IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特開2024-79566取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム
<>
  • 特開-取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム 図1
  • 特開-取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム 図2
  • 特開-取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム 図3
  • 特開-取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム 図4
  • 特開-取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム 図5
  • 特開-取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム 図6
  • 特開-取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム 図7
  • 特開-取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079566
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240604BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240604BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023153879
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2022191975
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】黒田 幹朗
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064DA11
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GD05
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】充電設備がブロックチェーンネットワークにデータの書き込みを行う際、どの電気自動車に対して再生可能エネルギー由来の電力を供給したのかを特定できることを目的とする。
【解決手段】電力等のアセットを取得する取得装置(3)であって、前記アセットの取得側を識別するための取得側識別情報を記憶する記憶部と、前記アセットの提供側を識別するための提供側識別情報を受け付ける受付部と、前記アセットの取得量を計測する計測部と、ブロックチェーンネットワークが受信すべく、前記記憶部に記憶された前記取得側識別情報、前記受付部によって受け付けられた前記提供側識別情報、及び前記計測部によって計測された前記取得量を送信する送信部と、を有する取得装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセットを取得する取得装置であって、
前記アセットの取得側を識別するための取得側識別情報を記憶する記憶部と、
前記アセットの提供側を識別するための提供側識別情報を受け付ける受付部と、
前記アセットの取得量を計測する計測部と、
ブロックチェーンネットワークが受信すべく、前記記憶部に記憶された前記取得側識別情報、前記受付部によって受け付けられた前記提供側識別情報、及び前記計測部によって計測された前記取得量を送信する送信部と、
を有する取得装置。
【請求項2】
前記受付部は、撮影によって得られた前記提供側識別情報を受け付ける、請求項1に記載の取得装置。
【請求項3】
前記取得装置は電気自動車用の充電コネクタであり、前記アセットは電力である、請求項1に記載の取得装置。
【請求項4】
前記取得装置は水素自動車の水素充填コネクタであり、前記アセットは水素である、請求項1に記載の取得装置。
【請求項5】
アセットを取得する取得装置であって、前記アセットの取得側を識別するための取得側識別情報を記憶する記憶部と、前記アセットの提供側を識別するための提供側識別情報を受け付ける受付部と、前記アセットの取得量を計測する計測部と、ブロックチェーンネットワークが受信すべく、前記記憶部に記憶された前記取得側識別情報、前記受付部によって受け付けられた前記提供側識別情報、及び前記計測部によって計測された前記取得量を送信する送信部と、を有する取得装置と、
前記アセットを提供する提供装置と、
を有する需給システム。
【請求項6】
アセットを取得する取得装置が実行する取得方法であって、
前記取得装置は前記アセットの取得側を識別するための取得側識別情報を記憶する記憶部を有し、
前記取得装置は、
前記アセットの提供側を識別するための提供側識別情報を受け付け、
前記アセットの取得量を計測し、
ブロックチェーンネットワークが受信すべく、前記記憶部に記憶された前記取得側識別情報、前記受け付けられた前記提供側識別情報、及び前記計測された前記取得量を送信する、
取得方法。
【請求項7】
コンピュータに、アセットを取得する取得方法を実行させるプログラムであって、
前記コンピュータは前記アセットの取得側を識別するための取得側識別情報を記憶する記憶部を有し、
前記コンピュータに、
前記アセットの提供側を識別するための提供側識別情報を受け付ける処理と、
