(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079561
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】履帯式走行体及び走行装置
(51)【国際特許分類】
B62D 55/30 20060101AFI20240604BHJP
B62D 55/06 20060101ALI20240604BHJP
B62D 55/104 20060101ALI20240604BHJP
B60K 7/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B62D55/30 B
B62D55/06
B62D55/104
B60K7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144662
(22)【出願日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2022191860
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰史
(72)【発明者】
【氏名】岡本 寛
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA11
3D235AA24
3D235CC42
3D235GA03
3D235GB37
3D235GB42
(57)【要約】
【課題】履帯式走行体の停止制御の精度を向上する。
【解決手段】履帯式走行体10は、履帯11と、履帯11に駆動力を与えるインホイールモータ14と、インホイールモータ14が内蔵される駆動輪13と、駆動輪13の下方に配置された少なくとも二つの転輪15a、15bと、駆動輪13と転輪15a、15bに掛け回された履帯11に駆動輪13を押し当てることによって履帯11にテンションを与えるテンショナ25Aと、駆動力を規制して履帯11の回転を止めるためのブレーキユニット30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履帯と、
前記履帯に駆動力を与えるインホイールモータと、
前記インホイールモータが内蔵される駆動輪と、
前記駆動輪の下方に配置された少なくとも二つの転輪と、
前記駆動輪と前記転輪に掛け回された前記履帯に前記駆動輪を押し当てることによって前記履帯にテンションを与えるテンショナと、
を備える履帯式走行体において、
前記駆動力を規制して前記履帯の回転を止めるためのブレーキユニット
を備える履帯式走行体。
【請求項2】
前記ブレーキユニットおよび前記テンショナは、前記インホイールモータの回転の中心軸上に配置される、
請求項1に記載の履帯式走行体。
【請求項3】
前記インホイールモータは、前記中心軸まわりに配置されて回転駆動する回転体を有し、
前記ブレーキユニットは、前記インホイールモータの前記回転体に接続され、
前記テンショナは前記中心軸に連結され、
前記ブレーキユニットの前記インホイールモータとの接続部分は、前記インホイールモータと前記テンショナとの間に配置される、
請求項2に記載の履帯式走行体。
【請求項4】
前記ブレーキユニットおよび前記テンショナは、前記駆動輪の径方向視において少なくとも一部が重畳するよう配置される、
請求項2に記載の履帯式走行体。
【請求項5】
前記ブレーキユニットは、前記インホイールモータとの接続部分を含む部分が前記インホイールモータ側に窪んで形成される凹部を有し、
前記テンショナは前記凹部に配置される、
請求項2に記載の履帯式走行体。
【請求項6】
前記インホイールモータの軸方向外側に配置され、前記中心軸を保持する平板状の側板を備え、
前記テンショナは前記側板の前記軸方向外側の面に設置され、
前記ブレーキユニットの前記凹部は前記側板と前記インホイールモータとの間に配置され、
前記側板は開口部を有し、
前記ブレーキユニットは前記凹部に対して前記軸方向外側に突出する凸部を有し、
前記ブレーキユニットの前記凸部は前記開口部を通して前記側板より前記軸方向外側に突出して配置される、
請求項5に記載の履帯式走行体。
【請求項7】
走行を制御する制御部を有し、
前記インホイールモータは回転体を有し、
前記ブレーキユニットは前記回転体と連結される連結板を有し、
前記制御部は前記連結板の回転を制御して前記回転体の回転を規制する、
請求項1に記載の履帯式走行体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の履帯式走行体と、
少なくとも二つの前記履帯式走行体を支持する本体と、
を備える走行装置。
【請求項9】
前記履帯式走行体は、前記本体の幅方向の両側に1つずつ配置され、
前記ブレーキユニットは、前記履帯式走行体の前記幅方向の外側に配置される、
請求項8に記載の走行装置。
【請求項10】
前記履帯式走行体は、前記駆動輪及び前記転輪の軸方向両側に配置されて軸支する一対の側板を備え、
前記一対の側板は、中空の筒体により連結され、
前記ブレーキユニットと前記本体内の制御部とを電気的に接続する配線は、前記筒体を通って前記履帯式走行体の軸方向外側から軸方向内側の前記本体に導入される、
請求項9に記載の走行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履帯式走行体及び走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行時の安定性を高めるため、履帯式の走行体を備えた走行装置が知られている。例えば、特許文献1には、内蔵しているインホイールモータにより、履帯に動力を与えて走行装置を走行させる、履帯式の走行体を備えた走行装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし特許文献1などに記載される従来の履帯式走行体では、インホイールモータの制御によって走行体の停止制御が行われる。このため、例えば坂道や悪路など路面状況によって走行体の挙動にばらつきが生じるなど、走行体の停止制御を所望のタイミングで行うことができない場合が考えられる。このように従来の履帯式走行体では停止制御に改善の余地がある。
【0004】
本発明は、履帯式走行体の停止制御の精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る履帯式走行体は、履帯と、前記履帯に駆動力を与えるインホイールモータと、前記インホイールモータが内蔵される駆動輪と、前記駆動輪の下方に配置された少なくとも二つの転輪と、前記駆動輪と前記転輪に掛け回された前記履帯に前記駆動輪を押し当てることによって前記履帯にテンションを与えるテンショナと、を備える履帯式走行体において、前記駆動力を規制して前記履帯の回転を止めるためのブレーキユニットを備える。
【発明の効果】
【0006】
履帯式走行体の停止制御の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る走行装置の概略構成を示す斜視図
【
図4】履帯式走行体のうちインホイールモータに組付ける要素を示す斜視図
【
図6】ブレーキユニットを幅方向外側から視た斜視図
【
図7】ブレーキユニットを幅方向内側から視た斜視図
【
図8】インホイールモータ周辺の部品配置を模式的に示す平面図
【
図9】ブレーキユニットの内部構成の一例を模式的に示す図
【
図10】ブレーキユニットの内部構成の他の例を模式的に示す図
【
図11】ブレーキユニットとテンショナとの配置の一例を模式的に示す図
【
図12】ブレーキユニットとテンショナとの配置の他の例を模式的に示す図
【
図13】ブレーキユニットとテンショナの配置の第1変形例を示す平面図
【
図14】ブレーキユニットとテンショナの配置の第2変形例を示す平面図
【
図15】ブレーキユニットとテンショナの配置の第3変形例を示す平面図
