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特開2024-78991発光装置の特性解析方法及び特性解析装置並びに照明装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078991
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】発光装置の特性解析方法及び特性解析装置並びに照明装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20240604BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240604BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240604BHJP
   G01M 11/00 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
H01L33/00 K
H01L33/58
F21S2/00 410
F21S2/00 480
G01M11/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191661
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄規
(72)【発明者】
【氏名】山岡 賢介
【テーマコード(参考)】
2G086
3K244
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
2G086EE03
3K244AA01
3K244AA04
3K244BA08
3K244BA50
3K244CA02
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA16
3K244GA02
5F142BA32
5F142CA13
5F142CB11
5F142CE03
5F142DA02
5F142DA13
5F142DA73
5F142DB16
5F142FA40
5F142GA01
5F142GA21
5F142GA29
5F241AA46
(57)【要約】
【課題】複数の発光素子上に光拡散部材が配置された発光装置の特性を発光素子毎に解析可能な発光装置の特性解析方法を提供する。
【解決手段】本特性解析方法は、所定の配置関係に基づいて配置された複数の発光素子と、複数の発光素子上に配置された光拡散部材とを備える発光装置の特性を解析する。本特性解析方法は、複数の発光素子のうちの少なくとも1つを点灯させたときの光拡散部材を透過した光を輝度計測装置により計測し、画素毎の輝度値を記録した輝度データを取得する第1の輝度データ取得工程(S10)と、第1の輝度データ取得工程により取得された輝度データに対してデータ処理を行うことにより配置関係を位置決めするための基準点を特定し、基準点及び配置関係に基づいて発光素子毎の位置を推定する位置推定工程(S20)とを含む。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配置関係に基づいて配置された複数の発光素子と、複数の前記発光素子上に配置された光拡散部材とを備える発光装置の特性を解析する特性解析方法であって、
複数の前記発光素子のうちの少なくとも1つを点灯させたときの前記光拡散部材を透過した光を輝度計測装置により計測し、画素毎の輝度値を記録した輝度データを取得する第1の輝度データ取得工程と、
前記第1の輝度データ取得工程により取得された前記輝度データに対してデータ処理を行うことにより前記配置関係を位置決めするための基準点を特定し、前記基準点及び前記配置関係に基づいて前記発光素子毎の位置を推定する位置推定工程とを含む、
特性解析方法。
【請求項2】
前記第1の輝度データ取得工程は、複数の前記発光素子が配置される素子配置領域の外縁側に位置する前記発光素子を点灯させたときの前記光拡散部材を透過した光を前記輝度計測装置により計測し、前記輝度データを取得する、
請求項1に記載の特性解析方法。
【請求項3】
複数の前記発光素子のすべてを点灯させたときの前記光拡散部材を透過した光を前記輝度計測装置により計測し、前記輝度データを取得する第2の輝度データ取得工程と、
前記第2の輝度データ取得工程により取得された前記輝度データと、前記位置推定工程により推定された前記発光素子毎の位置とに基づいて、前記発光素子毎の輝度値を算出する輝度値算出工程とをさらに含む、
請求項1に記載の特性解析方法。
【請求項4】
前記第2の輝度データ取得工程は、前記第1の輝度データ取得工程を兼ねる、
請求項3に記載の特性解析方法。
【請求項5】
前記輝度値算出工程により算出された前記発光素子毎の輝度値と、所定の輝度基準値とに基づいて、前記発光素子の輝度を制御するための前記発光素子毎の制御量を算出する制御量算出工程をさらに含む、
請求項3に記載の特性解析方法。
【請求項6】
前記第2の輝度データ取得工程は、前記第1の輝度データ取得工程を兼ねる、
請求項5に記載の特性解析方法。
【請求項7】
前記位置推定工程は、
隣接する前記画素間における前記輝度値の変化からエッジを検出することにより前記輝度データからエッジデータを生成し、
前記エッジに重なるように配置される複数の線分と、前記線分同士が交差する交点で定められる複数の角部とを前記エッジデータ上で特定し、
前記エッジデータ上の前記線分と、前記エッジとの間の重なり度合いに基づいて、前記エッジデータ上の複数の前記角部のうちの1つを前記基準点として特定する、
請求項2、請求項4又は請求項6に記載の特性解析方法。
【請求項8】
前記位置推定工程は、
前記エッジデータ上の複数の前記線分のうちの前記重なり度合いが高い前記線分の傾きに基づいて、前記輝度データ又は前記エッジデータを回転補正するための回転角度を特定し、
前記回転角度により回転補正した前記輝度データ又は前記エッジデータにおいて前記基準点を特定する、
請求項7に記載の特性解析方法。
【請求項9】
前記位置推定工程は、
前記画素毎の輝度値に対する閾値に基づいて、前記画素のそれぞれを白画素及び黒画素のいずれかに二値化することにより前記輝度データから二値化データを生成し、
前記白画素の集合である白画素領域の外縁に重なるように配置される複数の線分と、前記線分同士が交差する交点で定められる複数の角部とを前記二値化データ上で特定し、
前記二値化データ上の前記角部と、複数の前記発光素子が配置される素子配置領域における角部との間の形状の特徴の一致度合いに基づいて、前記二値化データ上の複数の前記角部のうちの1つを前記基準点として特定する、
請求項2、請求項4又は請求項6に記載の特性解析方法。
【請求項10】
前記位置推定工程は、
前記二値化データ上で特定した前記基準点に位置する第1の画素を起点にして、前記画素の配列方向に前記白画素の数をカウントしたときの第1のカウント値と、前記第1の画素に隣接する第2の画素を起点にして、前記配列方向に前記白画素の数をカウントしたときの第2のカウント値とを取得し、
前記第2のカウント値が前記第1のカウント値に対して所定の白画素基準値よりも多い場合、前記第2の画素を前記基準点に変更する、
請求項9に記載の特性解析方法。
【請求項11】
前記位置推定工程は、
前記画素毎の輝度値に基づくヒストグラムのピークに対応する前記輝度値をピーク輝度値として特定し、
前記ピーク輝度値に所定の閾値係数を乗算することで前記閾値を算出する、
請求項9に記載の特性解析方法。
【請求項12】
前記位置推定工程は、
隣接する前記画素間における前記輝度値の変化からエッジを検出することにより前記輝度データからエッジデータを生成し、前記エッジに重なるように配置される複数の線分と、前記線分同士が交差する交点で定められる複数の角部とを前記エッジデータ上で特定する第1のデータ処理と、前記画素毎の輝度値に対する閾値に基づいて、前記画素のそれぞれを白画素及び黒画素のいずれかに二値化する二値化処理を行うことにより前記輝度データから二値化データを生成し、前記白画素の集合である白画素領域の外縁に重なるように配置される複数の線分と、前記線分同士が交差する交点で定められる複数の角部とを前記二値化データ上で特定する第2のデータ処理とを実行し、
前記エッジデータ上の複数の前記角部に基づく第1の外形と、前記二値化データ上の複数の前記角部に基づく第2の外形とから、複数の前記発光素子が配置される素子配置領域における外形に近い方を選択し、
前記第1の外形を選択した場合、前記エッジデータ上の前記線分と、前記エッジとの間の重なり度合いに基づいて、前記エッジデータ上の複数の前記角部のうちの1つを前記基準点として特定し、
前記第2の外形を選択した場合、前記二値化データ上の前記角部と、前記素子配置領域における角部との間の形状の特徴の一致度合いに基づいて、前記二値化データ上の複数の前記角部のうちの1つを前記基準点として特定する、
