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特開2024-79127移動体、移動体システム、情報処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079127
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】移動体、移動体システム、情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20240101AFI20240604BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240604BHJP
   G06Q 10/083 20240101ALI20240604BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G05D1/00 B
G05D1/02 H
G06Q10/083
G08G1/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191871
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠斗
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF13
5H181LL01
5H181LL08
5H181LL09
5H181MB04
5H301AA01
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG09
5H301HH10
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK18
5H301KK19
5H301LL01
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】ユーザーが移動体の通過位置の設定が可能か否かをユーザーに知らせる技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、設定された通過位置を通過するように自律移動する移動体であって、前記通過位置を設定するユーザーのユーザー情報を取得するユーザー情報取得部と、前記通過位置を設定する第1の権限情報と、前記ユーザー情報との照合結果を表示する移動体情報表示部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された通過位置を通過するように自律移動する移動体であって、
前記通過位置を設定するユーザーのユーザー情報を取得するユーザー情報取得部と、
前記通過位置を設定する第1の権限情報と、前記ユーザー情報との照合結果を表示する移動体情報表示部と、
を有する移動体。
【請求項2】
前記移動体情報表示部は、前記第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合、前記ユーザーが設定した前記通過位置を設定できない旨を表示する請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記通過位置に、前記通過位置を設定するための前記第1の権限情報が記憶されている権限情報記憶部と、
前記権限情報記憶部において前記通過位置に対応付けられている前記第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有するか否か照合する権限情報照合部と、
を有する請求項1又は2に記載の移動体。
【請求項4】
予め設定された移動禁止エリアに、ユーザーが設定した前記通過位置と前記通過位置を結ぶ直線が侵入する場合、前記移動体情報表示部は、ユーザーが設定した少なくとも一方の前記通過位置を設定できない旨を表示する請求項1に記載の移動体。
【請求項5】
前記移動体は前記移動体の位置情報を検出しており、
前記位置情報に基づいて、前記移動体が前記移動禁止エリアに侵入したと判断された場合、予め設定された管理者へ通知する通知部を有する請求項4に記載の移動体。
【請求項6】
前記移動禁止エリアに対応付けて、前記移動禁止エリアを通過する前記通過位置を設定するための第2の権限情報が記憶されている移動禁止エリア情報記憶部を有し、
前記移動禁止エリアに、ユーザーが設定した前記通過位置と前記通過位置を結ぶ直線が侵入し、かつ、前記第2の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合、
前記移動体情報表示部は、ユーザーが設定した少なくとも一方の前記通過位置を設定できない旨を表示する請求項4に記載の移動体。
【請求項7】
前記通過位置に対応付けて、前記通過位置で使用可能なデバイスの種類が記憶された使用可能デバイス情報記憶部を有し、
ユーザーが前記通過位置で使用すると設定した前記デバイスが、使用可能デバイス情報記憶部において使用可能でないと記憶されている場合、前記移動体情報表示部は、ユーザーが前記通過位置に設定した前記デバイスが、前記通過位置で使用できない旨を表示する請求項1に記載の移動体。
【請求項8】
前記通過位置を設定するための第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合、前記ユーザーが設定した前記通過位置を代替する代替通過位置を特定する代替通過位置特定部を有し、
前記移動体情報表示部は、前記代替通過位置を表示する請求項1に記載の移動体。
【請求項9】
前記移動体は自機の位置情報を検出しており、
前記ユーザーが前記通過位置の設定を開始する際に、前記位置情報に基づいて、すでに、前記移動禁止エリアに前記移動体が侵入していると判断された場合、
前記移動体情報表示部は、前記移動禁止エリアに前記移動体が侵入している旨を表示する請求項4に記載の移動体。
【請求項10】
所定の走行モードで移動するために前記通過位置の設定を受け付けた場合、
前記第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合でも、前記ユーザーが設定した前記通過位置を設定できないとは判断せず、
前記移動体情報表示部は、前記ユーザーが設定した前記通過位置を設定できる旨を表示する請求項1に記載の移動体。
【請求項11】
前記移動体に対応付けて、前記所定の走行モードの設定が可能か否か記憶された走行モード可能移動体情報記憶部を有し、
前記第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合であり、かつ、前記走行モード可能移動体情報記憶部において前記ユーザーが前記通過位置を設定する前記移動体に前記所定の走行モードの設定が可能であると記憶されている場合、
前記移動体情報表示部は、前記ユーザーが設定した前記通過位置を設定できる旨を表示する請求項10に記載の移動体。
【請求項12】
前記移動体の過去の動作実績を記憶した移動体動作実績情報記憶部を有し、
前記移動体情報表示部は、前記移動体動作実績情報記憶部に記憶されている前記過去の動作実績を表示する請求項1に記載の移動体。
【請求項13】
前記動作実績には、前記通過位置で使用されたデバイスの種類が含まれる請求項12に記載の移動体。
【請求項14】
前記照合結果は、前記第1の権限情報と、前記ユーザー情報とが対応付けられているか否かを照合した照合結果である請求項1に記載の移動体。
【請求項15】
設定された通過位置を通過するように自律移動する移動体と、前記移動体と通信できる情報処理システムと、前記情報処理システムと通信できる端末装置と、を有する移動体システムであって、
前記移動体は、
前記通過位置を設定するユーザーのユーザー情報を取得するユーザー情報取得部と、
前記ユーザー情報を前記情報処理システムに送信する第1の通信部と、を有し、
前記端末装置は、
ユーザーが設定した前記通過位置を前記情報処理システムに送信する第2の通信部を有し、
前記情報処理システムは、
前記端末装置から送信された前記通過位置を設定する第1の権限情報と、前記ユーザー情報との照合結果を前記端末装置に送信する第3の通信部を有し、
前記端末装置は、前記照合結果を表示する、移動体システム。
【請求項16】
設定された通過位置を通過するように自律移動する移動体と通信できる情報処理システムであって、
前記移動体から前記通過位置を設定するユーザーのユーザー情報を受信する通信部と、
端末装置から送信された前記通過位置を設定する第1の権限情報と、前記ユーザー情報との照合結果を表示する移動体情報表示部と、
を有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体、移動体システム、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務効率化、自動化、又は省人化を実現する手段の1つとして自律移動ロボット等の移動体が注目されている。移動体は、予め設定された移動ルートに従って移動する。ユーザーは、移動ルート上の地点である通過位置(ウェイポイント)を設定することで、移動すべき移動ルートを定義する。
【0003】
移動体を操作するユーザーを認証する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、コントローラなどのロボットの構成要素を適正に管理するため、ユーザーを認証し、ユーザーの権限に応じて操作パラメータを変更する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、なぜ所望の通過位置を設定できないのかユーザーに知らされていないため、設定作業が停滞する等のおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、ユーザーが移動体の通過位置の設定が可能か否かをユーザーに知らせる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、設定された通過位置を通過するように自律移動する移動体であって、前記通過位置を設定するユーザーのユーザー情報を取得するユーザー情報取得部と、前記通過位置を設定する第1の権限情報と、前記ユーザー情報との照合結果を表示する移動体情報表示部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
ユーザーが移動体の通過位置の設定が可能か否かをユーザーに知らせる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】移動体システムの概略動作を説明する図である。
図2】移動体システムの構成例を示す図である。
図3】移動体の一例の外観斜視図である。
図4】移動体の一例のハードウエア構成を示す図である。
図5】情報処理システム、及び、端末装置の一例のハードウエア構成を示す図である。
図6】移動体、情報処理システム、及び、端末装置の機能をブロックに分けて説明する一例の機能ブロック図である。
図7】情報処理システムに送信される一例のユーザー情報を示す図である。
図8】権限情報記憶部が記憶している一例の権限情報を示す図である。
図9】拠点内を、移動体を走行させて自律走行で通過するウェイポイントとなる候補を登録する作業について説明する図である。
図10】登録されたウェイポイントの一例を示した図である。
図11】設定されたウェイポイント情報の一例を示す図である。
図12】ユーザーがウェイポイントを設定する処理の流れを説明する一例のシーケンス図である。
