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特開2024-78657樹脂組成物、硬化物及び硬化物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078657
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】樹脂組成物、硬化物及び硬化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 47/00 20060101AFI20240604BHJP
   C08F 279/00 20060101ALI20240604BHJP
   C09D 145/00 20060101ALI20240604BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20240604BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240604BHJP
【FI】
C08L47/00
C08F279/00
C09D145/00
C09D4/00
C09D7/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191132
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】チョウ エンセイ
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 武広
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
4J038
【Fターム(参考)】
4J002BK00X
4J002BL02W
4J002BN13W
4J002FD310
4J002HA05
4J026AA64
4J026AA72
4J026AC22
4J026BA25
4J026BA27
4J026BA28
4J026BA29
4J026BA30
4J026BA32
4J026DB06
4J026DB09
4J026DB12
4J026DB13
4J026DB32
4J026DB36
4J026FA05
4J026FA09
4J026GA06
4J026GA07
4J038CM001
4J038FA011
4J038JA66
4J038KA04
4J038KA06
4J038MA14
4J038NA04
(57)【要約】
【課題】耐薬品性に優れる硬化物を与え、成膜性に優れる樹脂組成物と、当該樹脂組成物の硬化物と、当該硬化物の製造方法とを提供すること。
【解決手段】環状オレフィンポリマーと、有機溶媒とを含む樹脂組成物において、環状オレフィンポリマーとしての重合性基を有する構成単位(A1)、及びエーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を含む有機基を有する構成単位(A2)を含む樹脂(A)と、有機溶媒としての極性溶媒(S1)とを用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(a1)で表される化合物に由来する構成単位(A1)及び下記式(a2)で表される化合物に由来する構成単位(A2)を含む樹脂(A)と、
溶媒(S)と、を含み、
前記溶媒(S)が極性溶媒(S1)を含む、樹脂組成物。
【化1】
(式(a1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、重合性基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つは重合性基であり、mは0、1、又は2である。
式(a2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数3上12以下の有機基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つはエーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を有する有機基であり、Rは、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下の有機基であり、nは0、1、又は2である。)
【請求項2】
前記極性溶媒(S1)が、ラクトン系溶媒、アミド系極性溶媒、スルホキシド系溶媒、エーテル系溶媒、鎖状エステル系溶媒、ケトン系溶媒、及びアルコール系溶媒からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記極性溶媒(S1)が、環状エーテル類、及び環状ケトン類からなる群より選択される1種以上を含む、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記構成単位(A1)と結合し得る重合性モノマー(B)を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
ラジカル発生剤(C)を含み、前記重合性モノマー(B)がラジカル重合性モノマー(B1)である、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ラジカル発生剤(C)が、有機過酸化物である、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
【請求項8】
