(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079421
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】センシングデバイス及び抵抗パルスセンシング方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20240604BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20240604BHJP
G01N 15/13 20240101ALI20240604BHJP
【FI】
C12M1/34 A
C12Q1/04
G01N15/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192361
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 一道
(72)【発明者】
【氏名】片岡 正俊
(72)【発明者】
【氏名】梶本 和昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 宗明
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 麻恵
(72)【発明者】
【氏名】黒川 雄司
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB02
4B029FA03
4B063QA18
4B063QQ06
4B063QR75
4B063QX04
(57)【要約】
【課題】精度よく、電解液溶液中の検体の評価を行うことができるセンシングデバイス及び抵抗パルスセンシング方法を提供する。
【解決手段】第1槽6は、入力電極2が設けられ、電解質溶液が満たされる。第2槽7は、出力電極3が設けられ、電解質溶液が満たされている。複数の検出チャンネルCH1~CH4は、第1槽6及び第2槽7を連通する、互いに並列に設けられる。第1槽6及び第2槽7の検出チャンネルCH1~CH4側の第1領域9の電気抵抗率ρ1を、第1槽6及び第2槽7の第1領域9を除いた第2領域10の電気抵抗率ρ1よりも大きくした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電極が設けられ、電解質溶液が満たされた第1槽と、
出力電極が設けられ、前記電解質溶液が満たされた第2槽と、
前記第1槽及び前記第2槽を連通する、互いに並列に設けられた3つ以上の検出チャンネルと、を備えたセンシングデバイスであって、
前記第1槽及び前記第2槽の前記検出チャンネル側の第1領域の電気抵抗率を、前記第1槽及び前記第2槽の前記第1領域を除いた第2領域の電気抵抗率よりも大きくした、
センシングデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のセンシングデバイスにおいて、
前記入力電極から複数の前記検出チャンネルにそれぞれ向かう電流が、前記第1領域と前記第2領域との境界で、互いに平行に近づく方向に屈折し、複数の前記検出チャンネルを通った電流が、前記第1領域と前記第2領域との境界で、前記出力電極に向けて集まる方向に屈折するように、前記第1領域の電気抵抗率を前記第2領域の電気抵抗率よりも大きくした、
センシングデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のセンシングデバイスにおいて、
前記第1領域内に立設された複数の第1ピラーと、
前記第2領域内に立設された複数の第2ピラーと、を備え、
前記第1ピラー間の幅を前記第2ピラー間の幅よりも狭くして、前記第1領域の電気抵抗率を前記第2領域の電気抵抗率よりも大きくする、
センシングデバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のセンシングデバイスにおいて、
前記複数の検出チャンネルは、前記入力電極及び前記出力電極の第1並び方向と交差する第2並び方向に並んで設けられ、
前記入力電極及び前記出力電極は、複数の前記検出チャンネルの前記第2並び方向中心を挟んで配置され、
前記第1領域及び前記第2領域の境界は、前記第2並び方向の中央に近づくに従って複数の前記検出チャンネルから離れるように傾斜して設けられている、
センシングデバイス。
【請求項5】
入力電極が設けられ、電解質溶液が満たされた第1槽と、
出力電極が設けられ、前記電解質溶液が満たされた第2槽と、
前記第1槽及び前記第2槽を連通する、互いに並列に設けられた複数の検出チャンネルと、を備えたセンシングデバイスを用い、前記入力電極及び前記出力電極間に流れる電流を測定して前記電解質溶液内に含まれる検体について評価する抵抗パルスセンシング方法であって、
