(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007956
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】コントローラ、DNSリスト取得装置およびDNSリストサーバ、ならびに、それらのプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/4511 20220101AFI20240112BHJP
H04L 61/4541 20220101ALI20240112BHJP
H04L 67/1004 20220101ALI20240112BHJP
【FI】
H04L61/4511
H04L61/4541
H04L67/1004
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109413
(22)【出願日】2022-07-07
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 智史
(72)【発明者】
【氏名】倉掛 卓也
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊喜
(72)【発明者】
【氏名】打田 良介
(57)【要約】
【課題】単独運用可能なNMOS対応の番組制作システムを容易に複数接続して運用することを可能にする。
【解決手段】連結型番組制作システムSjoinは、NMOS対応のコントローラ10、認可サーバ20、RDS30および機器40と、DNSサーバ50と、ドメインごとのDNSリストをDNSリストサーバ70から取得するDNSリスト取得装置60と、を備えたドメインごとの複数の番組制作システムと、DNSリストを提供するDNSリストサーバ70と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NMOS対応のコントローラ、機器情報登録装置および番組制作用機器と、DNSサーバと、ドメインごとのDNSリストをDNSリストサーバから取得するDNSリスト取得装置と、を備えた前記ドメインごとの複数の番組制作システムと、前記DNSリストを提供する前記DNSリストサーバと、をネットワークで接続した連結型番組制作システムにおける前記コントローラであって、
前記DNSリスト取得装置から、前記DNSリストを受信するDNSリスト受信部と、
前記DNSリストに記載されたDNSサーバから、前記ドメインごとの前記機器情報登録装置のQuery APIのエンドポイントを取得し、前記Query APIにより前記ドメインごとの前記番組制作用機器の機器情報を取得するとともに、前記番組制作用機器を制御するNMOSインタフェース制御部と、
前記機器情報を表示し、ユーザからの指示により前記番組制作用機器の制御を前記NMOSインタフェース制御部に指示するユーザインタフェース制御部と、
を備えることを特徴とするコントローラ。
【請求項2】
前記番組制作システムは認可サーバをさらに備え、
前記NMOSインタフェース制御部は、前記DNSサーバから、前記ドメインごとの前記認可サーバのアドレスを取得し、前記認可サーバからの認可を用いて前記Query APIにより前記ドメインごとの前記番組制作用機器の機器情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
コンピュータを、請求項1または請求項2に記載のコントローラとして機能させるためのプログラム。
【請求項4】
NMOS対応のコントローラ、機器情報登録装置および番組制作用機器と、DNSサーバと、ドメインごとのDNSリストをDNSリストサーバから取得するDNSリスト取得装置と、を備えた前記ドメインごとの複数の番組制作システムと、前記DNSリストを提供する前記DNSリストサーバと、をネットワークで接続した連結型番組制作システムにおける前記DNSリスト取得装置であって、
自ドメインに属する前記DNSサーバのアドレスをドメイン名と対応付けて自ドメインのDNSリストとして予め記憶するDNSリスト記憶部と、
前記DNSリストサーバに接続し、前記自ドメインのDNSリストを前記DNSリストサーバに配信するとともに、前記DNSリストサーバから利用可能な前記ドメインごとのDNSリストを取得して前記DNSリスト記憶部に記憶するDNSリスト交換部と、
前記DNSリスト記憶部に記憶されるDNSリストが更新されるたびに、前記コントローラに更新後のDNSリストを配信するDNSリスト配信部と、
を備えることを特徴とするDNSリスト取得装置。
【請求項5】
前記DNSリスト交換部は、前記DNSリストサーバとの接続が切断された場合、自ドメイン以外のドメイン名およびDNSサーバのアドレスを前記DNSリスト記憶部から削除することを特徴とする請求項4に記載のDNSリスト取得装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項4または請求項5に記載のDNSリスト取得装置として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
NMOS対応のコントローラ、機器情報登録装置および番組制作用機器と、DNSサーバと、ドメインごとのDNSリストをDNSリストサーバから取得するDNSリスト取得装置と、を備えた前記ドメインごとの複数の番組制作システムと、前記DNSリストを提供する前記DNSリストサーバと、をネットワークで接続した連結型番組制作システムにおける前記DNSリストサーバであって、
前記DNSサーバのアドレスをドメイン名と対応付けてDNSリストとして記憶するDNSリスト記憶部と、
前記DNSリスト取得装置からの接続を受け付け、接続したDNSリスト取得装置から、前記DNSリスト取得装置が属するドメインのDNSリストを受信して、前記DNSリスト記憶部に記憶するとともに、前記DNSリスト記憶部に記憶されているすべてのDNSリストを現在接続しているDNSリスト取得装置に配信するDNSリスト配信部と、
を備えることを特徴とするDNSリストサーバ。
【請求項8】
前記DNSリスト配信部は、前記DNSリスト取得装置との接続が切断された場合、前記DNSリスト取得装置のドメインに対応するドメイン名およびDNSサーバアドレスを前記DNSリスト記憶部から削除するとともに、削除後のDNSリストを現在接続している他のDNSリスト取得装置に配信することを特徴とする請求項7に記載のDNSリストサーバ。
【請求項9】
