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特開2024-79758視野検査方法、視野検査装置、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079758
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】視野検査方法、視野検査装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/024 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
A61B3/024
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024045649
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2020065339の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 ちから
(72)【発明者】
【氏名】大谷 直也
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】視野検査方法は、複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査工程と、前記第1検査点の感度に基づいて、前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定工程を含む。
【効果】探索(検査)する必要のある輝度値の範囲を徐々に狭くし、患者の検査点が所定範囲の確率で認識する輝度値を特定できる。これにより、患者の検査点が所定範囲の確率で認識する輝度値の光を用いて、視野検査を実行することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査点の検査点集合の中から選択された複数の第1検査点について感度を検査する検査工程と、
確率過程を用いて、前記第1検査点の感度から前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定工程と、
を含む視野検査方法。
【請求項2】
前記第2検査点は、前記第1検査点の周囲に位置する点である、請求項1に記載の視野検査方法。
【請求項3】
前記第1検査点の感度と前記第2検査点の感度とを用いて、視野感度マップを生成する生成工程をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の視野検査方法。
【請求項4】
前記視野感度マップには前記信頼度のデータも含まれることを特徴とする、請求項3に記載の視野検査方法。
【請求項5】
前記確率過程は、ガウス過程である、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の視野検査方法。
【請求項6】
前記信頼度は、前記推定された第2検査点の感度の値を中心とした、前記第2検査点の感度の取り得る範囲を示した数値データである、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の視野検査方法。
【請求項7】
前記第2検査点の前記感度及び前記信頼度の少なくとも一方に基づいて、前記検査点集合の中から選択された、前記第1検査点以外の検査点である第3検査点について感度を検査する追加検査工程と、
前記第1検査点の感度及び前記第3検査点の感度に基づいて、前記第1検査点及び前記第3検査点とは異なる第4検査点の感度と前記第4検査点の感度の信頼度を計算する追加
推定工程と、
を更に含む、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の視野検査方法。
【請求項8】
メモリと、
前記メモリに接続するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
複数の検査点の検査点集合の中から選択された複数の第1検査点について感度を検査する検査ステップと、
確率過程を用いて、前記第1検査点の感度から前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定ステップと、
を行う、視野検査装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、さらに、前記検査点集合から前記第1検査点を選択するステップと、
前記第1検査点に提示する指標の輝度を決定するステップと、を行う、請求項8に記載の視野検査装置。
【請求項10】
前記第1検査点について、前記輝度の指標を提示する提示部と、
前記指標に対する被検者の反応を取得する検出部と、
をさらに備える、請求項9に記載の視野検査装置。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の検査点の検査点集合の中から選択された複数の第1検査点について感度を検査する検査ステップと、
確率過程を用いて、前記第1検査点の感度から前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、視野検査方法、視野検査装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被検眼の光刺激に対する感度を得ることができる視野検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5048284号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術の第1の態様の視野検査方法は、複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査工程と、前記第1検査点の感度に基づいて、前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定工程と、を含む。
【0005】
本開示の技術の第2の態様の視野検査装置は、メモリと、前記メモリに接続するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査ステップと、前記第1検査点の感度に基づいて、前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定ステップと、を行う。
【0006】
本開示の技術の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査ステップと、前記第1検査点の感度に基づいて、前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定ステップと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】眼科システム100のブロック図である。
図2】視野計110の構成を示すブロック図である。
図3】視野計110のCPU12の機能ブロック図である。
図4】視野計110のCPU12が実行する視野検査処理のフローチャートである。
図5A図4のステップ212の間引き検査処理のフローチャートである。
図5B図4のステップ220の追加検査処理のフローチャートである。
図6図4のステップ216の全体の視野感度を推定する処理のフローチャートである。
図7】被検眼12の網膜の視神経についての検査する検査点と検査しない検査点とを含む全検査点集合が概念的に示されている。
図8A】累積関数の更新処理を示す図である。
図8B】累積関数の更新処理を示す他の図である。
図8C】累積関数の更新処理を示す他の図である。
図8D】累積関数の更新処理を示す他の図である。
図8E】累積関数の更新処理を示す他の図である。