前記第1槽及び前記第2槽に立設する複数のピラー間の幅を調整することにより、前記第1槽及び前記第2槽の前記検出チャンネル側の第1領域の電気抵抗率を、前記第1槽及び前記第2槽の前記第1領域を除いた第2領域の電気抵抗率よりも大きくした、
抵抗パルスセンシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センシングデバイス及び抵抗パルスセンシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酒類・飲食業界では出荷判定の項目として微生物検査があり、製品に微生物の混入がないことを確認し、品質が保証されている。従来の微生物検査法として広く用いられている培養法では、検査結果が得られるまでに時間を要する。例えば大腸菌検査では、48±3時間の培養時間、PCR法などの迅速検査法でも1日程度かかる。このため、製造後出荷判定できるまでに待機時間が発生する。また、製造ラインからのサンプル採取、培養、サンプル調整などの作業負担が大きい。
【0003】
微生物検査法として、特許文献1、2などに開示されている抵抗パルスセンシング方法を用いることが考えられる。抵抗パルスセンシング方法とは、電解質溶液を満たした微細な貫通孔(検出チャンネル)を介して流れるイオン電流を計測し、電解質溶液中の微小検体の検出・評価が可能な手法である。微小検体が検出チャンネルを通過すると、イオン電流の流れを阻害するため、イオン電流がパルス状に変化する。このパルス状のイオン電流を計測することにより、非標識で1粒子ごとの微小検体を評価することができる。
【0004】
微小検体の検出チャンネルへの通過量を上げるには、複数の検出チャンネルを並列に設けることが有効である。しかしながら、検出チャンネルごとに電極からの距離や電極-検出チャンネル間の電気抵抗(アクセス抵抗)が異なる。このため、微小検体がどの検出チャンネルを通過するかによって検出結果(パルス高さ)が変わってしまうため、精度よく微小検体を評価することができない、という課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-120257号公報
【特許文献2】国際公開第2018/131064号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、精度よく、電解液溶液中の検体の評価を行うことができるセンシングデバイス及び抵抗パルスセンシング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るセンシングデバイス及び抵抗パルスセンシング方法は、下記[1]~[5]を特徴としている。
[1]
入力電極が設けられ、電解質溶液が満たされた第1槽と、
出力電極が設けられ、前記電解質溶液が満たされた第2槽と、
前記第1槽及び前記第2槽を連通する、互いに並列に設けられた3つ以上の検出チャンネルと、を備えたセンシングデバイスであって、
前記第1槽及び前記第2槽の前記検出チャンネル側の第1領域の電気抵抗率を、前記第1槽及び前記第2槽の前記第1領域を除いた第2領域の電気抵抗率よりも大きくした、
センシングデバイスであること。
[2]
[1]に記載のセンシングデバイスにおいて、
前記入力電極から複数の前記検出チャンネルにそれぞれ向かう電流が、前記第1領域と前記第2領域との境界で、互いに平行に近づく方向に屈折し、複数の前記検出チャンネルを通った電流が、前記第1領域と前記第2領域との境界で、前記出力電極に向けて集まる方向に屈折するように、前記第1領域の電気抵抗率を前記第2領域の電気抵抗率よりも大きくした、
センシングデバイスであること。
[3]
[1]に記載のセンシングデバイスにおいて、
前記第1領域内に立設された複数の第1ピラーと、
前記第2領域内に立設された複数の第2ピラーと、を備え、
前記第1ピラー間の幅を前記第2ピラー間の幅よりも狭くして、前記第1領域の電気抵抗率を前記第2領域の電気抵抗率よりも大きくする、
センシングデバイスであること。
[4]
[1]に記載のセンシングデバイスにおいて、
前記複数の検出チャンネルは、前記入力電極及び前記出力電極の第1並び方向と交差する第2並び方向に並んで設けられ、
前記入力電極及び前記出力電極は、複数の前記検出チャンネルの前記第2並び方向中心を挟んで配置され、
前記第1領域及び前記第2領域の境界は、前記第2並び方向の中央に近づくに従って複数の前記検出チャンネルから離れるように傾斜して設けられている、
センシングデバイスであること。
[5]
入力電極が設けられ、電解質溶液が満たされた第1槽と、
出力電極が設けられ、前記電解質溶液が満たされた第2槽と、
前記第1槽及び前記第2槽を連通する、互いに並列に設けられた複数の検出チャンネルと、を備えたセンシングデバイスを用い、前記入力電極及び前記出力電極間に流れる電流を測定して前記電解質溶液内に含まれる検体について評価する抵抗パルスセンシング方法であって、