【
図16】ブレーキユニットとテンショナの配置の第4変形例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0009】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向は走行装置1の前後方向である。Y方向は、走行装置1の左右方向である。また、以下では説明の便宜上、Z正方向側を上側、Z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0010】
<走行装置の構成>
まず
図1~
図3を参照して、実施形態に係る履帯式走行体10a、10bを備える走行装置1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る走行装置1の概略構成を示す斜視図である。
図2は、
図1中の履帯式走行体10の側面図である。なお、
図2では、一対の履帯式走行体10a、10bは構成が同一であるため、纏めて符号10として図示している。また、
図2では、側板20aの形状が簡略化して図示されているが、実際には
図1や
図4などに示す形状と同形状であり、開口部21a、21bも有する。
【0011】
図1に示すように、走行装置1は、Y方向の中央に本体50を有し、本体50のY方向両側に、走行面と接地して駆動する一対の履帯式走行体10a、10bを有する。走行装置1は、一対の履帯式走行体10a、10bのそれぞれに速度差を付けることによって進行方向を変更するよう構成される。
【0012】
図1、
図2に示すように、走行装置1は、姿勢を安定させて走行させるために、インホイールモータ14を内蔵した駆動輪13と二つの転輪15a、15bによって形成される三角形の履帯式の走行体10を用いる。このように履帯式走行体10を有する走行装置1は、高い走行性能を持ち、凹凸のある不整地を安定して走行することができる。
【0013】
履帯式走行体10a、10bは、走行装置1の移動手段となるユニットである。また、履帯式走行体10a、10bは、金属またはゴム製のベルトを用いた履帯式(クローラ式)の走行体である。履帯式の走行体は、自動車のようなタイヤで走行する走行体と比較して接地面積が広く、例えば、足場の悪い環境においても、安定した走行を行うことができる。また、タイヤで走行する走行体は、回転動作を行う際に旋回スペースを必要とするのに対して、履帯式の走行体を備えた走行装置は、いわゆる超信地旋回を行うことができるため、限られたスペースでも回転動作をスムーズに行うことができる。
【0014】
本体50は、履帯式走行体10a、10bを走行可能な状態で支持する支持体であるとともに、走行装置1を駆動させるための制御を行う制御装置である。また、本体50は、履帯式走行体10a、10bを駆動させるための電力を供給する、後述のバッテリ530を搭載する。
【0015】
図1に示すように、走行装置1の本体50は、非常停止ボタン31、状態表示ランプ33を備える。非常停止ボタン31は、走行装置1の周辺にいる人が、走行中の走行装置1を停止させる際に押下する操作手段である。
【0016】
状態表示ランプ33は、走行装置1の状態を通知するための通知手段である。状態表示ランプ33は、例えば、バッテリ残量の低下等の走行装置1の状態が変化した場合、周囲の人に、走行装置1の状態変化を知らせるために点灯する。また、状態表示ランプ33は、例えば、走行装置1の走行を妨げる障害物の存在等が検知された場合等、異常発生のおそれがある場合に点灯する。なお、
図1は、走行装置1に状態表示ランプ33が一つ備えられている例を示すが、状態表示ランプ33の数は、二つ以上であってもよい。また、通知手段は、状態表示ランプ33のみならず、スピーカから発せられる警告音等によって走行装置1の状態を通知する構成であってもよい。
【0017】
図2に示すように、履帯式走行体10は、駆動輪13と二つの転輪15a,15bによって形成された三角形の形状を有する。三角形の形状の履帯式走行体10は、例えば、走行体の前後のサイズに制約がある場合、前後の限られたサイズの中で接地面積を大きくすることができるので、走行時の安定性を向上させることができる。一方で、下側(転輪側)よりも上側(駆動輪側)の方が長い、いわゆる戦車タイプのクローラでは、前後のサイズの制約がある場合には全体的に接地面積が小さくなって不安定になる。このように、本実施形態の履帯式走行体10は、比較的に小型の走行装置1の走行性を高める場合に有効である。
【0018】
履帯式走行体10は、履帯11、駆動輪13、インホイールモータ14、転輪15a,15b、アイドラ18a,18b、リンク19、側板20a,20b、テンショナ25、及びブレーキユニット30を備える。
【0019】
履帯11は、クローラとも呼ばれて、金属またはゴムで形成されている。履帯11は、駆動輪13と転輪15a,15bに掛け回される。履帯11は、駆動輪13の回転方向に従って移動しながら、転輪15a,15bを従動させることによって、履帯式走行体10を回転させる。また、履帯11の表面には、複数の突起部11a,11bが設けられている。履帯11の外側の突起部11aは、例えば、路面上の石等の小さな障害物を安定して乗り越えて走行するために設けられている。また、内側の突起部11bは、例えば、駆動輪13または転輪15a,15bからの脱輪を防止するために設けられている。
【0020】
駆動輪13は、履帯11に対して、履帯式走行体10を回転させるための駆動力を伝達する。履帯式走行体10は、インホイールモータ14が駆動輪13に伝達した駆動力(回転力)を、履帯11を介して、転輪15a,15bに伝達する。
【0021】
インホイールモータ14は、駆動輪13の内部に内蔵されており、駆動輪13に回転力を伝達する。インホイールモータ14は、モータ軸141を中心にして回転駆動する。インホイールモータ14の回転の中心軸(モータ軸141)は、駆動輪13の回転の中心軸となり、インホイールモータ14の回転力によって駆動輪13が回転する。そして、インホイールモータ14の回転力は、駆動力として履帯11に伝達される。具体的には、インホイールモータ14は、駆動輪13に対して、走行装置1を前進させる正方向の回転、または走行装置1を後退させる負方向の回転を与える。
【0022】
また、インホイールモータ14は、駆動輪13に内蔵されることで構造を簡略化することができ、例えば、駆動チェーンまたはギア等の部品を用いないことで、それらの部品に起因する故障等のリスクを低減することができる。さらに、インホイールモータ14は、駆動輪13に内蔵させることで、履帯式走行体10の外周付近で駆動力を出すことができるため、トルクを大きくすることができる。
【0023】
転輪15a,15bは、履帯式走行体10に回転自在に取り付けられている。転輪15a,15bは、履帯11を介して駆動輪13から伝達された駆動力(回転力)によって、転輪軸151a,151bを回転軸として回転する。
【0024】
ここで、駆動輪13と転輪15aと転輪15bは、側面視において、三角形を形成する。履帯11は、駆動輪13と転輪15aと転輪15bとに掛け回されて、転輪15aと転輪15bの間の範囲が接地する。すなわち、インホイールモータ14が内蔵された駆動輪13は、路面に接地しない。よって、履帯式走行体10は、例えば、水溜まりを走行した場合であってもインホイールモータ14が浸水することはないため、インホイールモータ14に対して特別な防水機構を設置する必要はない。
【0025】
