(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079389
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240604BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G21/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192306
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】尾花 陽光
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA06
2H171FA19
2H171FA28
2H171GA23
2H171HA02
2H171JA12
2H171NA05
2H171QA02
2H171QA08
2H171QC36
2H171WA02
2H171WA11
2H171WA21
2H270SA09
2H270SB13
2H270SB16
(57)【要約】
【課題】画像形成物質の収容部や画像形成部を定着装置の熱から遮断するための気流を起こすためのエネルギー効率を従来に比して高めることが可能である画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成物質を用いて画像を形成する画像形成部(12)と、画像形成部に供給する画像形成物質を収容する画像形成部とは別体の収容部(41)と、熱定着装置(28)とを備えた画像形成装置(10)において、画像形成部と収容部の外周を通過して上昇する気流が熱定着装置の外周をとおる。収容部と画像形成部と少なくとも一方(12)を、定着装置よりも低い箇所が生じるように配置し、当該低い箇所の外周を通過して上昇する気流を、他方(41)と定着装置との間を通過して上昇させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成物質を用いて画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に供給する画像形成物質を収容する前記画像形成部とは別体の収容部と、熱定着装置とを備えた画像形成装置において、
前記画像形成部と前記収容部の外周を通過して上昇する気流が前記熱定着装置の外周をとおることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記収容部と前記画像形成部と少なくとも一方を、前記熱定着装置よりも低い箇所が生じるように配置し、当該低い箇所の外周を通過して上昇する気流を、他方と前記熱定着装置との間を通過して上昇させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記他方を、前記熱定着装置の側方に配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記他方と前記熱定着装置との間に断熱部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記他方は、前記収容部であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記収容部は、回転可能に設け、前記収容部の周面が前記上昇する気流に接する箇所で上昇する向きに回転駆動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記収容部の周面には前記上昇する気流を助ける凸形状部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記一方の前記低い箇所の外周を通過して上昇する気流は、前記他方と前記熱定着装置との間を通過する気流と、前記一方と前記熱定着装置の間を通過する気流とに分かれることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像形成部と前記収容部の外周を通過して上昇する気流は、上流側に吸気手段を備えたダクトにより前記画像形成部と前記収容部との近傍に送られることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において、
前記ダクトは、水平方向に複数の排気開口部を有し、水平方向両側の排気開口部の方が中央側の排気開口部よりも風量が大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像形成装置において、
