(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078279
(43)【公開日】2024-06-10
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/736 20060101AFI20240603BHJP
A61K 36/37 20060101ALI20240603BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240603BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20240603BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240603BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240603BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240603BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20240603BHJP
A23L 33/105 20160101ALN20240603BHJP
【FI】
A61K36/736
A61K36/37
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61P3/04
A61P9/00
A61P1/10
A61P1/16
A61P3/00
A61P31/04
A23L2/00 Q
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190723
(22)【出願日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】東野 貴大
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE02
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4B018MD52
4B018MD61
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(57)【要約】
【課題】本発明は、サラシア属植物の抽出物を含み、水中での分散性が向上した経口組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)サラシア属植物の抽出物及び(B)梅果汁濃縮物を含有する経口組成物は、水中での分散性が向上している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)サラシア属植物の抽出物及び(B)梅果汁濃縮物を含有する経口組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の乾燥重量1重量部当たり、前記(B)成分が乾燥重量で0.3~43重量部含まれる、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記経口組成物の乾燥重量100重量部当たり、前記(A)成分の比率が乾燥重量で1~80重量部である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項4】
前記経口組成物の乾燥重量100重量部当たり、前記(B)成分の比率が乾燥重量で20~99重量部である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項5】
飲用時における前記(A)成分の含有量が、乾燥重量で0.2~30重量%である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項6】
飲用時における前記(B)成分の含有量が、乾燥重量で5~15重量%である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項7】
粉末又は顆粒飲料である、請求項1に記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サラシア属植物の抽出物を含み、水中での分散性が向上した経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サラシア属植物の成分には、α-グルコシダーゼ活性阻害作用及びGLP-1産生増加作用等が知られており、これらの作用に基づく血糖値上昇抑制効果及び食欲抑制効果等を得るために飲食品の形態で摂取されている。
【0003】
サラシア属植物を経口摂取においては、茎、根、樹皮等の部位の抽出物を濃縮して飲食品に配合することで、サラシア属植物の有用成分の効率的な摂取が図られている。一方で、サラシア属植物抽出物を水と混合すると有色の粒状物の沈殿が生じる。このような粒状物の発生を抑制する方法として、サラシア属植物の抽出液をバインダー液として用いて得られた湿式造粒物を水と混合する方法であって、当該湿式造粒物の賦形剤として、デキストリン、二酸化珪素、澱粉、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、糖アルコール、結晶セルロース、ゼラチン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウムを用いる方法(特許文献1)が知られている。
