(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078020
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240603BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240603BHJP
【FI】
G03G21/18 139
G03G21/16 185
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190318
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】赤間 史朗
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA04
2H171FA17
2H171FA19
2H171GA03
2H171JA12
2H171JA23
2H171JA31
2H171KA04
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA26
2H171KA27
2H171KA28
2H171LA03
2H171LA08
2H171LA13
2H171NA03
2H171NA05
2H171QA02
2H171QB32
2H171QC26
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】前側板と後側板の間隔を縮めて画像形成装置を小型化する。
【解決手段】互いに対向する一対の側板11、12を有する筐体と、一対の側板11、12に両端部が支持された被駆動ユニット(プロセスユニット2)と、被駆動ユニットの一端部に連結され当該被駆動ユニットを駆動する駆動ユニット15と、を有する画像形成装置1において、駆動ユニット15を一方の側板12から外側に離間させた状態で一方の側板12に位置決め固定すると共に、被駆動ユニットの一端部を一方の側板12の開口12aを通して外側に突出させ、当該突出した被駆動ユニットの一端部を駆動ユニット15に連結したことを特徴とする。
【選択図】
図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の側板を有する筐体と、前記一対の側板に両端部が支持された被駆動ユニットと、前記被駆動ユニットの一端部に連結され当該被駆動ユニットを駆動する駆動ユニットと、を有する画像形成装置において、
前記駆動ユニットを前記一方の側板から外側に離間させた状態で前記一方の側板に位置決め固定すると共に、前記被駆動ユニットの一端部を一方の前記側板の開口を通して外側に突出させ、当該突出した前記被駆動ユニットの一端部を前記駆動ユニットに連結したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被駆動ユニットが、像担持体としての感光体と、当該感光体に形成された静電潜像を現像する現像ローラとを有するプロセスユニットであり、当該プロセスユニットの画像形成領域の外側にある非画像形成領域を前記一方の側板の前記開口から外側に突出させたことを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記被駆動ユニットが、定着ローラと加圧ローラとを有する定着ユニットであることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項4】
前記被駆動ユニットが、感光体上に残存したトナーを除去して回収するクリーニングユニットであることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動ユニットが、位置決め部材を介して前記一方の側板に対して位置決め固定されていることを特徴とする請求項2の画像形成装置。
【請求項6】
前記位置決め部材が位置決め板と複数本の支軸とを有し、当該複数本の支軸の一端部が前記一方の側板にカシメ固定されていることを特徴とする請求項5の画像形成装置。
【請求項7】
前記位置決め板が、いずれか1本の前記支軸の他端部に連結される主基準としての第1位置決め孔と、前記いずれか1本と異なる他の支軸の他端部に連結される従基準としての第2位置決め孔を有し、当該第2位置決め孔が前記第1位置決め孔に向かって延びる長孔として形成されていることを特徴とする請求項6の画像形成装置。
【請求項8】
前記位置決め板が矩形状をなし、前記第1位置決め孔と前記第2位置決め孔が前記矩形状の位置決め板の対角線方向に形成されていることを特徴とする請求項7の画像形成装置。
【請求項9】