図13】ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否かを情報処理システムが照合し、端末装置が照合結果を表示する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図14】端末装置が表示する一例のウェイポイント設定画面を示す図である。
図15】移動体、情報処理システム、及び、端末装置の機能をブロックに分けて説明する一例の機能ブロック図である。
図16】移動禁止エリア情報記憶部に記憶されている一例の移動禁止エリア情報を示す図である。
図17】ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否か、移動禁止エリアを通過するか否かを情報処理システムが照合し、端末装置が照合結果を表示する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図18】端末装置が表示する一例のウェイポイント設定画面を示す図である。
図19】ユーザーがウェイポイントを設定した後、移動体が移動禁止エリアに侵入した旨を管理者に通知する流れを説明する一例のシーケンス図である。
図20】管理者が端末装置に表示する一例のメール表示画面を示す図である。
図21】移動禁止エリア情報記憶部に記憶されている一例の移動禁止エリア情報を示す図である。
図22】ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否か、移動禁止エリアに侵入するか否かを情報処理システムが照合し、端末装置が照合結果を表示する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図23】移動体、情報処理システム、及び、端末装置の機能をブロックに分けて説明する一例の機能ブロック図である。
図24】使用可能デバイス情報記憶部に記憶されている一例の使用可能デバイス情報を示す図である。
図25】ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否か、デバイスを使用できるか否かを情報処理システムが照合し、端末装置が照合結果を表示する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図26】端末装置が表示する一例のウェイポイント設定画面を示す図である。
図27】移動体、情報処理システム、及び、端末装置の機能をブロックに分けて説明する一例の機能ブロック図である。
図28】ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否かを情報処理システムが照合し、端末装置が照合結果を表示する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図29】端末装置が表示する一例のウェイポイント設定画面を示す図である。
図30】移動体が移動禁止エリアに存在する場合に、ユーザーがウェイポイントを設定する流れを説明する一例のシーケンス図である。
図31】端末装置が表示する一例のウェイポイント設定画面を示す図である。
図32】ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否かを情報処理システムが照合し、端末装置が照合結果を表示する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図33】端末装置が表示する一例のウェイポイント設定画面を示す図である。
図34】移動体、情報処理システム、及び、端末装置の機能をブロックに分けて説明する一例の機能ブロック図である。
図35】テスト走行モード可能移動体情報記憶部に記憶されている一例のテスト走行モード可能移動体情報を示す図である。
図36】ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否か、移動体にテスト走行モードが許可されているかを情報処理システムが照合し、端末装置が照合結果を表示する処理を説明する一例のフローチャート図である。
図37】端末装置が表示する一例のウェイポイント設定画面を示す図である。
図38】移動体、情報処理システム、及び、端末装置の機能をブロックに分けて説明する一例の機能ブロック図である。
図39】移動体動作実績情報記憶部に記憶されている一例の移動体動作実績情報を示す図である。
図40】ユーザーが移動体の動作実績を端末装置で表示する処理を説明する一例のシーケンス図である。
図41】端末装置が表示する移動体の一例の動作実績を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、移動体システムと移動体システムが行う情報表示方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<動作又は処理の概略>
少子高齢化の影響などにより、人手不足・労働力不足が大きな話題となっている。一方で、AI(Artificial Intelligence)やロボット、5Gによる高速大容量のデータ通信など、IoT技術やインフラが日進月歩で進化しており、これらの広範な利活用が期待されている。このような状況下において、AIやロボットなどのIoT技術を活用し、業務効率化や自動化、省人化を実現できないか、様々な業界で技術開発・検証が進められている。
【0011】
図1は、移動体システム100の概略動作を説明する図である。本実施形態では、移動体20を操作するユーザーをICカード等で情報処理システム40が認証し、ユーザーの権限情報を元に移動体20に関してユーザーが使用できる機能に制限を設ける。そして、情報処理システム40はユーザーが操作する端末装置30にその制限に基づく照合結果(詳細は後述する)を通知する。
【0012】
(1) ユーザーは認証を受けるため例えばICカードを移動体20にかざす。移動体20はICカードを読み取り認証要求と共にカードIDを情報処理システム40に送信する。ユーザーの認証方法として、端末装置30から情報処理システム40にログインしてもよい。
【0013】
(2) 情報処理システム40はカードIDでユーザーを認証し、予め設定されているユーザーの権限情報を特定する。
【0014】
(3) ユーザーが端末装置30を情報処理システム40に接続させ、例えばWebアプリで移動体20のウェイポイントを設定する。ユーザーが設定しようとしたウェイポイントは情報処理システム40に送信され、情報処理システム40はユーザーの権限情報でそのウェイポイントの設定が可能か判断する。可能でないと判断した場合、情報処理システム40はウェイポイントの設定が制限されている旨を端末装置30に送信する。
【0015】
(4) 端末装置30が、ウェイポイントの設定が制限されている旨9を表示するので、ユーザーは、どうすれば操作できるようになるのか判断でき、作業が停滞することを抑制できる。例えば、ユーザーはウェイポイントを設定する権限がないことを把握し、ユーザーに許可されたウェイポイントを設定することができる。また、ユーザーに権限がある場合にウェイポイントが設定されるので、セキュリティが低下することを抑制できる。
【0016】
<用語について>
通過位置とは、移動体が通過する目標となる地点であり、管理者等が地図上に設定できる。通過位置は例えば交差点やT字路などに設定されてもよいし、空間があり移動可能なる任意の位置に設定されてもよい。また、三次元の移動が可能な移動体の場合、通過位置は三次元座標でよい。本実施形態では、通過位置をウェイポイントという。
【0017】
自律移動とは、人間が操縦しなくても、移動体自身が環境を把握し単体で移動することをいう。本実施形態では、移動体が自律移動のためにウェイポイントが設定されてもよいし、ユーザーが操縦するための目安としてウェイポイントが設定されてもよい。
【0018】
ユーザー情報とは、ユーザーの権限情報に対応付け、もしくは紐付けられておりユーザーの権限情報を取得できるものでもよいし、ユーザー情報が権限情報を含んでいてもよい。
【0019】
権限情報とは、ウェイポイントを設定するために必要な権限、又は、移動体に所定のエリアを移動させるために必要な権限をいう。権限情報は、例えば、部署、役職、肩書き、職種、性別、年齢、などでよい。
【0020】
<システム構成例>
図2は、本実施形態に係る移動体システム100の構成例を示す図である。移動体システム100は、所定の区域を監視区域とし、監視区域内を移動する移動体20として移動体20と、移動体20を制御する制御システムとして情報処理システム40とを含む。移動体20と情報処理システム40は、通信ネットワークNに接続され、通信ネットワークNを介して通信を行う。
【0021】
通信ネットワークNは、インターネット、移動体20通信網、LAN(Local Area Network)等により構築され、有線ネットワーク、無線ネットワークのいずれであってもよい。
【0022】
移動体20は、監視区域内に設置され、監視区域内を自律移動可能なロボットである。自律移動は、監視区域内の指定された経路に従って自律的に移動する動作やライントレース等の技術を用いて自律的に監視区域内を移動する動作のいずれであってもよく、過去に移動した経路を機械学習し、機械学習の結果を利用して自律的に移動する動作であってもよい。移動体20は、操作者(オペレータ)により手動操作させることもできる。
【0023】
移動体20は、各種センサを備え、点検、保守等の所定のタスクを実行することができる。移動体20は、物をつかむことができるアームを備えることができ、運搬、軽作業等のタスクを実行してもよい。移動体20は、自律移動可能なロボットであれば、自動車、ドローン、マルチコプタ、無人飛行体等であってもよい。
【0024】
移動体20は、監視区域内を監視するため、撮像装置(撮像手段)、ガス検知装置(ガス検知手段)、録音装置(録音手段)等の監視対象の状態を検知するための検知装置(検知手段)を備える。撮像装置は、監視対象を撮像する。監視対象が、水道やガスのメータ、流量計、液面計である場合、メータの目盛りや表示値等を撮像する。撮像装置は、移動体20の周囲の状態として、路面に形成された穴や障害物等も撮像することができる。ガス検知装置は、監視対象が配管やタンク等である場合、周囲の状態として、これらから漏れ出る有害ガスの濃度等を測定する。録音装置は、弁、ポンプ、圧縮機等の動作を伴う機器の動作音等を記録する。監視対象の状態は、所定位置の温度や湿度等であってもよく、移動体20は、検知装置として温湿度センサ等を備えることもできる。
【0025】
監視区域は、移動体20が設置される区域(対象拠点もしくは単に拠点とも呼ばれる。)であり、例えば、事業所、工場、化学プラント、建設現場、変電所、農場、田畑、耕地、災害現場等の屋外の区域、又はオフィス、学校、工場、倉庫、商業施設、病院、介護施設等の屋内の区域である。これらの区域は、従来人手で行われていたタスクを移動体20に担わせたいニーズが存在する場所であればいかなる場所であってもよい。監視区域を監視する移動体20は、1台に限らず、複数台が連携して監視してもよい。この場合、例えば、監視区域内の第1エリアを移動体Aが監視し、第2エリアを移動体Bが監視し、第3エリアを移動体Cが監視するように設定することができる。以下、移動体20は、複数の車輪により移動可能とされ、検知装置として撮像装置(カメラ)を備えるものとして説明する。
【0026】
情報処理システム40は、移動体20に対して通信ネットワークNを介して第1の経路に従って移動しながら、指定された監視対象を撮像するように指示する。監視対象は、1つに限定されるものではなく、複数であってもよい。情報処理システム40は、移動体20が撮像した監視対象の画像データを受信する。情報処理システム40は、受信した画像データを解析し、異常の有無を判断する。監視対象が、流量計であり、正常流量が1~10m/sである場合、この範囲外の流量(例えば0.5m/s)の場合、異常と判断される。情報処理システム40は、移動体20に対し、第1の経路とは異なる第2の経路に切り替えるように指示することもできる。
