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特開2024-81756反応器、反応器を含むシステム、並びにこれを製造する方法及び使用する方法
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  • 特開-反応器、反応器を含むシステム、並びにこれを製造する方法及び使用する方法 図1
  • 特開-反応器、反応器を含むシステム、並びにこれを製造する方法及び使用する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081756
(43)【公開日】2024-06-18
(54)【発明の名称】反応器、反応器を含むシステム、並びにこれを製造する方法及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024058919
(22)【出願日】2024-04-01
(62)【分割の表示】P 2019043523の分割
【原出願日】2019-03-11
(31)【優先権主張番号】15/923,834
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トム・ブロムバリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルン・シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】チユ,チュー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板を処理するための反応器並びにこの反応器を製造及び使用するための方法を提供する。
【解決手段】反応チャンバー110、サセプタ120及びシャワーヘッド130又は他の好適なガス分配構造を備える反応器100において、シャワーヘッド/ガス分配構造130は、リモートプラズマユニット140から来るガス前駆体を分散させ、サセプタ120は、処理される基板150を保持する、反応器はまた、第一のガス供給源160及び第二のガス供給源170も備え、第一のガス供給源160及び第二のガス供給源170は、リモートプラズマユニット140へのガスの供給として、追加的に又は代替的に、ガス(複数可)をリモートプラズマユニット140を通過させずに、直接的に反応チャンバー110へ供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理システムであって、
第一の材料を含む反応チャンバーと、
第二の材料を含み、かつ処理のために基板を保持するように構成されているサセプタと、
第三の材料を含むシャワーヘッドと、
前記基板上の膜をエッチングするプロセスにおいて第一のガス前駆体を前記反応チャンバーへと提供する第一のガス供給源と、を備え、
前記第一の材料、前記第二の材料、及び前記第三の材料が、前記第一のガス前駆体及び第二のガス前駆体のうちの一つ以上と反応して、ガス化合物を形成する、半導体処理システム。
【請求項2】
前記第一のガス前駆体が、TiCl、TiF、TiCl、TiF、MoCl、MoF、WCl、WF、NbCl、NbF、TaCl、TaF、VCl、VF、AlCl、HfCl、又はZrClのうちの一つ以上を含む、又はこれらのうちの一つ以上に由来する、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項3】
前記第一の材料が、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項4】
前記第二の材料が、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項5】
前記第三の材料が、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項6】
前記反応チャンバーの内壁上に配置された反応チャンバーライニングを更に備え、前記反応チャンバーライニングが、前記第一のガス前駆体及び前記第二のガス前駆体のうちの一つ以上と反応してガス化合物を形成する第四の材料を含む、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項7】
前記第四の材料が、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含む、請求項6に記載の半導体処理システム。
【請求項8】
前記反応チャンバーライニングが、0.1mm~10mm、0.5~5mm、1~3mm、0.0001~0.001mm、0.001~0.01mm、又は0.01~0.1mm、10mm未満でかつ10nm超、100nm超、1μm超、10μm超、又は100μm超の範囲の厚さを有する、請求項6に記載の半導体処理システム。
【請求項9】
前記第一のガス供給源が、非金属ハロゲン化物、有機ハロゲン化物、及び金属オキシハロゲン化物のうちの少なくとも一つを含むガスを提供する、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項10】