下流側に排気手段を有し前記熱定着装置を通過した気流を取り込む開口部を備えたダクトを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一に記載の画像形成装置において、
前記画像形成物質は現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成物質を用いて画像を形成する画像形成部と、画像形成部に供給する画像形成物質を収容する画像形成部とは別体の収容部と、熱定着装置とを備えた画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1には、係る画像形成装置であって、画像形成ユニット(画像形成部)から飛散するトナー(画像形成物質)を吸引する吸引手段と、画像形成ユニットと吸引手段とを結ぶ排気流路の途中に設けたトナー除去部と、吸引手段の下流側に設けられ、吸引された空気をトナーカートリッジ(収容部)が配設されるトナーカートリッジエリアに送風するための整流ダクトとを備えたものが記載されている。この画像形成装置は、排紙トレイとトナーカートリッジの間に形成され、整流ダクトからの空気が流動する第1流路と、第1流路に連続し、定着装置とトナーカートリッジの間に形成され、第1流路を流動する空気を外部に導く第2流路も備える。この第2流路は定着装置と、これより下方に位置する画像形成ユニットとの間に形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の装置では、トナーカートリッジや画像形成ユニットと、定着装置との間の第2流路の気流でトナーカートッジや画像形成ユニットを定着装置の熱から遮断できると。しかし、具体的に開示されている第2流路は水平あるいは部分的に鉛直下方に伸びており、気流を起こすためのエネルギー効率の観点から改善の余地が残っている。従って発明が解決しようとする課題は、画像形成物質の収容部や画像形成部を定着装置の熱から遮断するための気流を起こすためのエネルギー効率を従来に比して高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像形成物質を用いて画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に供給する画像形成物質を収容する前記画像形成部とは別体の収容部と、熱定着装置とを備えた画像形成装置において、前記画像形成部と前記収容部の外周を通過して上昇する気流が前記熱定着装置の外周をとおることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、画像形成物質の収容部や画像形成部を定着装置の熱から遮断するための気流を起こすためのエネルギー効率を従来に比して高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】モノクロレーザプリンタの外観の概略斜視図。
【
図5】第一ダクトと感光体との位置関係を示す平面図。
【
図7】プロセスユニットのケースの変形例の説明図。
【
図9】第一ダクトと排気用の第二ダクトとの配置関係を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[画像形成装置。画像形成の手順]
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0008】
なお、以下の説明で「画像形成装置」とは、画像を記録する記録媒体であるシートに画像形成物質を付着させて画像形成を行う装置を意味する。画像形成物質としては、現像剤としてのトナーやインクを挙げられるがこれに限られない。また「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。「シート」とは、紙(用紙)に限らず、OHPシート、布帛なども含み、現像剤を付着させることができる媒体あるいは原稿の意味である。「用紙」とは、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。以下の実施形態では、「現像剤」をトナー、シートを「用紙」として説明し、また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0009】
図1は、画像形成装置である電子写真方式のモノクロレーザプリンタ10(以下、単に「プリンタ10」ともいう)の外観の概略斜視図である。
図1(a)は前側からの斜視図、
図1(b)は後側からの斜視図である。プリンタ10の上部には排紙トレイ35が形成され、下部には給紙トレイ25が設けられている。右の側面部には手差しトレイ31が設けられ、後の背面部には吸気口60と排気口61が形成されている。
【0010】
まず、プリンタ10の主要部を説明する。
図2はプリンタ10の内部構造の概略構成図である。
