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特開2024-79499用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置
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  • 特開-用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置 図1A
  • 特開-用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置 図1B
  • 特開-用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置 図2
  • 特開-用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置 図3
  • 特開-用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置 図4
  • 特開-用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置 図5
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  • 特開-用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079499
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B65H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192478
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 愛梨
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA23
3F048BB10
3F048CB12
3F048CB13
3F048CB17
3F048DA09
3F048DB01
3F048DB11
3F048DC13
3F048EB40
(57)【要約】
【課題】配置スペース拡大およびコストアップの影響なく、用紙の異常積載を検知することができる用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明は、パレットが積載されかつ昇降機構を有する積載台と、用紙積載装置の幅方向に沿って発光部と受光部が対向して配置され、用紙または前記パレットの上面を検知する第1検知部と、前記第1検知部が前記用紙または前記パレットの上面を検知して、前記積載台が所定量下降しているにもかかわらず、前記第1検知部が非検知状態とならない場合に前記用紙の異常積載と判定する判定部と、を備える。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットが積載されかつ昇降機構を有する積載台と、
用紙積載装置の幅方向に沿って発光部と受光部が対向して配置され、用紙または前記パレットの上面を検知する第1検知部と、
前記第1検知部が前記用紙または前記パレットの上面を検知して、前記積載台が所定量下降しているにもかかわらず、前記第1検知部が非検知状態とならない場合に前記用紙の異常積載と判定する判定部と、
を備える用紙積載装置。
【請求項2】
前記第1検知部の上部に、前記用紙積載装置の幅方向に沿って発光部と受光部が対向して配置された第2検知部をさらに備え、
前記判定部は、前記第2検知部によって、前記用紙の落下時間より長い所定時間、前記用紙または前記パレットを検知している場合、前記用紙の異常積載と判定する、請求項1に記載の用紙積載装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1検知部または前記第2検知部を用いた前記用紙の異常積載の判定において、前記用紙の異常積載の判定までの前記積載台の下降時間または下降回数を、搬送媒体または搬送条件毎に調整する、請求項2に記載の用紙積載装置。
【請求項4】
パレットが積載されかつ昇降機構を有する積載台と、用紙積載装置の幅方向に沿って発光部と受光部が対向して配置され、用紙または前記パレットの上面を検知する第1検知部と、を備える用紙積載装置の制御方法であって、
前記第1検知部が前記用紙または前記パレットの上面を検知して、前記積載台が所定量下降しているにもかかわらず、前記第1検知部が非検知状態とならない場合に前記用紙の異常積載と判定するステップ、
を含む制御方法。
【請求項5】
パレットが積載されかつ昇降機構を有する積載台と、用紙積載装置の幅方向に沿って発光部と受光部が対向して配置され、用紙または前記パレットの上面を検知する第1検知部と、を備える用紙積載装置を制御するコンピュータを、
前記第1検知部が前記用紙または前記パレットの上面を検知して、前記積載台が所定量下降しているにもかかわらず、前記第1検知部が非検知状態とならない場合に前記用紙の異常積載と判定する判定部、