請求項2、請求項4又は請求項6に記載の特性解析方法。
【請求項13】
前記輝度値算出工程は、
前記発光素子毎の位置に基づいて、前記輝度データと、前記素子配置領域を前記配置関係に基づいて分割して複数の前記発光素子のそれぞれに割り当てた複数の単位素子配置領域とを重ねて、前記画素が前記単位素子配置領域に重なる部分の面積比を前記画素毎に特定し、
前記面積比により重み付けをした前記画素毎の輝度値を前記単位素子配置領域毎に集計することにより前記単位素子配置領域毎の輝度値を算出する、
請求項4又は請求項6に記載の特性解析方法。
【請求項14】
所定の配置関係に基づいて配置された複数の発光素子と、複数の前記発光素子上に配置された光拡散部材とを備える発光装置の特性を解析する特性解析装置であって、
複数の前記発光素子のうちの少なくとも1つを点灯させたときの前記光拡散部材を透過した光を輝度計測装置により計測し、画素毎の輝度値を記録した輝度データを取得する第1の輝度データ取得部と、
前記第1の輝度データ取得部により取得された前記輝度データに対してデータ処理を行うことにより前記配置関係を位置決めするための基準点を特定し、前記基準点及び前記配置関係に基づいて前記発光素子毎の位置を推定する位置推定部とを備える、
特性解析装置。
【請求項15】
複数の前記発光素子のすべてを点灯させたときの前記光拡散部材を透過した光を前記輝度計測装置により計測し、前記輝度データを取得する第2の輝度データ取得部と、
前記第2の輝度データ取得部により取得された前記輝度データと、前記位置推定部により推定された前記発光素子毎の位置とに基づいて、前記発光素子毎の輝度値を算出する輝度値算出部とをさらに備える、
請求項14に記載の特性解析装置。
【請求項16】
前記輝度値算出部により算出された前記発光素子毎の輝度値と、所定の輝度基準値とに基づいて、前記発光素子の輝度を制御するための前記発光素子毎の制御量を算出する制御量算出部をさらに備える、
請求項15に記載の特性解析装置。
【請求項17】
所定の配置関係に基づいて配置された複数の発光素子と、複数の前記発光素子上に配置された光拡散部材とを備える発光装置を準備する準備工程と、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の特性解析方法により、前記準備工程で準備された前記発光装置の特性を解析する特性解析工程と、
前記特性解析工程で前記特性が解析された解析結果に基づいて、前記準備工程で準備された前記発光装置と、前記発光装置が発する光を導く導光部材とを備える照明装置を組み立てる組立工程とを含む、
照明装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の特性解析方法及び特性解析装置並びに照明装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子を備える発光装置の製造工程では、発光装置の特性(光学特性や電気特性等)を解析することにより、例えば、発光素子の品質検査や輝度調整が実施されている。例えば、特許文献1には、照明装置から発光素子に照射光を照射し、発光素子からの反射光をカメラで撮影し、その撮影した画像を解析することにより、発光素子の位置を認識し、外観異常の有無を判断する発光素子の検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-192708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両や表示装置等の各種の光源として、複数の発光素子と、複数の発光素子上に配置された光拡散部材とを備える発光装置が開発されて採用されている。このような発光装置の製造工程においても、各発光素子の品質検査や輝度調整が必要となる。しかし、光拡散部材が透明でないような場合には、光拡散部材の存在により各発光素子の位置や外形を外部から認識することができず、発光装置の特性を発光素子毎に解析することは困難である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、複数の発光素子上に光拡散部材が配置された発光装置の特性を発光素子毎に解析可能な発光装置の特性解析方法、及び、特性解析装置、並びに、照明装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、本発明の一態様に係る特性解析方法は、
所定の配置関係に基づいて配置された複数の発光素子と、複数の前記発光素子上に配置された光拡散部材とを備える発光装置の特性を解析する特性解析方法であって、
複数の前記発光素子のうちの少なくとも1つを点灯させたときの前記光拡散部材を透過した光を輝度計測装置により計測し、画素毎の輝度値を記録した輝度データを取得する第1の輝度データ取得工程と、
前記第1の輝度データ取得工程により取得された前記輝度データに対してデータ処理を行うことにより前記配置関係を位置決めするための基準点を特定し、前記基準点及び前記配置関係に基づいて前記発光素子毎の位置を推定する位置推定工程とを含む。
【0007】
また、本発明の別の態様に係る特性解析装置は、
所定の配置関係に基づいて配置された複数の発光素子と、複数の前記発光素子上に配置された光拡散部材とを備える発光装置の特性を解析する特性解析装置であって、
複数の前記発光素子のうちの少なくとも1つを点灯させたときの前記光拡散部材を透過した光を輝度計測装置により計測し、画素毎の輝度値を記録した輝度データを取得する第1の輝度データ取得部と、
前記第1の輝度データ取得部により取得された前記輝度データに対してデータ処理を行うことにより前記配置関係を位置決めするための基準点を特定し、前記基準点及び前記配置関係に基づいて前記発光素子毎の位置を推定する位置推定部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様に係る特性解析方法及び特性解析装置によれば、複数の発光素子上に光拡散部材が配置された発光装置の特性を発光素子毎に解析することができる。
【0009】
上記以外の具体的な課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る特性解析システム1の一例を示す全体構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る発光装置2の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る発光装置2の一例を示す平面図である。
図4図3に示すIV部の拡大平面図である。
図5図3に示すV-V線の断面図である。
図6図5に示すVI部の拡大断面図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る特性解析システム1を示すブロック図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る特性解析装置4Aの動作を示すフローチャートである。
図9】位置推定部411による位置推定工程(ステップS20)の詳細を示すフローチャートである。
図10】エッジデータD2に対する第1のデータ処理の動作例を示す説明図である。
図11】エッジデータD2に対する回転補正の動作例を示す説明図である。
図12】二値化データD3に対する第2のデータ処理の動作例を示す説明図である。
図13】二値化データD3に対する回転補正の動作例を示す説明図である。
図14】第1の外形及び第2の外形と、素子配置領域214における外形とを比較するときの動作例を示す説明図である。
図15】二値化データD3における基準点Pの補正処理の動作例を示す説明図である。
図16】基準点Pにより発光素子23の配置関係を位置決めするときの動作例を示す説明図である。
図17】輝度値算出部412による輝度値算出工程(ステップS30)の一例を示す説明図である。
図18】制御量算出部413による制御量算出工程(ステップS40)の一例を示す説明図である。
図19】本発明の第2の実施形態に係る特性解析装置4Bを示すブロック図である。
図20】本発明の第2の実施形態に係る特性解析装置4Bの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図は模式的なものであり、適宜強調又は簡略化されている。また、各図の間において、各構成要素の寸法比は必ずしも整合していない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る特性解析システム1の一例を示す全体構成図である。特性解析システム1は、解析対象の発光装置2が発する光の輝度を計測し、その計測結果を輝度データD1として出力する輝度計測装置3と、輝度計測装置3により出力された輝度データD1に対してデータ処理を行うことにより解析対象の発光装置2の特性を解析する特性解析装置4Aとを備える。
