(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078165
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】成膜装置及び成膜方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20240603BHJP
【FI】
C23C14/24 U
C23C14/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190560
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青沼 大介
(72)【発明者】
【氏名】安川 英宏
(72)【発明者】
【氏名】市原 正浩
(72)【発明者】
【氏名】長岡 健
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA09
4K029CA01
4K029DA03
4K029DA08
4K029DA12
4K029DB14
(57)【要約】
【課題】基板の現在の成膜状態を判断可能な技術を提供する
【解決手段】成膜装置は、基板に蒸着物質を放出する第一の蒸着手段と、前記基板に対する蒸着物質の放出中に、前記第一の蒸着手段を軸に対する円軌道に沿って移動させる移動手段と、前記基板に対する蒸着物質の放出状態を監視する第一の監視手段と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に蒸着物質を放出する第一の蒸着手段と、
前記基板に対する蒸着物質の放出中に、前記第一の蒸着手段を軸に対する円軌道に沿って移動させる移動手段と、
前記基板に対する蒸着物質の放出状態を監視する第一の監視手段と、を備える、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成膜装置であって、
前記第一の監視手段は、
前記第一の蒸着手段の移動に同期して、前記円軌道の前記軸周りに移動可能である、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
請求項1に記載の成膜装置であって、
前記第一の監視手段は、その位置が固定されている、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項4】
請求項1に記載の成膜装置であって、
前記基板に蒸着物質を放出する第二の蒸着手段と、
前記基板に対する蒸着物質の放出状態を監視する第二の監視手段と、を備え、
前記第一の監視手段は、前記第一の蒸着手段から前記基板に放出される蒸着物質の放出状態を監視し、
前記第二の監視手段は、前記第二の蒸着手段から前記基板に放出される蒸着物質の放出状態を監視し、
前記移動手段は、前記第一の蒸着手段、前記第二の蒸着手段、前記第一の監視手段及び前記第二の監視手段を搭載して回転する回転台を含む、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
請求項4に記載の成膜装置であって、
前記第一の蒸着手段は、第一の蒸着物質を放出し、
前記第二の蒸着手段は、前記第一の蒸着物質と異なる第二の蒸着物質を放出する、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
請求項4に記載の成膜装置であって、
前記第一の蒸着手段は、蒸着物質として、前記基板の発光層を形成するホスト材料を放出し、
前記第二の蒸着手段は、蒸着物質として、前記発光層を形成するドーパント材料を放出する、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項7】
請求項4に記載の成膜装置であって、
前記回転台には、前記第一の蒸着手段と前記第二の蒸着手段との間の仕切り部材が設けられている、
ことを特徴とする成膜装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の成膜装置を用いて基板に成膜する成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置及び成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対して蒸着物質を蒸着し、成膜する技術が知られている。特許文献1には、蒸着源を移動しながら基板に蒸着物質を放出し、成膜する技術が開示されている。蒸着源を移動しながら成膜することにより、蒸着源の構造や個体差に起因したムラを低減でき、基板上の膜厚分布の均一性を向上できる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、基板の現在の成膜状態を判断するための情報が無く、成膜品質の管理や、現在の成膜状態を反映した制御の点で、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、基板の現在の成膜状態を判断可能な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
基板に蒸着物質を放出する第一の蒸着手段と、
前記基板に対する蒸着物質の放出中に、前記第一の蒸着手段を軸に対する円軌道に沿って移動させる移動手段と、