前記位置決め板が、前記駆動ユニットを位置決めするための主基準としての第3位置決め孔と、前記駆動ユニットを位置決めするための従基準としての第4位置決め孔を有し、当該第4位置決め孔が前記第3位置決め孔に向かって延びる長孔として形成されていることを特徴とする請求項8の画像形成装置。
【請求項10】
前記駆動ユニットが、前記感光体に連結される第1駆動軸と、当該第1駆動軸と同心状に形成され前記第3位置決め孔に嵌合する第1凸部と、前記第4位置決め孔に嵌合する第2凸部を有することを特徴とする請求項9の画像形成装置。
【請求項11】
前記駆動ユニットの下方に給紙ローラ駆動ユニットを配設したことを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項12】
前記駆動ユニットの上方にファンダクトユニットを配設したことを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項13】
前記駆動ユニットとは反対側の前記位置決め板の内面に、前記プロセスユニットからの廃トナーを排出するパイプ部材を配設したことを特徴とする請求項6の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に係り、特にプロセスユニット等の被駆動ユニットを駆動する駆動ユニットの周囲スペースを各種部品の配置スペースとして有効利用することで装置の小型化を可能にした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザプリンタやデジタル複写機等の電子写真プロセスを用いた
図1Aのような画像形成装置1においては、感光体3を保持した感光体ユニットに、電子写真プロセスによる画像形成動作を実行する各種ユニットのうちの1又は複数を取付けたプロセスユニット2を、装置本体に対して着脱自在に取付けたものが増えている。感光体ユニットに取付ける各種ユニットとしては、感光体上の静電潜像をトナーで現像する現像ユニットや、感光体上に残存したトナーを除去して回収するクリーニングユニットなどがある。
【0003】
感光体ユニット、現像ユニット及びクリーニングユニットは、装置本体からの回転駆動力によって駆動される。このように装置本体から回転駆動力を得るユニットを被駆動ユニットとよぶ。これらの駆動力の伝達は、装置本体側の駆動ユニットの駆動ギヤと、被駆動ユニット側の被駆動ギヤとの連結によって行われる。
【0004】
図1Bは、
図1Aの画像形成装置を矢印1B方向から見た側面図である。装置本体側の駆動ギヤは駆動ユニット15に備えられ、当該駆動ユニット15は筐体を構成する後側板12’の外側に位置決め固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の画像形成装置においては、装置筐体を構成する前側板11と後側板12’との間に被駆動ユニットとしてのプロセスユニット2が配設され、後側板12’の外側に駆動ユニット15が位置決め固定されていた。そして、駆動ユニット15の嵌合部15hとプロセスユニット2の被嵌合部2aが、後側板12’の内側において相互嵌合することで、駆動ユニット15の駆動力をプロセスユニット2に伝達するように構成されていた。
【0006】
このため、前側板11と後側板12’の間隔が大きく広がり、さらに後側板12’の後側に駆動ユニット15が大きく張り出す形になって画像形成装置が大型化していた。本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、前側板11と後側板12’の間隔を縮めて画像形成装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、互いに対向する一対の側板を有する筐体と、前記一対の側板に両端部が支持された被駆動ユニットと、前記被駆動ユニットの一端部に連結され当該被駆動ユニットを駆動する駆動ユニットと、を有する画像形成装置において、前記駆動ユニットを前記一方の側板から外側に離間させた状態で前記一方の側板に位置決め固定すると共に、前記被駆動ユニットの一端部を一方の前記側板の開口を通して外側に突出させ、当該突出した前記被駆動ユニットの一端部を前記駆動ユニットに連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置筐体を構成する前側板と後側板の間隔を縮めて画像形成装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1B】
図1Aの画像形成装置を矢印1B方向から見た側面図である。
【
図1C】駆動ユニットの上下の部品配置スペース8a、8bを示す側面図である。
