(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078588
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 9/14 20060101AFI20240604BHJP
B65H 9/06 20060101ALI20240604BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65H9/14
B65H9/06
G03G15/00 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191040
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】富田 賢治
【テーマコード(参考)】
2H072
3F102
【Fターム(参考)】
2H072CA01
2H072CB05
2H072CB07
2H072CB09
2H072JA02
2H072JA08
3F102AA02
3F102AB02
3F102BA02
3F102BB02
3F102DA05
3F102EA03
3F102EC02
3F102EC12
3F102FA05
(57)【要約】
【課題】コシの強いシートに対ししても、良好に斜行補正を行うことができるシート搬送装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート搬送装置はシートを搬送する搬送ローラ対たるレジストローラ対9と、シートの先端が当接する当接部を有する回転部材たるシャッター部材50とを備えている。シートの先端がシャッター部材50の当接部に当接してからレジストローラ対9に到達するまでの間で、当接部がレジストローラ対9よりもシート搬送方向上流に配置された搬送手段たる給紙搬送ローラ対16aによるシート搬送速度よりも遅い移動速度で移動するようにシャッター部材50を一定時間回転駆動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送ローラ対と、
前記シートの先端が当接する当接部を有する回転部材とを備え、
前記回転部材は、前記搬送ローラ対よりもシート搬送方向上流側で前記シートの先端が前記当接部に当接し、前記シートの斜行を補正しながら回転するシート搬送装置において、
前記シートの先端が前記当接部に当接してから前記搬送ローラ対に到達するまでの間で、前記当接部が前記搬送ローラ対よりもシート搬送方向上流に配置された搬送手段によるシート搬送速度よりも遅い移動速度で移動するように前記回転部材を一定時間回転駆動する駆動手段を有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記駆動手段は、前記回転部材とともに回転する欠歯ギヤと、前記欠歯ギヤへ駆動源の駆動力を伝達する入力ギヤと備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート搬送装置において、
前記駆動源は、前記搬送ローラ対を回転駆動する搬送モータであることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシート搬送装置において、
前記入力ギヤは、前記搬送ローラ対の駆動ローラの軸に設けられていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項2に記載のシート搬送装置において、
前記回転部材を押圧する押圧手段を備え、前記欠歯ギヤと前記入力ギヤとの噛み合いが外れた後に、前記押圧手段により前記回転部材を回転させる回転機構を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項2に記載のシート搬送装置において、
第二欠歯ギヤと、
前記第二欠歯ギヤへ駆動源の駆動力を伝達する第二入力ギヤと備え、
前記第二欠歯ギヤは、前記欠歯ギヤと前記入力ギヤとの噛み合いが外れた後に、前記第二入力ギヤに噛み合い、前記当接部の移動速度が前記シートの搬送速度以上となるように前記回転部材を回転駆動させることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載のシート搬送装置において、
前記第二入力ギヤの歯数は前記入力ギヤの歯数に対し同一を含む整数倍であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
請求項2に記載のシート搬送装置において、
前記回転部材と前記欠歯ギヤとが取り付けられた回転軸を有し、
前記回転軸には、Dカット形状部と、前記回転部材が係合する係合ピンが挿入されるピン挿入穴とを有し、
前記ピン挿入穴は、前記回転軸の中心まで形成されており、
前記ピン挿入穴は、前記回転軸の回転方向において、前記Dカット形状部の平面部と同位置に設けられていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項9】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記駆動手段は、駆動源と、前記駆動源の駆動力を前記回転部材に伝達する駆動列と、前記駆動源の回転数を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、一定時間、前記シートの搬送速度よりも遅い移動速度で前記当接部が移動するように、前記駆動源を制御することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
請求項9に記載のシート搬送装置において、
前記制御手段は、一定時間、前記当接部が前記シートの搬送速度よりも遅い移動速度で移動した後、前記当接部が前記シートの搬送速度以上の移動速度で移動するように前記駆動源を制御することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項11】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記回転部材の前記搬送ローラ対に搬送されている前記シートの表面のシート搬送方向下流側に接触する接触面は、シート幅方向中央からシート幅方向端部に向けて前記シートの表面から離間するように傾斜していることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項12】
シートを搬送するシート搬送装置と、
