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特開2024-78733画像形成システム、画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078733
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240604BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240604BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/38 301
B41J2/01 451
B41J2/01 209
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191244
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉林 大
(72)【発明者】
【氏名】福田 拓章
(72)【発明者】
【氏名】近藤 巴亜瑠
(72)【発明者】
【氏名】沢田 拓朗
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB27
2C056EB29
2C056HA58
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ10
2C061HK06
2C061HK11
2C061HV33
2C061KK13
2C061KK18
2C061KK26
2C061KK28
2C061KK35
(57)【要約】
【課題】印字した濃度それぞれに対して分布のばらつきを解析して読取装置の汚れを精度よく検知することができる画像形成システム、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置を含む画像形成システムであって、吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、印刷媒体に画像形成されたものを読み取り、読取データを得る読取部と、読取データの帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定部と、各分割エリアについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出部と、各分割エリアについて、読取値に関する値が標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する第1判定部と、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置を含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置が備えるラインヘッドの吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものを読み取り、読取データを得る読取部と、
前記読取データの前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定部と、
前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出部と、
前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する第1判定部と、
を含む画像形成システム。
【請求項2】
前記算出部は、前記分割エリアそれぞれについて、副走査方向の画素列ごとに前記読取値の合計値を算出し、前記合計値の第1平均値を算出することにより該合計値の前記標準偏差を算出する請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により前記カウント値が前記閾値を超過していると判定された場合、前記読取部に対する清掃を促す旨を表示装置に表示させる表示制御部と、
をさらに備えた請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により前記カウント値が前記閾値を超過していると判定された場合、前記読取データにおける前記外れ値を含む画素列の位置を付加した情報を表示装置に表示させる表示制御部と、
をさらに備えた請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記算出部は、前記分割エリアそれぞれの前記読取値の第2平均値を算出し、
前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された回数をカウントするカウント部と、
前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された場合、該外れ値の基となる前記読取値を、前記第2平均値に置換する置換部と、
前記カウント部によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により前記カウント値が前記閾値以下であると判定された場合、前記置換部により置換された前記読取データを用いて、前記均一化処理を行う均一化処理部と、
をさらに備えた請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記算出部は、前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された前記読取値に関する値に対応する該読取値を除外した上で、前記分割エリアそれぞれの前記第2平均値を算出する請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記均一化処理部は、前記第2判定部により前記カウント値が前記閾値を超過していると判定された場合、前記均一化処理を行わない請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項8】
ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置が備える吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、読取装置によって前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものが読み取られた読取データにおいて、前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定部と、
前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出部と、
前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する判定部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項9】
ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置が備える吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、読取装置によって前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものが読み取られた読取データにおいて、前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定ステップと、
前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出ステップと、
前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する判定ステップと、
を有する画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置が備える吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、読取装置によって前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものが読み取られた読取データにおいて、前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定ステップと、
前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出ステップと、
前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する判定ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラインヘッド方式の画像形成装置で出力する画像の濃度について、複数の吐出ヘッドからインクが吐出されることによって形成される画像をスキャナで読み取り、読み取った結果に基づいて、吐出ヘッドが吐出するインク量を制御することにより印刷画像の濃度を均一にする技術が既に知られている。濃度を均一化するための補正処理において、吐出ヘッドで印字した印刷物をスキャナで読み取る処理をする際に、当該スキャナに汚れがあると補正精度が低下する。したがって、濃度の均一化処理を行うためには、適正にスキャナの汚れを検知する必要がある。そして、検知結果に基づいてスキャナの汚れを除去することにより、精度よく濃度の均一化処理が可能となる。
