(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081036
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】光源ユニット及び映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240610BHJP
G02B 27/28 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B27/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194460
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】北原 和
(72)【発明者】
【氏名】有賀 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】秋元 肇
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199AB12
2H199AB29
2H199AB42
2H199AB47
2H199AB70
2H199DA03
2H199DA15
2H199DA20
2H199DA23
2H199DA30
2H199DA34
2H199DA35
(57)【要約】
【課題】高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供する。
【解決手段】光源ユニットは、画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置から出射した光が入射され、第1偏光を透過させ、第2偏光を反射する反射型偏光素子と、前記反射型偏光素子を透過した光を前記反射型偏光素子に向けて反射する反射部材と、前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子を透過し、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子によって反射される光の光路における前記反射型偏光素子と前記反射部材との間の部分に介在する波長板と、を備える。前記波長板の法線は、前記光路における前記反射型偏光素子から前記反射部材に向かう途中で前記波長板を透過する方向に対して傾斜している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射され、第1偏光を透過させ、第2偏光を反射する反射型偏光素子と、
前記反射型偏光素子を透過した光を前記反射型偏光素子に向けて反射する反射部材と、
前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子を透過し、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子によって反射される光の光路における前記反射型偏光素子と前記反射部材との間の部分に介在する波長板と、
を備え、
前記波長板の法線は、前記光路における前記反射型偏光素子から前記反射部材に向かう途中で前記波長板を透過する方向に対して傾斜している光源ユニット。
【請求項2】
前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子を透過し、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子によって反射された光は、前記画像に応じた第1の像を形成し、
前記反射型偏光素子、前記反射部材及び前記波長板を含む結像光学系は、前記第1の像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光は略ランバーシアン配光を有する請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記波長板の法線は、前記表示装置から出射し前記反射型偏光素子を透過し前記波長板によって反射された光が前記反射型偏光素子に入射しないように、前記方向に対して傾斜している請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項4】
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射され、第1偏光を反射し、第2偏光を透過させる反射型偏光素子と、
前記反射型偏光素子によって反射された光を前記反射型偏光素子に向けて反射する反射部材と、
前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子によって反射され、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子を透過する光の光路における前記反射型偏光素子と前記反射部材との間の部分に介在する波長板と、
を備え、
前記波長板の法線は、前記光路における前記反射型偏光素子から前記反射部材に向かう途中で前記波長板を透過する方向に対して傾斜している光源ユニット。
【請求項5】
前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子によって反射され、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子を透過した光は、前記画像に応じた第1の像を形成し、
前記反射型偏光素子、前記反射部材及び前記波長板を含む結像光学系は、前記第1の像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光は略ランバーシアン配光を有する請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記波長板の法線は、前記表示装置から出射し前記反射型偏光素子によって反射され前記波長板によって反射された光が前記反射型偏光素子に入射しないように、前記方向に対して傾斜している請求項4に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記表示装置から出射する光は、前記表示装置から出射する光の光軸に対して角度θの方向の光度が前記光軸上の光度のcosnθ倍で近似される配光パターンを有し、
前記nは0より大きい値である請求項2または5に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記nは11以下である請求項7に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記表示装置は、複数のLED素子を有するLEDディスプレイである請求項1または4に記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記LED素子から出射する光は略ランバーシアン配光を有する請求項9に記載の光源ユニット。
【請求項11】
前記波長板はλ/4板である請求項1または4に記載の光源ユニット。
【請求項12】
前記反射型偏光素子の形状は長方形の板状であり、
前記波長板の法線は、前記方向に対して、前記反射型偏光素子の短辺が延びる方向に傾斜しており、
前記波長板の法線と前記方向とのなす角度をθ0とし、前記方向に直交した方向における前記反射型偏光素子の短辺の長さをHとし、前記光路における前記反射型偏光素子との交点と前記波長板との交点との距離をDとしたとき、前記角度は下記数式で規定される請求項1または4に記載の光源ユニット。
θ0≧0.5×atan(H/2D)
【請求項13】
請求項2に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記第1の像は前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成され、
前記反射ユニットによって反射された光が、視認者のアイボックスと対向する位置に配置された反射面によって反射され、前記アイボックスに入射することにより、前記視認者は前記画像に応じた第2の像を視認可能である映像表示装置。
【請求項14】
前記波長板の法線は、前記表示装置から出射し前記反射型偏光素子を透過し前記波長板によって反射された光が前記アイボックスに入射しないように、前記方向に対して傾斜している請求項13に記載の映像表示装置。
【請求項15】