前記基板に対する蒸着物質の放出状態を監視する第一の監視手段と、を備える、
ことを特徴とする成膜装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板の現在の成膜状態を判断可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の一実施形態に係る成膜装置の概略図。
【
図3】(A)は蒸着ユニット周辺の機構を示す斜視図、(B)は監視ユニットの斜視図。
【
図4】(A)及び(B)は
図2の成膜装置の動作説明図。
【
図5】(A)及び(B)は
図2の成膜装置の動作説明図。
【
図6】(A)及び(B)は
図2の成膜装置の動作説明図。
【
図7】(A)及び(B)は
図2の成膜装置の動作説明図。
【
図8】(A)~(E)は
図2の成膜装置の動作説明図。
【
図10】
図9の成膜装置の蒸着ユニット周辺の機構を示す斜視図。
【
図11】(A)~(E)は
図9の成膜装置の動作説明図。
【
図12】更に別の実施形態に係る成膜装置の概略図。
【
図14】更に別の実施形態に係る成膜装置の概略図。
【
図15】
図14の成膜装置の蒸着ユニット周辺の機構を示す斜視図。
【
図17】更に別の実施形態に係る成膜装置の概略図。
【
図18】
図16の成膜装置の蒸着ユニット周辺の構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
<電子デバイスの製造ライン>
図1は、本発明の成膜装置が適用可能な電子デバイスの製造ライン100の構成の一部を示す模式図である。各図において、矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下方向(重力方向)を示す。
図1の製造ラインは、例えば、有機EL表示装置の発光素子の製造に用いられる。製造ライン100は、平面視で八角形の形状を有する搬送室120を備える。搬送室120には搬送路110から基板101が搬入され、また、成膜済みの基板101は搬送室120から搬送路111へ搬出される。
【0011】
搬送室120の周囲には、基板101に対する成膜処理が行われる複数の成膜装置1が配置されている。各成膜装置1には搬送室130が隣接して配置されている。平面視で八角形の形状を有する搬送室130の周囲には、マスク102が収納される格納室140が配置されている。
【0012】
搬送室120には、基板101を搬送する搬送ユニット121が配置されている。本実施形態の搬送ユニット121は、水平多関節型のロボットであり、そのハンド部に基板101を水平姿勢で搭載して搬送する。搬送ユニット121は、搬送路110から搬入される基板101を成膜装置1へ搬送する搬入動作と、成膜装置1で成膜済みの基板101を成膜室1から搬送路111へ搬送する搬出動作とを行う。
【0013】
各搬送室130には、マスク102を搬送する搬送ユニット131が配置されている。本実施形態の搬送ユニット131は、水平多関節型のロボットであり、そのハンド部にマスク102を水平姿勢で搭載して搬送する。搬送ユニット131は、格納室140から成膜装置1へマスク102を搬送する動作、成膜装置1から格納室140へマスク102を搬送する動作を行う。
【0014】
<成膜装置>
図2は本発明の一実施形態に係る成膜装置1の概略図である。成膜装置1は、基板101に蒸着物質を成膜する装置であり、マスク102を用いて所定のパターンの蒸着物質の薄膜を形成する。成膜装置1で成膜が行われる基板101の材質は、ガラス、樹脂、金属等の材料を適宜選択可能である。特に本実施形態では、基板101は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)が形成されたガラス基板や半導体素子が形成されたシリコンウエハである。
【0015】
蒸着物質としては、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物など)などの物質である。成膜装置1は、例えば表示装置(フラットパネルディスプレイなど)や薄膜太陽電池、有機光電変換素子(有機薄膜撮像素子)等の電子デバイスや、光学部材等を製造する製造装置に適用可能であり、特に、有機ELパネルを製造する製造装置に適用可能である。以下の説明においては成膜装置1が真空蒸着によって基板101に成膜を行う例について説明するが、本発明はこれに限定はされず、スパッタやCVD等の各種成膜方法を適用可能である。
【0016】
成膜装置1は、箱型の真空チャンバ2を有する。真空チャンバ2の内部空間は、真空雰囲気か、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持されている。本実施形態では、真空チャンバ2は不図示の真空ポンプに接続されている。
【0017】
真空チャンバ2の内部空間には、基板101を水平姿勢で支持する基板支持プレート3が設けられている。本実施形態の場合、基板支持プレート3は静電チャックであり、その下面に静電気力により基板101を吸着し、保持する。基板支持プレート3上には冷却プレート4が固定されている。冷却プレート4は例えば水冷機構等を備えており、基板支持プレート3を介して成膜時に基板101を冷却する。
【0018】
