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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081092
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20240610BHJP
   H04N 13/302 20180101ALI20240610BHJP
【FI】
G02B30/56
H04N13/302
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203408
(22)【出願日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2022194290
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 肇
(72)【発明者】
【氏名】坂本 考史
(72)【発明者】
【氏名】山脇 正恵
【テーマコード(参考)】
2H199
5C061
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BB06
2H199BB17
2H199BB20
2H199BB52
2H199BB59
5C061AA06
5C061AB14
5C061AB16
5C061AB18
(57)【要約】
【課題】簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る画像表示装置は、結像素子と、光源と、遮光部材と、光透過性部材と、を備える。前記結像素子は、第1面を有する基材と、前記基材上のリフレクタアレイと、を備える。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って、複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に平行に配列される。前記複数の2面直交リフレクタは、第1反射面と、前記第1反射面に直交する第2反射面と、をそれぞれ含む。前記第2直交リフレクタの傾きは、前記第1面側に結像するように設定される。前記光透過性部材は、前記結像素子での2回反射光を透過するように設けられる。前記遮光部材は、前記2回反射光以外の光の一部を遮光する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像素子と、
前記結像素子に光を照射する光源と、
少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、
前記結像素子から出射される光を透過するように配置され、前記結像素子から出射される光のうち少なくとも一部の波長を有する光の透過を選択的に制御する光透過性部材と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定され、
前記光源は、前記第1面側に設けられ、
前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で反射された1回反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行するように設けられ、
前記光透過性部材は、前記1回反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられた画像表示装置。
【請求項2】
結像素子と、
前記結像素子に光を照射する光源と、
少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、
前記結像素子から出射される光を透過するように配置され、前記結像素子から出射される光のうち少なくとも一部の波長を有する光の透過を選択的に制御する光透過性部材と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列され、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定され、
前記光源は、前記第1面側に設けられ、
前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で1回反射された反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行し、前記反射光の別の一部が前記第2面側に向かって進行するように設けられ、
前記光透過性部材は、前記反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられた画像表示装置。
【請求項3】
結像素子と、
前記結像素子に光を照射する光源と、
少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、
50%以下のHaze値を有し、前記結像素子から出射される光を透過する光透過性部材と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定され、
前記光源は、前記第1面側に設けられ、
前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で反射された1回反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行するように設けられ、
前記光透過性部材は、前記1回反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられた画像表示装置。
【請求項4】
結像素子と、
前記結像素子に光を照射する光源と、
少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、
50%以下のHaze値を有し、前記結像素子から出射される光を透過する光透過性部材と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列され、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定され、
前記光源は、前記第1面側に設けられ、
前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で1回反射された反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行し、前記反射光の別の一部が前記第2面側に向かって進行するように設けられ、
前記光透過性部材は、前記反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられた画像表示装置。
【請求項5】
前記光透過性部材は、黒色に着色された着色部を有し、
前記着色部は、前記光の透過を制御する請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記光透過性部材は、第1光透過性部材と、前記第1光透過性部材に対向して配置された第2光透過性部材と、前記第1光透過性部材と前記第2光透過性部材との間に配置され、開閉選択信号により前記光の透過を制御する液晶と、を含む請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記光透過性部材は、文字、記号および図形のうち少なくとも1つを含む着色部を含む請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記光透過性部材は、前記光源の光の補色の着色部を有し、
前記着色部は、前記光の透過を制御する請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記光透過性部材は、第1面と前記第1面の反対側に第2面を有する透光性の基材と、前記第1面または前記第2面の少なくとも一方に配置された光反射防止部材と、を有する請求項3または4に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記光透過性部材は、前記光源の光が結像素子から出射される出射面を有し、
前記出射面の幅は、前記光源の光が結像素子から出射されて結像が形成される結像面の幅よりも広い請求項3または4に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記遮光部材は、前記光源および前記結像素子の周囲に設けられた筐体の一部であり、
前記光透過性部材は、前記筐体の他の一部である請求項1~4のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記光透過性部材は、前記筐体の表面に施された模様と連続した模様の着色部を有し、
前記着色部は、前記光の透過を制御する請求項11記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記光源および前記結像素子の周囲に設けられた筐体をさらに備え、
前記光透過性部材は、前記筐体の一部に設けられ、
前記遮光部材は、前記光源と前記光透過性部材との間に設けられた請求項1~4のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記光透過性部材は、前記筐体の表面に施された模様と連続した模様の着色部を有し、
前記着色部は、前記光の透過を制御する請求項13記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記光透過性部材は、レンズを含む請求項1~4のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被観察物の実像を空中に表示する反射型結像光学素子およびこれを応用した画像表示装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような画像表示装置は、利用者の必要なときに画像を表示し、その他の場合には、画像を非表示にすることが可能である。また、このような画像表示装置は、空中に画像を表示することから、表示部分の装置が不要である。そのため、自動車内などの限られた空間をより有効に活用できる等のメリットがある。
【0004】
また、このような画像表示装置を応用することにより、非接触型の操作パネルを実現することができる。そのため、自動車内などの利用に加えて、応用分野の広がりが期待される。
【0005】
空中に画像表示できる反射型結像光学素子として、2面直交リフレクタを用いたものや、コーナーキューブリフレクタと呼ばれる再帰性反射機能を有する光学素子を用いたものが実用化されている(たとえば、特許文献2等参照)。それぞれの動作原理により、問題点が指摘されている。たとえば、2面直交リフレクタを用いる結像素子を用いた画像表示装置では、利用者の意図しない場所に虚像が表示されることを回避することが困難であるとされている。
【0006】
コーナーキューブリフレクタを用いた画像表示装置では、光源および結像素子に加えて光学素子を用いることにより、結像の形成位置を比較的自由に設定することができる。一方で、そのための光学素子の構成が複雑になる。
【0007】
簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-146009号公報
【特許文献2】国際公開第2016/199902号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、結像素子と、前記結像素子に光を照射する光源と、少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、前記結像素子から出射される光を透過するように配置され、前記結像素子から出射される光のうち少なくとも一部の波長を有する光の透過を選択的に制御する光透過性部材と、を備える。前記結像素子は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含む。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含む。前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定される。前記光源は、前記第1面側に設けられる。前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で反射された1回反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行するように設けられる。前記光透過部材は、前記1回反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、結像素子と、前記結像素子に光を照射する光源と、少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、前記結像素子から出射される光を透過するように配置され、前記結像素子から出射される光のうち少なくとも一部の波長を有する光の透過を選択的に制御する光透過性部材と、を備える。前記結像素子は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含む。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列される。前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含む。前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定される。前記光源は、前記第1面側に設けられる。前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で1回反射された反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行し、前記反射光の別の一部が前記第2面側に向かって進行するように設けられる。前記光透過部材は、前記反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、結像素子と、前記結像素子に光を照射する光源と、少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、50%以下のHaze値を有し、前記結像素子から出射される光を透過する光透過性部材と、を備える。前記結像素子は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含む。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含む。前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定される。前記光源は、前記第1面側に設けられる。前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で反射された1回反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行するように設けられる。前記光透過部材は、前記1回反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられる。