【0013】
発光装置2は、任意の用途の光源として用いられる装置である。発光装置2は、単体の装置として機能するだけでなく、他の部品や部材と組み合わせて機能するものでもよい。発光装置2は、例えば、発光装置2が発する光を導く導光部材(レンズ等)と組み合わせて、照明装置を構成することができる。照明装置は、例えば、車両用ヘッドライト、プロジェクタ、ディスプレイ等の光源として用いられる。
【0014】
特性解析システム1は、例えば、発光装置2や照明装置の製造ラインにおいて、発光装置2の特性を解析することにより、発光素子の品質検査や輝度調整を担うシステムである。なお、特性解析装置4Aにより実現される特性解析方法は、製造ラインのインラインにて自動化されて実行されてもよいし、製造ラインのオフラインにて作業者の操作により手動で実行されてもよい。また、特性解析方法は、製造ラインの品質検査や輝度調整以外にも、例えば、発光装置2の性能評価や、点検・修理時の動作確認にて実行されてもよい。さらに、特性解析装置4Aには、一つの輝度計測装置3が接続されていてもよいし、複数の輝度計測装置3が接続されていてもよい。複数の輝度計測装置3が接続されている場合には、複数の輝度計測装置3によりそれぞれ出力された輝度データD1に対してデータ処理をそれぞれ行うようにすればよい。
【0015】
以下、発光装置2、輝度計測装置3及び特性解析装置4Aの詳細を図2乃至図7を参照して説明する。本明細書では、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用して説明する。具体的には、発光装置2が備える第1の基板20及び第2の基板21(詳細は後述する)の厚さ方向を「Z軸」、長手方向を「X軸」、短手方向を「Y軸」とする。Z軸において、発光装置2による光が進行する側の方向を「上」とし、その反対方向を「下」とする。但し、「上」及び「下」の表現も便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。また、本明細書における「平面視」との表現は、Z軸の上側から下側を見た場合を示すものとする。
【0016】
(発光装置2の構成)
図2及び図3は、本発明の第1の実施形態に係る発光装置2の一例を示す斜視図及び平面図である。図4は、図3に示すIV部の拡大平面図である。図5は、図3に示すV-V線の断面図である。図6は、図5に示すVI部の拡大断面図である。
【0017】
発光装置2は、図2乃至図6に示す例では、第1の基板20と、第1の基板20上に配置された第2の基板21と、第1の基板20及び第2の基板21を電気的に接続する複数のワイヤ22と、第2の基板21上に所定の配置関係に基づいて配置された複数の発光素子23と、第2の基板21上において複数の発光素子23の隙間に配置された光反射性部材24と、複数の発光素子23上に配置された光拡散部材25と、複数のワイヤ22を被覆する被覆部材26とを備える。なお、図2及び図3では、説明の便宜上、光拡散部材25及び被覆部材26の一部を省略し、第2の基板21、ワイヤ22及び発光素子23等の一部を可視化している。
【0018】
第1の基板20は、例えば、プリント配線基板である。第1の基板20は、平板状の基体200と、基体200の上面200aに配置されて、ワイヤ22に接続される複数の第1の端子201と、基体200の上面200a及び内部に配置された第1の配線202と、基体200の下面200bに配置されて、第1の端子201及び第1の配線202に接続される複数のパッド(不図示)とを備える。基体200の材料は、例えば、樹脂材料、セラミック材料、又は、これらの複合材料を用いることができる。また、第1の端子201、第1の配線202、及びパッドの材料は、例えば、銅又は金のような金属材料を用いることができる。なお、第1の端子201、第1の配線202、及びパッドは、単層でもよいし、複数層でもよい。
【0019】
本実施形態では、基体200は、平面視矩形状である。基体200は、その上面200aの中央部分に、第2の基板21が配置される平面視矩形状の基板配置領域203を有する。基板配置領域203のY方向の外側には、複数の第1の端子201がX方向に所定の間隔を空けて配列される。
【0020】
第2の基板21は、例えば、集積回路が内蔵された半導体基板である。第2の基板21に含まれる半導体の材料は、例えば、シリコンを用いることができる。第2の基板21は、例えば、平板状の基体210と、基体210の上面210aに配置されて、ワイヤ22に接続される複数の第2の端子211と、基体210の内部に配置された第2の配線(不図示)と、基体210に内蔵された集積回路により構成されて、第2の配線に接続される制御回路部212とを備える。第2の端子211及び第2の配線の材料は、例えば、銅のような金属材料を用いることができる。
【0021】
第2の基板21は、基体200の基板配置領域203に基板接合部材(不図示)を介して接合される。基板接合部材の材料は、例えば、Ag焼結体、半田、接着用樹脂を用いることができる。なお、基板配置領域203は、放熱性を有する金属材料で構成することができる。これにより、基板接合部材との接合強度を向上させることができる。
【0022】
本実施形態では、基体210は、平面視矩形状である。基体210は、その上面210aの中央部分に、複数の発光素子23が配置される平面視矩形状の素子配置領域214を有する。素子配置領域214は、隣接する発光素子23が互いに離隔して配置される場合は、例えば、図4に示すように、最外周に位置する発光素子23の外側面に対して一定の間隔(例えば、隣接す発光素子23の間に存在する隙間の半分の長さ)を空けて引かれる線(図4の破線)で規定することができる。また、素子配置領域214は、隣接する発光素子23が互いに接して配置される場合は、平面視において最外周に位置する発光素子23の外側面(隣接する発光素子23に対面していない面)を結ぶ線で規定することができる。素子配置領域214には、複数のパッド(不図示)が配列されて、複数のパッド上に複数の発光素子23がそれぞれ載置されるとともに、例えば、銅(Cu)等の素子接合部材213により接合される。素子配置領域214のY方向の外側には、複数の第2の端子211がX方向に所定の間隔を空けて配列される。本実施形態では、素子配置領域214は、平面視矩形状であるため、4つの角部Cc1~Cc4を有する。図4に示す拡大平面図では、右下に位置する角部Cc3のみを図示している。
【0023】
制御回路部212は、発光素子23の輝度を制御するための制御量を発光素子毎に記憶するメモリ(不図示)を有する。制御回路部212は、例えば、特性解析装置4Aや照明制御装置等の外部装置から制御量の設定コマンドを受信したとき、その設定コマンドに基づいて、メモリに記憶された制御量を書き換える。設定コマンドは、発光素子毎に制御量を書き換え可能に構成される。制御量は、例えば、発光素子23に通電するときの電流値で設定されてもよいし、既定の電流値に対する増減量を示す補正値として設定されてもよい。
【0024】
また、制御回路部212は、例えば、特性解析装置4Aや照明制御装置等の外部装置から点灯コマンド又は消灯コマンドを受信したとき、その点灯コマンド又は消灯コマンドに応じて発光装置2の点灯又は消灯を制御する。点灯コマンドの場合には、制御回路部212は、メモリに記憶された発光素子23毎の制御量に基づいて、各発光素子23の輝度を制御して点灯する。点灯コマンドは、点灯対象の発光素子23と、点灯対象の発光素子23に対するデューティ比とを発光素子23毎に指定可能に構成される。消灯コマンドは、消灯対象の発光素子23を発光素子23毎に指定可能に構成される。
【0025】
複数のワイヤ22は、第1の基板20の第1の端子201と第2の基板21の第2の端子211とを電気的に接続するための部材である。ワイヤ22は、第2の基板21の外縁を跨ぐようにしてY方向に沿って配置される。ワイヤ22の材料は、例えば、金(Au)を用いることができる。
【0026】
複数の発光素子23は、例えば、上面230から任意の波長の光を出射する素子であり、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ素子等で構成される。発光素子23の上面230は、例えば、各辺40~50μm程度の正方形状であり、発光素子23の厚みは、5~10μm程度である。青色又は緑色の光を出射する発光素子23の材料は、GaN、InGaN、AlGaN等の窒化物半導体、ZnSe、又は、GaPを用いることができる。赤色の光を出射する発光素子23の材料は、GaAlAs、AlInGaP等を用いることができる。
【0027】
複数の発光素子23は、第2の基板21の素子配置領域214に対して、所定の配置関係に基づいて配置されて、第2の基板21のパッドに電気的に接続される。