【0027】
情報処理システム40は、一台以上の情報処理装置により実現される。情報処理システム40は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、単一の情報処理装置によって実現されてもよい。複数の情報処理装置が存在し、それぞれが負荷等に応じてサービスを提供してもよい。クラウドコンピューティングとは、特定ハードウエア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される形態をいう。また、情報処理システム40は、インターネット上に存在しても、オンプレミスに存在してもよい。
【0028】
通信ネットワークNには、オペレータが操作するノートPC(Personal Computer)やタブレットPC等の端末装置30が接続される。端末装置30は、ユーザーから複数のウェイポイントを受け付け、ウェイポイントをつなげて移動体20のルート定義を受け付ける。また、端末装置30は、管理拠点に設置され、情報処理システム40と通信ネットワークNを介して通信し、情報処理システム40から移動体20により撮像された画像を表示させることができる。
【0029】
このようにオペレータが操作しなくても、見たい場所を撮像して提供してくれるため、オペレータは、監視区域において異常の原因を特定することができ、最適な対処を迅速に行うことができる。なお、通常の点検時に全ての箇所の撮像を行うと、点検時間が長くなってしまうが、異常が見つかった場合に必要な箇所の撮像を行うため、通常の点検時は点検箇所を絞って点検を行うことができ、点検時間を短縮することができる。
【0030】
図2に示した例では、移動体20の動作を情報処理システム40により制御しているが、移動体20の動作の制御の一部を、移動体20内で実行するように構成されていてもよい。
【0031】
また、図2のように情報処理システム40を使用することなく、情報処理システム40の機能が端末装置30にあってもよい。この場合、移動体20と端末装置30とが直接通信する。また、移動体20が、情報処理システム40と端末装置30の機能を有していてもよい。
【0032】
<移動体の概略>
図3(a)は、本実施形態の移動体20の外観斜視図である。移動体20は、履帯式走行体10a,10b及び本体600によって構成される。
【0033】
履帯式走行体10a,10bは、移動体20の移動手段となるユニットである。また、履帯式走行体10a,10bは、金属又はゴム製のベルトを用いた履帯(クローラ)式の走行体である。履帯式の走行体は、自動車のようなタイヤで走行する走行体と比較して接地面積が広く、例えば、足場の悪い環境においても、安定した走行を行うことができる。また、タイヤで走行する走行体は、回転動作を行う際に旋回スペースを必要とするのに対して、履帯式の走行体を備えた移動体20は、いわゆる超信地旋回を行うことができるため、限られたスペースでも回転動作をスムーズに行うことができる。履帯式走行体10a,10bの詳細な構成については後述する。
【0034】
本体600は、履帯式走行体10a,10bを走行可能な状態で支持する支持体であると共に、移動体20を駆動させるための制御を行う制御装置である。また、本体600は、履帯式走行体10a,10bを駆動させるための電力を供給する、後述のバッテリ605を搭載する。
【0035】
図3(b)は、移動体20の前面図(P矢視図)である。移動体20の本体600は、非常停止ボタン31、状態表示ランプ33及び蓋部35を備える。非常停止ボタン31は、移動体20の周辺にいる人が、走行中の移動体20を停止させる際に押下する操作手段である。
【0036】
状態表示ランプ33は、移動体20の状態を通知するための通知手段である。状態表示ランプ33は、例えば、バッテリ残量の低下等の移動体20の状態が変化した場合、周囲の人に、移動体20の状態変化を知らせるために点灯する。また、状態表示ランプ33は、例えば、移動体20の走行を妨げる障害物の存在等が検知された場合等、異常発生のおそれがある場合に点灯する。なお、図3は、移動体20に状態表示ランプ33が二つ備えられている例を示すが、状態表示ランプ33の数は、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。また、通知手段は、状態表示ランプ33のみならず、スピーカから発せられる警告音等によって移動体20の状態を通知する構成であってもよい。
【0037】
蓋部35は、本体600の上面に設けられ、本体600の内部を覆っている。また、蓋部35は、本体600の内部の通気を行うための通気口を有する通気部35aを有する。
【0038】
また、二つの履帯式走行体10a,10bは、本体600を挟んで、後述の履帯11aと履帯11bとが略平行になるように、すなわち移動体20が走行可能な状態で設置される。なお、履帯式走行体の数は、二つに限定されるものではなく、三つ以上であってもよい。例えば、移動体20は、三つの履帯式走行体を平行に三列に整列させる等、移動体20が走行可能な状態で設置されてもよい。また、例えば、移動体20は、四つの履帯式走行体を自動車のタイヤのように前後左右に配列させてもよい。
【0039】
図3(c)は移動体20の側面図(Q矢視図)である。履帯式走行体10aは、後述する駆動輪13と二つの転輪15a,15bによって形成された三角形の形状を有する。三角形の形状の履帯式走行体10aは、例えば、走行体の前後のサイズに制約がある場合、前後の限られたサイズの中で接地面積を大きくすることができるので、走行時の安定性を向上させることができる。一方で、下側(転輪側)よりも上側(駆動輪側)の方が長い、いわゆる戦車タイプのクローラでは、前後のサイズの制約がある場合には全体的に接地面積が小さくなって不安定になる。このように、履帯式走行体10aは、比較的に小型の移動体20の走行性を高める場合に有効である。
【0040】
なお、図3の移動体20はキャタピラ走行型であるが、この他、二足歩行型、多足歩行型、ドローン型、飛行機型、水中移動型など、移動体20の形状や移動方式は図3の態様に限られない。
【0041】
<ハードウエア構成例>
次に、図4図5を用いて、移動体20、情報処理システム40、端末装置30のハードウエア構成を説明する。なお、図4図5に示すハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加又は削除されてもよい。
【0042】
<<移動体>>
図4は、実施形態に係る移動体のハードウエア構成の一例を示す図である。移動体20は、図4に示されているように、移動体20の処理又は動作を制御する本体600を備える。本体600は、ラジコン受信部601、CPU(Central Processing Unit)602、メモリ603、ICカードリーダ611、デバイス類612、通信I/F(Interface)606、バッテリ605、走行制御用モータドライバ606、姿勢制御用モータドライバ607、及び姿勢制御用モータ608a,608bを備える。また、ラジコン受信部601、CPU602、メモリ603、通信I/F604、バッテリ605、走行制御用モータドライバ606、及び姿勢制御用モータドライバ607は、システムバス610を介して接続している。システムバス610は、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等であり、アドレス信号、データ信号、及び各種制御信号等を伝送する。
【0043】
ラジコン受信部601は、移動体20の操作者が使用するPC等の送信機から送信される動作指示信号を受信する。CPU602は、移動体20全体の制御を行う。CPU602は、メモリ603に格納された、プログラムP1又は移動体20を動作させるのに必要な各種データを読み出し、処理を実行することで、移動体20の各機能を実現する演算装置である。
【0044】
メモリ603は、CPU602が実行するプログラムP1をはじめ、移動体20を動作させるのに必要な各種データを記憶する。プログラムP1は、メモリ603に予め組み込まれて提供される。
【0045】
また、プログラムP1は、インストール可能な形式、又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R又はDVD(Digital Versatile Disc)等のCPU602(コンピュータ)で読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。更に、プログラムP1は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由で移動体20にダウンロードさせることにより提供されるように構成してもよい。また、プログラムP1は、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布されるように構成してもよい。プログラムP1が外部から提供される場合、CPU602は、通信I/F604を介してプログラムP1を読み込む。なお、移動体20は、CPU602をプログラムP1に従って動作させる代わりに、プログラムP1が実行するのと同じ演算機能及び制御機能を有する専用のASIC(Application Specific Integrated Circuit)を実装することによって、ハードウエア的に動作させてもよい。
【0046】
通信I/F604は、通信ネットワークを経由して、他の機器又は装置との通信(接続)を行う通信インターフェースである。通信I/F604は、例えば、有線又は無線LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースである。なお、通信I/F604は、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、Zigbee(登録商標)、又はミリ波無線通信等の通信インターフェースを備えてもよい。移動体20は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行うための通信回路を備えていてもよい。
【0047】
また、ICカードリーダ611は、NFC(Near Field communication)によりICカードを読み取るカードリーダである。ICカードリーダはスマートフォンに内蔵されていてもよい。
【0048】
デバイス類612は、移動体に搭載されたオプション機能を実現する各種のデバイスである。デバイス類612は、例えば撮像装置(平面カメラ)、全天球カメラ、サーモカメラ、マイク、吸引式ガスセンサ、及び、レーザ式ガスセンサ等である。
【0049】
バッテリ605は、移動体20の処理又は動作に必要な電力を供給する電力供給ユニットである。バッテリ605は、例えば、インホイールモータ610a,610b及び姿勢制御用モータ608a,555bに対して電力を供給する。
【0050】
走行制御用モータドライバ606は、インホイールモータ610a,610bに対して、モータ駆動信号をそれぞれ供給することによって、インホイールモータ610a,610bを駆動させる。
【0051】