半導体処理反応器を形成する方法であって、前記方法が、
第一の材料を含む反応チャンバーを提供する工程と、
第二の材料を含み、かつ処理のために基板を保持するように構成されているサセプタを提供する工程と、
第三の材料を含むシャワーヘッドを提供する工程と、
前記基板上の膜をエッチングするプロセスにおいて第一のガス前駆体を前記反応チャンバーへと提供する第一のガス供給源を提供する工程と、を備え、
前記第一の材料、前記第二の材料、及び前記第三の材料が、前記第一のガス前駆体及び第二のガス前駆体のうちの一つ以上と反応して、ガス化合物を形成する、方法。
【請求項11】
前記第一の材料が、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第二の材料が、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第三の材料が、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第一のガス前駆体が、TiCl、TiF、TiCl、TiF、MoCl、MoF、WCl、WF、NbCl、NbF、TaCl、TaF、VCl、VF、AlCl、HfCl、及びZrClのうちの一つ以上を含む、又はこれらのうちの一つ以上に由来する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記反応チャンバーの内壁上に配置される反応チャンバーライニングを提供することであって、前記反応チャンバーライニングが、前記第一のガス前駆体及び前記第二のガス前駆体のうちの一つ以上と反応してガス化合物を形成する第四の材料を含む、前記反応チャンバーを提供することと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第四の材料が、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反応チャンバーライニングが、0.1mm~10mm、0.5~5mm、1~3mm、0.0001~0.001mm、0.001~0.01mm、0.01~0.1mm、10mm未満でかつ10nm超、100nm超、1μm超、10μm超、又は100μm超の範囲の厚さを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第一のガス供給源が、非金属ハロゲン化物、有機ハロゲン化物、及び金属オキシハロゲン化物のうちの少なくとも一つを含むガスを提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
半導体処理システムであって、
第一の材料を含む反応チャンバーと、
第二の材料を含み、かつ処理のために基板を保持するように構成されているサセプタと、
前記反応チャンバー内のガス分配構造又は前記反応チャンバーに連結された前記ガス分配構造であって、第三の材料を備える前記ガス分配構造と、
前記基板上の膜をエッチングするプロセスにおいて第一のガス前駆体を前記反応チャンバーへと提供する第一のガス供給源と、を備え、
前記第一の材料、前記第二の材料、及び前記第三の材料が、前記第一のガス前駆体及び第二のガス前駆体のうちの一つ以上と反応して、ガス化合物を形成する、半導体処理システム。
【請求項20】
前記ガス分配構造がシャワーヘッドを備える、請求項19に記載の半導体処理システム。
【請求項21】
前記反応チャンバーがクロスフロー反応チャンバーである、請求項19に記載の半導体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して気相システム、反応器、及び方法に関する。より特定的には、本開示は、半導体デバイスなどのデバイスの生産で使用することができる気相反応器、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造は、基板処理反応器内でのドライエッチングプロセスを含むことができる。ドライエッチングプロセスは、例えば、反応性ガスによって生成されるイオンの衝撃に基板を曝露することを含んでもよい。反応性ガスは、フッ化物原子又は塩化物原子を有するガスなどのハロゲン化物化学物質を含んでもよい。ドライエッチングプロセスは、反応性ガス(例えば、イオン及び/又は他の反応種を形成するために)を活性化するために、リモートプラズマ又は直接プラズマを利用する場合がある。
【0003】
基板は、ドライエッチングプロセスの間にエッチングされる、例えば、遷移金属窒化物、遷移金属酸化物、又は遷移金属炭化物などの耐食性である材料を有してもよい。これらの耐食性材料は、耐食性材料と反応するために強反応性のエッチングガスを必要とする場合がある。エッチングプロセスの間、強反応性のガスは基板から材料をエッチングする場合があるだけでなく、基板処理反応器の壁と反応する場合もある。これは、汚染物質の形成及び処理される基板上への汚染物質の堆積をもたらす場合がある。反応器がより高い温度及び/又は特定の化学物質で動作する時、汚染物質の問題は増加する場合がある。