また、駆動輪13と転輪15a,15bの径は異なる。走行体は、要求されるサイズの制限や走行性等の要因を踏まえてレイアウト設計する必要がある。一般的に、モータは径が小さいほどモータの厚み(幅)における単位幅当たりのトルクが下がる傾向にある。そのため、インホイールモータを内蔵した駆動輪は、要求されるトルク性能に対応できるようなモータ径以上の径を有する必要がある。したがって、履帯式走行体10は、走行装置1または履帯式走行体10のサイズ制限を満たすとともに、要求される走行性能を満たすようなレイアウトとして、上方に設置された駆動輪13の径を、転輪15a,15bの径よりも大きくなるように設計する。なお、サイズが制限される中で転輪の径も大きくすると、接地面積が小さくなり走行安定性が損なわれる。そのため、駆動輪13の径を踏まえて比較的小さい径の転輪15a,15bを採用する利点もある。
【0026】
アイドラ18a,18bは、二つの転輪15a,15bの間に設けられ、履帯11に従動して回転する補助輪である。アイドラ18a,18bは、アイドラ軸181a,181bを回転軸としてそれぞれ回転する。また、リンク19は、アイドラ18aおよびアイドラ18bを支持する支持体である。
【0027】
側板20aは、履帯式走行体10において、駆動輪13、転輪15a,15b、およびアイドラ18a,18bを支持する。側板20aは、履帯式走行体10のY正方向側の側面に設置される。また、側板20aの反対側、履帯式走行体10のY負方向側の側面には側板20aと同一形状の側板20bが設定される。履帯式走行体10は、二つの側板20a,20bを用いて、駆動輪13および転輪15a,15b等を支持する両持ち構造になっている。側板20a,20bは、モータ軸141を用いて、駆動輪13を支持する。また、側板20a,20bは、転輪軸151a,151bを用いて、転輪15a,15bをそれぞれ支持する。さらに、側板20a,20bは、アイドラ18a,18bを支持するリンク19のリンク軸191を介して、アイドラ18a,18bを支持する。
【0028】
テンショナ25は、バネ等の弾性部材で形成されており、インホイールモータ14および駆動輪13の回転の中心軸であるモータ軸141に接続される。テンショナ25は、駆動輪13が履帯11の内側に押し当たるように設置されて、履帯11にテンションを与える。テンショナ25は、走行時に、駆動輪13から履帯11に与えるテンションを調整する役割を担う。テンショナ25は、例えば、履帯式走行体10の静止時のテンションを基準として、基準となるテンションを走行時に略一定に保つための役割を担う。また、履帯式走行体10は、テンショナ25によって履帯11のたるみが調整されることによって、履帯11による正常な駆動力の伝達を維持する。また、履帯式走行体10は、テンショナ25によって履帯11にテンションを与えることで、履帯11の脱輪を防止することができる。
【0029】
ブレーキユニット30は、インホイールモータ14の回転を規制して、走行装置1の停止時に履帯11の回転を止める。ブレーキユニット30は、インホイールモータ14のモータ軸141まわりに、モータ軸141の外周を包囲するように配置される。
【0030】
なお、上述のように走行装置1は一対の履帯式走行体10a、10bを備え、
図2ではこれらを纏めて「履帯式走行体10」と表記している。同様に、
図2を参照して説明したインホイールモータ14及びブレーキユニット30は、一対の履帯式走行体10a、10bにそれぞれ設けられるので、走行装置1はそれぞれ一対を有することになる。以下の説明では、各履帯式走行体10a、10bに設けられる一対について、「インホイールモータ14a、14b」及び「ブレーキユニット30a、30b」とも表記する場合がある。
【0031】
ここで、
図1および
図2に示されているように、履帯式走行体10は、駆動輪13を中心に、走行方向の前後に略対称の構造を有する。より詳細には、履帯式走行体10は、
図1および
図2に示されているようなY軸方向から見た側面視において、二つの転輪15a,15bの転輪軸を結ぶ直線に対するインホイールモータ14のモータ軸141からの垂線に対しておおよそ線対称の構造である。
【0032】
例えば、オフィスの廊下などの狭いスペースで走行する走行装置は、前進後進や超信地旋回を頻繁に行う必要がある。この場合、走行装置は、履帯の形状、または駆動輪、転輪もしくはテンショナ等の配置が前後に非対称だと、前進後進で駆動特性が変わったり、超信地旋回時に中心回転できなかったりする場合がある。そこで、履帯式走行体10は、レイアウト(構造)を前後に略対称にすることによって、走行装置1の走行時の安定性の向上や制御の簡略化を図ることができる。また、履帯式走行体10は、走行装置1の左右を意識せずに取り付けることができるため、部品点数の削減等を図ることができる。
【0033】
図3は、走行装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。走行装置1は、
図1に示されているように、走行装置1の処理または動作を制御する本体50を備える。本体50は、ラジコン受信部501、CPU(Central Processing Unit)502、メモリ503、通信I/F(Interface)506、バッテリ530、走行制御用モータドライバ540、姿勢制御用モータドライバ550、および姿勢制御用モータ555a,555bを備える。また、ラジコン受信部501、CPU502、メモリ503、通信I/F506、バッテリ530、走行制御用モータドライバ540、および姿勢制御用モータドライバ550は、システムバス510を介して接続している。システムバス510は、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等であり、アドレス信号、データ信号、および各種制御信号等を伝送する。
【0034】
ラジコン受信部501は、走行装置1の操作者が使用するPC等の送信機から送信される動作指示信号を受信する。
【0035】
CPU502は、走行装置1全体の制御を行う。CPU502は、メモリ503に格納された、プログラムP1または走行装置1を動作させるのに必要な各種データを読み出し、処理を実行することで、走行装置1の各機能を実現する演算装置である。
【0036】
メモリ503は、CPU502が実行するプログラムP1をはじめ、走行装置1を動作させるのに必要な各種データを記憶する。プログラムP1は、メモリ503に予め組み込まれて提供される。
【0037】
また、プログラムP1は、インストール可能な形式、または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-RまたはDVD(Digital Versatile Disc)等のCPU502(コンピュータ)で読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、プログラムP1は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由で走行装置1にダウンロードさせることにより提供されるように構成してもよい。また、プログラムP1は、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布されるように構成してもよい。プログラムP1が外部から提供される場合、CPU502は、通信I/F506を介してプログラムP1を読み込む。なお、走行装置1は、CPU502をプログラムP1に従って動作させる代わりに、プログラムP1が実行するのと同じ演算機能および制御機能を有する専用のASIC(Application Specific Integrated Circuit)を実装することによって、ハードウェア的に動作させてもよい。
【0038】
通信I/F506は、通信ネットワークを経由して、他の機器または装置との通信(接続)を行う通信インターフェースである。通信I/F506は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースである。なお、通信I/F506は、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、Zigbee(登録商標)、またはミリ波無線通信等の通信インターフェースを備えてもよい。また、走行装置1は、NFC(Near Field communication)またはBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行うための通信回路を備えていてもよい。