基板上に請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を加熱して硬化させる工程と、を含む硬化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構成単位を含む環状オレフィンポリマーと、極性溶媒とを含む樹脂組成物と、当該樹脂組成物の硬化物と、当該硬化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノルボルネンやノルボルネンの誘導体に代表される環状オレフィンモノマーの単独重合体、又は共重合体である環状オレフィンポリマーは、高透明性や低い誘電率等の優れた性質を有するために種々の用途に用いられている。かかる環状オレフィンポリマーを含む組成物として、ビニル基を有する環状オレフィンと、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を有する環状オレフィンとの共重合体を含む、硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-55652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の硬化性樹脂組成物には、成膜性と、硬化性樹脂組成物の硬化物の耐薬品性の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、耐薬品性に優れる硬化物を与え、成膜性に優れる樹脂組成物と、当該樹脂組成物の硬化物と、当該硬化物の製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、環状オレフィンポリマーと、有機溶媒とを含む樹脂組成物において、環状オレフィンポリマーとしての重合性基を有する構成単位(A1)、及びエーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を含む有機基を有する構成単位(A2)を含む樹脂(A)と、有機溶媒としての極性溶媒(S1)とを用いることで、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。具体的には以下のものを提供する。
【0007】
本発明の第1の態様は、下記式(a1)で表される化合物に由来する構成単位(A1)及び下記式(a2)で表される化合物に由来する構成単位(A2)を含む樹脂(A)と、
溶媒(S)と、を含み、
溶媒(S)が極性溶媒(S1)を含む、樹脂組成物。
【化1】
(式(a1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、重合性基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つは重合性基であり、mは0、1、又は2である。
式(a2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数3上12以下の有機基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つは、エーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を有する非重合性の有機基であり、Rは、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下の有機基であり、nは0、1、又は2である。)
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる樹脂組成物の硬化物。
【0009】
本発明の第3の態様は、第1の態様にかかる樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を加熱して硬化させる工程と、を含む硬化物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐薬品性に優れる硬化物を与え、成膜性に優れる樹脂組成物と、当該樹脂組成物の硬化物と、当該硬化物の製造方法とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
≪樹脂組成物≫
以下、樹脂組成物について説明する。樹脂組成物は、優れた耐薬品性を有する硬化物を与え、優れた成膜性を有する。
【0012】
樹脂組成物は、下記式(a1)で表される化合物に由来する構成単位(A1)及び下記式(a2)で表される化合物に由来する構成単位(A2)を含む樹脂(A)と、溶媒(S)と、を含む。溶媒(S)は、極性溶媒(S1)を含む。
【化2】
(式(a1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、重合性基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つは重合性基であり、mは0、1、又は2である。
式(a2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数3上12以下の有機基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つは、エーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を有する非重合性の有機基であり、Rは、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下の有機基であり、nは0、1、又は2である。)
【0013】
樹脂組成物は、構成単位(A1)と結合し得る重合性モノマー(B)及び/又はラジカル発生剤(C)を含んでいてもよい。以下、樹脂組成物が含む、必須又は任意の成分について説明する。
【0014】
〔樹脂(A)〕
樹脂(A)は、下記式(a1)で表される構成単位(A1)及び下記式(a2)で表される化合物に由来する構成単位(A2)を含む。
【0015】
【化3】
【0016】
式(a1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、重合性基である。R、R、R、及びRの少なくとも1つは重合性基である。mは0、1、又は2である。mは、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0017】
重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、典型的には、炭素-炭素不飽和結合含有基が好ましく、エチレン性不飽和二重結合含有基がより好ましい。エチレン性不飽和二重結合含有基としては、ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基を含むアルケニル基含有基が好ましい。アルケニル基含有基としては、アルケニル基、及び(メタ)アクリロイル基含有基が好ましく、アルケニル基がより好ましい。
【0018】