インホイールモータ610a,610bは、履帯式走行体10aの駆動輪13a、履帯式走行体10bの駆動輪13bの内部にそれぞれ設置されており、駆動輪13a,13bに回転力を伝達する。インホイールモータ610a,610bは、駆動輪13a,13bに対して、移動体20を前進させる正方向の回転、又は移動体20を後退させる負方向の回転を与える。更に、インホイールモータ610a,610bは、一方の駆動輪13a(又は13b)のみを正方向又は負方向に回転させて、他方の駆動輪13b(又は13a)を停止させることによって、移動体20を信地旋回させる。また、インホイールモータ610a,610bは、一方の駆動輪13a(又は13b)を正方向に回転させて、他方の駆動輪13b(又は13a)を負方向に回転させることによって、移動体20を超信地旋回させる。
【0052】
姿勢制御用モータドライバ607は、姿勢制御用モータ608a,555bに対して、モータ駆動信号をそれぞれ供給することによって、姿勢制御用モータ608a,555bを駆動させる。姿勢制御用モータ608a,555bは、例えば、姿勢制御用モータドライバ607からの制御信号に応じて、後述するリンク19の高さを上下に変更することで、アイドラ18a,18bの高さを調整する。また、姿勢制御用モータ608a,555bは、例えば、本体600の姿勢を制御することによって、移動体20の転倒を防止する。
【0053】
なお、移動体20は、ラジコン受信部601に受信された動作指示に応じて走行する構成に限られず、自律走行又はライントレース等の技術を用いて走行する構成であってもよい。また、移動体20は、通信ネットワークを介して送信された動作指示信号を通信I/F604で受信することで、遠隔地にいるユーザーから遠隔操作によって走行する構成であってもよい。
【0054】
<<情報処理システム及び端末装置>>
図5は、本実施形態に係る情報処理システム40、及び、端末装置30の一例のハードウエア構成を示す図である。図5に示されているように、情報処理システム40及び端末装置30は、コンピュータ500によって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD(Hard Disk)504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレー506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0055】
これらのうち、CPU501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御に従ってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレー506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0056】
また、キーボード511は、文字、数値、又は各種指示などの入力に使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWドライブ514は、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【実施例0057】
<機能について>
図6を参照し、移動体20、情報処理システム40、及び、端末装置30の機能について説明する。図6は、移動体20、情報処理システム40、及び、端末装置30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図である。
【0058】
<<移動体>>
移動体20はユーザー情報取得部21、通信部22、及びウェイポイント管理部23を有する。移動体20が有する各機能は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、メモリ603のプログラムP1に従ったCPU602からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。移動体20の各機能がICなどのハードウエア回路で実現されてもよい。
【0059】
ユーザー情報取得部21は、ユーザーがかざすICカードのカードIDや入力された生体情報等のユーザーの認証情報を取得する。ユーザー情報取得部21は、認証情報をユーザー情報に変換してもよいし、そのまま情報処理システム40に送信してもよい。本実施形態では、簡単のため、ユーザー情報取得部21が、認証情報をユーザー情報(図7参照)に変換するとして説明する。
【0060】
通信部22は、取得されたユーザー情報を認証要求と共に情報処理システム40に送信する(第1の通信部の一例)。また通信部22は、ウェイポイント等、移動のための情報を情報処理システム40から受信する。
【0061】
ウェイポイント管理部23は、情報処理システム40から送信されたウェイポイントを保持している。ウェイポイント管理部23はユーザーが設定したウェイポイントの接続順を移動ルートとして管理する。
【0062】
図7は、情報処理システム40に送信されるユーザー情報の一例を示す。図に示すように、ユーザー情報は、ユーザー名、所属部署、及び役職を1つのレコード(図7の1行分)とする。図7では、ユーザー情報をユーザー名、所属部署、及び役職のように具体的な情報としているが、これらはICカードや生体情報に対応付けられていてもよい。すなわち、ICカードが保持するカードIDや生体情報に図7のユーザー情報が対応付けられており、移動体20又は情報処理システム40が図7のユーザー情報に変換してもよい。従って、通信部22が情報処理システム40に送信する情報がカードIDや生体情報(認証情報)の場合もあり、情報処理システム40で認証情報がユーザー情報に変換される。
【0063】
<<端末装置>>
端末装置30は、通信部61、移動体情報表示部62、移動体制御入力受付部63を有する。端末装置30が有する各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0064】
通信部61は、情報処理システム40と各種の情報を送受信する(第2の通信部の一例)。本実施形態では、通信部61は、移動体20の制御に関する情報を情報処理システム40に送信し、情報処理システム40から移動体20の制御を支援する情報を受信する。支援する情報には後述する照合結果が含まれる。
【0065】
移動体制御入力受付部63は、ユーザーが入力する移動体20の制御に関する情報を受け付ける。移動体20を利用する際、ユーザーはウェイポイント(目的地を含む)、移動体20の速度、ウェイポイントで使用するデバイス(撮像装置など)など、移動体20の制御に関する情報を端末装置30に入力する。入力された情報は情報処理システム40に送信される。
【0066】
移動体情報表示部62は、通信部61が受信した照合結果又は照合結果の具体的な内容をディスプレー506に表示する。
【0067】
<<情報処理システム>>
情報処理システム40は、権限情報設定受付部41、権限情報記憶部42、権限情報照合部43、通信部44、移動体情報受信部45、及び、移動体情報送信部46を有している。情報処理システム40が有する各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0068】
通信部44は、移動体20からユーザー情報(カードIDや生体情報でもよい)を受信する。また、通信部44は、ウェイポイント(目的地を含む)、移動体20の速度、目的地で使用するデバイス(撮像装置など)などの移動体20の制御に関する情報を移動体20に送信する。
【0069】
権限情報設定受付部41は、移動体システム100の管理者等から、ウェイポイントごとの権限情報を予め受け付けておく。管理者は端末装置30を情報処理システム40に接続させ、権限情報を送信する。この権限情報は権限情報記憶部42に記憶される。権限情報の一例を図8に示す。
【0070】
移動体情報受信部45は、端末装置30から移動体20の制御に関する情報を受信し、それを権限情報照合部43に渡す。
【0071】
権限情報照合部43は、ユーザー情報とユーザーが端末装置30に入力したウェイポイントを照合し、ウェイポイントごとにウェイポイントを設定可能であるか判断する。照合の詳細は後述する。移動体情報送信部46は、照合結果又は照合結果に基づいた設定の可否を含むメッセージ等を端末装置30に送信する(第3の通信部の一例)。
【0072】
図8は、権限情報記憶部42が記憶している権限情報の一例を示す。図8では、ウェイポイントごとに設定されている権限情報を示す。権限情報記憶部42は、移動体20がネットワークに接続している場合、クラウド空間上のデータベースなどであるが、本体のメモリ603等の移動体20内部(ローカル)にあってもよい。権限情報は、ウェイポイントIDに対応付けて設定可能部署と設定可能役職の項目を有している。
【0073】
・ウェイポイントIDの項目はウェイポイントを一意に識別又は特定する識別情報が格納される。ウェイポイントIDは、管理者が付与してもよいし、自動で付与されてもよい。ウェイポイントはある地点(1点)のみを示す場合だけでなく、ある地点の周囲を含む範囲を示してもよい。
【0074】
・設定可能部署の項目は、このウェイポイントを設定できるユーザーが所属する部署が格納される(第1の権限情報の一例)。
【0075】
・設定可能役職の項目は、このウェイポイントを設定できるユーザーの役職が格納される(第1の権限情報の一例)。
【0076】
設定可能部署と設定可能役職とは両方を満たすユーザーがウェイポイントを設定できることを意味してもよいし、設定可能部署と設定可能役職の片方のみを満たすユーザーがウェイポイントを設定できることを意味してもよい。
【0077】
なお、権限情報には、設定を許可する時間帯が含まれていても良い。その場合、限られた時間のみ特定の部署又は役職のユーザーが該ウェイポイントを移動体20に移動させることができる。
【0078】
<<ブロック構成の変形例>>
図6の情報処理システム40はなくてもよく、この場合、情報処理システムの機能を端末装置30が有していればよい。この場合、移動体20と端末装置30が有線又は無線で通信する。また、移動体20が、情報処理システム40と端末装置30の全ての機能を有していてもよい。
【0079】
<ウェイポイントの設定例>
図9は、拠点内を、移動体20を走行させて自律走行で通過するウェイポイントとなる候補を登録する作業について説明する図である。ユーザーは、端末装置30から所定の入力操作を行い、移動体20に対して操作を開始し、対象拠点の地図情報を表示させる。ユーザーは、操作画面で移動体20が撮像する画像を見ながら遠隔操作し、移動体20の現在位置を確認しつつ、撮像装置により撮像された撮像画像を見ながらウェイポイントを探し、ウェイポイント登録ボタンを押下することで、ウェイポイントを登録する。図9に示す例では、ユーザーは、エリア1~4の4つのエリアをそれぞれ走行させ、ウェイポイントとなる候補を探す。
【0080】
図10は、登録されたウェイポイントの一例を示した図である。エリア1~4を点検するために、ウェイポイント(位置P0~P21)が登録されている。ウェイポイントには、移動体20が撮像など所定の作業を行う点検箇所も含まれる。
【0081】
移動体20は、位置P0をスタート位置とし、位置P1~P21を順番に移動するようにウェイポイントが登録されている。図10のように設定されたウェイポイントは情報処理システム40に送信され、情報処理システム40が移動体20に送信することで移動体20に設定される。
【0082】
なお、ウェイポイントは、緯度・経度などの座標でよい。屋内の場合、移動体20の位置情報は、UWB(Ultra Wide Band)で検出される位置情報(室内の座標)、IMES(Indoor Messaging System)等で検出される位置情報(座標)でもよい。この他、ウェイポイントは拠点で移動体20の位置と比較できる情報であればよい。
【0083】