前記シート搬送装置から搬送された前記シートに対して画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記シート搬送装置として、請求項1に記載のシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを搬送する搬送ローラ対と、シートの先端が当接する当接部を有する回転部材とを備え、回転部材は、搬送ローラ対よりもシート搬送方向上流側で前記シートの先端が当接部に当接し、シートの斜行を補正しながら回転するシート搬送装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記シート搬送装置として、シートの先端が当接部に当接することでシートが撓んでシートの斜行補正がなされ、かつ、シートのコシで当接部が押されることで回転部材が回転し、シートの先端が搬送ローラ対に到達するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、厚紙などのコシの強いシートの場合、シートの先端の当接部に対する押圧力が強く、ほとんど撓まずにシート先端が搬送ローラ対へ到達してしまい、シートの斜行補正が不十分となるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、シートを搬送する搬送ローラ対と、前記シートの先端が当接する当接部を有する回転部材とを備え、前記回転部材は、前記搬送ローラ対よりもシート搬送方向上流側でシートの先端が前記当接部に当接し、前記シートの斜行を補正しながら回転するシート搬送装置において、前記シートの先端が前記当接部に当接してから前記搬送ローラ対に到達するまでの間で、前記当接部が前記搬送ローラ対よりもシート搬送方向上流に配置された搬送手段によるシート搬送速度よりも遅い移動速度で移動するように前記回転部材を一定時間回転駆動する駆動手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コシの強いシートに対ししても、良好に斜行補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】レジストローラ対の周囲を軸方向一端側(装置の前側)から見た斜視図。
【
図3】レジストローラ対の周囲を軸方向他端側(装置の後側)から見た斜視図。
【
図5】(a)は、シャッター軸を他端側から見た図であり、(b)は、(a)のB-B断面図。
【
図6】各ピン挿入穴がシャッター軸を貫通する貫通孔の場合について説明する図。
【
図7】シャッター部によるシート斜行補正動作について説明する図。
【
図8】(a)は、シート斜行補正動作におけるシャッター部材の角速度変化を示すグラフであり、(b)は、シート斜行補正動作におけるカムフォロワとの当接位置のロータリーカムの半径変形を示す図。
【
図10】シートのパンチ穴が、接触部を通過するときの様子を示す図。
【
図14】変形例2におけるシャッター部材の回転角度とシャッター部材の回転速度との関係を示すグラフ。
【
図15】変形例3におけるシャッター部材の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置としての電子写真プロセスを実行する複写機(以下、「複写機1」という)に適用した、実施形態について説明する。
図1は、複写機1の概略構成図である。複写機1はプリンタ部6、プリンタ部6の下方に配置された給紙部7、及びプリンタ部6の上方に配置された画像読取部4等を備える。プリンタ部6は、ドラム状の潜像担持体である感光体11と帯電装置、現像装置およびクリーニングユニットなどを一体に備えたプロセスカートリッジとしてのプロセスユニット2、及び転写手段としての転写ローラ10aを備えた転写ユニット10等を備える。
【0009】
帯電装置は、感光体11を均一に帯電するものであり、現像装置は、感光体11上の静電潜像にトナーを付着させて可視像化するものである。クリーニングユニットは、転写後の感光体11に残存するトナー等を除去して感光体11をクリーニングするものである。
【0010】
プロセスユニット2の
図1中の左側には潜像形成手段である光書込装置15を備える。光書込装置15の上方には、プロセスユニット2の現像装置に供給するトナー(フレッシュトナー)を収容するためのトナーボトル3が配置されている。光書込装置15の下方には、プロセスユニット2の回収手段で回収されたトナーを溜める廃トナーボトル12が配置されている。感光体11と転写ローラ10aとが対向する転写ニップの上方には、定着装置20が配置されている。給紙部7は、シートPが積層して収容された給紙トレイ14a、14b、給紙ローラ対8a、8b及び給紙搬送ローラ対16a、16b等を備える。
【0011】
画像形成時、プリンタ部6では、画像読取部4によって読み取られた画像情報(画像データ)や外部装置から入力された画像情報に基づいて、光書込装置15から露光光を帯電装置によって一様帯電された感光体11表面に照射する。これにより、感光体11の表面上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置によりトナー像として可視像化される。
【0012】
一方、給紙部7では、選択されたいずれかの給紙トレイ14(a、b)からピックアップローラによってシートPが一枚ずつ給紙される。そして、給紙ローラ対8(a、b)及び給紙搬送ローラ対16(a、b)によって搬送ローラ対としてレジストローラ対9に向けて搬送される。そして、後述する回転部材たるシャッター部材50(
図2参照)によって斜行補正されて、転写ニップに送られる。
【0013】
転写ニップでは、転写ローラ10aに転写バイアスを印加し、感光体11上のトナー像をシートPに静電力で転写する。トナー像が転写されたシートPは定着装置20に送られる。ここで熱と圧力とによりトナー像をシートPに定着する。トナー像が定着されたシートPは排紙ローラ対13により画像読取部4の下方に位置する排紙トレイ5に排出してスタックする。
【0014】
図2は、レジストローラ対9の周囲を軸方向一端側(装置の前側)から見た斜視図であり、
図3は、レジストローラ対9の周囲を軸方向他端側(装置の後側)から見た斜視図である。
【0015】
給紙搬送ローラ対16aとレジストローラ対9との間には、第一搬送ガイド19aと第二搬送ガイド19bとが設けられている。レジストローラ対9の従動ローラ9b側に配置された第二搬送ガイド19bは、シート搬送方向中央がシート搬送路から離れる側に位置するような湾曲形状となっている。これにより、シャッター部材50による斜行補正時にシートが撓める空間が、給紙搬送ローラ対16aとレジストローラ対9との間に形成される。また、シートが第二搬送ガイド19b側に撓むように給紙搬送ローラ対16aは、シートを、若干、第二搬送ガイド19b側に向けて搬送している。
【0016】