【0004】
結果として、基板上の汚染物質を軽減又は減少する反応器、システム、及び方法が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示の様々な実施形態は、反応器内の基板を処理するための改良されたシステム、反応器、及び方法を提供する。先行技術の様々な欠点のやり方が以下でより詳細に考察される一方で、一般に、そうでなければ生じる場合がある基板の表面上の汚染物質を軽減しながらデバイスを組み立てるために、システム、反応器、及び方法を使用することができる。
【0006】
本開示の少なくとも一つの実施形態によると、システム(例えば、半導体処理システム)は、第一の材料を含む反応チャンバーと、第二の材料を含み、かつ処理のために基板を保持するように構成されているサセプタと、第三の材料を含むガス分配構造(例えば、シャワーヘッド)と、基材上の膜をエッチングするプロセスにおいて第一のガス前駆体を反応チャンバーへと提供するための第一のガス供給源と、を含み、第一の材料、第二の材料、及び第三の材料は、第一のガス前駆体及び第二のガス前駆体のうちの一つ以上と反応して、反応チャンバーからパージすることができる(例えば、揮発性)ガス化合物を形成する。
【0007】
本開示の少なくとも一つの他の実施形態によると、半導体加工デバイスを形成する方法は、第一の材料を含む反応チャンバーを提供する工程と、第二の材料を含み、かつ処理のために基板を保持するように構成されているサセプタを提供する工程と、第三の材料を含むガス分配構造(例えば、シャワーヘッド)を提供する工程と、基材上の膜をエッチングするプロセスにおいて第一のガス前駆体を反応チャンバーへと提供する第一のガス供給源を提供する工程と、を含み、第一の材料、第二の材料、及び第三の材料は、第一のガス前駆体及び第二のガス前駆体のうちの一つ以上と反応して、反応チャンバーからパージすることができる(例えば、揮発性)ガス化合物を形成する。
【0008】
先行技術を超えて達成される本発明及び利点を要約するために、本発明のある特定の目的及び利点を、本明細書で上記に記載してきた。当然のことながら、必ずしもこうした目的又は利点の全てが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それゆえ、例えば、本明細書で教示又は示唆される場合があるように他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示又は示唆されるように一つの利点又は利点の群を達成又は最適化する様式で本発明を具体化又は実行してもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0009】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示される本発明の範囲内であることが意図されている。これら及び他の実施形態は、当業者には、添付の図面を参照した以下の実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示されるいかなる特定の実施形態(複数可)にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書で開示される本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、ある特定の実施形態の図面を参照して以下に記載され、これは例示することを意図しており、本発明を限定することを意図してはいない。
【0011】
図1図1は、本発明の少なくとも一つの実施形態による反応器の断面図である。
【0012】
図2図2は、本発明の少なくとも一つの実施形態による別の反応器の断面図である。
【0013】
当然のことながら、図内の要素は、単純かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、図内の要素のうちいくつかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ある特定の実施形態及び実施例が以下に開示されるが、本発明が、具体的に開示される本発明の実施形態及び/又は使用、並びにその明白な修正及び均等物を超えて拡張することは、当業者により理解されるであろう。それゆえ、開示される本発明の範囲が、以下に記載される特定の開示された実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。
【0015】
以下にさらに詳細に記載するように、本開示の例示的な実施形態は、基板上の膜がエッチングされる反応器と、こうした反応器を含むシステムと、反応器及びシステムの形成及び使用の方法とを対象とする。例として、本開示の実施形態は、原子層エッチング(ALE)プロセスを介したエッチングの方法に関連する場合がある。本明細書に記載されるシステム及び方法を使用してエッチングすることができる膜の実施例としては、遷移金属窒化物、遷移金属酸化物、及び遷移金属炭化物が挙げられる。これらの膜をエッチングするために使用されるガスのタイプとしては、混合ハロゲン化物化学物質、特にフッ素、塩素、及び/又は臭素化学物質を有するものが挙げられる。