前記アセットの取得量を計測する処理と、
ブロックチェーンネットワークが受信すべく、前記記憶部に記憶された前記取得側識別情報、前記受け付けられた前記提供側識別情報、及び前記計測された前記取得量を送信する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取得装置、需給システム、取得方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界的に脱炭素化の動きが活発化する中で、企業のイメージアップのために、企業が使用している電力が再生可能エネルギー由来であることを証明することが求められるようになってきている。こうしたニーズに対応するため、ブロックチェーンネットワーク(共通データ基盤)を利用して、供給される電力が再生可能エネルギーによって生産されたか否かを管理することが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、企業又は個人に国又は地方公共団体から補助金を受けることができる制度ができた場合には、企業だけでなく個人も再生可能エネルギー由来の電力を使用していることを証明する必要がある。
【0004】
これに対して、発電量及び消費量のデータを記録する装置として、発電施設に付随するPCS(Power Conditioning System)、消費者の施設に付随する電力量計(スマートメータ)、又は電力量計と接続するEMS(Energy Management System)等が想定されている。これらは基本的にデータの測定対象となる施設に固定されており、頻繁にデータの測定対象が変わることはない。即ち、再生可能エネルギー由来の電力と供給対象を一意に紐づけることが容易である。そのため、企業が、ブロックチェーンネットワークを利用して再生可能エネルギー由来の電力を購入して使用していることを証明することは容易である。
【0005】
同様の背景で電気自動車へ充電する電力についてもブロックチェーンネットワークにデータの記録が必要になることが想定され、電気自動車に充電する充電設備(充電ステーション、家庭用充電コンセント)から充電量のデータを記録することが想定される。ところが、この場合は、充電対象となる電気自動車は不特定多数となり一意に特定ができない。即ち、充電設備がデータの書き込みを行う場合は、どの電気自動車にして再生可能エネルギー由来の電力を供給したのかを特定する手段がないという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、充電対象となる電気自動車は不特定多数となり一意に特定ができない。即ち、充電設備がブロックチェーンネットワークにデータの書き込みを行おうとしても、どの電気自動車に対して再生可能エネルギー由来の電力を供給したのかを特定する手段がない。これでは、電気自動車等のような不特定多数の充電対象の所有者である企業又は個人は、再生可能エネルギー由来の電力の所定のアセットを購入して使用していることを証明することが困難である。
【0007】
本発明は上述の課題を鑑みてなされたもので、充電設備がブロックチェーンネットワークにデータの書き込みを行う際、どの電気自動車に対して再生可能エネルギー由来の電力を供給したのかを特定できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、アセットを取得する取得装置であって、前記アセットの取得側を識別するための取得側識別情報を記憶する記憶部と、前記アセットの提供側を識別するための提供側識別情報を受け付ける受付部と、前記アセットの取得量を計測する計測部と、ブロックチェーンネットワークが受信すべく、前記記憶部に記憶された前記取得側識別情報、前記受付部によって受け付けられた前記提供側識別情報、及び前記計測部によって計測された前記取得量を送信する送信部と、を有する取得装置である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、充電設備がブロックチェーンネットワークにデータの書き込みを行う際、どの電気自動車に対して再生可能エネルギー由来の電力を供給したのかを特定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る充電システムの概略図である。
図2】充電装置、充電コネクタ、中継サーバ、小売業者端末、ノードの電気的なハードウェア構成図である。
図3】充電コネクタ、小売業者端末、及びノードの各機能構成図である。
図4】取得側識別情報管理テーブルを示す概念図である。
図5】充電データ管理テーブルを示す概念図である。
図6】充電コネクタにより電気自動車のバッテリーを充電する際の処理を示すシーケンス図である。
図7】再生可能エネルギー由来の電力を購入したことを登録する処理を示すシーケンス図である。
図8】アセット情報の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本実施形態を詳細に説明する。
【0012】
〔システムの構成の概略〕
まず、充電システム1の構成の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る充電システムの概略図である。ここでは、アセットの一例としての電力を取り扱う場合について説明する。なお、アセットの所有権及びアセットの生産方法の種類は、後述のアセット情報で管理される。
【0013】
<各業者の説明>
図1に示されているように、電力の生産者A、電力の小売業者B、及び電力の消費者C、及び、電力の使用者Dが存在する。
【0014】