して機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一に記載の用紙積載装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙積載装置(以下、積載トレイという)では、搬入されてくるシート部材(例えば、用紙、記録紙、シート状記録媒体)がカールし、シート部材の異常積載となることがある。この異常積載が発生したまま用紙積載を継続してしまうと、正常にシート部材が積載されなかった不良紙が多く発生することがある。また、異常積載が発生したシート部材(積載不良紙)が用紙積載装置内で紙詰まりを起こし、用紙積載装置に異常が発生する可能性があるため、早期に異常積載を検出することは積載トレイの重要な技術となっている。従来、積載トレイ内の異常積載を検知する方法として、積載トレイ上部に測距センサを配置し、測距センサから積載用紙上面までの距離を監視する技術が開発されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、シート部材が正常に積載されている場合には、測距センサから、積載用紙上面までの距離は理論的に算出した理論値と近しくなるが、シート部材がカール等した場合には、測距センサと積載用紙上面までの距離が異常に近くなるため、理論値から大きく外れた値となり、カールしたシート部材を判別することができる。特許文献1では、測距センサに移動手段を設け、測距センサを垂直方向および水平方向に走査することでこの課題を解決している。
【0004】
しかしながら、上記の技術では、測距センサを垂直方向および水平方向に走査するための大がかりな機構を追加する必要があり、測距センサの配置スペースおよびそれらの機構にかかるコストに影響が大きい。特に、大容量のスタッカトレイでクリップ搬送をする場合には、積載トレイ上部にクリップ搬送機構があるため測距センサの配置スペース確保が難しく、またクリップから落下する用紙等のシート部材も測距センサを検知することになるため、測距センサが用紙の近接を検知した場合に、クリップからの落下によるものか、用紙のカールが発生しているのかを判別するのが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配置スペース拡大およびコストアップの影響なく、用紙の異常積載を検知することができる用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、パレットが積載されかつ昇降機構を有する積載台と、用紙積載装置の幅方向に沿って発光部と受光部が対向して配置され、用紙または前記パレットの上面を検知する第1検知部と、前記第1検知部が前記用紙または前記パレットの上面を検知して、前記積載台が所定量下降しているにもかかわらず、前記第1検知部が非検知状態とならない場合に前記用紙の異常積載と判定する判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、配置スペース拡大およびコストアップの影響なく、用紙の異常積載を検知することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、第1の実施の形態にかかるインクジェット方式の画像形成装置の全体構成の一例を説明するための図である。
図1B図1Bは、第1の実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置が有する排紙部の構成の一例を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の印刷時における大容量スタッカ動作のタイミングチャートの一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の印刷時における大容量スタッカ動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の印刷時における大容量スタッカ動作のタイミングチャートの他の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の印刷時における大容量スタッカ動作の流れの他の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置における用紙の異常積載の判定処理の一例を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置における用紙の異常積載の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9図9は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置における用紙の異常積載の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置の排紙部の構成の一例を説明するための図である。
図11図11は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置における過上昇検知センサを用いた用紙の異常積載の判定処理のタイミングチャートの一例を示す図である。
図12図12は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置における過上昇検知センサを用いた用紙の異常積載の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、用紙積載装置、制御方法、プログラム、および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1Aは、第1の実施の形態にかかるインクジェット方式の画像形成装置の全体構成の一例を説明するための図である。まず、本実施の形態にかかる用紙積載装置を備える画像形成装置の一例について、図1Aを用いて説明する。
【0011】