【0028】
発光素子23の配置関係は、複数の発光素子23が配置される際の規則や寸法を定めるものであり、例えば、配置形態、配置ピッチ、及び、配置数により定められる。配置形態は、行列状、千鳥状、環状等により定められる。配置ピッチは、配置形態が行列状や千鳥状である場合には、隣接する発光素子23の中心間のX方向及びY方向の距離で定められ、配置形態が環状の場合には、隣接する発光素子23の中心間の周方向及び径方向の距離で定められる。配置数は、配置形態が行列状や千鳥状である場合には、X方向及びY方向の配置数で定められ、配置形態が環状の場合には、周方向及び径方向の配置数で定められる。
【0029】
本実施形態では、発光素子23の上面230が、各辺45μmの正方形状であり、発光素子23の配置関係は、X方向及びY方向の配置ピッチがそれぞれ50μmであり、X方向の配置数が256個、Y方向の配置数が64個で構成される行列状の配置形態である場合(発光素子23の合計は16,384個)について説明する。
【0030】
光反射性部材24は、隣接する発光素子23の側面232の間に存在する隙間と、第2の基板21の上面210aと発光素子23の下面231との間に存在する隙間とに配置される。光反射性部材24は、光反射性を有し、例えば、透光性樹脂からなる母材に、粒子状の光反射材を含有する材料で構成される。光反射性部材24の母材は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂等の樹脂を用いることができる。光反射性部材24の光反射材は、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム等を用いることができる。
【0031】
光拡散部材25は、複数の発光素子23の上面230及び光反射性部材24の上面240を被覆するように配置される。光拡散部材25は、透光性及び光拡散性を有し、例えば、透光性樹脂からなる母材に、粒子状の光拡散材を含有する材料で構成される。なお、光拡散部材25は、その母材に、例えば、粒子状の波長変換材をさらに含有するものでもよいし、光拡散材自体が波長変換材として機能するものでもよい。光拡散部材25の母材は、例えば、上述した光反射性部材24の母材と同様の材料を用いることができる。光拡散部材25の光拡散材は、例えば、上述した光反射性部材24の光反射材と同様の材料を用いることができる。光拡散部材25の波長変換材は、発光素子23が出射する光の波長等に応じて任意の蛍光体を用いることができる。発光素子23が、例えば、青色光を出射する場合には、発光素子23からの青色光の一部を吸収し、黄色光を発する波長変換材を用いることができる。これにより、光拡散部材25から発せられた黄色光と、光拡散部材25を通過した青色光との混色によって、白色光が得られる。発光素子23からの青色光の一部を吸収し、黄色光を発する波長変換材としては、例えば、YAG蛍光体が挙げられる。
【0032】
光拡散部材25は、上面250と、上面250の反対側に位置する下面251を有する。光拡散部材25の下面251側に位置する複数の発光素子23のうちの少なくとも1つが点灯したときに、その点灯した発光素子23からの光が下面251に入射される。そして、下面251に入射された光は、光拡散部材25の内部を透過することで拡散(さらに波長変換されてもよい)されて、上面250の少なくとも一部から出射する。
【0033】
被覆部材26は、第1の基板20の上面200aから第2の基板21の上面210aに亘って配置されて、第1の基板20の第1の端子201、ワイヤ22、及び、第2の基板21の第2の端子211を被覆する。被覆部材26は、第1の基板20上に平面視矩形枠状に配置された外側樹脂枠260と、第2の基板21上に平面視矩形枠状に配置された内側樹脂枠261と、外側樹脂枠260と内側樹脂枠261との間に配置されて、ワイヤ22を被覆して保護する保護樹脂262とを備える。
【0034】
被覆部材26は、例えば、遮光性を有し、透光性樹脂からなる母材に、粒子状の光吸収材を含有する材料で構成される。被覆部材26の母材は、例えば、上述した光反射性部材24の母材と同様の材料を用いることができる。被覆部材26の光吸収材は、例えば、カーボンブラック、グラファイト等を用いることができる。被覆部材26は、その母材に、粒子状の光反射材をさらに含有するものでもよい。
【0035】
なお、発光装置2は、光拡散部材25を覆うように、被覆部材26上に配置された保護フィルムを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。また、光反射性部材24、光拡散部材25、及び、被覆部材26には、必要に応じて着色剤や粘度を調整するためのフィラー等を含有させることができる。
【0036】
(輝度計測装置3の構成)
輝度計測装置3は、図1に示すように、その主要な構成要素として解析対象の発光装置2が載置される計測台30と、計測台30の上方に設置されて、発光装置2が発する光の輝度を計測可能な輝度センサ31とを備える。
【0037】
輝度センサ31は、複数の受光素子(画素)が二次元的に配置されたCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等で構成される。輝度センサ31は、例えば、レンズやミラー等を介して発光装置2に向けて設置されて、輝度センサ31による計測領域(画角)内に光拡散部材25が配置される。輝度センサ31は、発光素子23の点灯により光拡散部材25を透過した光を各受光素子により受光し、その光の明暗に応じたデジタル信号に変換することで、画素毎の輝度値を輝度データD1として生成する。
【0038】
また、輝度計測装置3は、特性解析装置4Aとの間で各種のデータや信号を送受信可能に構成される。輝度計測装置3は、例えば、解析対象の発光装置2が点灯するタイミングで特性解析装置4Aから計測コマンドを受信すると、発光装置2が発する光を計測し、その計測結果として、画素毎の輝度値を記録した輝度データD1を生成し、特性解析装置4Aに送信する。
【0039】
なお、計測台30及び輝度センサ31の少なくとも一方は、各種のアクチュエータやロボットマニュピレータ等で構成される移動機構を備えることにより、計測台30と輝度センサ31との間の相対的な位置関係を調整可能に構成されていてもよい。その場合には、輝度計測装置3は、輝度センサ31の計測領域を移動機構によりX方向又はY方向にシフトさせて複数回計測することにより、1つの発光装置2に対して複数の輝度データD1を生成してもよい。複数の輝度データD1は、別々のデータとして処理されてもよいし、輝度計測装置3又は特性解析装置4Aにより合成されることで1つの輝度データD1として処理されてもよい。また、計測台30には、複数の発光装置2が平面視において配列されて載置されてもよい。その場合には、輝度計測装置3は、輝度センサ31の計測領域を移動機構によりX方向又はY方向にシフトさせて各発光装置2をそれぞれ計測することにより、各発光装置2に対して輝度データD1をそれぞれ生成してもよい。
【0040】
(特性解析装置4Aの構成)
図7は、本発明の第1の実施形態に係る特性解析システム1を示すブロック図である。特性解析装置4Aは、例えば、汎用又は専用のコンピュータで構成される。特性解析装置4Aは、図7に示すように、その主要な構成要素として、HDD、SDD、メモリ等により構成される記憶部40と、CPU、MPU、GPU等のプロセッサにより構成される制御部41と、キーボード、マウス、マイク等により構成される入力部42と、ディスプレイ、スピーカ等により構成される出力部43と、任意の通信方式により外部装置と通信可能に接続される通信部44と、USBメモリ等の記録媒体やプリンタ等の周辺機器に接続される外部機器接続部45とを備える。
【0041】
記憶部40は、特性解析装置4Aの動作を制御するプログラムとして、例えば、オペレーティングシステム、ブラウザ、特性解析プログラム400A等を記憶する。また、記憶部40は、特性解析装置4Aの動作で使用されるデータとして、例えば、輝度センサパラメータ401、データベース402等を記憶する。輝度センサパラメータ401には、例えば、輝度センサ31の1画素当たりのX方向及びY方向の距離を示すセンサスケール値と、輝度センサ31の原点(例えば、画角の左下の点)の位置座標を示す原点位置とが含まれる。輝度センサパラメータ401は、治具等を用いて事前に設定された値が記憶される。データベース402は、発光素子23を識別するための発光素子識別情報(発光素子ID)により管理されて、発光装置2毎に、輝度データD1、エッジデータD2、二値化データD3、解析データD4等を記憶する。各データD1~D4の詳細は後述する。
【0042】
