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特開2024-77979情報処理システム、機器、メンテナンス実施方法、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024077979
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】情報処理システム、機器、メンテナンス実施方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240603BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240603BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240603BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
H04N1/00 912
G06F3/12 360
G06F3/12 339
G06F3/12 310
B41J29/38 350
G03G21/00 388
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190252
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】人見 翔太郎
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HK19
2C061HN15
2H270KA59
2H270NB22
2H270NC12
2H270ND06
2H270RA04
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC51
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】予め設定されたメンテナンスのスケジュールに基づいて、ジョブの実行を抑制すること。
【解決手段】本発明は、メンテナンスが行われる機器を有する情報処理システムであって、前記メンテナンスが実行される予定時刻が登録されたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、前記メンテナンスが実行された場合に、該メンテナンスの実施済みを前記スケジュール情報に記録する情報更新手段と、前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合、前記機器によるジョブの実行を抑制するジョブ実行抑制手段と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンテナンスが行われる機器を有する情報処理システムであって、
前記メンテナンスが実行される予定時刻が登録されたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、
前記メンテナンスが実行された場合に、該メンテナンスの実施済みを前記スケジュール情報に記録する情報更新手段と、
前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合、前記機器によるジョブの実行を抑制するジョブ実行抑制手段と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記ジョブ実行抑制手段は、前記ジョブの実行を受け付けた時刻までに、未実施の前記メンテナンスがある場合、該ジョブの実行を抑制する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ジョブ実行抑制手段が前記ジョブの実行を抑制した場合、未実施であると判定された前記メンテナンスをリスケジュールするタスクリスケジュール手段を有する請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記ジョブ実行抑制手段が実行を抑制した前記ジョブの識別情報を保存しておき、
現在時刻までに未実施のメンテナンスがなくなった場合、実行を抑制した前記ジョブの実行を要求するジョブ実行要求手段を有する請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
現在時刻までに未実施のメンテナンスが、前記タスクリスケジュール手段によるリスケジュールによりなくなった場合、前記タスクリスケジュール手段は、抑制された前記ジョブが実行された直後に未実施であると判定された前記メンテナンスをリスケジュールする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記タスクリスケジュール手段は、前記ジョブ実行抑制手段が前記ジョブの実行を抑制した場合、未実施であると判定された前記メンテナンスを、次のメンテナンスの直前にリスケジュールする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記タスクリスケジュール手段は、前記ジョブ実行抑制手段が前記ジョブの実行を抑制した場合、未実施であると判定された前記メンテナンスを、予定されているジョブの直前にリスケジュールする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項8】
二台の前記機器を有する場合、
前記タスクリスケジュール手段は、他方の前記機器において前記メンテナンスが登録されている時間帯を回避して、一方の前記機器のタスクをリスケジュールする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合に、前記ジョブ実行抑制手段が前記機器によるジョブの実行を抑制するか否かの設定を受け付ける抑止設定受付手段を有する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
メンテナンスが行われる機器であって、
前記メンテナンスが実行される予定時刻が登録されたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、
前記メンテナンスが実行された場合に、該メンテナンスの実施済みを前記スケジュール情報に記録する情報更新手段と、
前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合、前記機器によるジョブの実行を抑制するジョブ実行抑制手段と、
を有する機器。
【請求項11】
メンテナンスが行われる機器を有する情報処理システムが行うメンテナンス実施方法であって、
前記メンテナンスが実行される予定時刻が登録されたスケジュール情報を記憶する記憶手段に基づいて、
前記メンテナンスが実行された場合に、該メンテナンスの実施済みを前記スケジュール情報に記録するステップと、
前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合、前記機器によるジョブの実行を抑制するステップと、
を有するメンテナンス実施方法。
【請求項12】
メンテナンスが行われる機器を、
前記メンテナンスが実行される予定時刻が登録されたスケジュール情報を記憶する記憶手段に基づいて、
前記メンテナンスが実行された場合に、該メンテナンスの実施済みを前記スケジュール情報に記録する情報更新手段と、
前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合、前記機器によるジョブの実行を抑制するジョブ実行抑制手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、機器、メンテナンス実施方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の機器ではモータやクラッチなどが機械的な動作を行って色材で印刷を行うため、清掃や部品交換など各種のメンテナンスが必要になる場合がある。例えば大型の画像形成装置(商用プリンタなど)の場合、様々なメンテナンス作業が行われる。メンテナンス作業としてはユーザー等が画像形成装置に対して手作業で行うものもあるし、管理者が端末装置等から画像形成装置の設定値を変更するものもある。
【0003】