コンピュータを、請求項7または請求項8に記載のDNSリストサーバとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラ、DNSリスト取得装置およびDNSリストサーバ、ならびに、それらのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ番組等の番組制作システムは、映像、音声および制御信号の伝送に、機器同士を接続するSDI(Serial Digital Interface)ではなく、IP(Internet Protocol)ネットワークを利用するようになってきている。IPネットワークを用いるとネットワーク経由で機器の制御が可能となるため、ベンダ共通の制御方式を用いて、1つの制御アプリケーションが様々なベンダの機器を制御できることが求められる。
【0003】
そこで、近年では、番組制作システムで使用する各機器に、IPネットワークを利用したベンダ共通の制御方式であるAMWA(Advanced Media Workflow Association)で策定されたNMOS(Networked Media Open Specification)の実装が進んでいる。
AMWA NMOSのIS-04(非特許文献1参照)では、システム内の機器(ノード)を登録および検出する機器情報登録装置(RDS:Registration and Discovery System)が提供するAPI(Application Programming Interface)が定義されている。例えば、IS-04では、RDSにシステム内の機器を登録するためのRegistration API(登録API)や、システム内に存在する機器の情報を取得するためのQuery API(問い合わせAPI)が定義されている。
【0004】
また、AMWA NMOSのIS-05(非特許文献2参照)では、ネットワーク上の機器間の接続を制御するスイッチング制御を行うためのConnection API(接続API)が定義されている。
また、AMWA NMOSのIS-10(非特許文献3参照)では、APIのセキュリティを高めるため、JWT(JSON〔JavaScript Object Notation〕 Web Token)(非特許文献4参照)によるアクセストークンを用いてAPIの利用を制限する認可方式が定義されている。
【0005】
ここで、
図15を参照して、従来の一般的なNMOS対応の番組制作システムSXの構成と制御の流れについて説明する。
番組制作システムSXは、コントローラ10Xと、認可サーバ20と、RDS(Registration and Discovery System:機器情報登録装置)30と、複数の機器40と、DNS(Domain Name System)サーバ50と、を備え、IPネットワーク(不図示)を介して接続して構成される。
【0006】
コントローラ10Xは、番組制作システムSX内の機器40に対し、Connection APIを使って機器40の接続制御を行う制御装置である。
認可サーバ20は、IS-10に準拠した認可を発行するサーバである。
RDS30は、番組制作システムSX内の機器40の登録と検出を行う装置であって、Registration APIとQuery APIとを提供する。
機器40(401,…,40M:Mは1以上の整数)は、Connection APIによる接続制御を受け付けるカメラ、マイク等の番組制作用機器である。
DNSサーバ50は、認可サーバ20のアドレスや各種APIのエンドポイントを記憶し、提供するサーバである。
【0007】
まず、機器40は、ネットワークに接続されると、Registration APIのエンドポイント、および、Registration APIを利用するための認可を取得するための認可サーバ20のアドレスを、DNSサーバ50に問い合わせて取得する(S10)。
そして、機器40は、IS-10に準拠した方式で、Registration APIを利用するための認可(認可トークン)を認可サーバ20から取得する(S11)。次に、機器40は、Registration APIを利用して機器40の機器情報をRDS30に登録する(S12)。この時、Registration APIを利用した登録リクエストにはS11で取得した認可を含める。
【0008】
コントローラ10Xは、Query APIのエンドポイント、および、Query APIを利用するための認可を取得するための認可サーバ20のアドレスを、DNSサーバ50に問い合わせて取得する(S13)。
そして、コントローラ10Xは、IS-10に準拠した方式で、Query APIを利用するための認可を認可サーバ20から取得する(S14)。次に、コントローラ10Xは、Query APIを利用して番組制作システムSX内に存在する機器40の機器情報をRDS30から取得する(S15)。この時、Query APIを利用した情報取得リクエストにはS14で取得した認可を含める。このQuery APIからは、登録されているすべての機器40の機器情報(Connection APIのエンドポイントを含む)が応答として返る。
【0009】
そして、コントローラ10Xは、IS-10に準拠した方式でConnection APIを利用するための認可を認可サーバ20から取得する(S16)。コントローラ10Xは、機器40のConnection APIに対して、機器40を制御する制御リクエストを送信する(S17)。この時、制御リクエストにはS16で取得した認可を含める。
これによって、番組制作システムSXは、IPネットワークを介して、種々の番組制作機器(機器40)を制御する。
【0010】
なお、番組制作システムSXは、認可サーバ20を省略して構成される場合もある。この場合、機器40は、S11における認可(認可トークン)の取得を省略して、RDS30に機器情報を登録する(S12)。また、コントローラ10Xは、S14における認可の取得を省略して、RDS30から機器情報を取得する(S15)。さらに、コントローラ10Xは、S16における認可の取得を省略して、機器40に制御リクエストを送信する(S17)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】AMWA IS-04 NMOS Discovery and Registration Specification
【非特許文献2】AMWA IS-05 NMOS Device Connection Management Specification
【非特許文献3】AMWA IS-10 NMOS Authorization Specification
【非特許文献4】RFC 7519 - JSON Web Token (JWT)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のAMWA NMOS対応の番組制作システムでは、RDSにすべての情報が集められることが前提であり、番組制作システム内にはRDSが1台だけ存在する。
そのため、従来の番組制作システムを、放送の中継車において単独で運用したり、放送局のシステムと接続して運用したりするためには、中継車および放送局のどちらにもRDSが存在することとなる。
【0013】