制御部41は、記憶部40に記憶された特性解析プログラム400Aを実行することにより、輝度データ取得部410、位置推定部411、輝度値算出部412、制御量算出部413、及び、解析データ出力部414として機能する。各部410~414の詳細は後述する。
【0043】
入力部42及び出力部43は、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、各種の情報を表示画面や音声を介して出力することでユーザインターフェースとして機能する。通信部44は、外部装置(例えば、発光装置2の制御回路部212や輝度計測装置3の輝度センサ31等)との間で各種のデータ、コマンド又は信号を送受信する通信インターフェースとして機能する。通信部44は、有線及び無線のいずれを採用してもよいし、専用の通信回線だけでなく、インターネットやLAN等の汎用の通信回線を採用してもよい。
【0044】
(特性解析方法)
図8は、本発明の第1の実施形態に係る特性解析装置4Aの動作を示すフローチャートである。以下では、解析対象の発光装置2が、図1に示すように、計測台30に載置されるとともに、発光装置2の制御回路部212と、輝度計測装置3の輝度センサ31とが特性解析装置4Aに接続された状態において、特性解析装置4Aが、解析対象の発光装置2の特性を解析する動作(特性解析方法)について説明する。
【0045】
まず、ステップS10(輝度データ取得工程)にて、輝度データ取得部410は、複数の発光素子23のすべてを点灯させたときの輝度データD1を取得する。
【0046】
例えば、輝度データ取得部410は、すべての発光素子23を点灯させるための点灯コマンドを発光装置2に送信するとともに、計測コマンドを輝度計測装置3に送信する。点灯コマンドを受信した発光装置2が、すべての発光素子23を点灯させたタイミングにおいて、計測コマンドを受信した輝度計測装置3が、輝度センサ31にて受光した光の輝度を計測し、その計測結果である輝度データD1を特性解析装置4Aに送信する。その結果、輝度データ取得部410は、計測コマンドに対する応答として、輝度データD1を取得する。したがって、輝度データD1は、発光素子23のすべてを点灯させたときに、すべての発光素子23が発する光の輝度を計測した計測結果として取得される。但し、一部の発光素子に発光不良が生じている場合には、輝度データD1は、その発光不良が生じた一部の発光素子を除いた残りの正常な発光素子23が発する光の輝度を計測した計測結果として取得される。
【0047】
なお、輝度データ取得部410は、過去に計測されて、例えば、記憶部40のデータベース402に記憶された輝度データD1を参照したり、記録媒体に記憶された輝度データD1を外部機器接続部45により参照したりすることで、輝度データD1を取得してもよい。また、輝度データ取得部410は、輝度データD1に含まれる各画素の輝度値を、例えば、256階調のグレースケールに変換し、変換後の輝度データD1を取得してもよい。その場合には、グレースケールへの変換処理は、輝度データ取得部410により行われてもよいし、輝度計測装置3により行われてもよい。本実施形態では、グレースケールに変換後の輝度データD1を用いる場合について説明する。
【0048】
次に、ステップS20(位置推定工程)にて、位置推定部411は、輝度データ取得部410により取得された輝度データD1に対してデータ処理を行うことにより、発光素子23の配置関係を位置決めするための基準点Pを特定し、基準点P及び発光素子23の配置関係に基づいて発光素子23毎の位置を推定する。
【0049】
図9は、位置推定部411による位置推定工程(ステップS20)の詳細を示すフローチャートである。位置推定部411は、ステップS200~S202にて、輝度データD1からエッジデータD2を生成し、エッジデータD2における第1の外形を特定する第1のデータ処理と、ステップS210~S212にて、輝度データD1から二値化データD3を生成し、二値化データD3における第2の外形を特定する第2のデータ処理とを実行する。
【0050】
図10は、エッジデータD2に対する第1のデータ処理の動作例を示す説明図である。図10では、ステップS10にてすべての発光素子23を点灯させたときに取得された輝度データD1の一例を図示している。第1のデータ処理では、ステップS200にて、位置推定部411が、輝度データD1において隣接する画素間における輝度値の変化からエッジを検出するエッジ検出処理を行うことにより、輝度データD1からエッジデータD2を生成する。エッジ検出処理は、例えば、ソーベルフィルタやラプラシアンフィルタ等のエッジフィルタが用いられる。その際、エッジフィルタの前処理として、例えば、平滑化フィルタや鮮鋭化フィルタ等が用いられてもよい。
【0051】
エッジは、隣接する画素間における輝度値の変化度合いが周りの画素に比べて大きい画素である。すなわち、エッジは、明暗の境界部分に位置する画素である。エッジデータD2は、例えば、図10に示すように、エッジとして検出された画素を「1」(白)、それ以外の画素を「0」(黒)として生成される。すべての発光素子23を点灯させた場合には、エッジは、図10に示すように、素子配置領域214の外形に沿って検出される。発光素子23の一部が点灯しなかった場合には、正常に点灯しなかったことにより生じる明暗の境界部分にもエッジが検出される。
【0052】
次に、ステップS201にて、位置推定部411が、エッジに重なるように配置される複数の線分Laと、線分La同士が交差する交点で定められる複数の角部CaとをエッジデータD2上で特定する。例えば、位置推定部411は、エッジデータD2上において、1画素分の幅を有する線分Laを引いたときに、エッジデータD2上の線分Laと、エッジとの間の重なり度合いが高くなるように、線分Laの位置や傾きを変更し、最終的な線分Laを決定する。重なり度合いは、例えば、線分Laを構成する画素全体の画素数を分母とし、線分Laを構成する画素のうちのエッジに重なる画素の画素数を分子とすることで、割合として算出される。その際、線分Laの画素がエッジの画素に重なる状態としては、線分Laの画素がエッジの画素に一致する場合だけでなく、エッジの画素に隣接している場合も含むようにしてよい。そして、ステップS202にて、位置推定部411が、複数の角部Caに基づいて、第1の外形を特定する。
【0053】
本実施形態では、発光素子23の配置関係は、行列状の配置形態であり、素子配置領域214は、平面視矩形状であるため、エッジデータD2上において、図10に示すように、4つの線分La1~La4と、4つの角部Ca1~Ca4とが特定される。そして、4つの角部Ca1~Ca4を結ぶことで、第1の外形が特定される。
【0054】
また、位置推定部411は、エッジデータD2上の複数の線分La1~La4のうちのエッジとの間の重なり度合いが高い線分の傾きに基づいて、輝度データD1又はエッジデータD2を回転補正するための第1の回転角度Raを特定し、第1の回転角度Raにより輝度データD1及びエッジデータD2を回転補正してもよい。
【0055】
図11は、エッジデータD2に対する回転補正の動作例を示す説明図である。図11では、重なり度合いが高い線分として、線分La1が選択された場合を図示している。位置推定部411は、その選択された線分La1と、X軸とがなす角度を第1の回転角度Raとして特定し、第1の回転角度Raにより輝度データD1及びエッジデータD2を回転補正する。なお、回転補正後の輝度データD1及びエッジデータD2は、角部Caを特定する際に用いられてもよいし、さらにステップS201以降で用いられてもよい。例えば、後述するステップS220やステップS230にて、回転補正後の輝度データD1及びエッジデータD2が用いられてもよい。また、第1の回転角度Raにより後述する二値化データD3を回転補正してもよい。
【0056】
図12は、二値化データD3に対する第2のデータ処理の動作例を示す説明図である。図12では、ステップS10にてすべての発光素子23を点灯させたときに取得された輝度データD1の一例を図示している。第2のデータ処理では、ステップS210にて、位置推定部411が、輝度データD1における画素毎の輝度値に対する閾値に基づいて、画素のそれぞれを白画素及び黒画素のいずれかに二値化する二値化処理を行うことにより、輝度データD1から二値化データD3を生成する。輝度値に対する閾値は、例えば、固定の値でもよいし、可変の値でもよい。可変の値とする場合には、位置推定部411は、画素毎の輝度値に基づくヒストグラムのピークに対応する輝度値をピーク輝度値として特定し、ピーク輝度値に所定の閾値係数K1(例えば、0.65等)を乗算することで閾値を算出する。これにより、画素毎の輝度値を計測したときの明るさの変化に柔軟に対応することができる。
【0057】