メンテナンス作業を優先しジョブの実行を抑制する技術が知られている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1には、システムのカウンタでメンテナンス時期を判定し、ジョブ抑制する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、メンテナンスのスケジュールが予め設定されていないという問題があった。例えば、従来の技術は、画像形成装置を監視するドキュメントサーバがカウントしているカウンタ値が閾値に達したことを条件に、メンテナンスのためにジョブ実行を抑止する。しかし、カウンタ値がいつ閾値を超えるかは予測が容易でないため、ユーザーがメンテナンスの予定を立てにくい。ユーザーが実行したジョブが抑止された場合、作業者がすぐにメンテナンスを実施できない場合もあり、ジョブの実行が滞るおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、予め設定されたメンテナンスのスケジュールに基づいて、ジョブの実行を抑制する情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、メンテナンスが行われる機器を有する情報処理システムであって、前記メンテナンスが実行される予定時刻が登録されたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、前記メンテナンスが実行された場合に、該メンテナンスの実施済みを前記スケジュール情報に記録する情報更新手段と、前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合、前記機器によるジョブの実行を抑制するジョブ実行抑制手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
予め設定されたメンテナンスのスケジュールに基づいて、ジョブの実行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】タスクの一例を示す図である。
図2】情報処理システムが表示するタスクのスケジュールの一例を示す図である。
図3】X月2日の12:00におけるX月1日とX月2日のタスクの実施状況を示す図の一例である。
図4】情報処理システムのシステム構成例を説明する図である。
図5】DFEのハードウェア構成例を示す図である。
図6】画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
図7】画像形成装置が有する機能のうち、タスク作成に関する機能を示す機能ブロック図の一例である。
図8】タスク情報記憶手段に記憶されている情報の一例を示す図である。
図9】スケジュール情報記憶手段に記憶されている情報の一例を示す図である。
図10】DFE、画像形成装置が有する機能のうち、タスク未実施の場合にジョブ実行を抑止する機能を示す機能ブロック図の一例である。
図11】スケジュール情報記憶手段が記憶するスケジュール情報と実施状況情報の抜粋を示す図である。
図12】タスク作成とタスクのスケジュールへの登録処理を説明するフローチャート図の一例である。
図13】端末装置が表示するタスク作成画面の一例を示す図である。
図14】タスクリスト画面の一例を示す図である。
図15】スケジュール画面の一例を示す図である。
図16】タスク実行画面の一例を示す図である。
図17】タスク未実施の場合にジョブ実行を抑止する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図18】タスクのリスケジューリング等に関する機能を示す機能ブロック図の一例である。
図19】画像形成装置がジョブの実行を抑制するかどうかの設定の受け付ける抑止設定受付画面の一例である。
図20】タスクのリスケジュールを説明する図である。
図21】ジョブ実行要求手段が、ジョブ実行の抑止要因となっていたタスクが実施された場合に抑止されたジョブの実行をDFEに要求する処理を説明するフローチャート図の一例である。
図22図4のシステム構成の変形例を示す図である。
図23図4のシステム構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、情報処理システムと情報処理システムが行うメンテナンス実施方法について説明する。
【0010】
<概略>
本実施形態では、各種メンテナンス作業を「タスク」として、管理者がスケジュールに登録することができる。タスクには設定変更や機器のメンテナンスも含まれている。管理者はタスクのスケジュールを登録する画面から、画像形成装置にタスクを登録することができる。
【0011】
図1はタスクの一例を示す図である。上記のように本実施形態では種々のメンテナンス作業に対応させたタスクを管理者が後述する画像形成装置やDFE(Digital Front End)に登録する。画像形成装置では種々のメンテナンス作業が生じるが、図1ではその1つのメンテナンス作業「Head Cap Cleaning」を示す。管理しやすい粒度において1つのメンテナンス作業が、1つのタスク51として扱われる。ユーザーが手作業で行う1つのメンテナンス作業が複数のタスクに分割されてもよい。
【0012】
また、タスク51は1つ以上のタスク部品52を有する。タスク部品52はタスクを実現するために細分化されたより細かなメンテナンス作業である。「Head Cap Cleaning」というタスク51は以下のタスク部品52を有している。
1.Move to maintenance Md retreat position(30 seconds)
2.Remove the maintenance dome exterior cover(3 minutes)
3.Pull out the head array(2 minutes)
4.Clean the cap(30 seconds × 22 pieces)
5.Push back the head array
6.Remount the maintenance dome exterior cover(3 minutes)
7.Move to maintenance Md retreat position(30 seconds)
8.Cleaning competed
1つのタスクが含むタスク部品の数は任意である。このようなタスクを管理者がスケジュールに登録する。
【0013】
図2は、本実施形態の情報処理システムが表示するタスクのスケジュールの一例である。図2では、横軸が日付53、縦軸が時間54になっている。管理者は図1のようなタスクを日付と開始時刻を指定してスケジュールに登録できる。
【0014】
管理者が登録されたタスクを実行する場合、現在時刻に基づいてタスクを端末装置が表示する。例えば、端末装置は月、週、日等の表示形式に応じて、登録されているタスクを表示する。図2の表示形式は週表示である。タスクを実行する一般ユーザー(管理者がタスクを実行してもよい)はスケジュールからタスクを選択してタスクが有するタスク部品を表示する。タスク部品はこのタスク部品に対応するメンテナンスに必要な画面(設定変更などの画面を含む)を表示するので、一般ユーザーはメンテナンスに必要な画面を選択して表示させる必要がない。
【0015】
タスクには印刷物の品質を担保するための作業が含まれる。したがって、タスク未実施の状態でジョブが実行されてしまうと、印刷物の品質を担保できないおそれがある。本実施形態の情報処理システムは、実施する予定時刻を過ぎたにもかかわらず実施されていないタスクがある場合にジョブ実行(印刷)を抑制する。
【0016】
<ジョブ実行抑止の概略>
図3を参照して、ジョブ実行抑止の概略を説明する。図3は、X月2日の12:00におけるX月1日とX月2日のタスクの実施状況を示す。X月1日の8:00に予定されていたタスク61は予定通り実施されている。しかし、X月1日の14:00とX月2日の8:00に予定されていたタスク62、63は実施されていない。タスク64は、現在時刻であるX月2日の12:00よりも先に予定されている。
【0017】
この場合、情報処理システムは、X月1日の8:00~14:00まではジョブ実行可能だが、1日の14:00以降は、予定時刻を過ぎたにもかかわらず実施されていないタスク62,63があるためジョブ実行をユーザーが指示しても実行を抑制する。
【0018】
X月2日の12:00以降にユーザーがジョブを実行するためには、ユーザーがX月1日の14:00とX月2日の8:00に予定されていたタスク62,63を実施する必要がある。
【0019】
このように、本実施形態では、未実施のタスクがある場合に、ジョブ実行を抑制することにより、印刷物の品質低下を抑制できる。すなわち、開始予定時刻を過ぎたにもかかわらず実施されていないタスクが存在する状態でジョブを実行してしまうことにより、
・タスクに含まれるメンテナンス作業を実施していないことによる、印刷物の品質が担保されないジョブ実行