従来の番組制作システムは、放送局のシステムとネットワーク接続して、中継車のRDSを利用しない運用とすると、放送局と接続するまで中継車の運用ができないという問題がある。また、中継車と放送局が接続していないときは中継車のRDSを利用し、接続後は放送局のRDSを利用する運用とすると、接続状態に応じて各装置の登録・問い合わせ先を変更する必要があり、変更作業と利用不可時間が発生するという問題がある。
【0014】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、単独運用可能なNMOS対応の番組制作システムを容易に複数接続して運用することが可能な番組制作システムのコントローラ、DNSリスト取得装置およびDNSリストサーバ、ならびに、それらのプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、本発明に係るコントローラは、NMOS対応のコントローラ、機器情報登録装置および番組制作用機器と、DNSサーバと、ドメインごとのDNSリストをDNSリストサーバから取得するDNSリスト取得装置と、を備えたドメインごとの複数の番組制作システムと、DNSリストを提供するDNSリストサーバと、をネットワークで接続した連結型番組制作システムにおけるコントローラであって、DNSリスト受信部と、NMOSインタフェース制御部と、ユーザインタフェース制御部と、を備える構成とした(
図3,
図14参照)。
【0016】
かかる構成において、コントローラは、DNSリスト受信部によって、DNSリスト取得装置からドメインごとのDNSリストを受信する。これによって、コントローラは、特別な変更作業を伴わずに、複数のドメインに属するDNSサーバのアドレスを認識することができる。
そして、コントローラは、NMOSインタフェース制御部によって、DNSリストに記載されたDNSサーバから、ドメインごとの機器情報登録装置のQuery APIのエンドポイントを取得し、Query APIによりドメインごとの番組制作用機器の機器情報を取得するとともに、番組制作用機器を制御する。
【0017】
また、コントローラは、ユーザインタフェース制御部によって、機器情報を表示し、ユーザからの指示により番組制作用機器の制御をNMOSインタフェース制御部に指示する。これによって、コントローラは、異なるドメインに属するNMOS対応の番組制作用機器の機器情報を取得し、複数のドメインに属する番組制作用機器を制御することができる。
なお、コントローラは、コンピュータを、前記した各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【0018】
また、前記課題を解決するため、本発明に係るDNSリスト取得装置は、NMOS対応のコントローラ、機器情報登録装置および番組制作用機器と、DNSサーバと、ドメインごとのDNSリストをDNSリストサーバから取得するDNSリスト取得装置と、を備えたドメインごとの複数の番組制作システムと、DNSリストを提供するDNSリストサーバと、をネットワークで接続した連結型番組制作システムにおけるDNSリスト取得装置であって、DNSリスト記憶部と、DNSリスト交換部と、DNSリスト配信部と、を備える構成とした(
図5参照)。
【0019】
かかる構成において、DNSリスト取得装置は、DNSリスト記憶部に、自ドメインに属するDNSサーバのアドレスをドメイン名と対応付けて自ドメインのDNSリストとして予め記憶する
そして、DNSリスト取得装置は、DNSリスト交換部によって、DNSリストサーバに接続し、自ドメインのDNSリストをDNSリストサーバに配信するとともに、DNSリストサーバから利用可能なドメインごとのDNSリストを取得してDNSリスト記憶部に記憶する。
そして、DNSリスト取得装置は、DNSリスト配信部によって、DNSリスト記憶部に記憶されるDNSリストが更新されるたびに、コントローラに更新後のDNSリストを配信する。
これによって、DNSリスト取得装置は、特別な変更作業を伴わずに、システムの単独運用(単独のドメインでの運用)と、複数運用(複数のドメインでの運用)とを意識することなく、DNSサーバのDNSリストをコントローラに提供することができる。
なお、DNSリスト取得装置は、コンピュータを、前記した各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【0020】
また、前記課題を解決するため、本発明に係るDNSリストサーバは、NMOS対応のコントローラ、機器情報登録装置および番組制作用機器と、DNSサーバと、ドメインごとのDNSリストをDNSリストサーバから取得するDNSリスト取得装置と、を備えたドメインごとの複数の番組制作システムと、DNSリストを提供するDNSリストサーバと、をネットワークで接続した連結型番組制作システムにおけるDNSリストサーバであって、DNSリスト記憶部と、DNSリスト配信部と、を備える構成とした(
図7参照)。
【0021】
かかる構成において、DNSリストサーバは、DNSリスト配信部によって、DNSリスト取得装置からの接続を受け付け、接続したDNSリスト取得装置から、DNSリスト取得装置が属するドメインのDNSリストを受信して、DNSリスト記憶部に記憶するとともに、DNSリスト記憶部に記憶されているすべてのDNSリストを、現在接続しているDNSリスト取得装置に配信する。
これによって、DNSリストサーバは、番組制作システムのそれぞれのドメインに属するDNSサーバのDNSリストをすべての番組制作システムのDNSリスト取得装置に配信することができる。
なお、DNSリストサーバは、コンピュータを、前記した各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、NMOS対応の番組制作システムを複数接続して運用することができる。また、本発明によれば、NMOS対応の番組制作システムの複数運用や単独運用を、ネットワークの接続や切断によって、容易に切り替えることができる。
これによって、本発明は、番組制作システムを柔軟に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る番組制作システムの全体構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る番組制作システムを複数接続した連結型番組制作システムの構成を示す構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック構成図である。
【
図4】ドメイン管理部が管理する内容の例を示す表である。
【
図5】本発明の実施形態に係るDNSリスト取得装置の構成を示すブロック構成図である。
【
図6】DNSリスト取得装置が記憶するDNSリストの例を示す表である。
【
図7】本発明の実施形態に係るDNSリストサーバの構成を示すブロック構成図である。
【