前記第1槽及び前記第2槽に立設する複数のピラー間の幅を調整することにより、前記第1槽及び前記第2槽の前記検出チャンネル側の第1領域の電気抵抗率を、前記第1槽及び前記第2槽の前記第1領域を除いた第2領域の電気抵抗率よりも大きくした、
抵抗パルスセンシング方法であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、精度よく、電解液溶液中の検体の評価を行うことができるセンシングデバイス及び抵抗パルスセンシング方法を提供することができる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のセンシングデバイスの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すセンシングデバイスにおいて、入力電極、検出チャンネル、出力電極を通るA-A線概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の検出チャンネル付近の部分拡大図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すセンシングデバイスの上面図である。
【
図7】
図7は、異なる電気抵抗率の領域をイオン電流が進んだ場合の電流の流線について説明するための説明図である。
【
図8】
図8は、電気抵抗率が一様なセンシングデバイス(比較品)の断面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す比較品のセンシングデバイスに流れるイオン電流の流線を示す図である。
【
図10】
図10は、
図4に示す本発明品のセンシングデバイスに流れるイオン電流の流線を示す図である。
【
図11】
図11は、
図4に示す本発明品、
図8に示す比較品における検出チャンネル付近での左右方向の電界強度を示すグラフである。
【
図12】
図12は、第1領域、第2領域の双方に第2ピラーのみが設けられたデバイスについて電位及び電流密度をシミュレーションした結果を示す図である。
【
図13】
図13は、第1領域に第1ピラー、第2領域に第2ピラーが設けられたデバイスについて電位及び電流密度をシミュレーションした結果を示す図である。
【
図14】
図14は、
図8に示す比較品のセンシングデバイスの電位をシミュレーションした結果を示す図である。
【
図15】
図15は、
図4に示す本発明品のセンシングデバイスの電位をシミュレーションした結果を示す図である。
【
図16】
図16は、
図8に示す比較品のセンシングデバイスの阻害電流変化量についてシミュレーションした結果を示す図である。
【
図17】
図17は、
図4に示す本発明のセンシングデバイスの阻害電流変化量についてシミュレーションした結果を示す図である。
【
図18】
図18は、
図8に示す比較品を製作して、イオン電流を計測した結果を示すグラフである。
【
図19】
図19は、
図4に示す本発明品を製作して、イオン電流を計測した結果を示すグラフである。
【
図20】
図20は、
図8に示す比較品及び
図4に示す本発明品を製作して、阻害電流変化量について測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。本実施形態のセンシングデバイス1は、電解質溶液中の微小検体(検体)を評価するために用いられている。
【0012】
以下、説明の便宜上、
図1などに示すように、「前(F)」、「後(B)」、「左(L)」、「右(R)」、「上(U)」及び「下(D)」を定義する。「前後方向」、「左方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、前後方向は、本発明の「第1並び方向」に対応し、左右方向は、本発明の「第2並び方向」に対応している。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のセンシングデバイス1は、上下方向に扁平に設けられ、内部に電解質溶液200が満たされた中空状に設けられている。センシングデバイス1は、入力電極2が設けられ、電解質溶液200が満たされた第1槽6と、出力電極3が設けられ、電解質溶液200が満たされた第2槽7と、第1槽6及び第2槽7を連通する、互いに並列に設けられた3つ以上の検出チャンネルCH1~CH4(本実施形態では4つ)と、を備えている。本実施形態では、4つの検出チャンネルCH1~CH4を設けたセンシングデバイス1について説明するが、これに限ったものではない。検出チャンネルの数は、3以上であればよく、電流ノイズを上回るパルス高さが計測できる限り10以上でも20以上でもよい。ただし、パルス高さはチャンネル数に反比例すると近似できるため、ノイズ0.3nAと想定すると、本実施形態では検出チャンネル数を10以下とするのが望ましい。