なお、この例では、給紙搬送ローラ対16aを有しているが、例えば給紙ローラ対8aの次にレジストローラ対を配置するような構成であっても構わないし、給紙方式がフリクションパッド方式であり従動ローラを持たない構成であっても構わない。
【0017】
レジストローラ対9は、軸方向に所定の間隔を開けて設けられた3つの駆動ローラ9aと、各駆動ローラ9aに対応して設けられた3つの従動ローラ9bとを備えている。3つの駆動ローラ9aは、駆動軸91aと一体回転するように駆動軸91aに取り付けられている。
【0018】
一方、3つの従動ローラ9bは、回転軸たるシャッター軸91bに対して相対的に回動可能に支持されており、各従動ローラ9bは、押圧機構80により駆動ローラ9a側へ押圧されている。
駆動軸91aとシャッター軸91bは、軸受93を介して装置本体に回転自在に支持されている。
【0019】
駆動軸91aの他端には、駆動源たる搬送モータ61のモータギヤ61aに噛み合う駆動ギヤ62が駆動軸91aと一体回転するように取り付けられている。これにより、各駆動ローラ9aは、搬送モータ61の駆動力に回転駆動する。また、駆動軸91aには、シャッター軸91bの他端に取り付けられた欠歯ギヤ64が噛み合う入力ギヤ63が駆動軸91aと一体回転するように取り付けられている。
【0020】
各従動ローラ9bに対応して設けられた3つの押圧機構80は、押圧ブラケット82と押圧バネ81と、従動ローラ9bの表面に付着した紙紛を除去する紙紛除去部材83とを備えている。
【0021】
押圧ブラケット82は、従動ローラ9bの両端に設けられたブラケット取り付け部91c(
図5も参照できる)に取り付けられている。押圧ブラケット82は、押圧バネ81により駆動ローラ9aに向けて付勢されている。これにより、各従動ローラ9bは、押圧ブラケット82によって、駆動ローラ9aに押圧され、搬送ニップが形成されるとともに、駆動ローラに対して良好に従動回転する。
【0022】
シャッター軸91bには、回転部材たる4つのシャッター部材50がシャッター軸91bと一体回転するようにシャッター軸91bに取り付けられている。シャッター部材50は、従動ローラ9bと軸方向で互い違いに配置されている。
【0023】
シャッター部材50は、
図3に示すように回転方向に3箇所、シートの先端が当接する当接部51と、シートの先端がレジストローラ対9を抜けた後にシートに接触する接触部52とを有している。接触部52の軸方向両側は、軸方向端部に向けて高さが低くなるような傾斜面52aとなっている。
【0024】
シャッター軸91bの一端側には、シートの先端および後端を検出するシート検出装置40が設けられている。シート検出装置40は、透過型の光学センサ42と、シャッター軸91bの一端にシャッター軸91bと一体的に回転するように取り付けられたフィラー部材41とを有している。
【0025】
フィラー部材41は、回転方向の3つの遮光部41aが設けられている。後述するように、シートの先端がレジストローラ対9の搬送ニップに進入すると、フィラー部材41の遮光部41aが、透過型光学センサの受光素子と発光素子との間に進入し、発光素子の光を遮断する。これにより、受光素子が発光素子の光を検出しなくなり、シートの先端が搬送ニップに進入したことが検出される。
【0026】
このシート検出装置40のシートの先端検知結果に基づいて、光書込装置15の書き込みタイミングが制御され、シートが転写ニップに進入するタイミングで感光体11上のトナー像が転写ニップに進入する。なお、シート検出装置40がシートの先端を検出するタイミング(フィラー部材41の遮光部41aが、発光素子の光を遮断するタイミング)は、上記に限られず、シート搬送速度や、レジストローラ対9から転写ニップの距離等に基づいて、適宜設定すればよい。
【0027】
一方、シートの後端がシャッター部材50を抜けると、フィラー部材41の遮光部41aが、透過型光学センサの受光素子と発光素子との間から抜ける。これにより、受光素子が発光素子の光を受光するようになり、シート検出装置40によりシートの後端が検出される。シート検出装置40のシート後端の検知タイミングに基づいて、シートの搬送方向長さを検出することができる。
【0028】
シャッター軸91bの他端側には、シャッター部材50を回転させる回転機構70が配設されている。回転機構は、一体成型により欠歯ギヤ64に設けられたロータリーカム71と、カムフォロワ74と、カムフォロワ74を支持し装置本体に回転自在に支持されたアーム部材72とアーム部材72を付勢する付勢手段たるカムバネ73とを有している。本実施形態では、カムフォロワ74とアーム部材72とカムバネ73とにより押圧手段が構成されている。
【0029】
図4は、
図3のA-A断面図である。
図4に示すように、押圧機構80の押圧バネ81の一端は押圧ブラケット82のバネ受け82aと、装置本体の部材とに圧縮された状態で取り付けられている。紙紛除去部材83は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂シートであり、先端が従動ローラ9bの表面に当接するように、押圧ブラケット82のシート取り付け部82bに両面テープ等により取り付けられている。
【0030】
紙紛除去部材83により従動ローラ9bに付着した紙粉を除去することで、従動ローラ9bからシートに紙粉が移動するのを抑制することができる。従動ローラ9bが接触するシートPの面は、転写ニップでトナー像が転写される面である。紙紛除去部材83により従動ローラ9bに付着した紙粉を除去し、従動ローラ9bからシートに紙粉が移動するのを抑制することで、紙粉によりシートPに転写されるトナー像が乱されるのを抑制することができる。
【0031】
図5(a)は、シャッター軸91bを他端側から見た図であり、
図5(b)は、
図5(a)のB-B断面図である。
図5(a)に示すように欠歯ギヤ64の周方向3箇所に凹形状の溝部64cが形成されている。これら溝部64cの円周方向一端から周方向他端に向けて延び出した延設部64bの先端に歯部64aが形成されている。これにより、先端に歯部64aが形成された延設部64bの内側には、空隙が形成され、延設部64bを法線方向に撓ませることができる。
【0032】
延設部64bを法線方向に撓み可能とすることで、欠歯ギヤ64の歯部64aが、駆動軸91aの入力ギヤ63(
図2、
図3参照)に噛み合うときの衝撃を、延設部64bが撓むことで吸収することができる。これにより、振動や騒音を抑制することができる。
【0033】
図5(b)に示すように、シャッター軸の両端は、Dカット形状となっており、一端(図中右端)のDカット形状部191aにフィラー部材41が取り付けられている。また、他端のDカット形状部191bに欠歯ギヤ64とロータリーカム71とを有する樹脂部材が、取り付けられている。4つのシャッター部材50は、シャッター軸に取り付けられたピン94に組み付けられている。