図8】DNSリストサーバが記憶するDNSリストの例を示す表である。
【
図9】本発明の実施形態に係る複数の番組制作システム(連結型番組制作システム)の制御の流れを従来と対比して説明するための説明図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る複数の番組制作システムの制御の流れを示すシーケンス図(1/3)である。
【
図11】本発明の実施形態に係る複数の番組制作システムの制御の流れを示すシーケンス図(2/3)である。
【
図12】本発明の実施形態に係る複数の番組制作システムの制御の流れを示すシーケンス図(3/3)である。
【
図13】本発明の実施形態に係る番組制作システムの変形例の全体構成を示す構成図である。
【
図14】本発明の実施形態に係るコントローラの変形例の構成を示すブロック構成図である。
【
図15】従来の番組制作システムの構成と制御の流れを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
≪番組制作システムの構成≫
まず、
図1,
図2を参照して、本発明の実施形態に係る番組制作システムSの構成について説明する。
図1は、番組制作システムSを単独で構成した場合の構成例で、
図2は、番組制作システムSを複数接続した連結型番組制作システムSjoinの構成例である。
【0025】
番組制作システムSは、NMOS対応のシステム内の機器を複数の番組制作で共有し、各機器を個別に制御するものである。
番組制作システムSは、NMOS対応のコントローラ10、認可サーバ20、RDS(Registration and Discovery System:機器情報登録装置)30および機器(番組制作用機器)40と、DNS(Domain Name System)サーバ50と、DNSリスト取得装置60とを備え、IPネットワークNを介して接続して構成される。
【0026】
番組制作システムSは、IPネットワークNにおける1つのドメインを構成する。そして、番組制作システムSを複数接続する場合、
図2に示すように、複数の番組制作システムSを接続したIPネットワークNにさらにDNSリストサーバ70を接続した連結型番組制作システムSjoinの構成とする。
ここでは、連結型番組制作システムSjoinは、番組制作システムS
A,S
Bを接続した例で説明するが、番組制作システムSを3つ以上接続しても構わない。
【0027】
番組制作システムS
Aは、番組制作システムS
A内の機器40Aとともに、番組制作システムS
B内の機器40Bを利用して番組制作を行う。すなわち、番組制作システムS
Aは、機器40を利用する側として機能し、番組制作システムS
Bは、機器40を提供する側として機能する。
なお、
図1では、NMOSのAPIについて、本発明に関連するもののみについて記載し、他のAPIについては、説明を省略している。
【0028】
コントローラ10は、番組制作システムSにおけるNMOS対応の番組制作用の機器40を一括して制御するブロードキャストコントローラである。
コントローラ10は、単独または複数の番組制作システムS内の機器40に対し、Connection API(接続API)を使って機器40の接続制御を行う。
例えば、コントローラ10Aは、DNSリスト取得装置60Aから、複数の番組制作システムS
A,S
BのDNSサーバ50A,50Bのアドレスリスト(DNSリスト)を取得し、DNSサーバ50A,50Bから、認可サーバ20A,20BのアドレスやRDS30A,30BのQuery API(問い合わせAPI)のエンドポイント(アドレス)を取得する。
これによって、コントローラ10Aは、認可サーバ20AおよびRDS30A以外にも、認可サーバ20BおよびRDS30Bに対してアクセスが可能になり、番組制作システムS
A,S
Bの機器40A,40Bを制御することが可能になる。
なお、コントローラ10については、
図3を参照して後で詳細に説明する。
【0029】
認可サーバ20は、AMWA NMOSのIS-10に準拠した認可(認可トークン)を発行するサーバである。
ここでは、認可サーバ20は、IS-10に準拠して、機器40に対して登録の認可を与えたり、コントローラ10に対して、機器40の機器情報を取得する認可や機器40に対する制御の認可を与えたりする機能を有する。
【0030】
RDS(機器情報登録装置)30は、AMWA NMOSのIS-04に準拠した番組制作システムS内の機器40を登録および検出する装置である。
RDS30は、Registration API(登録API)によって、装置内に機器40の機器情報を登録する登録リクエストを受け付ける機能を有する。また、RDS30は、Query APIによって、登録している機器40の機器情報を提供する問い合わせリクエストを受け付ける機能を有する。
機器情報は、機器40の動作を特定するための各種情報であって、機器40の名称や提供するAPIのエンドポイント(アドレス)、送信する信号のパラメータ、受信可能な信号種別等の情報を含む。
【0031】
機器(番組制作用機器)40(401,…,40M:Mは1以上の整数)は、AMWA NMOSのIS-04/05に準拠した番組を制作するためのカメラ、マイク、ビデオミキサ、モニタ等の各種番組制作用機器である。
機器40は、AMWA NMOSのIS-10に準拠した方式で、Registration APIを利用するための認可を認可サーバ20から取得し、認可、機器情報を含んだ登録リクエストをRDS30に送出することで、機器の登録を行う。
機器40は、Connection APIによって制御の指示を接続リクエストとして受け付ける。
Connection APIは、例えば、カメラに対して映像出力をモニタに伝送する等の種々の接続制御が定められている。
【0032】
DNSサーバ50は、番組制作システムSの認可サーバ20のアドレス(IPアドレス)や各種API(Registration API,Query API等)のエンドポイント(IPアドレス)を提供するサーバである。なお、DNSサーバ50は、番組制作システムSに1台だけでなく、複数配置してもよい。
【0033】
DNSリスト取得装置60は、DNSリストサーバ70から、利用可能なDNSサーバのアドレスリスト(DNSリスト)を取得するものである。
DNSリスト取得装置60は、自身が接続されている番組制作システムSのドメインのDNSリストをDNSリストサーバ70に通知することで、DNSリストサーバ70から、接続されている複数の番組制作システムS全体(連結型番組制作システムSjoin)のDNSリストを取得する。
なお、DNSリスト取得装置60については、
図5を参照して後で詳細に説明する。
【0034】
DNSリストサーバ70は、複数の番組制作システムS(連結型番組制作システムSjoin)のDNSサーバ50のアドレスリスト(DNSリスト)を記憶し、各番組制作システムSに提供するものである。