【0013】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、結像素子と、前記結像素子に光を照射する光源と、少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、50%以下のHaze値を有し、前記結像素子から出射される光を透過する光透過性部材と、を備える。前記結像素子は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含む。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列される。前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含む。前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定される。前記光源は、前記第1面側に設けられる。前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で1回反射された反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行し、前記反射光の別の一部が前記第2面側に向かって進行するように設けられる。前記光透過部材は、前記反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図2A】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置を例示する模式的な平面図である。
図2B図2AのIIB部の模式的な拡大図である。
図3A図2BのIIIA-IIIA線における模式的な矢視断面図である。
図3B】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置の変形例を例示する模式的な断面図である。
図4】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置を例示する模式的な等価回路図である。
図5】画像表示装置の一部である結像素子を例示する模式的な平面図である。
図6図5の結像素子の一部である基材を例示する模式的な斜視図である。
図7図5のVII部の模式的な拡大図である。
図8A図7の結像素子の一部である2面直交リフレクタを例示する模式的な平面図である。
図8B図8AのVIIIB-VIIIB線における模式的な矢視断面図の例である。
図8C図8Aの2面直交リフレクタの動作を説明するための模式的な斜視図である。
図8D図8Aの2面直交リフレクタの動作を説明するための模式的な斜視図である。
図9図5の結像素子を例示する模式的な側面図である。
図10図5の結像素子を例示する模式的な側面図である。
図11A】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の変形例を例示する模式的な側面図である。
図11B】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の他の変形例を例示する模式的な側面図である。
図12】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な平面図である。
図13】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な側面図である。
図14】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な側面図である。
図15】第1の実施形態の変形例に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図16A】第1の実施形態に係る画像表示装置の動作を説明するための模式図である。
図16B】第1の実施形態に係る画像表示装置の動作を説明するための模式図である。
図17】第2の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図18】第2の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な正面図である。
図19】第3の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図20A】第4の実施形態に係る画像表示装置の一部である光透過性部材を例示する模式図である。
図20B】第4の実施形態に係る画像表示装置の一部である光透過性部材を例示する模式図である。
図21】第5の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図22】第6の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図23】第6の実施形態に係る画像表示装置の動作を説明するための模式図である。
図24】第7の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像表示装置1000は、結像素子310aと、表示装置1100と、筐体1300と、光透過性部材1320と、を備える。画像表示装置1000は、表示装置1100から出射された光Lを結像素子310aで反射し、結像素子310aによる反射光Rを光透過性部材1320を介して筐体1300の外部の空中で結像させる。表示装置1100は、光Lの集合からなる画像を出力するので、観測者O1は、表示装置1100から出力された画像を、筐体1300の外部で形成された結像I1として観測することができる。
【0018】
筐体1300は、表示装置1100および結像素子310aの周囲に設けられる。つまり、表示装置1100および結像素子310aは、筐体1300の内部に配置される。この例では、表示装置1100は、筐体1300の内部の上部に配置され、結像素子310aは、筐体1300の内部の下部に配置されている。
【0019】
結像素子310aは、表示装置1100から入射した光Lを、斜め上方に向かう反射光Rとして出射する。反射光Rは、後述する仮想平面P0に垂直な方向に出射される。結像素子310aは、反射光Rを出射する方向に仮想平面P0を支持するように設けられた結像素子設置部1330に配置され、たとえば固定される。
【0020】
筐体1300は、任意の外形形状を有する。筐体1300は、表示装置1100および結像素子310aを内部に収納する。筐体1300は、これらのほか、この例では、制御装置1400や結像素子設置部1330を内部に配置している。
【0021】
遮光部材1310は、筐体1300の一部である。たとえば、遮光部材1310は、筐体1300の内壁に配置された光吸収層である。光吸収層は、たとえば黒色の塗料の塗布層である。画像表示装置1000では、筐体1300の内壁に遮光部材1310を配置することによって、表示装置1100および結像素子310aから出射される光の一部が筐体1300内で反射して迷光となることを防止する。なお、遮光部材1310は塗料の塗布層であり、筐体1300の構成材の厚さに比べて十分に薄いため、図1では、筐体1300の内壁の面として表されている。
【0022】
光透過性部材1320は、筐体1300の一部に形成された窓枠1322の位置に配置されている。窓枠1322は、結像素子310aに対向する位置に開口されている。
【0023】
結像素子310aから出射される反射光Rは、光透過性部材1320を透過して、筐体1300の外部で結像I1を形成する。つまり、光透過性部材1320は、結像素子310aと、結像I1が形成される位置との間に配置される。観測者O1がいる場合には、結像I1は、観測者O1と光透過性部材1320との間に形成される。
【0024】
光透過性部材1320は、着色部1321aを有する。着色部1321aは、周縁部1321bに囲まれている。周縁部1321bは、光透過性部材1320の窓枠1322に沿って設けられている。着色部1321aは、結像素子310aから出射される反射光Rを含む光の波長のうち、少なくとも一部の波長の光の透過を制御する。
【0025】
着色部1321aは、黒色や茶色などの所望の色を呈する部分であって、たとえば黒色等の透光性樹脂や黒色等のガラス等で形成されている。着色部1321aは、黒色等の塗料で光透過性部材1320の表面に印刷によって形成してもよいし、透光性のある素材で形成されたシールを光透過性部材1320の表面に貼付してもよい。
【0026】
着色部1321aが黒色の場合には、可視光の波長のうち、ほぼすべての波長の光の一部を吸収して、輝度を制御する。つまり、着色部1321aから出射される光は、ほぼ一様に減衰される。着色部1321aは、結像素子310aで反射された反射光Rの輝度が他の光の輝度強度よりも十分に高くなるように設定されるので観測者O1は、反射光Rによって形成される結像I1以外の光を感じることがなくなり、高いコントラストで結像I1を観測することができる。
【0027】
周縁部1321bは、任意に着色された透光性樹脂やガラス等で形成されており、たとえば着色部1321aと同じ黒色に着色される。なお、周縁部1321bは、着色されていなくてもよいし、着色部1321aと異なる色で着色されていてもよい。
【0028】
着色部1321aの色は、黒色に限らず、少なくとも一部の波長の光の透過を選択的に制御できるようにしてもよい。たとえば、着色部1321aは、表示装置1100が出射する光の波長を選択的に透過する光学フィルタであってもよい。
【0029】
図5図14に関連して後述するように、結像素子310aは、第1面311a上に行列状に配置された複数の2面直交リフレクタ30を有している。第1面311aは、窓枠1322の開口および光透過性部材1320とほぼ平行に配置される。2面直交リフレクタ30は、第1反射面31と第2反射面32とを有しており、それぞれの反射面で1回ずつ反射して、2面直交リフレクタ30の2回反射光が反射光Rとして出射される。光透過性部材1320および窓枠1322は、結像素子310aの2回反射光を透過するように設けられる。
【0030】
本実施形態に係る画像表示装置1000では、結像素子310aの直上に結像I1を形成するように、表示装置1100および結像素子310aは配置されている。結像素子310aの直上とは、第1面311aの法線方向の位置である。このような配置の場合には、結像素子310aは、1回反射光の一部も第1面311a側に出射され、虚像やゴーストを形成することがある。また、結像素子310aの構成によっては、いずれの反射面でも反射されない光が第1面側に出射される場合もある。したがって、遮光部材1310は、筐体1300の内壁のうち、少なくとも、表示装置1100からの漏れ光や、結像素子310aの2回反射光以外の光を遮光する位置に配置される必要がある。
【0031】
画像表示装置1000は、制御装置1400等を有してもよい。表示装置1100は、制御装置1400によって支持され、制御装置1400によってたとえば6軸制御される。制御装置1400は、表示装置1100を6軸制御することによって表示装置1100の光軸の角度を変更したり、表示装置1100と結像素子310aとの間の距離を変更したりすることができる。
【0032】
制御装置1400は、たとえば、観測者O1の操作に応じて、観測者O1が所望する位置に結像I1を形成するように、表示装置1100の光軸の角度を変更し、表示装置1100と結像素子310aとの間の距離を変更する。
【0033】
表示装置1100の構成について説明する。
図2Aは、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置を例示する模式的な平面図である。
図2Bは、図2AのIIB部の模式的な拡大図である。
図3Aは、図2BのIIIA-IIIA線における模式的な矢視断面図である。
【0034】
表示装置1100の説明に際しては、3次元直交座標系を用いて説明することがある。表示装置1100の説明のための3次元直交座標系は、X1軸、Y1軸およびZ1軸を含む直交座標系である。X1軸に平行な方向を「X1方向」といい、Y1軸に平行な方向を「Y1方向」といい、Z1軸に平行な方向を「Z1方向」ということがある。X1軸およびY1軸を含むX1Y1平面は、表示装置1100の基板1110の第1面1111aに平行な面であるものとする。第1面1111aは、LED素子1120が配置された面である。X1軸は、LED素子1120が並ぶ行1120iに平行である。Y1軸は、X1軸に直交する。Z1軸は、X1軸およびY1軸に直交し、第1面1111aから第2面1111bに向かって正方向とする。第2面1111bは、基板1110の第1面1111aの反対側に位置する面である。
【0035】
X1Y1Z1直交座標系によれば、表示装置1100は、主として、Z1軸の負方向に向かって光を出射する。
【0036】
図2Aに示すように、表示装置1100は、X1Y1平面視で矩形の基板1110を有している。基板1110は、たとえばガラスやポリイミド等の樹脂を用いることができ、Si基板を用いてもよい。表示装置1100においては、基板1110の表面に対して法線方向に光軸C1を有する。
【0037】
図2Bに示すように、表示装置1100は、光源となる複数の画素1112を含んでいる。表示装置1100は、複数の画素1112により、所望の画像を表示する。表示装置1100は、図示しないコントローラに電気的に接続される。コントローラは、筐体1300内や筐体1300外に設けられ、表示装置1100が表示する画像に関するデータを供給する。表示装置1100は、コントローラから供給される画像に関するデータにもとづいて、静止画や動画等を表示する。
【0038】
表示装置1100は、基板1110と、複数の画素1112と、走査回路1130と、複数の走査線1140と、複数の点灯制御線1150と、駆動回路1160と、複数の信号線1170と、を含む。画素1112は、LED素子1120と、個別回路1180と、を含む。なお、図2Bでは、LED素子1120、走査回路1130、駆動回路1160、および個別回路1180は、図示の煩雑さを避けるため、それぞれ四角形で簡易的に示されている。
【0039】