・タスクに含まれる設定変更操作を実施していないことによる期待と異なる印刷物の出力
・タスクに含まれる設定変更操作を実施していないことによる期待と異なるプリンタの動作、
を防ぐことができる。また、タスクのスケジュールが決まっているので、ユーザーがタスクやジョブの実行予定を立てやすい。
【0020】
<用語について>
メンテナンスとは、機械や構造物の維持、管理、保守、又は、これらに必要な作業である。タスクとは、任務や仕事という意味である。本実施形態では情報処理装置に登録される各種のメンテナンスをタスクと称している。メンテナンスには設定変更作業も含まれる。設定変更の例として、「ジョブが完全に終了したら省エネモードに移行させたい」ケースを説明する。ジョブ実行予定時刻の少し前の時刻に、「"一定時間無操作だと省エネモードに移行"という設定をONにする」というタスクがスケジューリングされている。この場合、省エネの設定を行っていないとジョブ実行を抑止することが可能となる。したがって、設定変更未実施による期待と異なる印刷やプリンタの動作を防ぐことができる。
【0021】
タスクが実行される予定時刻は、主にタスクの開始予定時刻である。開始予定時刻にタスクが行われていても、終了前の場合は未実施となる。
【0022】
ジョブとは、コンピュータが処理する仕事の一単位である。どのようなジョブかは機器よって異なるが、例えば画像形成装置の場合は印刷ジョブである。
【0023】
ジョブの実行の抑制とは、ジョブの実行要求があっても少なくとも一時的にジョブの実行を行わないことをいう。本実施形態では、抑止という用語で説明される。抑止されたジョブは、未実施のタスクがなくなると実行されてよい。抑止は、停止、中断、延期、中止などと表現されてもよい。
【0024】
<システム構成例>
図4は、本実施形態の情報処理システム100のシステム構成例を説明する図である。情報処理システム100は、端末装置101、DFE102、及び、画像形成装置103を有している。サーバ装置104については後述する。
【0025】
端末装置101とDFE102はネットワークNを介して通信可能である。ネットワークは例えば画像形成装置103が配置されている施設内のLANを含み、DFE102がインターネット上に配置されている場合は更にインターネットを含む。DFE102と画像形成装置103は専用線で1対1に接続される場合もあるし、ネットワークを介して接続される場合もある。また、DFE102と画像形成装置103は一体でもよいし、着脱可能でもよい。
【0026】
端末装置101ではWebブラウザが動作している。DFE102が備えるサーバにWebブラウザがアクセスして、タスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行のそれぞれの入力操作画面を表示する。端末装置101は、入力画面に対するタスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行などの操作を管理者から受け付け、これらをDFE102に要求する。
【0027】
なお、管理者はDFE102にログインするため、ユーザーIDとパスワードを端末装置101に入力する。端末装置101はユーザーIDとパスワードをDFE102に送信するので、DFE102による認証が成功すると、一般ユーザーか管理者か特定される。一般ユーザーか管理者に応じて表示される画面や入力可能な項目が異なってよい。なお、管理者の認証は認証サーバが行ってもよい。また、管理者が画像形成装置103にログインしてもよい。
【0028】
認証が成功し、管理者がログインした場合、タスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行へのアクセス権が与えられ、一般ユーザーの場合、タスク実行へのアクセス権が与えられる。
【0029】
端末装置101は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルPC(サングラス型、腕時計型など)などである。ただし、通信機能を有しWebブラウザ又はDFE102に専用のアプリケーションソフトウェアが動作すればよい。例えば、カーナビ、ゲーム機、テレビ受像器なども端末装置101となりうる。
【0030】
なお、画像形成装置103でもWebブラウザが動作する場合、管理者は画像形成装置103を操作してDFE102にタスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行を要求できる。
【0031】
また、DFE102が自機のディスプレイに入力操作画面を表示し、キーボードからタスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行の処理を受け付けることも可能である。この場合、情報処理システム100に端末装置101は不要になる。
【0032】
DFE102は、本来、画像形成装置103が実行する印刷ジョブの受け付け、画像処理(RIP:Raster Image Processer)、実行中の進捗管理、異常監視などを行う制御装置である。DFE102は、更に、メンテナンスに関する処理を受け付け、画像形成装置103に要求してもよいDFE102は端末装置101からタスク作成、スケジュール登録、及び、タスク実行の処理を受け付けてもよい。この場合、DFE102は、画像形成装置103を操作するユーザインタフェース(入力操作画面)を管理者に提供する。本実施形態では、画像形成装置103がタスクの設定を受け付ける。DFE102は1台以上の情報処理装置を有している。
【0033】
DFE102はWebブラウザが表示する画面の画面情報を生成する。画面情報は、HTML、XML、スクリプト言語、及びCSS(cascading style sheet)等で記述されたプログラムであり、主にHTMLによりWebページの構造が特定され、スクリプト言語によりWebページの動作が規定され、CSSによりWebページのスタイルが特定される。また、クライアント側の画面情報とサーバ側のアプリやデータベースが連携して実現するアプリをWebアプリという。本実施形態でも、端末装置101とDFE102が協働してWebアプリを実行する。
【0034】
DFE102は、端末装置101又は画像形成装置103からの要求に応じて、タスクやタスクのスケジュールのデータベースへの登録処理、及び、画像形成装置103に対するタスク実行処理(機器設定の変更、操作の要求等)を行う。
【0035】
画像形成装置103はDFE102より受け付けた要求に応じて、印刷ジョブを実行する。また、本実施形態では、画像形成装置103は、メンテナンスを受け付け、例えば、タスクに応じて自機の機器設定の変更を行ったり、指定された操作を実行したりする。
【0036】
画像形成装置103は、画像を用紙に印刷する機能を有している。画像を形成する方式にはレーザプリンタ、又は、インクジェットプリンタ等がある。また、画像形成装置103は複合機(マルチファンクションプリンタ)、又は、MFP(Multi-function Peripheral/Product/Printer)の機能を有していてもよい。画像形成装置103は、プリンタ、印刷装置などと呼ばれていてもよい。
【0037】
また、本実施形態の画像形成装置103は、いわゆる商用プリンタでもよい。商用プリンタは、社員等が社内的に使用する印刷物を印刷する機器ではなく、印刷物が商品となる商用印刷用の機器である。商用印刷において画像形成装置103は、一般の企業や団体の事業活動に使われる印刷物を出力する。例えば、チラシ、パンフレット、ポスター、カタログ、会社案内、マニュアルなどを出力する場合がある。オフィス用の画像形成装置103と商用の画像形成装置103は、主に、印刷速度、画質、対応する用紙の種類・サイズなどが異なっている。
【0038】
また、本実施形態の画像形成装置103は、いわゆる3Dプリンタでもよい。3Dプリンタは三次元的なデジタル・モデルをもとにして、現実の物体をつくりだすことができる機械をいう。3Dプリンタには、光造形や、材料押出堆積法(FDM)、マテリアルジェッティングなど数種類の方式があるが、方式は問わない。
【0039】
また、本実施形態は、画像形成装置103以外の機器にも適用できる。画像形成装置103は、プロジェクター、電子黒板、テレビ会議端末、デジタルサイネージ、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ゲーム機、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。これらの機器の場合、メンテナンスやジョブは機器の種類に応じたものとなる。