【0014】
入力電極2及び出力電極3は、前後方向に並んで設けられ、上下方向に長尺な円柱状に設けられている。入力電極2は、下端が第1槽6内の電解質溶液200内に浸され、上端が第1槽6から上方に突出している。出力電極3は、下端が第2槽7内の電解質溶液200内に浸され、上端が第2槽7から上方に突出している。本実施形態では、入力電極2及び出力電極3の中心間の距離は10.5mmに設定されている。
【0015】
入力電極2及び出力電極3間には、直流電源4から出力される直流の定電圧が印加される。また、入力電極2及び出力電極3間には、電流計5が設けられ、電流計5により入力電極2及び出力電極3間に流れるイオン電流を計測することができる。
【0016】
図1に示すように、第1槽6及び第2槽7は、前後方向に並んで設けられ、互いの間に検出チャンネルCH1~CH4が設けられている。第1槽6及び第2槽7は、同じ形状、同じ大きさに設けられている。また、第1槽6及び第2槽7は、入力電極2及び出力電極3を通る線を中心として左右対称な形状に設けられている。第1槽6は、検出チャンネルCH1~CH4に近づくに従って左右方向の幅が広くなる第1槽本体部61と、第1槽本体部61及び検出チャンネルCH1~CH4間に設けられた複数の第1センシング部62と、を有している。
【0017】
入力電極2は、第1槽本体部61内に設けられている。複数の第1センシング部62は、検出チャンネルCH1~CH4と同じ数設けられている。第1センシング部62は、第1槽本体部61から離れる、即ち検出チャンネルCH1~CH4に近づくに従って左右方向の幅が狭くなるように設けられている。
【0018】
第2槽7は、検出チャンネルCH1~CH4に近づくに従って左右方向の幅が広くなる第2槽本体部71と、第2槽本体部71及び検出チャンネルCH1~CH4間に設けられた複数の第2センシング部72と、を有している。出力電極3は、第2槽本体部71内に設けられている。複数の第2センシング部72は、検出チャンネルCH1~CH4と同じ数設けられている。第2センシング部72は、第2槽本体部71から離れる、即ち検出チャンネルCH1~CH4に近づくに従って左右方向の幅が狭くなるように設けられている。
【0019】
上述した検出チャンネルCH1~CH4は、第1センシング部62と、第2センシング部72と、の間に設けられている。本実施形態では、
図3に示すように、検出チャンネルCH1は、前後方向に沿った流路長さLeを有し、前後方向の一端から他端に亘って一定の幅Wに設けられている。検出チャンネルCH1の左右方向の幅Wは、第1センシング部62及び第2センシング部72の最も狭い左右方向の幅と同じに設けられている。検出チャンネルCH2~CH4も検出チャンネルCH1と同様である。本実施形態では、幅W=9μm、流路長さLe=10μmに設定しているが、これに限ったものではない。検出チャンネルCH1~CH4の流路長さLe、幅Wは、微小検体が通過できるような大きさであればよい。本実施形態では、微小検体としては、直径6μm程度を想定しているため、幅W,流路長さLeは、6μm以上が最適となる。また、シグナル/ノイズ比(S/N比)を許容値とするために、幅Wは、30μm以下、流路長さLeは33μ以下が最適となる。この30μmは、本実施形態で設定されたW=9μmの1/0.3倍、微小検体の直径6μmの5倍に相当する。また、流路長さLeは、6μm以上、33μm以下が最適となる。この33μmは、本実施形態で設定されたLe=10μmの1/0.3倍に相当する。
【0020】
図1に示すように、複数の検出チャンネルCH1~CH4は、左右方向に並べて設けられている。言い換えると、複数の検出チャンネルCH1~CH4は、入力電極2及び出力電極3を通る前後方向に沿った線に垂直に並べて設けられている。複数の検出チャンネルCH1~CH4は、左右方向に互いに等間隔に並べられるのが望ましい。また、入力電極2及び出力電極3は、複数の検出チャンネルCH1~CH4の左右方向中心(即ち一番左側の検出チャンネルCH1と一番右側の検出チャンネルCH4との中心)を挟んで前後方向両側に設けられている。
【0021】
また、本実施形態では、
図4に示すように、第1領域9の電気抵抗率ρ1を第2領域10の電気抵抗率ρ2よりも大きくしている。なお、
図4においては、センシングチャンネル1内に立設された後述する第1ピラー11、第2ピラー12の位置を分かりやすくするために、センシングチャンネル1の上面を取り除いて、第1ピラー11、第2ピラー12が見えている状態を示している。第1領域9は、第1槽6及び第2槽7の検出チャンネルCH1~CH4側の領域、即ち
図4中の点線よりも検出チャンネルCH1~CH4側の領域である。第2領域10は、第1槽6及び第2槽7の第1領域9を除いた領域即ち、