基板支持プレート3と冷却プレート4とは、支持部5aを介してZ方向に変位可能に磁石プレート5に吊り下げられている。磁石プレート11は、磁力によってマスク102を引き寄せるプレートである。成膜時に基板101は磁石プレート11とマスク102との間に磁力によって挟まれるので、基板101とマスク102の密着性を向上することができる。
【0019】
成膜装置1は、成膜時にマスク102を支持するマスク支持ユニット6を備える。マスク支持ユニット6は、本実施形態の場合、搬送ユニット121と基板支持プレート3との間の基板101の移載動作も行う。マスク支持ユニット6は、X方向に離間した一対の支持部材6aを備える。各支持部材6aは対応するアクチュエータ6bにより昇降される。本実施形態ではアクチュエータ6bを支持部材6a毎に設けたが、一対の支持部材6aを一つのアクチュエータ6bで昇降してもよい。アクチュエータ6bは例えば電動シリンダや、電動ボールねじ機構である。支持部材6aは、その下端部に爪部Fを備えている。基板101やマスク102は、その周縁部が爪部F上に載置される。
図2の例ではマスク102が爪部F上に載置されている。一対の支持部材6aは同期的に昇降され、基板101やマスク102を昇降する。
【0020】
成膜装置1は、基板101とマスク102とのアライメントを行うアライメントユニット8を備える。アライメント装置8は、駆動機構80と、複数の計測ユニットSRとを備える。駆動機構80は、距離調整ユニット81と、支持軸82と、架台83と、位置調整ユニット84と、を備える。
【0021】
距離調整ユニット81は、支持軸82をZ方向に昇降する機構であり、例えば、電動シリンダや、電動ボールねじ機構を備える。支持軸82の下端部には磁石プレート5が固定されており、支持軸82の昇降によって、磁石プレート5を介して基板支持プレート3が昇降される。基板支持プレート3を昇降することで、基板101とマスク102との距離を調整し、基板支持プレート3に支持された基板101とマスク102とを基板101の厚み方向(Z方向)に接近及び離隔(離間)させる。換言すれば、距離調整ユニット81は、基板101とマスク102とを重ね合わせる方向に接近させたり、その逆方向に離隔させたりする。なお、距離調整ユニット81によって調整する「距離」はいわゆる垂直距離(又は鉛直距離)であり、距離調整ユニット81は、基板101の垂直位置を調整するユニットであるとも言える。距離調整ユニット81は、架台83を介して位置調整ユニット84に搭載されている。
【0022】
位置調整ユニット84は、基板支持プレート3をX-Y平面上で変位することにより、マスク102に対する基板101の相対位置を調整する。すなわち、位置調整ユニット84は、マスク102と基板101の水平位置を調整するユニットであるとも言える。位置調整ユニット84は、基板支持プレート3をX方向、Y方向及びZ方向の軸周りの回転方向(θ方向)に変位することができる。本実施形態では、マスク102の位置を固定し、基板101を変位してこれらの相対位置を調整するが、マスク102を変位させて調整してもよく、或いは、基板101とマスク102の双方を変位させてもよい。
【0023】
位置調整ユニット84は、固定プレート84aと、可動プレート84bとを備える。固定プレート84aと、可動プレート84bは矩形の枠状のプレートであり、固定プレート84aは真空チャンバ2の上壁部20上に固定されている。固定プレート84aと、可動プレート84bとの間には、固定プレート84aに対して可動プレート84bをX方向、Y方向、及び、Z方向の軸周りの回転方向に変位させるアクチュエータが設けられている。
【0024】
可動プレート84b上には、フレーム状の架台83が搭載されており、架台83には距離調整ユニット81が支持されている。可動プレート84bが変位すると、架台83及び距離調整ユニット81が一体的に変位する。これにより基板101をX方向、Y方向、及び、Z方向の軸周りの回転方向に変位させることができる。上壁部20には、支持軸82、支持部材6aが通過する開口部が形成されている。これらの開口部は不図示のシール部材(ベローズ等)によってシールされ、真空チャンバ2内の気密性が維持される。
【0025】
計測ユニットSRは、基板101とマスク102の位置ずれを計測する。本実施形態の計測ユニットSRは画像を撮像する撮像装置(カメラ)である。計測ユニットSRは、上壁部20に配置され、真空チャンバ2内の画像を撮像可能である。基板101とマスク102にはそれぞれアライメントマーク(不図示)が形成されている。計測ユニットSRは、基板101とマスク102の各アライメントマークを撮影する。各アライメントマークの位置により基板101とマスク102との位置ずれ量を演算し、位置調整ユニット84によって位置ずれ量を解消するように基板101とマスク102との相対位置を調整する。
【0026】
真空チャンバ2の内部空間には、蒸着ユニット7が配置されている。蒸着ユニット7は、基板支持プレート3の下方に配置され、蒸着物質を基板支持プレート3に支持された基板101に放出する蒸着源を一つ備えている。蒸着源は蒸着材料の収容部と蒸着材料を加熱するヒータとを含む。
【0027】
図2に加えて
図3(A)を参照する。