図2(a)には、片面プリントまたは両面プリントにおける第一面の搬送経路70を破線で示している。
図2(b)には両面プリントにおける第二面の搬送経路71も示している。
【0011】
プリンタ10は、その画像形成部に、ブラックの現像剤によって画像を形成するためのプロセスユニット12を備えている。プロセスユニット12は、表面に画像を担持する像担持体としての感光体14(感光体ドラム)と、感光体14の表面を帯電させる帯電手段としての帯電装置21と、感光体14上に現像剤であるトナーを供給して画像(現像剤像)を形成する現像手段としての現像装置22を有している。
【0012】
プロセスユニット12は、感光体14の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのドラムクリーニング装置、クリーニングで除去されたトナー(廃トナー)を収容する廃トナー収容部、感光体14の表面を除電する除電装置なども有する。現像装置22内には、未使用のトナーが収容されている。プロセスユニット12は、装置本体に対して着脱可能に構成され、消耗部品を交換可能となっている。この例では感光体の他、少なくもと帯電装置と現像装置とを備えたユニットであるが、プロセスユニット12に収容する装置の組み合わせはこれに限られない。
【0013】
プロセスユニット12に対して図の左下側には、感光体14の表面を露光するLSUユニット23が配置されている。画像データに基づいてLSUユニット23から感光体14の表面に光を発する様に構成されている。感光体14に対面する位置には、感光体14上の画像を用紙に転写する転写手段としての転写ローラ24が配置されている。転写ローラ24は、感光体14と当接可能な位置に配置されており、両者の当接部において転写ニップが形成される。
【0014】
装置本体の下部には、給紙トレイ25(
図1参照)に載置された用紙を給送する給送手段としてのトレイ給送ローラ26が配置されている。装置本体の側面部に設けた手差しトレイ31(
図1(a)参照)に載置された用紙Pを給送する給送手段として手差し給送ローラも配置されている。トレイ給送ローラ26や手差し給送ローラの用紙搬送方向下流側であって、上記転写ニップの上流側には、これら給送ローラによって給送された用紙Pを一旦停止させてから所定のタイミングで搬送するタイミングローラ対27が配置されている。
【0015】
転写ニップよりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された画像を定着させる定着装置28が配置されている。定着装置28は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ29と、この定着ローラ29に対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ30を備えている。
【0016】
続いて、本実施形態に係るプリンタ10の基本動作について説明する。給紙トレイ25から用紙Pが給紙される場合、制御部からの給紙信号によってトレイ給送ローラ26が回転すると、給紙トレイ25に積載された用紙束の最上位の用紙Pのみが分離されてタイミングローラ対27への給紙路へ送り出される。
【0017】
手差しトレイ31から用紙Pが給紙される場合、同様に、制御部からの給紙信号によって手差し給送ローラが回転すると、手差しトレイ31に積載された用紙Pの最上位の用紙Pのみが分離されて給紙路へ送り出される。用紙Pの先端がタイミングローラ対27のニップ部に到達すると、感光体14に形成されたトナー画像とタイミング(同期)をとると共に、用紙Pの先端スキューを補正するため、用紙Pにたるみを形成した状態で待機する。
【0018】
作像動作について説明すると、まず、帯電装置21にて感光体14の表面を均一な高電位に帯電させる。読取装置又はコンピュータ等からの画像情報に基づいて、LSUユニット23から感光体14の表面に光が照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。この静電潜像に対し、現像装置22によってトナーが供給され、トナー画像(現像剤画像)を形成(現像)する。
【0019】
感光体14にトナー画像が形成されると、タイミングローラ対27とトレイ給送ローラ26等が駆動を開始し、感光体14上のトナー画像とタイミング(同期)をとって用紙を転写ニップへ送る。そして、転写ローラ24よって、送られてきた用紙Pに感光体14上のトナー画像を転写する。なお、用紙Pに転写しきれなかった感光体14上の残留トナーは、ドラムクリーニング装置によって除去され、その後、除電装置によって感光体14の表面が除電される。
【0020】