【
図1D】後側板を手前側に移動させることで拡大した部品配置スペース8a’、8b’を示す側面図である。
【
図2】筐体を(a)斜め前方から見た斜視図と(b)斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】プロセスユニットを装着した筐体の(a)正面図と(b)斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】ブラケットを取付けた
図3の筐体の(a)正面図と(b)斜め後方から見た斜視図である。
【
図5】駆動ユニットを取付けた
図4の筐体の(a)正面図と(b)斜め後方から見た斜視図である。
【
図6】支軸をカシメ固定した後側板の斜視図である。
【
図8】後側板の支軸にブラケットを(a)ネジ止めする状態の斜視図と(b)ネジ止めした後の斜視図ある。
【
図9】(a)駆動ユニットの斜視図と(b)ブラケットの斜視図である。
【
図10】駆動ユニットを取付けたブラケットを裏側から見た斜視図である。
【
図11】(a)プロセスユニットの一端部の斜視図と(b)駆動ユニットの斜視図である。
【
図12】
図1Dの筐体に排紙搬送ローラと給紙搬送ローラを装着した状態の(a)正面図と(b)斜め後方から見た斜視図である。
【
図13】
図12の筐体のスペースS1を説明する正面図である。
【
図14】スペースS1を利用してファンダクトユニットを配置した筐体の(a)正面図と(b)斜め後方から見た斜視図である。
【
図15】駆動ユニット、排紙ローラ駆動ユニット及び給紙ローラ駆動ユニットを取付けた後側板の正面図である。
【
図16】駆動ユニットと給紙ローラ駆動ユニットのギヤ連結状態を示す正面図である。
【
図17】従来の後側板の内外のスペースS2、S3を説明する正面図である。
【
図18】従来の後側板の内外のスペースS2、S4を説明する正面図である。
【
図19】プロセスユニットに廃トナー排出用パイプ部材を接続した状態の斜視図である。
【
図20】ブラケットの内側スペースに廃トナー排出用パイプ部材を配置した状態を(a)裏側から見た斜視図と(b)表側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(●画像形成装置の概要)
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して順次説明する。
図1Aは、被駆動ユニットとしての感光体3を含むプロセスユニット2を有する画像形成装置1の概略構成図である。以下において、画像形成装置1は、モノクロ機として説明するが、本発明は、カラー機に適用しても構わない。
【0011】
画像形成装置1は、K(ブラック)色のトナー像を作像するためのプロセスユニット2を備える。プロセスユニット2は、感光体モジュール、帯電モジュール、現像モジュールおよび清掃モジュールを有しており、画像形成装置1の本体に対して脱着可能にしている。プロセスユニット2は、ドラム状の感光体3を備える。
【0012】
また、画像形成装置1は書込みユニット4を備える。そして、書込みユニット4から、感光体3に向けてレーザ光といった照射光を照射し、感光体3表面上に静電潜像を形成する。さらに書込みユニット4の上方には現像用トナーを収容したトナーボトル5を備えている。
【0013】
転写ユニット6は、転写ローラ7を有する。この転写ローラ7と感光体3とが当接し、転写ニップを形成する。転写ニップにおいては、転写ローラ7に転写バイアスを印加することにより、転写電界を形成する。
【0014】
そして、転写ユニット6の図中上側方には、用紙等の記録媒体上に転写したトナー像を定着する定着ユニット8を備える。定着ユニット8は、内部に発熱体を備えた加熱ローラを有する。また、転写ユニット6と定着ユニット8との間には、トナー像転写後の記録媒体を定着ユニット8に向けて記録媒体の搬送方向に沿って搬送する。
【0015】
また、画像形成装置1の下部には記録媒体を転写ユニット6へ送り出す給紙ユニット9を備える。さらに、定着ユニット8の図中左側方には、定着ユニット8を通過した記録媒体を機外に向けて排出する排紙ユニット10を備える。
【0016】
(●筐体の構成)
画像形成装置1の筐体は、
図1Dに示すように一対の側板(前側板11、後側板12)を有する。後側板12には後述するように位置決め部材としてのブラケット14が取付けられる。このブラケット14の外側面に、プロセスユニット2に駆動力を伝達する駆動ユニット15が位置決め固定される。
【0017】
後側板12の位置は、