複数のLED素子1120は、行列状に配列されている。以下、X1方向に1行で並ぶ複数のLED素子1120を「行1120i」と言う。
【0040】
図3Aに示すように、基板1110は、第1面1111aと第2面1111bとを有する。第2面1111bは、第1面1111aの反対側の面である。LED素子1120は、第1面1111a上に行列状に配置されている。LED素子1120は、第1面1111a上にフェースダウン実装される。LED素子は、フェースダウン実装に限らず、第1面1111a上にフェースアップ実装されてもよい。
【0041】
LED素子1120は、半導体積層体1121と、アノード電極1125と、カソード電極1126と、を有する。半導体積層体1121は、p型半導体層1122と、p型半導体層1122上に配置された活性層1123と、活性層1123上に配置されたn型半導体層1124と、を有する。半導体積層体1121には、たとえばInAlGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体が用いられる。LED素子1120が発光する光は、本実施形態では可視光である。
【0042】
アノード電極1125は、p型半導体層1122に電気的に接続される。また、アノード電極1125は、図5に関連して後述する個別回路1180の配線1181に電気的に接続される。なお、図3Aおよび図3Bに示す例では、個別回路1180は、Si基板に形成されている。カソード電極1126は、n型半導体層1124に電気的に接続される。また、カソード電極1126は、個別回路1180の別の配線1182に電気的に接続される。アノード電極1125およびカソード電極1126には、たとえば金属材料を用いることができる。
【0043】
LED素子1120の光出射面1124Sには、複数の凹部1124Tが設けられている。以下では、「LED素子の光出射面」とは、LED素子の表面のうち、主として光が出射する面を意味する。光出射面1124Sから出射された光は、結像素子310aに入射する。光出射面1124Sは、n型半導体層1124の一方の面である。より具体的には、光出射面1124Sは、n型半導体層1124が活性層1123に対向する面の反対側に位置する面である。
【0044】
光出射面1124Sに複数の凹部1124Tを形成する方法は、凸部が形成された成長基板上にn型半導体層を成長させる方法やn型半導体層の表面異方性エッチングにより粗面加工する方法等がある。
【0045】
このように、LED素子1120の光出射面1124Sに複数の凹部1124Tが設けられているので、LED素子1120は、より大きな配光角を有する光を出射することができる。
【0046】
LED素子の構成は、上記に限定されない。たとえば、LED素子の光出射面には複数の凹部ではなく複数の凸部が設けられていてもよいし、複数の凹部および複数の凸部の両方が設けられていてもよい。また、成長基板が透光性を有する場合、半導体積層体から成長基板を剥離せず、光出射面に相当する成長基板の表面に複数の凹部および複数の凸部の少なくとも一方を設けてもよい。
【0047】
また、表示装置1100の構造も、上記に限定されない。上記ではLED素子1120は個別回路1180を設けた基板1110上に個別実装されているが、LED素子1120は個別回路1180を設けた基板1110上にボンディングされた半導体積層体から個別に加工され配線されてもよい。
【0048】
図3Bは、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置の変形例を例示する模式的な断面図である。
図3Bは、図2BのIIIA-IIIA線における矢視断面図に対応しており、図3Aに示した位置と同じ位置における矢視断面図を表している。
図3Bに示すように、画素1112aは、LED素子1120aと、波長変換部材1128と、を含んでいる。画素1112aは、図2Bに示した画素1112と同様に、個別回路1180を含んでいる。画素1112aは、図3Bに示す例のように、カラーフィルタ1129をさらに含んでもよい。
【0049】
この変形例では、LED素子1120aは、半導体積層体1121aと、アノード電極1125と、カソード電極1126と、を有する。半導体積層体1121aは、p型半導体層1122と、活性層1123と、n型半導体層1124aと、を有する。活性層1123はp型半導体層1122上に配置され、n型半導体層1124aは活性層1123上に配置されている。n型半導体層1124aは、光出射面1124aSを有する。光出射面1124aSは、凹部や凸部を有しておらず平坦な面である。
【0050】
画素1112aでは、保護層1127は、LED素子1120a、配線1181、1182および基板1110の第1面1111aを覆っている。保護層1127には、たとえば、硫黄(S)含有置換基もしくはリン(P)原子含有基を有する高分子材料、または、ポリイミド等の高分子マトリックスに高屈折率の無機ナノ粒子を導入した高屈折率ナノコンポジット材料等の透光性材料を用いることができる。
【0051】
波長変換部材1128は、保護層1127上に配置される。波長変換部材1128は、一般的な蛍光体材料、ペロブスカイト蛍光体材料または量子ドット(Quantum Dot、QD)等の波長変換材料を1種以上含む。LED素子1120aから出射した光は、波長変換部材1128に入射する。波長変換部材1128に含まれる波長変換材料は、LED素子1120aから出射した光のピーク波長を異なるピーク波長の光に変換して出射する。波長変換部材1128に入射された光は、波長変換部材1128内で散乱されるので、波長変換部材1128が発する光は、より広い配光角で出射される。
【0052】
カラーフィルタ1129は、波長変換部材1128上に配置される。カラーフィルタ1129は、LED素子1120aから出射し、波長変換部材1128で波長変換されなかった光の大部分を遮断可能である。これにより、画素1112aからは、主に波長変換部材1128が発する光が出射する。
【0053】
この変形例においては、LED素子1120aの発光ピーク波長は、紫外光の領域であってもよいし、可視光の領域であってもよい。なお、少なくとも1つの画素1112aから青色光を出射させたい場合には、その画素1112aには、波長変換部材1128およびカラーフィルタ1129を設けずに、その画素1112aに属するLED素子1120aから青色光を出射させてもよい。
【0054】
また、LED素子において基板1110と対向するようにn型半導体層を設け、その上に活性層およびp型半導体層をこの順で積層し、p型半導体層において活性層と対向する面の反対側の面を、LED素子の光出射面としてもよい。
【0055】
図2Bに示すように、走査回路1130は、たとえば、平面視において行列状に配列された複数のLED素子1120とX1方向において隣り合うように基板1110に設けられている。走査回路1130は、駆動する行1120iをY1方向に順次切り替え可能な回路である。走査回路1130からは、複数の走査線1140がX1方向に延びている。また、走査回路1130からは、複数の点灯制御線1150がX1方向に延びている。複数の走査線1140および複数の点灯制御線1150は、Y1方向に交互に並んでいる。
【0056】
駆動回路1160はX1Y1平面視において、行列状に配列された複数のLED素子1120とY1方向において隣り合うように基板1110に設けられている。駆動回路1160は、駆動させる行1120iに属するLED素子1120のそれぞれの出力を制御可能な回路である。駆動回路1160からは、複数の信号線1170がY1方向に延びている。複数の信号線1170は、X1方向に並んでいる。駆動回路1160は、ICチップにより構成し、このICチップを基板1110上に実装してもよい。
【0057】
走査回路1130、複数の走査線1140、複数の点灯制御線1150、駆動回路1160、複数の信号線1170および個別回路1180は、たとえば、基板1110上に低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicon)プロセスで形成され得る。
【0058】
この例では、1つの画素1112は、1つの個別回路1180と1つのLED素子1120とを含んでいる。1つの画素1112内に、複数のLED素子1120を含んでもよい。1つの画素1112内に複数のLED素子1120を含む場合には、1つの個別回路が複数のLED素子に対応してもよい。あるいは、個別回路1180は、1つの画素1112内でLED素子1120ごとに設けられてもよい。
【0059】
図4は、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置を例示する模式的な等価回路図である。
図4に示すように、個別回路1180は、第1トランジスタT1と、第2トランジスタT2と、第3トランジスタT3と、キャパシタCmと、複数の配線1181~1185と、を含む。第1トランジスタT1および第3トランジスタT3は、nチャネルのMOSFETである。第2トランジスタT2は、pチャネルのMOSFETである。
【0060】
LED素子1120のカソード電極1126は、配線1182を介して接地線1191に電気的に接続される。接地線1191には、たとえば基準となる電圧が印加される。LED素子1120のアノード電極1125は、配線1181を介して第1トランジスタT1のソース電極に電気的に接続される。
【0061】
第1トランジスタT1のゲート電極は、点灯制御線1150に電気的に接続される。第1トランジスタT1のドレイン電極は、配線1183を介して第2トランジスタT2のドレイン電極に電気的に接続される。第2トランジスタT2のソース電極は、配線1184を介して電源線1192に電気的に接続される。電源線1192には、基準となる電圧よりも十分に高い電圧が印加される。図示しないが、電源線1192および接地線1191には直流電源が接続され、電源線1192と接地線1191との間には、接地線1191に印加される基準の電圧に対して正の直流電圧が印加される。
【0062】
第2トランジスタT2のゲート電極は、配線1185を介して第3トランジスタT3のドレイン電極に電気的に接続される。第3トランジスタT3のソース電極は、信号線1170に電気的に接続される。第3トランジスタT3のゲート電極は、走査線1140に電気的に接続される。
【0063】
配線1185は、キャパシタCmの一方の端子に電気的に接続される。キャパシタCmの他方の端子は、電源線1192に電気的に接続される。
【0064】
走査回路1130は、複数の行1120iのうちの1行を選択し、この行1120iに電気的に接続される走査線1140に、ON信号を出力する。これにより、この行1120iに対応する個別回路1180の第3トランジスタT3がON可能な状態になる。駆動回路1160は、各信号線1170に、この行1120iに属する各LED素子1120の設定出力に応じた駆動信号電圧を有する駆動信号を出力する。これにより、キャパシタCmに駆動信号電圧が保持される。また、この駆動信号電圧により、この行1120iに対応する個別回路1180の第2トランジスタT2がON可能な状態になる。
【0065】
また、走査回路1130は、この行1120iに電気的に接続される点灯制御線1150に、この行1120iの第1トランジスタT1のONとOFFを順次切り替える制御信号を出力する。第1トランジスタT1がONの状態では、この行1120iに属する各LED素子1120に、キャパシタCmに保持されている駆動信号電圧に応じた電流が流れることでLED素子1120の発光輝度が制御される。また、第1トランジスタT1のONとOFFが切り替わることにより、LED素子1120の発光期間が行1120iごとに制御される。
【0066】
走査回路1130は、ON信号を出力する走査線1140および制御信号を出力する点灯制御線1150をY1方向に順次切り替える。これにより、駆動される行1120iがY1方向に順次切り替わる。
【0067】
走査回路、複数の走査線、複数の点灯制御線、駆動回路、複数の信号線および複数の個別回路等の構成は、上記に限定されない。たとえば、個別回路は、第2トランジスタ、第3トランジスタ、キャパシタ、および配線からなり、第1トランジスタが設けられておらず、走査回路からは、複数の走査線が延び、点灯制御線は設けられていなくてもよい。また、各走査線、各点灯制御線、各信号線、および各個別回路における配線等は、基板の表面上ではなく、基板の中に設けられてもよい。また、駆動回路に含まれるトランジスタやキャパシタ等の電気的な素子は、基板上に形成するのではなく別途製造されたものを、基板上に実装してもよい。また、LED素子は、別途製造されたものを基板に実装するのではなく、基板にSi等の半導体材料を用い、LED素子を基板上に形成してもよい。この場合は、各トランジスタ素子はガラス製の基板1110上に設けられた低温ポリシリコン素子ではなく、シリコン製の基板1110上に設けられたシリコン半導体素子でよい。
【0068】
上述のようなLED素子を有する表示装置は、小さな消費電力で十分な発光輝度が実現される点で好ましいが、これに限るものではない。上述のようなLED素子を用いたLEDディスプレイに代えて、表示装置は、OLEDディスプレイや液晶ディスプレイ等としてもよい。
【0069】
次に、結像素子310aの構成について、詳細に説明する。
図5は、画像表示装置の一部である結像素子を例示する模式的な平面図である。
図1に示したように、本実施形態に係る画像表示装置1000は、結像素子310aを備える。結像素子は、その構成によりさまざまなバリエーションがあり、図1に示した結像素子310aは、そのうちの1つである。以下では、空中に結像を形成する結像素子の動作原理を含めて説明する。まず、結像素子10の構成および動作について説明する。
【0070】
図5に示すように、結像素子10は、基材12と、リフレクタアレイ20と、を備える。基材12は、第1面11aを有しており、リフレクタアレイ20は、第1面11a上に設けられている。図5に示した例では、リフレクタアレイ20は、第1面11aのリフレクタ形成領域14内に設けられている。リフレクタアレイ20は、複数のリフレクタ行22を含む。なお、リフレクタアレイ20は基材12に設けられていてもよい。つまりリフレクタアレイ20と基材12とは一体であってもよい。この場合、基材12の第1面11aが後述するリフレクタアレイ20の2面直交リフレクタとなる。
【0071】
基材12の構成について説明する。
図6は、図5の結像素子の一部である基材を例示する模式的な斜視図である。
図6に示すように、基材12は、第1面11aおよび第2面11bを有している。第2面11bは、第1面11aの反対側に位置する面である。
【0072】