【0034】
また、シャッター軸91bには、4箇所、ピン94が挿入されるピン挿入穴191dが設けられている。各ピン挿入穴191は、回転方向において、Dカット形状部191a,191bの切り欠き部分(平面部)と同位置に形成され、シャッター軸の軸中心まで設けられている。また、シャッター軸91bには、これら4つのピン挿入穴に連通するピン挿入穴よりも小径の連通孔191eが形成されている。これら連通孔191eは、ピン挿入穴191dを切削加工で形成するときの切り粉や切削油をエアーで吹き飛ばすための孔であり無くてもよい。各シャッター部材50は、ピン挿入穴191に挿入された係合ピンたるピン94を溝部151に嵌め込むことで、シャッター軸91bと一体的に回転するようにシャッター軸91bに組み付けられる。
【0035】
図6(b)に示すように、各ピン挿入穴191dがシャッター軸91bを貫通する貫通孔で、ピン94がピン挿入穴191dを貫通する構成の場合は、ピン94の挿入側と反対側からピンがピン挿入穴191dから抜けてしまうおそれがある。また、ピン94がピン挿入穴191dを貫通する構成の場合、
図6(a)に示すように、シャッター部材50のピン94が係合する溝部151が、回転方向に180°の間隔を開けて2つ設けられる。その結果、
図6(a)とは、180°位相がずれた状態で、間違ってシャッター部材50がシャッター軸91bに組み付けられるおそれがある。
【0036】
これに対し、本実施形態では、各ピン挿入穴191dが、シャッター軸91bの軸中心までしか設けないので、
図6に示す構成と異なり、ピン94の挿入側と反対側からピンがピン挿入穴191dから抜けてしまうことがない。また、シャッター部材50のピン94が係合する溝部151が、回転方向の一箇所となり、組み付け間違いが発生することがない。これにより、ピン挿入穴191dを貫通孔とした場合に比べて、組み立て性を高めることができる。
【0037】
また、各ピン挿入穴191dを回転方向において、Dカット形状部191a,191bの切り欠き部分(平面部)と同位置に形成している。各ピン挿入穴191dにピン94を挿入することで、ピン挿入側に重心が偏る。一方、Dカット形状部191a,191bでは、切り欠き部分と反対側に重心が偏る。各ピン挿入穴191dを回転方向において、Dカット形状部191a,191bの切り欠き部分と同位置に形成することで、Dカット形状部191a,191bの重心の偏りと、ピン94による重心の偏りを互いに逆方向にできる。これにより、ピン94による重心の偏りをDカット形状部191a,191bの重心の偏りにより相殺することができ、シャッター軸91bの重心の偏りを最小限にとどめることができる。これにより、シャッター軸91bを極力スムーズに回転させることができる。
【0038】
図7は、シャッター部材50によるシート斜行補正動作について説明する図である。
図8(a)は、シート斜行補正動作におけるシャッター部材50の角速度変化を示すグラフであり、
図8(b)は、シート斜行補正動作におけるカムフォロワ74との当接位置のロータリーカム71の半径変化を示す図である。
【0039】
図8のaは、シート先端がシャッター部材50の当接部51に当接したとき(
図7(a)に対応)であり、
図8のbは、欠歯ギヤ64が入力ギヤ63に駆動連結したとき(
図7(b)に対応)である。また、
図8のcは、欠歯ギヤ64と入力ギヤ63との駆動連結が解除されたときであり(
図7(c)に対応)、
図8のdは、シートの先端がレジストローラ対9のニップに到達したとき(
図7(d)に対応)である。
図8のeは、シートの先端と当接部51とが離間するとき(
図7(f)に対応)であり、
図8のfは、接触部52が、シートの後端側に接触したとき(
図7(g)に対応)である。また、
図8のgは、次の当接部51が、待機位置に位置したときである。
【0040】
図7に示すように、ロータリーカム71は、3つのカム部71aを有している。アーム部材72の一端(従動ローラ9b側端部)には、カムフォロワ74が取り付けられており、他端には、装置本体に回転自在に支持される支持軸72aが設けられている。アーム部材72は、この支持軸72aを支点にして回動する。また、アーム部材72は、カムバネ73により図中時計回りに回動する方向に付勢されている。
【0041】
図7(a)に示すように、シャッター部材50の3つの当接部51の一つが、搬送されてきたシートの先端が当接するのを待ち受ける待機位置に位置しているとき、カムフォロワ74は、ロータリーカム71のカム部71aの間の谷部に位置している。
【0042】
カムフォロワ74がロータリーカム71の谷部に位置しているときは、ロータリーカム71を図中時計回り方向に回転させる際、図中反時計回り方向に回転させる際のいずれも、カムバネ73の付勢力に抗して回転させる必要がある。その結果、ロータリーカム71のカム部71aの間の谷部に位置しているときは、カムバネ73の付勢力によって、シャッター部材50の3つの当接部51の一つが待機位置に位置する状態が維持される。
【0043】
シート搬送方向上流側の搬送ローラ対(給紙搬送ローラ対16a)により搬送されてきたシートPの先端が待機位置に位置する当接部51に当接すると(
図8のaの時点)、シートのコシによりカムバネ73の付勢力に抗してシャッター部材50が図中反時計回りに回動する(
図8の区間A)。すると、
図7(b)に示すように、欠歯ギヤ64の歯部64aが入力ギヤ63に噛み合い入力ギヤ63と駆動連結する(
図8のbの時点)。これにより、入力ギヤ63から搬送モータ61(
図2参照)の駆動力が伝達され、シャッター部材50が、図中反時計回りに回転駆動する(
図8の区間B)。
【0044】
本実施形態では、欠歯ギヤ64の外径が、入力ギヤ63の外径よりも大径となっている。よって、欠歯ギヤ64が入力ギヤ63と駆動連結している時間、シャッター部材50は欠歯ギヤ64と入力ギヤ63との間の減速比によってレジストローラ対9のよりも低回転数で駆動される。レジストローラ対9は、給紙搬送ローラ対16aと同一の回転数で駆動している。よって、シャッター部材50の当接部51は、シートの搬送速度よりも遅い速度でレジストローラ対9の搬送ニップに向けて移動することになる。その結果、
図7(c)に示すように、シート搬送速度と当接部51の移動速度との速度差によってシートが撓み、シートの斜行が補正される。
【0045】
そして、
図7(c)に示すように、カムフォロワ74がロータリーカム71のカム部71aの頂点を超えて、カムバネ73の付勢力が、シャッター部材50を図中時計回りに回動させる方向から図中反時計回りに回転させる方向に切り替わると、欠歯ギヤ64と入力ギヤ63との駆動連結が解除される(