図11は、設定されたウェイポイント情報の一例を示す。ウェイポイントは地点IDに対応付けられた位置情報である。地点IDは上方から下方に順番に付されており、図11の例では、「P0→P1→P2→……」が移動ルートである。位置情報は、ウェイポイントの座標である。この座標は緯度・経度のほか、拠点内のある位置を基準とする座標であってもよい。
【0084】
<動作又は処理>
図12は、ユーザーがウェイポイントを設定する処理の流れを説明するシーケンス図である。
【0085】
S1:まず、ユーザーが使用する移動体20にICカードをかざしたり生体情報を入力したりすることで、移動体20のユーザー情報取得部21がユーザー情報を取得する。
【0086】
S2:移動体20の通信部22はユーザー情報を情報処理システム40に送信する。情報処理システム40の通信部44がユーザー情報を受信する。これにより、権限情報照合部43がユーザーの部署と役職を特定する。
【0087】
S3:ユーザーは後述する図14のように移動体20を指定して端末装置30にウェイポイントを指定する。端末装置30の移動体制御入力受付部63がウェイポイントの指定を受け付ける。
【0088】
S4:端末装置30の通信部61が移動体20の識別情報、及び、移動体20の制御に関する情報(ウェイポイント、移動体20の速度、目的地で使用するデバイス(撮像装置など))を情報処理システム40に送信する。
【0089】
S5:情報処理システム40の移動体情報受信部45が移動体20の識別情報及び移動体20の制御に関する情報を受信する。権限情報照合部43がユーザー情報と移動体20の制御に関する情報(主にウェイポイント)を使用してユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか照合する。この詳細を図13にて説明する。
【0090】
S6:照合結果がOKの場合、情報処理システム40はウェイポイントを受け付ける。ユーザーがウェイポイントの設定を完了し、移動体20への設定を行うと、情報処理システム40の通信部44がウェイポイント、移動体20の速度、ウェイポイントで使用するデバイス(撮像装置など)などを移動体20に送信する。
【0091】
移動体20の通信部22がこれらを受信し、ウェイポイント管理部23がウェイポイントとウェイポイントが接続された移動ルートを管理する。ウェイポイントとウェイポイントの接続は管理者が設定してもよいし、数学的な方法(例えば移動距離が最低になる、ルートの重複が少ない等)で自動的に設定してもよい。移動体20は移動ルートに従って拠点内を移動する。移動制御については公知の方法を使用するとして詳細は省略する。
【0092】
S7:照合結果がNGの場合、情報処理システム40の移動体情報送信部46は、照合結果がNGであることを端末装置30に送信する。照合結果がNGであることは、例えば、権限がないためにウェイポイントの設定が制限された旨を含む。
【0093】
S8:端末装置30の通信部61は照合結果がNGであることを受信し、移動体情報表示部62が照合結果を出力する。詳細を図14にて説明する。
【0094】
図13は、ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否かを情報処理システム40が照合し、端末装置30が照合結果を表示する処理を説明するフローチャート図である。
【0095】
権限情報照合部43は、権限情報記憶部42においてウェイポイントに対応付けられた部署と役職を取得する。権限情報照合部43は、権限情報の部署と役職と、ユーザー情報の部署と役職を照合する。すなわち、権限情報照合部43は、権限情報の部署と役職にユーザー情報の部署と役職が含まれているか否か判断する(S11)。このように権限情報照合部43は、取得した権限情報とユーザー情報とが対応付けられているか否かを照合する。対応付けがされていれば、ユーザーはそのウェイポイントを通過位置として設定する権限が設定されている。
【0096】
ステップS11の判断がYesの場合、処理はステップS12に進み、ステップS11の判断がNoの場合、処理はステップS13に進む。ステップS12の処理は図12のステップS6と同様でよく、ステップS13の処理は図12のステップS7、S8と同様でよい。
【0097】
図14は、端末装置30が表示するウェイポイント設定画面200の一例である。図14のウェイポイント設定画面200には、移動ルート設定モードである旨206が表示されている。移動ルートの設定にはウェイポイントの設定も含まれる。ユーザーはマウスやタッチパネルなどのポインティングデバイスでA~Eのウェイポイントを設定した。次に、ユーザーがFのウェイポイントを設定した際に、照合結果がNGであったため、移動体情報表示部62がダイアログボックス201を表示した。ダイアログボックス201には、ウェイポイント情報202、「指定したウェイポイントは設定できません。別のウェイポイントを指定してください」というメッセージ203、はいボタン204、いいえボタン205が表示されている。メッセージ203は照合結果を含み、NGであるためにウェイポイントの設定が制限された旨を含む。なお、メッセージ203には、ウェイポイントを設定する権限をユーザーが有していない旨を含めるか、又は、ユーザーにとってメッセージ203が表示されるのは、ウェイポイントを設定する権限をユーザーが有していない場合であることを知っていることが好ましい。ユーザーは、メッセージ203を見ることで、ウェイポイントを設定できないことを把握でき、別のウェイポイントを設定できる。つまり、ユーザーはなぜウェイポイントを設定できないかを把握して、別のウェイポイントを設定でき、作業が停滞しにくい。
【0098】
図14のメッセージ203は、照合結果がNGの場合のメッセージ例であるが、端末装置30は照合結果がOKの場合にメッセージを表示してもよい。端末装置30は情報処理システム40から照合結果がOKであること又はOKであるためにウェイポイントの設定が許可された旨を受信し、照合結果にもとづくメッセージを表示する。つまり、端末装置30は照合結果に応じてメッセージを変更できる。
【0099】
なお、情報処理システム40が照合するのでなく、情報処理システム40が、権限情報とユーザー情報を端末装置30に送信しておき、端末装置30側でウェイポイントごとに権限情報とユーザー情報を照合してもよい。この場合、ユーザーは端末装置30にユーザー情報を入力してもよい。
【0100】
本実施例によれば、ウェイポイントを設定できない旨が表示されるので、ユーザーは、どうすれば操作できるようになるのか判断でき、作業が停滞することを抑制できる。例えば、ユーザーはウェイポイントを設定する権限がないことを把握し、ユーザーに許可されたウェイポイントを設定することができる。また、ユーザーに権限がある場合にウェイポイントが設定されるので、セキュリティが低下することを抑制できる。
【実施例0101】
本実施例では、情報処理システム40に移動禁止エリアが設定されており、移動ルートが移動禁止エリアを通過する場合にウェイポイントの設定を制限する移動体システム100について説明する。
【0102】
本実施例においては、上記の実施例1にて説明した図3図4のハードウエア構成図を援用できるものとして説明する。
【0103】
<機能について>
図15は、本実施例における、移動体20、情報処理システム40、及び、端末装置30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図である。なお、図15の説明において、図6において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0104】
<<情報処理システム>>
情報処理システム40は、新たに、移動禁止エリア設定受付部47、移動禁止エリア情報記憶部48、及び、通知部49を有している。移動禁止エリア設定受付部47は、管理者から予め移動禁止エリアの設定を受け付ける。移動禁止エリア情報記憶部48は、設定された移動禁止エリア情報を記憶しておく。
【0105】
図16は、移動禁止エリア情報記憶部48に記憶されている移動禁止エリア情報の一例である。移動禁止エリアは、例えば移動禁止エリアを表す四角形の4つの頂点の緯度・経度である。図16の移動禁止エリアは、左上の頂点から反時計回りに4つの頂点の緯度・経度を示す。移動禁止エリアの形状は五角形以上の多角形でもよいし、手書きした任意の形状でもよい。
【0106】
なお、図16の移動禁止エリア情報は、権限情報と関連付けられていないが、後述するように、移動禁止エリア情報も権限情報と関連付けられていてもよい。
【0107】
本実施例の権限情報照合部43は、移動ルートが移動禁止エリアに侵入するかどうかを判断する。権限情報照合部43は、ウェイポイントとウェイポイントを結ぶ直線が、移動禁止エリアに含まれるかどうかを判断する。含まれる場合、ユーザーが後に指定したウェイポイントの設定が制限される。2つのウェイポイントの両方、又は、先に設定したウェイポイントの設定が制限されてもよい。
【0108】
通知部49は、移動禁止エリアが設定されていても、移動禁止エリアに移動体20が侵入してしまった場合に、管理者等にメールやSNSでその旨を通知する。
【0109】
<動作又は処理>
ユーザーがウェイポイントを設定する処理の流れは図12のシーケンス図と同様でよい。図17は、ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否か、移動禁止エリアを通過するか否かを情報処理システム40が照合し、端末装置30が照合結果を表示する処理を説明するフローチャート図である。図17では主に図13との相違を説明する。
【0110】
ステップS21の判断は図13のステップS11と同様でよい。ステップS21でYesと判断されると、ステップS22において、権限情報照合部43は、ウェイポイントとウェイポイントを結ぶ直線が、移動禁止エリアに含まれるかどうかを判断する(S22)。
【0111】
ステップS22でYesと判断された場合、処理はステップS23に進み、ステップS22でNoと判断された場合、処理はステップS24に進む。ステップS23の処理は図13のステップS12と同様でよく、ステップS24の処理は図13のステップS13と同様でよい。
【0112】
図18は、端末装置30が表示するウェイポイント設定画面200の一例である。ユーザーはマウスやタッチパネルなどのポインティングデバイスでAのウェイポイントを設定した。次に、ユーザーがFのウェイポイントを設定した。Fのウェイポイントは、本実施例においてユーザーが設定できるウェイポイントとする。権限情報照合部43が、移動ルートの順にウェイポイント間を結ぶ直線を作成し、各直線が移動禁止エリア情報記憶部48に記憶されている移動禁止エリア216に侵入するか判断する。直線と移動禁止エリアの重複判断は、例えば、直線が移動禁止エリアを構成する4辺のいずれかと交差するか否かで判断される。
【0113】
図18では、AとFのウェイポイントを結ぶ直線217が移動禁止エリア216に侵入した。なお、侵入とは重なる又は接することをいう。このため、権限情報照合部43は、照合結果がNGであると判断する。情報処理システム40の移動体情報送信部46は、NGの照合結果、及び、直線が侵入した移動禁止エリアを端末装置30に送信する。
【0114】
端末装置30の移動体情報表示部62は地図に移動禁止エリア216を表示すると共に、図18のダイアログボックス211を表示した。ダイアログボックス211には、ウェイポイント情報212、「移動禁止エリアが含まれるため、指定したウェイポイントは設定できません。別のウェイポイントを指定してください」というメッセージ213、はいボタン214、いいえボタン215が表示されている。ユーザーは、メッセージ213を見ることで、移動禁止エリアを通過するためにウェイポイントを設定できないことを把握でき、別のウェイポイントを設定できる。