【0039】
バッテリ530は、走行装置1の処理または動作に必要な電力を供給する電力供給ユニットである。バッテリ530は、例えば、インホイールモータ14a,14bおよび姿勢制御用モータ555a,555bに対して電力を供給する。一方、走行装置1の本体50の表面には、接触充電部35が設けられる。バッテリ530は、接触充電部35と電気的に接続され、充電タスクの際には接触充電部35を介して外部の充電装置から電力が供給されて充電が行われる。
【0040】
走行制御用モータドライバ540は、インホイールモータ14a,14bに対して、モータ駆動信号をそれぞれ供給することによって、インホイールモータ14a,14bを駆動させる。また、走行制御用モータドライバ540は、ブレーキユニット30a、30bにも電気的に接続され、ブレーキユニット30a、30bに制御信号をそれぞれ供給することによってブレーキユニット30a、30bを作動させる。
【0041】
インホイールモータ14a,14bは、履帯式走行体10aの駆動輪13、履帯式走行体10bの駆動輪13の内部にそれぞれ設置されており、各駆動輪13に回転力を伝達する。インホイールモータ14a,14bは、履帯式走行体10a、10bの各駆動輪13に対して、走行装置1を前進させる正方向の回転、または走行装置1を後退させる負方向の回転を与える。さらに、インホイールモータ14a,14bは、履帯式走行体10a、10bの各駆動輪13の一方のみを正方向または負方向に回転させて、他方を停止させることによって、走行装置1を信地旋回させる。また、インホイールモータ14a,14bは、履帯式走行体10a、10bの各駆動輪13の一方を正方向に回転させて、他方を負方向に回転させることによって、走行装置1を超信地旋回させる。
【0042】
ブレーキユニット30a、30bは、それぞれ履帯式走行体10a、10bに設置され、各走行体のインホイールモータ14a、14bの回転を個別に停止させることができる。これにより、履帯式走行体10a、10bの各駆動輪13の回転を個別に停止させることが可能となるので、走行装置1の停止や信地旋回などの制御をより確実かつ高精度に行わせることができる。
【0043】
姿勢制御用モータドライバ550は、姿勢制御用モータ555a,555bに対して、モータ駆動信号をそれぞれ供給することによって、姿勢制御用モータ555a,555bを駆動させる。姿勢制御用モータ555a,555bは、例えば、姿勢制御用モータドライバ550からの制御信号に応じて、リンク19の高さを上下に変更することで、アイドラ18a,18bの高さを調整する。また、姿勢制御用モータ555a,555bは、例えば、本体50の姿勢を制御することによって、走行装置1の転倒を防止する。
【0044】
なお、走行装置1は、ラジコン受信部501に受信された動作指示に応じて走行する構成に限られず、自律走行またはライントレース等の技術を用いて走行する構成であってもよい。また、走行装置1は、通信ネットワークを介して送信された動作指示信号を通信I/F506で受信することで、遠隔地にいるユーザから遠隔操作によって走行する構成であってもよい。また、走行装置1は、操作者の手動遠隔操作の他に、サーバなどの上位システムによって自動的に走行や各種タスクなどの操作を自動的に行う構成とすることもできる。この場合、走行装置1は、ラジコン受信部501や通信I/F506を介して、上位システムからの動作指示信号を受信することができる。
【0045】
図1~
図3に例示した走行装置1の寸法は、例えば前後方向の長さ、左右方向の幅、高さ、共に1メートル程度である。
【0046】
<インホイールモータ14周辺の構成>
図4~
図16を参照して、履帯式走行体10のインホイールモータ14周辺の構成の詳細について説明する。なお、以下の説明及び図面では、走行装置1が備える一対の履帯式走行体10a、10bのうち、Y正方向側に配置される履帯式走行体10aの配置を例示する。つまり、
図4では図面奥側に本体50が配置され、図面手前側が走行装置1の側面外側となる。
【0047】
図4は、履帯式走行体10のうちインホイールモータ14に組付ける要素を示す斜視図である。
図4では、履帯11や転輪15a、15bなどの以降の説明と関連性の低い部分は非表示にしている。
図4には、インホイールモータ14に組付ける要素として、駆動輪13、側板20a、20b、テンショナ25、ブレーキユニット30が図示されている。
【0048】
テンショナ25は、インホイールモータ14のモータ軸141に接続される。テンショナ25は、駆動輪13を履帯11に押し当てることにより、履帯11に対してテンションを与える。
図2では、側板20aに取り付けられたテンショナ25が外装部251によって覆われている状態を示しているが、
図4に示すように外装部251が無い構成でもよい。テンショナ25は、駆動輪13に内蔵されたインホイールモータ14のモータ軸141に接続されている。
【0049】
テンショナ25は、ブロック252と、一対の軸部253a、253bと、一対の弾性体254a、254bと、を有する。
【0050】
ブロック252は、モータ軸141を貫通させて、テンショナ25をモータ軸141に接続させる。ブロック252とモータ軸141とは、例えば
図4に示すようにボルト締結により一体的に連結される。
【0051】
一対の軸部253a、253bは、それぞれ弾性体254a、254bの弾性変形のガイドとなる部材である。弾性体254a、254bは、軸部253a、253bに沿ってそれぞれ設けられたバネ等の弾性部材である。弾性体254a、254bは、軸部253a、253bをガイドにして、上下方向に弾性変形する。
【0052】
一対の軸部253a、253bは、モータ軸141を挟んでX方向に等間隔で配置される。また、ブロック252は、X方向の中央部にてモータ軸141と連結され、連結部分を挟んでX方向の両側にて軸部253a、253bのそれぞれを貫通して設置される。これにより、ブロック252は、軸部253a、253bの軸方向に沿って摺動することができる。
【0053】
また、一対の軸部253a、253bは、例えば
図4に示すようにその上端部及び下端部が側板20aに固設される。すなわちテンショナ25は、軸部253a、253bを介して側板20aに保持されている。弾性体254a、254bは、ブロック252よりも下方で軸部253a、253bに設置され、走行体停止時には上方向に付勢されている。これにより、テンショナ25は、弾性体254a、254bの変形と連動して、ブロック252を介してモータ軸141を押し上げて、駆動輪13を履帯11に押し当てることが可能となり、履帯11に対してテンションを与えることができる。なお、テンショナ25は、弾性体254a、254bに変えて、例えばオイルダンパなど、上下方向に伸縮可能な部材または機構を設けることで、駆動輪13を上下方向に動作させる構成であってもよい。
【0054】
図5は、インホイールモータ14の斜視図である。インホイールモータ14は、モータ軸141と、回転体142とを有する。回転体142は、円板状の部材であり、内部に駆動源を有する。回転体142の円板形状の中心の位置にモータ軸141が配置される。したがって、インホイールモータ14は、モータ軸141が固定された状態で、回転体142がモータ軸141の軸周りに回転することによって駆動する。回転体142の一方の主面142A(
図5ではY正方向側)に、モータ軸141の周囲を囲んで主面から突出する円筒部143が設けられる。この円筒部143の端面143Aに、ブレーキ取り付け用の複数(