図1Aに示すように、インクジェット方式の画像形成装置100は、給紙部110と、搬送装置120と、画像形成部130と、乾燥部140と、排紙部150と、を備えている。保管部を構成する給紙部110から送り出されるシート状の被搬送物を用紙とする。
【0012】
用紙は、搬送装置120によって搬送され、画像形成部130へ送り出される。画像形成部130においては、用紙が円筒形状ドラム131に位置決めされ、円筒形状ドラム131の回転によって、図1において示す矢印方向へ搬送される。そして、用紙は、各色のインク液を吐出する液体吐出ヘッド132の下部(用紙への画像形成位置)に所定のタイミングで搬送され、各色のインクが吐き出され、その表面上に画像が形成される。
【0013】
画像形成部130によって画像が形成された用紙は、乾燥部140に搬送されてインク中の水分を蒸発させた後、排出部を構成する排紙部150にて、作業者が取り出し可能な位置に排出される。
【0014】
図1Bは、第1の実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置100は、CPU(Central Processing Unit)112と、ROM113と、RAM114と、HDD(Hard Disk Drive)115と、を有する。なお、HDD115に代えて、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置が用いられても良い。また、画像形成装置100は、エンジン116と、操作パネル117と、通信I/F118と、を有する。上記各部は、システムバス111を介して相互に接続される。
【0015】
エンジン116は、コピー機能、スキャナ機能およびプリンタ機能等の各種の機能を実行するものであり、これらの機能を実現するための汎用的な情報処理および通信以外の処理を行なうハードウェアである。例えば、エンジン116は、原稿を読み取るスキャナ、用紙等のシート材への印刷を行なうプロッタ等を有する。エンジン116には、さらに、印刷済みシート材を仕分けるフィニッシャ、原稿を自動給送するADF(Auto Document Feeder)のような特定のオプションを備えることもできる。
【0016】
CPU112は、画像形成装置100の動作を統括的に制御する。CPU112は、RAM114を作業領域として、ROM113またはHDD115等に格納されたプログラムを実行する。これにより、CPU112は、画像形成装置100全体の動作を制御する。すなわち、CPU112は、エンジン116に、上述したスキャナ機能およびプリンタ機能等を実行させる。本実施の形態では、CPU112は、RAM114を作業領域として、ROM113等に格納されたプログラムを実行することにより、判定部112aを実現する。判定部112aの具体的な動作については後述する。
【0017】
操作パネル117は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種画像(画面)を表示する。本実施の形態では、操作パネル117が、各種入力の受け付けを行なう受付機能と、各種画像(画面)の表示を行なう表示機能との双方を一体的に備えたタッチパネルである場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、操作パネル117は、各種の入力を受け付ける入力装置と、各種情報を表示する表示装置との別体として構成されても良い。
【0018】
通信I/F118は、ネットワークを介して、外部装置(例えば、クライアント端末等)と通信するためのインタフェースである。
【0019】
図2は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置が有する排紙部の構成の一例を説明するための図である。図2では、搬送ローラ2により回転する搬送ベルト上の搬送クリップ(爪)1により搬送されてきた用紙を積載する大容量スタッカを適用した排紙部150を一例として挙げる。
【0020】
図2に示すように、光透過型センサ3,3´,4,4´,5,5´,6,6´は、発光部と受光部が対向配置されており、用紙10またはパレット9の位置を検知する検知手段である。光透過型センサ11,11´,12,12´は、用紙積載装置の一例である排紙部150の幅方向(言い換えると、用紙10の幅方向)に沿って発光部と受光部が対向配置され、用紙10またはパレット9の上面を検知するセンサ(第1検知部の一例)である。ここで、パレット9には、用紙10が積載される。
【0021】
大容量スタッカ(排紙部150)の動作一例を説明する。大容量スタッカでは、印刷開始前にパレット9を待機位置まで移動させるために、昇降モータによって昇降台8を上昇させる。本実施の形態では、昇降モータおよび昇降台8は、パレット9が積載されかつ昇降機構を有する積載台の一例として機能する。光透過型センサ11,11´または光透過型センサ12,12´がパレット9または積載用紙10の上面を検知すると、CPU112は、昇降台8の上昇を停止させ、昇降台8の下降動作に入る。そして、光透過型センサ11,11´および光透過型センサ12,12´によって用紙10またはパレット9が非検知となったところで、CPU112は、昇降モータを停止し、その時の位置を昇降台8の待機位置とする。
【0022】