DNSリストサーバ70は、個々の番組制作システムSのDNSリスト取得装置60から、個々の番組制作システムSのドメイン名と、番組制作システムS内で利用可能なDNSサーバ50のアドレスとを取得し、それぞれDNSリスト取得装置60に、複数の番組制作システムSで利用可能なDNSリストを提供する。
なお、DNSリストサーバ70については、
図7を参照して後で詳細に説明する。
以下、コントローラ10、DNSリスト取得装置60およびDNSリストサーバ70について詳細に説明する。
【0035】
<コントローラ>
図3を参照して、コントローラ10の構成について説明する。
図3に示すように、コントローラ10は、DNSリスト受信部11と、NMOSインタフェース制御部12と、ユーザインタフェース制御部13と、を備える。
【0036】
DNSリスト受信部11は、DNSリスト取得装置60から、DNSリストを受信するものである。
DNSリスト受信部11は、DNSリスト取得装置60に接続し、DNSリスト取得装置60から、現在、利用可能なDNSサーバのアドレスを記載したDNSリストを受信する。
DNSリストは、番組制作システムSを構成するドメインごとに予め定めたドメイン名と、ドメイン内で利用可能なDNSサーバのアドレスとを含む。
このとき、DNSリスト受信部11は、番組制作システムSが単独運用でも、複数接続した運用でも、単に利用可能なDNSリストを取得するだけで、運用形態による変更作業は生じない。
DNSリスト受信部11は、受信したDNSリストを、NMOSインタフェース制御部12のドメイン管理部120に出力する。
【0037】
NMOSインタフェース制御部12は、DNSリストに記載されたDNSサーバ50から、ドメインごとの認可サーバ20のアドレスおよびRDS30のQuery APIのエンドポイントを取得し、認可サーバ20からの認可を用いてQuery APIによりドメインごとの機器40の機器情報を取得するとともに、機器40を制御するものである。
すなわち、NMOSインタフェース制御部12は、DNSリスト受信部11で受信したDNSリストに含まれるすべてのドメイン内のNMOS対応の各種装置とのインタフェースを制御する。
ここでは、NMOSインタフェース制御部12は、ドメイン管理部120と、DNS-SD処理部121と、認可取得部122と、機器情報取得部123と、機器制御部124と、を備える。
【0038】
ドメイン管理部120は、ドメインごとに、ドメイン内のNMOS対応の各種装置との入出力情報を保持し、各種装置を制御するものである。
ドメイン管理部120は、DNSリスト受信部11からドメインごとのDNSリストを入力された場合、DNSリストに含まれるDNSサーバのアドレスを、図示を省略した記憶部に記憶する。例えば、ドメイン管理部120は、
図4に示すようにドメイン名「sub1.example.com」に対応付けて、DNSサーバアドレス「192.0.2.1」を記憶する。なお、同じドメイン名に複数のDNSサーバアドレスが記憶される場合もある。同様に、ドメイン管理部120は、他のドメインについても、ドメイン名に対応付けて、DNSサーバアドレスを記憶する。
そして、ドメイン管理部120は、ドメインごとのDNSサーバのアドレスを、DNS-SD処理部121に出力する。
【0039】
ドメイン管理部120は、DNS-SD処理部121から、ドメインごとの認可サーバ20のアドレスおよびQuery APIのエンドポイント(アドレス)を入力された場合、認可サーバ20のアドレスおよびQuery APIのエンドポイントを、図示を省略した記憶部に記憶する。例えば、ドメイン管理部120は、
図4に示すようにドメイン名「sub1.example.com」に対応付けて、認可サーバアドレス「192.0.2.2」と、Query APIエンドポイント(アドレス)「192.0.2.3」とを記憶する。同様に、ドメイン管理部120は、他のドメインについても、ドメイン名に対応付けて、認可サーバアドレスおよびQuery APIエンドポイントを記憶する。
そして、ドメイン管理部120は、ドメインごとの認可サーバアドレスを、認可取得部122に出力する。
【0040】
ドメイン管理部120は、認可取得部122から、ドメインごとの認可(認可トークン)を入力された場合、ドメインごとの認可トークンを、図示を省略した記憶部に記憶する。例えば、ドメイン管理部120は、
図4に示すようにドメイン名「sub1.example.com」に対応付けて、認可サーバ20から取得した認可トークンを記憶する。同様に、ドメイン管理部120は、他のドメインについても、ドメイン名に対応付けて、認可トークンを記憶する。
そして、ドメイン管理部120は、ドメインごとの認可トークンと、Query APIのエンドポイント(アドレス)とを、機器情報取得部123に出力する。
【0041】
ドメイン管理部120は、機器情報取得部123から、ドメインごとの機器情報を入力された場合、機器情報を、図示を省略した記憶部に記憶する。例えば、ドメイン管理部120は、
図4に示すようにドメイン名「sub1.example.com」に対応付けて、そのドメインに属する機器40の機器情報を記憶する。
図4の例では、1番目の機器情報(機器1)として、「label:"cam1", connection_api: "https://192.0.2.5:8080/x-nmos/connection/v1.1/"」が記憶される。この機器情報は、機器40が"cam1"のラベルが付されたカメラで、Connection API(接続API)のエンドポイントが"https://192.0.2.5:8080/…"であることを示している。
そして、ドメイン管理部120は、ドメインごとの機器情報をユーザインタフェース制御部13に出力する。
【0042】
ドメイン管理部120は、機器制御部124から、機器40の制御結果が入力された場合、制御結果をユーザインタフェース制御部13に出力する。
ドメイン管理部120は、ユーザインタフェース制御部13から、制御対象の機器40の機器情報(Connection APIエンドポイントを含む)と制御内容とを含んだ制御情報が入力された場合、Connection APIエンドポイントと、制御対象の機器40が所属するドメインの認可トークンと、制御内容と、を含んだ制御指示を機器制御部124に出力する。
【0043】
DNS-SD(DNS Service Discovery)処理部121は、ドメインごとのDNSサーバ50から、ドメインごとの認可サーバ20のアドレスおよびQuery APIのエンドポイント(アドレス)を取得するものである。
DNS-SD処理部121は、ドメイン管理部120から、ドメインごとのDNSサーバアドレスを入力され、それぞれのDNSサーバ50から、認可サーバ20のアドレスおよびQuery APIのエンドポイントを取得する。