結像素子に関する説明では、図2A等で示した表示装置1100の説明における3次元直交座標系とは異なる3次元直交座標系を用いることがある。結像素子の説明のための3次元直交座標系は、X2軸、Y2軸およびZ2軸を含む直交座標系である。X2軸に平行な方向を「X2方向」といい、Y2軸に平行な方向を「Y2方向」といい、Z2軸に平行な方向を「Z2方向」ということがある。X2軸およびY2軸を含むX2Y2平面は、仮想平面P0に平行な平面として定義される。第1面11aは、第2面11bよりもZ2軸の正方向の側に設けられる。第1面11aは、Y2Z2平面視で、Z2軸の負方向側に凸となる円弧の一部を含んでいる。以下で説明する具体例では、仮想平面P0は、この円弧の一部のうち、Z2軸のもっとも負方向側に位置する点に接する接平面に平行な仮想的な面である。
【0073】
上述したように、第1面11aは曲面であり、リフレクタアレイ20は、曲面上に設けられている。仮想平面P0は、リフレクタ行22のY2軸方向の傾きを設定するときの基準面となる。換言すると、リフレクタ行22は、仮想平面P0に対して設定された角度で、第1面11a上に設けられている。
【0074】
基材12は、透光性を有する材料で形成されており、たとえば、透明樹脂で形成される。
【0075】
結像素子10では、基材12を基準にして第1面11a側に光源を配置すると、第2面11b側ではなく、光源を配置した第1面11a側に結像が形成される。結像が形成される位置は、光源が設けられた位置から十分に離れた位置であって、光源が設けられた位置とは異なる位置とすることができる。
【0076】
図5に戻って説明を続ける。
リフレクタ行22は、X2方向に沿って設けられている。複数のリフレクタ行22は、Y2方向に沿って、互いにほぼ平行になるように設けられている。複数のリフレクタ行22は、隣り合ったリフレクタ行22ごとにY2方向に間隔23をあけて、ほぼ等間隔で配列されている。リフレクタ行22の間隔23のY2方向の長さは、任意の長さとすることができ、たとえば、リフレクタ行22のY2方向の長さ程度とすることができる。リフレクタ行22の間隔23を形成する領域には、第1面11a側に光源を配置した場合に、リフレクタ行22で反射しない光線やリフレクタ行22で1回反射した反射光等が入射される。これらの光線等は、結像に寄与しないため、この間隔23を広くとると、結像素子10に入射される光線のうち結像に寄与する割り合いが小さくなる。そのため、間隔23のY2方向の長さは、図7に関連して後述する2面直交リフレクタ30の寸法や反射面の効率等に応じて、適切な長さとされる。
【0077】
リフレクタ行22のそれぞれは、X2方向に接続された多数の2面直交リフレクタを含んでいるため、図5では、煩雑さを回避するために塗りつぶされて示されている。なお、図5に示した例では、結像素子10はX2方向に横長の形状をしている。これは、結像を両眼で視認するためには有利だからである。結像素子10のX2Y2平面視での形状は、これに限らず、用途に応じて、Y2方向に縦長の形状を選択してもよい。
【0078】
なお、図1に示した画像表示装置1000のように、結像素子310aの第1面311aの法線方向に空中画像を結像させる場合には、隣り合うリフレクタ行22の間隔を設けなくてもよい。また、隣り合うリフレクタ行22の間隔を設ける場合に、設けた間隔を反射面にしてもよい。
【0079】
図7は、図5のVII部の模式的な拡大図である。
図7に示すように、リフレクタ行22は、複数の2面直交リフレクタ30を含む。複数の2面直交リフレクタ30は、X2方向に沿って相互に接続され、連続して設けられている。2面直交リフレクタ30は、第1反射面31および第2反射面32を含む。2面直交リフレクタ30は、図6に示した第1面11a上に形成された基部36上に設けられている。第1反射面31および第2反射面32は、それぞれの正面視で、ほぼ正方形とされ、正方形のそれぞれの1辺で反射面同士が谷の向きにほぼ直交するように接続されている。
【0080】
以下、2面直交リフレクタ30において、第1反射面31と第2反射面32との接続線を、谷側接続線33というものとする。谷側接続線33の反対側の位置の第1反射面31の辺、および、谷側接続線33の反対側の位置の第2反射面32の辺をそれぞれ山側接続線34というものとする。
【0081】
2面直交リフレクタ30の第1反射面31は、山側接続線34で、X2軸の負方向側に隣接する2面直交リフレクタ30の第2反射面32に接続される。2面直交リフレクタ30の第2反射面32は、山側接続線34で、X2軸の正方向側に隣接する他方の2面直交リフレクタ30の第1反射面31に接続される。このようにして、複数の2面直交リフレクタ30は、X2方向に沿って相互に接続され、連続して設けられている。
【0082】
本実施形態の結像素子10では、第1反射面31および第2反射面32の寸法は、たとえば、数μmから数100μmとすることができる。たとえば、表示する空中画像の大きさや解像度等に応じて、2面直交リフレクタ30の集積数が設定される。たとえば、1つの結像素子10の中には、数10~数1000個の2面直交リフレクタ30が集積される。たとえば100μm角の反射面を有する1000個の2面直交リフレクタを、Y2方向14cm程度にわたって配列することができる。
【0083】
結像素子10のリフレクタ行22は、図7に示した拡大図のように、谷側接続線33および山側接続線34のX2軸方向の位置が同じになるように配置されている。これに限らず、リフレクタ行22ごとに谷側接続線33および山側接続線34のX2軸方向の位置をずらしてもよい。
【0084】
図8Aは、図7の結像素子の一部である2面直交リフレクタを例示する模式的な平面図である。
図8Bは、図8AのVIIIB-VIIIB線における模式的な矢視断面図の例である。
図8Aおよび図8Bに示すように、2面直交リフレクタ30は、第1反射面31および第2反射面32を含んでおり、第1反射面31および第2反射面32は、基部36上に設けられている。基部36は、第1反射面31および第2反射面32が、第1面11aの接平面Pに対して所望の角度となるように設けられている。
【0085】
基部36は、V字状に成形された透光性を有する部材であり、たとえば透明樹脂で形成され、基材12と一体で成形される。第1反射面31および第2反射面32は、基材12のV字成形箇所に光反射性を有する金属材料等の薄膜形成等により形成される。このような例に限らず、第1反射面31、第2反射面32、基部36および基材12は、それぞれあるいは一部が別体で形成されて、それらを1つに組み立てて、結像素子10を形成するようにしてもよい。また、透明樹脂の表面がたとえば鏡面加工等されており、透明樹脂の表面反射率が十分に高い場合には、第1反射面31および第2反射面32は、透明樹脂の表面のままとすることもできる。間隔23や基部36は、虚像観測防止等のために、光透過性や光吸収性をもたせることが好ましい。
【0086】
2面直交リフレクタ30は、以下のように形成してもよい。透明樹脂の表面に第1反射面31および第2反射面32を形成する。形成した第1反射面31および第2反射面32が空気中に露出し、第1反射面31および第2反射面32を形成した面の反対の面から光が入射するように配置する。こうすることで、透明樹脂と空気の屈折率差によって、第1反射面31および第2反射面32を全反射面として機能させることができる。
【0087】
第1反射面31および第2反射面32は、谷側接続線33でほぼ直交するように接続されている。第1反射面31において、谷側接続線33の反対側の位置に山側接続線34があり、第2反射面32において、谷側接続線33の反対側の位置に山側接続線34がある。
【0088】
谷側接続線33の端部を頂点33a、33bと呼ぶ。頂点33aの位置は、頂点33bの位置よりも、Z2軸の正方向の側とされる。つまり、頂点33aは、頂点33bよりも基材12から離れた位置とされている。山側接続線34の端部を頂点34a、34bと呼ぶ。頂点34aの位置は、頂点34bの位置よりも、Z2軸の正方向の側とされる。つまり、頂点34aは、頂点34bよりも基材12から離れた位置とされている。したがって、頂点34aは、もっとも基材12から離れた位置となり、頂点33bは、もっとも基材12に近い位置に配置されることとなる。
【0089】
図8Bには、2面直交リフレクタ30、第1面11aと接平面Pとの関係が示されている。2面直交リフレクタ30は、谷側接続線33の下側の頂点33bで第1面11aに接している。接平面Pは、頂点33bの位置における第1面11aに接する平面である。2面直交リフレクタ30は、谷側接続線33が接平面Pと角度θをなすように第1面11a上に設けられる。
【0090】
図8Cおよび図8Dは、図8Aの2面直交リフレクタの動作を説明するための模式的な斜視図である。
図8Cに示すように、光線LLが第1反射面31に入射すると、光線LLは、第1反射面31によって反射される。第1反射面31によって反射された1回反射光LR1は、第2反射面32によって再度反射される。第2反射面32によって反射された2回反射光LR2は、入射光の光源と同じ側に出射される。このようにして、2面直交リフレクタ30は、第1面11a側からの入射光を第1面11a側であって、光源の位置とは異なる位置に向かって出射する。2面直交リフレクタ30は、このように、2つの反射面で2回反射して、入射する光線LLの進行してきた側に2回反射光LR2を反射する。
【0091】
2面直交リフレクタ30の反射動作は、可逆的である。2面直交リフレクタ30に入射する光線は、図8Cにおいて、2回反射光LR2に沿って逆方向から入射した場合には、入射する光線LLに沿って逆方向に反射される。具体的には、図9Dに示すように、2面直交リフレクタ30に入射した光線LLは、第2反射面32で反射され、1回反射光LR1として、第1反射面31に入射する。1回反射光LR1は、第1反射面31で反射されて2回反射光LR2として出射する。
【0092】
図7図8Aに示したように、2面直交リフレクタ30は、谷側接続線33を基準に線対称であり、接平面Pに対する第1反射面31の角度は、接平面Pに対する第2反射面32の角度とほぼ等しくなるように配置される。そのため、2面直交リフレクタ30は、光線が最初に第1反射面31に入射する場合と、光線が最初に第2反射面32に入射する場合とでは、同様の動作をして反射光を出射する。たとえば、図8Cでは、光線LLは、最初に第1反射面31に入射し反射されるものとしたが、最初に第2反射面32に入射し反射される場合であっても、2面直交リフレクタ30の動作は、上述と同様に説明することができる。また、図8Dでは、光線LLは、最初に第1反射面31に入射して、第1反射面31による1回反射光が第2反射面32で反射されて第2反射光として出射されてもよい。以下では、結像素子の動作を説明する場合には、特に断らない限り、最初に第1反射面31で反射する場合について説明することとする。
【0093】
図9は、図5の結像素子を例示する模式的な側面図である。
図9では、リフレクタアレイ20は、図8Aおよび図8Bに示した2面直交リフレクタ30の頂点33aを結んだ包絡線で示されている。以降、結像素子を表す側面図において、2面直交リフレクタ30の構成を示して説明する必要がない場合には、図9に示したように、リフレクタアレイ20は、2面直交リフレクタ30の頂点33aの包絡線を1点鎖線にして表すこととする。
【0094】
図9に示すように、結像素子10では、第1面11aが曲面であるため、リフレクタアレイ20は、曲面状に設けられている。第1面11aは、Y2Z2平面視でZ2軸の負方向側に凸となる円弧の一部を含んでおり、リフレクタアレイ20もこの円弧状に設けられ、頂点の包絡線も円弧となる。円弧の半径は、結像素子10と結像素子10の第1面11a側に設けられる光源との距離にもとづいて設定される。たとえばリフレクタアレイ20の円弧の半径は、結像素子10と光源との間の距離の2倍程度とされる。
【0095】
図8Cおよび図8Dに関連して説明したように、結像素子10は、光線の入射および反射の方向について、可逆性を有している。結像素子10において、入射および反射の方向を逆にした場合には、円弧の半径は、結像素子10と第1面11a側に形成される結像との距離にもとづいて設定される。上述と同様に、リフレクタアレイ20の円弧の半径は、結像素子10と結像との間の距離の2倍程度とされる。
【0096】
結像素子10では、第1面11aに接する接平面のうち、Z2軸方向の負方向側のもっとも低い位置に接する接平面は、X2Y2平面に平行な仮想平面P0である。
【0097】
図10は、図5の結像素子を例示する模式的な側面図である。
図10には、図5および図7に示したリフレクタ行22を構成する1つの2面直交リフレクタが示されている。図5および図7に関連して説明したように、複数のリフレクタ行22のそれぞれは、X2方向に沿って設けられ、Y2方向にほぼ等間隔で配列されている。1つのリフレクタ行22を構成する複数の2面直交リフレクタの仮想平面P0に対する角度は、ほぼ同じとされる。したがって、仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30の角度は、その2面直交リフレクタ30が属するリフレクタ行22の仮想平面P0に対する角度を表す。
【0098】
図10では、Y2方向に配列された多数個の2面直交リフレクタのうち、5個の2面直交リフレクタ30-1~30-5が拡大されて模式的に示されている。Y2軸における位置を区別するために符号を変えてあるが、2面直交リフレクタ30-1~30-5の構成は、図8Aおよび図8Bに関連して説明した2面直交リフレクタ30と同じである。図8Bに示した基部36の表記は、図10では、図示の煩雑さを回避するために図示を省略している。
【0099】
図10に示すように、2面直交リフレクタ30-1~30-5は、第1面11aのY2軸における位置に応じて、仮想平面P0に対する角度Θ1~Θ5が異なっている。2面直交リフレクタ30-1~30-5のそれぞれの角度Θ1~Θ5は、仮想平面P0に対する谷側接続線(直線)33-1~33-5の角度で表される。
【0100】
図10に示した例では、2面直交リフレクタ30-1~30-5は、Y2軸の正方向に向かって、この順に配置されている。2面直交リフレクタ30-1~30-5の角度Θ1~Θ5は、この順に大きな値に設定される。つまり、角度Θ1~Θ5の大きさは、Θ1<Θ2<Θ3<Θ4<Θ5とされる。
【0101】
より一般化して換言すると、2面直交リフレクタ30-1~30-5の角度Θ1~Θ5は、もっとも小さい値に設定された2面直交リフレクタのリフレクタ行(第1リフレクタ行)22を基準にして、Y2軸上を一方向に向かって離れるほど大きい値である。また、角度Θ1~Θ5は、基準とされたリフレクタ行22からY2軸上を他方向に向かって離れるほど小さい値である。図11の例では、もっとも小さい角度に設定された2面直交リフレクタ30-1の位置を基準とすると、Y2軸の正方向に向かって、角度Θ1~Θ5の大きさは、Θ1<Θ2<Θ3<Θ4<Θ5となる。
【0102】