枚葉印刷機によって印刷された用紙10は、搬送クリップ1によって用紙積載装置(昇降台8)上部まで搬送される。搬送クリップ1から落下した用紙10は、用紙紙整え機構により端部を揃えられ、パレット9に積載される。そして、光透過型センサ11,11´または光透過型センサ12,12´が、用紙10の落下時間tより長い所定時間t以上、検知状態となり、積載された用紙10が昇降台8の上面に達したと判断すると、CPU112は、昇降モータによって昇降台8を所定量x(mm)下降させる。これを満杯検知となるまで繰り返す。また、昇降台8の下降動作に関しては、光透過型センサ11,11´および光透過型センサ12,12´が非検知となる箇所まで下降させる方法であっても良い。
【0023】
図3は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の印刷時における大容量スタッカ動作のタイミングチャートの一例を示す図である。図4は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の印刷時における大容量スタッカ動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0024】
搬送クリップ1から落下した用紙10がパレット9に積載されると、判定部112aは、光透過型センサ(上面センサ)11,11´,12,12´が、所定時間t以上、検知状態になっているか否かを判断する(ステップS301)。
【0025】
光透過型センサ11,11´,12,12´が所定時間t以上、検知状態となっている場合(ステップS301:Yes)、判定部112aは、パレット9に積載された用紙10が昇降台8の上面に達したと判断する。そして、判定部112aは、昇降台(トレイ)8をx(mm)下降させるとともに(ステップS302)、昇降台8が、用紙10が満杯になったと判断する満杯位置に到達したか否かを判断する(ステップS303)。昇降台8が満杯位置に到達していない場合(ステップS303:No)、ステップS301に戻る。
【0026】
一方、昇降台8が満杯位置に到達した場合(ステップS303:Yes)、判定部112aは、用紙10が満杯になったことを検知し(ステップS304)、用紙10のスタッカ動作を終了する。
【0027】
図5は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の印刷時における大容量スタッカ動作のタイミングチャートの他の一例を示す図である。図6は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置の印刷時における大容量スタッカ動作の流れの他の一例を示すフローチャートである。
【0028】
搬送クリップ1から落下した用紙10がパレット9に積載されると、判定部112aは、光透過型センサ(上面センサ)11,11´,12,12´が、所定時間t以上、検知状態になっているか否かを判断する(ステップS301)。
【0029】
光透過型センサ11,11´,12,12´が所定時間t以上、検知状態となっている場合(ステップS301:Yes)、判定部112aは、パレット9に積載された用紙10が昇降台8の上面に達したと判断する。そして、判定部112aは、昇降台(トレイ)8を下降させるとともに(ステップS501)、昇降台8が、用紙10が満杯になったと判断する満杯位置に到達したか否かを判断する(ステップS502)。
【0030】
昇降台8が満杯位置に到達していない場合(ステップS502:No)、判定部112aは、光透過型センサ11,11´,12,12´が、用紙10を検知していない非検知状態となっているか否かを判断する(ステップS503)。光透過型センサ11,11´,12,12´が非検知状態となっていない場合(ステップS503:No)、ステップS501に戻り、判定部112aは、昇降台8の下降を継続する。
【0031】
一方、光透過型センサ11,11´,12,12´が非検知状態となった場合(ステップS503:Yes)、判定部112aは、昇降台8の下降を停止し(ステップS504)、用紙10のスタッカ動作を終了する。また、昇降台8が満杯位置に到達した場合(ステップS502:Yes)、判定部112aは、用紙10が満杯になったことを検知し(ステップS304)、用紙10のスタッカ動作を終了する。
【0032】
図7は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置における用紙の異常積載の判定処理の一例を説明するための図である。本実施の形態では、判定部112aは、光透過型センサ(上面センサ)11,11´,12,12´が用紙10またはパレット9の上面を検知して、昇降台8が所定量下降しているにもかかわらず、光透過型センサ11,11´,12,12´が非検知状態とならない場合に用紙10の異常積載と判定する判定部の一例として機能する。具体的には、判定部112aは、上述した用紙10のスタッカ動作に加え、昇降台(トレイ)8の下降時間(または下降回数)に基づいて、用紙10の異常積載の判定を行う。これにより、測距センサを垂直方向および水平方向に走査するための大がかりな機能を追加することなく、用紙10の異常積載を検知することができるので、配置スペース拡大およびコストアップの影響なく、用紙異常積載を検知することができる。
【0033】
例えば、CPU112は、上面センサ(光透過型センサ11,11´,12,12´)が所定時間t以上、用紙10を検知して昇降台(トレイ)8を所定量下降したにもかかわらず、上面センサが非検知状態とならない場合には、用紙10が想定以上の高さに到達していることになる。そのため、判定部112aは、図7に示すように、カール紙等の異常積載が発生したと判断して、用紙10の搬送を停止する。
【0034】