【0003】
このようなスキャナの汚れを検知する技術として、異物がある部分の読取レベルが、例えば標準偏差または信号ノイズ比(S/N比)等の所定の閾値以上であった場合、異物が付着している可能性があると判別する構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、原稿とガラススケール等、変動量の多いケースでは有効だが、吐出ヘッドによる印字の濃度の均一化処理をするうえでは汚れの検知精度が不足しているという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印字した濃度それぞれに対して分布のばらつきを解析して読取装置の汚れを精度よく検知することができる画像形成システム、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置を含む画像形成システムであって、前記画像形成装置が備えるラインヘッドの吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものを読み取り、読取データを得る読取部と、前記読取データの前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定部と、前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出部と、前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する第1判定部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印字した濃度それぞれに対して分布のばらつきを解析して読取装置の汚れを精度よく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る画像形成システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る画像形成装置のラインヘッド方式の液体吐出ユニットの吐出ヘッド、および読取装置の概略構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るDFEのハードウェア構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る画像形成システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る画像形成システムにおける均一化処理を行うために使用するチャートの一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る読取装置により読み取られたチャートの読取データの一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る画像形成システムにおける均一化処理を説明する図である。
図11図11は、実施形態に係る画像形成システムの汚れ検知・均一化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係る画像形成システムの前処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係る画像形成システムにおいて読取データに汚れ位置を明示する前の状態の一例を示す図である。
図14図14は、実施形態に係る画像形成システムにおいて読取データに汚れ位置を明示した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る画像形成システム、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
なお、コンピュータソフトウェアとは、コンピュータの動作に関するプログラム、その他コンピュータによる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものをいう(以下、コンピュータソフトウェアは、ソフトウェアという)。アプリケーションソフトとは、ソフトウェアの分類のうち、特定の作業を行うために使用されるソフトウェアの総称である。一方、オペレーティングシステム(OS)とは、コンピュータを制御し、アプリケーションソフト等がコンピュータ資源を利用可能にするためのソフトウェアのことである。オペレーティングシステムは、入出力の制御、メモリやハードディスク等のハードウェアの管理、プロセスの管理といった、コンピュータの基本的な管理・制御を行っている。アプリケーションソフトウェアは、オペレーティングシステムが提供する機能を利用して動作する。プログラムとは、コンピュータに対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わせたものをいう。また、プログラムに準ずるものとは、コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定するという点でプログラムに類似する性質を有するものをいう。例えば、データ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)がプログラムに準ずるものに該当する。
【0011】
(画像形成システムの概略構成)
図1は、実施形態に係る画像形成システムの概略構成の一例を示す図である。図1を参照しながら、本実施形態に係る画像形成システム1の概略構成について説明する。
【0012】
図1に示す画像形成システム1は、PC(Personal Computer)50等から印刷対象となるジョブを受け付け、印刷出力するためのシステムである。画像形成システム1は、図1に示すように、画像形成装置10と、DFE(Digial Front End)20と、画像処理装置30と、を含む。
【0013】
画像形成装置10は、給紙されたシート材に対して、ラインヘッドによるインクジェット方式により当該シート材に画像形成を行った後、当該シート材を排紙する画像形成装置である。画像形成装置10は、図1に示すように、読取装置40を備えている。読取装置40は、シート材に形成された画像に対して読み取り処理を行う装置である。なお、読取装置40は、画像形成装置10内に備えられた装置としているが、これに限定されるものではなく、画像形成装置10内に備えられたものではない独立した装置であってもよい。
【0014】
DFE20は、PC50等から受信した印刷ジョブに基づいて、画像形成装置10に対して印刷データを出力し、画像形成装置10に対して画像形成を行わせる情報処理装置である。
【0015】
画像処理装置30は、画像形成装置10の読取装置40で読み取れた読取データを用いて、画像形成装置10で印刷出力された画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理等の画像処理を行う情報処理装置である。なお、画像処理装置30は、画像形成装置10およびDFE20と別体の装置としているが、画像処理装置30の機能は、画像形成装置10またはDFE20に含まれるものとしてもよい。
【0016】
(画像形成装置の概略構成)
図2は、実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。図3は、実施形態に係る画像形成装置のラインヘッド方式の液体吐出ユニットの吐出ヘッド、および読取装置の概略構成の一例を示す図である。図2および図3を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。
【0017】
画像形成装置10は、図2に示すように、搬入部110と、印刷部120と、搬出部190と、を備えている。
【0018】
搬入部110は、シート状の印刷媒体としてのシート材Pを搬入するユニットである。搬入部110は、図2に示すように、複数のシート材Pを収容する下段搬入トレイ111aおよび上段搬入トレイ111bと、下段搬入トレイ111aからシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置112aと、上段搬入トレイ111bからシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置112bと、を含む。搬入部110は、給送装置112a、112bにより送り出されたシート材Pを、作像部130へ供給する。なお、搬入部110と印刷部120との間にシート材Pに前処理液等の塗布液を塗布する前処理部等を配置することもできる。
【0019】
印刷部120は、搬入部110から供給されたシート材Pに対してラインヘッドによるインクジェット方式によりインクを吐出して画像形成するユニットである。印刷部120は、図2に示すように、作像部130と、定着部140と、両面機構部150と、制御部170と、表示部180と、を有する。
【0020】
作像部130は、搬入部110から供給され、搬送ローラ対162により搬入経路161上を搬送されてきたシート材Pに対して、液体吐出ユニットによりシート材Pにインクを吐出させて画像形成する機構である。作像部130は、図2に示すように、ドラム131と、液体吐出ユニット132と、入口回転体134と、出口回転体135と、を有する。