重合性基として好適なアルケニル基の具体例としては、ビニル基;アリル基;ブタ-3-エン-1-イル基、及びブタ-2-エン-1-イル基等のブテニル基;ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、及びペンタ-2-エン-1-イル基等のペンテニル基;ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、及びヘキサ-2-エン-1-イル基等のヘキセニル基;ヘプタ-6-エン-1-イル基、ヘプタ-5-エン-1-イル基、ヘプタ-4-エン-1-イル基、ヘプタ-3-エン-1-イル基、及びヘプタ-2-エン-1-イル基等のヘプテニル基;オクタ-7-エン-1-イル基、オクタ-6-エン-1-イル基、オクタ-5-エン-1-イル基、オクタ-4-エン-1-イル基、オクタ-3-エン-1-イル基、及びオクタ-2-エン-1-イル基等のオクテニル基;ノナ-8-エン-1-イル基、ノナ-7-エン-1-イル基、ノナ-6-エン-1-イル基、ノナ-5-エン-1-イル基、ノナ-4-エン-1-イル基、ノナ-3-エン-1-イル基、及びノナ-2-エン-1-イル基等のノネニル基;デカ-9-エン-1-イル基、デカ-8-エン-1-イル基、デカ-7-エン-1-イル基、デカ-6-エン-1-イル基、デカ-5-エン-1-イル基、デカ-4-エン-1-イル基、デカ-3-エン-1-イル基、及びデカ-2-エン-1-イル基等のデセニル基;ウンデカ-10-エン-1-イル基等のウンデセニル基;ドデカ-11-エン-1-イル基等のドデセニル基;トリデカ-12-エン-1-イル基等のトリデセニル基;テトラデカ-13-エン-1-イル基等のテトラデセニル基;ペンタデカ-14-エン-1-イル基等のペンタデセニル基;ヘキサデカ-15-エン-1-イル基等のヘキサデセニル基;ヘプタデカ-16-エン-1-イル基等のヘプタデセニル基;オクタデカ-17-エン-1-イル基、及びオクタデカ-9-エン-1-イル基(オレイル基)等のオクタデセニル基;ノナデカ-18-エン-1-イル基等のノナデセニル基;イコサン-19-エン-1-イル基等のイコセニル基が挙げられる。
これらの中では、ビニル基、及びアリル基が好ましい。
【0019】
式(a2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数3以上12以下の有機基である。R、R、R、及びRの少なくとも1つは、エーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を有する非重合性の有機基である。R、R、R、及びRは、エーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-のいずれも有さない非重合性の有機基であってもよい。R、R、R、及びRは、重合性の有機基であってもよい。重合性の有機基はR、R、R、及びRとしての重合性基と同様である。Rは、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下の有機基である。nは0、1、又は2である。
【0020】
炭素原子数3以上12以下の有機基は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。ただし、上記の通り、R、R、R、及びRの少なくとも1つは、エーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を有する非重合性の有機基である。
、R、R、及びRとしての炭素原子数3以上12以下の有機基は、典型的には、種々の公知の有機基から適宜選択される。
、R、R、及びRとしての炭素原子数3以上12以下の有機基が、エーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を有さない非重合性の有機基である場合、典型的には、炭素原子3以上12以下の炭化水素基が非重合性の有機基として好ましい。
炭素原子数3以上12以下の炭化水素基の好適な例としては、例えば、炭素原子数3以上12以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のアルケニル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、炭素原子数3以上12以下のアリール基、炭素原子数3以上12以下のアラルキル基等が挙げられる。当該有機基は、有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分子鎖状、環状のいずれでもよい。有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
【0021】
エーテル結合を有する非重合性の有機基の具体例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0022】
-CO-O-を有する非重合性の有機基の具体例としては、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、及びフェニルオキシカルボニル基等のヒドロカルビルオキシカルボニル基;
プロノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフタレン-1-イルカルボニルオキシ基、及びナフタレン-2-イルカルボニルオキシ基;
アセチルオキシメチル基、2-アセチルオキシエチル基、2-アセチルオキシ-n-プロピル基、3-アセチルオキシ-n-プロピル基、2-プロピオニルオキシメチル基、2-プロピオニルオキシエチル基、2-プロピオニルオキシ-n-プロピル基、3-プロピオニルオキシ-n-プロピル基、ブタノイルオキシメチル基、2-ブタノイルオキシエチル基、2-ブタノイルオキシ-n-プロピル基、3-ブタノイルオキシ-n-プロピル基、ベンゾイルオキシメチル基、2-ベンゾイルオキシエチル基、2-ベンゾイルオキシ-n-プロピル基、及び3-ベンゾイルオキシ-n-プロピル基等のヒドロカルビルカルボニルオキシアルキル基;
メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロピルオキシカルボニルメチル基、イソプロピルオキシカルボニルメチル基、n-ブチルオキシカルボニルメチル基、イソブチルオキシカルボニルメチル基、sec-ブチルオキシカルボニルメチル基、tert-ブチルオキシカルボニルメチル基、n-ペンチルオキシカルボニルメチル基、n-ヘキシルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、及びフェノキシカルボニルメチル基等のヒドロカルビルオキシカルボニルメチル基;
2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-イソプロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-イソブチルオキシカルボニルエチル基、2-sec-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-tert-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、及び2-フェノキシカルボニルエチル基等の2-ヒドロカルビルオキシカルボニルエチル基;
3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-イソプロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-イソブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-sec-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-tert-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等の3-ヒドロカルビルオキシカルボニル-n-プロピル基;
メトキシカルボニルオキシメチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基、プロピルオキシカルボニルオキシメチル基、イソプロピルオキシカルボニルオキシメチル基、n-ブチルオキシカルボニルオキシメチル基、イソブチルオキシカルボニルオキシメチル基、sec-ブチルオキシカルボニルオキシメチル基、tert-ブチルオキシカルボニルオキシメチル基、n-ペンチルオキシカルボニルオキシメチル基、n-ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル基、ベンジルオキシカルボニルオキシメチル基、及びフェノキシカルボニルオキシメチル基等のヒドロカルビルオキシカルボニルオキシメチル基;
2-メトキシカルボニルオキシエチル基、2-エトキシカルボニルオキシエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルオキシエチル基、2-イソプロピルオキシカルボニルオキシエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルオキシエチル基、2-イソブチルオキシカルボニルオキシエチル基、2-sec-ブチルオキシカルボニルオキシエチル基、2-tert-ブチルオキシカルボニルオキシエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルオキシエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルオキシエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルオキシエチル基、及び2-フェノキシカルボニルオキシエチル基等の2-ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシエチル基;
3-メトキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-エトキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、2-イソプロピルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-イソブチルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-sec-ブチルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニルオキシ-n-プロピル基等の3-ヒドロカルビルオキシカルボニルオキシ-n-プロピル基が挙げられる。
【0023】
-CO-S-を有する非重合性の有機基の具体例としては、-CO-O-を有する有機基の具体例として前述される基の非カルボニル酸素原子の少なくとも1つが硫黄原子に置換された基が挙げられる。
【0024】
-CO-NR-を有する非重合性の有機基の具体例としては、-CO-O-を有する有機基の具体例として前述される基の非カルボニル酸素原子の少なくとも1つが-NH-、又は-NCH-に置換された基が挙げられる。
また、N,N-ジメチルカルバモイル基、及びN,N-ジエチルカルバモイル基等のN,N-ジヒドロカルビルカルバモイル基も、-CO-NR-を有する有機基として好ましい。
【0025】
樹脂(A)は、構成単位(A1)、及び構成単位(A2)以外のその他の構成単位(A3)を含んでいてもよい。
その他の構成単位としては、式(a1)で表される化合物、及び式(a2)で表される化合物と共重合可能な化合物に由来する単位であれば特に限定されない。
その他の構成単位(A3)を与える化合物の好適な例としては、アルキル(メタ)アクリレートや、鎖状オレフィンが挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートの好適な例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-へプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、及びn-デシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
鎖状オレフィンの好適な例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、及び1-ドデセン等が挙げられる。