二値化データD3は、例えば、図12に示すように、輝度値が閾値よりも高い画素を「1」(白画素)、輝度値が閾値よりも低い画素を「0」(黒画素)として生成される。すべての発光素子23を点灯させた場合には、白画素の集合である白画素領域は、図12に示すように、素子配置領域214の外形に基づいて検出される。発光素子23の一部が点灯しなかった場合には、その点灯しなかった発光素子23に対応する位置に応じて、外縁の一部が欠けるか、内側の一部の領域が画素落ちしたような白画素領域が検出される。なお、二値化処理の後処理として、白画素領域の外縁に位置する白画素に対して、例えば、X方向及びY方向に3画素分の白画素が隣接して存在しない場合には、その白画素は、ノイズとみなして黒画素に修正してもよい。
【0058】
次に、ステップS211にて、位置推定部411が、白画素の集合である白画素領域の外縁に重なるように配置される複数の線分Lbと、線分Lb同士が交差する交点で定められる複数の角部Cbとを二値化データD3上で特定する。例えば、位置推定部411は、二値化データD3上において、1画素分の幅を有する線分Lbを引いたときに、白画素領域の外縁を構成する画素に重なるように、線分Lbの位置や傾きを変更し、最終的な線分Lbを決定する。その際、線分Lbの画素が外縁の画素に重なる状態としては、線分Lbの画素が、外縁の画素に一致する場合だけでなく、外縁の画素に隣接している場合も含むようにしてよい。そして、ステップS212にて、位置推定部411が、複数の角部Cbに基づいて、第2の外形を特定する。
【0059】
本実施形態では、発光素子23の配置関係は、行列状の配置形態であり、素子配置領域214は、平面視矩形状であるため、二値化データD3上において、図12に示すように、4つの線分Lb1~Lb4と、4つの角部Cb1~Cb4とが特定される。そして、4つの角部Cb1~Cb4を結ぶことで、第2の外形が特定される。
【0060】
また、位置推定部411は、二値化データD3上において、四隅からの距離が最小となる白画素PXWをそれぞれ特定し、その白画素PXW同士を結ぶ線分の傾きに基づいて、輝度データD1又は二値化データD3を回転補正するための第2の回転角度Rbを特定し、第2の回転角度Rbにより輝度データD1及び二値化データD3を回転補正してもよい。
【0061】
図13は、二値化データD3に対する回転補正の動作例を示す説明図である。図13では、四隅からの距離が最小となる白画素PXW1~PXW4が特定された場合を図示している。位置推定部411は、その特定された白画素PXW同士を結ぶ線分のいずれかと、X軸とがなす角度を第2の回転角度Rbとして特定し、第2の回転角度Rbにより輝度データD1及び二値化データD3を回転補正する。図13では、白画素PXW1、PXW3を結ぶ線分の傾きに基づいて、第2の回転角度Rbが特定された場合を図示している。但し、他の線分の傾きや複数の線分の傾きの平均値に基づいて、第2の回転角度Rbを特定してもよい。なお、回転補正後の輝度データD1及び二値化データD3は、角部Cbを特定する際に用いられてもよいし、さらにステップS211以降で用いられてもよい。例えば、後述するステップS220やステップS240にて、回転補正後の輝度データD1及び二値化データD3が用いられてもよい。また、回転角度RbによりエッジデータD2を回転補正してもよい。
【0062】
次に、ステップS220にて、位置推定部411は、エッジデータD2上の複数の角部Caに基づく第1の外形Faと、二値化データD3上の複数の角部Cbに基づく第2の外形Fbとから、素子配置領域214における外形Fcに近い方を選択する。位置推定部411は、例えば、素子配置領域214の外形形状や外形寸法を比較の基準にして、第1の外形Fa及び第2の外形Fbのうちのいずれかを選択する。なお、ステップS220にて用いられるエッジデータD2及び二値化データD3は、回転補正されたものでもよい。
【0063】
図14は、第1の外形及び第2の外形と、素子配置領域214における外形とを比較するときの動作例を示す説明図である。図14では、第1の外形Faを一点鎖線、第2の外形Fbを二点鎖線、素子配置領域214の外形Fcを実線でそれぞれ図示している。
【0064】
第1の例として、外形形状を基準とする場合には、素子配置領域214における角部Cc1~Cc4の位置を基準にして、エッジデータD2上の角部Ca1~Ca4との間隔の総和(=Gac1+Gac2+Gac3+Gac4)と、二値化データD3上の角部Cb1~Cb4との間隔の総和(=Gbc1+Gbc2+Gbc3+Gbc4)とを比較し、間隔の総和が小さい方を選択することで、第1の外形Fa及び第2の外形Fbからいずれかを選択する。第2の例として、外形寸法を基準とする場合には、例えば、素子配置領域214における角部Cc1~Cc4間(対角線を含めてもよい)の距離を基準にして、エッジデータD2上の角部Ca1~Ca4間の距離との差分の総和(=Lac1+Lac2+Lac3+Lac4)と、二値化データD3上の角部Cb1~Cb4間の距離との差分の総和(=Lbc1+Lbc2+Lbc3+Lbc4)とを比較し、差分の総和が小さい方を選択することで、第1の外形Fa及び第2の外形Fbからいずれかを選択する。これにより、素子配置領域214に外形が近い方のデータ処理の結果に基づいて、以降の処理が行われるため、発光装置2の特性を解析する際の精度を向上させることができる。
【0065】
次に、位置推定部411が、ステップS220で第1の外形Faを選択した場合には、ステップS230にて、エッジデータD2上の線分Laと、エッジとの間の重なり度合いに基づいて、エッジデータD2上の複数の角部Ca1~Ca4のうちの1つを基準点Pとして特定する。例えば、位置推定部411は、複数の線分Laから互いに交差する線分Laの組み合わせを作成し、その作成した線分Laの組み合わせから、エッジとの重なり度合いが最も高い線分Laの組み合わせを抽出し、その抽出した線分Laが交差する交点で定められる角部Caを基準点Pとして特定する。
【0066】
一方、位置推定部411が、ステップS220で第2の外形Fbを選択した場合には、ステップS240にて、二値化データD3上の角部Cbと、素子配置領域214における角部Ccとの間における形状の特徴の一致度合いに基づいて、二値化データD3上の複数の角部Cbのうちの1つを基準点Pとして特定する。例えば、位置推定部411は、形状の特徴として角部Cb1~Cb4の内角を特定し、その特定した角部Cbの内角が素子配置領域214における角部Cc1~Cc4の内角(本実施形態では、90度)に最も近い角部Cbを、形状の特徴の一致度合いが高いものとして抽出し、その抽出した角部Cbを基準点Pとして特定する。
【0067】
その際、位置推定部411は、二値化データD3上で特定した基準点Pに位置する第1の画素PX1を起点にして、画素の配列方向に白画素の数をカウントしたときの第1のカウント値Cnt1と、第1の画素PX1に隣接する第2の画素PX2を起点にして、配列方向に白画素の数をカウントしたときの第2のカウント値Cnt2とを取得し、第2のカウント値Cnt2が第1のカウント値Cnt1に対して所定の白画素基準値V1よりも多い場合、第2の画素PX2を基準点Pに変更してもよい。
【0068】
図15は、二値化データD3における基準点Pの補正処理の動作例を示す説明図である。図15では、左下の角部Cb1が基準点Pとして特定された場合を図示している。位置推定部411は、例えば、第1のカウント値Cnt1に対する第2のカウント値Cnt2の増加比率(=(Cnt2-Cnt1)/Cnt1)を算出し、その算出した増加比率が、白画素基準値V1(例えば、20%等)よりも高い場合には、第2の画素PX2を基準点Pに変更する。図15に示す補正処理では、位置推定部411が、画素の配列方向として、矢印で示すように、Y方向に第1のカウント値Cnt1及び第2のカウント値Cnt2をカウントした場合を図示している。但し、位置推定部411は、Y方向にカウントすることに加えて、X方向にもカウントし、同様の補正処理を行うことができる。X方向及びY方向の2方向で補正処理を行うことで、基準点Pを特定する際の精度をより向上させることができる。
【0069】
次に、ステップS250にて、位置推定部411は、ステップS230、S240のいずれかで特定された基準点Pに基づいて発光素子23の配置関係を位置決めすることで、発光素子23毎の位置を推定する。
【0070】
図16は、基準点Pにより発光素子23の配置関係を位置決めするときの動作例を示す説明図である。図16では、左下の角部(エッジデータD2上の左下の角部Ca1又は二値化データD3上の左下のCb1)が基準点Pとして特定された場合を図示している。位置推定部411は、左下の角部を基準点Pと特定した場合、その基準点Pに素子配置領域214における左下の角部Cc1を位置決めする。そして、位置推定部411は、その左下の角部Cc1を基準にして、発光素子23の配置関係として定められた配置形態、配置ピッチ、及び、配置数に基づいて、各発光素子23の位置を展開することにより、発光素子23毎の位置を推定する。