図4中の点線よりも検出チャンネルCH1~CH4から離れた側の領域である。
【0022】
本実施形態では、第1領域9の電気抵抗率ρ1は、第2領域10の電気抵抗率ρ2の例えば3倍に設定されている。本実施形態では、第1領域9内に上下方向に立設する第1ピラー11間の幅を、第2槽7内の上下方向に立設する第2ピラー12間の幅よりも狭くすることにより、電気抵抗率ρ1を電気抵抗率ρ2よりも大きくしている。
【0023】
次に、第1ピラー11及び第2ピラー12について、
図4~
図6を参照して説明する。
図4に示すように、第1ピラー11は、第1槽6及び第2槽7の第1領域9内に上下方向に立設している。第2ピラー12は、第1槽6及び第2槽7の第2領域10内に上下方向に立設している。
【0024】
図5及び
図6に示すように、第1ピラー11及び第2ピラー12は、対角線が前後方向、左右方向に平行になる断面ひし形に形成されている。
図5に示すように、第1ピラー11は、左右方向に等間隔Dpに並べて配置されている。第1領域9には、左右方向に等間隔Dpに並べられた複数の第1ピラー11から構成された第1ピラー列C1及び第2ピラー列C2が設けられている。第1ピラー列C1及び第2ピラー列C2は、前後方向に交互に並べて配置されている。第1ピラー列C1同士は、前後方向に等間隔√3Dpに並べて配置されている。第2ピラー列C2同士も、前後方向に等間隔√3Dpに並べて配置されている。
【0025】
左右方向に隣り合う第1ピラー列C1を構成する第1ピラー11の中心と、第2ピラー列C2を構成する第1ピラー11の中心と、の左右方向の距離は、Dp/2となる。また、前後方向に隣り合う第1ピラー列C1を構成する第1ピラー11の中心と、第2ピラー列C2を構成する第1ピラー11の中心と、の前後方向の距離は、√3Dp/2となる。
【0026】
図6に示すように、第2ピラー12は、第1ピラー11と同様に、左右方向に等間隔Dpに並べて配置されている。第2領域10には、左右方向に等間隔Dpに並べられた複数の第2ピラー12から構成された第3ピラー列C3及び第4ピラー列C4が設けられている。第3ピラー列C3及び第4ピラー列C4は、前後方向に交互に並べて配置されている。第3ピラー列C3同士は、前後方向に等間隔√3Dpに並べて配置されている。第4ピラー列C4同士も、前後方向に等間隔√3Dpに並べて配置されている。
【0027】
左右方向に隣り合う第3ピラー列C3を構成する第2ピラー12の中心と、第4ピラー列C4を構成する第2ピラー12の中心と、左右方向の距離は、Dp/2となる。また、前後方向に隣り合う第3ピラー列C3を構成する第2ピラー12の中心と、第4ピラー列C4を構成する第2ピラー12の中心と、の前後方向の距離は、√3Dp/2となる。
【0028】
第1ピラー11及び第2ピラー12は、相似の関係にあり、断面積が異なる。本実施形態では、第1ピラー11の断面積が、第2ピラー12の断面積より大きく設けられている。これにより、第1ピラー11間の幅(流路幅)を、第2ピラー12間の幅よりも狭くすることができる。
図5及び
図6に示す例では、第1ピラー11間の幅はLp/√3となり、第2ピラー12間の幅はLpとなる。このため、第1領域9の電気抵抗率ρ1を第2領域10の電気抵抗率ρ2よりも大きくすることができる。第1ピラー11及び第2ピラー12と電気抵抗率ρ1、ρ2との関係は後述する。
【0029】
次に、上述したDp、Lpの設定について説明する。Dpは、Lpより大きい値に設定される。Lpが小さいと流体の流れが小さくなり、スループットが落ちると考えられるため、Dpは、2Lp以下が望ましいが、原理的には2Lpより大きくても問題ない。本実施形態では、Dp/Lp=1.56に設定されている。また、Lp/√3は、微小検体が通過できるように微小検体の径以上に設定される。本実施形態では、微小検体の直径は6μmであるため、Lp/√3は6μm以上に設定されている。Lpは、流路高さHに比べて大きく設定しすぎると、第2ピラー12に撓みが生じて流路を塞いでしまう。そこで、Lpの上限は、流路高さHや第2ピラー12の素材に応じて設定し、例えばLp<50×流路高さHに設定される。本実施形態では、Lp/H=26.7に設定されている。また、DpとLpはLp<Dp<2Lpを満たす範囲で独立して設計することが可能である。(第2ピラー12の幅)+Lp=Dpとなるので、第2ピラー12の幅、Lp、Dpの何れか2つが決まると残りも一意的に決めることができる。
【0030】
第1領域9及び第2領域10の境界は、
図4に示すように、左右方向の中央に近づくに従って複数の検出チャンネルCH1~CH4から離れるように傾斜して設けられている。
【0031】