トナー画像が転写された用紙Pは、転写後搬送路を通って定着装置28へと搬送される。定着装置28に送り込まれた用紙Pは、定着ローラ29と加圧ローラ30によって挟まれ、その未定着トナー画像が加熱・加圧されて用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着装置28から定着後搬送路へ送り出され、排紙トレイ35へ排出される。
【0021】
次ぎに本実施形態における特徴部であるトナーボトル41やプロセスユニット12の冷却のための構造について説明する。
図3は冷却ための気流の説明図である。矢印で気流を表している。
図3に示すように、プロセスユニット12は定着装置28に対して下側に配置されている。トナーボトル41は定着装置28に対して図の左側に配置されている。
【0022】
トナーボトル41の下側に第一ダクト39が配置されている。第一ダクト39の上流側には外部から空気を吸気する第一ファン42が配置されている。第一ファン42によって吸気された空気は第一ダクト39を通って第一ダクト39に設けられた第一開口部46a~46eから吹き出される。
図4は第一ダクト39の斜視図である。
【0023】
プロセスユニット12の各ローラの端部にある軸受けは摺動部であり、摩擦で温度が上昇する。感光体14の直接転写の場合、両面印刷では、一度定着装置28を通過した高温の用紙Pが感光体14と接触するため、感光体14の温度が上昇する。クリーニングブレードの摩擦でも感光体14の温度が上昇する。プロセスユニット12の温度が上昇することでトナーが固着し、プロセスユニット12の破損や異常画像が発生する。
【0024】
第一ダクト39の第一開口部46a~46eから吹き出された空気はプロセスユニット12の外周に吹き付けられることによって、プロセスユニット12の温度上昇を抑制する。
図5は第一ダクト39と感光体14との位置関係を示す平面図である。第一ダクト39の第一開口部46は複数ある。第一ダクト39の両端の第一開口部46a、46eはプロセスユニット12の端部(軸受け部)に向かって設けられる。図では感光体端部14a、14bに向かっている。第一ダクト39の中央部の第一開口部46b、46c、46dは感光体14の外周及びプロセスカートリッジ48の外周に向かって設けられている。この図でも矢印で気流を表している。
【0025】
給紙トレイ25にある用紙P(設置環境温度相当)と定着装置28を通過した用紙P(高温)が交互に感光体14に接触するため、感光体14の温度上昇よりも、印刷時に常時摩擦が発生する軸受け部の温度上昇が高くなりやすい。そのため、両端の第一開口部46a、46eからの風量を増やすことでより効率的にプロセスユニット12を冷却できる。
【0026】
第一ダクト39内の経路形状(経路断面積の比率)、各第一開口部46のサイズ、数を調整することで任意の風量を吹き出すことができる。プロセスユニット12やトナーボトル41、定着装置28などの温度上昇箇所に応じて変更可能である。例えば、温度上昇評価でプロセスユニット12の中央部の温度上昇が高くなく、端部の温度上昇が高く、より冷却が必要な場合は、中央の開口部(第一開口部46b、46c、46d)の開口面積を小さくして、気流の抵抗を大きくし、端部の開口部(第一開口部ae)への流量を増やす。
【0027】
第一ダクト39内部の流路を形成するリブ39aの位置を変更し、中央の開口部(第一開口部46b、46c、46d)に繋がる流路の断面積を小さくし、端部の開口部(第一開口部46a、46e)に繋がる流路の断面積を大きくすることで、中央の開口部(第一開口部46b、46c、46d)から出る流量を減らし、端部の開口部(第一開口部46a、46e)から出る流量を増やすことができる。
【0028】
第一ダクト39から吹き出された気流は、
図6、
図7で示すようにプロセスユニット12内部を冷却する気流(図の実線の矢印)とプロセスユニット12とトナーボトル41の間を通過する定着装置28側(図の上方)へ向かう気流(図の破線の矢印)に分かれる。定着装置28に向かう気流は、
図6に示すように、第一ダクト39の開口部に傾斜39bを設けることで、図の上方への気流を作り出す。
図7に示すように、プロセスユニット12のケース外形に傾斜39cを設けることで図の垂直上方への気流を作り出す。
【0029】
図6、
図7に示すようにプロセスユニット12内に進入した気流は、クリーニグブレード15やそのフォルダにガイドされて上昇し、除電ランプ16の光が透過する開口12aからプロセスユニット12外に出て定着装置28側に向かう気流と合流する。
【0030】
図3に示すように定着装置28側へ向かう気流は定着装置28内の加熱ローラを覆う垂直面の外周を有する定着装置28と円柱状のトナーボトル41の外周の間を通過することで、気流が効率的に熱定着装置28の外周をとおり、定着熱によってトナーボトル41の温度が上昇することを抑制する。また、定着装置28側(図の上方)へ向かう気流の一部は、