【0004】
他方、梅には人体の健康増進に役立つ成分が豊富に含まれており、様々な形態に加工されて食用に供されてきた。中でも、梅の果汁を煮詰めて濃縮した、いわゆる梅エキスと呼ばれる濃縮物には梅の有効成分が濃縮されており、梅由来成分の血流改善効果、疲労回復効果、ピロリ菌抑制効果、便通改善効果、肝機能強化効果、カルシウムの吸収促進効果等の様々な健康効果があることが知られている。
【0005】
果実の濃縮物を水で希釈すると、果実由来の難溶性成分が不溶物として生じることが知られており、このような不溶化を抑制することを目的として、ウメの濃縮果汁等の果実の濃縮果汁に対して、糖類、糖アルコール及び配糖体系甘味料のうち少なくとも一種を添加する方法(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-57286号公報
【特許文献2】特開2002-17317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法は、サラシア属抽出物を水と混合した際の沈殿物の生成抑制効果に優れているが、サラシア属抽出物の量に対して賦形剤が多くを占める。サラシア属抽出物の不溶物の沈降を抑制し分散性を向上させるために、他の有用成分を用いることができれば、複合的な効果も得られるため望ましいと考えられる。梅エキスは有用成分の1つである
が、水と混合すると、同様に不溶成分が沈降する。
【0008】
そこで、本発明の目的は、サラシア属植物の抽出物を含み、水中での分散性が向上した経口組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を行ったところ、単独では不溶物が沈降するサラシア属植物の抽出物に、同じく単独で不溶物が沈降する梅果汁濃縮物(いわゆる梅エキス)を配合した場合に、予想外にも、分散性が向上し沈降が抑制されることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)サラシア属植物の抽出物及び(B)梅果汁濃縮物を含有する経口組成物。
項2. 前記(A)成分の乾燥重量1重量部当たり、前記(B)成分が乾燥重量で0.3~43重量部含まれる、項1に記載の経口組成物。
項3. 前記経口組成物の乾燥重量100重量部当たり、前記(A)成分の比率が乾燥重量で1~80重量部である、項1又は2に記載の経口組成物。
項4. 前記経口組成物の乾燥重量100重量部当たり、前記(B)成分の比率が乾燥重量で20~99重量部である、項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
項5. 飲用時における前記(A)成分の含有量が、乾燥重量で0.2~30重量%である、項1~4のいずれかに記載の経口組成物。
項6. 飲用時における前記(B)成分の含有量が、乾燥重量で5~15重量%である、項1~5のいずれかに記載の経口組成物。
項7. 粉末又は顆粒飲料である、項1~6のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サラシア属植物の抽出物を含み、水中での分散性が向上した経口組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】水中での分散性が向上した本発明の経口組成物の外観を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の経口組成物は、(A)サラシア属植物の抽出物(以下において、「(A)成分」といも記載する。)及び(B)梅果汁濃縮物(以下において、「(B)成分」といも記載する。)を含有することを特徴とする。以下、本開示の経口組成物について詳述する。なお、本明細書において、2つの数値と「~」とにより示される数値範囲は、当該2つの数値を下限値及び上限値として含むものとする。例えば、2~15重量%との表記は、2重量%以上15重量%以下を意味する。
【0014】
(A)サラシア属植物の抽出物
本開示の経口組成物は、(A)成分としてサラシア属植物の抽出物を含有する。サラシア属植物の抽出物は、水に希釈すると分散せず沈降物を生じるが、本開示の経口組成物は、(B)成分が配合されていることで(A)成分の沈降が抑制され分散性が向上している。また、(B)成分もそれ自体水に希釈すると分散せず沈降物を生じるが、(A)成分は、(B)成分の沈降を抑制し分散性を向上させることもできる。
【0015】
サラシア属植物の種類については、特に制限されないが、例えば、サラシア キネンシス(Salacia chinensis)、サラシア レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア プリノイデス(Salacia prinoides)、サラシア ラティフォリア(Salacia latifolia)、サラシア ブルノニアーナ(Salacia burunoniana)、サラシア グランディフローラ(Salacia grandiflora)、サラシア マクロスペルマ(Salacia macrosperma)等が挙げられる。これらのサラシア属植物の中でも、好ましくはサラシア キネンシスが挙げられる。
【0016】
本開示において用いられる(A)成分の原料となるサラシア属植物の部位については特に制限されないが、例えば、根茎、葉、果実、樹皮等が挙げられ、好ましくは茎、根、樹皮が挙げられ、より好ましくは茎が挙げられる。
【0017】