図8F】累積関数の更新処理を示す他の図である。
図8G】累積関数の更新処理を示す他の図である。
図8H】累積関数の更新処理を示す他の図である。
図8I】累積関数の更新処理を示す他の図である。
図9】検査済点の各検査回での指標光の輝度値(dB)および被験者(患者)の反応結果を示す図である。
図10】輝度値に対するその輝度値の指標光を患者の被検眼12の視神経の検査点が認識する確率fa,b(θ)の関係を示す輝度値-正答率曲線を示すグラフである。
図11】検査済点の推定輝度値を示す図である。
図12】検査点と、各検査点の推定輝度値および信頼度との関係を示す図である。
図13】追加検査点の各検査回での指標光の輝度値(dB)および反応結果を示す図である。
図14】追加検査点の推定輝度値を示す図である。
図15A】全検査点集合の各検査点の推定輝度値を示すグラフである。
図15B図15Aのグラフに信頼度が追加されたグラフである。
図16】視野感度マップ510Mを示す図である。
図17A】従来技術における、検査回数と、感度の正しい値と推定される感度との差と、の関係を示す図である。
図17B】従来技術における、検査回数と、感度の正しい値と推定される感度との差と、の関係を示す他の図である。
図17C】従来技術における、検査回数と、感度の正しい値と推定される感度との差と、の関係を示す他の図である。
図18A】本実施の形態における、検査回数と、感度の正しい値と推定される感度との差と、の関係を示す図である。
図18B】本実施の形態における、検査回数と、感度の正しい値と推定される感度との差と、の関係を示す他の図である。
図18C】本実施の形態における、検査回数と、感度の正しい値と推定される感度との差と、の関係を示す他の図である。
図19】未検査点の推定輝度値を補間する方法を説明する図である。
図20】本実施の形態において求められる推定輝度値と信頼度とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示の技術の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1を参照して、眼科システム100の構成を説明する。図1に示すように、眼科システム100は、静的視野検査装置(以下、「視野計」という)110と、管理サーバ装置(以下、「サーバ」という)140と、画像表示装置(以下、「ビューワ」という)150と、を備えている。
視野計110は、本開示の技術の「視野検査装置」の一例である。
【0010】
視野計110は、詳細には後述する患者の被検眼の視野感度(輝度値)を検査する機器であり、緑内障および網膜色素変性症等の診断に用いられる。
【0011】
ここで、視野感度とは、被検眼の眼底の網膜の視神経の検査対象となる検査点に到達し、患者が認識した指標光の強度(輝度値:luminance(dB))である。なお、dBで表される輝度値が大きいほど、検査点に対して提示される指標光の強度が小さく、指標光は暗い。言い換えると、dBで表される輝度値が小さいほど、検査点に対して提示される指標光の強度は大きく、指標光は明るい。
【0012】
サーバ140は、視野計110によって患者の被検眼の視野感度の検査結果(推定輝度値等)を、患者IDに対応して記憶する。ビューワ150は、サーバ140から取得した被検眼の視野感度の検査結果等の医療情報を表示する。
【0013】
視野計110、サーバ140、およびビューワ150は、ネットワーク130を介して、相互に接続されている。
【0014】
図2には、視野計110の構成が示されている。
【0015】
視野計110が水平面に設置された場合の水平方向を「X方向」、水平面に対する垂直方向を「Y方向」とし、被検眼12の前眼部の瞳孔の中心と眼球の中心とを結ぶ方向を「Z方向」とする。従って、X方向、Y方向、およびZ方向は互いに垂直である。
【0016】
図2に示すように、視野計110は、制御装置10、指標提示部30、外部記憶装置40、入力/表示部50、および応答部60を備えている。
【0017】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit(中央処理装置))12、ROM(Read-Only memory)14、RAM(Random Access Memory)16、および入出力(I/O)ポート18を有し、これらがバス20により相互に接続されている、コンピュータを備えている。ROM14には、後述する視野検査プログラムが記憶されている。
【0018】
ROM14は、本開示の技術の「メモリ」の一例である。CPU12は、本開示の技術の「プロセッサ」の一例である。メモリは、視野検査プログラムを格納する。プロセッサは、メモリと接続して、視野検査プログラムを実行する
【0019】
I/Oポート18には、指標提示部30、外部記憶装置40、通信インターフェース(I/F)45、入力/表示部50、および応答部60が接続されている。
【0020】
入力/表示部50は、画像を表示したりオペレータから各種指示を受け付けたりするグラフィックオペレータインターフェースを有する。グラフィックオペレータインターフェースとしては、タッチパネル・ディスプレイが挙げられる。
【0021】
応答部60は、患者により操作される図示しないスイッチと送信部とを備えている。後述する視野検査の際に、指標光を認識した場合に、患者は、スイッチをオンする。送信部は、スイッチがオンされると、患者が指標光を認識したことを示す認識信号を制御装置10に送信する。
【0022】
通信インターフェース(I/F)45には、ネットワーク130を介してサーバ140、およびビューワ150に接続されている。
【0023】
指標提示部30は、半球の内面が反射面であるドーム30Dと、ドーム30Dの内面の複数の位置の検査点dp(図7も参照)に、指標を提示する(具体的には、光を投影する)、図示しない投影装置とを備えている。後述する視野検査のための視野検査プログラムに従った制御装置10による制御に従って、投影装置は、ドーム30Dの内面の異なる複数の位置の点(指標提示点)dpに、時間をずらして、指標を提示する。指標提示点dpからの指標光は、被検眼12の網膜における、指標提示点dpに対応する検査点に到達する。上記のように、指標光を認識した患者はスイッチをオンし、送信部は、認識信号を制御装置10に送信する。
指標提示部30は、本開示の技術の「提示部」の一例である。
【0024】
なお、本開示の技術では、指標提示部30の構成は、ドーム30Dと投影装置とを備える構成に限定されない。本開示の技術では、例えば、ドーム30Dの内面の点が自発光する構成や、被検眼12の網膜の検査点に指標光を直接照射する構成が、指標提示部30の構成として採用可能である。
【0025】
サーバ140およびビューワ150は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータ、入力装置、ディスプレイ、および外部記憶装置等を備えている。
【0026】
図3に、視野計110のCPU12が視野検査プログラムを実行することで実現される各種機能について説明する。視野検査プログラムは、表示処理機能、取得機能、判断機能、読み込み機能、間引き検査機能、推定機能、判定機能、追加検査機能、保存機能、算出機能、および可視化機能を備えている。CPU12がこの各機能を有する視野検査プログラムを実行することで、CPU12は、図3に示すように、表示処理部72、取得部74、判断部76、読み込み部78、間引き検査部80、推定部82、判定部84、追加検査部86、保存部88、算出部90、および可視化部92として機能する。
間引き検査部80および追加検査部86は、本開示の技術の「検出部」の一例である。
【0027】
図4には、視野計110のCPU12が実行する視野検査処理のフローチャートが示されている。CPU12が視野検査プログラムを実行することで、図5のフローチャートに示された視野検査処理が実現される。当該視野検査処理は、入力/表示部50に表示された図示しないスタートボタンがオペレータにより操作された場合にスタートする。