図3(A)は蒸着ユニット7周辺の機構を示す斜視図である。蒸着ユニット7は移動ユニット9によって移動される。移動ユニット9は円盤形状の回転台90を備え、蒸着ユニット7は回転台90上に配置されている。回転台90は、環状の軸受け92上に回転中心Z1回りに回転自在に支持されている。回転中心Z1はZ方向の軸(又は軸線)である。回転台90は駆動機構DUによって回転される。駆動機構DUは駆動源であるモータ93とモータ93の駆動力を回転台90に伝達する伝達機構である歯車94とを含む。回転台90の側周面には歯車94と噛み合う歯91が形成されており、モータ93の回転によって回転台90が回転する。蒸着ユニット7は回転中心Z1から径方向に離間した位置に配置されており、回転台90の回転によって回転中心Z1に対する円軌道RTに沿って移動する。
【0028】
図2を参照して、真空チャンバ2の内部空間には防着板2aが設けられており、真空チャンバ2の内部空間の上部に蒸着物質が不必要に付着することを防止する。
【0029】
また、真空チャンバ2の内部空間には監視ユニット10が設けられている。監視ユニット10は、基板101に対する蒸着物質の放出状態を監視する。本実施形態の場合、監視ユニット10は防着板2aの下方に配置されており、その位置は固定されている。
図2に加えて
図3(B)を参照する。
図3(B)は監視ユニット10の斜視図である。
【0030】
監視ユニット10は、ケース10aの内部にセンサとして水晶振動子10cを備えている。水晶振動子10cには、ケース10aに形成された導入部10bを介して蒸着ユニット7から放出された蒸着物質が導入されて付着する。水晶振動子10cの振動数は蒸着物質の付着量により変動する。水晶振動子10cの振動数を監視することで、基板101に蒸着した蒸着物質の膜厚等を監視することができる。なお、本実施形態では、監視ユニット10として、水晶振動子10cを用いた監視形式を例示したが、他の監視形式を採用してもよい。
【0031】
制御ユニット11は、成膜装置1の全体を制御する。制御ユニット11は、処理部12a、記憶部11b、入出力インタフェース(I/O)11c及び通信部11dを備える。処理部11aは、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部11bに記憶されたプログラムを実行して成膜装置1を制御する。記憶部11bは、ROM、RAM、HDD等の記憶デバイスであり、処理部11aが実行するプログラムの他、各種の制御情報を記憶する。I/O11cは、処理部11aと外部デバイスとの間の信号を送受信するインタフェースである。通信部11dは通信回線を介して上位装置又は他の制御ユニット等と通信を行う通信デバイスである。
【0032】
<制御例>
制御ユニット11の処理部11aが実行する成膜装置1の制御例について説明する。
図4(A)~
図8(E)は成膜装置1の動作説明図であり、成膜装置1を用いた成膜方法の例を示す。
【0033】
図4(A)は基板101を真空チャンバ2内に搬入した状態を示す。基板101は搬送ロボット121により基板支持プレート3の下方に搬送される。次にマスク支持ユニット6によって搬送ロボット121から基板支持プレート3へ基板101を移載する。
図4(B)はその動作を示している。支持部材6aを上昇することにより、基板101の周縁が爪部Fに載置され、基板101は搬送ロボット121から上昇し、かつ、基板支持プレート3の基板吸着面(下面)に押し付けられる。基板支持プレート3の静電チャックを作動して基板101を吸着し、保持する。
【0034】
続いてマスク102を真空チャンバ2内に搬入する。
図5(A)はマスク102を真空チャンバ2内に搬入した状態を示す。マスク102は搬送ロボット131によって格納室140から真空チャンバ2内に搬入される。マスク102は基板101の真下に位置する。次にマスク102を搬送ロボット131からマスク支持ユニット6に移載し、アライメント位置に位置させる。
図5(B)はその動作を示している。支持部材6aを上昇することにより、マスク102の周縁が爪部Fに載置され、マスク102は搬送ロボット131から上昇する。マスク102は支持部材6aに支持された状態となり、かつ、更に上昇することでアライメント位置に位置する。アライメント位置において基板101とマスク102とはZ方向に離間している。なお、本実施形態ではマスク102を上昇してアライメント位置に位置させるが、基板101を降下して基板101をアライメント位置に位置させる構成でもよい。
【0035】
次にアライメント動作を行う。
図6(A)に示すように計測ユニットSRにより、基板101のアライメントマークとマスク102のアライメントマークの相対位置が計測される。計測結果(基板101とマスク102の位置ずれ量)が許容範囲内であればアライメント動作を終了する。計測結果が許容範囲外であれば、計測結果に基づいて位置ずれ量を許容範囲内に収めるための制御量(基板101の変位量)が設定される。
【0036】
「位置ずれ量」とは、位置ずれの距離と方向(X、Y、θ)で定義される。設定された制御量に基づいて、
図6(B)に示すように位置調整ユニット80が作動される。これにより、基板支持プレート3がX-Y平面上で変位され、マスク102に対する基板101の相対位置が調整される。
【0037】
計測結果が許容範囲内であるか否かの判定は、例えば、アライメントマーク間の距離をそれぞれ算出し、その距離の平均値や二乗和を、予め設定された閾値と比較することで行うことができる。