以上の構成によれば、入力電極2及び出力電極3間に定電圧を印加すると、入力電極2からのイオン電流は、複数の検出チャンネルCH1~CH4に分岐して流れる。複数の検出チャンネルCH1~CH4を通ったイオン電流は、出力電極3に向かって流れる。このとき、電解質溶液200中の微小検体が検出チャンネルCH1~CH4を通ると、電流計5によりパルス状のイオン電流が検出される。このパルス状のイオン電流のパルス高さに基づいて、微小検体を評価することができる。
【0032】
次に、異なる電気抵抗率ρ1、ρ2の領域をイオン電流が進んだ場合の電流密度について
図7を参照して説明する。同図に示すように、電気抵抗率ρ2の領域から電気抵抗率ρ1の領域に電流が進むと、その境界で下記の式(1)を満たすように屈折する。
ρ2tanθ2=ρ1・tanθ1 …(1)
θ2:入射角度
θ1:屈折角度
【0033】
本発明のセンシングデバイス1は、この屈折を利用して電流密度を制御して、検出チャンネルCH1~CH4を各々通る電流の流線R1~R4(
図9及び
図10参照)のアクセス抵抗を等しくしている。このことについて検証するため、本発明者らは、全領域が電気抵抗率ρ2で一様な
図8に示す比較品のセンシングデバイス100に流れるイオン電流及び等電位線についてシミュレーションした。このシミュレーションとしては、定常状態の電流密度jについての連続の式∇・j=∇・[(1/ρ)E]=0に基づいた有限要素法シミュレーションを採用した。ここでEは電界である。結果を
図9に示す。
図8に示す比較品のセンシングデバイス100は、
図4に示す本発明品のセンシングデバイス1と異なり、第1槽6、第2槽7全体に亘って等間隔で配置された第2ピラー12が設けられ、電気抵抗率がρ2で一様に設けられている。
【0034】
また、本発明者らは、第1領域9の電気抵抗率ρ1が第2領域10の電気抵抗率ρ2の3倍に設定された
図4に示す本発明品のセンシングデバイス1に流れるイオン電流及び等電位線についてシミュ―レーションした。結果を
図10に示す。本発明品のセンシングデバイス1、比較品のセンシングデバイス100の形状は、
図9及び
図10に示すように簡素化してシミュレーションを行っている。
図9及び
図10中の点線は、等電位同士を結んだ等電位線を示し、実線は比較品のセンシングデバイス100、本発明品のセンシングデバイス1を流れるイオン電流の流れを示す線(電流線)を示す。
【0035】
図9に示すように、比較品では、入力電極2、出力電極3と各検出チャンネルCH1~CH4との距離が異なるため、第1センシング部62、第2センシング部72付近では左右方向の位置によって電位が異なる。このため、比較品では、
図11に点線で示すように、検出チャンネルCH1~CH4を通過するイオン電流の電界強度(∝電界密度)が異なる。詳しく説明すると、比較品では、電極2、3から近い検出チャンネルCH2、CH3が、電極2、3から遠い検出チャンネルCH1、CH4よりも電界強度が高くなり、電流が流れやすい。このため、電流の流線R2、R3のアクセス抵抗が、電流の流線R1、R4のアクセス抵抗よりも低くなる。
【0036】
一方、
図10に示すように、本発明品では、入力電極2から検出チャンネルCH1~CH4に向かう電流が、斜線で示す第1領域9と第2領域10との境界で互いの電流の流線R1~R4が平行に近づく方向に屈折するように、電気抵抗率ρ1、ρ2が設計されている。このため、斜線で示す第1領域9において電流の流線R1~R4は平行となる。また、本発明品では、検出チャンネルCH1~CH4から出力電極3に向かう電流が、斜線で示す第1領域9と第2領域10との境界で出力電極3に向けて集まる方向に屈折するように、電気抵抗率ρ1、ρ2が設計されている。
【0037】
電流の流線R1~R4が平行になる第1領域9では左右方向の電位が等しくなっていると言える。このため、本発明品では、
図11に実線で示すように、検出チャンネルCH1~CH4を通過するイオン電流の電界強度(∝電界密度)が等しくなる。詳しく説明すると、本発明品では、検出チャンネルCH1~CH4の電界強度がほぼ等しく、電流の流れやすさがほぼ同じとなる。このため、電流の流線R1~R4のアクセス抵抗をほぼ等しくすることができる。
【0038】
次に、電気抵抗率ρ1、ρ2の設計の一例について説明する。今、
図10に示すように、第1槽本体部61の左右方向側面と左右方向との成す角度θ3を60°とし、第1領域9及び第2領域10の境界の傾斜と左右方向との成す角度θ4を30°とした場合について考える。電流の流線R1、R2は、最終的には第1槽本体部61の左側面に対して平行に流れる。
【0039】
電流の流線R3、R4は、最終的には第1槽本体部61の右側面に対して平行に流れる。このため、電流の流線R1~R4の第2領域10から第1領域9への入射角度θ2は角度θ3=60°と等しくなる。そして、屈折角度θ1を角度θ4=30°にすると、電流の流線R1~R4を前後方向に沿って互いに平行に屈折することができる。入射角度θ2=60°、屈折角度θ1=30°とするには、式(1)によりρ1=3・ρ2に設計すればよい。一般化すると、入射角度θ2=角度θ3、屈折角度θ1=角度θ4を満たせばよく、ρ2・tanθ3=ρ1・tanθ4を満たすように設計すればよい。