DNS-SD処理部121は、取得したドメインごとの認可サーバ20のアドレスおよびQuery APIのエンドポイントを、ドメイン管理部120に出力する。
【0044】
認可取得部122は、ドメインごとの認可サーバ20から、ドメインごとの認可(認可トークン)を取得するものである。
認可取得部122は、ドメイン管理部120から、ドメインごとの認可サーバアドレスを入力され、それぞれの認可サーバ20から、認可トークンを取得する。
認可取得部122は、取得したドメインごとの認可トークンを、ドメイン管理部120に出力する。
【0045】
機器情報取得部123は、ドメインごとのRDS30から、ドメインごとの機器40の機器情報を取得するものである。
機器情報取得部123は、ドメイン管理部120から、ドメインごとの認可トークンとQuery APIのエンドポイントとを入力され、ドメインごとのRDS30のQuery APIに対して、ドメインに対応した認可トークンを送信することで、RDS30が保持している機器情報を取得する。
機器情報取得部123は、取得した機器情報を、ドメイン管理部120に出力する。
【0046】
機器制御部124は、制御対象の機器40の動作を制御するものである。
機器制御部124は、ドメイン管理部120から、Connection APIのエンドポイントと、制御対象の機器40が所属するドメインの認可トークンと、制御内容と、を含んだ制御指示を入力され、機器40のConnection APIに対して、認可トークンと制御内容とを出力する。
機器制御部124は、機器40から、制御指示に対する制御結果を入力し、ドメイン管理部120に出力する。
【0047】
ユーザインタフェース制御部13は、ドメイン管理部120から入力される機器40の機器情報を表示し、ユーザからの指示により機器40の制御をNMOSインタフェース制御部に指示するものである。
ここで、制御内容とは、機器40の制御動作を規定する情報であって、動作開始時刻、動作停止時刻、映像・音声パラメータ、映像・音声の入出力先、ミキシング比率等である。
【0048】
ユーザインタフェース制御部13は、ドメイン管理部120から入力された機器40の機器情報をモニタ等の表示装置(不図示)に提示し、制御内容をキーボード、マウス等の入力装置(不図示)を介して受け付ける。
ユーザインタフェース制御部13は、制御対象の機器40の機器情報(Connection APIエンドポイントを含む)と制御内容とを含んだ制御情報を、ドメイン管理部120に出力する。また、ユーザインタフェース制御部13は、ドメイン管理部120から入力された機器40の制御結果を表示装置(不図示)に提示する。
【0049】
以上説明した構成により、コントローラ10は、複数の番組制作システムSに対して、AMWA NMOSで定められた方式で、機器40の機器情報を取得し、制御することができる。また、コントローラ10は、DNSリストに基づいて接続状況を把握することができるため、番組制作システムSの単独運用や複数運用を、容易に切り替えることができる。
なお、コントローラ10は、図示を省略したコンピュータを、前記各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【0050】
<DNSリスト取得装置>
次に、
図5を参照して、DNSリスト取得装置60の構成について説明する。
図5に示すように、DNSリスト取得装置60は、DNSリスト記憶部61と、DNSリスト交換部62と、DNSリスト配信部63と、を備える。
【0051】
DNSリスト記憶部61は、DNSサーバ50が属するドメインのドメイン名と、アドレスとを記憶するものである。DNSリスト記憶部61は、半導体メモリ等の一般的な記憶媒体で構成することができる。
DNSリスト記憶部61は、予め自ドメインの名前と、自ドメインに属するDNSサーバのアドレスとを、外部設定ファイル等によって記憶しておく。
DNSリスト記憶部61は、DNSリスト交換部62によって、DNSリストサーバ70に登録されているすべてのドメインのDNSリストが記憶される。
また、DNSリスト記憶部61は、DNSリスト配信部63によって、DNSリストが読み出される。
【0052】
DNSリスト交換部62は、DNSリストサーバ70に接続し、自ドメインのDNSリストをDNSリストサーバ70に配信するとともに、DNSリストサーバ70から利用可能なドメインごとのDNSリストを取得するものである。
DNSリスト交換部62は、DNSリストサーバ70にネットワーク接続し、DNSリスト記憶部61に記憶されている自ドメインのドメイン名と、自ドメインに属するDNSサーバ50のアドレスとをDNSリストとして、DNSリストサーバ70に送信する。なお、DNSリストサーバ70のアドレスは、外部設定ファイル等によって予め設定しておく。
そして、DNSリスト交換部62は、DNSリストサーバ70から、現在、DNSリストサーバ70に接続されて、利用可能なすべてのドメインのDNSリストを取得し、ドメイン名に対応付けてDNSリストをDNSリスト記憶部61に記憶する。
【0053】
これによって、DNSリスト記憶部61には、
図6に示すように、ドメイン名601とDNSサーバアドレス602とが対応付けられたDNSリスト600が記憶される。
なお、
図6の例では、
図2には図示していない第3のドメインとして、ドメイン名601「sub3.example.com」に対応するDNSサーバアドレス602「203.0.113.1」と「203.0.113.2」の2つを記載している。このように、1つのドメインに複数のDNSサーバが存在してもよい。
DNSリスト交換部62は、DNSリストサーバ70から、DNSリストが更新されるたびにDNSリストを取得し、DNSリスト記憶部61に記憶しているDNSリストを更新する。
【0054】
なお、DNSリスト交換部62は、DNSリストサーバ70との接続が切れた場合、あるいは、初期接続時に接続ができなかった場合、空のDNSリストをDNSリスト記憶部61に記憶する。これによって、DNSリスト記憶部61には、自ドメインのドメイン名と自ドメインのDNSサーバアドレスだけが記憶された状態となり、番組制作システムSは、単独で運用する形態となる。
【0055】
DNSリスト配信部63は、DNSリスト記憶部61に記憶されるDNSリストが更新されるたびに、コントローラ10に更新後のDNSリストを配信するものである。
DNSリスト配信部63は、コントローラ10のDNSリスト受信部11からの接続を受け付け、接続したDNSリスト受信部11に対して、DNSリスト記憶部61に記憶されているDNSリストを送信する。
DNSリスト配信部63は、DNSリスト記憶部61に記憶されているDNSリストが更新されるたびに、DNSリスト受信部11に対して、最新のDNSリストを送信する。
【0056】
以上説明した構成により、DNSリスト取得装置60は、コントローラ10に対して、複数のドメインに属するDNSサーバのアドレスを通知することができる。