【0040】
メンテナンスに関する処理は画像形成装置103、DFE102のいずれが受け持ってもよい。また、図4(d)に示す独立のサーバ装置104がメンテナンスに関する処理を行ってもよい。サーバ装置104は画像形成装置103と通信して、タスクに応じて設定の変更を行ったり、指定された操作を実行したりする。
【0041】
また、画像形成装置103がメンテナンスに関する処理を行ってもよい。この場合、画像形成装置103がサーバ装置104の機能を有する。
【0042】
<ハードウェア構成>
<<DFE>>
図5は、DFE102のハードウェア構成例を示す図である。DFE102はコンピュータと同様の構成を有している。DFE102はCPU201、ROM202、RAM203、HDD/SSD204、I/F205、及び、操作部206を有している。
【0043】
CPU201は、RAM203を作業領域として使用し、ROM202に格納されているプログラムを実行する。
【0044】
HDD/SSD204は、記憶部として使用され、タスクやスケジュールの情報を格納している。HDD/SSD204に格納されている情報は、CPU201が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0045】
I/F205は、画像形成装置103及び端末装置101との通信可能にするインターフェースである。
【0046】
操作部206は、タッチパネルを有し、画面上で画像形成装置103の状態、タスクのスケジュール、タスクの内容などを表示する。また、操作部206は、タスクを実行するユーザー(管理者、一般ユーザー)や、タスク作成やスケジュール登録を行う管理者からの入力を受け付ける。
【0047】
<<画像形成装置>>
図6は、本実施形態における画像形成装置103の概略構成を示す模式図である。本画像形成装置103は、例えば、インクジェット方式の画像形成装置103であり、主に、給紙部401、画像形成部306、乾燥部402、排紙部403、及び、制御装置423を有している。画像形成装置103は、給紙部401から給紙されるシート材としての記録材である用紙Pに対し、画像形成部306で画像形成用の液体であるインクにより画像を形成する。そして、用紙上に付着したインクを乾燥部402において乾燥させた後、用紙を排紙部403から排紙する。
【0048】
給紙部401は、主に、複数の用紙Pが積載される給紙トレイ411と、給紙トレイ411から用紙を1枚ずつ分離して送り出す給送装置412と、用紙を画像形成部306へ送り込むレジストローラ対413とから構成されている。給送装置412には、ローラやコロを用いた装置や、エア吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置412により給紙トレイ411から送り出された用紙は、その先端がレジストローラ対413に到達した後、レジストローラ対413が所定のタイミングで駆動することにより、画像形成部306へ給紙される。なお、本実施形態において、給紙部401は、画像形成部306へ用紙Pを送り出すものであれば、その構成に制限はない。
【0049】
画像形成部306は、主に、給紙された用紙Pを受け取る受け取り胴361と、受け取り胴361によって搬送された用紙Pを外周面に担持して搬送する用紙担持ドラム362と、用紙担持ドラム362に担持された用紙Pに向けてインクを吐出するインク吐出部364と、用紙担持ドラム362によって搬送された用紙Pを乾燥部402へ受け渡す受け渡し胴365とから構成されている。給紙部401から画像形成部306へ搬送されてきた用紙Pは、受け取り胴361の表面に設けられた用紙グリッパによって先端が把持され、受け取り胴361の表面移動に伴って搬送される。受け取り胴361により搬送された用紙は、用紙担持ドラム362との対向位置で用紙担持ドラム362へ受け渡される。
【0050】
用紙担持ドラム362の表面にも用紙グリッパが設けられており、用紙の先端が用紙グリッパによって把持される。また、用紙担持ドラム362の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されており、各吸引孔には吸引装置363によって用紙担持ドラム362の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。受け取り胴361から用紙担持ドラム362へ受け渡された用紙Pは、用紙グリッパによって先端が把持されると共に、吸い込み気流によって用紙担持ドラム362の表面に吸着して、用紙担持ドラム362の表面移動に伴って搬送される。
【0051】
本実施形態のインク吐出部364は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを吐出して画像を形成するものであり、インクごとに個別の液体吐出ヘッド364C,364M,364Y,364Kを備えている。液体吐出ヘッド364C,364M,364Y,364Kは、液体を吐出するものであれば、その構成に制限はなく、あらゆる構成のものを採用することができる。画像形成装置103は、必要に応じて、白色、金色、銀色などの特殊なインクを吐出する液体吐出ヘッドを有したり、表面コート液などの画像を構成しない液体を吐出する液体吐出ヘッドを有したりしてもよい。
【0052】
インク吐出部364の液体吐出ヘッド364C,364M,364Y,364Kは、画像情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。用紙担持ドラム362に担持された用紙Pがインク吐出部364との対向領域を通過する際に、液体吐出ヘッド364C,364M,364Y,364Kから各色インクが吐出され、当該画像情報に応じた画像が形成される。なお、本実施形態において、画像形成部306は、用紙P上に液体を付着させて画像を形成するであれば、その構成に制限はない。
【0053】
乾燥部402は、主に、画像形成部306で用紙P上に付着したインクを乾燥させるための乾燥機構421と、画像形成部306から搬送されてくる用紙Pを搬送する搬送機構422とから構成されている。画像形成部306から搬送されてきた用紙Pは、搬送機構422に受け取られた後、乾燥機構421を通過するように搬送され、排紙部403へ受け渡される。乾燥機構421を通過する際、用紙P上のインクには乾燥処理が施され、これによりインク中の水分等の液分が蒸発し、用紙P上にインクが固着すると共に、用紙Pのカールが抑制される。
【0054】
排紙部403は、主に、複数の用紙Pが積載される排紙トレイ431から構成されている。乾燥部402から搬送されてくる用紙Pは、排紙トレイ431上に順次積み重ねられて保持される。なお、本実施形態において、排紙部403は、用紙Pを排紙するものであれば、その構成に制限はない。
【0055】
制御装置423は画像形成装置103を制御する情報処理装置である。制御装置423は、例えばCPU、RAM、ROM、SSD(HDD)、通信装置等を有している。制御装置423はDFE102と通信して、タスクの実施に応じた設定値や操作の要求を受信する。
【0056】
<機能について>
図7は、画像形成装置103が有する機能のうち、タスク作成に関する機能を示す。
【0057】
<<端末装置>>
まず、端末装置101の機能を説明する。端末装置101は、表示制御手段31、操作受付手段32、及び、通信手段33を有している。端末装置101が有するこれらの機能は、Webブラウザが画面情報に含まれるJavaScript(登録商標)を実行して、画像形成装置103が有するサーバーアプリケーション10と連携することで実現される機能又は手段である。なお、端末装置101はDFE102を介して画像形成装置103にタスクを設定してもよい。この場合、サーバーアプリケーション10はDFE102で動作する。
【0058】
表示制御手段31は、画面情報を解析してディスプレイに後述するタスク作成画面、スケジュール画面等を表示する。
【0059】
操作受付手段32は、タスク作成画面やスケジュール画面に対する管理者又は一般ユーザーの操作及び入力を受け付ける。管理者又は一般ユーザーが入力する設定に「実施予定時刻を過ぎたタスクが実施されていない場合にジョブを抑制するか」の設定が含まれても良い。
【0060】
通信手段33は、主に画像形成装置103と通信し、タスク作成画面やスケジュール画面に管理者が入力した情報を画像形成装置103に送信する。
【0061】
<<画像形成装置>>