サラシア属植物の抽出物を得るための抽出処理については、植物抽出物の製造に使用される一般的な抽出手法であればよく、例えば、溶媒抽出処理、超臨界抽出処理、水蒸気蒸留処理等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは溶媒抽出処理が挙げられる。
【0018】
溶媒抽出処理で使用される抽出溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール等の1価低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等の親水性溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは水、1価低級アルコール、及びこれらの混合溶媒、より好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合溶媒、特に好ましくは水が挙げられる。
【0019】
溶媒抽出処理は、サラシア属植物の抽出対象部位(例えば、根茎、葉、果実、樹皮等;好ましくは茎、根、樹皮;より好ましくは茎)であって、抽出効率を高めるために必要に応じて乾燥、裁断、粉砕等の処理が施されたものを、抽出溶媒中に浸漬させて、必要に応じて撹拌することによって行えばよく、例えば、サラシア属植物の抽出対象部位100g当たり抽出溶媒0.3~1.5L程度に浸漬させて、例えば0.5~24時間程度行えばよい。
【0020】
また、溶媒抽出処理は、加熱することによって行えばよく、例えば、60~110℃、好ましくは80~98℃条件下で行うことが好ましい。
【0021】
抽出処理後に固液分離により固形物を除去することにより、サラシア属植物の抽出液が得られる。抽出処理により得られた抽出液は、必要に応じて、濾過処理;ポリスチレンゲル(ポリスチレンジビニルベンゼン共重合体等)、イオン交換樹脂、活性炭等の担体を充填したカラムを用いた各種クロマトグラフィー等の吸着処理に供して精製処理に供してもよい。得られた抽出液は濃縮されることで、(A)成分として用いられる。(A)成分の具体的な形態としては、軟エキス及び乾燥エキスが挙げられ、好ましくは乾燥エキスが挙げられる。
【0022】
本開示の経口組成物に含まれる(A)成分の含有量については特に限定されないが、経口組成物の乾燥重量100重量部当たりの(A)成分の乾燥重量の比率で、例えば1~80重量部又は2~65重量部が挙げられ、分散性向上効果をより一層高める観点から、好ましくは3~55重量部、10~55重量部、20~55重量部、30~55重量部、40~55重量部又は50~55重量部が挙げられる。また、本開示の経口組成物の飲用時における(A)成分の含有量として、例えば0.2~30重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは5~15重量%、さらに好ましくは8~12重量%が挙げられる。
【0023】
(B)梅果汁濃縮物
本開示の経口組成物は、(B)成分として梅果汁濃縮物を含有する。(B)成分は、水中で分散せず沈降する(A)成分の分散性を向上させる。また、(B)成分もそれ自体水に希釈すると分散せず沈降物を生じるが、(A)成分が共に配合されることにより、(B)成分の沈降も抑制し分散性を向上させることができる。
【0024】
本開示で用いられる(B)成分は、一般的に梅エキス又は梅肉エキスと称されるものであり、具体的には、梅の果汁を少なくとも黒色のペースト状(飴状)に煮詰めることによって得られるものである。本発明において、(B)成分の具体的な形態としては、ペースト及び乾燥物(ペーストの水分を除去したもの)が挙げられる。
【0025】
本開示の経口組成物において、(B)成分の含有量については、分散性向上効果の求められる程度に応じて適宜設定すればよいが、(A)成分の乾燥重量1重量部当たりの(B)成分の乾燥重量として、例えば0.3~43重量部が挙げられ、分散性向上効果をより一層高める観点から、好ましくは0.4~35重量部又は0.5~33重量部、より好ましくは0.73~30重量部、0.75~20重量部、0.77~10重量部、0.8~5重量部、0.82~3重量部、又は0.84~1重量部が挙げられる。
【0026】
本開示の経口組成物における(B)成分の具体的な含有量としては、各成分についての上記含有量に応じて定まるが、例えば、経口組成物の乾燥重量100重量部当たりの(B)成分の乾燥重量の比率で、例えば20~99重量部が挙げられ、分散性向上効果をより一層高める観点から、25~97重量部又は30~96.8重量部、より好ましくは42~80重量部、43~70重量部、44~60重量部又は45~50重量部が挙げられる。また、本開示の経口組成物の飲用時における(B)成分の含有量として、例えば5~15重量%、好ましくは7~10重量%が挙げられる。
【0027】
その他の成分
本開示の経口組成物は、上記(A)成分及び(B)成分の他に、必要に応じて他の栄養成分及び/又は薬理成分を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。当該栄養成分及び薬理成分としては、食品及び/又は医薬品において使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン、ミネラル、糖質、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス(上記(A)成分以外)等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する栄養成分及び/又は薬理成分の種類並びに経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0028】