請求項5に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記第1の像は前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成され、
前記反射ユニットによって反射された光が、視認者のアイボックスと対向する位置に配置された反射面によって反射され、前記アイボックスに入射することにより、前記視認者は前記画像に応じた第2の像を視認可能である映像表示装置。
【請求項16】
前記波長板の法線は、前記表示装置から出射し前記反射型偏光素子によって反射され前記波長板によって反射された光が前記アイボックスに入射しないように、前記方向に対して傾斜している請求項15に記載の映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、光源ユニット及び映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像を表示可能な表示装置から出射した光を、複数のミラーで順次反射し、最後のミラーにおいて反射された光を、ウインドシールド等の反射部材で使用者に向けてさらに反射し、使用者に表示装置が表示する画像に応じた虚像を視認させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置から出射した光が入射され、第1偏光を透過させ、第2偏光を反射する反射型偏光素子と、前記反射型偏光素子を透過した光を前記反射型偏光素子に向けて反射する反射部材と、前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子を透過し、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子によって反射される光の光路における前記反射型偏光素子と前記反射部材との間の部分に介在する波長板と、を備える。前記波長板の法線は、前記光路における前記反射型偏光素子から前記反射部材に向かう途中で前記波長板を透過する方向に対して傾斜している。
【0006】
本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置から出射した光が入射され、第1偏光を反射し、第2偏光を透過させる反射型偏光素子と、前記反射型偏光素子によって反射された光を前記反射型偏光素子に向けて反射する反射部材と、前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子によって反射され、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子を透過する光の光路における前記反射型偏光素子と前記反射部材との間の部分に介在する波長板と、を備える。前記波長板の法線は、前記光路における前記反射型偏光素子から前記反射部材に向かう途中で前記波長板を透過する方向に対して傾斜している。
【0007】
本発明の一実施形態に係る映像表示装置は、前記光源ユニットと、前記光源ユニットから出射した光を反射する反射ユニットと、を備える。前記第1の像は前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成される。前記反射ユニットによって反射された光が、視認者のアイボックスと対向する位置に配置された反射面によって反射され、前記アイボックスに入射することにより、前記視認者は前記画像に応じた第2の像を視認可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る映像表示装置を示す端面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る光源ユニットを示す端面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を示す端面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る映像表示装置の反射型偏光素子を示す斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施形態に係る光源ユニットの原理を示す模式図である。
【
図5B】
図5Bは、参考例に係る光源ユニットの原理を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施例1及び11、参考例並びにLCDにおいて、1つの発光エリアから出射する光の配光パターンを示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施例1~12及び参考例における第2の像の輝度の均一性を示すグラフである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る光源ユニットを示す端面図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態において光が波長板に入射する場合を示す模式図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る光源ユニットを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態に係る光源ユニットを示す上面図である。
【
図12】
図12は、第3の実施形態に係る光源ユニットを示す側面図である。
【
図13】
図13は、第4の実施形態に係る光源ユニットを示す上面図である。
【
図14】
図14は、第4の実施形態に係る光源ユニットを示す背面図である。
【
図15】
図15は、第4の実施形態に係る光源ユニットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、適宜簡略化または強調されている。例えば、各部分のアスペクト比、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
(全体構成と動作)
図1は、本実施形態に係る映像表示装置を示す端面図である。
図2は、本実施形態に係る光源ユニットを示す端面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る映像表示装置1は、例えば自動車100の車両101に搭載されて、HUD(Head Up Display)を構成する。自動車100は、車両101と、車両101に搭載された映像表示装置1と、を備える。視認者200は自動車100の搭乗者であり、例えば、運転者である。視認者200のアイボックス201は、視認者200の眼の前の空間のうち、後述する虚像を視認可能な範囲をいう。視認者200は偏光サングラス202を装着していてもよい。
【0013】
映像表示装置1は、光源ユニット10と、反射ユニット20と、を備える。反射ユニット20は、光源ユニット10から離隔し、光源ユニット10から出射した光L0を反射する。例えば、光源ユニット10は、車両101の車内の天井板102の上方に配置されている。光源ユニット10から出射した光L0は、天井板102の穴103を介して、反射ユニット20に入射する。反射ユニット20は、車両101のフロントウインドシールド104の下方であって車内に露出している部分、例えば、ダッシュボード105付近に配置されている。
【0014】
光源ユニット10は、表示装置11と、反射型偏光素子12と、反射部材13と、波長板14と、を備える。表示装置11は画像IM0を表示可能である。表示装置11は、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)素子を有するLEDディスプレイである。反射型偏光素子12は、表示装置11から出射した光が入射され、第1偏光を透過させ、第2偏光を反射する。例えば、第1偏光はP偏光であり、第2偏光はS偏光である。但し、第1偏光がS偏光であり、第2偏光がP偏光であってもよい。反射型偏光素子12が透過させる偏光の方向は、視認者200が偏光サングラス202を装着している場合に、偏光サングラス202を透過するように設定される。反射部材13は、反射型偏光素子12を透過した光(第1偏光)を反射型偏光素子12に向けて反射する。
【0015】