図8のcの時点)。
【0046】
欠歯ギヤ64と入力ギヤ63との駆動連結が解除されると、シャッター部材50は、カムバネ73による図中反時計回りに回動させる力と、シートの先端が当接部51を押す力とを受ける。このときは、シートの先端が当接部51を押す力の方が強い。そのため、当接部51が略シート搬送速度で移動する(
図8の区間C,D)。
【0047】
シートの先端が当接部51を押していき、当接部51がシートの先端から離れると(
図8のeの時点)、シャッター部材50は、カムバネ73の付勢力で回転する(
図8の区間E)。そして、
図7(g)に示すように、次の当接部51の接触部52がレジストローラ対9に搬送されているシートの後端側に接触すると、シャッター部材50の回転が停止する(
図8のfの時点)。シートの後端が抜けると、再びカムバネ73の付勢力で回転し(
図8の区間F)、次の当接部51が待機位置に位置する(
図8のgの時点)。
【0048】
このように、本実施形態では、シャッター部材50を設け、シャッター部材50によりシートの斜行補正を行う。これにより、レジストローラ対9を一時停止してレジストローラ対9の搬送ニップにシートの先端を突き当てて、斜行補正するものに比べて以下の利点を得ることができる。すなわち、レジストローラ対9で斜行補正する場合は、厚紙などのコシの強いシートの先端を搬送ニップで確実に止めるには、ある程度のニップ幅が必要となる。その結果、レジストローラ対9の各ローラを大径化する必要が生じ、装置の大型化に繋がるおそれがある。これに対し、シャッター部材50で斜行補正する場合は、レジストローラ対9の搬送ニップ幅を狭くできレジストローラ対9の各ローラの大径化を抑制し、装置の大型化を抑制できる。
【0049】
また、シャッター部材50で斜行補正する場合は、シートを一時停止させずに、斜行補正することができ、レジストローラ対9で斜行補正する場合に比べて、紙間を短くすることができ、生産性を高めることができる。また、レジストローラ対9を一時停止させる電磁クラッチ等も不要にできる。
【0050】
従来は、シートの先端が当接部51に当接してからカムフォロワ74がカム部71aの頂点を乗り越えて、カムバネ73の付勢方向が切り替わるまでのシートを撓ませてシート斜行補正を行う期間は、シートのコシによってシャッター部材50を回転させていた。そのため、厚紙などのコシの強いシートの場合は、当接部51を押す力が強く、シャッター部材50でシート先端の移動速度をあまり低下させることができない。その結果、厚紙などのコシの強いシートの場合は、ほとんど撓まず、良好に斜行補正ができないおそれがある。そこで、カムバネ73の付勢力を上げて、シャッター部材50の回転負荷を上げることが考えられる。しかし、薄紙などのコシの弱いシートの場合は、シートのコシで、シャッター部材50を回転させることができず、蛇腹ジャムが発生するおそれがある。
【0051】
これに対し、本実施形態では、カムフォロワ74がカム部71aの頂点を乗り越えて、カムバネ73の付勢方向が切り替わるまで間、当接部51をシート搬送速度よりも遅い移動速度となるようにシャッター部材50を回転駆動させている(
図8のBの区間)。これにより、シャッター部材50を回転駆動させている間は、シートのコシによらず、シート先端の移動速度を一定にできる。これにより、シートのコシによらず、シート先端の移動速度と、給紙搬送ローラ対16aのシート搬送速度との速度差に応じた撓みを形成することができる。これにより、シートのコシによらず、良好シートの斜行補正を行うことができる。
【0052】
また、
図7(g)に示すように、当接部51の接触部52がレジストローラ対9に搬送されているシートの後端側に接触する。このとき、シートの後端側にパンチ穴が形成されたシートの場合、この接触部52がシートのパンチ穴に落ち込む。このとき、
図9に示すように接触部52が平面状の場合、接触部52の軸方向両端がシートのパンチ穴の縁に引っ掛かり、シートに破れが発生したり、ジャムが発生したりするおそれがある。
【0053】
これに対し、本実施形態では、
図3に示したように、シャッター部材50の接触部52は、軸方向端部に向けて高さが低くなる傾斜面52aを有している。これにより、
図10に示すように、接触部52が、シートのパンチ穴Paに落ち込んでも、接触部52の軸方向両端が、パンチ穴Paに入り込むのを抑制することができる。これにより、接触部52の軸方向両端がパンチ穴Paの縁に引っ掛かるのを抑制することができる。また、接触部52の軸方向中央がパンチ穴Paの縁に接触する前に、接触部52の傾斜面52aがシート面に乗り上げ、接触部52軸方向中央のパンチ穴Paへの入り込みが減少する。これにより、接触部52軸方向中央が、パンチ穴Paの縁に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0054】
また、
図11(a)に示すように、接触部52の先端を曲面状にしたり、
図11(b)に示すように、接触部52を軸方向に曲面状にしてもよい。これら構成とすることでも接触部52がシートのパンチ穴Paの縁に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0055】
次に、変形例について、説明する。
[変形例1]
図12は、変形例1を示す概略斜視図である。
この変形例1では、欠歯ギヤ64に搬送モータ61の駆動力を伝達する入力ギヤ65を駆動軸91a以外に設けたものである。この変形例1では、入力ギヤ65は、2段ギヤとなっており、搬送モータ61のモータギヤ61aに噛み合う第一ギヤ部65aと、欠歯ギヤ64と噛み合う第二ギヤ部65bと有している。第一ギヤ部65aは、モータギヤ61aよりも大径で、第二ギヤ部65bは、欠歯ギヤ64よりも小径となっており、2段減速で、欠歯ギヤ64に駆動力が伝達される。
【0056】
レジストローラ対9の駆動軸91aとシャッター軸91bとの軸間距離は狭いため、駆動軸91aに設けた入力ギヤ63とシャッター軸91bに設けた欠歯ギヤ64との間で十分な減速比が得られないおそれがある。その結果、当接部51の移動速度をシートの搬送速度に対して十分に遅くできず、シートの撓みが不十分となり斜行補正が不十分となるおそれがある。
【0057】
これに対し、変形例1では、容易に大きな減速比にすることができる。これにより、当接部51の移動速度をシートの搬送速度に対して十分に遅くでき、良好にシートを撓ませることができ、斜行補正を良好に行うことができる。
【0058】
[変形例2]
図13は、変形例2の概略斜視図である。
この変形例2は、搬送モータ61とは別にシャッター部材50を回転駆動するシャッターモータ67を備え、制御手段たる制御部68によるシャッターモータ67の駆動制御によってシャッター部材50を回転駆動させるようにしたものである。この変形例2では、回転機構70を無くし、入力ギヤ65に噛み合うギヤを、欠歯ギヤ64から、全周に歯が形成されたシャッターギヤ66に変更している。