【0016】
これらの混合ハロゲン化物化学物質は、典型的に、反応器の壁及び部品を形成する材料もエッチングする。従来の反応器、例えば、ニッケル製の反応チャンバーを用いると、反応チャンバーの中の基板を処理するためにフッ素及び塩素の組み合わせガス化学物質が使用される時、基板表面上の重大な汚染が生じる可能性がある。この場合、ガスはニッケル反応チャンバーと反応する可能性があり、基板表面を汚染する可能性があるニッケルハロゲン化物を形成する。
【0017】
図1は、本発明の少なくとも一つの実施形態による反応器100を例示する。(例えば、エッチング)反応器100は、反応チャンバー110、サセプタ120、及びシャワーヘッド130又は他の好適なガス分配構造を備えてもよい。シャワーヘッド/ガス分配構造130は、リモートプラズマユニット140から来るガス前駆体を分散させ得る。サセプタ120は、処理される基板150を保持する。
【0018】
反応器100はまた、第一のガス供給源160及び第二のガス供給源170も備えてもよい。第一のガス供給源160及び第二のガス供給源170は、リモートプラズマユニット140へのガスの供給として例示されるが、追加的に又は代替的に、ガス(複数可)をリモートプラズマユニット140を通過させずに、ガスを直接的に反応チャンバー110へと提供してもよい。第一のガス供給源160及び/又は第二のガス供給源170は、金属ハロゲン化物ガス、例えば、遷移金属又はアルミニウムのハロゲン化物(例えば、TiCl、TiF、TiCl、TiF、MoCl、MoF、WCl、WF、NbCl、NbF、TaCl、TaF、VCl、VF、AlCl、HfCl、及び/又はZrClのうちの一つ以上を含むフッ素、塩素、若しくは臭素など)を提供してもよい。第一のガス供給源160及び/又は第二のガス供給源170は、SbF、CClのような有機ハロゲン化物、及び/又はWOClのような金属オキシハロゲン化物、及びWOFなどの非金属ハロゲン化物を含むハロゲン化物ガスを提供してもよい。以下でより詳細に記載されるように、第一のガス供給源160及び/又は第二のガス供給源170からの前駆体は、反応チャンバー110材料(複数可)、及び/又は反応チャンバー110の部分の上へと堆積された材料(複数可)と反応して、比較的簡単に除去する(例えば、反応チャンバー110からパージする)ことができるガス化合物を生成することができる。本明細書で使用される場合、「前駆体」又は「ガス前駆体」は、別の化合物を生成する化学反応に関与する化合物を指す。前駆体は、ガス供給源(例えば、ガス供給源160、170)からのガス、及び/又は反応チャンバー110などの反応チャンバーから直接であってもよく、又はリモートであってもよいプラズマにガスが曝露された時に発生する化学種などの他の化学物質を含むことができる。前駆体(複数可)(例えば、金属ハロゲン化物ガス(複数可))及びガス化合物の特徴は、効率的なパージを可能にするために飽和蒸気圧が高く、凝縮が比較的わずかであるか又は凝縮がなく、それだけでなく反応チャンバーの中の汚染物質が少ないままに保つことを促進又は容易にする場合がある。第一の及び/又は第二のガス供給源160、170は、例えば、NbF若しくはCClからの、塩素、フッ素、又は臭素などの少なくとも一つのハロゲン化物原子を含有する前駆体(複数可)を提供してもよい。二つのガス供給源を用いて例示されているが、反応器100は、パージ、担体、及び/又は他の反応物質ガス供給源を含む任意の好適な数のガス供給源を含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、反応チャンバーは、1000℃未満でかつ約20℃超、約100℃超、約200℃超、約300℃超、約400℃超、約450℃超、又は約20℃~約700℃、約100℃~約700℃、約200℃~約500℃、若しくは約250℃~約450℃の反応温度又はプロセス温度に保たれてもよい。好適な反応性ガス及びプロセス条件は、2017年12月7日に出願された「THERMAL ATOMIC LAYER ETCHING PROCESSES」と題する米国特許出願整理番号第15/835,262号、及び2017年12月7日に出願された「THERMAL ATOMIC LAYER ETCHING PROCESSES」と題するPCT出願第PCT/US2017/065170号の中に見出され、これら両方の内容は、本開示と矛盾しない範囲で参照により本明細書組み込まれる。
【0020】