【0038】
相対位置の調整後、再度、計測ユニットSRにより、基板101のアライメントマークとマスク102のアライメントマークの相対位置が計測される。計測結果が許容範囲内であればアライメント動作を終了する。計測結果が許容範囲外であれば、マスク102に対する基板101の相対位置が再度調整される。以降、計測結果が許容範囲内となるまで、計測と相対位置調整が繰り返される。
【0039】
次に、成膜動作を行う。まず、基板101をマスク102と重ね合わせる。
図7(A)はその動作を示している。基板支持プレート3を降下させると、基板101はマスク102上に載置され、基板101は基板101の被処理面の全体がマスク102と接触する。磁石プレート5が冷却プレート4上に当接し、上から順に磁石プレート5、冷却プレート4、基板支持プレート3、基板101及びマスク102が密着した状態になる。磁石プレート5の磁力によりマスク102を引き寄せ、マスク102と基板101とを全体的に密着させることができる。
【0040】
以上により成膜の準備が整い、基板101に対する蒸着物質の蒸着を開始する。具体的には
図7(B)に示すように、蒸着ユニット7による蒸着物質の放出と、移動ユニット9による蒸着ユニット7の移動(回転台90の回転)を開始する。蒸着物質がマスク102を介して基板101に到達して膜が成膜される。
図8(A)~
図8(E)は、基板101に対する蒸着物質の放出中における蒸着ユニット7の円軌道RTでの移動態様を例示している。
【0041】
図8(A)~
図8(E)は回転台90が1回転する様子を段階的に示している。蒸着ユニット7は円軌道RTを一周だけ連続的に移動したことになる。
図8(A)~
図8(E)に示した蒸着ユニット7の移動の間、蒸着物質は継続的に放出され、蒸着物質が基板101に到達し、膜を形成することになる。監視ユニット10のケース10a内に蒸着物質が進入し、水晶振動子10cによって蒸着物質の放出状態を監視する。一回の成膜につき、回転台90の回転は、2回以上でもよく、1回未満であってもよい。
【0042】
以上により、基板101の成膜が完了する。本実施形態では、蒸着ユニット7から蒸着物質を放出しつつ、円軌道RTに沿って蒸着ユニット7を移動することで、基板101に成膜する膜のバラつきを抑制することができる。そして、監視ユニット10によって、基板101に対する蒸着物質の放出状態を監視することで、基板101の現在の成膜状態を判断し、成膜制御の情報として活用することができる。具体的には、例えば、監視結果から推定される膜厚に応じて、蒸着時間、回転台90の回転量或いは回転台90の回転速度を増減することができる。
【0043】
こうした成膜が完了すると、マスク102及び基板101をそれぞれ搬出する動作を行う。搬出動作は概ね搬入動作の逆の手順となる。以上により、以上により基板101及びマスク102の搬入から、基板101の成膜と、基板101及びマスク102の搬出までの動作が完了する。
【0044】
<第二実施形態>
第一実施形態では、1つの蒸着ユニット7を用いて成膜を行ったが、複数の蒸着ユニットを用いて成膜を行ってもよい。
図9は本実施形態の成膜装置1の概略図、
図10は本実施形態のおける蒸着ユニット周辺の機構を示す斜視図である。
【0045】
本実施形態では、回転台90に蒸着ユニット70と蒸着ユニット71とが搭載されている。蒸着ユニット70及び71は、基板支持プレート3の下方に配置され、蒸着物質を基板支持プレート3に支持された基板101に放出する蒸着源をそれぞれ一つ備えている。蒸着源は蒸着材料の収容部と蒸着材料を加熱するヒータとを含む。蒸着ユニット70及び71は回転中心Z1に対して、X-Y平面上で対称となる位置に配置されている。蒸着ユニット70及び71は、互いに異なる種類の蒸着材料を放出してもよい。
【0046】
例えば、蒸着ユニット70はホスト材料を放出し、蒸着ユニット71はドーパント材料を放出する。ホスト材料は発光層の主材料であり、ドーパント材料は発光波長を決める発光材料である。発光層とは、陽極と陰極との間に設けられた有機化合物層のうち発光機能を有する層をいう。ホスト材料は、発光層に含まれる材料のうち濃度が最も高い材料であり、ドーパント材料とは、発光層に含まれる材料のうち、濃度がホスト材料よりも低い材料である。
【0047】
図11(A)~
図11(E)は、本実施形態において、基板101に対する蒸着物質の放出中における蒸着ユニット70及び71の円軌道RTでの移動態様を例示しており、回転台90が1回転する様子を段階的に示している。蒸着ユニット70及び71は円軌道RTを一周だけ連続的に移動したことになる。
図11(A)~
図11(E)に示した蒸着ユニット70及び71の移動の間、蒸着物質は継続的に放出され、蒸着物質が基板101に到達し、膜を形成することになる。監視ユニット10のケース10a内に蒸着物質が進入し、水晶振動子10cによって蒸着物質の放出状態を監視する。一回の成膜につき、回転台90の回転は、2回以上でもよく、1回未満であってもよい。
【0048】