【0059】
図14は、変形例2におけるシャッター部材50の回転角度とシャッター部材50の回転速度との関係を示すグラフである。
図14におけるa1は、シートの先端が当接部51に当接したときであり、b1は、シャッターモータ67の回転速度を切り替えたときである。
図14のc1は、シートの先端がレジストローラ対9の搬送ニップに到達したときであり、
図14のd1は、当接部51がシート搬送経路から退避したときである。
図14のe1は、接触部52がシートの後端側に接触したときであり、
図14のf1は、次の当接部51が待機位置に位置したときである。
【0060】
制御部68は、シートの先端が当接部51に当接する前から、シャッターモータ67の駆動を開始する。そして、当接部51の移動速度がシートの搬送速度以下となる回転速度でシャッター部材50が回転駆動するように、制御部68は、シャッターモータ67の回転数を制御する。
【0061】
給紙搬送ローラ対16aにより搬送されてきたシートの先端が、シートの搬送速度よりも遅い移動速度で移動している当接部51に突き当たり(
図14のa1の時点)、シートが撓みシートの斜行が補正される(
図14のA1の区間)。
【0062】
制御部68は、駆動開始から規定時間経過したら(
図14のb1の時点)、シャッターモータ67の回転数を上げ、当接部51の移動速度がシート搬送速度以上となるように、シャッター部材50を回転駆動する(
図14のB1,C1区間)。シートの先端がレジストローラ対9の搬送ニップに到達する(
図14のc1の時点)少し前で、シャッターモータ67の回転数を上げることで、シートの先端がレジストローラ対9に到達する前に、当接部51の移動速度を、シート搬送速度以上にすることができる。これは、シート先端がレジストローラ対9に到達した後も当接部51の移動速度がシート搬送速度よりも遅いと、シートの先端が蛇腹状に変形して、ジャムとなるおそれがあるためである。
【0063】
当接部51がシート搬送路から退避し、シートの先端が当接部51に突き当たらない位置に当接部51が移動したら(
図14のd1の時点)、制御部68は、シャッターモータ67の回転数を下げていく。これにより、シャッター部材50の回転速度が減速していく(
図14の区間D1)。例えば、制御部68は、シート検出装置40がシートの先端を検知したら、タイマー計測を開始、タイマーが規定時間に達したら、当接部51がシート搬送路から退避した判断し、シャッターモータ67の回転数を下げていく。
【0064】
そして、接触部52がシート後端側に接触するタイミングでシャッターモータ67を一時停止し(
図14のe1の時点)、シートの後端が抜けたら駆動を再開して、次の当接部51を待機位置に位置させる(
図14の区間E1)。
【0065】
なお、
図14は一例であり、シャッター部材50の回転制御は、これに限られない。例えば、シートの先端が当接部51に当接し、シートを撓ませて斜行補正した後に、シャッターモータ67の駆動を開始し、当接部51の移動速度がシート搬送速度以上となるようにシャッター部材50を回転駆動するようにしてもよい。また、接触部52がシート後端側に接触しないように駆動を制御してもよい。例えば、接触部52がシート後端側に接触する位置に到達する前のタイミングで、シャッターモータ67の駆動を一時停止することで、接触部52がシート後端側に接触しないようにできる。また、当接部51がシート搬送路から退避してから、一定の低速度でシャッター部材50を回転させ、シートの後端が待機位置を抜けたタイミングで当接部51が待機位置に来るように駆動制御することで、接触部52がシート後端側に接触しないようにしてもよい。
【0066】
この変形例2では、欠歯ギヤ64を使用しないことで、欠歯ギヤ64の駆動連結時の振動や騒音が発生しないというメリットがある。
【0067】
[変形例3]
図15は、変形例3におけるシャッター部材50の動作説明図である。
図15に示すようにこの変形例3では、欠歯ギヤ64の駆動連結解除後に、当接部51が待機位置に位置するようにシャッター部材50を回転させる回転機構を、第二入力ギヤ77と第二欠歯ギヤ78とで構成したものである。
【0068】
この変形例3では、シャッター部材50の当接部51は一つであり、欠歯ギヤ64には、当接部51を
図15(a)に示す待機位置に位置させるための引っ張りバネ79の一端が取り付けられるバネ取り付け部64dを有している。引っ張りバネ79の他端は、装置本体に取りつけられている。
【0069】
図15(a)に示すように、当接部51が待機位置に位置しているときが、欠歯ギヤ64のバネ取り付け部64dと装置本体のバネ取り付け部との距離が最も短くなっている。これにより、この待機位置から欠歯ギヤ64を図中時計回り方向に回転させる際、図中反時計回り方向に回転させる際のいずれも、回転させる方向とは逆方向の引っ張りバネ79の付勢力が働く。よって、この引っ張りバネ79の付勢力で当接部51を待機位置に位置させることができる。
【0070】
第二入力ギヤ77は、駆動軸91aに取り付けられており、第二欠歯ギヤ78は、シャッター軸91bに取り付けられている。第二欠歯ギヤ78の直径は、第二入力ギヤ77の直径以上となっており、等速または増速する構成となっている。
【0071】
第二入力ギヤ77の歯数が入力ギヤ63の歯数に対し同一を含む整数倍となるよう設定するのが好ましい。第二入力ギヤ77の歯数を入力ギヤ63の歯数に対し同一を含む整数倍に設定することで、欠歯ギヤ64の駆動連結が外れた時の第二入力ギヤ77の歯の位相が一つに決まる。よって、第二欠歯ギヤ78が駆動連結する際の動きが欠歯ギヤ64と同じになり、結果、シャッター部材50の回転動作が安定する。なお、入力ギヤ63と第二入力ギヤ77のモジュールは異なっていても構わない。
【0072】
実施形態と同様にして、当接部51にシートの先端が当接し、シートのコシによりシャッター部材50が所定角度回転すると、
図15(b)に示すように、欠歯ギヤ64が入力ギヤ63に駆動連結する。そして、実施形態と同様に当接部51をシートの搬送速度よりも遅い移動速度で移動するようにシャッター部材50を回転駆動させてシートを撓ませ、シートの斜行補正を行う。
【0073】
次に、シートの先端がレジストローラ対9に搬送ニップに到達する前に、欠歯ギヤ64の駆動連結が外れ、その後、第二欠歯ギヤ78が第二入力ギヤ77に駆動連結する(
図15(c))。この欠歯ギヤ64の駆動連結が外れ、第二欠歯ギヤ78が駆動連結するまでの間は、慣性力およびシートのコシによりシャッター部材50が図中反時計回りに回動する。
【0074】