図1Cに示す従来の後側板12’の位置に比べて筐体内側方向に距離S2だけ移動している。この距離S2の範囲は、像担持体としての感光体3の外側にあって画像形成に影響しない非通紙領域(非画像形成領域)である。
【0018】
後側板12を距離S2だけ内側に移動させたことで、画像形成装置の奥行方向筐体サイズを距離S2だけ低減することができる。後側板12を内側移動させたことで、後側板12の外側(
図1Dの右側)にプロセスユニット2の一端部が長く突出する。したがって、プロセスユニット2を駆動する駆動ユニット15が後側板12から離間する。
【0019】
従来、駆動ユニット15は
図1Cのように筐体の後側板12’に直接位置決め固定していた。この場合、感光体端部(破線部)から後側板12’までは画像形成領域外であるが、各種機構・構造を配置するのに十分なスペースがない。このため、画像形成を行うユニット(用紙搬送、転写、定着等)の機構・構造を感光体端部(破線部)から後側板12’までのスペースに配置することができず、当該スペースがデッドスペース7a、7bとなっていた。
【0020】
デッドスペース7a、7bの外側(後側板12’の外側)には
図1Cに示すように部品配置スペース8a、8bができるが、
図1Dに比べると後側板12’が後退しているため部品配置スペース8a、8bの大きさが抑制される。このため、当該部品配置スペース8a、8bに配置可能な部品が制約される結果、画像形成装置の大型化につながっていた。
【0021】
本実施形態では、前述したように後側板12を内側移動した結果(
図1D)、駆動ユニット15が後側板12から離間する。このため、駆動ユニット15をブラケット14を介して後側板12に位置決め固定する。
【0022】
これにより、駆動ユニット15の上下に従来よりも余裕のある部品配置スペース8a’、8b’を形成することができる。これら部品配置スペース8a’、8b’は
図1Cの部品配置スペース8a、8bよりも前後方向(
図1Dの左右方向)に余裕がある。したがって、部品配置スペース8a’、8b’に画像形成に関係する多様な部品を配置し、ひいては画像形成装置1を小型化することが可能になる。
【0023】
(●実施形態の詳細)
以下、
図2~
図20を参照して本実施形態の詳細について説明する。
図2(a)(b)は、
図1の画像形成装置1の筐体を斜め前方から見た斜視図と斜め後方から見た斜視図である。
【0024】
前側板11と後側板12が互いに対向配置されている。前側板11と後側板12にそれぞれ矩形状の開口11a、12aが形成されている。これら開口11a、12aの間に、前側板11の開口11aから挿入したプロセスユニット2を水平方向にガイドするレール部材13が配設されている。
【0025】
開口11a、12aの上方と下方には、排紙ローラ用の支持孔11c、12cと、給紙ローラ用の支持孔11b、12bが形成されている。
【0026】
図3(a)(b)は、プロセスユニット2を装着した筐体の正面図と斜め後方から見た斜視図である。後側板12を前側板11に向けて内側移動させたことで、後側板12の外側(
図1Dの右側)にプロセスユニット2の一端部(後端部)が長く突出する。プロセスユニット2の後端部には、感光体3や現像装置を駆動させるためのギヤが設けられている。
【0027】
(●ブラケットについて)
図4(a)(b)は、
図3の筐体の後側板12にブラケット14を取付けた正面図と斜め後方から見た斜視図である。このブラケット14は、
図6の2本の支軸16を介して後側板12に位置決め固定される。
【0028】
ブラケット14は、駆動ユニット15を位置決め支持するため、画像形成装置の筐体つまり後側板12に対して、高精度に位置決めし取付けられる必要がある。本実施形態では2本の支軸16によって高精度位置決めを可能にする。
【0029】
ブラケット14は、画像形成装置1の高さ方向と横幅方向において駆動ユニット15を取付けるのに必要十分な大きさを有する。したがって、ブラケット14が占有しない後側板12の外側(上下左右)のスペースや、駆動ユニット15の後方スペースは、他ユニットの配置に使用することができる。
【0030】
ブラケット14の面積は、当該ブラケット14に対するプロセスユニット2の軸線方向(長手方向)ないし挿抜方向(矢印A方向)の投影面積よりも倍近く大きい。また、ブラケット14の面積は、駆動ユニット15の取付けに必要な面積よりもかなり大きい。
【0031】
このようにブラケット14を大きくする理由は、
図19、
図20で後述するように、廃トナー排出用パイプ部材24や駆動ギヤ26bをブラケット14の裏側に位置決め固定するためである。ブラケット14を利用してパイプ部材24や駆動ギヤ26bを取付けない場合は、ブラケット14の大きさは駆動ユニット15の取付けに必要最低限の大きさでもよい。