本実施形態では、蒸着ユニット70及び71から蒸着物質を放出しつつ、円軌道RTに沿って蒸着ユニット70及び71を移動することで、基板101に成膜する膜のバラつきを抑制しつつ、異なる蒸着物質の混合層を基板101に成膜することができる。また、監視ユニット10によって、基板101に対する蒸着物質の放出状態を監視することで、基板101の現在の成膜状態を判断し、成膜制御の情報として活用することができる。具体的には、例えば、監視結果から推定される膜厚に応じて、蒸着時間、回転台90の回転量或いは回転台90の回転速度を増減することができる。
【0049】
<第三実施形態>
第一及び第二実施形態では、監視ユニット10の位置を固定の位置としたが、蒸着ユニットの移動に同期して回転中心Z1周りに移動してもよい。
図12は本実施形態の成膜装置1の概略図である。回転台90は複数のアーム部90aを有する。本実施形態では、2つの蒸着ユニット70、71に対応して2つのアーム部90aが設けられている。各アーム部90aは回転台90から径方向外側に延び、更に上方に延びている。蒸着ユニット70に対応するアーム部90aの端部に、監視ユニット10Aが設けられ、蒸着ユニット71に対応するアーム部90aの端部に、監視ユニット10Bが設けられている。言い換えると、監視ユニット10Aは蒸着ユニット70に対応しており、蒸着ユニット70から放出される蒸着物質の放出状態を監視する。また、監視ユニット10Bは蒸着ユニット71に対応しており、蒸着ユニット71から放出される蒸着物質の放出状態を監視する。監視ユニット10A及び10Bは、いずれも、第一実施形態の蒸着ユニット10と同様の構成である。
【0050】
図13(A)~
図13(E)は、本実施形態において、基板101に対する蒸着物質の放出中における蒸着ユニット70及び71の円軌道RTでの移動態様を例示しており、回転台90が1回転する様子を段階的に示している。蒸着ユニット70及び71は円軌道RTを一周だけ連続的に移動したことになる。監視ユニット10A及び10Bも、対応するアーム部90aを介して回転台90に支持されているので、回転中心Z1周りに一周だけ連続的に移動する。
図13(A)~
図13(E)に示した蒸着ユニット70及び71の移動の間、蒸着物質は継続的に放出され、蒸着物質が基板101に到達し、膜を形成することになる。監視ユニット10Aのケース10a内には主に蒸着ユニット70から放出される蒸着物質が進入し、水晶振動子10cによって蒸着物質の放出状態を監視する。また、監視ユニット10Bのケース10a内には主に蒸着ユニット71から放出される蒸着物質が進入し、水晶振動子10cによって蒸着物質の放出状態を監視する。一回の成膜につき、回転台90の回転は、2回以上でもよく、1回未満であってもよい。
【0051】
本実施形態では、蒸着ユニット70及び71から蒸着物質を放出しつつ、円軌道RTに沿って蒸着ユニット70及び71を移動することで、基板101に成膜する膜のバラつきを抑制しつつ、異なる蒸着物質の混合層を基板101に成膜することができる。また、監視ユニット10A及び10Bによって、基板101に対する蒸着物質の放出状態を監視することで、基板101の現在の成膜状態を判断し、成膜制御の情報として活用することができる。特に本実施形態では、監視ユニット10Aによって蒸着ユニット70の放出状態を監視し、監視ユニット10Bによって蒸着ユニット71の放出状態を監視できるので、蒸着ユニット70及び71の放出状態を個別に監視することができる。
【0052】
<第四実施形態>
基板101に到達する蒸着物質を制限するシャッタを設けてもよい。
図14は本実施形態の成膜装置1の概略図である。
図15は本実施形態における蒸着ユニットの周辺の機構を示す斜視図である。本実施形態では、回転台90上に複数の蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cが搭載されている(合計6つ)。監視ユニット10は、第一及び第二実施形態と同様、その位置が固定されている。
【0053】
蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cと、基板支持プレート3に支持された基板101との間の位置には、蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cから放出された蒸着物質が基板101に到達することを制限可能な板状のシャッタ12が配置されている。シャッタ12は円軌道RTの上方を部分的に覆う遮蔽部12aと、覆わない切り欠き部(開口部)12bとを有し、遮蔽部12aは回転中心Z1を中心とした扇形を有している。
【0054】
各蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cは、遮蔽部12aの下方に位置している場合、基板101に対して遮蔽され、放出される蒸着物質は基板101に到達することが遮蔽部12aによって制限される。各蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cは、切り欠き部12bの下方に位置している場合、基板101に対して露出し、放出される蒸着物質は実質的にシャッタ12に制限されずに基板101に到達する。
【0055】