上述したように、第二欠歯ギヤ78の直径が、第二入力ギヤ77の直径以上である。よって、第二欠歯ギヤ78が第二入力ギヤ77に駆動連結すると、当接部51がシート搬送速度(レジストローラ対のシート搬送速度)以上の移動速度で移動するようにシャッター部材50が回転駆動する(
図15(d))。
【0075】
そして、
図15(e)に示すように、接触部52が、シートの後側に当接する少し前のタイミングで、第二欠歯ギヤ78の駆動連結が外れる。第二欠歯ギヤ78の駆動連結が外れた後は、引っ張りバネ79の付勢力によってシャッター部材50が回転し、接触部52がシートの後端側に当接する。そして、シートの後端が接触部52から抜けると、
図15(f)に示すように引っ張りバネ79の付勢力でシャッター部材50が回動し、当接部51が再び待機位置で待機する。
【0076】
図2、
図3等にした実施形態の構成では、アーム部材72の回動範囲を確保するためのスペースを確保する必要があるが、この変形例3では、そのようなスペースを確保する必要がなくなり、装置の小型化を図ることができるという利点がある。一方、実施形態の構成では、第二欠歯ギヤ78を使用しないことで、第二欠歯ギヤ78の駆動連結時の振動や騒音が発生しないというメリットがある。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0078】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
シートを搬送するレジストローラ対9などの搬送ローラ対と、シートの先端が当接する当接部51を有するシャッター部材50などの回転部材とを備え、回転部材は、搬送ローラ対よりもシート搬送方向上流側でシートの先端が当接部51に当接し、シートの斜行を補正しながら回転するシート搬送装置において、シートの先端が当接部51に当接してから搬送ローラ対に到達するまでの間で、当接部が搬送ローラ対よりもシート搬送方向上流に配置された給紙搬送ローラ対16aなどの搬送手段によるシート搬送速度よりも遅い移動速度で移動するように回転部材を一定時間回転駆動する駆動手段(例えば、入力ギヤ63と欠歯ギヤ64とで構成)を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、シートの先端が当接部に当接してからシートの先端が搬送ローラ対に到達するまでの間の所定期間、駆動手段によって当接部がシート搬送速度よりも遅い速度で移動することで、シートのコシに関わらず、シートを一定量撓まわせることができる。これにより、コシの強いシートに対しても、良好に斜行補正を行うことができる。
【0079】
(態様2)
態様1において、駆動手段は、シャッター部材50たる回転部材とともに回転する欠歯ギヤ64と、欠歯ギヤ64へ搬送モータ61などの駆動源の駆動力を伝達する入力ギヤ63と備える。
これによれば、実施形態で説明したように、当接部51がシートにより押されて回転部材が規定角度回転すると、入力ギヤ63に噛み合い、当接部51がシートの搬送速度よりも遅い移動速度で移動する回転部材を回転駆動させることができる。そして、上記一定時間経過したら、欠歯ギヤ64と入力ギヤ63の駆動連結が外れ、当接部51をシートの搬送速度と同速度で移動させることができる。
【0080】
(態様3)
態様2において、駆動源は、レジストローラ対9などの搬送ローラ対を回転駆動する搬送モータ61である。
これによれば、実施形態で説明したように、一つのモータでシャッター部材50たる回転部材と、レジストローラ対9たる搬送ローラ対とを駆動することができ、装置の低コスト化、軽量化および省エネ化を図ることができる。
【0081】
(態様4)
態様3において、入力ギヤ63は、レジストローラ対9などの搬送ローラ対の駆動軸91aなどの駆動ローラ9aの軸に設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、搬送モータ61でシャッター部材50たる回転部材と、レジストローラ対9たる搬送ローラ対とを駆動することができる。
【0082】
(態様5)
態様2乃至4いずれかにおいて、シャッター部材50などの回転部材を押圧する押圧手段(アーム部材72、カムフォロワ74およびカムバネ73で構成)を備え、欠歯ギヤ64と入力ギヤ63との噛み合いが外れた後に、押圧手段により回転部材を回転させる回転機構70を備える。
これによれば、実施形態で説明したように、欠歯ギヤ64の駆動連結が外れた後は、回転機構の押圧力で回転部材を回転させて、当接部51を、シートの先端が当接するのを持ち受ける待機位置に位置させることができる。
【0083】
(態様6)
態様2乃至4いずれにおいて、第二欠歯ギヤ78と、第二欠歯ギヤ78へ搬送モータ61などの駆動源の駆動力を伝達する第二入力ギヤ77と備え、第二欠歯ギヤ78は、欠歯ギヤ64と入力ギヤ63との噛み合いが外れた後に、第二入力ギヤ77に噛み合い、当接部51の移動速度がシートの搬送速度以上となるようにシャッター部材50たる回転部材を回転駆動させる。
これによれば、
図15を用いて説明したように、欠歯ギヤ64の駆動連結が外れた後に、第二欠歯ギヤ78によりシャッター部材50などの回転部材を回転駆動させて、当接部51を、シートの先端が当接するのを持ち受ける待機位置に位置させることができる。
【0084】
(態様7)
態様6において、第二入力ギヤ77の歯数は入力ギヤ63の歯数に対し同一を含む整数倍である。
これによれば、実施形態で説明したように、第二欠歯ギヤ78が駆動連結する際の動きを欠歯ギヤ64と同じにでき、シャッター部材50たる回転部材の回転動作を安定させることができる。
【0085】
(態様8)
態様2乃至7いずれかにおいて、シャッター部材50などの回転部材と欠歯ギヤ64とが取り付けられたシャッター軸91bなどの回転軸を有し、回転軸には、Dカット形状部191a,191bと、回転部材が係合するピン94などの係合ピンが挿入されるピン挿入穴191dとを有し、ピン挿入穴191dは、回転軸の中心まで形成されており、ピン挿入穴191dは、回転軸の回転方向において、Dカット形状部の平面部と、同位置に設けられている。
これによれば、実施形態で説明したように、ピン94などの係合ピンによる重心の偏りをDカット形状部191a,191bの重心の偏りにより相殺することができ、シャッター軸91bなどの回転軸の重心の偏りを最小限にとどめることができる。これにより、回転軸を極力スムーズに回転させることができる。
【0086】
(態様9)
態様1において、駆動手段は、シャッターモータ67などの駆動源と、駆動源の駆動力をシャッター部材50などの回転部材に伝達する駆動列(入力ギヤ65およびシャッターギヤ66で構成)と、駆動源の回転数を制御する制御部68などの制御手段とを備え、制御手段は、一定時間、シートの搬送速度よりも遅い移動速度で当接部51が移動するように駆動源を制御する。