なお、偏光の方向は、例えば、光L0がフロントウインドシールド104に入射する際の入射面を基準として定義することができる。入射面とは、フロントウインドシールド104の内面(反射面104a)に対して垂直であり、且つ、光L0の光路LPを含む平面である。電界が入射面内で振動する偏光を「P偏光」とし、電界が入射面に対して垂直に振動する偏光を「S偏光」とする。視認者200が偏光サングラス202を着用することを前提とした場合、S偏光よりもP偏光の方が偏光サングラス202を透過しやすいため、反射型偏光素子12が透過させる第1偏光はP偏光とする。これにより、P偏光の虚像を表示できる。一方、虚像の輝度を確保したい場合は、P偏光よりもS偏光の方がフロントウインドシールド104の反射面104aにおいて反射されやすいため、第1偏光をS偏光とする。これにより、S偏光の虚像を表示できる。
【0016】
波長板14は、表示装置11から出射し、反射型偏光素子12を透過し、反射部材13によって反射され、反射型偏光素子12によって反射される光L0の光路LPにおける反射型偏光素子12と反射部材13との間の部分に介在する。波長板14は、例えば、λ/4板である。λ/4板は、入射光の電界振動方向にπ/2、すなわち、λ/4の位相差を付与する。
【0017】
反射型偏光素子12を透過した光は、反射部材13によって反射されて反射型偏光素子12に再度入射するまでの過程で、波長板14を2回通過する。これにより、光L0にはλ/2の位相差が付与されて、第1偏光から第2偏光に変化する。この結果、光L0は反射型偏光素子12によって反射されるようになる。光路LPに沿って進行し、反射型偏光素子12によって反射された光は、光源ユニット10から出射する。
【0018】
反射ユニット20は、光源ユニット10から出射した光L0を反射する。反射ユニット20によって反射された光L0は、視認者200のアイボックス201と対向する位置に配置された反射面104aによって反射され、アイボックス201に入射する。反射面104aは、例えば、自動車100のフロントウインドシールド104の内面である。
【0019】
表示装置11から出射し、反射型偏光素子12を透過し、波長板14を経由して反射部材13によって反射され、反射型偏光素子12によって反射され光L0は、光源ユニット10と反射ユニット20との間の位置Pにおいて、画像IM0に応じた第1の像IM1を形成する。第1の像IM1は、実像であって中間像である。第1の像IM1が形成される条件については、後述する。
【0020】
光源ユニット10から出射し、反射ユニット20によって反射され、反射面104aによって反射された光L0が、視認者200のアイボックス201に入射することにより、視認者200は画像IM0に応じた第2の像IM2を視認可能である。第2の像IM2は虚像である。視認者200はフロントウインドシールド104の向こう側に第2の像IM2を視認する。
【0021】
図2に示すように、波長板14の反射部材13側の表面の法線14Nは、光路LPにおける反射型偏光素子12から反射部材13に向かう途中で波長板14を透過する方向LPDに対して傾斜している。以下、波長板14の法線14Nと方向LPDとのなす角度を「角度θ
0」とする。波長板14の法線14Nは、表示装置11から出射し反射型偏光素子12を透過し波長板14によって反射された光L1が、アイボックス201に入射しないように、方向LPDに対して傾斜している。光L1は第1偏光であるため、光L1が反射型偏光素子12に入射した場合は、光L1の大部分が反射型偏光素子12を透過するが、一部が反射型偏光素子12によって反射される。
【0022】
すなわち、本実施形態に係る映像表示装置1は、光路LPに沿って進行し波長板14を2回透過した光L0はアイボックス201に入射するように構成されているが、反射型偏光素子12を透過した後、波長板14によって反射され、反射部材13に入射しなかった光L1はアイボックス201に入射しないように構成されている。
【0023】
後述する第2の実施形態において詳細に説明するように、波長板14によって反射された光L1は、そもそも反射型偏光素子12に入射しないことが好ましい。但し、光L1は、反射型偏光素子12に入射して反射型偏光素子12によって反射されても、反射ユニット20に入射しなければよい。また、光L1は反射ユニット20に入射してもフロントウインドシールド104の反射面104aに入射しなければよい。さらに、光L1は反射面104aに入射して反射面104aによって反射されても、アイボックス201に入射しなければよい。換言すれば、波長板14の法線14Nは、光L1がアイボックス201に入射しない程度に方向LPDに対して傾斜していればよく、光L1が反射面104aに入射しない程度に傾斜していることが好ましく、光L1が反射ユニット20に入射しない程度に傾斜していることがより好ましく、光L1が反射型偏光素子12に入射しない程度に傾斜していることがより一層好ましい。
【0024】
次に、映像表示装置1の各部の構成について詳細に説明する。
以下、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を採用する。本実施形態では、車両101の前後方向を「X方向」とし、車両101の左右方向を「Y方向」とし、車両101の上下方向を「Z方向」とする。XY平面は、車両101の水平面である。X方向のうち矢印の方向(前方)を「+X方向」といい、その逆方向(後方)を「-X方向」ともいう。また、Y方向のうち矢印の方向(左方)を「+Y方向」といい、その逆方向(右方)を「-Y方向」ともいう。また、Z方向のうち矢印の方向(上方)を「+Z方向」といい、その逆方向(下方)を「-Z方向」ともいう。
【0025】
(表示装置)
図3は、本実施形態に係る映像表示装置の表示装置を示す端面図である。
図1に示すように、表示装置11は概ね+X方向に向けて光を出射する。この光は画像IM0を構成する。
【0026】
表示装置11においては、
図3に示すようなLED素子112が行列状に複数配列されている。表示装置11の各画素11pには、1つ又は複数のLED素子112が対応している。
【0027】
表示装置11において、各LED素子112は、基板111にフェースダウン実装されている。ただし、各LED素子は、基板にフェースアップ実装されていてもよい。各LED素子112は、半導体積層体112aと、アノード電極112bと、カソード電極112cと、を有する。また、表示装置11は回路素子を有する回路基板上に半導体積層体を直接結晶成長させることでLED素子112を形成してもよい。
【0028】
半導体積層体112aは、p型半導体層112p1と、p型半導体層112p1上に配置される活性層112p2と、活性層112p2上に配置されるn型半導体層112p3と、を有する。半導体積層体112aには、例えばInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表せる窒化ガリウム系化合物半導体が用いられる。LED素子112が発光する光は、本実施形態では可視光である。
【0029】
アノード電極112bは、p型半導体層112p1に電気的に接続される。また、アノード電極112bは、配線118bに電気的に接続される。カソード電極112cは、n型半導体層112p3に電気的に接続される。また、カソード電極112cは、別の配線118aに電気的に接続される。各電極112b、112cには、例えば金属材料を用いることができる。
【0030】
本実施形態では各LED素子112の光出射面112sには、複数の凹部112tが設けられている。本明細書において「LED素子の光出射面」とは、LED素子の表面のうち、光が主に出射する面を意味する。本実施形態では、n型半導体層112p3において、活性層112p2と対向する面の反対側に位置する面が、光出射面112sに相当する。
【0031】
以下、各LED素子112から出射する光の光軸を、単に「光軸C」という。光軸Cは、例えば、複数の画素11pが配列される出射平面に平行であり、かつ、表示装置11の光出射側に位置する第1平面P1において、1つの画素11pからの光が照射される範囲のうち、輝度が最大となる点a1と、出射平面に平行であり、第1平面P1から離隔した第2平面P2において、このLED素子112からの光が照射される範囲のうち、輝度が最大となる点a2と、を結ぶ直線である。輝度が最大となる点が複数存在する場合、例えば、それらの点の中心点を、輝度が最大となる点としてもよい。なお、生産的な観点からは、光軸Cは出射平面と直交していることが望ましい。
【0032】
各LED素子112の光出射面112sに複数の凹部112tが設けられていることにより、各LED素子112から出射する光、すなわち各画素11pから出射する光は、