【0026】
樹脂(A)における、構成単位(A1)及び構成単位(A2)の含有量は、所望する効果が損なわれない範囲で特に限定されない。樹脂(A)における構成単位(A1)の含有量と、構成単位(A2)の含有量との合計は、樹脂(A)を構成する全構成単位の量に対して、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上が特に好ましく、100モル%が最も好ましい。
【0027】
樹脂(A)における、構成単位(A1)の含有量は、所望する効果が損なわれない範囲で特に限定されない。樹脂(A)における構成単位(A1)の含有量は、樹脂(A)を構成する全構成単位の量に対して、10モル%以上90モル%以下が好ましく、20モル%以上80モル%以下がより好ましく、30モル%以上70モル%以下がさらに好ましい。
【0028】
樹脂(A)における、構成単位(A2)の含有量は、所望する効果が損なわれない範囲で特に限定されない。樹脂(A)における構成単位(A2)の含有量は、樹脂(A)を構成する全構成単位の量に対して、10モル%以上90モル%以下が好ましく、20モル%以上80モル%以下がより好ましく、30モル%以上70モル%以下がさらに好ましい。
【0029】
樹脂(A)の重量平均分子量は、10,000以上1,000,000以下が好ましく、50000以上500000以下がより好ましい。重量平均分子量は、GPCにより測定される、ポリスチレン換算の分子量である。樹脂(A)の重量平均分子量が、上記範囲であることにより、耐薬品性に優れた硬化物が得られる。
【0030】
〔重合性モノマー(B)〕
重合性モノマー(B)は、構成単位(A1)と結合し得る化合物である。重合性モノマー(B)としては、ラジカル重合性モノマー(B1)が好ましい。ラジカル重合性モノマー(B1)は、ラジカル重合性基としてエチレン性不飽和二重結合含有基を有する化合物が好ましい。
【0031】
ラジカル重合性モノマー(B1)としては、(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリルアミド化合物等の1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
ラジカル重合性モノマー(B1)は、エチレン性不飽和二重結合含有基を1つ有する単官能重合性モノマーであってもよく、2以上のエチレン性不飽和二重結合含有基を有する多官能重合性モノマーであってもよい。単官能重合性モノマーと、多官能化合物性モノマーとを組み合わせて用いることもできる。
硬化物の耐薬品性や、重合反応性の点で、ラジカル重合性モノマー(B1)が、多官能重合性モノマーを含むのが好ましい。
【0032】
単官能重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能重合性モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
多官能重合性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能化合物や、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
硬化物の耐薬品性の点から、ラジカル重合性モノマー(B1)としては、多官能重合性モノマーを用いるのが好ましく、2官能重合性モノマーがより好ましい。また、ラジカル重合性モノマー(B1)としては、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上、さらに好ましくは150℃以上のホモポリマーを与えるラジカル重合性化合物が好ましい。上記範囲内のTgを示すホモポリマーを与える重合性モノマー(B1)を用いることにより、樹脂組成物を用いて、Tgが高く、成膜後の耐薬品性に優れる硬化物を形成できる。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC測定)により求められる。
【0035】
樹脂組成物における重合性モノマー(B)の含有量は、樹脂(A)の100質量部に対し、50質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。重合性モノマー(B)の含有量が、上記範囲内であることにより、硬化物の耐薬品性が向上する。
【0036】
〔ラジカル発生剤(C)〕
ラジカル発生剤(C)としては、特に限定されず、従来公知の熱ラジカル発生剤(C1)や光ラジカル発生剤(C2)等を用いることができる。
【0037】
熱ラジカル発生剤(C1)としては、有機過酸化物や、アゾ化合物を用いることができる。
有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキシド及びシクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド;2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン及び1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール;tert-ブチルヒドロパーオキシド及びクメンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;ジ-tert-ブチルパーオキシド(パーブチル(登録商標)D(日油株式会社製))、及びジ-tert-ヘキシルパーオキサイド(パーヘキシル(登録商標)D(日油株式会社製))等のジアルキルパーオキシド;イソブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド及びベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(パーブチル(登録商標)O(日油株式会社製))及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等が挙げられる。
これらの熱ラジカル発生剤(C1)は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