生産者Aは、再生可能エネルギー由来の電力、即ち、再生可能エネルギーによって電力(日本では「グリーン電力」と呼ばれている)を生産する者又は組織である。なお、生産者Aには、各生産者から電力を買い取って転売する組合等も含まれる。再生可能エネルギー由来の電力の生産方法の種類には、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱、又は原子力等を利用して生成する方法が挙げられる。
【0015】
小売業者Bは、生産者Aから電力を購入又は自社で生産した電力を販売する電力会社等である。販売される電力は、再生可能エネルギー由来のものだけでなく、化石燃料由来のもの含まれる。化石燃料由来の電力の生産方法の種類には、化石燃料、石油、石炭、又は液化天然ガス等を利用して生産する方法が挙げられる。小売業者Bはブロックチェーンネットワーク90にアクセスするための小売業者端末8を有している。
【0016】
消費者Cは、小売業者Bから購入した電力を末端の消費者(使用者D)に販売する業者である。例えば、消費者Cは、充電ステーションの経営者である。充電ステーションには、充電装置2が設置されている。
【0017】
使用者Dは、充電ステーション等で個人(又は企業等の組織)の電気自動車7に充電することで電力を使用する者(又企業等の組織)である。本実施形態では、電気自動車7に、専用の充電コネクタ3を常備しており、使用者Dが電気自動車7に充電する場合に、充電コネクタ3に取り付けられている充電ケーブル4を充電装置2に差し込んで電気自動車7を充電する。なお、充電装置2に付随の充電コネクタを使う場合には、この付随の充電コネクタに充電ケーブル4又は充電コネクタ3を接続して、充電コネクタ3を電気自動車7に接続してもよい。
【0018】
充電コネクタ3は、中継サーバ5を介して、ブロックチェーンネットワーク90にアクセスすることができる。アクセスするには、有線であっても無線であってもよい。無線の場合には、例えば、4G、5G、66G、LPWA(Low Power Wide Area-network)等が用いられる。充電コネクタ3の仕様によっては中継サーバ5を介さなくてもよい。
【0019】
なお、生産者Aにもブロックチェーンネットワーク90にアクセス可能な端末が設置されているが、図1では省略している。
【0020】
<電力の送配信のネットワーク>
生産者Aによって生産された電力は、小売業者Bを含む送配電ネットワーク10を介して消費者Cに提供される。送配電ネットワーク10は、変電所及び送配電線等によって構築されている。
【0021】
<データ通信のネットワーク>
ノード9a,9b,9cによって、ブロックチェーンネットワーク90が構築されている。ブロックチェーンネットワーク90は、インターネット等の通信ネットワーク内で構築されている。通信ネットワークは、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。ノード9a,9b,9cは、本来多数存在するが、ここでは紙面の都合上3つのみが示されている。ノード9a,9b,9cは、それぞれ異なる企業等によって管理されている。異なる企業の中に、小売業者Bが含まれる場合もある。以降、ノード9a,9b,9cの総称は、「ノード9」と示される。
【0022】
〔各ハードウェア構成〕
続いて、図2を用いて、充電装置2、充電コネクタ3、中継サーバ5、小売業者端末8、ノード9の電気的なハードウェア構成図である。図2は、充電装置、充電コネクタ、中継サーバ、小売業者端末、ノードの電気的なハードウェア構成図である。
【0023】
図2に示すように、充電コネクタ3は、コンピュータとして、図2に示されているように、CPU101、ROM102、RAM103、SSD104、外部機器接続I/F(Interface)105、ネットワークI/F106、ディスプレイ107、入力デバイス108、メディアI/F109、及びバスライン110を備えている。
【0024】
これらのうち、プロセッサとしてのCPU101は、充電コネクタ3全体の動作を制御する。ROM102は、IPL等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。
【0025】
SSD104は、CPU101の制御に従って各種データの読み出し又は書き込みを行う。なお、SSD104の代わりに、HDD(Hard Disk Drive)を用いてもよい。
【0026】
外部機器接続I/F105は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、通信機器、ディスプレイ、スピーカ、キーボード、マウス、USBメモリ、及びプリンタ等である。
【0027】
ネットワークI/F106は、インターネット等の通信ネットワークを介してデータ通信をするための回路である。通信は無線又は有線で行う。
【0028】
ディスプレイ107は、各種画像を表示する液晶、有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。
【0029】
入力デバイス908は、各種指示の選択(又は実行)、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。入力デバイス908の一例として、ポインティングデバイス、タッチパネル等が挙げられる。
【0030】
メディアI/F109は、フラッシュメモリ等の記録メディア109mに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記録メディア109mには、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc(登録商標)等も含まれる。