2面直交リフレクタの角度Θ1~Θ5は、0°<Θ1~Θ5<90°とすることができる。第1反射面31と仮想平面P0とのなす角は、角度Θ1~Θ5にそれぞれ連動して決定されるが、45°<(第1反射面31と仮想平面P0とのなす角)<90°とすることができる。第2反射面32と仮想平面P0とのなす角は、第1反射面31と仮想平面P0とのなす角と等しい。したがって、45°<(第2反射面32と仮想平面P0とのなす角)<90°となる。
【0103】
2面直交リフレクタ30-1~30-5のそれぞれの傾きは、2面直交リフレクタ30-1~30-5が配置された第1面11aにおける接平面P1~P5に対する角度でも設定される。2面直交リフレクタ30-1~30-5の接平面P1~P5に対する角度は、2面直交リフレクタ30-1~30-5のY2軸における位置によらず、一定の角度θとされる。たとえば、角度θは、コーナーキューブリフレクタの各反射面が水平面となす角度にもとづいており、30°程度とされ、より詳細には、35.3°とされる。
【0104】
この例の結像素子10では、2面直交リフレクタ30-1~30-5の角度Θ1~Θ5は、基材12を基準としたときに、第1面11a側に設けられた光源から入射される光線を、第1面11a側に結像させるように適切に設定される。結像位置は、光源の位置と異なる空中とされる。仮想平面P0に対する2面直交リフレクタの角度は、たとえば実験やシミュレーション等によって決定される。
【0105】
仮想平面P0に対する2面直交リフレクタの角度は、Y2軸における位置に応じて大きくなるように設定され、あるいは、Y2軸における位置に応じて小さくなるように設定されればよいので、第1面11aは真円の円弧の一部でなくてもよい。たとえば、第1面11aは、楕円の円弧の一部であってもよいし、リフレクタ行の行数に応じた多角形の一部であってもよい。また、2面直交リフレクタの角度は、2面直交リフレクタのY2軸における位置に応じて角度を設定できればよいので、仮想平面P0を基準とせずに、仮想平面P0に対して任意の角度をなす他の平面を基準にしてもよい。
【0106】
結像素子の変形例について説明する。
図11Aは、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の変形例を例示する模式的な側面図である。
図11Bは、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の他の変形例を例示する模式的な側面図である。
仮想平面P0に対する2面直交リフレクタの角度を、図5に示した結像素子10と同様に設定できれば、リフレクタアレイ20は、曲面上に形成される必要はなく、1つの平面上に設けられるようにしてもよい。
図11Aおよび図11Bでは、図10に関連して説明した場合と同様に、5個の2面直交リフレクタ30-1~30-5が拡大されて模式的に示されている。5個の2面直交リフレクタ30-1~30-5は、それぞれが配置された位置に応じた傾きが併せて示されている。
【0107】
図11Aに示すように、本変形例の結像素子310は、リフレクタアレイ20と、基材312と、を備える。基材312は、第1面311aおよび第2面311bを有する。第2面311bは、第1面311aの反対側の位置に設けられている。第1面311aは、X2Y2平面にほぼ平行な平面である。第1面311aは、仮想平面P0としてもよい。基材312は、図10に示した例の場合と同様に、たとえば透光性を有する材料で形成される。
【0108】
仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30-1~30-5の角度は、それぞれΘ1~Θ5であり、角度Θ1~Θ5の大きさは、Θ1<Θ2<Θ3<Θ4<Θ5となる。2面直交リフレクタ30-1~30-5のY2軸における位置は、図10に示した2面直交リフレクタ30-1~30-5のY2軸における位置と同じである。したがって、図10の場合のY2軸における位置に応じた円弧の接平面P1~P5とした場合に、2面直交リフレクタ30-1~30-5と接平面P1~P5のなす角は、すべて同じ値の角度θとなる。
【0109】
図11Bに示すように、本変形例の結像素子310aは、リフレクタアレイ20と、基材312と、を備え、保護層314をさらに備える。リフレクタアレイ20および基材312の構成は、図11Aに関連して説明した結像素子310と同じである。保護層314は、リフレクタアレイ20および第1面311aを覆うように設けられる。
【0110】
保護層314は、保護層314を介して光線が結像素子310aに入射された場合に、光線の透過量がほぼ一定となるように、光透過性の高い材料が用いられる。保護層314の表面313aも入射された光線の屈折角がほぼ一定となるように、十分な平坦性を有することが好ましい。
【0111】
本変形例では、基材312を平板とすることができるので、第1面や第2面を曲面とすることにともなう基材の厚みを低減することができるので、結像素子310、310aを薄型化することが可能になる。図11Aに示した結像素子310は、基材312の第1面311aにリフレクタアレイ20が形成され、第2面311bは、フラットな面を有する部材である。そのため、樹脂基材を用いたプレス機による生産に好適である。また、結像素子310は、ロール・ツー・ロール方式による生産が容易であるなど、生産面における優位性を有している。ロール・ツー・ロール方式とは、ロール状に巻かれた基材の材料を連続的に工程に供給して加工や処理等を行う生産方式である。ロール・ツー・ロール方式は、板状やフィルム状の樹脂成型品の生産等に一般的に利用されている。
【0112】
本実施形態に係る画像表示装置1000では、図11Bに示した結像素子310aを備える。これに限らず、画像表示装置は、上述した結像素子10、310のいずれかを備えるようにしてもよい。なお、結像素子10、310、310aの構成要素は、適宜組み合わせることができる。たとえば、結像素子10の第1面11a側に保護層314を設けるようにしてもよい。
【0113】
次に、結像素子の動作について動作原理を含めて説明する。以下では、特に断らない限り、図5図10に関連して説明した結像素子10について説明する。変形例の結像素子310、310aの動作は、結像素子10の場合と同様に理解することができる。
【0114】
図12は、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な平面図である。
図12に示すように、第1反射面31および第2反射面32は、ほぼ直交して配置され谷側接続線33で接続されている。頂点33bは、Z2方向の最小値となるように配置されている。
【0115】
第1反射面31に入射する光線LLは、第1反射面31で反射される。第1反射面31で反射された1回反射光LR1は、第2反射面32で反射される。2面直交リフレクタ30では、コーナーキューブリフレクタ(たとえば、特許文献2)とは異なり、3つ目の反射面を有していないので、第2反射面32によって反射された2回反射光LR2は、そのまま直進する。ここで、谷側接続線33は、X2Y2平面に対して所定の角度で設けられているので、2面直交リフレクタ30から出射される2回反射光LR2は、光線LLが入射される側と同じ側に出射される。
【0116】
図13および図14は、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な側面図である。
図13の例では、光源Sは、第1面11aの側であって、仮想平面P0の法線方向に配置される。なお、図11Aおよび図11Bに示した変形例の結像素子310、310aの場合には、光源は、第1面311aの側であって、第1面311aの法線方向に配置される。
図13に示すように、結像素子10では、第1面11aは、YZ平面視でZ2軸の負方向側に凸となるように、円弧の一部として設定される。2面直交リフレクタ30-1~30-3は、第1面11a上に配置される。仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30-1~30-3の傾きを表す角度Θ1~Θ3は、図13に示した例では、Y2軸の正方向に向かって大きくなるように設定されている。このように角度Θ1~Θ3を設定することによって、2面直交リフレクタ30によって2回反射された2回反射光LR2は、光源Sが設けられた第1面11a側で結像Iを形成する。
【0117】
結像素子10は、光源Sの位置と結像Iの位置とを入れ替えても動作する。
図14では、2面直交リフレクタ30-1~30-3の構成や、2面直交リフレクタ30-1~30-3、第1面11aおよび仮想平面P0の関係は、図14に関連して説明した場合と同じである。
図14に示すように、光源Sは、図13に関連して説明した場合の結像Iの位置に設けられており、このときには、図13の場合の光源Sの位置に結像Iが形成される。光源Sから出射された光線LLは、2面直交リフレクタ30-1~30-3でそれぞれ2回反射されて、2回反射光LR2は、結像Iの位置で結像する。つまり、図14に示した例では、結像Iは、第1面11aの側であって、仮想平面P0の法線方向に形成される。なお、図11Aおよび図11Bに示した変形例の結像素子310、310aの場合には、結像は、第1面311aの側であって、第1面311aの法線方向に形成される。
【0118】
光源Sがいずれの位置の場合であっても、実験やシミュレーション等を用いることによって、2面直交リフレクタに入射した光線を2回反射して所望の位置に結像させるように、2面直交リフレクタの角度を適切に設定することができる。たとえば、図13に示した実施形態の場合では、光源Sは、リフレクタアレイのほぼ直上とされ、図14に示した実施形態の場合では、結像Iが形成される位置が、リフレクタアレイのほぼ直上とされている。2面直交リフレクタの仮想平面P0に対する角度を適宜調整して設けることで、これらの光源Sや結像Iの位置を適宜変更することも可能である。このような設計変更に際しては、光線追跡シミュレーションなどの光線解析ツールを有効に活用することができる。
【0119】
本実施形態に係る画像表示装置1000では、リフレクタアレイの直上に結像が形成される。この場合においても、光源である表示装置1100の位置と結像Iが形成される位置とを入れ替えることが可能である。なお、図1の画像表示装置1000において、表示装置1100の位置と結像が形成される位置とを入れ替えた場合には、入れ替え後の光路に応じて、筐体および光透過性部材の構成を変更する必要があることは言うまでもないことである。
【0120】
図1に戻って、本実施形態に係る画像表示装置1000の一連の動作を説明すると、以下のようになる。すなわち、表示装置1100から出射された光Lは、結像素子310aに入射する。結像素子310aは、入射した光Lを、リフレクタアレイの2面直交リフレクタ30の2つの反射面31、32で順次反射する。結像素子310aは、入射した光の2回反射光である反射光Rを結像素子310aの直上に出射する。
【0121】
結像素子310aから出射された反射光Rは、筐体1300に設けられた光透過性部材1320を介して筐体1300から出射され、観測者O1と光透過性部材1320との間で結像I1を形成する。光透過性部材1320に入射する反射光Rおよびその他の光は、着色部1321aによって減衰される。反射光R以外の光は、着色部1321aからほとんど出射されない。表示装置1100は、LED素子を画素に有しており、表示装置1100が出射する光Lの輝度および結像素子310aが反射する反射光Rの輝度は、十分に高い。そのため、観測者O1は、着色部1321aを透過しても十分なコントラストで形成された結像I1を観測することができる。
【0122】
(変形例)
図15は、第1の実施形態の変形例に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図1に示した画像表示装置1000の場合には、筐体1300の内壁に遮光部材1310が配置され、表示装置1100および結像素子310aを筐体1300内に収納するものとしたが、これに限らない。以下説明する変形例に係る画像表示装置1000aは、筐体1300aとは別に遮光部材1310aを備える。
【0123】
図15に示すように、変形例に係る画像表示装置1000aは、結像素子310aと、表示装置1100と、筐体1300aと、遮光部材1310aと、光透過性部材1320と、を備える。結像素子310a、表示装置1100および光透過性部材1320の構成は、図1に示した第1の実施形態に係る画像表示装置1000と同じである。第1の実施形態に係る画像表示装置1000と同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0124】
画像表示装置1000aでは、筐体1300aは、表示装置1100の周囲に設けられている。表示装置1100は、筐体1300aの内部の天井部分に配置された制御装置1400を介して筐体1300aの内部に配置されている。遮光部材1310aは、表示装置1100と光透過性部材1320との間に配置される。この例では、遮光部材1310aは、筐体1300aとは別体として設けられている。遮光部材1310aは、板状の部材であり、たとえば、表面に光を吸収する黒色塗料が塗布された板材である。遮光部材1310aは、表示装置1100の周辺に漏れた光を遮光するように配置されている。
【0125】
この例の場合に限らず、遮光部材は、表示装置1100の周囲の全体を囲み、表示装置1100の光Lの出射面1101Sを開口するように設けられた円筒状の部材であってもよい。たとえば、表示装置1100が画素1112等を含む構造体をケースに収納している場合に、ケースの内壁を黒色塗装したり、黒色樹脂で形成されたケースを用いることによって、表示装置1100自体に遮光部材の機能をもたせるようにしてもよい。
【0126】
光透過性部材1320は、筐体1300aの一部に設けられている。より具体的には、光透過性部材1320は、筐体1300aの一部に形成された窓枠1322の位置に配置されている。筐体1300aにおいて、窓枠1322を大きく開口し、光透過性部材1320の面積を大きくすることによって、画像表示装置1000aが空中に大きな画像を表示することが可能になる。一方で、開口された窓枠1322の面積および光透過性部材1320の面積を大きくすることによって、筐体1300a内に配置された表示装置1100からの光の漏れも光透過性部材1320を介して筐体1300aの外部へ漏れやすくなると考えられる。本変形例では、表示装置1100と光透過性部材1320との間に遮光部材1310aを配置することによって、光の漏れを観測者O1に観測させることを防止し、より大きな画像を空中に表示させることが可能になる。
【0127】