これによれば、変形例2で説明したように、欠歯ギヤを用いて、一定時間、シートの搬送速度よりも遅い移動速度で当接部51が移動させる場合に比べて、振動や騒音を抑制することができる。
【0087】
(態様10)
態様9において、制御部68などの制御手段は、一定時間、当接部51がシートの搬送速度よりも遅い移動速度で移動した後、当接部51がシートの搬送速度以上の移動速度で移動するようにシャッターモータ67などの駆動源を制御する。
これによれば、変形例2で説明したように、シートの先端が蛇腹状に変形するのを抑制することができる。
【0088】
(態様11)
態様1乃至10いずれかにおいて、シャッター部材50などの回転部材のレジストローラ対9などの搬送ローラ対に搬送されているシートの表面のシート搬送方向下流側に接触する接触面は、シート幅方向中央からシート幅方向端部に向けてシートの表面から離間するように傾斜している。
これによれば、
図10を用いて説明したように、接触部52の先端がシートの搬送方向下流側に形成されたパンチ穴に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0089】
(態様12)
シートを搬送するシート搬送装置と、シート搬送装置から搬送されたシートに対して画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置であって、シート搬送装置として、態様1乃至11いずれかのシート搬送装置を用いた。
これによれば、シートに対して傾いて画像形成されるのを抑制し、かつ、生産性の高い画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 :複写機
9 :レジストローラ対
9a :駆動ローラ
9b :従動ローラ
16a :給紙搬送ローラ対
19a :第一搬送ガイド
19b :第二搬送ガイド
40 :シート検出装置
41 :フィラー部材
41a :遮光部
42 :光学センサ
50 :シャッター部材
51 :当接部
52 :接触部
52a :傾斜面
61 :搬送モータ
61a :モータギヤ
62 :駆動ギヤ
63 :入力ギヤ
64 :欠歯ギヤ
64a :歯部
64b :延設部
64c :溝部
64d :バネ取り付け部
65 :入力ギヤ
65a :第一ギヤ部
65b :第二ギヤ部
66 :シャッターギヤ
67 :シャッターモータ
68 :制御部
70 :回転機構
71 :ロータリーカム
71a :カム部
72 :アーム部材
72a :支持軸
73 :カムバネ
74 :カムフォロワ
77 :第二入力ギヤ
78 :第二欠歯ギヤ
79 :引っ張りバネ
80 :押圧機構
81 :押圧バネ
82 :押圧ブラケット
82a :バネ受け
82b :シート取り付け部
83 :紙紛除去部材
91a :駆動軸
91b :シャッター軸
91c :ブラケット取り付け部
93 :軸受
94 :ピン
151 :溝部
191a :Dカット形状部
191b :Dカット形状部
191d :ピン挿入穴
191e :連通孔
P :シート
Pa :パンチ穴
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
図2は、
シート搬送装置100のレジストローラ対9の周囲を軸方向一端側(装置の前側)から見た斜視図であり、
図3は、
シート搬送装置100のレジストローラ対9の周囲を軸方向他端側(装置の後側)から見た斜視図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
回転部材たる4つのシャッター部材50がシャッター軸91bと一体回転するようにシャッター軸91bに取り付けられている。シャッター部材50は、従動ローラ9bと軸方向で互い違いに配置されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
図4は、
図3の
シート搬送装置100のA-A断面図である。A-A断面図である。
図4に示すように、押圧機構80の押圧バネ81の一端は押圧ブラケット82のバネ受け82aと、装置本体の部材とに圧縮された状態で取り付けられている。紙紛除去部材83は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂シートであり、先端が従動ローラ9bの表面に当接するように、押圧ブラケット82のシート取り付け部82bに両面テープ等により取り付けられている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
また、
図7(g)に示すように、
シャッター部材50の接触部52がレジストローラ対9に搬送されているシートの後端側に接触する。このとき、シートの後端側にパンチ穴が形成されたシートの場合、この接触部52がシートのパンチ穴に落ち込む。このとき、
図9に示すように接触部52が平面状の場合、接触部52の軸方向両端がシートのパンチ穴の縁に引っ掛かり、シートに破れが発生したり、ジャムが発生したりするおそれがある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
次に、変形例について、説明する。
[変形例1]
図12は、
上述した実施形態の変形例1に係るシート搬送装置100Aの概略斜視図である。変形例1に係るシート搬送装置100Aでは、欠歯ギヤ64に搬送モータ61の駆動力を伝達する入力ギヤ65を駆動軸91a以外に設けたものである。この変形例1では、入力ギヤ65は、2段ギヤとなっており、搬送モータ61のモータギヤ61aに噛み合う第一ギヤ部65aと、欠歯ギヤ64と噛み合う第二ギヤ部65bと有している。第一ギヤ部65aは、モータギヤ61aよりも大径で、第二ギヤ部65bは、欠歯ギヤ64よりも小径となっており、2段減速で、欠歯ギヤ64に駆動力が伝達される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
[変形例2]
図13は、
上述した実施形態の変形例2に係るシート搬送装置100Bの概略斜視図である。
変形例2に係るシート搬送装置100Bは、搬送モータ61とは別にシャッター部材50を回転駆動するシャッターモータ67を備え、制御手段たる制御部68によるシャッターモータ67の駆動制御によってシャッター部材50を回転駆動させるようにしたものである。この変形例2では、回転機構70を無くし、入力ギヤ65に噛み合うギヤを、欠歯ギヤ64から、全周に歯が形成されたシャッターギヤ66に変更している。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】