【0032】
図5(a)(b)は、ブラケット14の外側面に駆動ユニット15を取付けた筐体の正面図と、斜め後方から見た斜視図である。駆動ユニット15の右側端部が、正面視で後側板12の折曲部12A近くまで延びている。折曲部12Aの外側には外装部材が配設される。
【0033】
後側板12は従来よりも前側板11寄りに配置されている。したがって、
図5の駆動ユニット15の上下スペースと
図5(b)の右側スペースは、部品配置スペースとして十分な余裕がある。
【0034】
(●支軸について)
図6は、2本の支軸16をカシメ固定した後側板12の斜視図である。2本の支軸16の基端側が、後側板12の外側面の所定位置に極めて正確にカシメ固定されている。ブラケット14と支軸16によって、駆動ユニット15の位置決め部材が構成される。
【0035】
支軸16はSUS等の鋼材で作られる軸状部材である。支軸16を側板12に対してカシメ工法を用いるなどして位置決め固定することで、支軸16の高精度な位置出し及び側板12に対する直角度出しが可能である。
【0036】
支軸16は、
図6で拡大示するように、先端部に先端円筒部16aとネジ締結用の雌ネジ孔16bを有する。先端円筒部16aがブラケット14の支軸嵌合孔14a、14bに嵌合する。
【0037】
先端円筒部16aの高さは、ブラケット14の板状本体部の厚みと同程度である。先端円筒部16aの軸心に雌ネジ孔16bが形成されている。この雌ネジ孔16bに、
図8(a)(b)のようにネジ17を締付けることにより、ブラケット14を支軸16に固定し,ひいては後側板12の所定位置に固定することができる。
【0038】
2本の支軸16は、後側板12の矩形状の開口12aを間に挟んで斜めに配置されている。すなわち、2本の支軸16は矩形状の開口12aの対角線方向に配設されている。この開口12aから、プロセスユニット2の一端部を後側板12の外側(後方)に突出させる。
【0039】
2本の支軸16を斜めに配置したのは、支軸16相互間距離をできるだけ長くするためである。このように長く離れた2本の支軸16で後述するブラケット14を位置決め固定することで、ブラケット14の位置決め精度、ひいては駆動ユニット15の位置決め精度を向上することができる。
【0040】
図7はブラケット14の斜視図である。ブラケット14は横長矩形の板状本体部と、当該板状本体部の辺々に一体形成されたL字状の脚部14g~14kを有する。
【0041】
板状本体部の対角線方向に位置する2つの角部に、支軸嵌合孔14a、14bが形成されている。この支軸嵌合孔14a、14bに、前述した支軸16の先端円筒部16aを嵌合する。
【0042】
支軸嵌合孔14aは丸孔であるが、支軸嵌合孔14bは長孔である。支軸嵌合孔14bの長孔は、対角線方向で支軸嵌合孔14aに向かって延びている。
【0043】
すなわち、丸孔の支軸嵌合孔14aが主基準としての第1位置決め孔を構成し、長孔の支軸嵌合孔14bが従基準としての第2位置決め孔を構成する。支軸16の先端円筒部16aに長孔の支軸嵌合孔14bを嵌合することで、支軸嵌合孔14aを中心とするブラケット14の回転位置が定まる。
【0044】
先端円筒部16aの高さは、ブラケット14の板状本体部の厚みと同程度である。先端円筒部16aの軸心に雌ネジ孔16bが形成されている。この雌ネジ孔16bに
図8(a)(b)のようにネジ17を締付けることにより、ブラケット14を支軸16に固定し,ひいては後側板12の所定位置に固定することができる。
【0045】
ブラケット14の板状本体部には、駆動ユニット15の円形凸部15a、小円柱部15b、長円凸部15d、円筒状の現像ローラ駆動ギヤ15fを嵌合するための孔部14c~14fが形成されている。この嵌合の対応関係は
図9(a)(b)に示す通りである。
【0046】
長円凸部15dの内側の長孔は感光体駆動ギヤ15eの方向に延びている。長円凸部15dの内側の長孔に、
図11のようにプロセスユニット2の一端部の凸形状2dが嵌合する。
【0047】
また、感光体駆動ギヤ15eはプロセスユニット2の感光体駆動ギヤ2eに噛合する。したがって、プロセスユニット2との位置決め関係では、感光体駆動ギヤ15eが主基準となり、長円凸部15dが従基準となる。
【0048】
駆動ユニット15の第1凸部としての円形凸部15aは、ブラケット14の孔部14cに対して寸法公差最小値で嵌合されるのが望ましい。このように寸法公差最小値で嵌合することで、駆動ユニット15の感光体駆動ギヤ15eの軸線がブラケット14の孔部14cと正確に心合わせされる。
【0049】
駆動ユニット15の第2凸部としての小円柱部15bは、ブラケット14の孔部14fに嵌合される。この孔部14fは長孔であって孔部14cの方向に延びている。