反応器100の構成要素は、第一の供給源160及び/又は第二ガスの供給源170からのガス(例えば、金属ハロゲン化物ガス)に由来する前駆体と反応して(例えば、揮発性)ガス化合物を形成する材料で作製されてもよい。特に、反応チャンバー110、サセプタ120、及び/又はシャワーヘッド130を、金属ハロゲン化物ガスと反応してガス化合物を形成することになる材料で作製することができる。材料としては、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、並びにそれらの混合物及び合金、例えば、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、又はステンレス鋼、のうちの少なくとも一つが挙げられる。上記に列挙した材料で作製することができる反応器100の他の構成要素としては、これらの各々が汚染源となる可能性があるものとして、ガスライン、ガス分配ブロック、ヒータープレート、及びガスケットが挙げられる。
【0021】
図2は、本開示の少なくとも一つの実施形態による別の反応器200を例示する。反応器200は、反応チャンバー210、反応チャンバーライニング220、サセプタ230、及びガス分配構造(例えば、シャワーヘッド240)を備えてもよい。反応チャンバーライニング220は、反応チャンバー210の上へと堆積された材料を含む被覆であってもよい。追加的又は代替的に、ガスライン及びポンプラインなどの反応チャンバーから下流及び/又は上流にある反応器200部品も、同様に被覆されてもよい。反応器100と同様に、シャワーヘッド240を有する垂直流反応器として例示されるが、反応器200は代替的に、反応チャンバーのシャワーヘッドタイプの代わりにクロスフロー反応チャンバーを備えてもよい。シャワーヘッド240は、以下に記載するリモートプラズマユニット260及び/又は第一のガス供給源若しくは第二のガス供給源から来るガス前駆体を分散してもよい。サセプタ230は、処理される基板250を保持する。
【0022】
反応器200はまた、第一のガス供給源270及び第二のガス供給源280も備えてもよい。第一のガス供給源270及び第二のガス供給源280は、リモートプラズマユニット260へのガスの供給として例示されるが、追加的又は代替的に、ガスを、リモートプラズマユニット260を通過させずに、直接的に反応チャンバー210へと提供してもよい。第一のガス供給源270及び/又は第二のガス供給源280は、遷移金属又はアルミニウムハロゲン化物(フッ素、塩素、若しくは臭素などの)(例えば、TiCl、TiF、TiCl、TiF、MoCl、MoF、WCl、WF、NbCl、NbF、TaCl、TaF、VCl、VF、AlCl、HfCl、又はZrClのうちの一つ以上を含む)などの金属ハロゲン化物ガス、を提供してもよい。第一のガス供給源270及び/又は第二のガス供給源280は、例えば、SbFのような非金属ハロゲン化物、CClのような有機ハロゲン化物、又はWOFなどの金属オキシハロゲン化物を含むハロゲン化物ガスを提供してもよい。第一のガス供給源270及び/又は第二のガス供給源280からの前駆体は、チャンバーライニング220と反応して、効率的なパージを可能にするために飽和蒸気圧が高く、凝縮がないか又はわずかであり、それだけでなく反応チャンバー210の中の汚染物質が少ない状態に保つための、ガス化合物を形成することができる。第一のガス供給源270及び第二のガス供給源280は、例えば、塩素、フッ素、及び/又は臭素などの少なくとも一つのハロゲン化物原子を含有する前駆体、例えば、NbF又はCClを提供してもよい。
【0023】
反応器200のライニング220を含む構成要素は、一つ以上のガス供給源270、280(例えば、一つ以上の金属ハロゲン化物ガス)からの前駆体と反応して、(例えば、揮発性)ガス化合物を形成する材料で作製されてもよい。特に、反応チャンバーライニング220、サセプタ230、及び/又はシャワーヘッド240を、第一の前駆体及び/又は第二の前駆体と反応してガス化合物を形成する材料で作製することができる。材料は、例えば、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、ステンレス鋼、のうちの少なくとも一つを含むことができる。上記に列挙した材料を用いて作製及び/又は被覆することができる反応器200の他の構成要素としては、これらの各々が汚染源となる可能性があるので、ガスライン、ガス分配ブロック、ヒータープレート、及びガスケットが挙げられる。いくつかの実施形態によると、第一の前駆体及び/又は第二の前駆体と反応する材料で作製及び/又は被覆される構成要素は、シャワーヘッドプレートの下方又は下流からポンプラインまでに位置する構成要素の表面を含む。例示的な実施形態によると、第一の前駆体及び/又は第二の前駆体と反応する材料で作製及び/又は被覆される構成要素は、シャワーヘッドプレートの上方の空間にガスが入る点の下流からポンプラインまでに位置する構成要素の表面を含む。いくつか実施形態では、第一の前駆体及び/又は第二の前駆体と反応する材料で作製及び/又は被覆される構成要素は、反応チャンバーの前の最後のバルブの点の下流からポンプラインまでに位置する構成要素の表面を含む。いくつかの実施形態では、第一の前駆体及び/又は第二の前駆体と反応する材料で作製及び/又は被覆される構成要素は、反応チャンバーの前の最後から二番目のバルブの点の下流からポンプラインまでに位置する構成要素の表面を含む。