【0021】
ドラム131は、把持手段であるグリッパが設けられ、入口回転体134から送られてきたシート材Pの先端をグリッパにより把持して、回転動作によりシート材Pを搬送する回転体部材である。また、ドラム131は、表面に複数の吸引孔が分散して形成され、吸引手段により当該吸引孔から内側へ吸い込み気流を発生させることにより、シート材Pを周面に吸着担持させる。
【0022】
液体吐出ユニット132は、ドラム131の回転により搬送されてきたシート材Pに対してインクを吐出して画像形成するユニットである。液体吐出ユニット132は、シアン(C)のインクを吐出する液体吐出ユニット132Cと、マゼンタ(M)のインクを吐出する液体吐出ユニット132Mと、イエロー(Y)のインクを吐出する液体吐出ユニット132Yと、ブラック(K)のインクを吐出する液体吐出ユニット132Kと、を含む。なお、液体吐出ユニット132C、132M、132Y、132Kについて、任意の液体吐出ユニットを示す場合、または総称する場合においても、液体吐出ユニット132と称するものとする。また、インクは、CMYKに限定されるものではなく、白色、金色、銀色または蛍光色等の特殊な液体の吐出を吐出する液体吐出ユニットを含んでいてもよい。
【0023】
液体吐出ユニット132は、印刷データに応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム131に担持されたシート材Pが、液体吐出ユニット132と対向するドラム131の周面領域を通過するときに、液体吐出ユニット132から各色のインクが吐出され、当該印刷データに応じた画像が形成(印刷)される。画像が形成されたシート材Pは、ドラム131から出口回転体135に渡される。
【0024】
また、液体吐出ユニット132は、ラインヘッド方式のユニットであり、図3に示すように、吐出ヘッド800a~800eが搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向に並設されている。なお、吐出ヘッド800a~800eについて、任意の吐出ヘッドを示す場合、または総称する場合において、単に「吐出ヘッド800」と称するものとする。
【0025】
また、読取装置40は、図2および図3に示すように、ドラム131の回転によるシート材Pの搬送方向において、液体吐出ユニット132に対して下流側に設置されている。読取装置40は、液体吐出ユニット132によりシート材Pに形成された画像に対して読み取り処理を行い、当該画像の濃度を示す読取データを生成する。
【0026】
入口回転体134は、上流側から送り込まれたシート材Pを受け取りドラム131との間でシート材Pを受け渡す回転体である。入口回転体134は、外周部に把持手段であるグリッパが設けられ、搬送ローラ対162により搬入経路161上を搬送されてきたシート材Pをグリッパにより把持して、回転動作によりシート材Pをドラム131へ搬送する。グリッパにより先端が把持されたシート材Pは、入口回転体134の回転に伴って搬送され、入口回転体134とドラム131との対向位置において、ドラム131へと受け渡される。
【0027】
出口回転体135は、ドラム131の回転により搬送されてきたシート材Pを受け取って、定着部140へ受け渡す回転体である。出口回転体135は、外周部に把持手段であるグリッパが設けられ、ドラム131の回転により搬送されてきたシート材Pをグリッパにより把持して、回転動作によりシート材Pを定着部140の搬送ベルト141へ搬送する。なお、出口回転体135は、入口回転体134とギヤを介して連結されており、連動して回転するものとしてもよい。
【0028】
定着部140は、作像部130で画像形成されたシート材P上のインクを乾燥させて定着させる機構である。これによって、シート材P上のインク内の水分等の液分が蒸発し、シート材P上にインク中に含まれる着色剤が定着し、さらにシート材Pのカールが抑制される。定着部140は、図2に示すように、搬送ベルト141と、加熱部142と、シート検知センサ143と、吸引部144と、を有する。
【0029】
搬送ベルト141は、出口回転体135から受け渡されたシート材Pを搬送する、駆動ローラ163と従動ローラ164との間に架け渡された無端状ベルトである。搬送ベルト141は、シート材Pの搬送動作を行っているとき、所定の搬送速度で加熱部142を通過するように、シート材Pを下流へ搬送する。搬送ベルト141により搬送されるシート材Pの搬送速度は、駆動ローラ163の回転速度により設定される。駆動ローラ163の回転速度は、制御部170によって制御される。出口回転体135からシート材Pの先端が離れて搬送ベルト141に渡されるとき、搬送ベルト141が所定の搬送速度で動作するように駆動ローラ163の回転速度が調整される。また、搬送ベルト141の表面には、複数の吸引孔が分散して形成され、吸引部144による吸い込み気流によって、シート材Pは搬送ベルト141に吸着担持される。
【0030】
加熱部142は、搬送ベルト141で搬送されるシート材Pを加熱する装置である。加熱部142は、シート材Pに対する加熱により、シート材P上のインクを乾燥させて定着させる。
【0031】
シート検知センサ143は、出口回転体135から搬送ベルト141へ受け渡され、定着部140内に搬送されてきたシート材Pを検知するセンサである。
【0032】
吸引部144は、吸引動作によって搬送ベルト141の表面に形成された複数の吸引孔への吸い込み気流を発生させ、シート材Pを搬送ベルト141に吸着させる装置である。
【0033】
定着部140を通過したシート材Pは、搬出経路167を搬送ローラ対168の回転によって搬送され、両面機構部150または搬出部190へ送られる。
【0034】
両面機構部150は、シート材Pの両面に印刷を行う場合に、定着部140を通過したシート材Pを反転させて、作像部130の上流側、すなわち搬入経路161へ再度給送する機構である。両面機構部150は、図2を示すように、反転経路151と、両面経路152と、を有する。
【0035】
反転経路151は、搬送ローラ対166の回転により、定着部140を通過したシート材Pを受け入れて表裏反転する経路である。
【0036】
両面経路152は、反転経路151で反転されたシート材Pを、搬送ローラ対165の回転により作像部130の上流側まで搬送し、搬入経路161へ再度給送する経路である。
【0037】
制御部170は、画像形成装置10全体の動作を制御するコントローラである。制御部170は、例えば、作像部130での画像形成動作、および、定着部140での乾燥動作、および各種搬送経路の搬送動作等を制御する。なお、搬入部110または搬出部190は、制御部170とは異なる別の制御部によって制御されるものとしてもよい。
【0038】
表示部180は、画像形成装置10の動作状態、印刷設定情報、およびジョブ状態等の各種情報を表示する表示装置である。なお、表示部180は、表示機能だけでなく、例えばタッチ入力機能を実現するタッチパネルを備えていてもよい。
【0039】
搬出部190は、印刷部120から搬出されたシート材Pを蓄積するためのユニットである。搬出部190は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ191を備えている。印刷部120から搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ191上に順次積み重ねられて保持される。
【0040】
(画像形成装置の制御部のハードウェア構成)
図4は、実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図4を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置10の制御部170のハードウェア構成について説明する。
【0041】
図4に示すように、制御部170は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、外部I/F504と、I/F505と、ヘッド駆動制御回路511と、回転駆動回路512と、搬送駆動回路513と、加熱駆動回路514と、吸引駆動回路515と、センサI/F516と、搬送駆動回路517と、を備えており、これらはバスラインを介して互いにデータ通信可能となっている。
【0042】
CPU501は、ROM502に記憶された各種プログラムを、ワーク領域として利用するRAM503に読み込んで、各種機能を実現する演算装置である。
【0043】
外部I/F504は、有線または無線等のデータ伝送路により構築されたLAN(Local Area Network)またはWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して、DFE20および画像処理装置30と通信を行うためのインターフェースである。
【0044】
I/F505は、読取装置40とデータ通信を行うためのインターフェースである。I/F505は、例えば、読取装置40により印刷物から読み取られた読取データを受信する。
【0045】