光ラジカル発生剤(C2)の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)(Irgacure OXE01)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾル-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)(Irgacure OXE02)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO H)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド(Omnirad 819)、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、O-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、2-メルカプトベンゾイミダール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(O-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
樹脂組成物におけるラジカル発生剤(C)の含有量は、加熱、及び/又は露光により樹脂組成物が良好に硬化する限り特に限定されない。ラジカル発生剤(C)の含有量は、樹脂(A)100質量部に対し、5質量部以下が好ましく、0.001質量部以上1質量部以下がより好ましく、0.01質量部以上0.1質量部以下がさらに好ましく。ラジカル発生剤(C)の含有量が、上記範囲内であることにより、硬化物の耐薬品性が向上する。
【0040】
〔界面活性剤(D)〕
樹脂組成物は、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させるため、さらに界面活性剤(D)を含有していてもよい。界面活性剤(D)としては、例えば、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が好ましく用いられる。
フッ素系界面活性剤の具体例としては、BM-1000、BM-1100(いずれもBMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(いずれも大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC-135、フロラードFC-170C、フロラードFC-430、フロラードFC-431(いずれも住友スリーエム社製)、サーフロンS-112、サーフロンS-113、サーフロンS-131、サーフロンS-141、サーフロンS-145(いずれも旭硝子社製)、SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428(いずれも東レシリコーン社製)等の市販のフッ素系界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
シリコーン系界面活性剤としては、未変性シリコーン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル変性シリコーン系界面活性剤、アラルキル変性シリコーン系界面活性剤、及び反応性シリコーン系界面活性剤等を好ましく用いることができる。
シリコーン系界面活性剤としては、市販のシリコーン系界面活性剤を用いることができる。市販のシリコーン系界面活性剤の具体例としては、ペインタッドM(東レ・ダウコーニング社製)、トピカK1000、トピカK2000、トピカK5000(いずれも高千穂産業社製)、XL-121(ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、クラリアント社製)、BYK-088(シリコーン系消泡剤、ビックケミー社製)、BYK-310(ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0041】
界面活性剤の使用量は、樹脂(A)の100質量部に対して、0.001質量部以上1質量部以下が好ましい。
【0042】
〔溶媒(S)〕
溶媒(S)は、極性溶媒(S1)を含む。溶媒(S)は、所望する効果が損なわれない範囲で、非極性溶媒(S2)を含んでいてもよい。
溶媒(S)における極性溶媒(S1)の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%以上が最も好ましい。
【0043】
極性溶媒(S1)としては、所望する効果を損なわず、当業者に、極性溶媒として認識されている有機溶媒であれば特に限定されない。
極性溶媒(S1)は、ラクトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、エーテル系溶媒、鎖状エステル系溶媒、ケトン系溶媒、及びアルコール系溶媒からなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。極性溶媒(S1)が、環状エーテル類、及び環状ケトン類からなる群より選択される1種以上を含むのが好ましい。極性溶媒(S)が、環状ケトンを含むのが特に好ましい。環状ケトンとしては、3員環以上8員環以下の環状ケトンが好ましく、4員環以上7員環以下の環状ケトンがより好ましい。
【0044】
極性溶媒(S1)の具体例としては、β-プロピロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-ペンチロラクトン等のラクトン系溶媒;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の鎖状エステル系溶媒;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、アセチルアセトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。
【0045】
また、ラクトン系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、エーテル系溶媒、鎖状エステル系溶媒、ケトン系溶媒、及びアルコール系溶媒のうちの2種以上に該当する溶媒も極性溶媒(S1)として好ましい。
