部と、MiramerM222(MIWON社製 ジプロピレングリコールジアクリレート) 85.5質量部とを攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間処理することによって、シアン顔料分散体(1)を得た。
【0076】
[実施例1]
表1の実施例1に記載の配合割合にしたがい、エネルギー線硬化型インクジェット印刷インクを製造した。具体的には、VEEA-AI(日本触媒社製アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル)を37.7質量部、Miramer M222(MIWON社製ジプロピレングリコールジアクリレート)を43.9質量部、Omnirad TPO-L(エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(アシルフォスフィンオキシド系;IGM RESINS B.V.製))を2.7質量部、Omnirad 819(IGM社製ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)を0.9質量部、SPEEDCURE DETX(ランブソン社製ジエチルチオキサントン)を1.3質量部、KAYACURE EPA(日本化薬社製4-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル)を5.4質量部、KF351A(ポリエーテル変性シリコーン、信越化学工業社製)を0.2質量部、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン(精工化学社製)を0.1質量部を添加し、60℃で30分加熱攪拌した後、前記シアン顔料分散体(1)を8.1質量部添加し、十分に撹拌、混合しインクを得た。次に、前記インクを1.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過することにより、エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク1を得た。
【0077】
[実施例2~11]
表1~3に記載の配合に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエネルギー線硬化型インクジェット印刷インク2~11を得た。
【0078】
[比較例1~5]
表3に記載の配合に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較用のエネルギー線硬化型インクジェット印刷インク1~5を得た。
【0079】
(粘度の測定方法)
東機産業社製の粘度測定器:TVE-20Lにて、25℃における粘度を測定した。測定回転数は、50rpm/mimとした。
【0080】
(硬化性の評価方法)
実施例または比較例のエネルギー線硬化型インクジェット印刷インクをアクリル板「コモグラス」(商品名、クラレ社製)上に滴下し、スピンコーターを用い、膜厚6μmで塗布した。次いで、ステージ移動装置を備えたLED照射装置(浜松ホトニクス社製)を用いて、UV-LED光線(発光波長:385nm、ピーク強度:1000mW/cm2)下を通過させることにより照射を行ってインクを硬化させ、タックフリーになるまでのパス回数を記載した。1パス当たりの積算光量は、100mJ/cm2となる様に移動速度を調整した。
【0081】
(密着性の評価方法)
前記(硬化性の評価方法)によって得られた膜厚6μmの硬化塗膜に、2mm幅で5×5の25マス様にカッターナイフで切り込みを入れた。
【0082】
次いで、切り込みを入れた硬化塗膜上にセロハン粘着テープ(ニチバン社製)を貼り付けて、爪で10回擦りつけた。その後、剥離速度1cm/sでテープを剥がし、テープで剥がれることなくアクリル板上に残った塗膜のマスを数えて評価した。
【0083】
(塗膜硬度の評価方法)
前記(硬化性の評価方法)によって得られた膜厚6μmの硬化塗膜を用い、JIS K5600-5-4に準じて鉛筆引っかき試験を行い、評価した。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
表1~3中、「VEEA―AI」は日本触媒社製のアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルである。「Miramer M200」はMIWON社製のヘキサンジオールジアクリレートである。「Miramer M222」はMIWON社製のジプロピレングリコールジアクリレートである。「Miramer M300」はMIWON社製のトリメチロールプロパントリアクリレートである。「Miramer M600」はMIWON社製のペンタエリスリトールヘキサアクリレートである。Omnirad TPO-Lはエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(アシルフォスフィンオキシド系;IGM RESINS B.V.製)である。「Omnirad 819」はIGM社製のビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドである。「SPEEDCURE DETX」はランブソン社製ジエチルチオキサントンである。ESACURE 1001Mは、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オン(ベンゾフェノン系;IGM RESINS B.V.製)である。「Omnirad MBF」はメチルベンゾイルフォルメイトである。「KAYACURE EPA」は日本化薬社製4-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルである。「KF-351A」はポリエーテル変性シリコーン(信越化学工業社製)である。「BHT」はジブチルヒドロキシトルエン(精工化学社製)である。