ヘッド駆動制御回路511は、CPU501の指令に従って、印刷データに基づいて、印刷部120の液体吐出ユニット132の吐出動作を駆動制御する駆動回路である。
【0046】
回転駆動回路512は、CPU501の指令に従って、作像部130のドラム131、入口回転体134および出口回転体135の回転動作を駆動制御する駆動回路である。なお、入口回転体134および出口回転体135は、ドラム131の回転に応じて回転するように連結されている構成であってもよく、その場合には、回転駆動回路512は、ドラム131の回転動作を駆動制御するものとすればよい。
【0047】
搬送駆動回路513は、CPU501の指令に従って、定着部140の駆動ローラ163の回転動作を駆動制御し、搬送ベルト141によりシート材Pを搬送する駆動回路である。
【0048】
加熱駆動回路514は、CPU501の指令に従って、定着部140の加熱部142による加熱動作を駆動制御する駆動回路である。
【0049】
吸引駆動回路515は、CPU501の指令に従って、定着部140の吸引部144に吸引動作を駆動制御する駆動回路である。
【0050】
センサI/F516は、画像形成装置10に配置されたシート検知センサ143等の各種のセンサにより検知された検知情報を受信するインターフェースである。
【0051】
搬送駆動回路517は、CPU501の指令に従って、搬送ローラ対162、搬送ローラ対168、搬送ローラ対165および搬送ローラ対166等の各種ローラの回転動作を駆動制御する駆動回路である。
【0052】
なお、図4に示した制御部170のハードウェア構成は一例であり、他の構成要素が含まれていてもよい。例えば、制御部170は、図4に示すもののほか、不揮発性メモリであるNVRAM(Non-Volatile RAM)、画像処理等を実行するASIC(Application Specific Integrated Circuit)、または入出力信号処理等を行うFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を有するものとしてもよい。
【0053】
(DFEのハードウェア構成)
図5は、実施形態に係るDFEのハードウェア構成の一例を示す図である。図5を参照しながら、本実施形態に係るDFE20のハードウェア構成について説明する。
【0054】
図5に示すように、DFE20は、CPU601と、ROM602と、RAM603と、GPU(Graphics Processing Unit)604と、HDD(Hard Disk Drive))605と、ネットワークI/F606と、I/F607と、表示部608と、操作部609と、を備えている。これらの各装置は、バス610で接続されて、互いにデータ通信が可能となっている。
【0055】
CPU601は、ROM602およびHDD605等の記憶装置からプログラムおよびデータをRAM603上に読み出し、処理を実行することで、DFE20全体の制御および機能を実現する演算装置である。
【0056】
ROM602は、プログラムおよびデータを保持することができる不揮発性記憶装置である。ROM602には、DFE20の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定、およびネットワーク設定等のプログラムおよびデータが格納されている。
【0057】
RAM603は、CPU601のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。
【0058】
GPU604は、リアルタイム画像処理に特化した演算装置である。
【0059】
HDD605は、プログラムおよびデータを格納している不揮発性の記憶装置である。HDD605に格納されるプログラムおよびデータには、DFE20全体を制御するOS、およびOS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア等がある。なお、DFE20は、HDD605に代え、SSD(Solid State Drive)を利用するものであってもよい。また、HDD605は、格納しているプログラムおよびデータを所定のファイルシステムまたはデータベースにより管理している。
【0060】
ネットワークI/F606は、DFE20をネットワークに接続するインターフェースである。これにより、DFE20は、ネットワークI/F606を介して画像形成装置10および画像処理装置30とデータ通信を行うことができる。
【0061】
I/F607は、表示部608および操作部609をバス610に接続するためのインターフェースである。
【0062】
表示部608は、ディスプレイ等であり、DFE20による処理結果を表示する装置である。
【0063】
操作部609は、キーボード、マウス、タッチパネル等であり、ユーザが各操作信号を入力するのに用いられる装置である。
【0064】
なお、DFE20のハードウェア構成は、図5に示すハードウェア構成に限定されるものではない。例えば、表示部608および操作部609の少なくとも一方は、必要なときにDFE20に接続して利用する形態であってもよい。
【0065】
(画像処理装置のハードウェア構成)
図6は、実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図6を参照しながら、本実施形態に係る画像処理装置30のハードウェア構成について説明する。
【0066】
図6に示すように、画像処理装置30は、CPU701と、ROM702と、RAM703と、GPU704と、ASIC705と、FPGA706と、SSD707と、ネットワークI/F708と、を備えている。これらの各装置は、バス710で接続されて、互いにデータ通信が可能となっている。
【0067】
CPU701は、ROM702およびSSD707等の記憶装置からプログラムおよびデータをRAM703上に読み出し、処理を実行することで、画像処理装置30全体の制御および機能を実現する演算装置である。
【0068】
ROM702は、プログラムおよびデータを保持することができる不揮発性記憶装置である。ROM702には、画像処理装置30の起動時に実行されるBIOS、OS設定、およびネットワーク設定等のプログラムおよびデータが格納されている。
【0069】
RAM703は、CPU701のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。
【0070】
GPU704は、リアルタイム画像処理に特化した演算装置である。ASIC705およびFPGA706は、CPU701により実行される処理の一部を補助的に実行する集積回路である。
【0071】
SSD707は、プログラムおよびデータを格納している不揮発性の記憶装置である。SSD707に格納されるプログラムおよびデータには、画像処理装置30全体を制御するOS、およびOS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア等がある。なお、画像処理装置30は、SSD707に代え、HDDを利用するものであってもよい。また、SSD707は、格納しているプログラムおよびデータを所定のファイルシステムまたはデータベースにより管理している。
【0072】
ネットワークI/F708は、画像処理装置30をネットワークに接続するインターフェースである。これにより、画像処理装置30は、ネットワークI/F708を介して画像形成装置10およびDFE20とデータ通信を行うことができる。
【0073】
なお、画像処理装置30のハードウェア構成は、図6に示すハードウェア構成に限定されるものではない。
【0074】
(画像形成システムの機能ブロックの構成および動作)
図7は、実施形態に係る画像形成システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る画像形成システムにおける均一化処理を行うために使用するチャートの一例を示す図である。図9は、実施形態に係る読取装置により読み取られたチャートの読取データの一例を示す図である。図10は、実施形態に係る画像形成システムにおける均一化処理を説明する図である。図7図10を参照しながら、本実施形態に係る画像形成システム1の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0075】
図7に示すように、DFE20は、チャート生成部201と、印刷データ出力部202と、設定部203と、を有する。
【0076】
チャート生成部201は、均一化処理で用いるチャートの印刷データを生成する機能部である。均一化処理とは、画像処理装置30で印刷出力される画像の主走査方向の濃度を均一に補正するための処理である。ここで、図8に、当該均一化処理で用いるチャートの一例を示す。図8に示すように、均一化処理で用いるチャートは、シート材Pに印刷されたとした場合に主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を段階的に変えて副走査方向(シート材Pの搬送方向)に並べた構成となっている。なお、均一化処理に用いるチャートは、図8に示す例では、図8の紙面視上端から下端へ向けて濃度が段階的に濃くなるように帯状のエリアが並んだ構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、上端から下端へ向けて濃度が段階的に薄くなるように帯状のエリアが並んだ構成としてもよく、各濃度の帯状のエリアをランダムに並べた構成等であってもよい。また、図8に示すチャートの例では、帯状のエリア群の一端(図8の紙面視の上端)側にインクが印字されていない紙白エリアWARが設けられている。