いくつかの実施形態では、第一の前駆体及び/又は第二の前駆体と反応する材料で作製及び/又は被覆される構成要素は、反応チャンバー温度と反応領域の縁部との間に、約400℃未満、約300℃未満、約200℃未満、約150℃未満、約100℃未満、約50℃未満、又は約25℃未満の温度差を有する領域の中に位置する構成要素の表面を備える。ポンプラインの点は、この点からは化学薬品、反応副産物、粒子、又は他の材料はもはや反応チャンバー内の製品若しくは基板、又は反応チャンバーの寿命に有害なやり方で影響を与えることができない、あるいはプロセス、製品、基板、又は反応器の動作に対していかなる他の有害な影響も有することができない、反応チャンバー又は基板から下流の点になると考えることができる。
【0024】
反応チャンバーライニング220は、例えば、原子層堆積(ALD)及び/若しくは化学蒸着(CVD)並びに/又は電着などの液体被覆/堆積法を含む様々な方法を使用して反応チャンバー210の中の表面上に形成されてもよい。反応チャンバーライニング220は、0.1mm~10mm、0.5~5mm、1~3mm、0.0001~0.001mm、0.001~0.01mm、若しくは0.01~0.1mm、又はいくつかの事例では10mm未満だが、約10nm超、約100nm超、約1μm超、約10μm超、若しくは約100μm超の範囲の厚さを有することができる。これらの厚さを用いると、エッチング速度は著しく小さい(1~10nm/分程度又はそれより更に小さい)可能性があるので、チャンバーの寿命をきわめて長くすることができ、1~5年間、又は約1週間超、約1ヶ月超、約半年超、約1年超、約2年超、約3年超、約4年超、約5年超の範囲の寿命をもたらす。いくつかの実施形態では、反応チャンバー材料又はライニングのエッチング速度は、約0.1~約100nm/分、約0.5~約50nm/分、約1~約50nm/分、又は0.1nm/分超だが、約5nm/分未満、約10nm/分未満、約25nm/分未満、約50nm/分未満、若しくは約100nm/分未満である。いくつかの実施形態では、反応チャンバー材料又はライニングのエッチング速度は、エッチング化学薬品の1パルス若しくは1サイクル当たり約0.001~約10nm、約0.01~約5nm、約0.02~約2nm、約0.02~約1nm、又はエッチング化学薬品の1パルス若しくは1サイクル当たり0.001nm/分超だが、エッチング化学薬品の1パルス若しくは1サイクル当たり約10nm未満、約5nm未満、約1nm未満、約0.5nm,未満、約0.1nm未満である。
【0025】
一つ以上の反応性ガス(例えば、ガス供給源160、170、270、280などのガス供給源からの一つ以上のガスに由来する前駆体)、又は反応性ガスの組み合わせによってエッチングされる反応チャンバー材料及び/又はライニング/被覆を塗布又は利用することによって、エッチングされる基板の不純物レベル又は汚染物質レベルを効果的に減少することができる。いくつかの実施形態では、反応チャンバー材料又はライニング/被覆が一つ以上の反応性ガス又は反応性ガスの組み合わせによってエッチングされる時、基板は約5at%未満、約1at%未満、約0.5at%未満、約0.1at%未満、約0.05at%未満、約0.01at%未満、約0.005at%未満、又は約0.001at%未満の反応チャンバーからの不純物を、例えば、金属汚染として有する。いくつかの事例では、反応チャンバー材料又はライニング/被覆が一つ以上の反応性ガス又は反応性ガスの組み合わせによってエッチングされる時、基板は、10000ppm未満、1000ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、若しくは10ppm未満、又は場合によっては検出不能な量の反応チャンバーからの不純物を、例えば、金属汚染として有する。
【0026】
図示かつ記載された特定の実施は、本発明及びその最良の形態の例示であり、いかなるやり方でも態様及び実施の範囲を別途限定することを意図しない。実際、簡潔のために、システム、反応器、又は方法の従来の製造、関連、調製、及び他の機能的態様は詳細には記載されない場合がある。更に、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係及び/又は物理的結合を表すことを意図する。多くの代替的若しくは追加の機能的関係、若しくは物理的接続が実際のシステムに存在してもよく、かつ/又はいくつかの実施形態では存在しなくてもよい。
【0027】
本明細書に記載される構成及び/又は取り組みは本質的に例示的であり、これらの特定の実施形態又は実施例は、数多くの変形が可能であるので、限定的な意味では考えられないことを理解されたい。本明細書に記載される特定のルーチン又は方法は、任意の数の処理方策のうちの一つ以上を表す場合がある。それゆえ、例示された様々な動作は、例示されるシーケンスで実施されてもよく、他のシーケンスで実施されてもよく、又は場合によっては省略されてもよい。