図5の例では6個)のボルト穴144が設けられている。例えば端面143Aは直径44mmの円環状であり、この端面143Aの周方向に沿って6か所に、ボルト穴144としてのM5のタップが設けられる。ここにブレーキユニット30を取り付けることで、インホイールモータ14の回転を規制して、ブレーキ機能を持たせることが可能となる。
【0055】
図6は、ブレーキユニット30を幅方向外側(Y正方向側)から視た斜視図である。
図7は、ブレーキユニット30を幅方向内側(Y負方向側)から視た斜視図である。
【0056】
図6、
図7では、ブレーキユニット30の筐体301に包囲された外形のみを図示している。筐体301の内部には、ブレーキ機能に係る部品群が収容されている。筐体301は、例えば
図6、
図7に示すように2つの筐体部材301A、301Bを有し、これら2つの筐体部材301A、301Bの内部にブレーキ機能に係る部品群を設置した後に、筐体部材301A、301Bをネジ締結などによって連結して、一体的な筐体とすることができる。また、2つの筐体部材301Aと301Bの間には薄いゴムを挟みこむことで、筐体301の内部への浸水を防止する防水性能を持たせている。なお、ブレーキユニット30に内蔵されるブレーキ機能に係る部品群の詳細については
図9などを参照して後述する。
【0057】
図6に示すように、筐体301のY正方向側には、X方向及びY方向の中央位置に、モータ軸141を貫通する貫通孔302が設けられる。また、この貫通孔302を含むY方向の中央部分に対してY方向両側の部分がY正方向側に突出して一対の凸部303a、303bを形成している。つまり、一対の凸部303a、303bに挟まれ、貫通孔302を含むY方向の中央部分は、凹部304となる。
【0058】
図7に示すように、筐体301のY負方向側には、貫通孔302と同心円状に開口される円形開口305が設けられる。円形開口305の中心位置には、貫通孔302が露出している。円形開口305の貫通孔302の外周側には、円環状の連結板306が配置されている。連結板306には、インホイールモータ14のボルト穴144と対向する位置に、複数(
図6の例では6個)の孔部307が設けられる。この孔部307には、筐体301の内部側からボルト308が挿通されている。
【0059】
ブレーキユニット30の設置時には、例えばまず筐体部材301Bの円形開口305にインホイールモータ14のモータ軸141を通し、さらに連結板306の円環形状の中央穴にもモータ軸141を通して、連結板306を円形開口305内に配置して、インホイールモータ14の端面143Aと対応配置する。そして、連結板306の複数の孔部307の位置を端面143Aの複数のボルト穴144の位置と合わせて、Y正方向側から複数(
図6の例では6本)のボルト308を通して締結する。これにより、ブレーキユニットの連結板306が、インホイールモータ14の回転体142に固定される。したがって、連結板306は、インホイールモータ14の駆動時には、回転体142と一体的に回転する。
【0060】
その後に、ブレーキ機能に係る部品群を筐体部材301BよりY正方向側に設置して、最後に筐体部材301Aを被せて筐体部材301Bに固定する。これによりブレーキユニット30が一体的に組み立てられて、インホイールモータ14に連結される。
【0061】
ブレーキユニット30は、筐体301の内部の部品群によって、連結板306、または筐体301の内部に収容されて連結板306と一体的に回転する回転部材306a(
図9、
図10参照)、の回転を規制する機能を有する。ブレーキユニット30は、インホイールモータ14の駆動時にこの機能を実行することによって、インホイールモータ14の回転を強制的に停止させることができる。またインホイールモータ14の回転制御による回転停止が行われていない状態(例えばインホイールモータ14が通電されておらず自由回転可能な状態など)でも、ブレーキユニット30を作動させることによって、インホイールモータ14の回転を停止した状態を維持させることができる。
【0062】
また、
図6、
図7の例では、ブレーキユニット30のX正方向側の凸部303aにコネクタ309が設けられる。コネクタ309は、本体50の内部にある制御部と電気的に接続されており、また、筐体内部の部品群とも電気的に接続されている。
【0063】
図8は、インホイールモータ14周辺の部品配置を模式的に示す平面図である。なお、
図8では、本体50のY正方向側に設置される一方の履帯式走行体10a(
図1参照)の場合を例示しているが、本体50のY負方向側に設置される他方の履帯式走行体10bの場合もY方向の配置が逆向きになる点のみ相違し、各部品の位置関係は同様である。また、
図8では、一方の履帯式走行体10aと本体50との位置関係も模式的に示しているが、履帯式走行体10aの本体50への接続構造については図示を省略している。
図8に示すように、インホイールモータ14のモータ軸141を両持ち支持するための一対の側板20a、20bは、インホイールモータ14から軸方向に略等距離に配置される。
【0064】
また、テンショナ25は一対の側板20a、20bにそれぞれ設置される。すなわち、単一の履帯式走行体10には、
図8に示すように一対のテンショナ25A、25Bが設置される。上述の「テンショナ25」は、
図8に示す一対のテンショナ25A、25BのうちY正方向側に配置されるテンショナ25Aに対応する。これらのテンショナ25A、25Bも、駆動輪13から履帯11の幅方向(Y方向)に略均等にテンションを付加するためには、インホイールモータ14から軸方向に略等距離に配置されるのが好ましい。
【0065】
ここで、履帯式走行体10のサイズを考慮すると、ブレーキユニット30は理想的には側板20aの内側、すなわちインホイールモータ14と側板20aとの間に配置されるのが好ましい。しかし、従来の履帯式走行体と同様に、インホイールモータ14と側板20aとの間隔はブレーキユニット30のサイズに対して狭く、その狭い範囲にブレーキ構成を入れることは構成上難しい。一方、ブレーキユニット30のY方向寸法に合わせて側板20aを外側に移動すると、テンショナ25Aも同様に外側に移動するため、履帯式走行体10の幅が大きくなる。そこで本実施形態では、ブレーキユニット30を側板20aの内側に配置することと、履帯式走行体10の幅の増加を抑制すること、の両方の要件を満たすことができるように、ブレーキユニット30とテンショナ25AとをX方向視においてオーバーラップさせる構成とする。
【0066】
側板20aには、X方向に沿って2つの開口部21a、21bが設けられる。ブレーキユニット30のうち凹部304を含む接続部分311(
図8にドット柄で示す部分)は、側板20aとインホイールモータ14の間に配置され、凸部303a、303bは、開口部21a、21bから外側に突き出して配置される。
【0067】
そして、テンショナ25Aは、ブレーキユニット30の凹部304に収容されて、凹部304の外側に配置される側板20aに設置される。これにより、テンショナ25AのY正方向側の端面の位置をインホイールモータ14側に押し込めることができる。他方のテンショナ25BのY方向の位置は、テンショナ25Aの位置に合わせてインホイールモータ14から軸方向に略等距離に配置される。これらの構成により、本実施形態の履帯式走行体10は、ブレーキユニット30を側板20aの内側に配置することと、履帯式走行体10の軸方向のサイズ増大を抑制すること、の両方の要件を満たすことができる。
【0068】
また、本実施形態では、
図8に示すように、側板20aと側板20bとは、中空の筒体40A、40Bで連結されている。筒体40A、40Bは、側板20a、20bのそれぞれの表面に開口している。本実施形態では、ブレーキユニット30のコネクタ309は、X正方向側の筒体40Aの開口の位置付近に設けられる。