画像形成装置103にはサーバーアプリケーション10がインストールされており、サーバーアプリケーション10が情報更新手段11と、タスク情報記憶手段21と、スケジュール情報記憶手段22とを有している。画像形成装置103が有するこれらの機能は、画像形成装置103にインストールされた1以上のサーバーアプリケーション10に含まれる命令を制御装置423が実行することで実現される機能又は手段である。
【0062】
サーバーアプリケーション10は、クライアントからの要求に対して情報や処理結果を提供する機能を果たすソフトウェアである。サーバーアプリケーション10は、例えばWebアプリとしてWebページをクライアントに提供する。
【0063】
情報更新手段11は、端末装置101が受け付けた、タスク情報をタスク情報記憶手段21に保存する。また、情報更新手段11は、端末装置101が受け付けた、スケジュール情報をスケジュール情報記憶手段22に保存する。
【0064】
<<タスク情報記憶手段>>
図8を参照してタスク情報記憶手段21に記憶されている情報について説明する。図8(a)は、タスク部品情報の一例を示す。タスク部品情報は、タスク部品がどのような情報かを有している。タスク部品情報では、タスク部品IDと、タスク部品名と、タスク部品の作業内容、タスク部品実施推定所要時間が対応づけられている。
・タスク部品IDは、タスク部品の識別情報である。予め付与されている。
・タスク部品名は、タスク部品の名称(管理者や一般ユーザーが内容を把握しやすい)である。予め付与されている。
・作業内容は、タスク部品の具体的な作業内容である。作業内容には、画像形成装置103の操作、設定を行うためのAPI(Application Interface)情報、及び、設定の際のボタンなどのUI情報も含まれる。予め付与されている。
・タスク部品実施推定所要時間は、タスク部品の実施にかかる推定所要時間である。予め付与されている。
【0065】
なお、IDはIdentificationの略であり識別子や識別情報という意味である。IDは複数の対象から、ある特定の対象を一意的に区別するために用いられる名称、符号、文字列、数値又はこれらのうち1つ以上の組み合わせをいう。
【0066】
図8(b)は、平均所要時間情報の一例を示す。平均所要時間情報は、タスクの実施に要する一般ユーザーごとの平均所要時間である。
・タスクIDは、タスクの識別情報である。タスク作成で採番される。
・ユーザーIDは、一般ユーザーの識別情報に対応付けられた各タスクの平均所要時間である。実測値である。一般ユーザーが実施したことがないタスクは空欄となる。
【0067】
図8(c)は、タスク情報の一例を示す。タスク情報は各タスクが有するタスク部品等である。タスク情報には、タスクIDと、タスク名、各タスク部品ID、タスク部品実施順、タスク推定所要時間が対応づけられている。
・タスクIDは、タスクの識別情報である。
・タスク名は、タスクの名称である。管理者が任意に付与できる。
・各タスク部品IDは、タスク部品の識別情報である。
・タスク部品実施順は、タスクが有するタスク部品が実施される順番である。管理者が設定できる。
・タスク推定所要時間は、タスク部品ごとのタスク部品実施推定所要時間が合計された値である。
【0068】
<<スケジュール情報記憶手段>>
図9を参照してスケジュール情報記憶手段22に記憶されている情報について説明する。図9(a)は、スケジュール情報の一例を示す。スケジュール情報は、スケジュールに登録されているタスクを有する。スケジュール情報には、スケジュールIDと、実施するタスクID、タスク実施日、開始予定時刻、終了予定時刻、タスク実施予定ユーザー、開始時刻、終了時刻、タスク実施ユーザー、及び、繰り返し期間が対応付けられている。
・スケジュールIDは、スケジュールの識別情報である。1つのスケジュールは1つのタスクに対応している。スケジュールの登録で採番される。
・実施するタスクIDは、スケジュールに登録され、実施されるタスクの識別情報である。
・タスク実施日は、タスクが実施される予定の日にちである。管理者が登録する。
・開始予定時刻は、タスクが開始される予定の時刻である。管理者が登録する。
・終了予定時刻は、タスクの実施が終了する予定の時刻である。終了予定時刻=開始予定時刻+タスク推定所要時間、又は、終了予定時刻=開始予定時刻+一般ユーザーごとの平均所要時間である。
・タスク実施予定ユーザーは、タスクを実施する予定のユーザー名である(ユーザーIDでもよい)。管理者が登録する。
・開始時刻は、タスクの実施が実際に開始された時刻である。
・終了時刻は、タスクの実施が実際に終了された時刻である。
・タスク実施ユーザーは、タスクの実施を実際に行った一般ユーザーのユーザー名である。ログインで特定された一般ユーザーが登録される。
・繰り返し期間は、タスクをどのくらいの頻度で繰り返すかの期間である。タスクによっては繰り返されるものが少なくない。管理者が登録する。
【0069】
図9(b)は、実施状況情報の一例を示す。実施状況情報はタスクの実施状況をタスク部品ごとに記録する。実施状況情報には、スケジュールIDと、スケジュール情報のタスクが有するタスク部品IDの実施状況とが対応付けられている。すなわち、タスクのうちどのタスク部品まで実行されたが登録されている。
・スケジュールIDは、スケジュールの識別情報である。
・タスク部品IDごとに対応づけられている「済み又は未」の値の初期値は「未」で、タスク実行画面で実施済みボタン(後述するボタン653)が押下されると「済み」となる。
【0070】
<タスク未実施の場合にジョブ実行を抑止する機能に関するブロック図>
図10は、DFE102、画像形成装置103が有する機能のうち、タスク未実施の場合にジョブ実行を抑止する機能を示す。
【0071】
<<DFE>>
DFE102は入力取得手段41と、ジョブ開始通知手段42、ジョブ中止手段43と、を有する。DFE102が有するこれらの機能は、DFE102にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU201が実行することで実現される機能又は手段である。
【0072】
入力取得手段41は、一般ユーザーがDFE102に入力したジョブ実行開始指示を取得する。
【0073】
ジョブ開始通知手段42は、画像形成装置103が持つサーバーアプリケーション10に、入力されたジョブの開始を通知する。
【0074】
ジョブ中止手段43は、画像形成装置103のジョブ中止通知手段14からジョブの実行中止(画像形成装置103において抑止に相当)の通知を受信した場合、入力取得手段41が取得したジョブの実行を中止する。
【0075】
<<画像形成装置>>
画像形成装置103は、図7に対し、現在時刻取得手段12と、ジョブ実行抑制手段13と、ジョブ中止通知手段14と、タスク・スケジュール情報取得手段15と、を有している。
【0076】
現在時刻取得手段12は、現在時刻をRTC(Real Time Clock)やタイムサーバー等から取得する。
【0077】
タスク・スケジュール情報取得手段15は、タスク情報をタスク情報記憶手段21から、スケジュールをスケジュール情報記憶手段22から取得し、ジョブ実行抑制手段13に送信する。取得されるスケジュール情報には、タスクの実施状況(実施状況情報)が含まれる。
【0078】
ジョブ実行抑制手段13は、DFE102が実行を通知したジョブがジョブ抑止対象に該当するか否か判定し、該当する場合、ジョブを抑止する。判定には以下の情報を使用する。
・現在時刻
・スケジュール情報が持つ開始予定時刻
・実施状況情報が持つタスク実施状況(実施済み/未実施)
ジョブ実行抑制手段13は、タスクの実施状況が未実施であり、現在時刻がタスクの開始予定時刻を超過している場合のみ、実行対象のジョブを抑止対象であると判定する。それ以外の場合はジョブ抑止対象ではないと判定し、ジョブを実行する。
【0079】
例えば、図11のようなタスクの実施状況がスケジュール情報記憶手段22に保存されていたとする。図11は、スケジュール情報記憶手段22が記憶するスケジュール情報と実施状況情報の抜粋である。図11によれば、タスクXは実施済みだが、タスクYは未実施である。一般ユーザーが7月1日の16:00以前に実行したジョブは抑止されないが、16:00以降に実行したジョブは抑止される。
【0080】
ジョブ実行抑制手段13がジョブ抑止対象であると判定すると、端末装置101にジョブ抑止の旨を送信する。端末装置101の通信手段33がジョブ抑止の旨を受信し、表示制御手段31が、ジョブが抑止された旨を表示する。端末装置101では画像形成装置103の監視アプリが常駐しており、常駐アプリが画像形成装置103に定期的に問い合わせることでジョブ抑止を検知できる。