本実施形態に係る画像表示装置1000および変形例に係る画像表示装置1000aの効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置1000は、結像素子310aを備える。図7および図11B等に示したように、結像素子310aでは、仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さく設定される。その上で、仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30の角度は、2面直交リフレクタ30がY2軸方向に配置された位置に応じて、異なるように設定され、基準の位置の2面直交リフレクタ30からY2軸方向の一方向に離れるにしたがって、大きく設定され、Y2軸方向の他方向に離れるにしたがって、小さく設定される。このように設定することによって、基材312を基準にしたときに、第1面311a側からの光線を2回反射して、第1面311a側に結像させることができる。
【0128】
結像素子310aでは、2面直交リフレクタ30の仮想平面P0に対する角度を適切に設定することによって、基材312を基準に第1面311a側の任意の位置に表示装置1100を配置し、リフレクタアレイの直上の所望の位置に結像I1を形成することができる。
【0129】
図16Aおよび図16Bは、第1の実施形態に係る画像表示装置の動作を説明するための模式図である。
表示装置1100から出射された光は、結像素子310aで2回反射されて空中に結像し、表示装置1100が出力する画像が空中表示される。画像を空中表示するか否かは、表示装置1100の出力を制御することによって容易に実現される。画像表示装置1000は、たとえば、車両のインストルメントパネルの表示に応用することができる。
【0130】
図16Aおよび図16Bには、車両1の運転席に着席した運転者が見る視覚情報を模式的に示している。車両1に着席した運転者は、前方のフロントガラス4から走行前方の情景を見ながら車両1を運転する。フロントガラス4の下方には、ダッシュボード2が配置され、図1に示した画像表示装置1000は、ダッシュボード2の内部に収納されている。運転者の前方のダッシュボード2には、画像表示装置1000の光透過性部材1320が配置されている。なお、この例では、光透過性部材1320は、ダッシュボード2と同じ模様が施されている。
【0131】
図16Aに示すように、速度表示や燃料残量、バッテリ残量等の情報は、必要に応じて、光透過性部材1320を介して空中に表示される。この例では、ステアリング6が運転者の前方に配置されており、空中表示される結像I1は、ステアリング6よりもダッシュボード2側とすることもでき、ステアリング6よりも運転者側とすることもできる。
【0132】
図16Bに示すように、速度表示等の情報は、必要のない場合には、非表示とすることができる。結像I1の空中表示を非表示とすることによって、たとえば、運転者は運転に集中することができる。或いは、必要のない情報を非表示とすることによって、自動運転時に、より快適な空間を演出することができる。
【0133】
結像I1の表示や非表示は、たとえば運転者の操作によって切り替えることができる。運転者の操作は、たとえば、運転者によるボタン操作やキー操作、運転者の音声を認識すること等とすることができる。結像I1の表示や非表示は、他のトリガによって切り替えるようにしてもよい。たとえば、結像I1の情報を速度表示とする場合には、速度が所定の速度に達した場合をトリガとすることができる。結像I1の情報を燃料残量やバッテリ残量とする場合には、これらの残量が所定値や所定割り合いに達した場合をトリガとすることができる。これらは一例であり、取得できる定量的な情報にもとづいて、任意の情報表示を適切に設定することができる。
【0134】
本実施形態に係る画像表示装置1000は、着色部1321aを有する光透過性部材1320を備える。着色部1321aは、表示装置1100が出射するの光のうち少なくとも一部の波長を有する光の透過を制御する。黒色の着色部1321aの場合には、ほぼすべての波長を有する光の輝度を減衰するように制御する。黒色の着色部1321aは、光の輝度を抑制するように制御するので、輝度の弱い光は、着色部1321aを透過せず、高い輝度の光が着色部1321aを透過する。着色部1321aは、結像素子310aが出射する高い輝度の光を透過し、筐体1300内で反射等により出射される低い輝度の光を透過しない。そのため、結像素子310a等の内部構造物の存在を観測者O1に意識させないようにすることができ、意匠性の高い画像表示装置1000が実現される。
【0135】
本実施形態に係る画像表示装置1000は、LED素子1120を有する表示装置1100を備える。LED素子1120を用いた表示装置1100では、LED素子1120が出射する光の輝度は、OLEDや液晶を用いた表示装置が出射する光の輝度よりも高い。そのため、結像素子310aが出射する光の輝度を十分に高くして、結像I1のコントラストを高めることが可能になり、着色部1321aは結像I1に寄与する光を選択的に出射することが可能になる。
【0136】
本実施形態に係る画像表示装置1000は、LED素子1120を画素1112に含む表示装置1100を備える。LED素子1120は窒化ガリウム系化合物半導体により形成することができ、窒化ガリウム系化合物半導体により形成されたLED素子は、少ない消費電力で高い輝度での発光が可能である。そのため、表示装置1100から出射された光は、着色部1321aを透過しても、鮮明な画像を空中表示することが可能である。
【0137】
変形例に係る画像表示装置1000aでは、画像表示装置1000の効果と同様の効果のほか、以下の効果を奏する。すなわち、画像表示装置1000aは、表示装置1100と光透過性部材1320との間に遮光部材1310aを備える。このような遮光部材1310aを備えることによって、上述の効果に加え、光透過性部材1320の面積を拡大することが可能になり、より大きな画像を空中表示させることができる。上述の変形例の遮光部材1310aの構成は、後述する第2~第7の実施形態に係る画像表示装置に適用することができ、第2~第7の実施形態に係る画像表示装置に適用することによって同一の効果を奏することは言うまでもない。
【0138】
(第2の実施形態)
図17は、第2の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図18は、第2の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な正面図である。
図17および図18に示すように、本実施形態に係る画像表示装置2000は、結像素子310aと、表示装置1100と、筐体1300と、光透過性部材2320と、を備える。第1の実施形態に係る画像表示装置1000の光透過性部材1320に代えて、光透過性部材2320を備える。画像表示装置2000の構成要素は、他の点では、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の構成要素と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0139】
画像表示装置2000では、光透過性部材2320は、着色部2321を有する。着色部2321は、光透過性部材2320の表面の全面に配置される。図17に示した例では、着色部2321は、光透過性部材2320の外側の表面に配置されているが、これに限らず、着色部2321は、光透過性部材2320の内側の表面や光透過性部材2320の内層の面や内部の全体にわたって配置されてもよい。
【0140】
着色部2321には、全面に連続する模様が施されている。着色部2321に施す模様は任意である。この例のように、模様は、立体感のある硬質な表面を表すほか、木目を表したり、金属のような光沢感のある表面を表したりすることができる。表面の質感を表現する模様のほか、市松模様、チェック柄等、画像表示装置2000が搭載される環境等に応じて適切な模様を選択することができる。
【0141】
着色部2321は、その模様の形状および色によって、光の透過を制御する。着色部2321は、表示装置1100が出射する光を入射して、その光の波長および輝度を制御する。着色部2321に光を透過させることによって、着色部2321に施された模様等を浮き立たせるように表示することができる。
【0142】
光透過性部材2320は、筐体1300の前面に配置されている。筐体1300には、図1の画像表示装置1000と同様に、結像素子310aに対向する位置に窓枠1322が開口されている。光透過性部材2320は、窓枠1322による開口1322Aの前面にも配置されている。光透過性部材2320は、開口1322Aの前面の開口部分2320aと、開口1322Aの周辺の周辺部分2320bと、を含む。開口部分2320aおよび周辺部分2320bは、連続しており、光透過性部材2320の全面にわたって連続する模様が施されている。そのため、観測者O2は、筐体1300の前面のすべてにわたって着色部2321に施された模様等を観測することができる。
【0143】
光透過性部材2320は透光性を有する材料で形成される。透光性を有する材料は、透光性樹脂やガラス等である。光透過性部材2320の全面に施された模様は、基材表面に印刷を施すことによって形成されてもよいし、基材表面に模様等形成されたシールを貼付してもよい。あるいは、光透過性部材2320の形成時に1種類以上の色彩の色付き樹脂やガラス等を混交して、ランダムな模様を形成するようにしてもよい。
【0144】
図17に示した例では、開口部分2320aは、筐体1300の外側に向かって凸となる曲面である。開口部分2320aは、曲面に限らず、平面でもよいし任意の面としてもよい。
【0145】
結像素子310aから出射された反射光Rは、開口1322Aを介して、開口部分2320aに入射される。開口部分2320aは、透光性を有するので、反射光Rを透過する。
【0146】
観測者O2は、表示装置1100が光Lを出射していない場合には、着色部2321に施された模様等を観測する。観測者O2は、表示装置1100が光Lを出射している場合には、着色部2321に施された模様等と同時に、開口部分2320aを透過した反射光Rによって形成された結像I2を着色部2321に形成された模様等とともに観測する。
【0147】
本実施形態に係る画像表示装置2000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置2000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の効果と同様の効果を奏する。そのほか以下の効果を奏する。すなわち、画像表示装置2000は、全面に着色部2321を有する光透過性部材2320を備える。着色部2321には、全面に模様等が施されており、模様等に応じて着色部2321の光の透過が制御される。観測者O2は、着色部2321を介して形成される結像I2を観測するので、結像I2は、着色部2321の模様等と同時に観測することになる。そのため、観測者O2は、画像表示装置2000の筐体1300の存在を意識することなく、空中に表示される結像I2を観測することができる。
【0148】
光透過性部材2320は、筐体1300の前面の形状に一致する必要はなく、筐体1300の前面よりも広い範囲を覆うようにしてもよい。このようにすることによって、観測者O2は、画像表示装置2000の存在を意識することなく、空中に浮かび上がる結像I2をより自然に観測することができる。
【0149】
観測者O2が筐体1300や開口1322Aの存在を認識しないようにできれば、光透過性部材の構成は、上述に限らない。たとえば、光透過性部材を開口1322Aを覆う部分とし、異なる部材でその部分の周囲に配置して全体に連続する模様を施すようにしてもよい。
【0150】
(第3の実施形態)
図19は、第3の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図19に示すように、本実施形態に係る画像表示装置3000は、結像素子310aと、表示装置1100と、筐体1300と、光透過性部材3320と、を備える。本実施形態に係る画像表示装置3000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の光透過性部材1320に代えて、光透過性部材3320を備える。他の点では、画像表示装置3000の構成要素は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の構成要素と同様であり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0151】
光透過性部材3320は、第1光透過性部材3321と、第2光透過性部材3322と、液晶3323と、を含む。液晶3323は、第1光透過性部材3321と第2光透過性部材3322との間に配置されている。第1光透過性部材3321は、基材上に配置された偏光膜と透光性電極とを有している。第2光透過性部材3322は、基材上に配置された偏光膜と透光性電極とを有している。たとえば、第2光透過性部材3322の偏光膜の偏光角は、第1光透過性部材3321の偏光膜の偏光角に直交するように設定されている。基材は、たとえばガラス等で形成される。
【0152】
液晶3323は、第1光透過性部材3321側の透光性電極と第2光透過性部材3322側の透光性電極との間に配置される。液晶3323の分子配列は、2つの透光性電極間に電圧が印加されない場合には、ねじれ構造であり、一方からの光を透過する。液晶3323の分子配列は、2つの透光性電極間に電圧が印加された場合には、直列構造となり、一方からの光を透過しない。つまり、光透過性部材3320は、液晶シャッタである。
【0153】
光透過性部材3320は、制御装置1400に設けられた制御部1410によって生成された開閉選択信号Dsにもとづいて、液晶シャッタとして動作する。液晶3323の分子配列は、開閉選択信号Dsがアクティブの場合に直列構造となり光を遮断する。液晶3323の分子配列は、開閉選択信号Dsが非アクティブの場合にねじれ構造となり光を透過する。制御部1410は、たとえば観測者O3の操作に応じて、開閉選択信号Dsのアクティブと非アクティブとを切り替える。あるいは、制御部1410は、図示しない近接センサによって観測者O3の接近、離脱を検出し、近接センサの出力に応じて、開閉選択信号Dsのアクティブと非アクティブとを切り替えるようにしてもよい。そのほか、任意のトリガ信号によって、制御部1410は、開閉選択信号Dsのアクティブと非アクティブとを切り替えるようにしてもよい。
【0154】