図8に示すように、コネクタ309から配線310が引き出され、開口から筒体40Aを通して、本体50の内部に導入される。これにより、本体50とブレーキユニット30とを電気的に接続でき、本体50によってブレーキユニット30の動作を制御することができる。
【0069】
図9は、ブレーキユニット30の内部構成の一例を模式的に示す図である。
図9の全体構成は
図8と同様であり、ブレーキユニット30の内部構成を図示している点が異なる。
【0070】
図9に示すように、ブレーキユニット30は、Y方向の寸法が最も薄い凹部304に連結板306などインホイールモータ14との連結要素が収容される。これらの連結要素は主に連結板306のような板状であるので、狭いスペースに収容できる。すなわち凹部304を含む薄型の部分がブレーキユニット30のうちインホイールモータ14との接続部分311(
図8参照)となる。一方、連結板306などの連結要素の回転を停止させるための部品群など(たとえば筐体301の内部に収容されて連結板306と一体的に回転する回転部材306aの回転規制を制御する制御機構312)は、相対的に容積が大きい凸部303a、303bに収容される。
【0071】
回転部材306aが小型である場合は、凹部304に設けてもよいが、連結板306また回転部材306aの回転規制を制御する制御機構312については、比較的大型となるため、凸部303a、303bに収容されることが望ましい。
【0072】
図10は、ブレーキユニット30の内部構成の他の例を模式的に示す図である。インホイールモータ14のボルト穴144の位置を
図5、
図9に示す配置より径方向外側に移動させ、
図10に示すように、ブレーキユニット30のボルト308も、ボルト穴144の位置に合わせて
図7、
図9に示す配置よりインホイールモータ14の径方向外側に移動させて設ける構成としてもよい。これにより、ボルト308と、連結板306とボルト308とを一体化する部品や回転部材306a等を、凹部304から凸部303a、303bに配置することができる。この結果、
図10に示すように、
図9の構成と比較して凹部304をさらに薄型化させることができ、かつインホイールモータ14に対して制動トルクを大きくすることができるので規制性能も向上する。また、凹部304を薄型化することにより、テンショナ25Aを
図9、
図10に示す位置からさらにY負方向側(すなわちインホイールモータ14側)に移動させて、ブレーキユニット30とのオーバーラップの量を増やすことができ、さらなる小型化を図れる。
【0073】
次に本実施形態に係る履帯式走行体10の効果を説明する。本実施形態の履帯式走行体10は、履帯11と、履帯11に駆動力を与えるインホイールモータ14と、インホイールモータ14が内蔵される駆動輪13と、駆動輪13の下方に配置された少なくとも二つの転輪15a、15bと、駆動輪13と転輪15a、15bに掛け回された履帯11に駆動輪13を押し当てることによって履帯11にテンションを与えるテンショナ25Aと、駆動力を規制して履帯11の回転を止めるためのブレーキユニット30と、を備える。
【0074】
従来の履帯式走行体では、インホイールモータ14の制御によって走行体の停止制御が行われるのが一般的である。例えば、履帯11の回転を止めたい場合には、インホイールモータ14の回転を停止させる制御指令を送信し、制御指令に応じてインホイールモータ14が停止した後に走行体の回転も停止する。このため、例えば坂道や悪路など路面状況によっては履帯11が路面から受ける外力が変動して、履帯式走行体の挙動にばらつきが生じるなど、履帯式走行体の停止制御を所望のタイミングで行うことができない場合が考えられる。
【0075】
これに対して本実施形態の履帯式走行体10では、ブレーキユニット30を設け、ブレーキユニット30によって能動的かつ強制的にインホイールモータ14の回転を停止させることが可能となる。これにより、インホイールモータ14の回転を任意のタイミングで、かつ確実に規制することができるので、インホイールモータ14が内蔵される駆動輪13の回転も自由に停止させることも可能となり、駆動輪13から履帯11への駆動力の伝達の停止も任意に精度良く行うことが可能となる。具体的な適用例としては、例えば、履帯式走行体10を備える走行装置1が緊急停止やバッテリ切れなどによって斜面で停止した場合に、本体50の電源が落ちると自動的にブレーキユニット30を作動するよう設定する。これにより、履帯式走行体10や走行装置1の自重によって斜面の下り方向に動き出さないようにできる。このように、本実施形態では、インホイールモータ14の駆動輪13を履帯11に押し当てるテンショナ25を有する履帯式走行体10に、履帯11の回転を止めるブレーキユニット30を配置して、履帯式走行体10の停止制御の精度を向上することができる。この結果、設置された状況に関係なく履帯式走行体10が停止できる。
【0076】
また、本実施形態の履帯式走行体10では、ブレーキユニット30およびテンショナ25Aは、インホイールモータ14の回転の中心軸であるモータ軸141上に配置される。ここでブレーキユニット30およびテンショナ25Aの長手方向が共に、モータ軸141の軸方向(Y方向)と直交するXZ平面に沿って配置され、かつ、ブレーキユニット30およびテンショナ25Aにモータ軸141が貫通している。本実施形態では、
図1、
図4などに示すように、ブレーキユニット30は長手方向がX方向となるよう設置され、テンショナ25Aは長手方向がZ方向となるように設置されている。また前記テンショナ25Aと前記ブレーキユニット30はそれぞれ全体として平板状であって、それぞれ平板の短い辺がインホイールモータ14の回転の中心軸方向に延びるよう配置されている。したがって、回転の中心軸方向、つまり履帯式走行体10が進行するときの幅方向のサイズを抑えることができる。
【0077】
また、本実施形態の履帯式走行体10では、インホイールモータ14は、モータ軸141まわりに配置されて回転駆動する回転体142を有し、ブレーキユニット30はインホイールモータ14の回転体142に接続され、テンショナ25Aはモータ軸141に連結される。ブレーキユニット30のインホイールモータ14との接続部分311は、インホイールモータ14とテンショナ25Aとの間に配置される。
【0078】
テンショナ25A、25Bは、駆動輪13を履帯11に押し当てることによって履帯にテンションを与える機能を効率良くかつ安定して発揮させるためには、インホイールモータ14に対して軸方向のできるだけ外側に配置されるのが好ましい。これによりテンショナ25A、25Bのシャフト(
図4に示す軸部253a、253b)のストロークを長くすることが可能となるためである。テンショナ25A、25Bの機能を安定化できると、例えばインホイールモータ14のモータ軸141が上下に移動する際に、モータ軸141が傾くことを防止して、スムーズな上下方向の移動が可能となる。本実施形態では、ブレーキユニット30はインホイールモータ14とテンショナ25Aとの間に配置されるので、テンショナ25Aの機能を維持しつつ、ブレーキユニット30を設置できる。
【0079】
また、本実施形態の履帯式走行体10では、ブレーキユニット30およびテンショナ25Aは、駆動輪13の径方向視において少なくとも一部が重畳するよう配置される。より詳細には、本実施形態では
図8などに示すように、ブレーキユニット30は、インホイールモータ14との接続部分311を含む部分がインホイールモータ14側に窪んで形成される凹部304を有し、テンショナ25Aは凹部304に配置される。
【0080】
上述のように、従来の履帯式走行体では、インホイールモータ14の制御によって走行体の停止制御が行われるのが一般的であり、ブレーキユニット30を設置するという思想がなかった。このため、従来の構成においてブレーキユニット30を追加設置しようとすると、従来の構成ではインホイールモータ14の近傍へのブレーキユニット30の配置場所が考慮されていないので、このままブレーキユニット30を追加した場合、履帯式走行体10や、この履帯式走行体10を備える走行装置1の体格の大型化が懸念される。これに対して本実施形態では、ブレーキユニット30およびテンショナ25Aが駆動輪13の径方向視において少なくとも一部が重畳する構成、すなわちブレーキユニット30とテンショナ25Aとがオーバーラップする構成をとる。これにより、ブレーキユニット30の追加による履帯式走行体10の軸方向の体格の大型化を抑制することができる。