図8は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置における用紙の異常積載の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、上述の図3に示すスタッカ動作パターンでの用紙の異常積載判定方法の一例について説明する。
【0035】
本制御では、判定部112aは、異常連続下降回数Yを予め定めておく。ここで、異常連続下降回数Yは、用紙10の異常積載と判定する昇降台8の下降回数である。用紙種類および搬送条件等によって異常積載と判断する昇降台8の下降量は異なるため、異常連続下降回数Yは、用紙種類および搬送条件等によって任意に定められても良い。
【0036】
図3に示す大容量スタッカ動作のように、印刷された用紙10は、光透過型センサ11,11´,12,12´を通過しながらパレット9に積載される。光透過型センサ11,11´,12,12´が用紙10の落下時間tより長い所定時間t以上、検知状態となると(ステップS301:Yes)、判定部112aは、積載された用紙が上面に達したと判断し、昇降モータによって昇降台8を所定量x(mm)下降させる(ステップS302)。このとき、判定部112aは、昇降台8を連続して下降させた連続下降回数nをカウントする(ステップS801)。
【0037】
次いで、昇降台8が満杯位置に到達していない場合(ステップS303:No)、判定部112aは、連続下降回数nが異常連続下降回数Yより多いか否かを判断する(ステップS802)。そして、連続下降回数nが異常連続下降回数Yより多い場合(ステップS802:Yes)、判定部112aは、用紙10の異常積載と判定し(ステップS803)、用紙10のスタッカ動作を終了させる。つまり、判定部112aは、用紙10またはパレット9の上面が検知されて、昇降台8が所定量降下したにもかかわらず、光透過型センサ11,11´,12,12´が非検知状態とならず、昇降台8の下降回数(連続下降回数)が異常連続下降回数Yより多くなった場合に、用紙10の異常積載と判定する。
【0038】
光透過型センサ11,11´,12,12´が用紙10の落下時間tより長い所定時間t以上、検知状態となっていない場合(ステップS301:No)、判定部112aは、連続下降回数nをリセットする(ステップS804)。
【0039】
このように、第1の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、測距センサを垂直方向および水平方向に走査するための大がかりな機能を追加することなく、用紙10の異常積載を検知することができるので、配置スペース拡大およびコストアップの影響なく、用紙異常積載を検知することができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、用紙またはパレットの上面が検知されて、昇降台が所定量降下したにもかかわらず、上面センサが非検知状態とならず、昇降台の下降時間が異常連続下降時間より長くなった場合に、用紙の異常積載と判定する例である。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0041】
本実施の形態では、判定部112aは、用紙10またはパレット9の上面が検知されて、昇降台8が所定量降下したにもかかわらず、光透過型センサ11,11´,12,12´が非検知状態とならず、昇降台8の下降時間が異常連続下降時間より長くなった場合に、用紙10の異常積載と判定する。
【0042】
図9は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置における用紙の異常積載の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。本制御では、判定部112aは、異常連続下降時間Tを予め定めておく。ここで、異常連続下降時間Tは、用紙の異常積載と判定する昇降台8の下降時間である。用紙種類および搬送条件等によって異常積載と判断する昇降台8の下降量は異なる。そのため、異常連続下降時間Tは、用紙種類および搬送条件等によって任意に定められるものとする。
【0043】
すなわち、判定部112aは、光透過型センサ11,11´,12,12´を用いた用紙10の異常積載の判定において、用紙10の異常積載の判定までの昇降台8の下降時間(連続下降時間)または下降回数(連続下降回数)を、搬送媒体または搬送条件毎に調整することも可能である。これにより、用紙種類および搬送条件等によって異常積載と判定する下降量は異なるため、各種条件毎に閾値(異常連続下降時間T等)を定められるようにすることで、用紙10の異常積載の誤検知(誤判定)を防ぐことができる。
【0044】
図5に示す大容量スタッカ動作のように、印刷された用紙は、光透過型センサ11,11´,12,12´を通過しながらパレットに積載される。光透過型センサ11,11´,12,12´が落下時間t1より長い所定時間t2以上、検知状態となると(ステップS301:Yes)、判定部112aは、積載された用紙10が上面に達したと判断し、昇降モータによって昇降台8を下降させるとともに(ステップS501)、昇降台8が満杯位置に到達したか否かを判断する(ステップS502)。
【0045】
昇降台8が満杯位置に到達していない場合(ステップS502:No)、判定部112aは、光透過型センサ11,11´,12,12´が非検知状態となっているか否かを判断する(ステップS503)。光透過型センサ11,11´または光透過型センサ12,12´が非検知状態となっていない場合(ステップS503:No)、判定部112aは、光透過型センサ11,11´,12,12´が非検知となる箇所まで下降させる。
【0046】