【0071】
その際、発光素子23毎の位置は、輝度センサパラメータ401に含まれるセンサスケール値や原点位置に基づいて、輝度データD1、エッジデータD2及び二値化データD3のいずれかのデータ上の位置として推定されてもよいし、実物の座標系に変換することにより実物の位置として推定されもよい。また、発光素子23毎の位置は、発光素子23の中心位置23a(図16の「×」)として推定されてもよいし、発光素子23の外形位置23b(図16の「□」)として推定されてもよい。
【0072】
次に、ステップS30(輝度算出工程)にて、輝度値算出部412は、輝度データ取得部410により取得された輝度データD1と、位置推定部411により推定された発光素子23毎の位置とに基づいて、発光素子23毎の輝度値を算出する。これにより、発光装置2の特性として、複数の発光素子23が点灯されて光拡散部材25の上面250から光が出射されるときの上面250全体での輝度のバラツキやムラを計測することができる。
【0073】
図17は、輝度値算出部412による輝度値算出工程(ステップS30)の一例を示す説明図である。図17では、左下の角部(エッジデータD2上の左下の角部Ca1又は二値化データD3上の左下のCb1)を基準点Pとして位置決めされた素子配置領域214と、素子配置領域214が分割された複数の単位素子配置領域215とを輝度データD1に重ねた場合を図示している。単位素子配置領域215は、素子配置領域214を発光素子23の配置関係に基づいて分割して複数の発光素子23のそれぞれに割り当てたものである。素子配置領域214は、例えば、図17に示すように、発光素子23の配置ピッチ(本実施形態では、X方向及びY方向ともに50μm)に応じて格子状に分割されてもよいし、発光素子23の外形サイズ(本実施形態では、X方向及びY方向ともに45μm)に応じて格子状に分割されて、隣接する単位素子配置領域215の間に隙間が設けられていてもよい。
【0074】
輝度値算出部412は、発光素子23毎の位置に基づいて、輝度データD1と、複数の単位素子配置領域215とを重ねて、画素PXが単位素子配置領域215に重なる部分の面積比を画素PX毎に特定する。図17では、発光素子23の配置ピッチと同じ長さである単位素子配置領域215の各辺が、約3.8画素分に相当する場合を図示している。画素PX全体が単位素子配置領域215に重なる場合には、面積比は100%と特定される。
【0075】
そして、輝度値算出部412は、面積比により重み付けをした画素PX毎の輝度値を単位素子配置領域215毎に集計することにより、発光素子23毎の輝度値を算出する。具体的には、輝度値算出部412は、画素PX毎の面積比の合計値(図17では、「1571%」)で画素PX毎の面積比をそれぞれ除算することで画素PX毎の重みを算出し、画素PX毎の輝度値と、画素PX毎の重みとを画素単位で乗算することで重み付けをした画素PX毎の輝度値を算出する。次に、輝度値算出部412は、画素PX毎の輝度値を合計することで単位素子配置領域215の輝度値、すなわち、発光素子23の輝度値(図17では、「69.77」)を算出する。そして、輝度値算出部412は、同様の処理を単位素子配置領域215毎に行うことですべての発光素子23の輝度値を算出する。
【0076】
次に、ステップS40(制御量算出工程)にて、制御量算出部413は、輝度値算出部412により算出された発光素子23毎の輝度値と、所定の輝度基準値V2とに基づいて、発光素子23毎の制御量を算出する。これにより、発光装置2の特性として、複数の発光素子23が点灯されて光拡散部材25の上面250から光が出射されるときの上面250全体での輝度のバラツキやムラを低減することができる。
【0077】
図18は、制御量算出部413による制御量算出工程(ステップS40)の一例を示す説明図である。図18では、複数の発光素子23にそれぞれ割り当てられた各単位素子配置領域215に対して、発光素子23毎の輝度値を表した場合を図示している。輝度基準値V2が、例えば、図18に示すように、「70」である場合、制御量算出部413は、輝度値が輝度基準値V2よりも低い発光素子23に対してその輝度値が高くなるように、輝度基準値V2に対する輝度値の差分値や割合に基づいて、制御量を算出する。また、制御量算出部413は、輝度値が輝度基準値V2よりも高い発光素子23に対してその輝度値が低くなるように、輝度基準値V2に対する輝度値の差分値や割合に基づいて制御量を算出する。発光素子23毎の制御量は、例えば、図18に示すように、輝度基準値V2との差分値が、「+0.26~+0.50」の範囲である場合には「-1」、「-0.25~0.25」の範囲である場合には「0」、「-0.50~-0.26」の範囲である場合には「+1」、「-0.75~-0.51」の範囲である場合には「+2」として算出される。
【0078】
次に、ステップS50(解析データ出力工程)にて、解析データ出力部414は、ステップS20~S40で発光装置2の特性を解析した解析結果を解析データD4として出力する。解析データD4には、例えば、ステップS20にて位置推定部411により推定された発光素子23毎の位置、ステップS30にて輝度値算出部412により算出された発光素子23毎の輝度値、及び、ステップS40にて制御量算出部413により算出された発光素子23毎の制御量等が含まれる。
【0079】
なお、解析データD4は、任意の出力先や出力方法を採用することができる。例えば、解析データ出力部414は、解析データD4を記憶部40のデータベース402に記憶してもよいし、外部機器接続部45により記録媒体に記憶してもよい。また、解析データ出力部414は、例えば、位置推定部411により推定された発光素子23毎の位置を発光装置2の設計上の位置と比較したり、輝度値算出部412により算出された発光素子23毎の輝度値を発光装置2の設計上の輝度値と比較したりして、その比較結果(例えば、正常・異常の判定等)を出力部43の表示画面に表示することで、発光装置2の品質検査を行ってもよい。さらに、解析データ出力部414は、制御量算出部413により算出された発光素子23毎の制御量を、設定コマンドとして制御回路部212に送信することで、発光装置2の輝度調整を行ってもよい。
【0080】
以上のように、第1の実施形態に係る特性解析装置4A及び特性解析方法によれば、複数の発光素子23上に光拡散部材25が配置された発光装置2の特性として、発光素子23毎の位置を的確に推定することができる。また、その推定された発光素子23毎の位置を用いることにより、発光素子23毎の輝度や発光素子23毎の制御量についても的確に算出することができる。さらに、ステップS10での1回の点灯で取得された輝度データD1に基づいて発光装置2の特性が解析されるので、特性解析方法の工程数を短縮することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
図19は、本発明の第2の実施形態に係る特性解析装置4Bを示すブロック図である。第1の実施形態に係る特性解析装置4Aでは、輝度データ取得部410が、複数の発光素子23のすべてを点灯したときの輝度データD1を取得するのに対して、第2の実施形態に係る特性解析装置4Bは、複数の発光素子23のうちの少なくとも1つを点灯させたときの輝度データD1Aを取得する第1の輝度データ取得部410Aと、複数の発光素子23のすべてを点灯させたときの輝度データD1Bを取得する第2の輝度データ取得部410Bとを備える点で相違する。なお、その他の基本的な構成及び動作は、第1の実施形態に係る特性解析システム1と同様であるため、以下では、両者の相違点を中心に説明する。
【0082】
制御部41は、記憶部40に記憶された特性解析プログラム400Bを実行することにより、第1の輝度データ取得部410A及び第2の輝度データ取得部410B、位置推定部411、輝度値算出部412、制御量算出部413、及び、解析データ出力部414として機能する。
【0083】
(特性解析方法)
図20は、本発明の第2の実施形態に係る特性解析装置4Bの動作を示すフローチャートである。以下では、図8と同様に、解析対象の発光装置2が、計測台30に載置されるともに、発光装置2の制御回路部212と、輝度計測装置3の輝度センサ31とが特性解析装置4Bに接続された状態において、特性解析装置4Bが、解析対象の発光装置2の特性を解析する動作(特性解析方法)について説明する。なお、図20では、図8と同様のステップに対して同じ番号を付与している。
【0084】