【0077】
印刷データ出力部202は、チャート生成部201により生成されたチャートの印刷データ、または外部装置からネットワークI/F606を介して受信した印刷データを、画像形成装置10で印刷処理させるために出力する機能部である。
【0078】
設定部203は、操作部609に対する操作入力に従って、画像形成システム1における、後述する汚れ検知・均一化処理で用いる各種閾値等のパラメータを設定する機能部である。設定部203は、設定したパラメータを、ネットワークI/F606を介して画像処理装置30へ送信する。
【0079】
上述のチャート生成部201、印刷データ出力部202および設定部203は、図5に示すCPU601によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、チャート生成部201、印刷データ出力部202および設定部203の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0080】
また、図7に示すDFE20の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、図7に示すDFE20で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、図7に示すDFE20で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0081】
図7に示すように、画像形成装置10は、取得部101と、読取部102と、画像形成部103と、表示制御部104と、表示部105と、を有する。
【0082】
取得部101は、DFE20から外部I/F504を介して、印刷データを取得する機能部である。取得部101は、例えば、DFE20から、チャート生成部201により生成された、均一化処理に使用するチャートの印刷データを取得する。取得部101は、例えば、図4に示すCPU501によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0083】
読取部102は、画像形成部103によりシート材Pに画像形成(印刷)された画像を読み取ることにより読取データを得る機能部である。読取部102は、例えば、画像形成部103によりチャートが印刷された印刷物としてのシート材Pに対して読み取り処理を行い、チャートの読取データを得る。
【0084】
ここで、図9に、画像形成部103により画像形成されたチャートの印刷物に対して、読取部102により読み取られた読取データ(チャートの読取データ)を示す。図8に示すように画像形成前の印刷データが示すチャートでは主走査方向の帯状のエリアは同一の濃度となっているが、当該印刷データで印刷された印刷物を読み取った図9に示す読取データが示すように、当該エリアでは主走査方向で濃度のばらつきが発生している。これは、図3で示したように、ラインヘッド方式の液体吐出ユニット132において、主走査方向に並んでいる各吐出ヘッド800の間で個体差が存在するため、当該個体差が印刷物の濃度のばらつきとして現れる。当該濃度のばらつきを打ち消すために、チャートの読取データを用いて上述の均一化処理が実行される必要がある。ただし、当該均一化処理を行うにあたって、読取装置40に汚れ(例えば受光面の汚れ)があると読取データの読取値に異常値が混入し、均一化処理により補正精度が低下する。したがって、本実施形態に係る画像形成システム1では、後述する汚れ検知・均一化処理を実行する。
【0085】
読取部102により得られたチャートの読取データは、外部I/F504を介して画像処理装置30へ送信される。読取部102は、図1図2および図4に示す読取装置40により実現される。
【0086】
画像形成部103は、取得部101により取得された印刷データに基づいて、シート材Pに画像形成(印刷)を行う機能部である。画像形成部103は、図2に示す作像部130により実現される。
【0087】
表示制御部104は、表示部105の表示制御を行う機能部である。表示制御部104は、例えば、図4に示すCPU501によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0088】
表示部105は、表示制御部104による制御に従って、表示動作を行う機能部である。表示部105は、図2および図3に示す表示部180(表示装置の一例)によって実現される。
【0089】
なお、取得部101および表示制御部104の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0090】
また、図7に示す画像形成装置10の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、図7に示す画像形成装置10で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、図7に示す画像形成装置10で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0091】
図7に示すように、画像処理装置30は、位置特定部301(特定部)と、標準偏差算出部302(算出部)と、外れ値判定部303(第1判定部)と、カウント部304と、置換部305と、均一化判定部306(第2判定部)と、均一化処理部307と、汚れ位置出力部308と、を有する。
【0092】
位置特定部301は、画像形成装置10(読取装置40)からネットワークI/F708を介して取得したチャートの読取データについて、標準偏差算出部302により標準偏差が算出される単位となる各エリア(分割エリア)を特定する機能部である。具体的には、位置特定部301は、図9に示すように、インクの印字が行われていない領域に対応する紙白エリアWARを特定し、さらにインクが印字されている領域については、各濃度の主走査方向に延びる帯状のエリアについて所定間隔ごと区切った各エリアをエリアARとして特定する。例えば、位置特定部301は、主走査方向に延びる帯状のエリアについて、液体吐出ユニット132の吐出ヘッド800ごとに対応するエリアをエリアARとして特定するものとしてもよい。
【0093】
標準偏差算出部302は、位置特定部301により特定された読取データの各エリア(紙白エリアWAR、各エリアAR)において、副走査方向の画素列ごとに読取値(濃度)の合計値を算出し、各合計値の平均値(第1平均値)を算出することによりこれらの合計値の標準偏差を算出する機能部である。なお、標準偏差算出部302には、各エリアにおいて、上述の合計値についての標準偏差を算出することに限定されず、例えば、各エリアの読取値についての標準偏差を算出してもよい。この場合、後述する外れ値判定部303では、当該標準偏差を用いて、各エリアの各読取値が外れ値であるか否かが判定される。上述の合計値、読取値は、本発明の「読取値に関する値」の一例である。また、標準偏差算出部302は、各エリアの読取値の平均値(以下、エリア平均値と称する場合がある)(第2平均値)を算出する。なお、この場合、標準偏差算出部302は、後述する外れ値判定部303により外れ値と判定された合計値に対応する読取値を除外した上で、各エリアの読取値のエリア平均値を算出するものとしてもよい。
【0094】
外れ値判定部303は、標準偏差算出部302により算出された読取データのエリア(紙白エリアWAR、各エリアAR)ごとの標準偏差を用いて、各エリアでの各合計値が外れ値であるか否かを判定する機能部である。例えば、外れ値判定部303は、対象とするエリアの各合計値が、当該エリアの平均値±標準偏差の範囲に含まれていない場合、外れ値であると判定する。なお、対象とするエリアの各合計値について明らかな外れ値として判定したい場合には、例えば、外れ値判定部303は、対象とするエリアの各合計値が、当該エリアの平均値±2×標準偏差の範囲に含まれていない場合、外れ値であると判定してよい。すなわち、外れ値判定部303は、標準偏差に関する比較によって外れ値であるか否かを判定する。また、対象とするエリアにおいて合計値が外れ値であるということは、当該エリアの当該合計値に対応する画素列に、上述の読取装置40の汚れに起因する異常な読取値(異常値)が存在するということである。
【0095】
カウント部304は、外れ値判定部303により各エリアで外れ値と判定された回数(カウント値)をカウントする機能部である。例えば、カウント部304は、エリアごとに外れ値と判定された回数をカウントしてもよく、すべてのエリア(すなわち、読取データ全体)で外れ値と判定された回数をカウントしてもよい。
【0096】
置換部305は、読取データの各エリアにおいて、外れ値判定部303により外れ値と判定された合計値に対応する画素列の読取値を、エリア平均値に置換する機能部である。すなわち、外れ値と判定された合計値に対応する画素列には、上述のように異常な読取値が含まれているため、当該画素列の読取値をすべてエリア平均値に置換することによって、均一化処理に対する異常値の影響を抑制することができる。また、上述のように、標準偏差算出部302によって、外れ値判定部303により外れ値と判定された合計値に対応する読取値を除外した上で、各エリアの読取値のエリア平均値が算出された場合、均一化処理に対する異常値の影響をさらに抑制することができる。