【0031】
バスライン110は、図2に示されているCPU101等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス等である。
【0032】
なお、充電装置2、中継サーバ5、小売業者端末8、及びノード9は、充電コネクタ3と同様の構成を有するため説明を省略する。また、充電装置2、充電コネクタ3、及び小売業者端末8は、図2に示す構成に対して、更に電力供給又は電力使用量を計測する計測センサ111を有している。
【0033】
〔機能構成〕
続いて、図3乃至図5を用いて、主に充電システム1を構築する装置(充電コネクタ3、小売業者端末8、ノード9)の機能構成について説明する。図3は、充電コネクタ、小売業者端末、及びノードの各機能構成図である。
【0034】
<充電コネクタの機能構成>
図3に示されているように、充電コネクタ3は、通信部31、受付部32、計測部33、及び表示制御部34を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0035】
また、充電コネクタ3は、図2に示されているROM102、RAM103、及びSSD104によって構築される記憶部3000を有している。
【0036】
(取得側識別情報管理テーブル)
図4は、取得側識別情報管理テーブルを示す概念図である。記憶部3000には、取得側識別情報管理テーブルが記憶されている。取得側識別情報管理テーブルには、電力の取得側を識別するための取得側識別情報が管理されている。図4では、取得側識別情報の一例として、車体番号及びバッテリー製造番号の組が示されている。この場合、同じ車体番号の電気自動車であっても、バッテリーを交換すると取得側識別情報が変わる。なお、取得側識別情報は、車体番号及びバッテリー製造番号の組ではなく、車体番号又はバッテリー製造番号であってもよい。また、取得側識別情報は、日本に於いて個人の識別番号として地方公共団体等から指定される番号であるマイナンバーであってもよく、個人又は会社等の電子メールアドレス若しくは電話番号であってもよい。
【0037】
(充電データ管理テーブル)
図5は、充電データ管理テーブルを示す概念図である。記憶部3000には、充電データ管理テーブルが記憶されている。充電データ管理テーブルには、図5に示すように、図4の取得側識別情報(車体番号、バッテリー番号)並びに、充電日時及び充電量を示す充電データが関連付けて管理されている。
【0038】
(充電コネクタの各機能構成)
通信部31は、主に、外部機器接続I/F105又はネットワークI/F106に対するCPU101の処理によって実現され、中継サーバ5を介して、ノード9にアクセスすることで、通信することができる。
【0039】
受付部32は、主に、入力デバイス108に対するCPU101の処理によって実現され、使用者Dから各種の選択又は入力を受け付ける。
【0040】
計測部33は、主に、計測センサ111に対するCPU101の処理によって実現され、充電量(アセットの取得量の一例)を計測する。
【0041】
表示制御部34は、主に、ディスプレイ107に対するCPU101の処理によって実現され、表示部の一例であるディスプレイ107に、各種文字又は各種画像を表示させる。
【0042】
<小売業者端末の機能構成>
図3に示されているように、小売業者端末8は、通信部81、受付部82、計測部83、及び表示制御部84を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0043】
また、小売業者端末8は、図2に示されているROM102、RAM103、及びSSD104によって構築される記憶部8000を有している。
【0044】
通信部81、受付部82、計測部83、及び表示制御部84は、それぞれ充電コネクタ3における、通信部31、受付部32、計測部33、及び表示制御部34と同様の機能又は手段であるため説明を省略する。なお、通信部81は中継サーバ5を介さずに、ノード9と通信することができる。計測部83は、小売業者Bが消費者Cに販売する電力の供給量を計測する。
【0045】
<ノードの機能構成>
図3に示されているように、ノード9は、通信部91、トランザクション処理部96、及びアセット処理部97を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、SSD104からRAM103上に展開されたプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0046】
また、ノード9は、図2に示されているROM102、RAM103、及びSSD104によって構築される記憶部9000を有している。図3では、イメージとして、トランザクション情報がチェーンのようにつながっている状態を示している。また、トランザクション情報に基づいて生成されたアセット情報も記憶されている。各トランザクション情報及び各アセット情報は、各ノードで保持している。
【0047】
通信部91は、主に、外部機器接続I/F105又はネットワークI/F106に対するCPU101の処理によって実現され、中継サーバ5を介して充電コネクタ3、小売業者端末8、及び他のノード9と通信することができる。
【0048】
トランザクション処理部96は、CPU101の処理によって実現され、アセット情報の生成に用いられるトランザクションを示すトランザクション情報を生成して記憶部9000に記憶する等の処理を行う。
【0049】
アセット処理部97は、CPU101の処理によって実現され、トランザクション情報に従って、アセット情報を生成して記憶部9000に記憶する等の処理を行う。
【0050】