【0028】
ステップ202で、表示処理部72は、入力/表示部50に、患者IDの入力画面を表示する。オペレータにより入力/表示部50に、患者IDが入力される。ステップ204で、取得部74は、患者IDを取得する。
【0029】
ステップ206で、判断部76は、サーバ140に、取得した患者IDに対応して視野感度の検査結果の過去データが存在するか否かを問い合わせる。すなわち、取得した患者IDに対応して、視野感度の検査結果が記憶されているかを問い合わせる。判断部76は、サーバ140からの問い合わせ結果を取得し、取得した問い合わせ結果に基づいて、患者IDに対応する視野感度の検査結果の過去データがあるか否かを判断する。過去データは、例えば、後述する各検査点の推定輝度値(視野感度)および累積関数である。過去データは、患者毎、および各患者の検査点毎のデータである。過去データは、過去に行われた全検査の取得データでもよく、最新の検査後に更新されたデータであってもよい。
【0030】
患者IDに対応する視野感度の検査結果の過去データがあると判断された場合には、ステップ208で、読み込み部78は、入力された患者IDに対応する過去データから、被検眼の視神経についての全検査点集合の各検査点の最新の推定輝度値(視野感度)を読み込む。一方、患者IDに対応して視野感度の検査結果の過去データがないと判断された場合には、ステップ210で、読み込み部78は、全検査点集合の各検査点について予め規定された輝度値を読み込む。予め規定された輝度値は、例えば正常眼における全検査点集合の各検査点についての参考値である。
【0031】
ステップ212で、間引き検査部80は、患者の被検眼12の視野の検査点の視野感度(輝度値)を検査すると共に累積関数を求める、間引き検査処理を実行する。
なお、ステップ212の処理は、本開示の技術の「検査工程」および「検査ステップ」の一例である。
【0032】
本実施の形態では、被検眼12の網膜の視神経についての検査点集合から選択された複数の検査点の各々について、患者に固有の累積関数を求める。
【0033】
ここで、累積関数とは、指標光の輝度値と検査回数との関係を示した関数であり、より具体的には、各指標光の輝度値に対し検査で用いられた累積回数を対応させる関数である。
【0034】
図5Aには、図4のステップ212の間引き検査処理のフローチャートが示されている。図5Aに示すように、ステップ252で、間引き検査部80は、全検査点集合から、間引き検査で実際に検査する複数の検査点を選定する。全検査点集合は、視野感度(輝度値)の検査対象となる、患者の被検眼12の視野の全ての検査点の集合である。全検査点集合は、検査点集合と言い換えてもよい。全検査点集合は、複数の検査点の集合である。全検査点集合は、実際に検査を行う検査点と、検査を行わない検査点とから成る。間引き検査を実行する場合には、間引き検査の対象となり実際に検査を行う第1検査点と、間引き検査において抽出されずに検査されない第2検査点から成る。また、全検査点集合は、後述する追加検査を行う場合には、間引き検査の対象となる第1検査点と、追加検査の対象となる第3検査点と、間引き検査においても追加検査においても実際に検査されない第4検査点から成る。
【0035】
図7には、被検眼12の網膜の視神経についての全検査点集合が概念的に示されている。全検査点集合の各検査点は、指標光が被検眼12の瞳孔を介して到達する範囲に渡って配置されている。まず、間引き検査部80は、全検査点集合から、複数の検査点を、例えば、ランダムに選択する。図7には、このように選択された、間引き検査で実際に検査する複数の検査点が、●で示されている。間引き検査で実際に検査する●で示されている複数の検査点からなる集合を、検査点集合Pという。全検査点集合から検査点集合Pを除いた検査点が、〇で示されている。〇で示されている検査点は、視野検査がされない点(間引かれた検査点)である。
【0036】
ステップ252で、次に、間引き検査部80は、検査点集合Pの各検査点に対し最初の検査に用いる初期輝度値を決定する。具体的には、間引き検査部80は、全検査点集合の各検査点について予め規定された輝度値を、初期輝度値として、決定する。
【0037】
ステップ252で、間引き検査部80は、上記過去データが存在しない場合には、検査点集合Pの各検査点に対し、図8Aに示すように、累積関数を初期化、例えば、各輝度値に対応する検査回数をゼロにする。
【0038】
検査点集合Pの各検査点は、本開示の技術の「第1検査点」の一例である。全検査点集合から検査点集合Pを除いた検査点は、本開示の技術の「第2検査点」の一例である。全検査点集合は、複数の「第1検査点」の集合である検査点集合Pと、少なくとも1つの「第2検査点」からなる。全検査点集合から、「第2検査点」の集合を間引き、残った第1検査点の集合を検査点集合Pとする。
【0039】
ステップ254で、間引き検査部80は、検査点集合Pから1つの検査点pを選択する。具体的には、検査点集合Pの各検査点を識別する変数pをゼロに初期化し、変数pを1インクリメントする。これにより、変数pにより、検査点集合Pから1つの検査点pが選択される。間引き検査とは、間引き処理後に行われる検査である。
【0040】
ステップ256で、間引き検査部80は、過去データに基づいて、検査点pの累積検査回数を取得する。累積検査回数は、検査に応じ、検査点毎に累積する検査回数である。検査点pの累積検査回数とは、例えば検査点pにおいて過去に実施された検査の総数である。患者IDに対応して過去データがある場合には、検査点pの累積検査回数は1以上であると判断される。患者IDに対応して過去データがなく、ステップ258の処理が最初に実行される場合には、検査点pの累積検査回数は0であると判断される。一方、患者IDに対応して過去データがないが、ステップ258の処理が2回目以降である場合には、検査点pの累積検査回数は1以上であると判断される。
【0041】
検査点pの累積検査回数が0であると判断された場合には、ステップ260で、間引き検査部80は、ステップ252で検査点pについて決めた初期輝度値の指標光を患者に提示する。より具体的には、間引き検査部80は、検査点pに、初期輝度値の指標光が入射されるように、投影装置を制御する。
【0042】
検査点pの累積検査回数が1回以上であると判断された場合には、検査点pに対応する累積関数が得られている。累積関数は、検査に応じ、検査点ごとに累積している関数である。ステップ262では、間引き検査部80は、まず、検査点pに関する累積関数に基づいて、提示する指標光の輝度値を抽出する。より具体的には、検査点pの累積検査回数が1回以上であると判断された場合には、間引き検査部80は、累積関数から、検査回数が所定値となる輝度値の範囲を抽出する。例えば、本実施形態では、検査回数が1未満である輝度値の範囲を抽出する。なお、検査回数が所定値となる輝度値の範囲は、後述するように、探索(検査)が必要である領域であると言える。そして、間引き検査部80は、抽出された輝度値の範囲から、提示する指標光の輝度値を設定する。本開示の技術において、提示する指標光の輝度値は、抽出された輝度値の範囲から、ランダムに抽出して設定してもよく、任意に定められた値を抽出して設定してもよい。例えば、間引き検査部80は、当該範囲から、提示する指標光の輝度値を、当該範囲の中の中央値又は3/4の値等を抽出してもよい。次に、間引き検査部80は、抽出した輝度値で指標光が検査点pに入射されるように、投影装置を制御する。
【0043】