図3に破線で示すように、略ランバーシアン配光を有する。このため、表示装置11から出射する光は略ランバーシアン配光を有する。ここで「各画素から出射する光が略ランバーシアン配光を有する」とは、各画素の光軸Cに対して角度θの方向の光度が、nを0より大きい値として、光軸C上の光度のcos
nθ倍で近似できる配光パターンであることを意味する。ここで、nは、11以下であることが好ましく、1であることがより一層好ましい。なお、1つの画素11pから出射する光の光軸Cを含む平面は多数存在するが、各平面内においてこの画素11pから出射する光の配光パターンは、略ランバーシアン配光であり、また、nの数値も概ね等しい。
【0033】
ただし、各LED素子の構成は、上記に限定されない。例えば、各LED素子の光出射面には複数の凹部ではなく複数の凸部が設けられていてもよいし、複数の凹部および複数の凸部の両方が設けられていてもよい。また、成長基板が透光性を有する場合、半導体積層体から成長基板を剥離させず、光出射面に相当する成長基板の表面に複数の凹部および/または複数の凸部を設けてもよい。これらの形態においても、各LED素子から出射する光は、略ランバーシアン配光を有する。また、各LED素子において基板と対向するようにn型半導体層を設け、その上に活性層およびp型半導体層をこの順で積層し、p型半導体層において活性層と対向する面の反対側の面を、各LED素子の光出射面としてもよい。
【0034】
(反射型偏光素子)
図4は、本実施形態に係る映像表示装置の反射型偏光素子を示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、反射型偏光素子12は表示装置11の+X方向側であって、表示装置11から出射した光が入射する位置に配置されている。反射型偏光素子12の形状は例えば平坦な板状であってもよいし、湾曲した板状であってもよい。反射型偏光素子12が平坦な板状である場合は、その表面は平面である。反射型偏光素子12が湾曲した板状である場合は、その表面は曲面である。反射型偏光素子12の表面はY方向に対して平行である。反射型偏光素子12は、YZ平面に対して、Y軸を回転中心として傾斜しており、表示装置11に対向した面が+Z方向を向いている。
【0035】
図4に示すように、反射型偏光素子12は、例えば、ワイヤグリッド偏光板である。反射型偏光素子12は、透明板12a、透明な樹脂フィルム12b、及び、複数の金属ワイヤ12cを有する。反射型偏光素子12においては、透明板12aの表面に、透明な樹脂フィルム12bが配置されており、樹脂フィルム12b上に、複数の金属ワイヤ12cが相互に平行に等間隔で配列されている。これにより、反射型偏光素子12は、第1偏光を透過させ、第2偏光を反射する。
【0036】
(反射部材)
図1及び
図2に示すように、反射部材13は、反射型偏光素子12及び波長板14を透過した光L0が入射する位置に配置されている。反射部材13は反射型偏光素子12に向けて凹面状の反射面13aを有し、反射面13aによって、反射型偏光素子12から出射され、波長板14を透過し、反射面13aに入射した光を反射型偏光素子12に向けて反射する。反射部材13によって反射された光は、波長板14を透過して、反射型偏光素子12に入射する。
【0037】
反射部材13は、ガラスまたは樹脂材料等からなる本体部材と、本体部材の表面に設けられて反射面13aを構成する金属膜や誘電体多層膜等の反射膜と、により構成されていてもよい。また、反射部材13は、全体が金属材料により構成されていてもよい。一例では、反射面13aはバイコーニック面である。ただし、ミラー面は、球面の一部であってもよいし、自由曲面であってもよい。
【0038】
(結像光学系)
図1及び
図2に示すように、本実施形態においては、表示装置11、反射型偏光素子12、波長板14及び反射部材13が、+X方向に沿ってこの順に配列されている。また、反射型偏光素子12、反射部材13及び波長板14により、結像光学系18が構成されている。結像光学系18は、表示装置11から出射した光が入射し、画像IM0に応じた第1の像IM1を形成する。結像光学系18は、第1の像IM1を所定の位置に結像させるのに必要な全ての光学素子を含む光学系である。結像光学系18は、反射型偏光素子12、反射部材13及び波長板14以外の光学素子を含んでいてもよい。
【0039】
結像光学系18は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する。ここで「結像光学系18が、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する」とは、表示装置11における互いに異なる位置から出射して、結像光学系18を経由し、第1の像IM1に至る複数の主光線同士が、第1の像IM1の前後において、略平行であることを意味する。異なる位置とは、例えば異なる画素11pである。「複数の主光線同士が略平行」とは、光源ユニット10の構成要素の製造精度や組み立て精度等による誤差を許容するような実用的な範囲で、概ね平行であることを意味する。「複数の主光線同士が略平行」である場合、例えば、主光線同士のなす角は、10度以下である。
【0040】
結像光学系18が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する場合、複数の主光線同士は、反射型偏光素子12に入射する前に交差する。以下、複数の主光線同士が交差するポイントを「焦点F」という。そのため、結像光学系18が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有するか否かは、例えば、光の逆進性を利用して以下の方法で確認できる。先ず、第1の像IM1が形成される位置付近に、レーザ光源等の平行光を出射可能な光源を配置する。この光源から出射した光を、結像光学系18の反射型偏光素子12に照射する。この光源から出射して反射型偏光素子12によって反射された光は、波長板14、反射部材13、波長板14を介して反射型偏光素子12に入射する。そして、反射型偏光素子12から出射した光が表示装置11に到達する前に、集光するポイント、すなわち焦点Fが存在する場合は、結像光学系18が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有すると判断できる。
【0041】
結像光学系18が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有するため、結像光学系18には、各画素11pから出射する光のうち、焦点F及びその近辺を通過する光が主に入射する。なお、結合光学系の構成及び位置は、第1の像側において略テレセントリック性を有する限り、上記に限定されない。
【0042】
(反射ユニット)
反射ユニット20は、本実施形態では、車内に向けて凹面状のミラー面21aを有するミラー21を含む。ミラー面21aは、本実施形態では、バイコーニック面である。ただし、ミラー面は、球面の一部であってもよいし、自由曲面であってもよい。ミラー21は、
図1および
図2に示すようにフロントウインドシールド104と対向するように配置される。ミラー21は、光源ユニット10から出射した光を反射してフロントウインドシールド104に照射する。
【0043】
ミラー21は、ガラスまたは樹脂材料等からなる本体部材と、本体部材の表面に設けられてミラー面21aを構成する金属膜や誘電体多層膜等の反射膜と、により構成されていてもよい。また、ミラー21は、全体が金属材料により構成されていてもよい。
(効果)
【0044】
本実施形態に係る映像表示装置1によれば、視認者200に虚像である第2の像IM2を視認させることができる。視認者200から見て、第2の像IM2はフロントウインドシールド104の前方に視認される。このため、視認者200は自動車100の前方から視線をそらすことなく、また、目の焦点距離を大きく変えることなく、第2の像IM2を視認することができる。視認者200が自動車100の運転手である場合、運転中にも第2の像IM2を安全に視認できる。第2の像IM2は表示装置11が表示する画像IM0に対応している。第2の像IM2は、例えば、自動車100の状態を表す情報、自動車100の周囲の状況を表す情報、又は、ナビゲーション情報である。
【0045】