〔実施形態の処理又は動作〕
続いて、図6乃至図8を用いて、本実施形態の処理又は動作について説明する。図6は、充電コネクタにより電気自動車のバッテリーを充電する際の処理を示すシーケンス図である。図7は、再生可能エネルギー由来の電力を購入したことを登録する処理を示すシーケンス図である。図8は、アセット情報の概念図である。なお、図6及び図7処理又は動作の前提として、図1に示すように、使用者Dが消費者C(充電ステーション)で自己の電気自動車7のバッテリーに充電するため、電気自動車7に常備している専用の充電コネクタ3(充電ケーブル4付き)を取り出して、充電ケーブル4を充電装置2に接続し、充電コネクタ3を電気自動車に7に接続している。
【0051】
<充電時の処理又は動作>
S11:使用者Dが充電コネクタ3のスイッチをONにすると、受付部32がスイッチのONを受け付け、計測部33が取得側識別情報管理テーブル3001から、取得側識別情報を読み出す。そして、充電コネクタ3は、電気自動車7のバッテリーに充電を開始する。
【0052】
S12:小売業者Bから消費者C(充電ステーションCS)に電力を供給する際に、小売業者端末8の計測部83は供給量を計測する。
【0053】
S13:消費者C(充電ステーション)の充電装置2から充電コネクタ3に電力を供給する際に、充電装置2でも供給量を計測する。
【0054】
S14:充電コネクタ3では、計測部33が充電量(取得量の一例)を計測する。
【0055】
S15:小売業者端末8の通信部81は、所定時間(例えば、30分間)に1回、ブロックチェーンネットワーク90のノード9に対して、アセット情報生成の要求を送信する。この要求には供給情報が含まれている。この場合の供給情報には、図8(a)に示すアセット情報を作成するために必要な情報(所有者識別情報、消費電力量(提供電力量)等)が含まれている。これにより、ノード9の通信部91は、アセット情報生成の要求を受信する。
【0056】
同様に、小売業者端末8の通信部81は、ブロックチェーンネットワーク90のノード9に対して、アセット情報生成の要求を送信する。この要求には供給情報が含まれている。この場合の供給情報には、アセット情報を作成するために必要な情報(所有者識別情報、消費電力量(提供電力量)、再生可能エネルギー由来の電力の割り当ての割合、再生可能エネルギー由来でない電力の割り当ての割合等)が含まれている。再生可能エネルギー由来の電力と再生可能エネルギー由来でない電力との割り当ての割合は、小売業者Bと消費者Cとの契約によって予め定められている。これにより、ノード9の通信部91は、アセット情報生成の要求を受信する。
【0057】
S16:ノード9では、トランザクション処理部96が、処理S15で受信された供給情報を用いて各トランザクション情報を生成して記憶部9000に記憶する。そして、アセット処理部97は、各トランザクション情報に従って、図8(a)に示されているアセット情報を生成して記憶部9000に記憶した後、更に、図8(a)に示すアセット情報を図8(b)に示すアセット情報に変更する。
【0058】
アセット情報は、アセット情報を識別するためのアセットID、所有者情報、アセット情報のデータの生成日時、(取引可能又は購入済み)電力量、再生可能エネルギー由来の電力の割当量、再生可能エネルギー由来でない電力の割当量、及び割り当てていない電力量を示すアセット情報を示す。
【0059】
ここでは、図8(a)に示すように、供給先として電力の所有者になった消費者Cに対して、再生可能エネルギー由来の電力の割当量及び再生可能エネルギー由来でない電力の割当量を特定していない状態で、ひとまず電力量(提供電力量)が5000kWhの電力を供給した旨を示すアセット情報が生成されている。そして、次に、図8(b)に示すように、供給先として電力の所有者になった消費者Cに対して、再生可能エネルギー由来の電力の割当量及び再生可能エネルギー由来でない電力の割当量を特定した状態を示すアセット情報が生成されている。
【0060】
S17:また、充電コネクタ3では、計測部33が、処理11で読み出された取得側識別情報に充電データを関連付けて、充電データ管理テーブル3002に記憶する。
【0061】
<再生可能エネルギー由来の電力を購入した旨の登録>
S21:使用者Dが充電ステーションCS又は充電装置2に表示されている提供側識別情報を見て、充電コネクタ3の入力デバイス108で提供側識別情報を入力する。これにより、受付部32が、提供側識別情報の入力を受け付ける。提供側識別情報は、消費者Cである充電ステーション又は充電装置2を識別するための情報であり、消費者を識別するためのID、名称、店名等である。これにより、使用者Dが購入する電力と、この電力を販売する消費者Cを紐づけることができる。
【0062】
S22:利用者Dが充電コネクタ3の入力デバイス108で、現在充電中の電力が再生可能エネルギー由来のものである旨を示すデータをブロックチェーンネットワーク90に登録するための画面操作を行う。これにより、受付部32は、再生可能エネルギー由来の電力を購入する(した)旨の登録を受け付ける。
【0063】
S23:通信部31は、中継サーバ5に対して、アセット情報生成の要求を送信する。この要求には、購入情報が含まれている。この場合の購入情報には、図8(c)、(d)に示す各アセット情報を作成するために必要な情報(取得側識別情報、提供側識別情報、消費電力量(取得量の一例)等)が含まれている。これにより、中継サーバ5は、アセット情報生成の要求を受信する。
【0064】
S24:中継サーバ5は、充電コネクタ3から受信したアセット情報生成の要求を、ノード9に転送する。
【0065】