提示された指標光を患者が認識した場合には、患者は応答部60のスイッチをオンする。これにより認識信号が制御装置10に送信される。しかし、指標光が提示されても患者が認識しなかった場合には、患者は応答部60のスイッチをオンしない。よって、指標を提示した時から所定時間経過しても認識信号が制御装置10に送信されない。ステップ264で、間引き検査部80は患者の反応を取得する。より具体的には、間引き検査部80は、指標を提示した時から所定時間経過する前に、認識信号が送信された場合には、指標を認識した、との患者の反応を取得する。一方、上記所定時間経過しても認識信号が送信されなかった場合には、間引き検査部80は、指標を認識しなかった、との患者の反応を取得する。
【0044】
ステップ266で、間引き検査部80は、検査点pについて、提示された指標光の輝度値と、指標光を認識した又は認識しなかったという患者の反応結果とを、外部記憶装置40に保存する。
【0045】
ステップ268で、間引き検査部80は、累積関数を更新する。後述するようにステップ254からステップ270の処理が繰り返され、ステップ268における累積関数の更新処理も繰り返される。また、累積検査点回数も更新される。ステップ254からステップ270の処理が繰り返されることにより、検査点pに対して異なる輝度値の指標光を複数回提示し、それぞれの指標光に対する患者の応答が得られ、各提示における患者の応答に基づいて検査点pに対応する累積関数を更新する。以下、具体的に説明する。
【0046】
なお、ステップ254からステップ270の処理が繰り返されることにより、ステップ264で取得される応答は、本開示の技術の「第1応答」の一例である。
【0047】
上記のように過去データがなく、ステップ252の処理が実行される場合には、検査前の累積検査回数は、図8Aに示すように各輝度値について0であり、累積関数は存在しない。ステップ260の処理により、例えば、初期輝度値が28dBの指標光が患者に提示される。患者が当該指標光を認識しなかった場合、間引き検査部80は、図8Bに示すように、28dBを境界として定まる範囲、即ち、28dB以上の範囲の各輝度値についての検査回数を、所定量増加させる。増加させる所定量としては例えば、1である。よって、図8Bに示すように、28dB以上の範囲の各輝度値についての検査回数は1となる。
【0048】
ここで、検査点pについては、28dBの輝度値しか提示していないのに、28dB以上の範囲の各輝度値についての検査回数を1としたのは、次の理由からである。28dBの指標光を患者が認識しなかった場合、当該患者は、28dBより大きい輝度値の指標光、すなわち提示した指標光より暗い光は認識できないものと推定される。そのため、検査点pについては28dBより大きい輝度値の指標についても認識できなかったという患者の反応が得られると推定される。よって、28dBより大きい輝度値については、実際に検査をするまでもなく患者の反応が想定されるため、検査したものとみなして検査回数を1増加させる。増加させる所定量としては、各輝度値に応じて異なる値でもよい。例えば、28dBの指標光を患者が認識しなかった場合、28dB以上32dB未満の範囲の各輝度値について検査回数を1増加させ、32dB以上36dB未満の範囲の各輝度値について検査回数を2増加させ、36dB以上の範囲の各輝度値について検査回数を3増加させてもよい。これは、28dBの指標光に加えて、疑似的に32dBの指標光と36dBの指標光を提示した場合に、当該患者がすべて認識できないことを想定し、疑似的な検査を含む3回の検査に対して、上記した各輝度値についての検査回数を1増加させる操作を行ったことに相当する。
【0049】
図8Bに示す結果が得られた場合、図8Cに示すように、検査点pについて、28dBより小さい輝度値の範囲を認識できるか否かは不明であるので、28dBより小さい輝度値の範囲を認識できるか否かを探索(検査)する必要がある。
【0050】
そこで、上記繰り返しにより、ステップ262で、累積関数(図8B参照)から、検査回数が1未満である輝度値の範囲から、図8Dに示すように、例えば、16dBが抽出され、16dBの輝度値の指標光が提示されたとする。そして、患者が、16dBの輝度値の指標光を認識しなかったとする。この場合、上記理由により、間引き検査部80は、16dBを境界として定まる範囲(16dB以上の範囲)の各輝度値についての検査回数を所定量(例えば、1)増加させる。よって、図8Dに示すように、16dBから28dB未満の輝度値についての検査回数は1となり、28dB以上の範囲の輝度値についての検査回数は2となるように、累積関数が更新される。この場合、図8Eに示すように、16dBより小さい輝度値の範囲を認識できるか否かを探索(検査)する必要がある。
【0051】
そこで、上記繰り返しにより、ステップ262で、累積関数(図8D参照)から、検査回数が1未満である輝度値の範囲から、図8Fに示すように、例えば、4dBが抽出され、4dBの輝度値の指標光が提示されたとする。そして、患者が、4dBの輝度値の指標光を認識したとする。この場合、患者は、4dB未満の輝度値の指標光を認識するはずであるので、図8Fに示すように、間引き検査部80は、4dBを境界として定まる範囲(4dB以下の範囲)の各輝度値についての検査回数を、所定量(例えば、1)増加するように、累積関数を更新する。この場合、図8Gに示すように、4dBより大きく且つ16dBより小さい輝度値の範囲を認識できるか否かを探索(検査)する必要がある。
【0052】
そこで、上記繰り返しにより、ステップ262で、累積関数(図8F参照)から、検査回数が1未満である輝度値の範囲から、図8Hに示すように、例えば、8dBが抽出され、8dBの輝度値の指標光が提示されたとする。そして、患者が、8dBの輝度値の指標光を認識したとする。この場合、患者は、8dB未満の輝度値の指標光を認識するはずであるので、図8Hに示すように、間引き検査部80は、8dBを境界として定まる範囲(8dB以下の範囲)の各輝度値についての検査回数を、所定量(例えば、1)増加するように、累積関数を更新する。よって、8dB以下で4dBより大きい範囲の輝度値についての検査回数は1となり、4dB以下の範囲の輝度値について検査回数は2となる。この場合、図8Iに示すように、8dBより大きく且つ16dBより小さい輝度値の範囲を認識できるか否かを探索(検査)する必要がある。
【0053】
このようにステップ254からステップ270の処理が繰り返されることにより、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲が狭くなる。また、このようにステップ254からステップ270の処理が繰り返されることにより、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲の上限値と下限値が定められ、下に凸形状となる累積関数を作成することができる。
【0054】
以上、図8Aから図8Iを用いて説明した例は、上記のように過去データがない場合の例である。一方、図4のステップ206で、過去データがあると判断された場合には、当該患者IDに対応して検査点集合Pの各検査点について累積関数と視野感度の推定値がある。この場合、図5Aのステップ258の処理が最初に実行されると、ステップ258は肯定判定となり、ステップ262では、上記過去データにおける検査点集合Pの各検査点についての累積関数と視野感度の推定値のいずれか又は両方が用いられる。提示する指標項の輝度値の選択方法は、例えば、累積関数の値が最も小さい輝度値が32dBであって視野感度の推定値が28dBであった場合にこれら平均値である30dBを提示する。
【0055】
ステップ270で、間引き検査部80は、間引き検査終了判定条件を満たすか否かを判断する。
【0056】
ここで、間引き検査終了判定条件とは、検査点集合Pの中の各検査点について、ステップ254からステップ270の処理を所定回数実行したことである。所定回数は、例えば指定されている任意の回数でもよく、例えば3、4,5,6,7,8,9、10回である。また、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲の各輝度値の光を患者の検査点pが認識する確率が所定範囲になった時点で、ステップ254からステップ270の処理を所定回数実行したと判定してもよい。例えば、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲の各輝度値の光を患者の検査点pが認識する確率が、50%内になった場合にステップ254からステップ270の処理を所定回数実行したと判定してもよい。