【0115】
なお、情報処理システム40は、直線217が侵入した移動禁止エリア216だけでなく、地図に含まれる全ての移動禁止エリアを端末装置30に送信してもよい。また、情報処理システム40が地図に含まれる全ての移動禁止エリアを端末装置30に送信するタイミングとして、ユーザーがウェイポイントを指定する前でもよい。この場合、端末装置30側でウェイポイント間の直線が移動禁止エリアを侵入するか否か判断し、ダイアログボックス211を表示できる。また、端末装置30が移動禁止エリアを表示すれば、ユーザーが移動禁止エリアを避けてウェイポイントを設定できる。
【0116】
<移動禁止エリアに移動体が侵入した場合>
移動禁止エリアが設定されていても、移動禁止エリアに移動体20が侵入してしまう場合がある。移動体20が移動禁止エリアに侵入するケースとして、自律走行時にGPSにより検知する位置情報が一時的に不安定になり、意図せず侵入してしまうケースがある。また、ユーザーが遠隔操作(マニュアル操作)により、悪意を持って又は無意識に侵入させるケースもある。
【0117】
そこで、移動禁止エリアに移動体20が侵入した場合、情報処理システム40が管理者へメール送信等により通知する。
【0118】
図19は、ユーザーがウェイポイントを設定した後、移動体20が移動禁止エリアに侵入した旨を管理者に通知する流れを説明するシーケンス図である。
【0119】
S31:移動体20は、電源オンで起動した後、通信部22が、定期的に位置情報を情報処理システム40に送信する。GPSにより検知する位置情報が不安定の場合、正確な位置を検知できた場合に、移動禁止エリアにいることが判明する。
【0120】
S32:情報処理システム40の通信部44が位置情報を受信し、権限情報照合部43が、位置情報が、移動禁止エリア情報記憶部48に記憶されている移動禁止エリアに含まれるか否か判断する。
【0121】
S33:位置情報が移動禁止エリアに含まれる場合、通知部49は管理者等にメールやSNSでその旨を通知する。なお、管理者のメールアドレスやSNSは予め設定されているものとする。
【0122】
図20は、管理者が端末装置30に表示するメール表示画面220の一例である。メール表示画面220の送信元221に情報処理システム40の名称が設定され、宛先222に管理者のメールアドレスが設定されている。本文には、「移動禁止エリアに侵入した移動体があります」というメッセージ223、日時224、移動体ID225、移動禁止エリアID226、侵入時の緯度・経度227、及び、合計侵入時間228が表示されている。補足すると、侵入時の緯度・経度227は移動禁止エリアに移動体20が存在することが最初に検知された際の位置情報である。管理者は移動体20がどの方向から侵入したのかを推定できる。合計侵入時間228は、移動禁止エリアに移動体20が侵入を開始してから、退出するまでの合計時間である。合計侵入時間228は、移動体20が移動禁止エリアを移動中は時間と共に増加する。通知部49は、移動体20が移動禁止エリアに存在している間、例えば一定時間ごとに図20の通知を行うとよい。
【0123】
管理者は図20のような通知を受けて、情報処理システム40を介して、移動体20の通信を停止(情報漏洩防止)、移動禁止(それ以上の移動防止)、又は、操作するユーザーの特定(移動指示を出す)等を行う。また、管理者は移動禁止エリアまで移動して、移動体20の除去などを行うことができる。
【実施例0124】
本実施例では、実施例2において移動禁止エリア情報に権限情報が付与されている場合の移動体システム100について説明する。
【0125】
本実施例においては、上記の実施例1にて説明した図3図4のハードウエア構成図及び図15の機能ブロック図を援用できるものとして説明する。
【0126】
図21に示すように、本実施例では移動禁止エリア情報記憶部48に移動可能部署の項目(第2の権限情報の一例)が追加されている。図21は、移動禁止エリア情報記憶部48に記憶されている移動禁止エリア情報の一例である。図21では、例えば部署単位で移動禁止エリアが設定されている。設定可能役職の項目があってもよい。
【0127】
特定の部署のみ移動禁止エリアを移動可能にすることで、自動点検を実現しつつ外部への情報漏洩も防ぐことが期待できる。
【0128】
<動作又は処理>
ユーザーがウェイポイントを設定する処理の流れは図12のシーケンス図と同様でよい。図22は、ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否か、移動禁止エリアに侵入するか否かを情報処理システム40が照合し、端末装置30が照合結果を表示する処理を説明するフローチャート図である。図22では主に図17との相違を説明する。
【0129】
ステップS41の処理は図17のステップS21と同様でよい。ステップS41でYesと判断されると、ステップS42において、権限情報照合部43は、ウェイポイント間の直線が移動禁止エリアに含まれていない、又は、含まれていても移動禁止エリアの設定可能部署にユーザーの部署が含まれているか判断する(S42)。
【0130】
ステップS42でYesと判断された場合、処理はステップS43に進み、ステップS42でNoと判断された場合、処理はステップS44に進む。ステップS43の処理は図17のステップS23と同様でよく、ステップS44の処理は図17のステップS24と同様でよい。
【0131】
本実施例によれば、特定の部署のみ移動禁止エリアを移動可能にすることで、自動点検を実現しつつ外部への情報漏洩も防ぐことが期待できる。
【実施例0132】
本実施例では、各ウェイポイントに使用可能デバイスが設定されている移動体システム100について説明する。
【0133】
本実施例においては、上記の実施例1にて説明した図3図4のハードウエア構成図を援用できるものとして説明する。
【0134】
<機能について>
図23は、本実施例における、移動体20、情報処理システム40、及び、端末装置30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図である。なお、図23の説明において、図15において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0135】
<<情報処理システム>>
情報処理システム40は、新たに、デバイス判断部51、及び、使用可能デバイス情報記憶部52を有している。デバイス判断部51は、ユーザーがウェイポイントで点検等に使用するために設定したデバイスが、指定したウェイポイントで使用できるか判断する。使用可能デバイス情報記憶部52は、各ウェイポイントで使用が可能なデバイスを記憶しておく。
【0136】
図24は、使用可能デバイス情報記憶部52に記憶されている使用可能デバイス情報の一例である。デバイスは、例えば撮像装置、全天球カメラ、サーモカメラ、マイク、吸引式ガスセンサ、及び、レーザ式ガスセンサ等である。これらは、移動体20に搭載されているデバイスの一例であり他のデバイスが搭載されていてもよい。
【0137】
各ウェイポイントでは点検内容に合わせたデバイスのみが使用されることが好ましい。例えば、メータ読取りを行いたいウェイポイントでは、撮像装置の使用が許可される。音を測定して欲しくないウェイポイントではマイクの使用が制限される。これにより、適切なウェイポイントで適切な点検のみが実施される。
【0138】
デバイス判断部51が、ユーザーがウェイポイントで選択したデバイスの使用が、ウェイポイントで制限されていないと判断した場合、移動体情報送信部46がその旨を、端末装置30に送信する。
【0139】
<動作又は処理>
ユーザーがウェイポイントを設定する処理の流れは図12のシーケンス図と同様でよい。図25は、ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否か、デバイスを使用できるか否かを情報処理システム40が照合し、端末装置30が照合結果を表示する処理を説明するフローチャート図である。図25では主に図17との相違を説明する。
【0140】
ステップS51,S52の処理は図17のS21,S22と同様でよい。ステップS52でYesと判断されると、ステップS53において、デバイス判断部51は、ユーザーにより指定されたデバイスの使用がウェイポイントで許可されているか判断する(S53)。
【0141】
ステップS53でYesと判断された場合、処理はステップS54に進み、ステップS53でNoと判断された場合、処理はステップS55に進む。ステップS54の処理は図17のステップS23と同様でよく、ステップS55の処理は図17のステップS24と同様でよい。なお、ステップS55では、ユーザーが指定したウェイポイントでは選択したデバイスを使用できない旨が送信される。
【0142】
図26は、端末装置30が表示するウェイポイント設定画面200の一例である。ユーザーは、マウスやタッチパネルなどのポインティングデバイスでA~Eのウェイポイントを設定した。また、ユーザーはEのウェイポイントを指定し、デバイス設定欄231に対し、Eのウェイポイントで使用するデバイスを指定した。ここでは、一例として、ユーザーが、撮像装置、全天球カメラ、及びレーザ式ガスセンサをEのウェイポイントで使用するデバイスとして指定した。デバイス判断部51が、Eのウェイポイントで撮像装置、全天球カメラ及びレーザ式ガスセンサの使用が可能か(許可されてるか)を、使用可能デバイス情報記憶部52を参照して判断する。
【0143】
図26の例では、Eのウェイポイントでレーザ式ガスセンサの使用が可能でない(制限されている)と判断された。なお、Eのウェイポイントは、本実施例においてユーザーが設定できるウェイポイントとする。また、DとEのウェイポイントを結ぶ直線は移動禁止エリアに含まれていないとする。
【0144】
このため、情報処理システム40の移動体情報送信部46は、デバイスの使用が制限されている旨を端末装置30に送信する。端末装置30の移動体情報表示部62は、図26のダイアログボックス232を表示する。ダイアログボックス232には、使用デバイス233、「指定したウェイポイントではレーザ式ガスセンサは使用できません。別のデバイスを選択してください」というメッセージ234、はいボタン235、いいえボタン236が表示されている。ユーザーは、メッセージ234を見ることで、ウェイポイントでレーザ式ガスセンサを使用できないことを把握できる。
【0145】
なお、予め、情報処理システム40が該ウェイポイントで使用可能なデバイス類を端末装置30に送信してもよい。この場合、端末装置30はデバイス設定欄231に、該ウェイポイントで使用可能なデバイス類のみを選択可能(例えば使用できないデバイスを半輝度で表示する)に表示できる。あるいは、ユーザーがウェイポイントを指定した時点でこのウェイポイントで使用可能なデバイス類を情報処理システム40が端末装置30に送信してもよい。
【実施例0146】
本実施例では、権限情報照合部43によりウェイポイントの設定が不可と判断された場合に、代替となる設定可能なウェイポイントをユーザーへ提示する移動体システム100について説明する。
【0147】
本実施例においては、上記の実施例1にて説明した図3図4のハードウエア構成図を援用できるものとして説明する。
【0148】
<機能について>
図27は、本実施例における、移動体20、情報処理システム40、及び、端末装置30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図である。なお、図27の説明において、図23において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0149】