【0081】
なお、ブレーキユニット30およびテンショナ25Aが駆動輪13の径方向視において少なくとも一部が重畳する構成、すなわちブレーキユニット30とテンショナ25Aとがオーバーラップするための具体的な構成は、
図8などに示す凹部304にテンショナ25Aを収容する構成に限られない。例えば、ブレーキユニット30の筐体301のY正方向側の面において、X方向の一端に段差や切り欠きを設け、これらの部分にテンショナ25Aを設置する構成でもよい。この場合、ブレーキユニット30のうちY方向の寸法が相対的に小さい段差や切り欠きを含む部分を、インホイールモータ14との接続部分311として、体格大型化を抑制できる構成とするのが好ましい。
【0082】
図11は、ブレーキユニット30とテンショナ25Aとの配置の一例を模式的に示す図である。
図11の例では、ブレーキユニット30のX負方向側の端部に、筐体301のY正方向側の面からY負方向側に凹む段差部304Aが設けられる。この場合、段差部304Aにテンショナ25Aを設置することができる。また、
図11の構成の場合、テンショナ25Aはインホイールモータ14のモータ軸141に接続されるので、ブレーキユニット30もX負方向側の端部の段差部304Aにモータ軸141が挿通されるように配置される。すなわち、
図11に示すように、
図8などに例示した構成と比較すると、ブレーキユニット30は、インホイールモータ14及びテンショナ25Aに対してX正方向側に全体が移動して配置される。
【0083】
図12は、ブレーキユニット30とテンショナ25Aとの配置の他の例を模式的に示す図である。
図12の例では、ブレーキユニット30のX正方向側の端部に、筐体301のY正方向側の面からY負方向側に凹む段差部304Bが設けられる。この場合、段差部304Bにテンショナ25Aを設置することができる。また、
図12の構成の場合、テンショナ25Aはインホイールモータ14のモータ軸141に接続されるので、ブレーキユニット30もX正方向側の端部の段差部304Bにモータ軸141が挿通されるように配置される。すなわち、
図12に示すように、
図8などに例示した構成と比較すると、ブレーキユニット30は、インホイールモータ14及びテンショナ25Aに対してX負方向側に全体が移動して配置される。
【0084】
また、本実施形態の履帯式走行体10では、インホイールモータ14の軸方向外側に配置され、モータ軸141を保持する平板状の側板20aを備える。テンショナ25Aは側板20aの軸方向外側の面に設置され、ブレーキユニット30の凹部304は側板20aとインホイールモータ14との間に配置される。側板20aは開口部21a、21bを有する。ブレーキユニット30は凹部304に対して軸方向外側に突出する凸部303a、303bを有する。ブレーキユニット30の凸部303a、303bは開口部21a、21bを通して側板20aより軸方向外側に突出して配置される。
【0085】
この構成により、従来の履帯式走行体の側板20aに開口部21a、21bを追加形成すれば、従来の履帯式走行体におけるインホイールモータ14と側板20aとの間隔のままでブレーキユニット30を設置することが可能となり、かつ、従来の側板20aとテンショナ25Aとの取付構造も流用できる。これにより、従来の履帯式走行体の既存の部品を多く流用してブレーキユニット30を設置することができ、製造コストを抑えることができる。
【0086】
また、本実施形態の履帯式走行体10は、走行を制御する制御部としての走行制御用モータドライバ540を有する。インホイールモータ14は回転体142を有する。ブレーキユニット30は回転体142と連結される連結板306を有する。走行制御用モータドライバ540は連結板306の回転を制御して回転体142の回転を規制する。この構成により、ブレーキユニット30は連結板306の回転を規制することによって、インホイールモータ14の回転を停止させる制御を行うことができるので、停止制御をより容易にかつ確実に行うことが可能となる。
【0087】
また、本実施形態の走行装置1は、上記の一対の履帯式走行体10a、10bと、履帯式走行体10a、10bを支持する本体50と、を備える。履帯式走行体10a、10bは、本体50の幅方向両側に1つずつ配置され、各履帯式走行体10a、10bが有するブレーキユニット30a、30bは、履帯式走行体10a、10bの幅方向の外側に配置される。
【0088】
この構成により、ブレーキユニット30a、30bが走行装置1の側方に露出しているので、履帯式走行体10a、10bを本体50に取り付けた状態のままでもブレーキユニット30a、30bをメンテナンスすることが可能である。このため、ブレーキユニット30a、30bのメンテナンス作業を容易にでき、メンテナンス性を向上できる。また、履帯式走行体10と本体50との間でブレーキユニット30が干渉することを防止できる。
【0089】
また、本実施形態の走行装置1では、履帯式走行体10a、10bのそれぞれは、駆動輪13及び転輪15a、15bの軸方向両側に配置されて軸支する一対の側板20a、20bを備える。一対の側板20a、20bは、中空の筒体40A、40Bにより連結される。ブレーキユニット30a、30bと本体50内の制御部(例えば
図3に示す走行制御用モータドライバ540)とを電気的に接続する配線310は、筒体40Aを通って履帯式走行体10a、10bの軸方向外側から軸方向内側の本体50に導入される。
【0090】
この構成により、上述のようにブレーキユニット30a、30bのメンテナンス性向上のためにブレーキユニット30a、30bを履帯式走行体10a、10bの側方外側に配置する構成でも、走行装置1の幅方向中心に配置される本体50内の制御部と、ブレーキユニット30a、30bとを電気的に接続することが可能となる。また、一対の側板20a、20bを連結する連結部材である筒体40Aの中に配線310を通すので、配線経路を安全に確保することが可能になる。
【0091】
なお、本実施形態では、
図4、
図8などに示すように、一対の側板20a、20bを連結する部材をすべてパイプ状の中空の筒体40A、40Bとする構成を例示したが、少なくともブレーキユニット30と本体50との間の配線310を通す部材のみをパイプ状とし、他の連結部分には中実の棒状部材などを用いる構成でもよい。
【0092】
次に
図13~
図16を参照して変形例を説明する。ブレーキユニット30とテンショナ25Aの軸方向の配置は、
図8に示す構成に限れられない。ブレーキユニット30およびテンショナ25Aは、少なくともインホイールモータ14の回転の中心軸(モータ軸141)上に配置される構成であればよい。
【0093】
図13は、ブレーキユニット30とテンショナ25Aの配置の第1変形例を示す平面図である。
図13と、後述する
図14~
図16の概要は
図8と同様である。
図13に示す第1変形例のように、側板20aに開口部21a、21bを設けず、側板20aの形状を、ブレーキユニット30との凸部303a、凹部304、凸部303bに沿った形状としてもよい。この場合、側板20aのうち、ブレーキユニット30の凹部304と対向する位置に凹部201を設け、側板20aの凹部201がブレーキユニット30の凹部304に篏合する構成とすれば、履帯式走行体10の軸方向寸法を上記実施形態と同程度に維持できる。
【0094】
また、