まず、ステップS11(第1の輝度データ取得工程)にて、第1の輝度データ取得部410Aは、複数の発光素子23のうちの少なくとも1つを点灯させたときの輝度データD1Aを取得する。輝度データD1Aを取得するための点灯対象の発光素子23は、適宜選択することができる。例えば、第1の実施形態と同様に、単位素子配置領域215の外形に位置する基準点Pを特定する場合には、素子配置領域214の外縁側に位置する発光素子23を点灯させるようにすればよい。その場合には、素子配置領域214の外形に沿って、素子配置領域214の最も外縁の発光素子23を矩形状に点灯させてもよいし、素子配置領域214の外縁から内側に向けて複数列分の発光素子23を点灯させてもよい。また、素子配置領域214における角部Ccに位置する発光素子23だけを点灯させてもよい。
【0085】
次に、ステップS20(位置推定工程)にて、位置推定部411は、第1の輝度データ取得部410Aにより取得された輝度データD1Aに対してデータ処理を行うことにより、発光素子23の配置関係を位置決めするための基準点Pを特定し、基準点P及び発光素子23の配置関係に基づいて発光素子23毎の位置を推定する。
【0086】
次に、ステップS12(第2の輝度データ取得工程)にて、第2の輝度データ取得部410Bは、複数の発光素子23のすべてを点灯させたときの輝度データD1Bを取得する。なお、第2の輝度データ取得工程(ステップS12)は、第1の実施形態に係る輝度データ取得工程(ステップS10)のように、第1の輝度データ取得工程(ステップS11)を兼ねて実行することができる。その場合には、第1の輝度データ取得工程(ステップS11)を省略するとともに、第2の輝度データ取得工程(ステップS12)を、位置推定工程(ステップS20)よりも先に実行するようにすればよい。
【0087】
次に、ステップS30(輝度算出工程)にて、輝度値算出部412は、第2の輝度データ取得部410Bにより取得された輝度データD1Bと、位置推定部411により推定された発光素子23毎の位置とに基づいて、発光素子23毎の輝度値を算出する。
【0088】
次に、ステップS40(制御量算出工程)にて、制御量算出部413は、輝度値算出部412により算出された発光素子23毎の輝度値と、所定の輝度基準値V2とに基づいて、発光素子23毎の制御量を算出する。
【0089】
次に、ステップS50(解析データ出力工程)にて、解析データ出力部414は、ステップS20~S40にて発光装置2の特性を解析した解析結果を解析データD4として出力する。
【0090】
以上のように、第2の実施形態に係る特性解析装置4B及び特性解析方法によれば、第1の実施形態と同様に、複数の発光素子23上に光拡散部材25が配置された発光装置2の特性として、発光素子23毎の位置を的確に推定することができる。また、その推定された発光素子23毎の位置を用いることにより、発光素子23毎の輝度や発光素子23毎の制御量についても的確に算出することができる。さらに、ステップS11での点灯で取得された輝度データD1には、点灯対象の発光素子23に対応する点灯領域と、点灯対象でない発光素子23に対応する非点灯領域とが存在するため、点灯領域と非点灯領域のコントラストを検査することができる。
【0091】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0092】
(照明装置の製造方法)
上記実施形態に係る特性解析方法は、発光装置2と、発光装置2が発する光を導く導光部材とを備える照明装置の製造工程に組み込むことで、照明装置の製造方法を実現することができる。照明装置の製造方法は、例えば、発光装置2を準備する準備工程と、上記実施形態に係る特性解析方法により、準備工程で準備された発光装置2の特性を解析する特性解析工程と、特性解析工程で発光装置2の特性が解析された解析結果に基づいて、準備工程で準備された発光装置2と導光部材とを備える照明装置を組み立てる組立工程とを含む。
【0093】
特性解析工程における解析結果として、発光素子23毎の位置を用いる場合には、組立工程において、例えば、発光装置2と、導光部材との間の組付位置等を調整するようにすればよい。特性解析工程における解析結果として、発光素子23毎の輝度値を用いる場合には、組立工程において、例えば、発光装置2に組み合わせる導光部材の光学特性を調整するようにすればよい。特性解析工程における解析結果として、発光素子23毎の制御量を用いる場合には、組立工程において、例えば、発光素子23毎の制御量を発光装置2の制御回路部212に設定するようにすればよい。
【0094】
上記実施形態では、特性解析装置4A、4Bが、図8図9及び図20に示すフローチャートに従って動作する場合について説明した。但し、各ステップの実行順序を適宜変更してもよいし、一部のステップを省略してもよい。例えば、図9におけるステップS210~S212は、ステップS200~S202よりも先に実行してもよい。また、図8又は図20におけるステップS40(制御量算出工程)を省略してもよい。ステップS40を省略する場合には、特性解析装置4A、4Bの構成として、制御量算出部413を省略してもよい。図8又は図20におけるステップS30(輝度算出工程)及びステップS40(制御量算出工程)の両方を省略してもよい。ステップS30、S40の両方を省略する場合には、特性解析装置4A、4Bの構成として、輝度値算出部412及び制御量算出部413の両方を省略してもよい。
【0095】
また、ステップS20(位置推定工程)において、輝度データD1からエッジデータD2だけを生成し、基準点Pを特定してもよく、その場合には、図9におけるステップS200~S202、S230、S250を実行し、ステップS210~S212、S220、S240を省略してもよい。さらに、ステップS20(位置推定工程)において、輝度データD1から二値化データD3だけを生成し、基準点Pを特定してもよく、その場合には、図9におけるステップS210~S212、S240、S250を実行し、ステップS200~S202、S220、S230を省略してもよい。
【0096】
上記実施形態では、発光素子23の外形は、平面視矩形状である場合について説明した。但し、発光素子23の外形は、平面視矩形状に限らず、矩形(四角形)状以外の任意の多角形状でもよいし、曲線を含むような形状でもよい。また、上記実施形態では、素子配置領域214の外形は、平面視矩形状である場合について説明した。但し、素子配置領域214の外形は、平面視矩形状に限らず、矩形(四角形)状以外の任意の多角形状でもよいし、曲線を含むような形状でもよい。その際、素子配置領域214における角部Ccの内角は、直角に限られず、鋭角及び鈍角のいずれでもよい。なお、上記の場合には、ステップS20(位置推定工程)、ステップS30(輝度算出工程)及びステップS40(制御量算出工程)における処理内容を、発光素子23及び素子配置領域214の外形に応じて変更すればよい。
【0097】
上記実施形態では、特性解析プログラム400A、400Bは、記憶部40に記憶されている場合について説明したが、これに限られない。特性解析プログラム400A、400Bは、例えば、USBメモリ、CD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで記録されて提供されてもよいし、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…特性解析システム、2…発光装置、3…輝度計測装置、4A、4B…特性解析装置、
20…第1の基板、21…第2の基板、22…ワイヤ、23…発光素子、
24…光反射性部材、25…光拡散部材、26…被覆部材、
30…計測台、31…輝度センサ、
40…記憶部、41…制御部、42…入力部、43…出力部、44…通信部、
200…基体、201…第1の端子、202…第1の配線、203…基板配置領域、
210…基体、210a…上面、210b…下面、
211…第2の端子、212…制御回路部、213…素子接合部材、
214…素子配置領域、215…単位素子配置領域、
230…上面、231…下面、232…側面、240…上面、
250…上面、251…下面、
260…外側樹脂枠、261…内側樹脂枠、262…保護樹脂、
400A、400B…特性解析プログラム、401…輝度センサパラメータ、
410…輝度データ取得部、410A…第1の輝度データ取得部、
410B…第2の輝度データ取得部、411…位置推定部、412…輝度値算出部、
413…制御量算出部、414…解析データ出力部、
Ca、Ca1~Ca4…エッジデータ上の角部、
Cb、Cb1~Cb4…二値化データ上の角部、
Cc1~Cc4…素子配置領域の角部、
D1、D1A、D1B…輝度データ、D2…エッジデータ、
D3…二値化データ、D4…解析データ、
La、La1~La4…エッジデータ上の線分、
Lb、Lb1~Lb4…二値化データ上の線分、
P…基準点、PX…画素、PX1…第1の画素、PX2…第2の画素、
Ra、Rb…回転角度
図1
図2
図3
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図5
図6
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