これによって、コントローラ10は、複数の番組制作システムSに個別に存在するドメインの異なる認可サーバ20やRDS30のアドレスを取得することが可能になる。
なお、DNSリスト取得装置60は、図示を省略したコンピュータを、前記各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【0057】
<DNSリストサーバ>
次に、
図7を参照して、DNSリストサーバ70の構成について説明する。
図7に示すように、DNSリストサーバ70は、DNSリスト記憶部71と、DNSリスト配信部72と、を備える。
【0058】
DNSリスト記憶部71は、複数の番組制作システムSをネットワーク接続した場合のすべてのドメインのドメイン名と、DNSサーバのアドレスとを対応付けて、DNSリストとして記憶するものである。DNSリスト記憶部71は、半導体メモリ等の一般的な記憶媒体で構成することができる。
DNSリスト記憶部71は、DNSリスト配信部72によって、ドメインごとのDNSリスト(ドメイン名およびDNSサーバアドレス)が記憶される。
また、DNSリスト記憶部71は、DNSリスト配信部72によって、すべてのDNSリストが読み出される。
【0059】
すなわち、DNSリスト記憶部71には、
図8に示すように、ドメイン名701とDNSサーバアドレス702とが対応付けられたDNSリスト700が記憶される。
なお、
図8の例では、
図2には図示していない第3のドメインとして、ドメイン名701「sub3.example.com」に対応するDNSサーバアドレス702「203.0.113.1」と「203.0.113.2」の2つを記載している。
【0060】
DNSリスト配信部72は、DNSリスト取得装置60からの接続を受け付け、接続したDNSリスト取得装置60から、DNSリスト取得装置60が属するドメインのDNSリストを受信して、DNSリスト記憶部71に記憶するとともに、DNSリスト記憶部71に記憶されているすべてのDNSリストを、現在接続しているDNSリスト取得装置60に配信するものである。
【0061】
DNSリスト配信部72は、DNSリスト取得装置60(DNSリスト交換部62)からのネットワーク接続を受け付ける。そして、DNSリスト配信部72は、接続したDNSリスト取得装置60から、DNSリストを受信し、DNSリスト記憶部71に記憶する。また、DNSリスト配信部72は、DNSリスト記憶部71に記憶されているすべてのドメインに対応するDNSリストを、接続中のDNSリスト取得装置60に送信する。
DNSリスト配信部72は、DNSリスト記憶部71に記憶されているDNSリストが更新されるたびに、記憶している最新のDNSリストを、現在接続しているすべてのDNSリスト取得装置60に送信する。
【0062】
また、DNSリスト配信部72は、DNSリスト取得装置60との接続が切れた場合、DNSリスト記憶部71から、接続が切れたDNSリスト取得装置60のアドレスに対応するDNSリストを削除する。そして、DNSリスト配信部72は、最新のDNSリストを、現在接続しているすべてのDNSリスト取得装置60に送信する。
【0063】
以上説明した構成により、DNSリストサーバ70は、異なるドメインの属するDNSサーバのアドレスを、DNSリスト取得装置60に出力することができる。
これによって、DNSリストサーバ70は、異なるドメインに属する複数の番組制作システムSをネットワーク接続し、大規模なシステムを構築することができる。
なお、DNSリストサーバ70は、図示を省略したコンピュータを、前記各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【0064】
≪番組制作システムの動作≫
次に、
図9~
図12を参照(構成については、適宜
図3,
図5,
図7参照)して、本発明の実施形態に係る複数の番組制作システムS(連結型番組制作システムSjoin)の動作について説明する。
ここでは、
図2に示したように、2つの番組制作システムS
A、S
Bを接続した例で動作を説明する。
【0065】
また、ここでは。
図9に示すように、番組制作システムS
Aを番組制作システムS
Bの機器40Bを利用するシステム(機器利用側番組制作システム)、番組制作システムS
Bを番組制作システムS
Aに機器40Bを提供するシステム(機器提供側番組制作システム)とする。
なお、
図9は、
図2の構成に対応付けて、動作のステップ番号を付した図である。
図10~
図12は、番組制作システムSの接続から機器40の制御までの動作を特定の動作区分ごとに分けたシーケンス図である。
【0066】
<システム接続>
まず、
図10を主に参照して、2つの番組制作システムS
A,S
Bを接続する動作について説明する。
【0067】
ステップS1において、DNSリスト取得装置60Aは、DNSリスト交換部62によって、DNSリストサーバ70に接続し、DNSリスト記憶部61に記憶されている自ドメイン名と、自ドメインに属するDNSサーバアドレスとをDNSリストとしてDNSリストサーバ70に送信する。ここで、DNSリストサーバ70は、DNSリスト配信部72によって、DNSリストを受信し、DNSリスト記憶部71に記憶する。
【0068】
ステップS2において、DNSリストサーバ70は、DNSリスト配信部72によって、DNSリスト記憶部71に記憶されているすべてのドメインに対応するDNSリスト(ドメイン名、DNSサーバアドレス)を現在接続しているすべてのDNSリスト取得装置60(ここでは、DNSリスト取得装置60A)に送信する。ここで、DNSリスト取得装置60Aは、DNSリスト配信部72によって、すべてのドメインのDNSリストを受信し、DNSリスト記憶部61に記憶する。
【0069】
ステップS3において、DNSリスト取得装置60Aは、DNSリスト配信部63によって、DNSリスト記憶部61に記憶されているDNSリストを、コントローラ10Aに送信する。このとき、DNSリスト配信部63は、コントローラ10AのDNSリスト受信部11からの接続を受け付け、接続が確立しているコントローラ10Aに対して、DNSリストを送信する。そして、コントローラ10Aは、DNSリスト受信部11によって、DNSリストを受信し、ドメイン管理部120がドメインごとにDNSリストを記憶する。
【0070】
ステップS1′~S3′におけるコントローラ10BおよびDNSリスト取得装置60Bの動作は、ステップS1~S3におけるコントローラ10AおよびDNSリスト取得装置60Aの動作と同じであるため説明を省略する。
また、ステップS2″,S3″の動作は、ステップS2,S3と同じであるため説明を省略する。
以上の動作によって、接続を行う番組制作システムSA,SBのコントローラ10A,10Bには、ドメインごとのDNSサーバ50のアドレスが記憶されることになる。
【0071】
<機器登録>
次に、