【0050】
つまり、円形の孔部14cが主基準としての第3位置決め孔を構成し、長孔の孔部14fが従基準としての第4位置決め孔を構成する。駆動ユニット15の小円柱部15bがブラケット14の孔部14fに嵌合することで、ブラケット14の主基準である円形の孔部14cに対する駆動ユニット15の回転位置が定まる。
【0051】
駆動ユニット15の円形凸部15aと同心状に、感光体駆動ギヤ15eが突設されている。この感光体駆動ギヤ15eが、
図11のプロセスユニット2の感光体駆動ギヤ2eに噛合することで、駆動ユニット15からプロセスユニット2へ駆動力が伝達される。
【0052】
円形凸部15aと感光体駆動ギヤ15eの間に、円形凸部15cが形成されている。この円形凸部15cは、
図11のプロセスユニット2の感光体駆動ギヤ2eの外周に形成された円筒部2cの内側に嵌合する。円形凸部15cと円筒部2cの相互嵌合で感光体駆動ギヤ2e、15eの同心性を高めることができる。
【0053】
駆動ユニット15の上下左右の4箇所に、
図9(a)のようにネジ孔15mが形成されている。一方、ブラケット14の板状本体部の4箇所に
図9(b)のようにネジ孔14mが形成されている。
【0054】
駆動ユニット15のネジ孔15mに対して、
図10のように、ブラケット14の裏側から4本のネジ14nがブラケット14の4つのネジ孔14mを通してねじ込まれる。
【0055】
図10のように駆動ユニット15を位置決め固定したブラケット14を、後側板12に対して位置決め固定した後、プロセスユニット2をレール部材13に沿って前側板11の開口11aから挿入する。そうすると、
図11のように感光体駆動ギヤ15eに対して感光体駆動ギヤ2eが噛合する。感光体駆動ギヤ2e、15eその他の嵌合関係は以下の通りである。
(プロセスユニット2)⇒⇒(駆動ユニット15)
感光体駆動ギヤ2e⇒⇒⇒感光体駆動ギヤ15e
円筒部2c⇒⇒⇒凸形状15c
凸形状2d⇒⇒⇒長円凸部15d
現像ローラ駆動ギヤ2f⇒現像ローラ駆動ギヤ15f
【0056】
図12(a)(b)は、
図1Dの筐体に排紙搬送ローラ18と給紙搬送ローラ19を装着した状態の正面図と、斜め後方から見た斜視図である。図示するように、駆動ユニット15の周辺スペースが部品配置スペースとして有効利用されている。排紙搬送ローラ18や給紙搬送ローラ19を駆動させる排紙ローラ駆動ユニット20、給紙ローラ駆動ユニット21は例示であり、周辺スペースの利用形態はこれらに限られない。
【0057】
図12(a)(b)のように、排紙搬送ローラ18や給紙搬送ローラ19を駆動させる排紙ローラ駆動ユニット20、給紙ローラ駆動ユニット21をブラケット14の上下に配置し、後側板12に対して取付けることができる。排紙搬送ローラ18や給紙搬送ローラ19といった前側板11と後側板12の間に収まる機構を駆動させる排紙ローラ駆動ユニット20、給紙ローラ駆動ユニット21は、後側板12の外側から直接、後側板12に取付けることができる。
【0058】
(●スペースS1~S4について)
図13は、
図12のブラケット14後方に形成されるスペースS1を説明する正面図である。ブラケット14の後側(右側)にスペースS1が残存するので、当該スペースS1にも部品を配置することが可能である。
【0059】
すなわち、
図13のように感光体軸方向における排紙ローラ駆動ユニット20と駆動ユニット15の端部間にスペースS1があると、そこに他のユニットを配置することができる。例えば、
図14(a)(b)のようにこのスペースS1に定着排紙部の排熱のためのファンダクトユニット23を配置することができる。
【0060】
このようなファンダクトユニット23は、筐体の奥行方向の厚みが比較的大きいので、
図1Cに示す従来の後側板12’の位置では部品配置スペース8a、8bに配置することが必ずしも容易ではなかった。しかしながら、
図1Dのように後側板12を筐体手前側に移動することで部品配置スペース8a’、8b’の奥行方向を増大することができ、ファンダクトユニット23のように奥行方向の厚みがある部品でも容易配置することができる。
【0061】
(●給紙ローラ駆動ギヤとの関係)
図15は、駆動ユニット15、排紙ローラ駆動ユニット20及び給紙ローラ駆動ユニット21を取付けた後側板12の正面図である。給紙ローラ駆動ユニット21が駆動ユニット15から駆動の伝達を受ける構成の場合、
図15のように駆動ユニット15に給紙ローラ駆動ギヤ15gを設け、給紙ローラ駆動ユニット21の給紙ローラ駆動ギヤ21aと嵌合させることができる。このとき、