【0097】
均一化判定部306は、カウント部304によりカウントされた外れ値のカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定する機能部である。当該閾値は、例えば、上述のDFE20の設定部203により設定されたパラメータであってもよく、または固定値であってもよい。均一化判定部306により外れ値のカウント値が所定の閾値以下であると判定された場合には、読取装置40の汚れの程度が均一化処理を行うにあたって許容できるものと判断し、置換部305により外れ値をエリア平均値で置換した読取データを用いて、均一化処理が行われる。一方、均一化判定部306により外れ値のカウント値が所定の閾値を超過していると判定された場合には、読取装置40の汚れの程度が均一化処理を行うにあたって許容できないものであると判断し、均一化処理を実行せずに、読取装置40に対する清掃をユーザに促す。
【0098】
均一化処理部307は、チャートの読取データを用いて、印刷出力された画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理を行う機能部である。ここにおけるチャートの読取データは、外れ値判定部303によりいずれかのエリアで合計値について外れ値があると判定された場合には、置換部305により当該合計値に対応する画素列の読取値がエリア平均値に置換されたものである。また、具体的には、均一化処理部307による均一化処理により、画像形成装置10で印刷出力された画像の主走査方向の濃度を均一にするような補正値が算出される。
【0099】
均一化処理部307は、均一化処理により算出された補正値を、ネットワークI/F708を介して画像形成装置10へ送信する。画像形成装置10の画像形成部103は、取得部101により取得された印刷データに対して、均一化処理部307による均一化処理で算出された補正値により補正した上で、シート材Pに画像形成する。これによって、上述の図9に示したチャートの印刷物のような主走査方向で濃度のばらつきが解消された状態で、画像形成を行うことができる。ここで、図10(a)では、均一化処理を行う前に、主走査方向に延びる同一の濃度の画像の印刷データをシート材Pに印刷した場合、液体吐出ユニット132の各吐出ヘッド800の個体差によって、実際に印刷された画像が各吐出ヘッド800に対応するエリアごとの濃度にばらつきがある状態が示されている。一方、図10(b)では、均一化処理を行い、上述の補正値により当該印刷データに対して補正をした上でシート材Pに画像形成を行った状態が示されており、実際に印刷された画像において各吐出ヘッド800の個体差に起因する濃度のばらつきが解消されていることが示されている。
【0100】
汚れ位置出力部308は、均一化判定部306により外れ値のカウント値が所定の閾値を超過していると判定された場合に、読取データに対して外れ値の画素列の位置を付加したデータを、ネットワークI/F708を介して画像形成装置10へ出力する機能部である。読取データに対して外れ値の画素列の位置を付加したデータについては、後述の図13および図14で詳述する。画像形成装置10の表示制御部104は、画像処理装置30から受信した読取データに対して外れ値の画素列の位置を付加したデータを、表示部105に表示させることにより、読取装置40に対する清掃を促す。この場合、表示制御部104は、当該データだけでなく、清掃を促す旨の明示的な表示を表示部105に表示させてもよい。これによって、ユーザは、読取装置40に対する清掃の必要性を認知し、かつ清掃のタイミングを把握することができ、さらに、表示部105に表示された読取データに対して外れ値の画素列の位置を付加したデータを見ることによって、読取装置40のどの部分を清掃すればよいのかを把握することもできる。
【0101】
上述の位置特定部301、標準偏差算出部302、外れ値判定部303、カウント部304、置換部305、均一化判定部306、均一化処理部307および汚れ位置出力部308は、図6に示すCPU701によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、位置特定部301、標準偏差算出部302、外れ値判定部303、カウント部304、置換部305、均一化判定部306、均一化処理部307および汚れ位置出力部308の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0102】
また、図7に示す画像処理装置30の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、図7に示す画像処理装置30で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、図7に示す画像処理装置30で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0103】
(画像形成システムの汚れ検知・均一化処理の流れ)
図11は、実施形態に係る画像形成システムの汚れ検知・均一化処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12は、実施形態に係る画像形成システムの前処理の流れの一例を示すフローチャートである。図13は、実施形態に係る画像形成システムにおいて読取データに汚れ位置を明示する前の状態の一例を示す図である。図14は、実施形態に係る画像形成システムにおいて読取データに汚れ位置を明示した状態の一例を示す図である。図11図14を参照しながら、本実施形態に係る画像形成システム1の汚れ検知・均一化処理の流れについて説明する。
【0104】
<ステップS11>
DFE20のチャート生成部201は、均一化処理で用いるチャートの印刷データを生成する。この場合、ユーザによる操作部609に対する操作に応じて、チャート生成部201は、当該印刷データを生成するものとしてもよい。DFE20の印刷データ出力部202は、チャート生成部201により生成されたチャートの印刷データを、ネットワークI/F606を介して、画像形成装置10で印刷処理させるために出力する。そして、ステップS12へ移行する。
【0105】
<ステップS12>
画像形成装置10の取得部101は、DFE20から外部I/F504を介して、チャート生成部201により生成された、均一化処理に使用するチャートの印刷データを取得する。そして、画像形成装置10の画像形成部103は、取得部101により取得されたチャートの印刷データに基づいて、シート材Pに画像形成(印刷)を行う。そして、ステップS13へ移行する。
【0106】
<ステップS13>
画像形成装置10の読取部102は、例えば、画像形成部103によりチャートが印刷された印刷物としてのシート材Pに対して読み取り処理を行い、チャートの読取データを得る。そして、画像形成装置10の外部I/F504は、読取部102により得られたチャートの読取データを画像処理装置30へ送信する。そして、ステップS14へ移行する。
【0107】
<ステップS14>
画像処理装置30は、ネットワークI/F708を介してチャートの読取データを受信すると、図12に示す以下のステップS141~S147の前処理を実行する。
【0108】
<<ステップS141>>
画像処理装置30の位置特定部301は、画像形成装置10(読取装置40)からネットワークI/F708を介して取得したチャートの読取データについて、標準偏差算出部302により標準偏差が算出される単位となる各エリアを特定する。具体的には、位置特定部301は、図9に示したように、インクの印字が行われていない領域に対応する紙白エリアWARを特定し、さらにインクが印字されている領域については、各濃度の主走査方向に延びる帯状のエリアについて所定間隔ごと区切った各エリアをエリアARとして特定する。そして、ステップS142へ移行する。
【0109】
<<ステップS142>>
画像処理装置30の標準偏差算出部302は、読取データに対して、処理対象となるエリアを初期化する。また、画像処理装置30のカウント部304は、後述する外れ値のカウント値を初期化する。そして、ステップS143へ移行する。
【0110】
<<ステップS143>>
位置特定部301により特定された各エリアのうち、標準偏差算出部302により標準偏差の算出がまだ行われていない、処理対象となるエリアが残っている場合(ステップS143:Yes)、標準偏差算出部302は、処理対象となるエリアを特定し、ステップS144へ移行する。一方、処理対象となるエリアが残っていない場合、すなわち、読取データの各エリアのすべてについて標準偏差の算出が行われた場合(ステップS143:No)、画像処理装置30は、前処理を終了し、ステップS15へ移行する。
【0111】
<<ステップS144>>
標準偏差算出部302は、処理対象のエリアにおいて、副走査方向の画素列ごとに読取値(濃度)の合計値を算出し、各合計値の平均値を算出することによりこれらの合計値の標準偏差を算出する。また、標準偏差算出部302は、各エリアの読取値の平均値であるエリア平均値を算出する。そして、ステップS145へ移行する。
【0112】