S25:ノード9では、トランザクション処理部96が、処理S24で受信された購入情報を用いて各トランザクション情報を生成して記憶部9000に記憶する。そして、アセット処理部97は、各トランザクション情報に従って、図8(c)、(d)に示されている各アセット情報を生成して記憶部9000に記憶する。
【0066】
この場合、アセット処理部97は、使用者Dへの供給時に割り当てる再生可能エネルギー由来の電力量を考慮して、図8(b)に示すアセット情報から、割り当て後に残った電力量を示すアセット情報(図8(c)参照)に変更すると共に、使用者Dへの供給時に割り当てる再生可能エネルギー由来の電力量を示すアセット情報(図8(d)参照)を新たに生成する。
【0067】
図8(c)に示すアセット情報は、アセットID及び所有者が図8(b)のアセット情報から変わらないままで、データ生成日時、割り当て後の残りの取引可能な電力量(4000kWh)、再生可能エネルギー由来の電力の割当量(2000kWh)、再生可能エネルギー由来でない電力の割当量(2000kWh)、及び割り当てていない電力量(0kWh)を示すと共に、更に、図8(b)のアセット情報からの分岐先のアセットID(2222)を示す。
【0068】
図8(d)に示すアセット情報は、新たに生成されたアセット情報のアセットID(2222)、電力を購入した所有者としての使用者Dの識別情報(9876)、購入済みの電力量(1000kWh)、再生可能エネルギー由来の電力の割当量(1000kWh)、再生可能エネルギー由来でない電力の割当量(0kWh)、及び割り当てていない電力量(0kWh)を示すと共に、更に、図8(d)のアセット情報の分岐元のアセットID(1111)を示す。
【0069】
以上により、使用者Dは、ブロックチェーンネットワーク90に再生可能エネルギー由来の電力を購入した旨のデータ(アセット情報)を登録することで、個人(又は企業)のイメージアップに使用したり、再生可能エネルギーの使用による国等の補助金申請に使ったりすることができる。
【0070】
〔実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、不特定多数の充電対象の使用者が再生可能エネルギー由来の電力等の所定のアセットを購入して使用していることを証明することを容易にすることができるという効果を奏する。
【0071】
〔補足〕
上記実施形態では、アセットの一例として電力が示されたが、これに限るものではなく、水素であってもよい。充電システム1は、需給システムの一例である。需給システムには、水素を充填する充填システムも含まれる。この場合、電気自動車7ではなく水素自動車(燃料電池車)が使用される。また、充電コネクタ3は取得装置の一例であり、取得装置には、水素を取得するための水素の充填コネクタも含まれる。水素を扱う場合、充電ケーブル4に替えて水素の充填コネクタが用いられる。また、充電ステーションではなく水素ステーションで、充電装置2ではなく充填装置が用いられる。
【0072】
上記実施形態では、充電コネクタ3が提供側識別情報を取得する一例として、使用者Dから提供側識別情報の入力を受け付ける場合が示されているが(処理S21参照)、これに限るものではない。例えば、充電コネクタ3にカメラが設けられ、このカメラで充電装置2等に示された提供側識別情報を撮影することによって、受付部32が提供側識別情報を得ても良い。また、上記カメラで充電装置2等に示された二次元コード又はバーコード等のコード情報を撮影することによって、コード情報に埋め込まれた提供側識別情報を読み込むことで、受付部32が提供側識別情報を得ても良い。
【0073】
各CPU101は、単一であってもよく複数であってもよい。
【0074】
また、上述の実施形態における各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本実施形態における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサ、上述した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU、及び従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0075】
また、上記各プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。記録媒体の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc(登録商標)、SDカード、USBメモリ等が挙げられる。記録媒体は、一時的に又は非一時的にプログラムを記録してもよい。また、記録媒体は、プログラム製品(Program Product)として、国内又は国外へ提供されることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 充電システム(需給システムの一例)
2 充電装置(提供装置の一例)
3 充電コネクタ(取得装置の一例)
4 充電ケーブル
5 中継サーバ
7 電気自動車
8 小売業者端末
9 ノード
10 送配電ネットワーク
31 通信部(送信部の一例)
32 受付部
33 計測部
34 表示制御部
90 ブロックチェーンネットワーク
3001 取得側識別情報管理テーブル
3002 充電データ管理テーブル
A 生産者
B 小売業者
C 消費者
D 使用者(末端の消費者)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特許第6992918号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8