【0081】
また、ジョブ実行抑制手段13はジョブ中止通知手段14にジョブ抑止の旨を送信する。ジョブ中止通知手段14は、ジョブIDと共にジョブ実行中止の旨をDFE102に通知する。DFE102は中止されたジョブを保留する。これ以降に入力されたジョブについても、ジョブ実行を要求することなく保留することが好ましい。また、DFE102はDFE102を操作する一般ユーザーにジョブの実行の中止を通知してもよい。ジョブの実行が中止された場合、情報更新手段11がタスクのリスケジュールを行うことも可能である。
【0082】
ジョブ開始通知手段42は、保留されたジョブの実行を、一定時間ごとに、画像形成装置103に送信するとよい。これは、ジョブ実行を抑止させたタスクが実施された場合に、その旨がDFE102に通知されない場合に有効である。より好ましくは後述するように、ジョブ実行を抑止させたタスクが実施された場合に、その旨がDFE102に通知される。
【0083】
<動作手順>
図12は、タスク作成とタスクのスケジュールへの登録処理を説明するフローチャート図である。
【0084】
一般ユーザーは端末装置101が表示するWebブラウザ(タスク画面)に対し、タスクや、このタスクを使用したスケジュールを入力する(S101)。タスク画面等、一連の画面を図13図16に示す。
【0085】
操作受付手段32がタスクの設定やスケジュールを受け付ける。通信手段33がタスク情報やスケジュール情報を画像形成装置103に送信する(S102)。なお、日常業務でタスクそのものの登録は不要であり、ここではタスクと開始予定時刻等を管理者が設定すればよい。
【0086】
情報更新手段11は、タスク情報記憶手段21にタスク情報を保存し、スケジュール情報記憶手段22の管理者が指定した時刻にタスクを設定する(S103)。
【0087】
図13は、端末装置101が表示するタスク作成画面600の一例を示す図である。以下、タスク作成画面600が有する項目について説明する。
・タスク名601は、管理者が任意に設定できるタスクの名称を入力する欄である。
・目的別カテゴリ602は、タスクはグループ化されており、そのグループ(カテゴリ)のリストを表示するプルダウンメニューである。例えば、故障に関するカテゴリ、清掃に関するカテゴリなどがある。
・作業への追加は、タスクに追加する項目(タスク部品)を管理者が選択するための項目である。
【0088】
SP項目603は、従来、サービスエンジニアが行っていたメンテナンスに関するタスク部品のリストを表示する。特別項目604は、画像形成装置103には直接の関係がないが、タスク部品として使用される項目へのリンクを表示する。例えば、認証、メール送信、ログ取得などがある。既存タスク605はすでに作成済みのタスクを、タスク部品として管理者が登録するための項目である。したがって、タスクは再利用可能である。自由表記項目606はタスク部品に一般ユーザーが注意事項を書き込むためのタスク部品である。このタスク部品は実施対象でなく(メモ書きとして使用される)、タスク開始前から実施済みとして扱われる。
【0089】
・タスクビュー607は、タスク51の内容を表示するための欄である。図13では1つのタスク51が4つの作業を有している。この1つの作業が1つのタスク部品52である。作業1,2はSP項目603のタスクである。作業3は、既存タスク605であり、既存のタスクがタスク部品として登録されている。タスク部品の更に詳細な作業(タスク001、002)は、既存のタスクでタスク部品だったものである。作業4は自由表記項目606のタスク部品であり、一般管理者はコメント、及び、作業に関する画像(部品の写真など)を設定できる。
【0090】
各タスク部品は、順番変更ボタン608を有している。管理者は順番変更ボタン608を押下して、タスク部品52の実施順を入れ替えることができる。
【0091】
管理者がOKボタン609を押下すると、タスクビュー607のタスク部品52がタスク情報に登録される。
【0092】
図14は、タスクリスト画面630の一例を示す図である。タスクリスト画面630は、登録済みのタスクのタスク名をカテゴリごとに表示する。このタスクは管理者が登録したタスクである(予め用意されたタスクもある)。管理者はこの中からスケジュールに登録したいタスクを選択できる。選択によりスケジュール画面640が表示されてもよいし、スケジュール画面640でタスクリスト画面630を管理者が表示させ、登録するタスクを選択してもよい。
【0093】
図15は、スケジュール画面640の一例を示す図である。以下、スケジュール画面640が有する項目について説明する。
・タスク名641は、タスクリスト画面630で管理者が選択したタスクのタスク名である。プルダウンメニューで管理者がタスクを選択できてもよい。
・所要時間642は、タスク情報に登録されているタスク推定所要時間である。ユーザー欄646にタスク実施予定ユーザーが設定され、この一般ユーザーの該タスクの平均所要時間が平均所要時間情報に登録されている場合、一般ユーザーの該タスクの平均所要時間が表示される。
・実施計画日643は、カレンダーなどから管理者がタスクを実行する日付を設定する項目である。
・開始時刻644は、タスクの実行を開始する時刻を管理者が設定する項目である。
・繰り返し期間645は、当該タスクが繰り返し実行するタスクの場合、繰り返し実行する期間を管理者が設定する項目である。繰り返し実行されるタスクが多いため、このような設定があることで管理者の作業負荷を低減できる。
・ユーザー欄646は、ユーザー情報に登録済みの一般ユーザーのリストがプルダウンメニュー等で表示される。ユーザー名は当該タスクの平均所要時間に対応付けてリスト状に表示され、管理者はその中から選択できる。選択されたタスク実施予定ユーザーが表示される。
・スケジュール欄647は、実施計画日643と開始時刻644に登録されたタスクがスケジュール上に表示される欄である。
【0094】
管理者がOKボタン648を押下すると、スケジュール欄647と同様のスケジュールが表示され、このスケジュールに新たに登録されたタスクが表示される。なお、実施計画日643と開始時刻644がリアルタイムにスケジュール欄647に反映されてもよい。
【0095】
図16は、タスク実行画面650の一例を示す図である。以下、タスク実行画面650が有する項目について説明する。
【0096】
・スケジュール欄651は、スケジュール情報に登録されているタスクが表示される欄である。一般ユーザーは、月、週、日のいずれかでタスクのスケジュールを表示できる。端末装置101は、表示設定(月、週、日)と現在時刻に応じて、タスクを表示する。スケジュール欄651は、例えば、現在時刻を含む1ヶ月分、1週間、1日などのタスクを表示する。図16では日表示である。一般ユーザーが表示設定を切り替えると、端末装置101は、表示設定(日、週、月)で表示範囲に含まれるタスクをスケジュール情報から取得し、このタスクのタスク情報を取得し、スケジュール表示を更新する。スケジュール欄651に表示されるタスクは、該タスクの実行に関する画面と関連付けられている。この一例がタスク欄652に表示される画面である。
【0097】
・タスク欄652は、現在時刻に対し、直近のタスクが表示される。図16ではタスク実行画面650が表示されたことで自動的に、直近のタスクのタスク部品が表示されている。この直近のタスクの前後のタスクが実施順に表示される。図16では、「Web cleaner replacement」「Channel plate cleaning」「Head cap cleaning」というタスクがあり、そのうち「Head cap cleaning」の内容(直近のタスク)が表示されている。
【0098】
なお、現在までに未実施のタスク59(「Paper feeding belt cleaning」)が最上段に表示される。
【0099】
また、タスク欄652にはスケジュール欄651で選択された1日のタスクが表示されてもよい。
【0100】
各タスク部品はボタン653を有しており、管理者がボタン653を押下すると(タスク実行画面650への実施状況に応じた入力により)ボタン653の状態が以下のように変化する。ボタン653は、例えば実行→実行中タスク表示→終了タスク表示と変化してもよい。なお、ボタン653を押下する入力操作により、個々のタスク部品やタスクが完了状態となってもよい。
【0101】
なお、タスクの実施は、開始予定時刻以降でないと一般ユーザーが実施できないわけではなく、開始予定時刻の一定時間前(例えば、15分~1時間など)から実施できてよい。また、ジョブの予定と照合し、ジョブの予定がない場合は任意のタイミングで一般ユーザーがタスクを実施できてよい。ただし、タスクの順番が入れ替わらないことが好ましい。