<<情報処理システム>>
情報処理システム40は、新たに、代替通過位置特定部53を有している。代替通過位置特定部53は、権限情報照合部43によりウェイポイントの設定が不可と判断された場合に、代替となる設定可能なウェイポイント(代替通過位置の一例)を特定する。代替案として提示されるウェイポイントは、設定が不可と判断されたウェイポイントからの距離が最も近いものなどでよい。あるいは、代替のウェイポイントは、設定が不可と判断されたウェイポイントからの距離が閾値以内で同じデバイスが使用可能なウェイポイントでもよい。
【0150】
<動作又は処理>
ユーザーがウェイポイントを設定する処理の流れは図12のシーケンス図と同様でよい。図28は、ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否かを情報処理システム40が照合し、端末装置30が照合結果を表示する処理を説明するフローチャート図である。図28では主に図25との相違を説明する。
【0151】
ステップS61~S63の処理は図25のS51~S53と同様でよい。ステップS61でNoと判断されると、ステップS64において、代替通過位置特定部53は、設定が不可と判断されたウェイポイントと最も近い他のウェイポイント(すでに設定済みのウェイポイントを除く)を特定する(S64)。代替通過位置特定部53が特定した代替ウェイポイントは、ステップS66で照合結果と共に端末装置30に送信される。
【0152】
ステップS63でYesと判断された場合、処理はステップS65に進み、ステップS63でNoと判断された場合、処理はステップS66に進む。ステップS65の処理は図25のステップS54と同様でよく、ステップS66の処理は図25のステップS55と同様でよい。
【0153】
図29は、端末装置30が表示するウェイポイント設定画面200の一例である。図29では図14との相違を主に説明する。図29のダイアログボックス241には、新たに「最も近い選択可能なウェイポイントはGです」というメッセージ209が表示されている。ユーザーは、メッセージ209を見ることで、Fのウェイポイントの代替として、Gというウェイポイントを設定することを検討できる。
【実施例0154】
本実施例では、移動禁止エリアにすでに存在する移動体20に対しユーザーがウェイポイントを設定しようとした場合にユーザーへ通知する移動体システム100について説明する。本実施例においては、上記の実施例2にて説明した図15の機能ブロック図を使用して説明する。
【0155】
ユーザーが移動体20を自律移動させる前に、遠隔操作(マニュアル操作)にて移動体20をスタート位置まで移動させてからウェイポイントを設定する場合がある。スタート位置が移動禁止エリアの場合、ウェイポイント設定時に移動体20が移動禁止エリア内に存在するので、情報処理システム40は、ユーザーへその旨を通知する。これにより、ユーザーが意図せず移動禁止エリア内を移動開始位置とするウェイポイント設定してしまうことを防げる。
【0156】
<<動作又は処理>>
図30は、移動体20が移動禁止エリアに存在する場合に、ユーザーがウェイポイントを設定する流れを説明するシーケンス図である。ステップS71~S73は図19のS31~S33と同様でよい。ステップS71~S73において、移動体20は位置情報を情報処理システム40に送信しながら、自律移動又はユーザーの遠隔操作で移動する。
【0157】
S74:ユーザーは、スタート位置まで移動済みの移動体20にウェイポイントを設定するために端末装置30を操作して、ウェイポイント設定画面200を情報処理システム40に要求する。
【0158】
S75:端末装置30の通信部61がウェイポイント設定画面200の要求を情報処理システム40に送信する。
【0159】
S76:情報処理システム40の移動体情報受信部45がウェイポイント設定画面200の要求を受信する。権限情報照合部43が移動体20の現在位置が移動禁止エリアに含まれるか否かを照合する。
【0160】
S77:現在位置が移動禁止エリアに含まれない場合、情報処理システム40の移動体情報送信部46は、ウェイポイントの設定画面を端末装置30に送信する。
【0161】
S78:端末装置30の通信部61はウェイポイントの設定画面を受信し、移動体情報表示部62がウェイポイントの設定画面を表示する。
【0162】
S79:現在位置が移動禁止エリアに含まれる場合、情報処理システム40の移動体情報送信部46は、ウェイポイント設定画面200と共に、すでに移動体20が移動禁止エリアに存在する旨を端末装置30に送信する。
【0163】
S80:移動体20の通信部22はウェイポイントの設定画面と移動禁止エリアに存在する旨を受信し、移動体情報表示部62がウェイポイントの設定画面と移動禁止エリアに存在する旨を表示する。
【0164】
図31は、端末装置30が表示するウェイポイント設定画面200の一例である。図31のウェイポイント設定画面200には、マニュアル操作中である旨255、移動体20の現在位置256、移動禁止エリア216、及び、ダイアログボックス251が表示されている。また、ダイアログボックス251には、「移動禁止エリア内にウェイポイントを設定することはできません。別の場所に移動して設定してください」というメッセージ252が表示されている。
【0165】
ユーザーは図31のウェイポイント設定画面200を確認し、移動体20の現在位置256が移動禁止エリア216に侵入してること、及び、メッセージ252により、ユーザーは移動体20を移動させる必要があることを把握できる。従って、ユーザーが意図せず移動禁止エリア内を移動開始位置とするウェイポイント設定してしまうことを防げる。
【実施例0166】
本実施例では、実施例1の変形例として、権限情報照合部43によりウェイポイント設定不可と判断された場合でも、テスト走行用にウェイポイントを設定可能な移動体システム100について説明する。
【0167】
例えば、テスト走行時や実証実験中など、通常運用時とは異なる場合に必要に応じて移動体20の挙動を確認したい場合がある。実証実験では移動体20の周囲に人間がいるため、異常発生時に即座に緊急停止可能なことが多い。そのため、管轄している部署等の権限によらず動作させたいというニーズがある。
【0168】
本実施例では、ユーザーがウェイポイント設定画面200にてテスト走行モードを設定できる。テスト走行モードとは、テスト走行のため、ユーザーがウェイポイントを設定する権限がなくても設定が許可されるモードである。あくまでテスト走行のためのモードなので、情報処理システム40はユーザーごとに、テスト走行モードを使用できる頻度、ユーザーの権限、又は、時間帯等を制限してもよい。
【0169】
図32は、ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否かを情報処理システム40が照合し、端末装置30が照合結果を表示する処理を説明するフローチャート図である。図32の説明では主に図13との相違を説明する。
【0170】
ステップS11の判断がNoの場合、処理はステップS11-2に進む。ステップS11-2で権限情報照合部43は、端末装置30からテスト走行モードである旨が送信されているか否か判断する(S11-2)。
【0171】
ステップS11-2の判断がYesの場合の処理はステップS12に進み、ステップS11-2の判断がNoの場合の処理はステップS13に進む。なお、ステップS12では、情報処理システム40が端末装置30に、指定したウェイポイントを設定する権限がない旨とテスト走行モードであるため設定できる旨を送信しておく。
【0172】
図33は、端末装置30が表示するウェイポイント設定画面200の一例である。図33の説明では主に図14との相違を説明する。図33のウェイポイント設定画面200では、テスト走行モードである旨208が表示されている。また、図33のウェイポイント設定画面200では、ダイアログボックス201に指定したウェイポイント情報202、「指定したウェイポイントの設定権限はありませんが、テスト走行モードのために設定可能とします」というメッセージ207が表示されている。ユーザーは、メッセージ207を見ることで、Fのウェイポイントを設定できたが、本来、Fのウェイポイントを設定できないことを把握できる。ユーザーは、ウェイポイントの周囲を管轄している部署等の権限によらず、通常運用時とは異なる場合に必要に応じて移動体20の挙動を確認することができる。
【実施例0173】
本実施例では、実施例7において、テスト走行モードが可能かを管理者が移動体20ごとに予め設定している移動体システム100について説明する。
【0174】
本実施例においては、上記の実施例1にて説明した図3図4のハードウエア構成図を援用できるものとして説明する。
【0175】
<機能について>
図34は、本実施例における、移動体20、情報処理システム40、及び、端末装置30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図である。なお、図34の説明において、図6において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0176】
<<情報処理システム>>
情報処理システム40は、新たに、テスト走行モード可能移動体情報記憶部54を有している。テスト走行モード可能移動体情報記憶部54は、移動体20ごとに、テスト走行モードが可能か否か設定されている。
【0177】
図35は、テスト走行モード可能移動体情報記憶部54に記憶されているテスト走行モード可能移動体情報の一例である。テスト走行モード可能移動体情報は、移動体20ごとにテスト走行モードが可能か否か設定された情報である。「○」はテスト走行モードが可能であることを、「×」はテスト走行モードが不可であることを示す。
【0178】
<動作又は処理>
図36は、ユーザーにウェイポイントを設定する権限があるか否か、移動体20にテスト走行モードが許可されているかを情報処理システム40が照合し、端末装置30が照合結果を表示する処理を説明するフローチャート図である。図36の説明では主に図13との相違を説明する。
【0179】
ステップS11の判断がNoの場合、処理はステップS11-3に進む。ステップS11-3で権限情報照合部43は、端末装置30からテスト走行モードである旨が送信されており、対象の移動体20が、テストモード設定が許可されている移動体20か否か判断する(S11-3)。
【0180】
ステップS11-3の判断がYesの場合の処理はステップS12に進み、ステップS11-3の判断がNoの場合の処理はステップS13に進む。なお、ステップS12では、情報処理システム40が端末装置30に、指定したウェイポイントを設定する権限がないが、操作中の移動体20には設定可能である旨を送信しておく。
【0181】
図37は、端末装置30が表示するウェイポイント設定画面200の一例である。図37の説明では主に図14との相違を説明する。図37のウェイポイント設定画面200では、移動ルート設定モードのうちテスト走行混在モードである旨210が表示されている。テスト走行混在モードは、テスト走行と通常運用の両方の移動体が混在して走行するモードである。通常運用とは、実施例1のようにユーザーに権限がないウェイポイントは設定できない運用である。
【0182】