【0057】
検査点pについてステップ254からステップ270の処理が所定回数実行されていない場合には、間引き検査処理は、ステップ254に戻る。この場合のステップ254では、変数pが1インクリメントされ、検査点集合Pの中の別の検査点について、以上の処理が実行さる。
【0058】
検査点集合Pの中の各検査点についてステップ254からステップ270の処理を所定回数実行した場合には、ステップ270が肯定判定となり、図4のステップ212の間引き検査処理が終了する。視野検査処理は、ステップ214に進む。
【0059】
以上のように、検査点集合Pの中の各検査点について、ステップ254からステップ270の処理を所定回数実行する。よって、本実施の形態では、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲を徐々に狭くし、患者の検査点が所定範囲の確率で認識する輝度値を特定できる。これにより、患者の検査点が所定範囲の確率で認識する輝度値の光を用いて、視野検査を実行することができる。なお、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲を、優先探索領域と言い換えてもよい。探索ステップでは優先探索領域の上限値と下限値が定まるように、優先探索領域の範囲を狭めていくように、探索を進めていってもよい。
【0060】
図7に示すように、検査点集合Pは、●で示された検査点の集合であり、検査がされている。以下、検査点集合Pの各検査点を検査済点という。全検査点集合の中の検査点集合P以外の各検査点は、〇で示されている。以下、全検査点集合の中の検査点集合P以外の各検査点を未検査点という。図7に示すように、未検査点は検査済点の周囲に位置する場合がある。
【0061】
ステップ214で、取得部74は、各検査済点の間引き検査結果を取得する。間引き検査結果には、検査点集合Pの中の各検査点について求められた累積関数と、図9に示すように、検査済点の各検査回での指標光の輝度値(dB)および反応結果とがある。例えば、ある検査済点(検査点x)について以下の輝度値と反応結果が得られている。即ち、1回目の検査では、輝度値は、24(dB)で、反応結果は、No(認識しなかった)が得られている。2回目の検査では、輝度値は、20(dB)で、反応結果は、Noが得られている。3回目の検査では、輝度値は、16(dB)で、反応結果は、Yes(認識した)が得られている。また別の検査済点(x)について以下の輝度値と反応結果が得られている。即ち、1回目の検査では、輝度値は、16(dB)で、反応結果は、Yesが得られている。2回目の検査では、輝度値は、18(dB)で、反応結果は、Yesが得られている。3回目の検査では、輝度値は、20(dB)で、反応結果は、Yesが得られている。4回目の検査では、輝度値は、24(dB)で、反応結果は、Yesが得られている。
【0062】
ステップ216で、推定部82は、検査点集合Pの中の各検査点について得られた累積関数に基づいて、全体の視野感度、即ち、全検査点集合の各検査点について視野感度(推定輝度値)を推定する。
なお、ステップ216は、本開示の技術の「推定工程」および「推定ステップ」の一例である。
【0063】
詳細(図6参照)には後述するが、本実施の形態では、推定部82は、検査点集合Pを含む全検査点集合の各検査点について視野感度(推定輝度値)する。即ち、推定部82は、各検査済点の推定輝度値を推定する。また、推定部82は、確率過程を用いて、各検査済点の推定輝度値から、未検査点の推定輝度値を推定する。更に、本実施の形態では、推定部82は、確率過程を用いて、推定した未検査点の推定輝度値の確からしさを表す信頼度を推定する。
【0064】
ところで、本実施の形態では、推定部82は、未検査点の推定輝度値を数値的に求めている。この場合の確率過程(stochastic process)は、「確率場」(random field)ともいう(https://kotobank.jp/word/%E7%A2%BA%E7%8E%87%E5%A0%B4-1153809)。よって、本実施の形態では、推定部82は、確率過程または確率場を用いて、各検査済点の推定輝度値から、未検査点の推定輝度値を推定し、確率過程または確率場を用いて、推定した未検査点の推定輝度値の上記信頼度を推定する。
【0065】
本実施の形態では、確率過程として、ガウス過程回帰(GPR: Gaussian Process Regression)が用いられる。なお、本開示の技術では、確率過程として、ガウス過程回帰に限定されない。確率過程のその他の例として、t過程回帰などがあげられる。
【0066】
上記のように信頼度は、推定した未検査点の推定輝度値の確からしさを表す数値データである。具体的には、信頼度は、推定した未検査点の推定輝度値の値を中心とした、未検査点の視野感度の取り得る範囲を示した数値データである。
【0067】
なお、各検査済点は、本開示の技術の「第1検査点」の一例である。各未検査点は、本開示の技術の「第2検査点」の一例である。
【0068】
図6には、図4のステップ216の全体の視野感度を推定する処理のフローチャートが示されている。図6に示すように、ステップ301で、推定部82は、各検査済点の推定輝度値を算出する。具体的には、まず、推定部82は、各検査済点の推定輝度値(視野感度)を算出するため、図10に示す、輝度値に対するその輝度値の指標光を患者の被検眼12の視神経の検査点が認識する確率fa,b(θ)の関係を示す輝度値-正答率曲線を用いる。輝度値-正答率曲線は以下の式により規定される。
【0069】
【数1】

【0070】
aは0より大きい定数である。bは、R(Rは実数全体の集合である)に含まれる値である。つまり、
【0071】
【数2】

【0072】
である。
【0073】
θは、検査点における各検査で用いた輝度値である。
【0074】
推定部82は、上記曲線を示す式を用いて、各検査済点の尤度L(a,b)を以下の式から求める。より具体的に説明すると、例えば、ある検査済点において1回目の検査では、輝度値が20dBであり、患者の反応が認識した(Yes)の場合には、推定部82は、確率fa,b(20)を用いる。2回目の検査では、輝度値が24dBであり、患者の反応が認識しなかった(No)の場合には、推定部82は、(1-fa,b(24)を用いる。3回目の検査では、輝度値が16dBであり、患者の反応が認識した(Yes)の場合には、推定部82は、確率fa,b(16)を用いる。推定部82は、検査済点毎に、以上のように全ての検査の結果に応じた値の積を用い、尤度(a,b)が最大となる b を求める。
【0075】
【数3】

【0076】
求めたbを用いて、各検査済点の尤度L(a,b)を、各検査済点の推定輝度値として、算出する。これにより、例えば、図11に示すように、検査済点(x)では、推定輝度値として、21dBが算出され、検査済点(x)では、推定輝度値として、19.6dBが算出され、検査済点(x)では、推定輝度値として、31.5dBが算出される。
【0077】
ステップ303で、推定部82は、ガウス過程回帰を用いて、検査されなかった各未検査点の推定輝度値を算出する。具体的には、推定部82は、各未検査点について、各検査済点の推定輝度値を用いて、以下の式から、推定輝度値E[X(x*)|D]を算出する。
【0078】
【数4】

【0079】
【数4】

【0080】
【数5】

【0081】
【数6】

【0082】
数4のk*および数5のKのK(x,x’)は、以下のGaussian RBFカーネル(Radial basis function kernel)である。