制御部1410は、所定のトリガ信号によって開閉選択信号Dsを生成するほか、表示装置1100を6軸制御する。制御部1410は、6軸制御によって、表示装置1100の配置を所望の位置とし、表示装置1100が出射する光を所望の角度に設定する。制御部1410によって表示装置1100の位置および角度を適切に設定することによって、たとえば、観測者O3から見た結像I3の画角を、観測者O3から見た光透過性部材3320の画角と一致させたり、異ならせたりすることができる。
【0155】
本実施形態に係る画像表示装置3000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置3000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000と同様の効果を奏する。そのほか、以下の効果を奏する。すなわち、画像表示装置3000は、液晶シャッタとして動作する光透過性部材3320を備える。液晶シャッタの開閉を選択する開閉選択信号Dsのアクティブと非アクティブとを切り替えることによって、結像I3の表示と非表示とを切り替えることができる。光透過性部材3320の表面を黒色、たとえば漆黒とし、液晶シャッタを閉状態とすると、観測者O3に、画像表示装置3000の存在を意識させないようにして、高い意匠性を発揮させることができる。
【0156】
本実施形態に係る画像表示装置3000において、制御部1410を設けることによって、結像I3の画角を制御することが可能になる。結像I3の画角を制御することによって、結像I3を表示したときであっても、観測者O3は、光透過性部材3320の存在を感じにくくなる。そのため、画像表示装置3000の筐体1300の形状や構造を観測者O3に意識させにくい意匠が可能となる。なお、制御部1410による結像の画角の制御機能や液晶シャッタ機能は、上述した第1、第2の実施形態に係る画像表示装置1000、2000や後述する第4~第7の実施形態に係る画像表示装置にも適用することができる。制御部1410による結像の画角を制御することによって、上述と同じ効果を奏するのは言うまでもない。
【0157】
(第4の実施形態)
図20Aおよび図20Bは、第4の実施形態に係る画像表示装置の一部である光透過性部材を例示する模式図である。
図20Aおよび図20Bでは、本実施形態に係る画像表示装置4000のうち、光透過性部材4320の部分を拡大して示している。
図20Aは、結像I4が形成されていない場合の光透過性部材4320を表す。図20Bは、結像I4が形成された場合の光透過性部材4320を表す。
【0158】
図20Aおよび図20Bに示すように、画像表示装置4000の光透過性部材4320は、着色部4321a、4321bを含む。着色部4321a、4321bは、所望の色の、微細な形態の文字とすることができる。
【0159】
図20Aおよび図20Bには、着色部4321a、4321bによる表示の具体例が示されており、着色部4321a、4321bは、ともに文字で表記された語である。着色部4321aは、文字で着色部4321bおよび結像I4が表す表記が、「時、分、秒」や「h、m、s」のように、現在の時刻を表現する語である。
【0160】
着色部4321a、4321bは、たとえばインクジェット印刷等の印刷技術を利用することによって、形成することができる。着色部4321a、4321bは、印刷に限らず、着色部4321a、4321bの形状をかたどったシールを貼付してもよい。着色部4321a、4321bは、インクやシール等によって、光の透過を制限するように制御する。
【0161】
図20Bに示すように、結像I4は、光透過性部材4320の着色部4321a、4321bを背景にして、空中に形成される。観測者は、空中に形成された結像I4を着色部4321a、4321bとともに、観測する。結像I4は、たとえば、図1に示した画像表示装置1000と同様に、表示装置1100から出射されたLが結像素子310aによって反射され、反射光Rが出射されることによって空中に形成される。
【0162】
本実施形態に係る画像表示装置の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の場合と同様の効果を奏する。そのほか、本実施形態に係る画像表示装置は、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る画像表示装置は、着色部4321a、4321bを有する光透過性部材4320を備える。着色部4321a、4321bは、あらかじめ印刷等により光透過性部材4320の表面に形成される。そのため、着色部4321a、4321bとして、微細な文字や記号、図形等を光透過性部材4320上に表現することができる。
【0163】
本実施形態に係る画像表示装置では、結像I4は、着色部4321a、4321bが描かれた光透過性部材4320を介して出射された光によって形成される。着色部4321a、4321bは光の透過を制御するため、観測者は、結像I4と着色部4321a、4321bとを同時に観測することができる。結像I4は、表示装置1100に供給される画像データにしたがって、リアルタイムで変化させることができ、着色部4321a、4321bは、微細な文字等の情報を表現することができる。そのため、観測者は、視認性の高い情報をリアルタイムで確実に認識することができる。
【0164】
(第5の実施形態)
図21は、第5の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図21に示すように、本実施形態に係る画像表示装置5000は、結像素子310と、表示装置1100と、筐体5300と、光透過性部材5320と、を備える。本実施形態に係る画像表示装置5000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の光透過性部材1320と異なる光透過性部材5320を備える。本実施形態に係る画像表示装置5000は、表示装置1100の位置と結像素子310の位置との関係が第1の実施形態に係る画像表示装置1000の場合と相違する。また、本実施形態に係る画像表示装置5000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の結像素子310aとは異なる結像素子310を備える。また、本実施形態に係る画像表示装置5000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の筐体1300と異なる筐体5300を備える。その他の点では、本実施形態に係る画像表示装置5000の構成要素は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の構成要素と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0165】
光透過性部材5320は、着色部5321aを有する。着色部5321aは、周縁部5321bに周囲を囲まれている。着色部5321aは、表示装置1100が出射する光の色の補色に着色されている。たとえば、表示装置1100は、青白色の光を出射する場合には、着色部5321aの色は、黄色である。表示装置1100が出射した青白色の光が黄色の着色部5321aを通過することによって、光透過性部材5320を介して出射された光は白色となる。観測者O5は、白色の光で空中に形成された結像I5を観測する。なお、周縁部5321bは、着色部5321aと同じ色で着色されていてもよいし、他の色で着色されていてもよく、着色されていなくてもよい。
【0166】
結像素子310に関しては、図11Aおよび図11Bに関連して説明したように、筐体内のスペースや画像表示装置の設置場所等に応じて、いずれかの形態の結像素子10、310、310aが設けられる。本実施形態に係る画像表示装置5000は、結像素子310を備えるが、筐体等の応じて他の結像素子10、310aを備えてもよい。
【0167】
画像表示装置5000では、表示装置1100が結像素子310の直上に配置されている。このような配置とするために、筐体5300の形状が設定されている。筐体の形状等は、任意に適切なものとすることができる。
【0168】
表示装置1100が結像素子310の直上に配置したことによって、表示装置1100が出射した光Lは、下方に進行して結像素子310を照射する。結像素子310は、入射した光の一部を2面直交リフレクタで2回反射して、反射光Rを出射する。光透過性部材5320は、結像素子310で2回反射された反射光Rを透過する位置に配置される。
【0169】
結像素子310の2面直交リフレクタで1回だけ反射された光や2面直交リフレクタで反射されなかった光は、図5に示した、隣り合うリフレクタ行22の間隔23から第2面311b側に抜けていく。したがって、結像素子310は、2回反射光以外の光を第1面311a側に出射することがない。そのため、本実施形態に係る画像表示装置5000では、光源となる表示装置1100が結像素子310の第1面311aの法線方向に配置されるので、結像素子310では、隣り合うリフレクタ行22の間隔23が設けられる。
【0170】
第2面311bに抜けていく光は、筐体5300の内部で再度反射して迷光とならないように、この例では、筐体5300内の底面に遮光部材5310が配置されている。遮光部材5310は、筐体5300の内部の側壁面にも配置されている。遮光部材5310は、図1に示した遮光部材1310と同様に、たとえば筐体5300の内壁の底面および壁面に形成された黒色の塗料の塗布膜である。遮光部材5310は、筐体5300の構成材の厚さに比べて十分に薄いため、図21では、筐体5300の内部の面として表されている。
【0171】
本実施形態に係る画像表示装置5000では、結像素子310は、入射した光Lの2回反射光Rのみを出射し、その他の光を第1面311a側に反射等しない。そのため、図14に関連して説明したように、結像素子310は、第1面311aの側に実像以外のゴースト画像の形成が抑制される。
【0172】
本実施形態に係る画像表示装置5000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置5000は、表示装置1100が出射する光の色の補色の着色部5321aを有する光透過性部材を備える。そのため、着色部5321aは、表示装置1100が出射する光の光学フィルタとして機能し、出射する光の波長を制御する。たとえば、光透過性部材5320が意匠上青色に設定され、結像I5が白色に設定されている場合には、表示装置1100が出射する光を黄白色となるように波長が設定される。黄白色の光を黄色の補色である青色の着色部5321aを介して出射することによって、表示装置1100が出射する光の波長がシフトされ、白色の光で結像I5が形成される。
【0173】
本実施形態に係る画像表示装置5000では、表示装置1100を第1面311aの法線方向である結像素子310の直上に配置し、結像素子310の2回反射光を結像素子310の側方に出射して結像させる。そのため、実像以外のゴースト画像の表示を防止することができる。
【0174】
なお、本実施形態に係る画像表示装置について、図1に示した画像表示装置1000のように、光源である表示装置は、結像素子の直上に空中画像を結像させるように、配置してもよい。
【0175】
上述した第1~第4の実施形態に係る画像表示装置1000~4000および後述する第6、第7の実施形態に係る画像表示装置のそれぞれについて、本実施形態の場合の表示装置1100、結像素子310aおよび結像の形成位置の関係を適用することができる。本実施形態における表示装置1100、結像素子310aおよび結像の形成位置の関係を他の実施形態に係る画像表示装置に適用しても上述と同じ効果を奏するのは言うまでもない。
【0176】
(第6の実施形態)
図22は、第6の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図22に示すように、本実施形態に係る画像表示装置6000は、結像素子310aと、表示装置1100と、筐体1300と、光透過性部材6320と、を備える。本実施形態に係る画像表示装置6000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の光透過性部材1320と異なる光透過性部材6320を備える。他の点では、本実施形態に係る画像表示装置6000の構成要素は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の構成要素と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0177】
本実施形態に係る画像表示装置6000は、高い光の透過性を有する光透過性部材6320を備えている。光透過性部材6320のHaze値は、50%以下とされ、好ましくは、10%以下である。
【0178】
光透過性部材6320は、基材6321aと光反射防止部材6321b、6321cとを有する。基材6321aは、2つの面を有する板材である。基材6321aは、透光性を有する材料で形成される。基材6321aは、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の光透過性部材1320と同様の材料で形成される。光反射防止部材6321bは、基材6321aの一方の面(第1面)に配置される。光反射防止部材6321cは、基材6321aの他方の面(第2面)に配置される。なお、図22に示した例では、光反射防止部材6321b、6321cは、反射防止膜であり、基材6321aの厚さに比べて十分に薄いため、図22では基材6321aの面として表されている。
【0179】
光透過性部材6320が筐体1300に配置された場合に、光反射防止部材6321bは、筐体1300の内側になるように基材6321aに配置される。光反射防止部材6321bは、結像素子310aから出射された反射光Rが再度反射して筐体1300の内部への戻り光となるのを防止する。
【0180】
光透過性部材6320が筐体1300に配置された場合に、光反射防止部材6321cは、筐体1300の外側になるように、基材6321aに配置される。光反射防止部材6321cは、筐体1300の外部の光が光透過性部材6320で反射するのを防止する。
【0181】
図23は、第6の実施形態に係る画像表示装置の動作を説明するための模式図である。
図23には、観測者O6、結像I6および光透過性部材6320の位置の関係が示されている。観測者O6は、両目で空中に形成される結像I6を光透過性部材6320の表面(出射面)6320Sに投影するように観測する。表面6320Sに模様等が施されている場合には、観測者O6は、表面6320Sの模様等に結像I6を重ねて観測する。
【0182】
結像I6は、幅WI6で空中に形成され、光透過性部材6320は、幅W6320を有するものとする。観測者O6は、観測者O6、結像I6の形成位置および光透過性部材6320のそれぞれの離間距離に応じた投影幅で光透過性部材6320の表面6320S上に投影される結像I6を観測する。