例えば、エーテル系溶媒、及びアルコール系溶媒の双方に該当する溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;テトラヒドロフルフリルアルコールが挙げられる。
エーテル系溶媒、及び鎖状エステル系溶媒の双方に該当する溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、及び3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシ脂肪酸アルキルエステル類が挙げられる。
鎖状エステル系溶媒、及びアルコール系溶媒の双方に該当する溶媒としては、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、及び2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル等のヒドロキシ脂肪酸アルキルエステル類が挙げられる。
【0046】
樹脂組成物における溶媒(S)の含有量は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。樹脂組成物を厚く塗布しやすい点で、樹脂組成物の溶媒(S)以外の成分の濃度は、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0047】
〔その他の成分〕
樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤の例としては、酸発生材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、消泡剤、及び粘度調整剤等が挙げられる。これらの添加剤の含有量は、これらの添加剤の通常使用される量を勘案して、適宜決定される。
【0048】
<樹脂組成物の調製方法>
樹脂組成物は、上記の各成分を通常の方法で混合、撹拌して調製される。上記の各成分を、混合、撹拌する際に使用できる装置としては、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等が挙げられる。上記の各成分を均一に混合した後に、得られた混合物を、さらにメッシュ、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。これにより、成膜性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0049】
<硬化物の製造方法>
以上説明した樹脂組成物を、所望する形状に成形した後、樹脂組成物に含まれる成分の種類に応じて樹脂組成物に対して加熱、及び/又は露光を行うことにより硬化物を製造できる。成形方法としては特に限定されず、硬化物の形状に応じて適宜選択される。成形方法としては、例えば、塗布や、型への注型等が挙げられる。
以下、硬化物の製造方法の代表例として、硬化膜の製造方法について説明する。
【0050】
まず、樹脂組成物を、所望する基板上に塗布して塗布膜を形成した後に、必要に応じて、塗布膜から溶媒(S)の少なくとも一部を除去して塗布膜を形成する。
【0051】
基材上に樹脂組成物を塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて、樹脂組成物を基板上に所望の膜厚となるよう塗布して塗布膜を形成できる。
【0052】
樹脂組成物が溶媒(S)を含む場合、必要に応じて塗布膜をベークして、塗布膜から溶媒(S)の少なくとも一部を除去するのが好ましい。ベーク温度は、溶媒(S)の沸点等を勘案して適宜定められる。ベークは、減圧条件下に低温で行われてもよい。
【0053】
ベークの方法としては、特に限定されず、例えばホットプレートを用いて80℃以上150℃以下、好ましくは85℃以上120℃以下の温度において60秒以上500秒以下の時間乾燥する方法が挙げられる。
【0054】
以上のようにして形成される塗布膜の膜厚は特に限定されない。塗布膜の膜厚は、硬化物の用途に応じて適宜決定される。塗布膜の膜厚は、典型的には、好ましくは0.01μm以上50μm以下、より好ましくは0.1μm以上35μm以下の膜厚の硬化物が形成されるように適宜調整される。
【0055】
樹脂組成物が、熱ラジカル発生剤(C1)を含む場合、上記の方法により塗布膜を形成した後、塗布膜を加熱することにより、硬化物を得ることができる。
加熱条件としては、例えば、80℃以上280℃以下が好ましく、120℃以上230℃以下がより好ましい。加熱時間は、例えば、5分以上12時間以下が好ましく、10分以上6時間以下がより好ましく、30分以上3時間以下が特に好ましい。
【0056】
樹脂組成物、光ラジカル開始剤(C2)を含む場合、上記の方法により塗布膜を形成した後、塗布膜に対して露光を行うことにより、硬化物を得ることができる。
【0057】
塗布膜を露光する条件は、硬化が良好に進行する限り特に限定されない。露光は、例えば、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射することにより行われる。照射するエネルギー線量は特に制限はないが、例えば30mJ/cm以上5000mJ/cm以下が挙げられる。露光後には塗布後の加熱と同様の方法により、露光された塗布膜をベークしてもよい。
【0058】
上記の方法により、耐薬品性に優れた硬化物を形成することができる。
【0059】
上記の通り、本発明者らにより、以下の(1)~(8)が提供される。
(1)下記式(a1)で表される化合物に由来する構成単位(A1)及び下記式(a2)で表される化合物に由来する構成単位(A2)を含む樹脂(A)と、
溶媒(S)と、を含み、
溶媒(S)が極性溶媒(S1)を含む、樹脂組成物。
【化4】
(式(a1)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、重合性基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つは重合性基であり、mは0、1、又は2である。