図6、
図7に示すようにプロセスユニット12の上部と、定着装置28の下部との隙間を通過する。ここを通過した気流は、
図2(b)に示す定着装置の図中右側の両面の第二面の搬送経路71を構成する部材の隙間を通って上昇する。そして、後述する定着装置28の垂直上方にある第二ダクト40の第二開口部に吸い込まれる。
【0031】
図8に示すように定着装置28とトナーボトル41やプロセスユニット12の間に断熱層(第一断熱層52a、第二断熱層52b)を配置してもよい。断熱層を配置することで、定着熱によるトナーボトル41やプロセスユニット12の温度上昇をより抑制する。断熱層はスポンジなどの断熱材や樹脂部品で囲んだ空気層で形成する。
図8のように定着装置28の近傍に断熱層(断熱部材)を設けることで、定着熱の拡散範囲を限定し機内全体の温度上昇を抑制できる。また、トナーボトル41やプロセスユニット12は着脱可能なため、着脱後に不意に機内に手を入れて定着熱で熱くなった板金などを触って火傷をする恐れがあるが、断熱層52で高温になることを抑制し、不意に手を入れたときの火傷を防ぐ。
【0032】
図9は第一ダクト39と排気用の第二ダクト40との配置関係を示す斜視図である。この
図9や
図3などに示すように、定着装置28の上側に第二ダクト40が配置されている。第二ダクト40の下流には外部に空気を排気する第二ファン43が配置されている。定着装置28とトナーボトル41の間を通過した空気や定着熱は第二ダクト40に設けられた第二開口部47に吸気され、第二ダクト40を通って第二ファン43によって排気される。
【0033】
図10は第二ダクト40の説明図である。第二ダクト40及び第二ダクト40の第二開口部47についても、第一ダクト39と同様に第二ダクト40内の経路形状、第二開口部47のサイズ、数を調整することで定着装置28とトナーボトル41の間を通過した空気や定着熱の排熱量を変更することができる。定着装置28は主走査方向の熱は用紙サイズより少し大きめ与えている。用紙Pが通ると用紙Pに熱が奪われるため、用紙Pの中央は温度が下がり用紙Pの端部は温度が高くなる。第二ダクト40の第二開口部47の両端部(第二開口部47a、47c)の吸気量を大きくすることで効率的に排熱ができ、トナーボトル41やプロセスユニット12などの温度上昇を抑制する。各第二開口部間の吸気量の調整は流路を形成するリブ40aの位置を変更することで行える。
【0034】
図1(b)、
図3及び
図9に示すように、プリンタ10本体の下方に設けられた吸気口60から第一ファン42によって吸気され、第一ダクト39を通って、定着装置28とトナーボトル41の間を通り、第二ダクト40を通り第二ファン43によってプリンタ10の上方に設けられた排気口61から排気される。自然対流に逆らわないように気流を流すことで効率的に機内冷却(温度上昇抑制)をすることができる。
【0035】
本実施形態とは逆の気流、すなわち、気流の上流が定着装置28であり、気流の下流がプロセスユニット12(自己発熱の高い順)になると、定着装置28で暖められた空気、または定着熱そのものがプロセスユニット12に流れ込み、プロセスユニット12を温めることとなり早期に温度が上昇する。そのため、本実施形態のように自己発熱の低い順に気流を流すことで確実にプロセスユニット12を冷却し温度上昇を抑制する。
【0036】
図11はトナーボトル41の回転駆動する例における回転方向を示す図であり、
図12は好適なトナーボトル41の形状を示す図である。
図11に示すように、トナーボトル41自体は回転し、
図12において反時計回りに回転する。トナーボトル41と定着装置28の間の気流方向と同じ方向で回転することで、気流の抵抗を減らし、空気の流れが速くなり排熱効果が向上する。
図12に示すように、トナーボトル41の外形に凸形状54(または凹凸)を設けることで、トナーボトル41の矢印Aの向きの回転を利用した気流を生み出すことができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0038】
(態様1)
画像形成物質を用いて画像を形成する画像形成部(12)と、前記画像形成部に供給する画像形成物質を収容する前記画像形成部とは別体の収容部(41)と、熱定着装置(28)とを備えた画像形成装置(10)において、前記画像形成部と前記収容部の外周を通過して上昇する気流が前記熱定着装置の外周をとおる。これによれば、比較的上方にある定着装置の熱で自然に上方へ移動しようとする空気の特性を利用してエネルギー効率を向上させることができる。
【0039】
(態様2)