【0183】
ここで、観測者O6の両目には視差があるので、表面(出射面)6320S上に投影される結像I6の幅(結像面の幅)は、視差がない場合に表面6320Sに投影される場合の幅よりも広い。
【0184】
より具体的には、図23に示すように、観測者O6の左目ELの視野では、結像I6は、表面6320S上に幅WLで投影される。観測者O6の右目ERの視野では、結像I6は、表面6320S上に幅WRで投影される。左目ELの結像I6の投影像の幅WLは、右目ERの結像I6の投影像の幅WRとほぼ等しいが、左右の投影像は左右にずれている。観測者O6は、左右にずれた投影像を自己の脳内で1つの投影像と認識するように補正する。そのため、観測者O6には、結像I6が左右の視差なしで表面6320Sに投影される場合よりも、表面6320S上の結像I6の投影像の幅は、左右の視差分、広く認識される。
【0185】
本実施形態に係る画像表示装置6000では、光透過性部材6320の幅W6320は、観測者O6の両目の視差による結像I6の表面6320Sの投影像の幅よりも広くなるように設定されている。そのため、結像I6が表面6320Sに投影された場合に、結像I6は、光透過性部材6320の幅W6320の範囲内となる。
【0186】
本実施形態に係る画像表示装置6000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置6000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の効果と同様の効果を奏する。そのほか以下の効果を奏する。すなわち、光透過性部材6320は、基材6321aの内側の面に光反射防止部材6321bを有する。そのため、筐体1300の内部で光反射防止部材6321bで反射され戻り光となることが防止されるので、高い輝度の光が出射されて結像I6が形成される。また、光透過性部材6320は、基材6321aの外側の面に光反射防止部材6321cを有する。そのため筐体1300の外部での光の反射が防止されるので、光透過性部材6320から出射された光によって形成された結像I6は、十分なコントラストで空中に表示される。
【0187】
光反射防止部材は、基材6321aの両面に配置されることが好ましいが、反射光の発生の状況等に応じて、一方の面に光反射防止部材を配置し、他方の面の光反射防止部材の配置を省略してもよい。
【0188】
本実施形態に係る画像表示装置6000では、光透過性部材6320の幅W6320は、観測者O6の視差にもとづいて、結像I6の全体が光透過性部材6320の表面6320Sに投影されるように設定されている。そのため、光透過性部材6320に模様等が施されている場合に、観測者O6は、結像I6の全体を光透過性部材6320の模様等に重ねて観測することができる。
【0189】
なお、上述した第1~第5の実施形態に係る画像表示装置1000~5000および後述する第7の実施形態に係る画像表示装置の光透過性部材に光反射防止部材を設けることができる。第1~第5の実施形態に係る画像表示装置1000~5000および第7の実施形態に係る画像表示装置の光透過性部材に光反射防止部材を設けることによって、本実施形態に係る画像表示装置6000と同じ効果を奏するのは言うまでもない。
【0190】
また、上述した第1~第5の実施形態に係る画像表示装置1000~5000および後述する第7の実施形態に係る画像表示装置の光透過性部材の幅を、結像を観測する観測者の両目の視差に応じた幅とすることもでき、本実施形態に係る画像表示装置6000と同じ効果を奏するのは言うまでもない。
【0191】
(第7の実施形態)
図24は、第7の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図24に示すように、本実施形態に係る画像表示装置7000は、結像素子310aと、表示装置1100と、筐体1300と、光透過性部材7320と、を備える。本実施形態に係る画像表示装置7000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の光透過性部材1320と異なる光透過性部材7320を備える。他の点では、本実施形態に係る画像表示装置7000の構成要素は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の構成要素と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0192】
光透過性部材7320は、レンズ部7321aと周縁部7321bとを有する。レンズ部7321aの周囲を取り囲んで周縁部7321bが配置されている。周縁部7321bは、筐体1300の窓枠1322に沿って配置されている。
【0193】
レンズ部7321aは、結像素子310aが出射する反射光Rの光路に配置される。レンズ部7321aは、結像素子310aから出射された反射光Rの焦点の位置を変更する。画像表示装置7000では、レンズ部7321aが設けられたことによって、レンズ部7321aがない場合の焦点よりも光透過性部材7320からより離れた位置に焦点を形成する。そのため、観測者O7から見ると、結像I7は、観測者O7により近い位置に形成される。
【0194】
レンズ部7321aは、結像I7が形成される位置を適切かつ任意に設定するために凸レンズ、凹レンズまたはフレネルレンズとすることができる。レンズ部7321aを狭ピッチのフレネルレンズとすることによって、光透過性部材7320自体を薄型化することができるとともに、結像I7のぼやけを防止することができる。
【0195】
本実施形態に係る画像表示装置7000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置7000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000と同様の効果を奏する。そのほか、本実施形態に係る画像表示装置7000は、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る画像表示装置7000は、レンズ部7321aを有する光透過性部材7320を備える。レンズ部7321aを適切に設定することによって、結像I7が形成される位置を調整することができる。結像I7の形成位置を調整することによって、表示装置1100および結像素子310aの配置を最適化し、表示装置1100および結像素子310aを配置する筐体1300自体を小型化することが可能になる。
【0196】
レンズ部7321aを狭ピッチのフレネルレンズとする等、適切な光学設計都することによって、画像表示装置7000の構成部材の小型化や薄型化を実現し、より鮮明な結像I7を形成することが可能になる。
【0197】
上述した各実施形態は、適宜組み合わせて適用することができる。
実施形態は、以下の態様を含む。
【0198】
(付記1)
結像素子と、
前記結像素子に光を照射する光源と、
少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、
前記結像素子から出射される光を透過するように配置され、前記結像素子から出射される光のうち少なくとも一部の波長を有する光の透過を選択的に制御する光透過性部材と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定され、
前記光源は、前記第1面側に設けられ、
前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で反射された1回反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行するように設けられ、
前記光透過性部材は、前記1回反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられた画像表示装置。
【0199】
(付記2)
結像素子と、
前記結像素子に光を照射する光源と、
少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、
前記結像素子から出射される光を透過するように配置され、前記結像素子から出射される光のうち少なくとも一部の波長を有する光の透過を選択的に制御する光透過性部材と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列され、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定され、
前記光源は、前記第1面側に設けられ、
前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で1回反射された反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行し、前記反射光の別の一部が前記第2面側に向かって進行するように設けられ、
前記光透過性部材は、前記反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられた画像表示装置。
【0200】
(付記3)
結像素子と、
前記結像素子に光を照射する光源と、
少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、
50%以下のHaze値を有し、前記結像素子から出射される光を透過する光透過性部材と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定され、
前記光源は、前記第1面側に設けられ、
前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で反射された1回反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行するように設けられ、
前記光透過性部材は、前記1回反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられた画像表示装置。
【0201】
(付記4)
結像素子と、
前記結像素子に光を照射する光源と、
少なくとも前記光源の光の一部を遮光する遮光部材と、
50%以下のHaze値を有し、前記結像素子から出射される光を透過する光透過性部材と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列され、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定され、
前記光源は、前記第1面側に設けられ、
前記複数の2面直交リフレクタのそれぞれは、前記光源から出射された光のうち前記第1反射面で1回反射された反射光の一部が、前記第2反射面に向かって進行し、前記反射光の別の一部が前記第2面側に向かって進行するように設けられ、
前記光透過性部材は、前記反射光の一部を前記第2反射面で反射した2回反射光を透過するように設けられた画像表示装置。
【0202】
(付記5)
前記光透過性部材は、黒色に着色された着色部を有し、
前記着色部は、前記光の透過を制御する付記1または2に記載の画像表示装置。
【0203】
(付記6)
前記光透過性部材は、第1光透過性部材と、前記第1光透過性部材に対向して配置された第2光透過性部材と、前記第1光透過性部材と前記第2光透過性部材との間に配置され、開閉選択信号により前記光の透過を制御する液晶と、を含む付記1または2に記載の画像表示装置。
【0204】
(付記7)
前記光透過性部材は、文字、記号および図形のうち少なくとも1つを含む着色部を含む付記1または2に記載の画像表示装置。
【0205】
(付記8)
前記光透過性部材は、前記光源の光の補色の着色部を有し、
前記着色部は、前記光の透過を制御する付記1または2に記載の画像表示装置。
【0206】
(付記9)
前記光透過性部材は、第1面と前記第1面の反対側に第2面を有する透光性の基材と、前記第1面または前記第2面の少なくとも一方に配置された光反射防止部材と、を有する付記1~4のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【0207】
(付記10)
前記光透過性部材は、前記光源の光が結像素子から出射される出射面を有し、
前記出射面の幅は、前記光源の光が結像素子から出射されて結像が形成される結像面の幅よりも広い付記1~4のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【0208】
(付記11)
前記遮光部材は、前記光源および前記結像素子の周囲に設けられた筐体の一部であり、
前記光透過性部材は、前記筐体の他の一部である付記1~10のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【0209】
(付記12)
前記光透過性部材は、前記筐体の表面に施された模様と連続した模様の着色部を有し、
前記着色部は、前記光の透過を制御する付記11記載の画像表示装置。
【0210】
(付記13)
前記光源および前記結像素子の周囲に設けられた筐体をさらに備え、
前記光透過性部材は、前記筐体の一部に設けられ、
前記遮光部材は、前記光源と前記光透過性部材との間に設けられた付記1~10のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【0211】
(付記14)
前記光透過性部材は、前記筐体の表面に施された模様と連続した模様の着色部を有し、
前記着色部は、前記光の透過を制御する付記13記載の画像表示装置。
【0212】
(付記15)
前記光透過性部材は、レンズを含む付記1~14のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【0213】
以上説明した実施形態によれば、簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置を実現することができる。
【0214】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0215】
10、310、310a…結像素子、12、312…基材、20…リフレクタアレイ、22…リフレクタ行、23…間隔、30…2面直交リフレクタ、31…第1反射面、32…第2反射面、1000、1000a、2000、3000、5000、6000、7000…画像表示装置、1100…表示装置、1120…LED素子、1300、1300a、5300…筐体、1310、1310a、5310…遮光部材、1320、2320、3320、4320、5320、6320、7320…光透過性部材
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24