【0028】
本開示の主題は、本明細書で開示される様々なプロセス、システム、反応器、及び構成、並びに他の特徴、機能、動作、及び/又は特性の、全ての新規かつ自明でない組み合わせ及び部分的組合せ、並びにその任意の及び全ての均等物を含む。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理システムであって、
第一の材料を含む反応チャンバーと、
第二の材料を含み、かつ処理のために基板を保持するように構成されているサセプタと、
第三の材料を含むシャワーヘッドと、
前記基板上の膜をエッチングするプロセスにおいて第一のガス供給源と前記反応チャンバーとの間のガスラインを通じて第一のガス前駆体を前記反応チャンバーへと提供する第一のガス供給源であって、前記ガスラインが、前記第一の材料、前記第二の材料又は前記第三の材料から作られる、第一のガス供給源と、を備え、
前記第一の材料、前記第二の材料及び前記第三の材料が、前記第一のガス前駆体及び第二のガス前駆体の1つ以上と反応して、揮発性ガス化合物を形成するように構成され、
前記揮発性ガス化合物が半導体処理システムから除去されるように構成されている、半導体処理システム。
【請求項2】
反応チャンバーライニングをさらに備える、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項3】
前記反応チャンバーライニングが、前記反応チャンバーに堆積される材料を含むコーティングを備える、請求項2に記載の半導体処理システム。
【請求項4】
前記反応チャンバーライニングの厚さが、0.0001~0.001mmである、請求項3に記載の半導体処理システム。
【請求項5】
前記反応チャンバーライニングが、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブ、タンタル、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、バナジウム合金、亜鉛合金、石英、ホウケイ酸石英、及びステンレス鋼からなる群から選択される材料で作られる、請求項2に記載の半導体処理システム。
【請求項6】
前記反応チャンバーライニングが、前記第一の材料で作られ、前記第一の材料が、タングステン、モリブデン、アルミニウム、亜鉛及び亜鉛合金の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の半導体処理システム。
【請求項7】
前記反応チャンバーライニングが、前記第一の材料で作られ、前記第一の材料が、タングステン、モリブデン、アルミニウム、亜鉛及び亜鉛合金の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の半導体処理システム。
【請求項8】
前記第一のガス前駆体が、TiCl 、TiF 、TiCl 、TiF 、MoCl 、MoF 、WCl 、WF 、NbCl 、NbF 、TaCl 、TaF 、VCl 、VF 、AlCl 、HfCl 、又はZrCl のうちの一つ以上を含む、又はこれらのうちの一つ以上に由来する、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項9】
前記第二のガス前駆体がハロゲン化物を含む、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項10】
前記第一のガス前駆体及び前記第二のガス前駆体の少なくとも1つが、NbF 、CCl 又はWOF を含む、請求項9に記載の半導体処理システム。
【請求項11】
前記サセプタが、前記第二の材料から作られ、前記第二の材料が、タングステン、モリブデン、亜鉛及び亜鉛合金のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項12】
前記シャワーヘッドが、前記第三の材料から作られ、前記第三の材料が、タングステン、モリブデン、亜鉛及び亜鉛合金のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項13】
前記第一のガス供給源が、非金属ハロゲン化物、有機ハロゲン化物及び金属オキシハロゲン化物のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項14】
リモートプラズマユニットをさらに備え、前記第一のガス前駆体及び前記第二のガス前駆体の少なくとも一つが、前記シャワーヘッドに入る前に前記リモートプラズマユニットを通って流される、請求項1に記載の半導体処理システム。
【請求項15】
前記第一のガス前駆体及び前記第二のガス前駆体の両方が、前記シャワーヘッドに入る前に前記リモートプラズマユニットを通って流される、請求項14に記載の半導体処理システム。
【請求項16】
前記第一のガス前駆体及び前記第二のガス前駆体のうちの少なくとも一つが、前記リモートプラズマユニットを通さずに前記反応チャンバーに追加的に供給される、請求項14に記載の半導体処理システム。
【外国語明細書】