また、本実施形態においては、結像光学系18が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有することにより、結像光学系18を小型化できる。これにより、光源ユニット10を小型化できる。また、第2の像IM2の品位を向上できる。この効果については、後述する。
【0046】
更に、視認者200は、車両101の前方の水溜まり等で反射され、フロントウインドシールド104を透過した日光等の眩しさを軽減するために、偏光サングラス202を着用する場合がある。この場合も、偏光サングラス202に入射させる光L0を、偏光サングラス202を透過しやすい偏光とすることにより、視認者200に十分な強度で第2の像IM2を視認させることができる。
【0047】
又は、光L0をフロントウインドシールド104の反射面104aによって反射されやすい偏光とすることにより、第2の像IM2の輝度を増加させることができ、第2の像IM2の視認性を向上させることができる。
【0048】
更にまた、映像表示装置1によれば、波長板14の法線14Nが方向LPDに対して傾斜しているため、反射型偏光素子12を透過して波長板14によって反射された光L1がアイボックス201に入射することを抑制できる。これにより、光L1に起因するゴーストの発生を抑制し、高品位な映像を表示できる。また、表示装置11から出射し、反射型偏光素子12を透過し、波長板14を透過し、反射部材13によって反射された後、波長板14の裏面で反射され、反射部材13によって再度反射され、波長板14を透過した光がアイボックス201に入射することも、波長板14を傾斜させることにより、除外できる。
【0049】
これに対して、仮に、波長板14の法線14Nが方向LPDに対して傾斜していないと、すなわち、角度θ0が0度であると、光L1が光L0と同じ光路LPに沿って進行し、アイボックス201に入射する可能性がある。これにより、視認者200が光L1に起因するゴーストを視認する可能性がある。視認者200がゴーストを視認すると、第2の像IM2の品位が低下する。これにより、視認者が映像を誤認識することで運転時の安全性の低下を招くこととなる。
【0050】
以下、上述の結像光学系18が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有することにより、小型で高品位な映像を表示できる効果について詳細に説明する。
図5Aは、本実施形態に係る光源ユニットの原理を示す模式図である。
図5Bは、参考例に係る光源ユニットの原理を示す模式図である。
【0051】
図5Bに示すように、参考例に係る光源ユニット2011においては、表示装置2110が複数の画素2110pを含むLCD(Liquid Crystal Display)である。
図5Aでは、本実施形態における表示装置11の複数の画素11pのうちの2つの画素11pから出射する光の配光パターンを破線で示している。同様に、
図5Bでは、参考例における表示装置2110の複数の画素2110pのうちの2つの画素2110pから出射する光の配光パターンを破線で示している。また、
図5Aおよび
図5Bでは、結像光学系18、2120を簡略化して示している。
【0052】
図5Bに示すように、参考例における表示装置2110では、各画素2110pから出射する光は、光出射面2110sの法線方向に主に配光される。また、1つの画素2110pから出射する光の光軸を含む平面は多数存在するが、LCDである表示装置2110では、各平面内において1つの画素2110pから出射する光の配光パターンは、相互に異なる。そして、複数の平面のうちの一の平面内において、各画素2110pから出射する光は、光軸に対して角度θの方向の光度が、光軸上の光度のcos
20θ倍で近似される配光パターンを有する。
【0053】
このような表示装置2110においては、表示装置2110の同じ位置から出射した光でも、視認者の見る角度によって光度や色度が変化する。したがって、仮に結像光学系2120が、法線方向以外の方向から表示装置2110から出射する光を取り込んだ場合、全ての画素から出射する光の輝度を均一にしたとしても、第1の像IM1において輝度や色度のばらつきが生じる。すなわち、第1の像IM1の品位が低下する。したがって、第1の像IM1の品位が低下しないようにするためには、表示装置2110の各画素2110pから出射した光を法線方向から取り込む必要がある。その結果、結像光学系2120が大型化する。
【0054】
これに対して、本実施形態に係る光源ユニット10では、結像光学系18は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有し、表示装置11から出射する光が略ランバーシアン配光を有する。そのため、光源ユニット10を小型化しつつ、第1の像IM1の品位を向上できる。
【0055】
具体的には、表示装置11から出射する光が略ランバーシアン配光を有するため、表示装置11の各画素11pから出射した光の光度や色度の角度に対する依存性は、参考例における表示装置2110の各画素2110pから出射する光の光度や色度の角度に対する依存性と比較して低い。特に、厳密なランバーシアン配光に近づくほど、すなわち、配光パターンの近似式であるcos
nθのnが1に近づくほど、表示装置11の各画素11pから出射した光の光度や色度は、角度によらず概ね均一になる。そのため、
図5Aに示すように、結像光学系18が焦点Fを通過した光を取り込んだとしても、すなわち、法線方向以外の方向から光を取り込んだとしても、第1の像IM1の輝度や色度のばらつきを抑制し、第1の像IM1の品位を向上できる。
【0056】
また、結像光学系18は、主に焦点Fを通過した光で第1の像IM1を形成するため、結像光学系18に入射する光の光径が広がることを抑制できる。さらに、光源ユニット10から出射する複数の主光線Lは、互いに略平行である。光源ユニット10から出射する複数の主光線L同士が互いに略平行であるということは、光源ユニット10の反射型偏光素子12において結像に寄与する光が照射される範囲が、第1の像IM1のサイズと概ね同じであるということである。これにより、反射型偏光素子12を小型化できる。以上より、小型かつ品位が高い第1の像IM1を形成可能な光源ユニット10を提供できる。
【0057】
また、第1の像IM1は、光源ユニット10と反射ユニット20との間に形成される。このような場合、表示装置11のある一つの点から出射した光は、反射型偏光素子12を経由した後に、第1の像IM1の形成位置において集光する。一方、光源ユニット10と反射ユニット20との間に第1の像IM1が形成されない場合、表示装置11のある一つの点から出射した光の光径は、光源ユニット10から反射ユニット20に向けて、徐々に広がる。したがって、本実施形態では、反射型偏光素子12において、表示装置11のある一つの点から出射した光が照射される範囲を、第1の像IM1が形成されない場合と比較して、小さくできる。そのため、反射型偏光素子12を小型化でき、ひいては光源ユニット10を小型化できる。
【0058】
また、本実施形態に係る光源ユニット10は小型であるため、光源ユニット10を車両101に搭載し、ヘッドアップディスプレイとして用いる場合は、光源ユニット10を車両101内の限られたスペースに容易に配置できる。
【0059】
<実施例>
次に、実施例に係る光源ユニットについて説明する。
図6は、実施例1及び11、参考例並びにLCDにおいて、1つの発光エリアから出射する光の配光パターンを示すグラフである。
図7は、実施例1~12及び参考例における第2の像の輝度の均一性を示すグラフである。
【0060】
実施例1~12および参考例に係る映像表示装置は、光源ユニットと、反射ユニットと、を備え、光源ユニットは、行列状に配列された複数の発光エリアと、結像光学系とを備えるように、シミュレーションソフト上で設定した。各発光エリアが、第1の実施形態における表示装置11の各画素11pに相当する。
【0061】
図6では、横軸は発光エリアの光軸に対する角度であり、縦軸は、その角度における光度を光軸上の光度で除算することにより正規化した光度である。実施例1に係る表示装置は、
図6に示すように、各発光エリアから出射する光が、光軸に対して角度θの方向の光度が光軸上の光度のcosθ倍で表される配光パターンを有するように、シミュレーションソフト上で設定した。すなわち、実施例1では、各発光エリアから出射する光は、厳密なランバーシアン配光を有する。
【0062】