図16の感光体3の軸方向において、駆動ユニット15側の給紙ローラ駆動ギヤ15gと、給紙ローラ駆動ユニット21側の給紙ローラ駆動ギヤ21aが、同じ軸方向位置に配置されることとなる。
【0062】
ここで、ブラケット14を用いない場合は、
図17のように駆動ユニット15’を後側板12’に取付ける方法が考えられる。このとき、後側板12’はブラケット14を用いる場合の後側板12の位置(破線で示す)に対して、ブラケット14の感光体軸方向寸法分だけ右側にシフトする。このため、本実施形態の後側板12の位置(破線で示す)に対して
図17の後側板12’は、スペースS2の空間を空けて設けられる。
【0063】
その際、後側板12’に取付けられる給紙ローラ駆動ユニット21も、駆動ギヤ15g、21aの軸方向同位置配置のため感光体軸方向後方にS2相当分だけシフトすることになる。この結果、駆動ユニット15’は感光体軸方向にS2相当のスペースS3分だけ大きくする必要があり、これが画像形成装置1の感光体軸方向の寸法増大に繋がる。
【0064】
同様に、
図18のようにブラケット14を用いず駆動ユニット15を後側板12’に取付ける場合、後側板12’に取付けられる排紙ローラ駆動ユニット20の後方側にファンダクトユニット23を取付ける必要がある。このことは、画像形成装置1の感光体軸方向寸法がS2相当のスペースS4分だけ大きくなることを意味する。
【0065】
このように、ブラケット14を用いず駆動ユニット15’を後側板12’に取付ける場合は画像形成装置1の大型化に繋がる。これに対して、画像形成装置1の高さ方向と横幅方向において駆動ユニット15を取付けるのに必要十分な大きさのブラケット14を用い、ブラケット14が占有しない後側板12の外側のスペースを他ユニットの配置に使用することで、画像形成装置1の小型化に貢献することができる。
【0066】
(●廃トナー回収用パイプ部材)
一方、画像形成プロセスにおいて、感光体3から用紙等の媒体へのトナー転写後に感光体に残ったトナー(廃トナー)を回収し収容部材に収容する方法がある。すなわち、
図19のようにプロセスユニット2の後端部にパイプ部材24を連結させ、プロセスユニット2からの廃トナーをボトル部材25に搬送し収容する。
【0067】
パイプ部材24は後側板12とブラケット14との間に配置することが可能であり、
図20(a)(b)のようにブラケット14の内側に対して複数本のネジで取付けることができる。パイプ部材24内のトナーの搬送を促進するため、駆動ギヤ26a、26bを介してパイプ部材24内のスクリュコンベヤ等の搬送部材に対して駆動力を伝達することができる。
【0068】
図20(bのように、駆動ギヤ26a、26bの駆動源となるトナー搬送駆動ユニット27は、ブラケット14の表側に取付けることができる。ブラケット14の駆動ユニット15取付面の面積を、画像形成装置1左右方向についてプロセスユニット2の投影面積よりも大きくすることで、パイプ部材24やトナー搬送駆動ユニット27の取付けに活用することができる。特に、パイプ部材24を後側板12とブラケット14との間のスペースに配置することで、このスペースをデッドスペースとすることなく有効活用して画像形成装置1の小型化に繋げることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば前記実施形態ではブラケット14を介して駆動ユニット15を後側板12に位置決め固定したが、ブラケット14を使用しないで駆動ユニット15を位置決め固定することも可能である。すなわち、
図9(a)に示す駆動ユニット15の本体部分に後側板12に延びる複数の脚部を一体形成し、当該複数の脚部の先端部を後側板12に直接位置決め固定することも可能である。また、前記実施形態では被駆動ユニットとしてプロセスユニット2を例示したが、被駆動ユニットは、定着ローラと加圧ローラとを有する定着ユニットや、感光体上に残存したトナーを除去して回収するクリーニングユニットなど、他のユニットであってもよい。
【0070】
<付記>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
<第1態様>
第1態様は、互いに対向する一対の側板を有する筐体と、前記一対の側板に両端部が支持された被駆動ユニットと、前記被駆動ユニットの一端部に連結され当該被駆動ユニットを駆動する駆動ユニットと、を有する画像形成装置において、前記駆動ユニットを前記一方の側板から外側に離間させた状態で前記一方の側板に位置決め固定すると共に、前記被駆動ユニットの一端部を一方の前記側板の開口を通して外側に突出させ、当該突出した前記被駆動ユニットの一端部を前記駆動ユニットに連結したことを特徴とする画像形成装置である。