その際、判定部112aは、連続下降時間t3が異常連続下降時間Tより長いか否かを判断する(ステップS901)。連続下降時間t3が異常連続下降時間Tより長い場合には(ステップS901:Yes)、判定部112aは、用紙10の異常積載が発生したと判断する(ステップS902)。
【0047】
このように、第2の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、用紙種類および搬送条件等によって異常積載と判定する下降量は異なるため、各種条件毎に閾値(異常連続下降時間T等)を定められるようにすることで、用紙10の異常積載の誤検知(誤判定)を防ぐことができる。
【0048】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、上面センサの上部に、排紙部の幅方向に沿って発光部と受光部が対向して配置された過上昇検知センサを備える例である。以下の説明では、上述の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0049】
図10は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置の排紙部の構成の一例を説明するための図である。本実施の形態では、排紙部150は、第1,2の実施の形態にかかる排紙部150の構成に加え、図10に示すように、上面センサ(光透過型センサ)11,11´,12,12´の上部(上方)に光透過型センサ(過上昇検知センサ)13,13´,14,14´が設置されている。光透過型センサ13,13´,14,14´は、排紙部150の幅方向に沿って発光部と受光部が対向して配置された第2検知部の一例である。そして、判定部112aは、光透過型センサ13,13´,14,14´によって、用紙19の落下時間より長い所定時間、用紙10またはパレット9を検知している場合、用紙10の異常積載と判定する。これにより、さらに精度を高く、用紙10の異常積載を検出することができる。この光透過型センサ13,13´,14,14´は、過上昇検知センサとしても用いることができる。
【0050】
また、判定部112aは、光透過型センサ13,13´,14,14´を用いた用紙10の異常積載の判定において、用紙10の異常積載の判定までの昇降台8の下降時間(連続下降時間)または下降回数(連続下降回数)を、搬送媒体または搬送条件毎に調整することも可能である。これにより、用紙種類および搬送条件等によって異常積載と判断する下降量は異なるため、各種条件毎に閾値(例えば、異常連続下降時間T)を定められるようにすることで、用紙10の異常積載の誤検知(誤判定)を防ぐことができる。
【0051】
図11は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置における過上昇検知センサを用いた用紙の異常積載の判定処理のタイミングチャートの一例を示す図である。図12は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置における過上昇検知センサを用いた用紙の異常積載の判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0052】
本実施の形態では、過上昇検知センサ13,13´,14,14´は、図11に示すように、正常動作時には、常時、用紙10を検出することがなく、用紙10の落下に応じて、必ず、ONおよびOFFを繰り返す。そのため、過上昇検知センサ13,13´,14,14´が落下時間t1よりも長い所定時間t4以上、用紙10を検知した場合には(ステップS1101:Yes)、判定部112aは、用紙10の異常積載と判定する。(ステップS1102)。
【0053】
このように、第3の実施の形態にかかる画像形成装置によれば、用紙10の異常積載の判定処理が簡潔となるため、制御不良のリスクを低減することができる。
【0054】
なお、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、ROM113等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0055】
さらに、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0056】
本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、上述した各部(判定部112a)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU112等のプロセッサが上記ROM113からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、判定部112aが主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0057】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
8 昇降台
9 パレット
11,11´,12,12´,13,13´,14,14´ 光透過型センサ
100 画像形成装置
112 CPU
112a 判定部
113 ROM
114 RAM
115 HDD
150 排紙部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特許第5673235号公報
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12