式(a2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数3上12以下の有機基であり、R、R、R、及びRの少なくとも1つはエーテル結合、-CO-O-、-CO-S-、及び-CO-NR-から選択される1以上の結合を有する非重合性の有機基であり、Rは、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下の有機基であり、nは0、1、又は2である。)
(2)極性溶媒(S1)が、ラクトン系溶媒、アミド系極性溶媒、スルホキシド系溶媒、エーテル系溶媒、鎖状エステル系溶媒、ケトン系溶媒、及びアルコール系溶媒からなる群から選択される1種以上を含む、(1)に記載の樹脂組成物。
(3)極性溶媒(S1)が、環状エーテル類、及び環状ケトン類からなる群より選択される1種以上を含む、(2)に記載の樹脂組成物。
(4)構成単位(A1)と結合し得る重合性モノマー(B)を含む、(1)から(3)のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(5)ラジカル発生剤(C)を含み、重合性モノマー(B)がラジカル重合性モノマー(B1)である、(4)に記載の樹脂組成物。
(6)ラジカル発生剤(C)が、有機過酸化物である、(5)に記載の樹脂組成物。
(7)(1)から(6)のいずれか1に記載の樹脂組成物の硬化物。
(8)基板上に(1)から(6)のいずれか1に記載の樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
塗布膜を加熱して硬化させる工程と、を含む硬化物の製造方法。
【実施例0060】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0061】
<樹脂組成物の調製>
実施例及び比較例において、構成単位(A1)及び構成単位(A2)を含む樹脂(A)として、下記構造の樹脂A-1を用いた。比較例において、樹脂として下記の樹脂A-2及び樹脂A-3を用いた。
なお、樹脂A-1の構成単位を表す下記式において、括弧の右下に付された数字は、当該樹脂に含まれる全構成単位に対する各構成単位の比率(モル%)である。
また、各樹脂の質量平均分子量は、次の通りである。
A-1:250,000、A-2:100,000、A-3:100,000
【化5】
【化6】
【化7】
【0062】
実施例及び比較例において、モノマー(B)として、下記化合物B-1、B-2及びB-3を用いた。
B-1:A-DCP(トリシクロデカノールアクリレート(新中村化学工業株式会社製))
B-2:ABE-300(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製))
B-3:A-600(ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(新中村化学工業株式会社製))
【0063】
実施例及び比較例において、開始剤(C)として、下記化合物C-1及びC-2を用いた。
C-1:パーブチルO(tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油株式会社製))
C-2:下記構造の化合物
【化8】
【0064】
実施例及び比較例において、界面活性剤(D)として、下記化合物D-1を用いた。
D-1:製品名PF656(北村化学産業株式会社製)
【0065】
実施例及び比較例において、溶媒(S)として、下記化合物S-1、S-2及びS-3を用いた。樹脂組成物の固形分濃度が9質量%となるように、それぞれ表1に記載の種類及び量の樹脂(A)、重合性モノマー(B)、開始剤(C)、及び界面活性剤(D)を、表1に記載の種類の溶媒(S)に溶解させ、各実施例、及び各比較例の樹脂組成物を得た。
S-1:シクロペンタノン
S-2:2-ヒドロキシプロピオン酸エチル(乳酸エチル)
S-3:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0066】
【表1】
【0067】
<硬化膜の形成>
各実施例、及び各比較例の樹脂組成物をガラス基板にスピンコートし、90℃で90秒プリベークを行った。その後、170℃で30分間ポストベークを行い、硬化膜を形成した。
【0068】
<評価>
実施例1~8、比較例1、及び比較例2の樹脂組成物を用いて下記の方法に従い、樹脂組成物の製膜性を評価した。また、実施例1~8、比較例1、及び比較例2の樹脂組成物を用いて形成された硬化膜を用いて、以下の方法に従って、耐薬品性を評価した。これらの評価結果を表2に記す。
【0069】
〔成膜性評価〕
上記の方法で形成された硬化膜の膜厚を、膜厚測定装置ナノスペック(Nanometrics社製)を用いて測定した。成膜性の評価は、形成された硬化膜の膜厚を、以下の基準に従って行った。
(評価基準)
◎:34μm以上
〇:100nm以上34μm未満
×:成膜不可
【0070】
〔耐薬品性評価〕
上記の方法で形成された硬化膜の膜厚T1を、成膜性評価と同様の方法により測定した。次いで、硬化膜を備えるガラス基板を、PGMEA、乳酸エチル又は2-ヘプタノンそれぞれに、室温で10分間浸漬した。浸漬後、ガラス基板を、純水で30秒間リンス洗浄した。リンス洗浄後のガラス基板を、100℃で1分間乾燥させた。乾燥したガラス基板が備える硬化膜の膜厚T2を、膜厚T1と同様に測定した。下記式で算出される膜厚変動率に基づいて、硬化膜の耐薬品性を以下の基準に従って評価した。
膜厚変動率(%)=T2/T1×100
(評価基準)
◎:膜厚変動率が99%以上103%以下
〇:膜厚変動率が90%以上99%未満、又は103%超105%以下
×:膜厚変動率が90%未満、又は105%超
【0071】
【表2】
【0072】
表2によれば、式(a1)で表される化合物に由来する構成単位(A1)及び式(a2)で表される化合物に由来する構成単位(A2)を含む樹脂(A)と、溶媒(S)としての極性溶媒(S1)とを含む実施例の樹脂組成物は、成膜性に優れ、耐薬品性に優れる硬化膜を与えることが分かる。
比較例1、及び比較例2によれば、式(a1)で表される化合物に由来する構成単位(A1)及び式(a2)で表される化合物に由来する構成単位(A2)を含む樹脂(A)を含まない樹脂組成物は、成膜性に劣るか、成膜性が良好であっても耐薬品性に劣る硬化膜を与えることが分かる。