更に、本開示の経口組成物は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて基剤及び/又は添加剤等を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。当該基剤及び添加剤としては、食品及び/又は医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、水性基剤(例えば、水、炭素数2~4の1価アルコール)、油性基剤(例えば、油脂、炭化水素等)、多価アルコール、ゲル化剤、界面活性剤、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する基剤及び/又は添加剤の種類並びに経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0029】
製剤形態・製品分類
本開示の経口組成物の製剤形態については特に限定されず、液状、半固形状(ゲル状、ペースト状)、固体状のいずれであってもよい。本開示の経口組成物が固体状である場合、用時に水に分散させることが容易な粉末又は顆粒であることが好ましい。
【0030】
本開示の経口組成物の製品分類については特に限定されず、飲食品(特別用途食品及び保健機能食品(栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品等)、並びに、一般食品(栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、サプリメント等)を含む)及び内服用医薬品(内服用の医薬部外品を含む)のいずれであってもよい。
【0031】
本開示の経口組成物のより具体的な製品分類としては非濃縮飲料(希釈せずに飲用する形態の飲料。液状の製剤形態で調製される場合。)、濃縮飲料(水で希釈して飲用する形態の飲料。液状又は半固形状の製剤形態で調製される場合。)、及び粉末又は顆粒飲料(水に分散して飲用する形態の飲料。固形状の製剤形態で調製される場合。)が挙げられる。
【0032】
用途
本開示の経口組成物は、(A)成分及び/又は(B)成分の公知の作用効果を利用する用途に用いることができる。本開示の経口組成物の用途の例としては、血糖値上昇抑制及び/又は食欲抑制等の用途、並びに/若しくは、血流改善、疲労回復、ピロリ菌抑制、便通改善、肝機能強化及び/又はカルシウムの吸収促進等の用途が挙げられる。
【0033】
本開示の経口組成物の飲用時の形態は、水中に分散された液体組成物である。本開示の経口組成物が液状の製剤形態で調製されたもの(非濃縮飲料)である場合は、希釈せず飲用することができ、液状又は半固形状の製剤形態で調製されたもの(濃縮飲料)である場合は、水で希釈して飲用することができ、固形状(粉末又は顆粒)の製剤形態で調製されたもの(粉末又は顆粒飲料)である場合は、水に分散して飲用できる。
【実施例0034】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
試験例1
(A)成分と、(B)成分及び/又はクエン酸と、水とを、表1に示す組成となるように混合して液状の経口組成物(全量150g)を調製した。(A)成分として用いたサラシアエキスは、サラシア キネンシス(Salacia chinensis)の茎の熱水抽出物の乾燥粉末である。具体的には、サラシアエキスは、サラシア キネンシスの茎の粉砕物1kgに7Lの水を加え、98℃で2時間抽出した後に、減圧濃縮及び噴霧乾燥することで得た。
(B)成分として用いた梅果汁濃縮物は、梅の果汁を黒色のペースト状になるまで煮詰めた、いわゆる梅エキスと称されるものである。
【0036】
得られた液体について調製から1分後の外観を、以下の基準に従って分類し、分散性を評価した。分散性の評価値が大きい程、分散性に優れていることを示す。結果を表1に示す。また、比較例2~4及び実施例3の外観を
図1に示す。
1:不溶物の完全な沈降(不溶物が全て容器底に堆積)が認められる。
2:不溶物の一部沈降(不溶物の一部が容器底に堆積)が認められる。
3:沈降は認められず、経口組成物の成分は分散ムラがあるが分散している。
4:沈降は認められず、経口組成物の成分は少し分散ムラがあるが分散している。
5:沈降は認められず、経口組成物の成分が均一に分散している。
【0037】
【0038】
表1に示す通り、(A)成分及び(B)成分はいずれも単独で不溶物の沈降が認められた(比較例1~3)が、両者を混合すると、分散性が向上し沈降が解消された(実施例1~7)。実施例1~7で認められた分散性は、調製後24時間経過時においても維持されるほどに優れていた。さらに、経口組成物を粉末状又は顆粒状で製剤し、その後水と混合した場合、並びに、(A)成分及び(B)成分を含む経口組成物をペースト状で製剤し、その後水と混合した場合も、実施例1~7と同様に、(B)を含まない場合に比べて分散性が向上し沈降が解消された。
【0039】
また、(B)成分の主要成分であるクエン酸を(A)成分に配合しても分散性は実質的に向上せず沈降が認められた(比較例4)ため、(A)成分に(B)成分を加えることによる分散性の向上は、(B)成分を構成するクエン酸以外の成分の作用も相まって奏されることが判った。