【0083】
【数7】

【0084】
K(x、x')のxは、各x、x、...XNを示し、x、x、...Xの各々は、検査済点の位置のXY座標である。
【0085】
K(x、x')のx’は、各未検査点x*のXY座標である。
【0086】
のy1、y2、...YNは、各検査済点の推定輝度値である。
【0087】
以上のように求められる各未検査点の推定輝度値E[X(x*)|D]は、各未検査点の、各検査済点の推定輝度値から推定される輝度値の平均的な値である。
【0088】
ステップ305で、推定部82は、ガウス過程回帰を用いて、検査されなかった各未検査点の推定輝度値の信頼度として、以下の式から分散V[X(x*)|D]を算出する。
【0089】
【数8】

【0090】
k**は、
【数9】


である。
【0091】
ステップ305の処理が終了すると、図4のステップ216の処理が終了する。
【0092】
図12には、検査点(未検査点と検査済点とを含む)と、各検査点の推定輝度値との関係を示す図である。図4のステップ216の処理が終了すると、例えば、図12に示すように、各検査済点(x、x、x、...)の推定輝度値が求められ、未検査点(x、x、x、x、x、...)の推定輝度値およびその信頼度が求められる。
【0093】
図12に示すように、例えば、未検査点(x)は、検査済点(x、x)に隣接し、検査済点(x、x)に比較的近い。しかし、未検査点(x)は、検査済点(x5)から比較的遠い。よって、未検査点(x)の推定輝度値の信頼度の値は比較的小さいが、未検査点(x)の推定輝度値の信頼度の値は比較的大きい。
【0094】
ステップ216では、推定部82は、例えば、図12に示すように、各検査済点および各未検査点の各々の推定輝度値と、各未検査点の推定輝度値の信頼度とを、入力/表示部50に表示する。
【0095】
このように本実施形態においては、間引き検査した検査点の結果を用いて、未検査点の輝度値と輝度値の信頼度の両方を推定することができる。本実施形態により、検査を行うオペレータは、未検査点の推定輝度値データを得られるだけではなく、得られた信頼度から未検査点の推定輝度値がどれだけ確からしいのかを判断することができる。また、本実施形態においては、検査点集合のうち一部の検査点のみを実際に検査することで、未検査点の感度と信頼度の推定を行うことができるため、検査時間の短縮をはかることができる。
【0096】
図4のステップ216の処理が終了すると、視野検査処理は、ステップ218に進む。ステップ218で、判定部84は、未検査点について検査を追加する必要があるか否かを判定するための判定条件を満足したか否かを判断する。判定条件を満足すると判断された場合には、視野検査処理はステップ220に進み、判定条件を満足しないと判断された場合には、視野検査処理はステップ226に進む。
【0097】
ここで、判定条件には、第1に、制御装置10が自動的に判断する条件と、オペレータにより、検査を追加する必要がある未検査点が指定されたことを条件とする場合とがある。
【0098】
制御装置10が自動的に判断する条件とは、例えば、第1に、信頼度が所定値以上である未検査点が存在することである。信頼度が所定値以上である未検査点が存在する場合、当該未検査点の推定輝度値の信頼性は低いと判断されるため、当該未検査点を検査する必要があると判断される。これにより、判定条件を満足すると判断される。第2に、推定輝度値が所定値(dB)、例えば、22dB未満の未検査点があることである。推定輝度値が所定値(dB)未満の未検査点では、比較的明るい指標光が照射されなければ、当該未検査点は、当該指標光を認識することができないので、当該未検査点に何らかの異常があると判断される。これにより、判定条件を満足すると判断される。
【0099】
オペレータにより、検査を追加する必要がある未検査点が指定されたことを条件とする場合とは次の通りである。上記のように、例えば、図12に示すように、各検査済点および各未検査点の各々の推定輝度値と、各未検査点の推定輝度値の信頼度とが表示され、オペレータは、信頼度が所定値以上の未検査点および推定輝度値が所定値(dB)未満の未検査点があると判断すると、検査を追加する必要がある未検査点を、入力/表示部50の表示画面で指定する。これにより、判定条件を満足すると判断される。
【0100】
以上のように、未検査点であって、追加検査が必要と判断された未検査点を、以下、追加検査点という。追加検査点は、本開示の技術の「第3検査点」の一例である。
【0101】
ステップ220で、追加検査部86は、追加検査点について追加検査処理を実行する。
ステップ220の処理は、本開示の技術の「追加検査工程」の一例である。
【0102】
図5Bには、図4のステップ220の追加検査処理のフローチャートが示されている。図5Bに示すように、ステップ282で、追加検査部86は、追加検査する追加検査点の集合Qを選定し、集合Qの各追加検査点に対し、検査に用いる初期輝度値を決定する。初期輝度値は、例えば、追加検査点の推定輝度値より所定値だけ大きい値(dB)である。
【0103】
ステップ284で、追加検査部86は、追加検査点の集合Qの各追加検査点を識別する変数qをゼロにセットし、変数qを1インクリメントする。こにより、追加検査点の集合Q変数qで識別される追加検査点が選択される。
【0104】
ステップ286で、追加検査部86は、追加検査点の集合Qの各追加検査点の累積関数から、各輝度値についての検査回数を取得する。
【0105】
ステップ288で、追加検査部86は、変数qで識別される追加検査点qの累積検査回数が1以上か否かを判断する。また、変数qで識別される追加検査点qの各輝度値についての検査回数が1以上か否かを判断する。ステップ284から300が繰り返し実行されることにより、追加検査点について累積関数が更新され、検査回数は1以上と判断される。
【0106】
ステップ288が最初に実行された場合、ステップ288は否定判定となり、ステップ290で、追加検査部86は、先に決めた初期輝度値を患者に提示する。なお、ステップ290の処理の内容は、追加検査点について実行する点は異なるが、具体的な処理内容は、図5Aのステップ260と同様であるので、その説明を省略する。
【0107】
ステップ284から300が繰り返し実行され、ステップ288が2回以上実行される場合、ステップ288は肯定判定となり、ステップ292で、追加検査部86は、累積関数に基づいて提示する輝度値を抽出する。追加検査部86は、抽出した輝度値の指標光を患者の被検眼の追加検査点qに提示する。なお、ステップ292の処理の内容は、追加検査点について実行する点は異なるが、具体的な処理内容は、図5Aのステップ262と同様であるので、その説明を省略する。
【0108】
追加検査部86は、ステップ294で、患者の反応を取得し、ステップ296で、検査結果を保存し、ステップ298で、累積関数を更新し、ステップ300で、追加検査終了判定条件を満たすか否かを判断する。なお、ステップ294から300の処理の内容は、図5Aのステップ264からステップ270の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0109】
本実施の形態では、追加検査点の集合Qの中の各追加検査点について、ステップ284からステップ300の処理を所定回数(図5Aのステップ270の所定回数と同じ)実行する。よって、本実施の形態では、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲を徐々に狭くし、視野検査を、患者の検査点が所定範囲の確率で認識する輝度値の光を用いて、実行することができる。
【0110】