図11を主に参照して、2つの番組制作システムS
A,S
Bにおいて機器40を登録する動作について説明する。
なお、DNSサーバ50には、予め番組制作システムSの認可サーバ20のアドレスや各種API(Registration API,Query API等)のエンドポイントが記憶されているものとする。
【0072】
ステップS4において、DNSサーバ50Aは、要求のあった機器40Aに対して、自ドメイン内の認可サーバ20Aのアドレス、RDS30AのRegistration APIのエンドポイントを送信する。
【0073】
ステップS5において、機器40Aは、認可サーバ20Aから、番組制作システムSAに登録するため認可(認可トークン)を取得する。
ここでは、機器40Aは、IS-10に準拠した方式で、RDS30AのRegistration APIを利用するための認可を認可サーバ20Aから取得する。
【0074】
ステップS6において、機器40Aは、RDS30Aに機器の登録を行う。
ここでは、機器40Aは、IS-04に準拠した方式で、RDS30AのRegistration APIを用いて、ステップS5で取得した認可、機器情報を含んだ登録リクエストをRDS30Aに送出する。これによって、RDS30Aには、番組制作システムSAに接続される機器40Aが登録されることになる。
【0075】
ステップS4′~S6′の動作は、番組制作システムSAにおけるステップS4~S6に対応する番組制作システムSBの動作であって、同じ動作となるため、説明を省略する。
以上の動作によって、番組制作システムSA,SBのRDS30A,30Bには、それぞれのドメインに属する機器40の機器情報が登録されることになる。
【0076】
<機器制御>
次に、
図12を主に参照して、番組制作システムS
Aのコントローラ10Aが、番組制作システムS
A,S
Bの機器40A,40Bを制御する動作について説明する。
【0077】
ステップS7において、コントローラ10Aは、DNS-SD処理部121によって、ステップS3(
図10)でアドレスを取得したドメインごとのDNSサーバ50A,50Bから、ドメインごとの認可サーバ20A,20BのアドレスおよびQuery APIのエンドポイント(アドレス)を取得する。
【0078】
ステップS8において、コントローラ10Aは、認可取得部122によって、ステップS7でアドレスを取得したドメインごとの認可サーバ20A,20Bから、RDS30A,30Bに登録されている機器40A,40Bの機器情報を取得するための認可(認可トークン)を取得する。
ここでは、認可取得部122は、IS-10に準拠した方式で、RDS30A,30BのQuery APIを利用するための認可トークンを認可サーバ20A,20Bからそれぞれ取得する。
【0079】
ステップS9において、コントローラ10Aは、機器情報取得部123によって、RDS30A,30Bから、それぞれのドメインに属する機器40A,40Bの機器情報を取得する。
ここでは、機器情報取得部123は、IS-04に準拠した方式で、ステップS7で取得したRDS30A,30BのQuery APIを用いて、ステップS8で取得した認可トークンを含んだ問い合わせリクエストをRDS30A,30Bに送出し、機器40A,40Bの機器情報を取得する。
【0080】
ステップS10において、コントローラ10Aは、ユーザインタフェース制御部13によって、ユーザから指定された制御内容で機器40A,40Bを制御する。
ここでは、ユーザインタフェース制御部13は、ステップS9で取得した機器情報に含まれているConnection APIを利用するための認可と、ユーザから指定された制御内容とを、Connection APIに出力する。
これによって、コントローラ10Aは、同じドメインに属する番組制作システムSA内の機器40Aと、異なるドメインに属する番組制作システムSB内の機器40Bとを制御することができる。
【0081】
以上説明したように、番組制作システムSは、単独でNMOS対応のシステムとして構成することもできるし、複数の番組制作システムSを接続して、複数の番組制作システムSの機器40を制御することもできる。
【0082】
≪番組制作システムの変形例≫
ここでは、番組制作システムSに認可サーバ20を備え、APIのセキュリティを高める構成としたが、認可サーバ20を省略して構成しても構わない。
すなわち、番組制作システムSは、
図13に示すように、NMOS対応のコントローラ10
MOD、RDS30および機器40と、DNSサーバ50と、DNSリスト取得装置60とを備え、IPネットワークNを介して接続した番組制作システムS
MODとして構成してもよい。
【0083】
この場合、本発明のコントローラ10
MODは、
図14に示すように、コントローラ10(
図3参照)から、認可取得部122を省略して構成すればよい。もちろん、
図3の構成のままで、認可の動作をスキップさせることとしてもよい。
この場合、DNS-SD処理部121は、ドメイン管理部120から、ドメインごとのDNSサーバアドレスを入力され、それぞれのDNSサーバ50から、Query APIのエンドポイントを取得する。
そして、機器情報取得部123は、ドメイン管理部120から、ドメインごとのQuery APIのエンドポイントを入力され、ドメインごとのRDS30のQuery APIにより、RDS30が保持している機器情報を取得する。
これによって、コントローラ10
MODは、認可サーバ20を用いずに、単独または複数の番組制作システムSの機器40を制御することができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態に係る番組制作システムSについて説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
例えば、連結型番組制作システムSjoinは、放送局内の個々の番組制作システムSを連結した構成に限定されず、放送局と中継車との個々の番組制作システムSを連結した構成としてよく、ネットワークは、放送局内のネットワークや、放送局を超えたより広範なネットワークであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
Sjoin 連結型番組制作システム
S 番組制作システム
10 コントローラ
11 DNSリスト受信部
12 NMOSインタフェース制御部
120 ドメイン管理部
121 DNS-SD処理部
122 認可取得部
123 機器情報取得部
124 機器制御部
13 ユーザインタフェース制御部
20 認可サーバ
30 RDS(機器情報登録装置)
40 機器(番組制作用機器)
50 DNSサーバ
60 DNSリスト取得装置
61 DNSリスト記憶部
62 DNSリスト交換部
63 DNSリスト配信部
70 DNSリストサーバ
71 DNSリスト記憶部
72 DNSリスト配信部
N IPネットワークN