実施例2~12では、各発光エリアから出射する光が、光軸に対して角度θの方向の光度が光軸上の光度のcosnθ倍で表される配光パターンを有するように、シミュレーションソフト上で設定した。なお、実施例2では、n=2であり、実施例2から実施例12まで順に、nが1ずつ大きくなるように設定した。
【0063】
また、LCDの画素から出射する光の一の平面内の配光パターンを調査したところ、
図6に細い破線で示すような配光パターンであることがわかった。そして、前述したように、この配光パターンは、光軸に対して角度θの方向の光度が光軸上の光度のcos
20θ倍で表される配光パターンに近似できることがわかった。そこで、参考例では、各発光エリアの光軸に対して角度θの方向の光度が、光軸上の光度のcos
20θ倍で表される配光パターンを有するように、シミュレーションソフト上で設定した。
【0064】
実施例1~12および参考例における結像光学系は、いずれも第1の像側においてテレセントリック性を有するように設定した。
【0065】
次に、実施例1~12および参考例のそれぞれについて、全ての発光エリアの輝度を一定にした場合に形成される第2の像の輝度分布をシミュレーションした。この際、第2の像は、長辺が111.2mm、短辺が27.8mmの長方形とした。また、この際、第2の像が形成される平面を1mmの辺を有する正方形のエリアに区画し、各エリアの輝度値をシミュレーションした。そして、その際の第2の像の輝度の均一性を評価した。ここで、「輝度の均一性」とは、第2の像内の輝度の最大値に対する最小値の割合を百分率で表した値である。その結果を、
図7に示す。なお、
図7では、横軸は、各実施例および参考例であり、縦軸は輝度の均一性である。
【0066】
図7に示すように、nが大きくなるほど、輝度の均一性が低下することがわかった。これは、nが大きくなるほど、第2の像において中心から離れる位置の輝度が低下するためである。特に、実施例11、すなわちn=11で、輝度の均一性が30%であることがわかった。視認者は、第2の像と第2の像が形成されていない領域とを判別し易いため、第2の像の輝度の均一性は、30%以上あればよいと考えられる。
【0067】
したがって、結像光学系が略テレセントリック性を有するように構成した場合に、第1の像および第2の像の輝度ムラを抑制するためには、表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有することが好ましいことがわかった。具体的には、配光パターンの近似式であるcosnθのnは、11以下であることが好ましく、1であることがより一層好ましいことがわかった。なお上記のようにnが1より大きくなるに従って第2の像の輝度の均一性が低下するが、このような輝度の不均一性を補完できるように、予め表示装置11の表示輝度に所定の輝度分布を設けておくことができる。例えば、表示装置11の各画素11pから出射する光が結像光学系18を経由することで、第2の像の外縁部の輝度が中心部の輝度より低下し易い場合は、表示装置11の外縁側の画素11pのLED素子112の出力を中心側の画素11pのLED素子112の出力よりも大きくなるように、表示装置11を制御してもよい。
【0068】
<第2の実施形態>
図8は、本実施形態に係る光源ユニットを示す端面図である。
図9は、本実施形態において光が波長板に入射する場合を示す模式図である。
【0069】
図8に示すように、本実施形態に係る光源ユニット10aにおいては、表示装置11から出射し反射型偏光素子12を透過し波長板14によって反射された光L1が反射型偏光素子12に入射しないように、波長板14の法線14Nが方向LPDに対して傾斜している。
【0070】
本実施形態においては、反射型偏光素子12の形状は長方形の板状である。
図8に示す例では、反射型偏光素子12の短辺が延びる方向はY方向に対して直交する方向であり、反射型偏光素子12の長辺が延びる方向はY方向である。そして、波長板14の法線14Nは方向LPDに対して、反射型偏光素子12の短辺を含む面内で傾斜している。
図8に示す例では、法線14Nは方向LPDに対してY方向を回転軸として-Z方向側に傾斜している。但し、法線14Nは方向LPDに対して+Z方向側に傾斜していてもよい。また、反射型偏光素子12の短辺がY方向に延びる場合は、法線14Nは方向LPDに対してZ方向を回転軸にして+Y方向又は-Y方向に傾斜していてもよい。
【0071】
なお、上述の如く、法線14Nは、波長板14における反射部材13側の表面の法線である。方向LPDは、光L0の光路LPにおける反射型偏光素子12から反射部材13に向かう途中で波長板14を透過する方向である。光L0は、表示装置11から出射し、反射型偏光素子12を透過し、波長板14を透過し、反射部材13によって反射され、波長板14を再度透過し、反射型偏光素子12によって反射され、反射ユニット20によって反射され、フロントウインドシールド104の反射面104aによって反射され、視認者200のアイボックス201に到達する光である。
【0072】
波長板14の法線14Nと方向LPDとのなす角度をθ0とし、方向LPDに直交した方向における反射型偏光素子12の短辺の長さをHとし、光路LPにおける反射型偏光素子12との交点CP12と波長板14との交点CP14との距離をDとしたとき、光L1が反射型偏光素子12に入射しないような角度θ0は、下記数式(1)で規定される。但し、光路LPは反射型偏光素子12の中心を通過するものとする。
【0073】
【0074】
上記数式(1)は、以下のように算出できる。
図8より、光路LPのうち波長板14から反射型偏光素子12に向かう部分の方向と、波長板14による反射光が向かう方向とのなす角度は2θ
0である。このため、下記数式(2)が成立する。
【0075】
【0076】
上記数式(2)より下記数式(3)が成立し、よって上記数式(1)が成立する。上記数式(1)により、本実施形態における角度θ0の下限値が規定される。
【0077】
【0078】
一方、角度θ
0の上限値は、以下のように規定してもよい。
波長板14におけるP偏光の表面反射率をIrpとし、波長板14におけるS偏光の表面反射率をIrsとし、
図9に示すように、波長板14の外部の屈折率をn
0とし、波長板14の内部の屈折率をn
1とし、波長板14に対する光の入射角をθ
0とし、波長板14に入射したあとの屈折角をθ
tとすると、下記数式(4)及び(5)が成立する。
【0079】
【0080】
【0081】
明るく高品位な映像を表示するためには、表面反射率Irp及びIrsをそれぞれ20%以下とすることが好ましい。このため、上記数式(4)及び(5)において、表面反射率Irp及びIrsがそれぞれ0.2以下となるように、角度θ0を設定することが好ましい。
【0082】
具体例を挙げると、波長板14の外部が大気である場合、屈折率n0=1.0である。波長板14の材料がポリメタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylate:PMMA)である場合、屈折率n1=1.4936である。これらの値を上記数式(4)及び(5)に代入すると、P偏光の表面反射率Irpが0.2以下となる角度θ0は78.9度以下であり、S偏光の表面反射率Irsが0.2以下となる角度θ0は62.7度以下である。
【0083】
角度θ0を大きくすると、光L0の入射領域を確保するために波長板14を大型化する必要が生じる。このため、映像表示装置の小型化及び低コスト化を図るためには、角度θ0は映像の品位を担保できる範囲内で可及的に小さくすることが好ましい。一例では、角度θ0は3度以上20度以下とすることができる。
【0084】
本実施形態によれば、波長板14において反射された光L1が反射型偏光素子12に入射しないため、光L1がアイボックス201に入射することを確実に回避でき、ゴーストの発生を確実に防止できる。また、光L1が反射型偏光素子12によって反射され、迷光となって自動車100の車内に侵入することを抑制できる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0085】
<第3の実施形態>
図10は、本実施形態に係る光源ユニットを示す斜視図である。
図11は、本実施形態に係る光源ユニットを示す上面図である。
図12は、本実施形態に係る光源ユニットを示す側面図である。
なお、
図10及び
図11においては、図を見やすくするために、反射部材13に入射する光の経路と反射部材13によって反射された光の経路をずらして描いているが、これらの経路が反射面13aと接触する点は同一であり、これらの経路は略一致する。後述する