<<ステップS145>>
画像処理装置30の外れ値判定部303は、標準偏差算出部302により算出された処理対象のエリアの標準偏差を用いて、当該エリアでの各合計値が外れ値であるか否かを判定する。例えば、外れ値判定部303は、処理対象のエリアの各合計値が、当該エリアの平均値±標準偏差の範囲に含まれていない場合、外れ値であると判定する。そして、ステップS146へ移行する。
【0113】
<<ステップS146>>
外れ値判定部303により処理対象のエリアの各合計値に外れ値が含まれると判定された場合(ステップS146:Yes)、ステップS147へ移行し、外れ値が含まれていない場合(ステップS146:No)、ステップS143へ戻る。
【0114】
<<ステップS147>>
画像処理装置30のカウント部304は、外れ値判定部303により処理対象のエリアで各合計値に外れ値が含まれると判定された回数(カウント値)をカウントする。例えば、カウント部304は、エリアごとに外れ値と判定された回数をカウントしてもよく、すべてのエリア(すなわち、読取データ全体)で外れ値と判定された回数をカウントしてもよい。また、画像処理装置30の置換部305は、処理対象のエリアにおいて、外れ値判定部303により外れ値と判定された合計値に対応する画素列の読取値を、エリア平均値に置換する。すなわち、外れ値と判定された合計値に対応する画素列には、上述のように異常な読取値(外れ値)が含まれているため、当該画素列の読取値をすべてエリア平均値に置換することによって、均一化処理に対する異常値の影響を抑制することができる。そして、ステップS143へ戻る。
【0115】
<ステップS15>
画像処理装置30の均一化判定部306は、カウント部304によりカウントされた外れ値のカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定する。カウント値が所定の閾値以下である場合(ステップS15:Yes)、ステップS16へ移行し、カウント値が所定の閾値を超過している場合(ステップS15:No)、ステップS17へ移行する。
【0116】
<ステップS16>
画像処理装置30の均一化処理部307は、チャートの読取データを用いて、印刷出力された画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理を行う。ここにおけるチャートの読取データは、外れ値判定部303によりいずれかのエリアで合計値について外れ値があると判定された場合には、置換部305により当該合計値に対応する画素列の読取値がエリア平均値に置換されたものである。具体的には、均一化処理部307は、均一化処理により、画像形成装置10で印刷出力された画像の主走査方向の濃度を均一にするような補正値を算出する。均一化処理部307は、均一化処理により算出された補正値を、ネットワークI/F708を介して画像形成装置10へ送信する。以後、画像形成装置10の画像形成部103は、取得部101により取得された印刷データに対して、均一化処理部307による均一化処理で算出された補正値により補正した上で、シート材Pに画像形成する。そして、汚れ検知・均一化処理を終了する。
【0117】
<ステップS17>
画像処理装置30の汚れ位置出力部308は、読取データに対して外れ値の画素列の位置を付加したデータを、ネットワークI/F708を介して画像形成装置10へ出力する。ここで、図13に、読取データについて、紙白エリアWARに対して位置特定部301により特定された、各濃度の主走査方向に延びる帯状のエリアについて区切られたエリア(例えば、液体吐出ユニット132の吐出ヘッド800ごとに対応するエリア)の境界を示す区切り線LNを表示したものを示す。例えば、汚れ位置出力部308は、読取データに対して外れ値の画素列の位置を付加したデータとして、図14に示すように、図13に示した読取データの紙白エリアWARに、各エリアで外れ値を含む副走査方向に延びる画素列の位置(主走査方向での位置)を示す線を追加したデータを生成する。
【0118】
そして、画像形成装置10の表示制御部104は、画像処理装置30から受信した読取データに対して外れ値の画素列の位置を付加したデータを、表示部105に表示させることにより、読取装置40に対する清掃を促す。これによって、ユーザは、読取装置40に対する清掃の必要性を認知し、かつ清掃のタイミングを把握することができ、さらに、表示部105に表示された読取データに対して外れ値の画素列の位置を付加したデータを見ることによって、読取装置40のどの部分を清掃すればよいのかを把握することもできる。そして、汚れ検知・均一化処理を終了する。
【0119】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システム1では、読取部102は、ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置10が備えるラインヘッドの液体吐出ユニット132で形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、画像形成装置10により印刷媒体に画像形成されたものを読み取り、読取データを得、位置特定部301は、読取データの帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切ったエリア(紙白エリアWAR、エリアAR)を特定し、標準偏差算出部302は、エリアそれぞれについて、読取値に関する値(副走査方向の画素列の読取値の合計値等)の標準偏差を算出し、外れ値判定部303は、エリアそれぞれについて、読取値に関する値が標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定するものとしている。これによって、印字した濃度それぞれに対して分布のばらつきを解析して読取装置の汚れを精度よく検知することができる。
【0120】
また、本実施形態に係る画像形成システム1では、カウント部304は、外れ値判定部303によりそれぞれのエリアにおいて外れ値と判定された回数をカウントし、均一化判定部306は、カウント部304によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定し、表示制御部104は、均一化判定部306によりカウント値が所定の閾値を超過していると判定された場合、読取部102に対する清掃を促す旨を表示部105に表示させるものとしている。これによって、ユーザは、読取装置40(読取部102)に対する清掃の必要性を認知し、かつ清掃のタイミングを把握することができる。
【0121】
また、本実施形態に係る画像形成システム1では、カウント部304は、外れ値判定部303によりそれぞれのエリアにおいて外れ値と判定された回数をカウントし、均一化判定部306は、カウント部304によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定し、表示制御部104は、均一化判定部306によりカウント値が所定の閾値を超過していると判定された場合、読取データにおける外れ値を含む画素列の位置を付加したデータを表示部105に表示させるものとしている。これによって、ユーザは、読取装置40(読取部102)のどの部分を清掃すればよいのかを把握することができる。
【0122】
また、本実施形態に係る画像形成システム1では、標準偏差算出部302は、エリアそれぞれの読取値のエリア平均値を算出し、カウント部304は、外れ値判定部303によりそれぞれのエリアにおいて外れ値と判定された回数をカウントし、置換部305は、外れ値判定部303によりそれぞれのエリアにおいて外れ値と判定された場合、外れ値の基となる読取値を、エリア平均値に置換し、均一化判定部306は、カウント部304によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定し、均一化処理部307は、均一化判定部306によりカウント値が所定の閾値以下であると判定された場合、置換部305により置換された読取データを用いて、均一化処理を行うものとしている。これによって、外れ値に対応する画素列には、上述のように異常な読取値が含まれているため、当該画素列の読取値をすべてエリア平均値に置換することによって、均一化処理に対する異常値の影響を抑制することができる。
【0123】
また、本実施形態に係る画像形成システム1では、標準偏差算出部302は、外れ値判定部303によりそれぞれのエリアにおいて外れ値と判定された読取値に関する値に対応する当該読取値を除外した上で、エリアそれぞれのエリア平均値を算出するものとしている。これによって、均一化処理に対する異常値の影響をさらに抑制することができる。
【0124】
なお、上述の実施形態において、画像形成装置10、DFE20および画像処理装置30の各機能部の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態に係る画像形成装置10、DFE20および画像処理装置30で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態に係る画像形成装置10、DFE20および画像処理装置30で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態に係る画像形成装置10、DFE20および画像処理装置30で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態に係る画像形成装置10、DFE20および画像処理装置30で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上述の記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【0125】