ステップ300が肯定判定となると、図4のステップ220の処理が終了し、ステップ224で、取得部74は、追加検査結果を取得する。追加検査結果には、追加検査点の集合Qの中の各追加検査点について求められた累積関数と、図13に示すように、追加検査点の各検査回での指標光の輝度値(dB)および反応結果とがある。例えば、ある追加検査点(検査点x)について以下の輝度値と反応結果が得られている。即ち、1回目の検査では、輝度値は、24(dB)で、反応結果は、Noが得られている。2回目の検査では、輝度値は、20(dB)で、反応結果は、Noが得られている。3回目の検査では、輝度値は、18(dB)で、反応結果は、Yesが得られている。また別の検査済点(x)について以下の輝度値と反応結果が得られている。即ち、1回目の検査では、輝度値は、34(dB)で、反応結果は、Noが得られている。2回目の検査では、輝度値は、28(dB)で、反応結果は、Yesが得られている。3回目の検査では、輝度値は、30(dB)で、反応結果は、Yesが得られている。4回目の検査では、輝度値は、32(dB)で、反応結果は、Yesが得られている。
【0111】
ステップ216で、推定部82は、追加検査点の集合Qの中の各検査点および検査点集合Pの中の各検査点について得られた累積関数に基づいて、全体の視野感度、即ち、全検査点集合の各検査点について推定輝度値を推定する。
【0112】
具体的には、推定部82は、全検査点集合の中の、各検査済点および各追加検査点の推定輝度値を推定する。推定部82は、全検査点集合の中の、各検査済点および各追加検査点以外の未検査点の推定輝度値と当該推定輝度値の信頼度とを推定する。
【0113】
なお、全検査点集合の中の、各検査済点および各追加検査点以外の未検査点は、本開示の技術の「第4検査点」の一例である。
【0114】
ステップ220およびステップ224の処理を経て、ステップ216の処理が再度実施される場合の当該ステップ216の処理の内容は、ステップ216の処理が最初に実施される場合の処理内容と略同様であるので、以下、異なる部分を主として説明する。
なお、ステップ220およびステップ224の処理を経て、ステップ216の処理が再度実施される場合の当該処理は、本開示の技術の「追加推定工程」の一例である。
【0115】
図6のステップ301で、推定部82は、各検査済点の推定輝度値を算出する。具体的には、上記説明した処理と同様であるが、推定部82は、各追加検査点の対数尤度l(a,b)=logL(a,b)を算出する。
【0116】
また、ステップ303のYDのy1、y2、...YNは、各検査済点と各追加検査点との各々の推定輝度値である。
【0117】
以上により、例えば、図14に示すように、追加検査点(x)では、推定輝度値として、22dBが算出され、追加検査点(x)では、推定輝度値として、30dBが算出される。
【0118】
以上の処理によりステップ216の処理が終了し、ステップ218で、判定部84は、上記のように判定条件を満足したか否かを判断する。判定条件を満足すると判断された場合には、視野検査処理はステップ220に進み、判定条件を満足しないと判断された場合には、視野検査処理はステップ226に進む。
【0119】
ステップ226で、保存部88は、各検査済点と、実行されていれば各追加検査点との各々の累積関数を、外部記憶装置40に保存し、ステップ228で、保存部88は、全検査点集合の各検査点の推定輝度値および未検査点の推定輝度値の信頼度を、外部記憶装置40に保存する。ステップ226では、保存部88は、各検査済点と実行されていれば各追加検査点との各々の累積関数、全検査点集合の各検査点の推定輝度値、および未検査点の推定輝度値の信頼度を、患者IDに対応して、サーバ140に送信する。サーバ140は、サーバ140の外部記憶装置に、患者IDに対応して、各検査済点と実行されていれば各追加検査点との各々の累積関数、全検査点集合の各検査点の推定輝度値、および未検査点の推定輝度値の信頼度を、記憶する。
【0120】
ステップ230で、可視化部92は、各検査済点と実行されていれば各追加検査点との各々の累積関数、全検査点集合の各検査点の推定輝度値、および未検査点の推定輝度値の信頼度を可視化するための画面データを作成する。
ステップ230の処理は、本開示の技術の「生成工程」の一例である。
【0121】
具体的には、画面データとしては、第1に、図15Aに示すように、全検査点集合の各検査点の推定輝度値を示すグラフがある。
【0122】
第2に、図15Bに示すように、全検査点集合の各検査点の推定輝度値を示すグラフに、未検査点における推定輝度値の信頼度を、当該視野感度を中心として、追加したグラフである。
【0123】
第3に、図16に示すように、視野感度マップである。視野感度マップは、視野感度分布の表示方法の一例である。視野感度マップは、検査点集合に含まれる複数の検査点の視野感度データの分布を表示したものである。視野感度マップは検査点集合全体について生成してもよく、検査点集合の一部について生成してもよい。なお、視野感度マップには、信頼度のデータも含まれる。具体的には、図16に示すように、視野感度マップ510Mは、被検眼12の眼底を模擬した画像に、視野感度が所定値(dB)未満の検査点に、※が付されたマップの画面のデータである。また、視野感度マップ510Mは、信頼度が所定値以上の検査点の範囲510を点線で表示可能な画面データである。また、例えば、全検査点集合の各検査点の中で、未検査点については、検査済点および追加検査点の色とは異なる色で表示し、例えば、未検査点にカーソルが位置した場合、未検査点の推定輝度値の信頼度を表示可能な画面のデータでもよい。
【0124】
以上のように、本実施の形態では、検査点集合Pの中の各検査点(図7の●参照)について、ステップ254からステップ270の処理を所定回数実行する。よって、本実施の形態では、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲を徐々に狭くし、視野検査を、患者の検査点が所定範囲の確率で認識する輝度値の光を用いて、実行することができる。従って、本実施の形態では、視野検査を短時間に実行することができる、という効果を有する。以上を図17Aから図18Cを参照して説明する。図17Aから図18Cの各々では、横軸は、検査回数、縦軸は、感度の正しい値と、推定される感度との差である。縦軸の0が精度よく推定できることを意味する。
なお、本開示の技術は、探索(検査)する必要のある輝度値の範囲を徐々に狭くしているが、累積関数を用いずに、ランダムに輝度値を選択して、視野検査してもよい。
【0125】
図17Aから図17Cには、被検眼の眼底の視神経の異なる3点における、ランダムに光強度を選択した際に、視野検査の結果に十分な精度を担保するための必要な検査回数を示されている。図18Aから図18Cには、被検眼の眼底の視神経の異なる3点における、本実施の形態の方法を適用した際の、十分な精度を担保するための必要な検査回数が示されている。
【0126】
ランダムに輝度値を選択する場合(図17Aから図17C)では、70から80回の検査が必要であるのに対し、本実施の形態(図18Aから図18C)の方法で輝度値を選択すると3から15回の検査で十分である。よって、本実施の形態の方法によれば、検査回数削減に寄与すること理解できる。
【0127】
図19に示すような、未検査点の推定輝度値を線形補間する方法である場合には、補間値の信頼度は考慮されていない。例えば、2つの未検査点の推定輝度値を直線で結ぶことで補間したり、スプライン法(多項式を用いて補間)したりする方法である場合には、補間値の信頼度は考慮されない。
【0128】
これに対し、本実施の形態では、未検査点の推定輝度値と共に、推定輝度値の信頼度も推定している。具体的には、図20には、横軸に、各検査点、縦軸に、各検査点の対応する推定輝度値が示されている。点線が正しい値の線であり、実線は推定輝度値の線であり、信頼度が、推定輝度値を中心に幅として示されている。図20に示すように、信頼度が示されているので、本実施の形態によれば、推定輝度値の確からしさをオペレータに認識させることができる。
【0129】