位置変更ユニット13は、シャッタ12の、回転中心Z1周りの位置(位相)を変更可能な機構である。位置変更ユニット13は、回転台90に支持されており、シャッタ12を支持する回転軸13aと、回転軸13aを回転する駆動ユニット13bとを備える。回転軸31aは回転中心Z1と同軸上に延設され、回転台90に形成された穴をZ方向に貫通している。駆動ユニット13bは回転台90の下方において回転台90に固定されたモータであり、回転軸13aを回転中心Z1周りに回転可能である。シャッタ12を回転中心Z1周りに回転してその位置を変更することで、円軌道RT上の、蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cを遮蔽部12aが覆う位置を変更することができる。
【0056】
図16(A)~
図16(F)は、本実施形態において、基板101に対する蒸着物質の放出中における蒸着ユニットの円軌道RTでの移動態様及びシャッタ12による遮蔽態様を例示している。6つの蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cは3組に分けられる。1組目は蒸着ユニット70A及び71A、2組目は蒸着ユニット70B及び71B、3組目は蒸着ユニット70C及び71Cである。
【0057】
各蒸着ユニットが放出する蒸着物質は同じであってもよいし、異なっていてもよいし、一部が同じで一部が異なっていてもよい。一例として、各蒸着ユニット70A~70Cはホスト材料を放出し、各蒸着ユニット71A~71Cはドーパント材料を放出する。より具体的な例を述べれば、例えば、蒸着ユニット70A及び71Aは赤色発光層のホスト材料とドーパント材料を放出し、蒸着ユニット70B及び71Bは緑色発光層のホスト材料とドーパント材料を放出し、蒸着ユニット70C及び71Cは青色発光層のホスト材料とドーパント材料を放出する。一つの成膜装置1でRGBの各発光層を成膜できる。
【0058】
図16(A)は放出開始及び移動開始の時点を示している。シャッタ12の姿勢は、蒸着ユニット70A及び71Aは切り欠き部12bを介して基板101に対して露出し、蒸着ユニット70B、71B、70C及び71Cは遮蔽部12aによって基板101に対して遮蔽される姿勢である。蒸着ユニット70A及び71Aは切り欠き部12bを介して基板101に対して露出しているため、蒸着ユニット70A及び71Aから放出された蒸着物質はマスク102を介して基板101に到達する。一方、蒸着ユニット70B、71B、70C及び71Cは遮蔽部12aによって基板101に対して遮蔽されているため、蒸着ユニット70B、71B、70C及び71Cから放出される蒸着物質は実質的に基板101に到達しない。
【0059】
回転台90を回転するとシャッタ12も同じ速度で回転する。
図16(B)~
図16(E)は、回転台90及びシャッタ12が一回転するまでの各段階を示している。蒸着ユニット70A及び71Aは切り欠き部12bを介して常時基板101に対して露出しており、蒸着ユニット70A及び71Aから放出される各蒸着物質が基板101に到達する。一方、蒸着ユニット70B、71B、70C及び71Cは遮蔽部12aによって基板101に対して常時遮蔽されており、蒸着ユニット70B、71B、70C及び71Cから放出される蒸着物質は実質的に基板101に到達しない。
図16(E)は蒸着ユニット70A及び71A並びシャッタ12が
図16(A)の位置に戻った段階を示している。
【0060】
すなわち、回転台90及びシャッタ12が一回転し、蒸着ユニット70A及び71Aは円軌道RTを一周だけ連続的に移動したことになる。本実施形態の場合、基板101の全領域に蒸着ユニット70A及び71Aから放出される各蒸着物質の膜が成膜される。監視ユニット10のケース10a内には主に蒸着ユニット70A及び71Aから放出される蒸着物質が進入し、水晶振動子10cによって蒸着物質の放出状態を監視する。一回の成膜につき、回転台90の回転は、2回以上でもよく、1回未満であってもよい。
【0061】
次に、位置変更ユニット13によって回転台90に対するシャッタ12の回転方向の相対位置を変更する。
図16(F)はその一例を示しており、
図16(A)~
図16(E)に例示したシャッタ12の位置に対して、時計回りで約120度だけシャッタ12が回転台90に対して相対的に移動している。シャッタ12の姿勢は、蒸着ユニット70B及び71Bは切り欠き部12bを介して基板101に対して露出しており、蒸着ユニット70A、71A、70C及び71Cは遮蔽部12aによって基板101に対して遮蔽された姿勢である。蒸着ユニット70B及び71Bは切り欠き部12bを介して基板101に対して露出しているため、蒸着ユニット70B及び71Bから放出された蒸着物質はマスク102を介して基板101に到達する。一方、蒸着ユニット70A、71A、70C及び71Cは遮蔽部12aによって基板101に対して遮蔽されているため、蒸着ユニット70A、71A、70C及び71Cから放出される蒸着物質は実質的に基板101に到達しない。この後、
図16(A)~
図16(E)の例と同様に、蒸着ユニット70B及び71Bから各蒸着物質を放出しつつ、回転台90とシャッタ12を回転する。これによって、基板101上に、蒸着ユニット70B及び71Bから放出される各蒸着物質の膜が成膜される。監視ユニット10のケース10a内には主に蒸着ユニット70B及び71Bから放出される蒸着物質が進入し、水晶振動子10cによって蒸着物質の放出状態を監視する。
【0062】