図13についても同様である。
【0086】
図10~
図12に示すように、本実施形態に係る光源ユニット10bにおいては、光路LPが3次元的に設定されている。また、光源ユニット10bは反射部材15を有する。
【0087】
表示装置11は+X方向に向けて光を出射する。反射型偏光素子12は、表示装置11の+X方向側であって、表示装置11から出射した光が入射する位置に配置されている。反射型偏光素子12は、Z軸を回転軸としてYZ平面に対して、表示装置11側の面が+Y方向に向くように傾斜している。
【0088】
波長板14は反射型偏光素子12の+X方向側であって、反射型偏光素子12を透過した光が入射する位置に配置されている。反射部材13は波長板14の+X方向側であって、波長板14を透過した光が入射する位置に配置されている。これにより、反射部材13は、波長板14から入射した光を波長板14に向けて反射する。
【0089】
第1の実施形態と同様に、波長板14の法線14Nは、光路LPにおける波長板14を透過する方向LPDに対して傾斜している。例えば、波長板14はY軸を回転軸として-X方向側の面が+Z方向を向くように傾斜している。これにより、反射型偏光素子12から出射して波長板14によって反射された光L1が、アイボックス201に入射することを抑制できる。
【0090】
反射部材15は、反射型偏光素子12の-Y方向側であって、波長板14から出射して反射型偏光素子12によって反射された光が入射する位置に配置されている。反射部材15は例えば板状の部材である。反射部材15の光反射面15aは、XY平面に対してX軸を回転軸として傾斜している。これにより、反射部材15は、反射型偏光素子12から入射した光を-Z方向に向けて反射する。反射部材15によって反射された光は光源ユニット10から出射し、反射ユニット20に入射する。
【0091】
本実施形態によれば、光路LPの一部をY方向に沿って設定しているため、光源ユニット10bのX方向における長さを短くできる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0092】
<第4の実施形態>
図13は、本実施形態に係る光源ユニットを示す上面図である。
図14は、本実施形態に係る光源ユニットを示す背面図である。
図15は、本実施形態に係る光源ユニットを示す側面図である。
【0093】
図13~
図15に示すように、本実施形態に係る光源ユニット10cは、第3の実施形態に係る光源ユニット10bと比較して、光路LPにおける反射型偏光素子12の機能が異なっている。第3の実施形態に係る光源ユニット10bにおいては、表示装置11から出射した光のうち反射型偏光素子12を透過した偏光を波長板14に入射させたが、本実施形態に係る光源ユニット10cにおいては、表示装置11から出射した光のうち反射型偏光素子12によって反射された偏光を波長板14に入射させている。
【0094】
以下、より詳細に説明する。
本実施形態に係る光源ユニット10cは、表示装置11と、反射型偏光素子12と、反射部材13と、波長板14と、を有する。表示装置11は、画像IM0を表示可能である。反射型偏光素子12は、表示装置11から出射した光が入射され、第1偏光を反射し、第2偏光を透過させる。第1偏光は例えばP偏光であり、第2偏光は例えばS偏光である。なお、第1偏光がS偏光であり、第2偏光がP偏光であってもよい。
【0095】
反射部材13は、反射型偏光素子12によって反射された光(第1偏光)を反射型偏光素子12に向けて反射する。波長板14は、表示装置11から出射し、反射型偏光素子12によって反射され、反射部材13によって反射され、反射型偏光素子12を透過する光L0の光路LPにおける反射型偏光素子12と反射部材13との間の部分に介在する。そして、波長板14の法線14Nは、光路LPにおける反射型偏光素子12から反射部材13に向かう途中で波長板14を透過する方向LPDに対して傾斜している。
【0096】
表示装置11は、複数のLED素子を有するLEDディスプレイである。LED素子から出射する光は略ランバーシアン配光を有する。これにより、表示装置11から出射する光は略ランバーシアン配光を有する。
図5A、
図6、
図7に示すように、表示装置11から出射する光は、表示装置から出射する光の光軸Cに対して角度θの方向の光度が光軸C上の光度のcos
nθ倍で近似される配光パターンを有する。nは0より大きい値であり、例えば、11以下の値である。nの値は小さい方が好ましく、1であることがより好ましい。表示装置11は、主として+X方向に向けて光を出射する。
【0097】
反射型偏光素子12は、表示装置11の+X方向側であって表示装置11から出射した光が入射する位置に配置されている。反射型偏光素子12は、例えば、
図4に示すワイヤグリッド偏光板である。反射型偏光素子12は、YZ平面に対してZ軸を回転軸として傾斜している。反射型偏光素子12は、表示装置11側の面が+Y方向に向くように傾斜している。
【0098】
反射部材13は反射型偏光素子12の+Y方向側であって、表示装置11から出射し反射型偏光素子12によって反射された光が入射する位置に配置されている。反射部材13の反射面13aは凹面状である。
【0099】
波長板14は、例えば、λ/4板である。これにより、表示装置11から出射し反射型偏光素子12によって反射された光が、反射部材13によって反射されて反射型偏光素子12に入射するまでの間に波長板14を2回透過する。この結果、反射型偏光素子12によって反射された光が第1偏光から第2偏光に変化し、反射型偏光素子12を透過するようになる。
【0100】
表示装置11から出射し、反射型偏光素子12によって反射され、反射部材13によって反射され、反射型偏光素子12を透過した光L0は、画像IM0に応じた第1の像IM1を形成する。第1の像IM1は実像であって中間像である。反射型偏光素子12、反射部材13及び波長板14を含む結像光学系18は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する。
【0101】
本実施形態に係る映像表示装置は、光源ユニット10cと、光源ユニット10cから出射した光を反射する反射ユニット20と、を有する。第1の像IM1は光源ユニット10cと反射ユニット20との間に形成される。本実施形態に係る映像表示装置における光源ユニット10c以外の部分は、
図1における光源ユニット10以外の部分と同様である。
【0102】
光源ユニット10cは反射部材15を有していてもよい。反射部材15は、反射型偏光素子12を透過した光が入射され、この光を反射ユニット20に向けて反射する。反射部材15は、反射型偏光素子12の-Y方向側であって、反射部材13によって反射され、反射型偏光素子12を透過した光L0が入射する位置に配置されている。例えば、反射部材15、反射型偏光素子12、波長板14及び反射部材13は、+Y方向に沿ってこの順に配列されている。また、表示装置11は反射型偏光素子12の-X方向側に配置されている。
【0103】
光源ユニット10cから入射され反射ユニット20によって反射された光L0は、
図1に示すように、視認者200のアイボックス201と対向する位置に配置された反射面104aによって反射され、アイボックス201に入射する。反射面104aは、例えば、自動車100のフロントウインドシールド104の内面である。視認者200が偏光サングラス202を装着している場合であっても、光L0が偏光サングラス202を透過するように、光L0の偏光方向が設定される。これにより、視認者200は画像IM0に応じた第2の像IM2を視認可能である。第2の像IM2は虚像である。
【0104】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、波長板14の法線14Nは、表示装置11から出射し反射型偏光素子12によって反射され波長板14によって反射された光L1が、アイボックス201に入射しないように、方向LPDに対して傾斜している。また、第2の実施形態と同様に、波長板14の法線14Nは、光L1が反射型偏光素子12に入射しないように、方向LPDに対して傾斜していることが好ましい。法線14Nと方向LPDとのなす角度θ0の下限値は、上記数式(1)によって規定されていることが好ましい。また、角度θ0の上限値は、上記数式(4)及び(5)によって規定されていることが好ましい。本実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第3の実施形態と同様である。