【0040】
次に、第1ピラー11及び第2ピラー12による電気抵抗率ρ1、ρ2の制御について説明する。本発明者らは、第1領域9及び第2領域10の双方に第2ピラー12のみが設けられている比較品と、第1領域9に第1ピラー11が設けられ、第2領域10に第2ピラー13が設けられている本発明品と、の第1領域9及び第2領域10付近の電位について、有限要素法によるシミュレーションによって検証した。なお、このシミュレーションでは、第1領域9及び第2領域10の境界は左右方向に平行に設け、第1領域9から第2領域10へのイオン電流の入射角度θ2は60°とした。また、第1ピラー11を第2ピラー12の1.73(=√3)倍とし、第1ピラー11間の幅(流路幅)を、第2ピラー12間の幅の0.58(=1/√3)倍とした。結果を
図12及び
図13に示す。
【0041】
図12に示すように、比較品においては、点線で示す等電位線は、均一で、矢印で示す電流密度の向きは同じ向きである。一方、
図13に示すように、本発明品では点線で示す等電位線が、第1領域9と第2領域10とでは異なり、矢印で示す電流密度の向きも第1領域9と第2領域10とでは異なる。従って、第1ピラー11間の流路幅(Lp/√3)、第2ピラー12間の流路幅(Lp)による電流密度制御が可能であるといえる。
【0042】
次に、本発明者らは、実際の形状の
図6に示す比較品のセンシングデバイス100及び
図4に示す発明品のセンシングデバイス1について、第1センシング部62及び第2センシング部72付近の電位について、有限要素法によるシミュレーションによって検証した。このシミュレーションでは、定常状態の電気密度jについての連続の式∇・j=∇・[(1/ρ)E]=0に基づいた有限要素法シミュレーションを採用した。実施形態における電気抵抗ρについては、今回はPBSイオン濃度をもとにデータブック(CRC Handbook of Chemistry and Physics)のイオン移動度を用いて計算した。結果を
図14及び
図15に示す。
【0043】
なお、このとき第2ピラー12は、対角線が300/2μmと300・√3/2μmとのひし型とした。また、第1ピラー11については、第2ピラー12の面積の3倍の断面積とした。即ち、第1ピラー11間の流路幅を第2ピラー12間の流路幅の1/√3倍とした。また、入射角度θ2=60°、屈折角度θ1=30°とし、Dp=2500/6μmとし、直流電源4により0.25Vの直流電圧を入力電極2及び出力電極3に加えることとした。さらに、検出チャンネルCH1~CH4の流路幅W(
図3参照)を9μm、流路長さLe(
図3参照)を10μm、流路高さH(
図1参照)を10μmとした。
【0044】
図14に示すように、比較品では、検出チャンネルCH1、CH4に対応する第1、第2センシング部62、72上の一点鎖線で示す等電位線は、検出チャンネルCH2、CH3に対応する第1、第2センシング部62、72上の一点鎖線で示す等電位線よりも検出チャンネルから離れた側に位置する。即ち、電流の流線R1、R4と電流の流線R2、R3とではアクセス抵抗が異なることが分かる。
【0045】
一方、
図15に示すように、本発明品では、検出チャンネルCH1~CH4に対応する第1、第2センシング部62、72上の一点鎖線で示す等電位線は、同じ位置に設けられている。即ち、電流の流線R1~R4のアクセス抵抗を同じにできることが分かった。
【0046】
次に、本発明者らは、上述した実際の形状の比較品のセンシングデバイス100及び本発明品のセンシングデバイス1について、微小検体の検出チャンネルCH1、CH2の通過に伴う阻害電流変化量ΔIについて、有限要素法によるシミュレーションによって検証した。結果を
図16及び
図17に示す。
【0047】
図16に示すように、比較品では、微小検体が検出チャンネルCH1を通過した場合の阻害電流変化量ΔIが1.22nAとなり、直径6μmの微小検体が検出チャンネルCH2を通過した場合の阻害電流変化量ΔIが1.04nAとなる。即ち、比較品では、検出チャンネルCH1と、検出チャンネルCH2と、では、阻害電流変化量ΔIが17%異なることが分かった。
【0048】
一方、
図17に示すように、本発明品では、微小検体が検出チャンネルCH1を通過した場合の阻害電流変化量ΔIが1.02nAとなり、微小検体が検出チャンネルCH2を通過した場合の阻害電流変化量ΔIが0.99nAとなる。即ち、本発明品では、検出チャンネルCH1と、検出チャンネルCH2と、の阻害電流変化量ΔIの違いを3%以内に抑えることができることが分かった。これによって、微小検体が、どの検出チャンネルCH1~CH4を通ってもイオン電流のパルス高さが変わることがなく、精度よく微小検体を評価することができることが分かった。