その後、位置変更ユニット13によって回転台90に対するシャッタ12の回転方向の相対位置を変更する。シャッタ12の姿勢は、蒸着ユニット70C及び71Cが切り欠き部12bを介して基板101に露出し、蒸着ユニット70A、71A、70B及び71Bは遮蔽部12aによって基板101に対して遮蔽された姿勢とされる。
図16(A)~
図16(E)の例と同様に、蒸着ユニット70C及び71Cから各蒸着物質を放出しつつ、回転台90とシャッタ12を回転する。これによって、基板101上に、蒸着ユニット70C及び71Cから放出される各蒸着物質の膜が成膜される。監視ユニット10のケース10a内には主に蒸着ユニット70B及び71Bから放出される蒸着物質が進入し、水晶振動子10cによって蒸着物質の放出状態を監視する。
【0063】
以上のように、本実施形態では、シャッタ12によって、基板101に蒸着物質を放出する蒸着ユニットを選択することができ、成膜制御性を向上することができる。
【0064】
なお、3組の蒸着ユニット70及び71により、RGBの各発光層を成膜する場合には、蒸着ユニット70及び71の組の選択切替の際に、基板101とマスク102のアライメントマークの位置ズレ量を再度演算し、RGB画素の距離に応じたオフセット位置で再度アライメントを行えばよい。あるいは、RGBの各発光層に対応したマスク102へ交換を行い、基板101とマスク102とのアライメントとを行えばよい。
【0065】
<第五実施形態>
第三実施形態と第四実施形態とを組み合わせ、蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cに、それぞれ、対応する監視ユニットを設けてもよい。
図17は本実施形態の成膜装置1の概略図であり、
図18は蒸着ユニット周辺の構造を示す平面図である。
【0066】
回転台90には、複数のアーム部90aが設けられている。本実施形態では、6つの蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cに対応して6つのアーム部90aが放射状に設けられている。各アーム部90aは回転台90から径方向外側に延び、更に上方に延びている。
【0067】
蒸着ユニット70Aに対応するアーム部90aの端部に、監視ユニット10Aが設けられ、蒸着ユニット71Aに対応するアーム部90aの端部に、監視ユニット10Bが設けられている。蒸着ユニット70Bに対応するアーム部90aの端部に、監視ユニット10Cが設けられ、蒸着ユニット71Bに対応するアーム部90aの端部に、監視ユニット10Dが設けられている。蒸着ユニット70Cに対応するアーム部90aの端部に、監視ユニット10Eが設けられ、蒸着ユニット71Cに対応するアーム部90aの端部に、監視ユニット10Fが設けられている。すなわち、監視ユニット10A~10Fは、蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cに対応している。
【0068】
本実施形態の場合、回転台90には板状の仕切り部材90bが複数設けられている。各仕切り部材90bは、回転中心Z1から放射状に延設されており、隣接する蒸着ユニットの間を水平方向に仕切る垂直壁を形成する。本実施形態では、6つの仕切り部材90bが設けられている。
【0069】
仕切り部材90bのうちの一つ目は蒸着ユニット70Aと蒸着ユニット71Aとの間に、設けられている。二つ目は蒸着ユニット71Aと蒸着ユニット70Bとの間に設けられている。三つ目は蒸着ユニット70Bと蒸着ユニット71Bとの間に設けられている。四つ目は蒸着ユニット71Bと蒸着ユニット70Cとの間に設けられている。五つ目は蒸着ユニット70Cと蒸着ユニット71Cとの間に設けられている。六つ目は蒸着ユニット71Cと蒸着ユニット70Aとの間に設けられている。
【0070】
各仕切り部材90bによって、監視ユニット10A~10Fに、対応しない蒸着ユニットから放出される蒸着物質が進入しづらくすることができる。例えば、蒸着ユニット70Aに対応する監視ユニット10Aに、蒸着ユニット70Aに隣接する蒸着ユニット71Aや蒸着ユニット71Cから放出される蒸着物質が進入することを仕切り部材90bで抑制できる。蒸着ユニット70A~70C及び71A~71Cの各放出状態を、対応する監視ユニット10A~10Fによって、より高精度に監視できる。
【0071】
<第六実施形態>
第一実施形態では、基板101を支持する機構として、静電チャックを有する基板支持プレート3を例示したが、基板101を支持する機構はこれに限られない。例えば、基板101の周縁部を機械的に挟持するクランプ形式であってもよい。或いは、基板101を下から支持し、基板101の支持機能に加えて搬送機能を有するローラであってもよい。
【0072】
また、第一実施形態では、基板101とマスク102とのアライメントの際、基板101を変位してマスク102との相対位置調整を行ったが、マスク102を変位して基板101との相対位置調整を行う構成であってもよい。
【0073】
<他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0074】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0075】
1 成膜装置、7 蒸着ユニット、9 移動ユニット、10 監視ユニット、101 基板、102 マスク、RT 円軌道