また、上述の実施形態での各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上述した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0126】
本発明の態様は、以下の通りである。
<1>ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置を含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置が備えるラインヘッドの吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものを読み取り、読取データを得る読取部と、
前記読取データの前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定部と、
前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出部と、
前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する第1判定部と、
を含む画像形成システムである。
<2>前記算出部は、前記分割エリアそれぞれについて、副走査方向の画素列ごとに前記読取値の合計値を算出し、前記合計値の第1平均値を算出することにより該合計値の前記標準偏差を算出する前記<1>に記載の画像形成システムである。
<3>前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により前記カウント値が前記閾値を超過していると判定された場合、前記読取部に対する清掃を促す旨を表示装置に表示させる表示制御部と、
をさらに備えた前記<1>または<2>に記載の画像形成システムである。
<4>前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により前記カウント値が前記閾値を超過していると判定された場合、前記読取データにおける前記外れ値を含む画素列の位置を付加した情報を表示装置に表示させる表示制御部と、
をさらに備えた前記<1>または<2>に記載の画像形成システムである。
<5>前記算出部は、前記分割エリアそれぞれの前記読取値の第2平均値を算出し、
前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された回数をカウントするカウント部と、
前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された場合、該外れ値の基となる前記読取値を、前記第2平均値に置換する置換部と、
前記カウント部によりカウントされたカウント値が所定の閾値以下であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により前記カウント値が前記閾値以下であると判定された場合、前記置換部により置換された前記読取データを用いて、前記均一化処理を行う均一化処理部と、
をさらに備えた前記<1>または<2>に記載の画像形成システムである。
<6>前記算出部は、前記第1判定部によりそれぞれの前記分割エリアにおいて前記外れ値と判定された前記読取値に関する値に対応する該読取値を除外した上で、前記分割エリアそれぞれの前記第2平均値を算出する前記<5>に記載の画像形成システムである。
<7>前記均一化処理部は、前記第2判定部により前記カウント値が前記閾値を超過していると判定された場合、前記均一化処理を行わない前記<5>または<6>に記載の画像形成システムである。
<8>ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置が備える吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、読取装置によって前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものが読み取られた読取データにおいて、前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定部と、
前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出部と、
前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する判定部と、
を備えた画像処理装置である。
<9>ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置が備える吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、読取装置によって前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものが読み取られた読取データにおいて、前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定ステップと、
前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出ステップと、
前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する判定ステップと、
を有する画像処理方法である。
<10>コンピュータに、
ラインヘッドのインクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置が備える吐出ユニットで形成される画像の主走査方向の濃度を均一にする均一化処理のための、主走査方向に濃度が一定となる帯状のエリアを、濃度を変えて複数副走査方向に並べたチャートについて、読取装置によって前記画像形成装置により印刷媒体に画像形成されたものが読み取られた読取データにおいて、前記帯状のエリアそれぞれについて所定間隔で区切った分割エリアを特定する特定ステップと、
前記分割エリアそれぞれについて、読取値に関する値の標準偏差を算出する算出ステップと、
前記分割エリアそれぞれについて、前記読取値に関する値が前記標準偏差に関する比較により外れ値であるか否かを判定する判定ステップと、
を実行させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0127】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
20 DFE
30 画像処理装置
40 読取装置
50 PC
101 取得部
102 読取部
103 画像形成部
104 表示制御部
105 表示部
110 搬入部
111a 下段搬入トレイ
111b 上段搬入トレイ
112a、112b 給送装置
120 印刷部
130 作像部
131 ドラム
132、132C、132K、132M、132Y 液体吐出ユニット
134 入口回転体
135 出口回転体
140 定着部
141 搬送ベルト
142 加熱部
143 シート検知センサ
144 吸引部
150 両面機構部
151 反転経路
152 両面経路
161 搬入経路
162 搬送ローラ対
163 駆動ローラ
164 従動ローラ
165 搬送ローラ対
166 搬送ローラ対
167 搬出経路
168 搬送ローラ対
170 制御部
180 表示部
190 搬出部
191 搬出トレイ
201 チャート生成部
202 印刷データ出力部
203 設定部
301 位置特定部
302 標準偏差算出部
303 外れ値判定部
304 カウント部
305 置換部
306 均一化判定部
307 均一化処理部
308 汚れ位置出力部
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 外部I/F
505 I/F
511 ヘッド駆動制御回路
512 回転駆動回路
513 搬送駆動回路
514 加熱駆動回路
515 吸引駆動回路
516 センサI/F
517 搬送駆動回路
601 CPU
602 ROM
603 RAM
604 GPU
605 HDD
606 ネットワークI/F
607 I/F
608 表示部
609 操作部
610 バス
701 CPU
702 ROM
703 RAM
704 GPU
705 ASIC
706 FPGA
707 SSD
708 ネットワークI/F
710 バス
800、800a~800e 吐出ヘッド
AR エリア
LN 区切り線
P シート材
WAR 紙白エリア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0128】
【特許文献1】特開2021-190778号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14