<第2態様>
第2態様は、前記被駆動ユニットが、像担持体としての感光体と、当該感光体に形成された静電潜像を現像する現像ローラとを有するプロセスユニットであり、当該プロセスユニットの画像形成領域の外側にある非画像形成領域を前記一方の側板の前記開口から外側に突出させたことを特徴とする第1態様の画像形成装置である。
<第3態様>
第3態様は、前記被駆動ユニットが、定着ローラと加圧ローラとを有する定着ユニットであることを特徴とする第1態様の画像形成装置である。
<第4態様>
第4態様は、前記被駆動ユニットが、感光体上に残存したトナーを除去して回収するクリーニングユニットであることを特徴とする第1態様の画像形成装置である。
<第5態様>
第5態様は、前記駆動ユニットが、位置決め部材を介して前記一方の側板に対して位置決め固定されていることを特徴とする第1態様から第4態様のいずれか1の態様の画像形成装置である。
<第6態様>
第6態様は、前記位置決め部材が位置決め板と複数本の支軸とを有し、当該複数本の支軸の一端部が前記一方の側板にカシメ固定されていることを特徴とする第5態様の画像形成装置である。
<第7態様>
第7態様は、前記位置決め板が、いずれか1本の前記支軸の他端部に連結される主基準としての第1位置決め孔と、前記いずれか1本と異なる他の支軸の他端部に連結される従基準としての第2位置決め孔を有し、当該第2位置決め孔が前記第1位置決め孔に向かって延びる長孔として形成されていることを特徴とする第6態様の画像形成装置である。
<第8態様>
第8態様は、前記位置決め板が矩形状をなし、前記第1位置決め孔と前記第2位置決め孔が前記矩形状の位置決め板の対角線方向に形成されていることを特徴とする第6態様又は第7態様の画像形成装置である。
<第9態様>
第9態様は、前記位置決め板が、前記駆動ユニットを位置決めするための主基準としての第3位置決め孔と、前記駆動ユニットを位置決めするための従基準としての第4位置決め孔を有し、当該第4位置決め孔が前記第3位置決め孔に向かって延びる長孔として形成されていることを特徴とする第8態様の画像形成装置である。
<第10態様>
第10態様は、前記駆動ユニットが、前記感光体に連結される第1駆動軸と、当該第1駆動軸と同心状に形成され前記第3位置決め孔に嵌合する第1凸部と、前記第4位置決め孔に嵌合する第2凸部を有することを特徴とする第9態様の画像形成装置である。
<第11態様>
第11態様は、前記駆動ユニットの下方に給紙ローラ駆動ユニットを配設したことを特徴とする第1態様から第10態様のいずれか1の態様の画像形成装置である。
<第12態様>
第12態様は、前記駆動ユニットの上方にファンダクトユニットを配設したことを特徴とする第1態様から第11態様のいずれか1の態様の画像形成装置である。
<第13態様>
第13態様は、前記駆動ユニットとは反対側の前記位置決め板の内面に、前記プロセスユニットからの廃トナーを排出するパイプ部材を配設したことを特徴とする第6態様から第12態様のいずれか1の態様の画像形成装置である。
【符号の説明】
【0071】
1:画像形成装置 2:プロセスユニット(被駆動ユニット)
2a:被嵌合部 2c:円筒部
2d:凸形状 2e:感光体駆動ギヤ
2f:現像ローラ駆動ギヤ 3:感光体
4:書込みユニット 5:トナーボトル
6:転写ユニット 7:転写ローラ
7a、7b:デッドスペース 8:定着ユニット
8a、8b:部品配置スペース 8a’、8b’:部品配置スペース
9:給紙ユニット 10:排紙ユニット
11、12:側板 11a、12a:開口
11b、12b:支持孔 11c、12c:支持孔
12’:後側板 12A:折曲部
13:レール部材 14:ブラケット(位置決め部材)
14a、14b:支軸嵌合孔 14c~14f:孔部
14g~14k:脚部 14m:ネジ孔
14n:ネジ 15、15’:駆動ユニット
15a:円形凸部 15b:小円柱部
15c:円形凸部 15c:凸形状
15d:長円凸部 15e:感光体駆動ギヤ
15f:現像ローラ駆動ギヤ 15g:給紙ローラ駆動ギヤ
15h:嵌合部 15m:ネジ孔
16:支軸(位置決め部材) 16a:先端円筒部
16b:雌ネジ孔 17:ネジ
18:排紙搬送ローラ 19:給紙搬送ローラ
20:排紙ローラ駆動ユニット 21:給紙ローラ駆動ユニット
21a:給紙ローラ駆動ギヤ 23:ファンダクトユニット
24:廃トナー排出用パイプ部材 25:ボトル部材
26a、26b:駆動ギヤ 27:トナー搬送駆動ユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2005-049592号公報
【特許文献2】特開2015-158635号公報