以上説明した実施の形態では、確率過程として、ガウス過程回帰が用いられ、Gaussian RBFカーネルが用いられている。本開示の技術では、確率過程として、ガウス過程回帰に限定されず、例えば、以下の多項式カーネルを用いてもよい。
【0130】
【数9】

【0131】
また、以下のMaternカーネルを用いてもよい。
(x、x')は上記の通りである。cは、実数である。pは、正の整数である。
【0132】
【数10】

【0133】
(x、x')は上記の通りである。Kvは、第二種変形ベッセル関数である。vは、実数である。Γ(v)は、ガンマ関数である。
【0134】
本実施の形態の図4のステップ216では、推定部82は、未検査点の推定輝度値を推定し、推定した未検査点の推定輝度値の信頼度を推定する。本開示の技術はこれに限定されない。推定部82は、各検査済点の推定輝度値から、各未検査点の推定輝度値の取り得る値の範囲を計算し、計算した範囲の中の値(例えば、中央の値)を、各未検査点の推定輝度値として計算してもよい。
【0135】
上記の各確率過程は、全検査点集合の各検査点について同じであるが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、眼底の中心を含む所定範囲の中心領域と、中心領域の周辺の周辺領域とで、異なる確率過程を用いるようにしてもよい。
【0136】
また、推定輝度値が補間される未検査点は、指標光が被検眼12の瞳孔を介して到達する範囲に位置するが、当該到達する範囲に隣接する範囲、即ち、指標光が到達しない、つまり、視野検査できない位置の点についても、推定輝度値を推定してもよい。
【0137】
以上説明した各例では、コンピュータを利用したソフトウェア構成により視野検査処理が実現される場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア構成のみによって、画像処理が実行されるようにしてもよい。画像処理のうちの一部の処理がソフトウェア構成により実行され、残りの処理がハードウェア構成によって実行されるようにしてもよい。
【0138】
このように本開示の技術は、コンピュータを利用したソフトウェア構成により視野検査処理が実現される場合とされない場合とを含むので、以下の技術を含む。
【0139】
(第1の技術)
複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査部と、
前記第1検査点の感度に基づいて、前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定部と、
を備える視野検査装置。
【0140】
(第2の技術)
検査部が、第複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査工程と、
推定部が、前記第1検査点の感度に基づいて、前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定工程と、
を備える視野検査方法。
【0141】
以上の開示内容から以下の技術が提案される。
(第3の技術)
視野検査するためのコンピュータープログラム製品であって、
前記コンピュータープログラム製品は、それ自体が一時的な信号ではないコンピュータ可読記憶媒体を備え、
前記コンピュータ可読記憶媒体には、プログラムが格納されており、
前記プログラムは、
コンピュータに、
複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査ステップと、
前記第1検査点の感度に基づいて、前記第1検査点とは異なる第2検査点の感度と前記第2検査点の感度の信頼度とを推定する推定ステップと、
を実行させる、コンピュータープログラム製品。
なお、制御装置10は、本開示の技術の「コンピュータープログラム製品」の一例である。
【0142】
以上説明した視野検査処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。また、本明細書で開示された技術は、被検眼を検査する方法であって、前記被検眼の網膜上に設定された検査点に対して複数の光強度で光を照射して、前記網膜の前記検査点における感度を検出するステップと、検出された前記検査点における感度に基づいて、前記検査点以外の部位における感度を推定するステップと、前記推定された感度の信頼性を評価するステップと、を含む方法を含む。
【0143】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的にかつ個々に記載された場合と同様に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0144】
110 視野計
10 制御装置
12 CPU
14 ROM
72 表示処理部
74 取得部
76 判断部
78 読み込み部
80 検査部
82 推定部
84 判定部
86 追加検査部
88 保存部
90 算出部
92 可視化部
510M 視野感度マップ

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査工程と、
確率過程を用いて、複数の前記第1検査点の感度から第2検査点が取り得る感度の範囲を推定する推定工程と、
を含む視野検査方法。
【請求項2】
前記推定工程は、さらに前記第2検査点の感度を推定する、請求項1に記載の視野検査方法。
【請求項3】
前記第2検査点は、前記第1検査点の周囲に位置する点である、請求項1または請求項2に記載の視野検査方法。
【請求項4】
前記第1検査点の感度と前記第2検査点の感度とを用いて、視野感度マップを生成する生成工程をさらに含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の視野検査方法。
【請求項5】
前記視野感度マップには前記第2検査点が取り得る感度の範囲も含まれることを特徴とする、請求項4に記載の視野検査方法。
【請求項6】
前記確率過程は、ガウス過程である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の視野検査方法。
【請求項7】
前記第2検査点の前記感度及び前記第2検査点が取り得る感度の範囲の少なくとも一方に基づいて、前記検査点集合の中から選択された、前記第1検査点以外の検査点である第3検査点について感度を検査する追加検査工程と、
前記第1検査点の感度及び前記第3検査点の感度に基づいて、前記第1検査点及び前記第3検査点とは異なる第4検査点が取り得る感度の範囲を推定する追加推定工程と、
を更に含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の視野検査方法。
【請求項8】
メモリと、
前記メモリに接続するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査ステップと、
確率過程を用いて、複数の前記第1検査点の感度から第2検査点が取り得る感度の範囲を推定する推定ステップと、
を行う、視野検査装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、さらに、前記検査点集合から前記第1検査点を選択するステップと、
前記第1検査点に提示する指標の輝度を決定するステップと、を行う、請求項8に記載の視野検査装置。
【請求項10】
前記第1検査点について、前記輝度の指標を提示する提示部と、
前記指標に対する被検者の反応を取得する検出部と、
をさらに備える、請求項9に記載の視野検査装置。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の検査点の検査点集合の中から選択された第1検査点について感度を検査する検査ステップと、
確率過程を用いて、複数の前記第1検査点の感度から第2検査点が取り得る感度の範囲を推定する推定ステップと、
を実行させるプログラム。