【0102】
<<ジョブ抑止の処理>>
図17は、タスク未実施の場合にジョブ実行を抑止する処理を説明するフローチャート図である。
【0103】
一般ユーザーがDFE102から印刷に関するジョブの実行指示を入力する(S201)。
【0104】
DFE102の入力取得手段41が、ジョブの実行指示の入力を受け付け、ジョブ開始通知手段42に送信する(S202)。
【0105】
ジョブ開始通知手段42はジョブ開始通知を画像形成装置103に送信する(S203)。画像形成装置103のタスク・スケジュール情報取得手段15は、ジョブ開始通知を受け付ける。
【0106】
タスク・スケジュール情報取得手段15はタスク情報記憶手段21からタスク情報を取得し、スケジュール情報記憶手段22からスケジュール情報を取得する。タスク・スケジュール情報取得手段15はタスク情報とスケジュール情報をジョブ実行抑制手段13に送信する(S204)。
【0107】
ジョブ実行抑制手段13は現在時刻取得手段12が取得した現在時刻を取得する(S205)。
【0108】
ジョブ実行抑制手段13は、本日終了までに予定されている全てのタスクが実施済みか否か判定する(S206)。ステップS206の判定がYesの場合、ジョブ実行抑制手段13はジョブの実行を抑止しないので、画像形成装置103がジョブを実行する。
【0109】
ステップS206の判定がNoの場合、ジョブ実行抑制手段13は、現在時刻がスケジュール情報に保存された未実施のタスクの開始予定時刻を過ぎているか否か判定する(S207)。
【0110】
ステップS207の判定がNoの場合、ジョブ実行抑制手段13はジョブの実行を抑止しないので、画像形成装置103がジョブを実行する。
【0111】
ステップS207の判定がYesの場合、ジョブ実行抑制手段13は端末装置101にジョブが抑止された旨を送信する。端末装置101の通信手段33はジョブが抑止された旨を受信し、表示制御手段31が、ジョブが抑止された旨を表示する(S208)。未実施のタスクがある場合、ジョブが抑止されるので、印刷品質が低下することを抑制できる。
【0112】
また、ジョブ実行抑制手段13はジョブ中止通知手段14に、ジョブ開始通知されたジョブがジョブ抑止対象である旨を通知する(S209)。
【0113】
ジョブ中止通知手段14は、DFE102にジョブが中止された旨を送信する(S210)。
【0114】
DFE102のジョブ中止手段43はジョブが中止された旨を受信し、ジョブを中止(保留)する(S211)。これによりDFE102はジョブが実行されていないことを検知でき、例えば一定時間後に、再度、ジョブ開始通知手段42がジョブ開始を画像形成装置103に通知できる。
【0115】
<タスクのリスケジューリング等に関する機能>
続いて、図18を参照し、タスクのリスケジューリング等に関する機能について説明する。なお、図18の説明において、図10において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0116】
<<画像形成装置>>
画像形成装置103は図10に対し、抑止設定受付手段16と、ジョブ実行要求手段17と、タスクリスケジュール手段18と、を有している。
【0117】
抑止設定受付手段16は、開始予定時刻を過ぎたタスクが未実施だった場合にジョブの実行を抑制するかどうかの設定を一般ユーザーから受け付ける。
【0118】
ジョブ実行要求手段17は、ジョブ実行の抑止要因となっていたタスクが実施されたら、即座に抑止されたジョブの実行をDFE102に要求する。なお、タスクの実施は情報更新手段11がスケジュール情報記憶手段22の実施状況情報を更新することで検出される。
【0119】
タスクリスケジュール手段18は、タスクが未実施であるためにジョブの実行が抑止された場合、未実施のタスクをリスケジュールする。
【0120】
<<DFE>>
DFE102は、ジョブ実行要求受付手段44を有している。ジョブ実行要求受付手段44は、ジョブ実行要求手段17からいったん抑止されていたジョブの実行要求を受け付ける。
【0121】
<ジョブの実行を抑制するかどうかの設定の受け付け>
図19は、画像形成装置103がジョブの実行を抑制するかどうかの設定の受け付ける抑止設定受付画面の一例である。抑止設定受付画面660は、「タスクが未実施の場合、ジョブの実行を抑止しますか?」というメッセージ661、「抑止する」に対応付けられたラジオボタン662、及び、「抑止しない」に対応付けられたラジオボタン663、を有している。管理者又は一般ユーザーは抑止設定受付画面660に、タスクが未実施の場合、ジョブの実行を抑止するかどうかを設定できる。
【0122】
抑止設定受付手段16は抑止設定受付画面660における設定内容を受け付け、ジョブ実行抑制手段13に通知する。ジョブ実行抑制手段13は、抑止すると設定された場合にのみ、タスクが未実施の場合、ジョブの実行を抑止する。
【0123】
なお、抑止設定受付画面660は、画像形成装置103が表示してもよいし、端末装置101が表示してもよい。また、DFE102が表示してもよい。端末装置101が表示した場合、端末装置101は設定内容を画像形成装置103に送信する。
【0124】
<タスクのリスケジュール>
図20は、タスクのリスケジュールを説明する図である。タスクリスケジュール手段18は、未実施のタスクが発生したことを検知する。タスクリスケジュール手段18は、例えば、以下のようなタイミングで未実施のタスクが発生したことを検知できる。
・ジョブ実行が抑止されたタイミング
・一日の終了時刻(例えば0:00)
・一定時間ごとの監視タイミング
図20では、X月1日の14:00のタスク65が未実施であることが検知されたとする。タスクリスケジュール手段18は未実施のタスク65を適切な日時にリスケジュールする。
【0125】
(i) 例えば、未実施のタスク65によりジョブ実行が抑止された。タスク65が印刷品質に影響ないものであり、ジョブの優先実行が可能であったとする。タスクリスケジュール手段18がこのタスク65をいったん保留にすることで(スケジュール情報から削除)、ジョブ実行要求手段17が抑止したジョブを即座に実行できる。タスクリスケジュール手段18は、ジョブ実行の直後に保留にしたタスク65をリスケジュールする(図20(a))。
【0126】
(ii) また、タスクリスケジュール手段18が次の日の同じ時間帯にタスク65をリスケジュールしてもよい(図20(b))。X月1日の14:00のタスク65が未実施であるので、次の日であるX月2日の14:00にタスク65がリスケジュールされている。決まった時間なので、一般ユーザーがタスクを忘れにくくなる。
【0127】
(iii) また、タスクリスケジュール手段18が、直近のタスクの前後の連続した時間帯にタスク65をリスケジュールしてもよい(図20(c))。X月1日の14:00のタスク65が未実施である。直近のタスクはX月2日の8:00のタスク66である。タスクリスケジュール手段18は、タスク66の直後にタスク65をリスケジュールする。タスクの順番に制約がある場合、タスクリスケジュール手段18は、タスク66の直前にタスク65をリスケジュールする。一般ユーザーが複数のタスクをまとめて実行できる。
【0128】
(iv) また、タスクリスケジュール手段18は、画像形成装置103にジョブのスケジュールが登録されている場合は、当該ジョブの時間帯の直前にタスク65をリスケジュールしてもよい(図20(d))。X月1日の14:00のタスク65が未実施である。ジョブ67のスケジュールがX月2日の12:00に設定されている。タスクリスケジュール手段18は、ジョブ67の直前にタスク65をリスケジュールする。一般ユーザーは、ジョブ67の実行が抑止されないように、タスクを実施できる。
【0129】
なお、(i)~(iv)のいずれの場合も、二台以上の画像形成装置103が存在する場合、タスクリスケジュール手段18は、他の画像形成装置103のタスクのスケジュールにおいて、タスクが登録されている時間帯を回避することが好ましい。これは、ジョブを実行できる画像形成装置103を常に存在させるためである。例えば、他方の画像形成装置103の13:00~14:00までタスクが設定されているとする。タスクリスケジュール手段18は、一方の画像形成装置103のタスクが13:00以前に終了するようにタスクをリスケジュールするか、又は、14:00以降に始まるようにタスクをリスケジュールする。
【0130】