態様1に記載の画像形成装置において、前記収容部と前記画像形成部と少なくとも一方(12)を、前記熱定着装置よりも低い箇所が生じるように配置し、当該低い箇所の外周を通過して上昇する気流を、他方と前記熱定着装置との間を通過して上昇させる。これによれば、定着装置との間を上昇する気流により他方を定着装置の熱から遮断し、温度上昇を抑制できる。
【0040】
(態様3)
態様2に記載の画像形成装置において、前記他方(41)を、前記熱定着装置の側方に配置した。これによれば、一方と他方とが上昇気流に沿って配置されることになり、両者を良好に定着装置から熱遮断し、両者の温度上昇を抑制できる
【0041】
(態様4)
態様2または3に記載の画像形成装置において、前記他方と前記熱定着装置との間に断熱部材(52a、52b)を設けた。これによれば、前記他方への定着装置の熱遮断を一層良好に行える。
【0042】
(態様5)
態様2乃至4のいずれか一に記載の画像形成装置において、前記他方は、前記収容部である。これによれば、定着装置との間を上昇する気流により収容部を定着装置の熱から遮断し、温度上昇を抑制できる。これにより、収容部の画像形成物質を熱から守ることができる。
【0043】
(態様6)
態様5に記載の画像形成装置において、前記収容部は、回転可能に設け、前記収容部の周面が前記上昇気流に接する箇所で上昇する向きに回転駆動する。これによれば、回転駆動による前記収容部の周面の上方移動により、上昇する気流に対する抵抗を小さくしたり、回転駆動速度の設定によっては、上昇する気流の上昇を加速したりすることもできる。
【0044】
(態様7)
態様6に記載の画像形成装置において、前記収容部の周面には前記上昇する気流を助ける凸形状部(54)を有する。これによれば、回転駆動速度の設定によって上昇気流の上昇を加速するのに、凸形状部が寄与できる。
【0045】
(態様8)
態様2乃至7のいずれか一に記載の画像形成装置において、前記一方の前記低い箇所の外周を通過して上昇する気流は、前記他方と前記熱定着装置との間を通過する気流と、前記一方と前記熱定着装置の間を通過する気流とに分かれる。これによれば、前記一方を熱定着装置の熱から良好に遮断し、温度上昇を抑制できる。
【0046】
(態様9)
態様1乃至8のいずれか一に記載の画像形成装置において、前記画像形成部と前記収容部の外周を通過して上昇する気流は、上流側に吸気手段(42)を備えたダクト(39)により前記画像形成部と前記収容部との近傍に送られる。これによれば、吸気手段で強制的に吸気を行うので、上昇する気流を良好に形成できる。
【0047】
(態様10)
態様9に記載の画像形成装置において、前記ダクトは、水平方向に複数の排気開口部(46a~46d)を有し、水平方向両側の排気開口部の方が中央側の排気開口部よりも風量が大きい。これによれば、画像形成部など端部は、軸受け摺動部の存在によって昇温しやすく、また、定着の端部も熱くなりやすいため、中央部よりも端部を積極的に冷却することで温度上昇を抑制できる。
【0048】
(態様11)
態様1乃至10のいずれか一に記載の画像形成装置において、下流側に排気手段(43)を有し前記熱定着装置を通過した気流を取り込む開口部(47a~47c)を備えたダクト(40)を設けた。これによれば、排気手段によって強制的な排気を行うので、上昇する気流を良好に形成できる。
【0049】
(態様12)
態様1乃至11の何れか一に記載の画像形成装置において、前記画像形成物質は現像剤である。これによれば、現像剤の熱によって溶融・軟化することによる不具合を回避できる。
【符号の説明】
【0050】
10 :モノクロレーザプリンタ
12 :プロセスユニット
14 :感光体
14a :感光体端部
14b :感光体端部
21 :帯電装置
22 :現像装置
23 :LSUユニット
24 :転写ローラ
25 :給紙トレイ
26 :トレイ給送ローラ
27 :タイミングローラ対
28 :定着装置
29 :定着ローラ
30 :加圧ローラ
31 :手差しトレイ
35 :排紙トレイ
39 :第一ダクト
39a :リブ
39b :傾斜
40 :第二ダクト
40a :リブ
41 :トナーボトル
42 :第一ファン
43 :第二ファン
46 :第一開口部
46a :第一開口部
46b :第一開口部
46c :第一開口部
46d :第一開口部
46e :第一開口部
47 :第二開口部
47a :第二開口部
47c :第二開口部
48 :プロセスカートリッジ
52 :断熱層
52a :第一断熱層
52b :第二断熱層
54 :凸形状
60 :吸気口
61 :排気口
70 :搬送経路
71 :搬送経路
A :矢印
P :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】