図37のウェイポイント設定画面200では、ダイアログボックス201に指定したウェイポイント情報202、移動体ID262、「指定したウェイポイントの設定権限はありませんが、操作中の移動体20は設定することが可能です。ウェイポイントとして設定しますか。」というメッセージ261が表示されている。ユーザーは、メッセージ261を見ることで、本来、Fのウェイポイントを設定できないが、操作中の移動体20では設定可能であることを把握できる。
【0183】
実施例7では全ての移動体20が権限によらずウェイポイント設定可能だが、本実施例では特定の移動体20のみにテスト走行モードを適用できる。これにより、管理者が新しく移動体20を追加導入する際やテスト走行専用の移動体20など、走行エリアにテスト走行と通常運用が混在する場合でも、それらを両立させることができる。
【実施例0184】
本実施例では、移動体20の動作実績を表示する移動体システム100について説明する。これにより、移動体20がこれまでにどのような作業を実施したのか、ユーザーが知ることができる。ユーザーが、点検結果の照合や、点検ルート効率化の検討に役立てることができる。
【0185】
本実施例においては、上記の実施例1にて説明した図3図4のハードウエア構成図を援用できるものとして説明する。
【0186】
<機能について>
図38は、本実施例における、移動体20、情報処理システム40、及び、端末装置30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図である。なお、図38の説明において、図6において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0187】
<<情報処理システム>>
情報処理システム40は、新たに、移動体動作実績情報記憶部55を有している。移動体動作実績情報記憶部55は、移動体20ごとに、過去の動作実績が記憶されている。
【0188】
図39は、移動体動作実績情報記憶部55に記憶されている移動体動作実績情報の一例である。移動体動作実績情報は、移動体20がどのような動作を実施したかを時系列に記録した情報である。図39では、日時に対応付けてウェイポイントと使用デバイスが記録されている。つまり、移動体20がウェイポイントを通過した日時が記録され、ウェイポイントで移動体20がデバイス類612を使用するとそのデバイスが記録される。
【0189】
移動体20は周期的に位置情報を情報処理システム40に送信しており、デバイス類612を使用した場合は該デバイスの種類を情報処理システム40に送信しておく。なお、図39において、位置情報は、ウェイポイントに限らず、例えば1秒ごとの位置情報が日時と共に記録されてもよい。
【0190】
<動作又は処理>
図40は、ユーザーが移動体20の動作実績を端末装置30で表示する処理を説明するシーケンス図である。
【0191】
S91:ユーザーが、移動体20を指定して動作実績を表示させる操作を端末装置30に入力する。
【0192】
S92:端末装置30の通信部61が、移動体IDを指定して、動作実績の要求を情報処理システム40に送信する。
【0193】
S93:情報処理システム40の移動体情報受信部45が移動体IDを指定した動作実績の要求を受信する。移動体情報送信部46が移動体IDに対応付けられた動作実績を移動体動作実績情報記憶部55から取得する。
【0194】
S94:移動体情報送信部46は、取得した動作実績を端末装置30に送信する。
【0195】
S95:移動体20の通信部22が動作実績を受信し、移動体情報表示部62が動作実績を表示する。
【0196】
図41は、端末装置30が表示する移動体20の動作実績の一例である。図41では、ウェイポイント設定画面200に動作実績が表示されるものとする。ウェイポイント設定画面200には実績表示ボタン271が表示されている。ユーザーが実績表示ボタン271を押下すると、確認ダイアログ272が表示される。確認ダイアログ272は、操作中の移動体ID272a(ユーザーが選択又は指定した移動体20)、「これまでの動作実績を表示しますか」というメッセージ272b、はいボタン272c、及び、いいえボタン272dを有している。
【0197】
ユーザーがはいボタン272cを押下すると、動作実績ウィンドウ273がポップアップ表示される。図41に示すように、動作実績ウィンドウ273には、移動体動作実績情報記憶部55に記憶されている動作情報が、移動体ID274、期間275と共に、時系列に表示されている。
【0198】
ユーザーは、動作実績を見て、移動体20がこれまでにどのような作業を実施したのか、点検結果の照合や、点検ルート効率化の検討に役立てることができる。なお、動作実績の表示は上記の全ての実施例で可能である。
【0199】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0200】
例えば、本実施形態では、ウェイポイントを設定できない旨を端末装置30が表示したが、ウェイポイントを設定できる旨を端末装置30が表示してもよい。端末装置30は、ウェイポイントを設定できない旨をメッセージ(文字)でなく、アイコンなどの画像、警告音又は音声で通知してもよい。
【0201】
また、本実施形態では、ユーザーが選択できるウェイポイントが予め設定されていたが、ユーザーが任意の場所をウェイポイントに設定してもよい。この場合、権限情報は実施例3にて説明したように移動禁止エリア情報に対応付けられる。権限情報照合部43は、ユーザーが設定したウェイポイントが、権限を有さない移動禁止エリア情報に侵入しているか否かを判断する。
【0202】
また、図6などの構成例は、移動体20、情報処理システム40,端末装置30による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。移動体20、情報処理システム40,端末装置30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0203】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0204】
本発明の実施形態は、コンピュータの能力及び機能性に大きな改善をもたらす。これらの改善により、ユーザーは、情報処理装置において情報を格納し提示する方法であるテーブルとの、より効率的で堅牢な対話を提供するコンピュータを利用することができる。更に、本発明の実施形態は、より効率的で強力かつ堅牢なユーザーインターフェースの使用を通じて、より良いユーザー体験を提供する。このようなユーザーインターフェースは、人間と機械との間のより良い相互作用を提供する。
【0205】
<請求項に関する付記>
[請求項1]
設定された通過位置を通過するように自律移動する移動体であって、
前記通過位置を設定するユーザーのユーザー情報を取得するユーザー情報取得部と、
前記通過位置を設定するための第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有するか否かの照合結果を表示する移動体情報表示部と、
を有する移動体。
[請求項2]
前記移動体情報表示部は、前記第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合、前記ユーザーが設定した前記通過位置を設定できない旨を表示する請求項1に記載の移動体。
[請求項3]
前記通過位置に、前記通過位置を設定するための前記第1の権限情報が設定されている権限情報記憶部と、
前記権限情報記憶部において前記通過位置に対応付けられている前記第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有するか否か照合する権限情報照合部と、
を有する請求項1又は2に記載の移動体。
[請求項4]
予め設定された移動禁止エリアに、ユーザーが設定した前記通過位置と前記通過位置を結ぶ直線が侵入する場合、前記移動体情報表示部は、ユーザーが設定した少なくとも一方の前記通過位置を設定できない旨を表示する請求項1~3のいずれか1項に記載の移動体。
[請求項5]
前記移動体は前記移動体の位置情報を検出しており、
前記位置情報に基づいて、前記移動体が前記移動禁止エリアに侵入したと判断された場合、予め設定された管理者へ通知する通知部を有する請求項4に記載の移動体。
[請求項6]
前記移動禁止エリアに対応付けて、前記移動禁止エリアを通過する前記通過位置を設定するための第2の権限情報が設定されている移動禁止エリア情報記憶部を有し、
前記移動禁止エリアに、ユーザーが設定した前記通過位置と前記通過位置を結ぶ直線が侵入し、かつ、前記第2の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合、
前記移動体情報表示部は、ユーザーが設定した少なくとも一方の前記通過位置を設定できない旨を表示する請求項4に記載の移動体。
[請求項7]
前記通過位置に対応付けて、前記通過位置で使用可能なデバイスの種類が設定された使用可能デバイス情報記憶部を有し、
ユーザーが前記通過位置で使用すると設定した前記デバイスが、使用可能デバイス情報記憶部において使用可能でないと設定されている場合、前記移動体情報表示部は、ユーザーが前記通過位置に設定した前記デバイスが、前記通過位置で使用できない旨を表示する請求項1~6のいずれか1項に記載の移動体。
[請求項8]
前記通過位置を設定するための第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合、前記ユーザーが設定した前記通過位置を代替する代替通過位置を特定する代替通過位置特定部を有し、
前記移動体情報表示部は、前記代替通過位置を表示する請求項1~7のいずれか1項に記載の移動体。
[請求項9]
前記移動体は自機の位置情報を検出しており、
前記ユーザーが前記通過位置の設定を開始する際に、前記位置情報に基づいて、すでに、前記移動禁止エリアに前記移動体が侵入していると判断された場合、
前記移動体情報表示部は、前記移動禁止エリアに前記移動体が侵入している旨を表示する請求項4に記載の移動体。
[請求項10]
所定の走行モードで移動するために前記通過位置の設定を受け付けた場合、
前記第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合でも、前記ユーザーが設定した前記通過位置を設定できないとは判断せず、
前記移動体情報表示部は、前記ユーザーが設定した前記通過位置を設定できる旨を表示する請求項1~9のいずれか1項に記載の移動体。
[請求項11]
前記移動体に対応付けて、前記所定の走行モードの設定が可能か否か設定された走行モード可能移動体情報記憶部を有し、
前記第1の権限情報を、前記ユーザー情報で特定されるユーザーが有さない場合であり、かつ、前記走行モード可能移動体情報記憶部において前記ユーザーが前記通過位置を設定する前記移動体に前記所定の走行モードの設定が可能であると設定されている場合、
前記移動体情報表示部は、前記ユーザーが設定した前記通過位置を設定できる旨を表示する請求項10に記載の移動体。
[請求項12]
前記移動体の過去の動作実績を記憶した移動体動作実績情報記憶部を有し、
前記移動体情報表示部は、前記移動体動作実績情報記憶部に記憶されている前記過去の動作実績を表示する請求項1~11のいずれか1項に記載の移動体。
[請求項13]
前記動作実績には、前記通過位置で使用されたデバイスの種類が含まれる請求項12に記載の移動体。
【符号の説明】
【0206】
20 移動体
30 端末装置
40 情報処理システム
100 移動体システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0207】
【特許文献1】特開2021-99846号公報
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