タスクリスケジュール手段18がリスケジュールすることで、ジョブの実行が抑止されないので、一般ユーザーが緊急のジョブを実行したい場合に便利である。ただし、タスクが実行されないと、印刷物の品質を担保できないおそれがあるので、リスケジュール可能なタスクの種類がタスク情報に予め設定されているとよい。例えばタスク情報においてタスクIDにリスケジュールの可否が対応付けられている。タスクリスケジュール手段18は、リスケジュール可能なタスクのみをリスケジュールする。
【0131】
<ジョブ実行の抑止要因となっていたタスクの実施によるジョブの自動実行>
図21は、ジョブ実行要求手段17が、ジョブ実行の抑止要因となっていたタスクが実施された場合に抑止されたジョブの実行をDFE102に要求する処理を説明するフローチャート図である。図21の処理は、ジョブの実行が抑止された場合にスタートする。
【0132】
ジョブ実行要求手段17は、ジョブ実行抑制手段13により実行が抑止されたジョブのジョブIDを保存する(S301)。
【0133】
ジョブ実行要求手段17は、スケジュール情報のタスクの実施状況を監視する(S302)。例えば、ジョブ実行要求手段17は、定期的にスケジュール情報のタスクの実施状況情報を取得する。
【0134】
ジョブ実行要求手段17は、現在時刻までに未実施のタスクがあるか否か判定する(S303)。ステップS303の判定がYesの場合、ジョブ実行要求手段17はステップS302の監視を継続する。
【0135】
すでに、ジョブ実行抑制手段13により、現在時刻までに未実施のタスクがあると判定されているが、このタスクが実施されたり、リスケジュールされたりすると、ステップS303の判定がNoとなる。
【0136】
ステップS303の判定がNoの場合、ジョブ実行要求手段17は保存しておいたジョブIDを指定して、実行が抑止されたジョブの実行をDFE102に要求する(S304)。DFE102のジョブ実行要求受付手段44はジョブIDで特定されるジョブの実行要求を受け付け、ジョブ開始通知手段42に通知する。これにより、ジョブ開始通知手段42がタスク・スケジュール情報取得手段15にジョブ開始を通知する。現在時刻までに未実施のタスクがなくなったので、ジョブ実行抑制手段13がジョブの実行を抑止するとは判定せず、画像形成装置103がジョブを実行できる。
【0137】
<主な効果>
本実施形態の情報処理システムは、未実施のタスクがある場合に、ジョブ実行を抑制することにより、印刷物の品質低下を抑制できる。タスクのスケジュールが予め設定されているので、一般ユーザーがタスクやジョブの予定を立てやすい。例えば、抑止される前にジョブを実行するような使い方が可能になる。
【0138】
<システム構成の変形例>
図22は、図4のシステム構成の変形例を示す。画像形成装置103がWebサーバを持つ構成を基本とするが、図22のサーバ装置104のように別の新たなPCを用意してWebサーバとしてもよい。この場合、端末装置101で動作するWebブラウザがアクセスする先はサーバ装置104となる。
【0139】
図23は、図4のシステム構成の変形例を示す。画像形成装置103が備えるディスプレイでWebブラウザを起動してWebサーバにアクセスすることも可能である。この場合、画像形成装置103がWebサーバを持つ構成では、画像形成装置103で動作するWebブラウザから同じく画像形成装置103で動作するWebサーバにアクセスを行う。サーバ装置104でWebサーバが動作する構成では、画像形成装置103で動作するWebブラウザからサーバ装置104にアクセスを行う。
【0140】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0141】
例えば、本実施形態では端末装置101が汎用的なWebブラウザを使用しているが、DFE102や画像形成装置103に専用のアプリを使用してもよい。
【0142】
また、本実施形態では、画像形成装置103が、メンテナンスが未実施の場合にジョブの実行を抑止するか判断しているが、判断を、DFE102又はサーバ装置104が行ってもよい。この場合、DFE102又はサーバ装置104はジョブの実行の抑止を画像形成装置103に通知する。
【0143】
また、図7図10図18などの構成例は、端末装置101、DFE102、及び、画像形成装置103による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。端末装置101、DFE102、及び、画像形成装置103の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0144】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、DFE102は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0145】
更に、DFE102は、開示された処理ステップ、例えば図17のフローチャートを様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、DFE102が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、DFE102は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0146】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0147】
<請求項に関する付記>
[請求項1]
メンテナンスが行われる機器を有する情報処理システムであって、
前記メンテナンスが実行される予定時刻が登録されたスケジュール情報を記憶する記憶手段と、
前記メンテナンスが実行された場合に、該メンテナンスの実施済みを前記スケジュール情報に記録する情報更新手段と、
前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合、前記機器によるジョブの実行を抑制するジョブ実行抑制手段と、
を有する情報処理システム。
[請求項2]
前記ジョブ実行抑制手段は、前記ジョブの実行を受け付けた時刻までに、未実施の前記メンテナンスがある場合、該ジョブの実行を抑制する請求項1に記載の情報処理システム。
[請求項3]
前記ジョブ実行抑制手段が前記ジョブの実行を抑制した場合、未実施であると判定された前記メンテナンスをリスケジュールするタスクリスケジュール手段を有する請求項1又は2に記載の情報処理システム。
[請求項4]
前記ジョブ実行抑制手段が実行を抑制した前記ジョブの識別情報を保存しておき、
現在時刻までに未実施のメンテナンスがなくなった場合、実行を抑制した前記ジョブの実行を要求するジョブ実行要求手段を有する請求項3に記載の情報処理システム。
[請求項5]
現在時刻までに未実施のメンテナンスが、前記タスクリスケジュール手段によるリスケジュールによりなくなった場合、前記タスクリスケジュール手段は、抑制された前記ジョブが実行された直後に未実施であると判定された前記メンテナンスをリスケジュールする請求項4に記載の情報処理システム。
[請求項6]
前記タスクリスケジュール手段は、前記ジョブ実行抑制手段が前記ジョブの実行を抑制した場合、未実施であると判定された前記メンテナンスを、次のメンテナンスの直前にリスケジュールする請求項3に記載の情報処理システム。
[請求項7]
前記タスクリスケジュール手段は、前記ジョブ実行抑制手段が前記ジョブの実行を抑制した場合、未実施であると判定された前記メンテナンスを、予定されているジョブの直前にリスケジュールする請求項3に記載の情報処理システム。
[請求項8]
二台の前記機器を有する場合、
前記タスクリスケジュール手段は、他方の前記機器において前記メンテナンスが登録されている時間帯を回避して、一方の前記機器のタスクをリスケジュールする請求項3~6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
[請求項9]
前記予定時刻を過ぎた前記メンテナンスが未実施だった場合に、前記ジョブ実行抑制手段が前記機器によるジョブの実行を抑制するか否かの設定を受け付ける抑止設定受付手段を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0148】
101 端末装置
102 DFE
103 画像形成装置
104 サーバ装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】
【特許文献1】特開2004-199503号公報
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