【0049】
次に、本発明者らは実際に
図4に示す本発明品、
図8に示す比較品を作成して、電流計5を用いてイオン電流を測定した。結果を
図18及び
図19に示す。なお、本発明品、比較品としては、通常のフォトリソグラフィー手法によってセンシングデバイスの鋳型をシリコンウエハ上に形成し、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane,PDMS)樹脂によって作成したレプリカをスライドガラスに接着することによって作製している。
【0050】
また、作製したセンシングデバイス1、100に微小検体として直径6μm±0.10μmのポリスチレン(polystyrene,PS)粒子を粒子濃度2×105/mLで分散された電解質溶液200としてのリン酸緩衝生理食塩水(phosphate-buffered saline,PBS) 10μLを満たした。また、入力電極2、出力電極3間には、0.25Vの電圧を印加して、電流計5によりイオン電流を計測した。
【0051】
比較品、本発明品とも1つのPS粒子の検出チャンネルCH1~CH4通過が1パルスの電流シグナルとして検出され、それぞれについて100パルスの検出実験を3回ずつ行った。
図18及び
図19は、100パルス中の典型的な2パルスを示している。なお、検出頻度は比較品で0.20Hz、本発明品で0.23Hzとした。
図18に示す比較品では、パルス高さIpにバラツキが生じたが、
図19に示す本発明品では、比較品に比べてパルス高さIpのバラツキを抑えることができた。3回の計測のパルス高さIpの平均値±標準偏差は比較品では1.21±0.03nA、本発明品では1.08±0.04nAで、パルス高さIpの値はどちらも再現できた。
【0052】
また、比較品、本発明品のイオン電流のパルス高さIpを比較するために、計測したイオン電流の阻害電流変化量ΔIの時系列変化から、直流成分を除いたもの(パルス以外の電流値一定の部分を差し引いたもの)をプロットした。プロットした結果を
図20に示す。
図20中、0(s)~10(s)は、比較品の阻害電流変化量ΔIを示し、10(s)~20(s)は、本発明品の阻害電流変化量ΔIを示す。
図20からも本発明品の方が比較品よりもパルス高さIpのバラツキを抑えることができることが分かる。
【0053】
また、300パルスのパルス高さIpについて頻度分布を
図20の右に示す。ガウス関数でフィティングした結果、比較品のパルス高さIpヒストグラムは標準偏差が0.22nAであるのに対して、本発明品のパルス高Ipヒストグラムは、標準偏差0.08nAとなった。本発明品では、パルス高さIpのばらつきが1/3程度に低減できることが分かった。パルス高さIpは粒子体積に凡そ比例し、6μmの球を仮定すると、従来品が0.40μmのばらつきであるのに対して、本発明品では0.16μmのばらつきとなる。
【0054】
パルス高さIpは微小検体を判定する指標の1つであり、そのばらつきを抑えられたことは、本発明品は、精度の高い粒子評価が可能であることを示している。評価に加えて粒子の検出においても、シグナルはリアルタイムで取得可能で、100パルスの検出は、10分以内で可能であった。粒子濃度が低い場合は検出までの時間が長くなるが、本手法では検出チャンネルの数や流速を増やすことで時間の短縮も期待できる。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。また、当業者であれば、上記の記載をもとに、本発明のセンシングデバイス1を適宜、設計、製造できる。
【0056】
上述した実施形態によれば、検出チャンネルCH1~CH4は4つ設けられていたが、これに限ったものではない。検出チャンネルCH1~CH4は複数設けられていればよく、5つ以上設けてもよいし、3つ設けてもよい。
【0057】
上述した実施形態によれば、第1ピラー11、第2ピラー12は断面ひし形に設けられていたが、これに限ったものではない。第1ピラー11、第2ピラー12の断面形状としては、丸形状であってもよいし、四角形状であってもよい。
【0058】
上述した実施形態によれば、第1領域9の電気抵抗率ρ1を第2領域10の電気抵抗率ρ2の3倍に設けていたが、これに限ったものではない。第1領域9の電気抵抗率ρ1を第2領域10の電気抵抗率ρ2より大きく設ければ、電流の流線R1~R4が平行に近づく方向に屈折することができ、電流の流線R1~R4のアクセス抵抗が近づいて、微小検体の評価を精度よく行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1 センシングデバイス
2 入力電極
3 出力電極
6 第1槽
7 第2槽
9 第1領域
10 第2領域
11 第1ピラー
12 第2ピラー
CH1~CH4 検出チャンネル