【0105】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態は相互に組み合わせて実施することができる。
【0106】
本発明は、以下の態様を含む。
【0107】
(付記1)
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射され、第1偏光を透過させ、第2偏光を反射する反射型偏光素子と、
前記反射型偏光素子を透過した光を前記反射型偏光素子に向けて反射する反射部材と、
前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子を透過し、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子によって反射される光の光路における前記反射型偏光素子と前記反射部材との間の部分に介在する波長板と、
を備え、
前記波長板の法線は、前記光路における前記反射型偏光素子から前記反射部材に向かう途中で前記波長板を透過する方向に対して傾斜している光源ユニット。
【0108】
(付記2)
前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子を透過し、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子によって反射された光は、前記画像に応じた第1の像を形成し、
前記反射型偏光素子、前記反射部材及び前記波長板を含む結像光学系は、前記第1の像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光は略ランバーシアン配光を有する付記1に記載の光源ユニット。
【0109】
(付記3)
前記波長板の法線は、前記表示装置から出射し前記反射型偏光素子を透過し前記波長板によって反射された光が前記反射型偏光素子に入射しないように、前記方向に対して傾斜している付記1または2に記載の光源ユニット。
【0110】
(付記4)
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射され、第1偏光を反射し、第2偏光を透過させる反射型偏光素子と、
前記反射型偏光素子によって反射された光を前記反射型偏光素子に向けて反射する反射部材と、
前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子によって反射され、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子を透過する光の光路における前記反射型偏光素子と前記反射部材との間の部分に介在する波長板と、
を備え、
前記波長板の法線は、前記光路における前記反射型偏光素子から前記反射部材に向かう途中で前記波長板を透過する方向に対して傾斜している光源ユニット。
【0111】
(付記5)
前記表示装置から出射し、前記反射型偏光素子によって反射され、前記反射部材によって反射され、前記反射型偏光素子を透過した光は、前記画像に応じた第1の像を形成し、
前記反射型偏光素子、前記反射部材及び前記波長板を含む結像光学系は、前記第1の像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光は略ランバーシアン配光を有する付記4に記載の光源ユニット。
【0112】
(付記6)
前記波長板の法線は、前記表示装置から出射し前記反射型偏光素子によって反射され前記波長板によって反射された光が前記反射型偏光素子に入射しないように、前記方向に対して傾斜している付記4または5に記載の光源ユニット。
【0113】
(付記7)
前記表示装置から出射する光は、前記表示装置から出射する光の光軸に対して角度θの方向の光度が前記光軸上の光度のcosnθ倍で近似される配光パターンを有し、
前記nは0より大きい値である付記2または5に記載の光源ユニット。
【0114】
(付記8)
前記nは11以下である付記7に記載の光源ユニット。
【0115】
(付記9)
前記表示装置は、複数のLED素子を有するLEDディスプレイである付記1~8のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0116】
(付記10)
前記LED素子から出射する光は略ランバーシアン配光を有する付記9に記載の光源ユニット。
【0117】
(付記11)
前記波長板はλ/4板である付記1~10のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0118】
(付記12)
前記反射型偏光素子の形状は長方形の板状であり、
前記波長板の法線は、前記方向に対して、前記反射型偏光素子の短辺が延びる方向に傾斜しており、
前記波長板の法線と前記方向とのなす角度をθ0とし、前記方向に直交した方向における前記反射型偏光素子の短辺の長さをHとし、前記光路における前記反射型偏光素子との交点と前記波長板との交点との距離をDとしたとき、前記角度は下記数式で規定される付記1~11のいずれか1つに記載の光源ユニット。
θ0≧0.5×atan(H/2D)
【0119】
(付記13)
付記2に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記第1の像は前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成され、
前記反射ユニットによって反射された光が、視認者のアイボックスと対向する位置に配置された反射面によって反射され、前記アイボックスに入射することにより、前記視認者は前記画像に応じた第2の像を視認可能である映像表示装置。
【0120】
(付記14)
前記波長板の法線は、前記表示装置から出射し前記反射型偏光素子を透過し前記波長板によって反射された光が前記アイボックスに入射しないように、前記方向に対して傾斜している付記13に記載の映像表示装置。
【0121】
(付記15)
付記5に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記第1の像は前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成され、
前記反射ユニットによって反射された光が、視認者のアイボックスと対向する位置に配置された反射面によって反射され、前記アイボックスに入射することにより、前記視認者は前記画像に応じた第2の像を視認可能である映像表示装置。
【0122】
(付記16)
前記波長板の法線は、前記表示装置から出射し前記反射型偏光素子によって反射され前記波長板によって反射された光が前記アイボックスに入射しないように、前記方向に対して傾斜している付記15に記載の映像表示装置。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、例えば、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display:HUD)などに利用することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 映像表示装置
10、10a、10b、10c 光源ユニット
11 表示装置
11p 画素
12 反射型偏光素子
12a 透明板
12b 樹脂フィルム
12c 金属ワイヤ
13 反射部材
13a 反射面
14 波長板
14N 法線
15 反射部材
15a 光反射面
18 結像光学系
20 反射ユニット
21 ミラー
21a ミラー面
100 自動車
101 車両
102 天井板
103 穴
104 フロントウインドシールド
104a 反射面
105 ダッシュボード
111 基板
112 LED素子
112a 半導体積層体
112b アノード電極
112c カソード電極
112p1 p型半導体層
112p2 活性層
112p3 n型半導体層
112s 光出射面
112t 凹部
118a、118b 配線
200 視認者
201 アイボックス
202 偏光サングラス
2011 光源ユニット
2110 表示装置
2110p 画素
2110s 光出射面
2120 結像光学系
C 光軸
CP12 交点
CP14 交点
D 距離
F 焦点
IM0 画像
IM1 第1の像
IM2 第2の像
L 主光線
L0 光
L1 光
LP 光路
LPD 方向
P 位置
a1 点
a2 点
θ、θ0 角度