図13に示す第1変形例の構成では、ブレーキユニット30の凸部303a、303bも側板20aよりインホイールモータ14側に配置され、ブレーキユニット30の全体が側板20aよりインホイールモータ14側に配置される。これによりブレーキユニット30が外部に露出しないので、例えば履帯式走行体10の転倒時などにブレーキユニット30が外部の障害物などに直接衝突して破損するなどの事態を防止できる。
【0095】
図14は、ブレーキユニット30とテンショナ25Aの配置の第2変形例を示す平面図である。
図14に示す第2変形例のように、ブレーキユニット30に凹部304を設けず、Y正方向側の端面を平坦とする構成としてもよい。
【0096】
図14に示す第2変形例の構成では、ブレーキユニット30の外側に側板20aが配置され、さらに外側にテンショナ25Aが配置される。
図8、
図13のようにブレーキユニット30の凹部304にテンショナ25Aを収容する構成と比較して、テンショナ25Aとインホイールモータ14との軸方向の距離は大きくなる。このため、反対側のテンショナ25Bとインホイールモータ14との距離もテンショナ25Aに合わせて増やされる。上述のように、テンショナ25A、25Bは、駆動輪13を履帯11に押し当てることによって履帯11にテンションを与える機能を効率良く発揮させるためには、インホイールモータ14に対して軸方向のできるだけ外側に配置されるのが好ましい。
図14の第2変形例ではテンショナ25A、25Bとインホイールモータ14との距離を上記実施形態より大きくできるので、履帯11にテンションを与える機能をより一層効率良く発揮させることができる。
【0097】
また、
図14の構成でも、
図13の第1変形例と同様にブレーキユニット30の全体が側板20aよりインホイールモータ14側に配置される。これによりブレーキユニット30が外部に露出しないので、例えば履帯式走行体10の転倒時などにブレーキユニット30が外部の障害物などに直接衝突して破損するなどの事態を防止できる。
【0098】
図15は、ブレーキユニット30とテンショナ25Aの配置の第3変形例を示す平面図である。
図15に示す第3変形例のように、テンショナ25Aよりも軸方向外側にブレーキユニット30を配置する構成としてもよい。この場合、
図15に示すように、ブレーキユニット30、テンショナ25A、及び側板20aの形状を上記実施形態と同一として、各要素の軸方向の方向を反転して設置するのが好ましい。これにより、
図15の構成でも、ブレーキユニット30の凹部304内にテンショナ25Aを配置できるので、履帯式走行体10の軸方向寸法を上記実施形態と同程度に維持できる。
【0099】
また、
図15の構成の場合、ブレーキユニット30のボルト308は、例えば凹部304の側壁とテンショナ25Aとの隙間を通り、かつ、側板20aに挿通孔を設けてこの挿通孔を通る構成とすれば、ブレーキユニット30とインホイールモータ14とを連結させることが可能である。
【0100】
図16は、ブレーキユニット30とテンショナ25Aの配置の第4変形例を示す平面図である。
図16に示す第4変形例のように、軸方向の内側から外側に沿って、側板20a、ブレーキユニット30、テンショナ25Aの順で配置される構成でもよい。この構成では、テンショナ25Aは、側板20aではなく、ブレーキユニット30の筐体301のうち凹部304の底面に設置される。
図16の構成でも、ブレーキユニット30の凹部304内にテンショナ25Aを配置できるので、履帯式走行体10の軸方向寸法を上記実施形態と同程度に維持できる。
【0101】
なお
図8、
図13~
図16に示すように、上記実施形態及び変形例では、ブレーキユニット30がインホイールモータ14の軸方向外側に配置される構成を例示したが、ブレーキユニット30をインホイールモータ14の軸方向内側、すなわちインホイールモータ14と本体50との間に配置する構成としてもよい。これらの構成の場合、
図8、
図13~
図16の各例では本体50が図面下側に配置されることになる。
【0102】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0103】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 履帯と、
前記履帯に駆動力を与えるインホイールモータと、
前記インホイールモータが内蔵される駆動輪と、
前記駆動輪の下方に配置された少なくとも二つの転輪と、
前記駆動輪と前記転輪に掛け回された前記履帯に前記駆動輪を押し当てることによって前記履帯にテンションを与えるテンショナと、
を備える履帯式走行体において、
前記駆動力を規制して前記履帯の回転を止めるためのブレーキユニット
を備える履帯式走行体。
<2> 前記ブレーキユニットおよび前記テンショナは、前記インホイールモータの回転の中心軸上に配置される、
前記<1>に記載の履帯式走行体。
<3> 前記インホイールモータは、前記中心軸まわりに配置されて回転駆動する回転体を有し、
前記ブレーキユニットは、前記インホイールモータの前記回転体に接続され、
前記テンショナは前記中心軸に連結され、
前記ブレーキユニットの前記インホイールモータとの接続部分は、前記インホイールモータと前記テンショナとの間に配置される、
前記<2>に記載の履帯式走行体。
<4> 前記ブレーキユニットおよび前記テンショナは、前記駆動輪の径方向視において少なくとも一部が重畳するよう配置される、
前記<1>~<3>のいずれか一項に記載の履帯式走行体。
<5> 前記ブレーキユニットは、前記インホイールモータとの接続部分を含む部分が前記インホイールモータ側に窪んで形成される凹部を有し、
前記テンショナは前記凹部に配置される、
前記<1>~<4>のいずれか一項に記載の履帯式走行体。
<6> 前記インホイールモータの軸方向外側に配置され、前記中心軸を保持する平板状の側板を備え、
前記テンショナは前記側板の軸方向外側の面に設置され、
前記ブレーキユニットの前記凹部は前記側板と前記インホイールモータとの間に配置され、
前記側板は開口部を有し、
前記ブレーキユニットは前記凹部に対して軸方向外側に突出する凸部を有し、
前記ブレーキユニットの前記凸部は前記開口部を通して前記側板より軸方向外側に突出して配置される、
前記<5>に記載の履帯式走行体。
<7> 走行を制御する制御部を有し、
前記インホイールモータは回転体を有し、
前記ブレーキユニットは前記回転体と連結される連結板を有し、
前記制御部は前記連結板の回転を制御して前記回転体の回転を規制する、
前記<1>~<6>のいずれか一項に記載の履帯式走行体。
<8> 前記<1>~<7>のいずれか一項に記載の履帯式走行体と、
少なくとも二つの前記履帯式走行体を支持する本体と、
を備える走行装置。
<9> 前記履帯式走行体は、前記本体の幅方向両側に1つずつ配置され、
前記ブレーキユニットは、前記履帯式走行体の幅方向の外側に配置される、
前記<8>に記載の走行装置。
<10>
前記履帯式走行体は、前記駆動輪及び前記転輪の軸方向両側に配置されて軸支する一対の側板を備え、
前記一対の側板は、中空の筒体により連結され、
前記ブレーキユニットと前記本体内の制御部とを電気的に接続する配線は、前記筒体を通って前記履帯式走行体の軸方向外側から軸方向内側の前記本体に導入される、
前記<9>に記載の走行装置。
【符号の説明】
【0104】
1 走行装置
50 本体
10、10a、10b 履帯式走行体
11 履帯
13 駆動輪
14 インホイールモータ
141 モータ軸(中心軸)
142 回転体
142A Y正方向側の主面
143 円筒部
143A 端面
144 ボルト穴
15a、15b 転輪
25 テンショナ
20a 側板
21a、21b 開口部
30 ブレーキユニット
303a、303b 凸部
304 凹部
306 連結板
311 モータ軸(中心軸)との接続部分
540 走行制御用モータドライバ(制御部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】