(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081898
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】おからパウダーを用いた揚げ物用打ち粉ミックス及びこれを使用したフライ製品
(51)【国際特許分類】
A23L 7/157 20160101AFI20240612BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20240612BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20240612BHJP
A23L 13/00 20160101ALN20240612BHJP
【FI】
A23L7/157
A23L11/00 Z
A23L35/00
A23L13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195442
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】溝口 久美子
【テーマコード(参考)】
4B020
4B025
4B036
4B042
【Fターム(参考)】
4B020LB24
4B020LC04
4B020LG07
4B020LP07
4B020LP30
4B025LB06
4B025LG42
4B025LP01
4B036LF13
4B036LH26
4B036LP03
4B036LP13
4B042AC05
4B042AC10
4B042AD18
4B042AG03
4B042AH01
4B042AK13
4B042AP05
4B042AP19
(57)【要約】
【課題】衣の結着性が良好であっても肉等の具材が硬くなりすぎるのを抑えることができる揚げ物用打ち粉ミックスを提供すること。
【解決手段】揚げ物用打ち粉ミックス100質量部中、おからパウダーを0.5質量部以上80質量部以下含む揚げ物用打ち粉ミックスである。 また、これを使用したフライ製品である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚げ物用打ち粉ミックス100質量部中、おからパウダーを0.5質量部以上80質量部以下含む揚げ物用打ち粉ミックス。
【請求項2】
請求項1に記載の揚げ物用打ち粉ミックスを使用したフライ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おからパウダーを用いた揚げ物用打ち粉ミックス及びこれを使用したフライ製品に関する。
【背景技術】
【0002】
天ぷらやトンカツ等、具材にバッタリングしてフライする揚げ物には、衣の結着性等を改善するためにバッタリングの前処理として具材に小麦粉等の打ち粉をまぶしてからフライすることが行われている。
例えば、衣の結着性や揚げ種のジューシーな食感の発現を目的とした、油脂加工アセチル化澱粉を含む揚げ物用打ち粉が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、揚げ物の具材と衣材との結着性に優れていて衣が剥がれにくく、調理後に時間が
経過しても衣の品質低下が少ない揚げ物をつくることを目的とした油脂加工澱粉、ゼラチン及び植物性蛋白質を含有する揚げ物用打ち粉ミックスが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-291431号公報
【特許文献2】特開2018-113878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のとおり、打ち粉を使用する目的の一つとして、衣の結着性を良好にすることを挙げることができるが、衣の結着性が良好になると肉等の具材の食感が硬くなる傾向があり、その解決策が求められている。
本発明の目的は、衣の結着性が良好であっても肉等の具材が硬くなりすぎるのを抑えることができる揚げ物用打ち粉ミックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、揚げ物用打ち粉ミックスにおからパウダーを特定量配合することで、衣の結着性が良好であっても肉等の具材が硬くなりすぎるのを抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、揚げ物用打ち粉ミックス100質量部中、おからパウダーを0.5質量部以上80質量部以下含む揚げ物用打ち粉ミックスである。
好ましくは、おからパウダーが1質量部以上30質量部以下である。
また、これを使用したフライ製品である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の揚げ物用打ち粉ミックスを使用することで衣の結着性が良好であっても肉等の具材が硬くなりすぎることがないフライ食品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】とんかつを短手方向に切断した断面を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するおからパウダーとは、豆乳と分離した後の「生おから」を乾燥し必要に応じて粉砕して水分値が9質量%以下、目開き3mmの篩を通過する粉状にしたものをいい、市販品も使用することができる。
おからパウダーの配合量は、揚げ物用打ち粉ミックス100質量部中、0.5質量部以上80質量部以下である。
好ましくは、1質量部以上30質量部以下である。
おからパウダーの配合量が0.5質量部未満では、十分な効果を得ることができず、80質量部を超えると結着性を悪くするため不適である。
【0009】
本発明の揚げ物用打ち粉ミックスは、前記おからパウダー以外に必要に応じて従来から打ち粉に使用されている原料を使用することができる。
例えば、穀粉、澱粉、卵粉、増粘剤、食塩、調味料、香辛料、香料、着色料等を挙げることができる。
これらの配合量も従来から打ち粉に使用されている配合量でよい。
具材も特に限定はないが、フライ時に具材が縮む肉類等に好ましく使用できる。
【0010】
本発明の揚げ物用打ち粉ミックスは、前記原料を均一になるように混合することで得ることができる。
混合の方法は特に限定されず、手混ぜによる方法や、リボンミキサー、ナウターミキサー、カスケードミキサー、ドラムミキサー、V 型ミキサー等の混合機を使用する方法を挙げることができる。
【0011】
本発明の揚げ物用打ち粉ミックスの使用方法は、公知の打ち粉と同様でよく、例えば、具材に本発明の揚げ物用打ち粉ミックスをまぶした後、バッタリングし必要に応じてブレッダリングしてフライすることでフライ製品を得ることができる。
【実施例0012】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1~6、比較例1~3]
表1~2に示す配合の原料を混合して打ち粉ミックスを調製し、これを平面形状が略長方形の豚ロース肉100質量部に対して2.5質量部まぶし、さらに卵液8質量部をつけ、さらに生パン粉16質量部をまぶし170℃のサラダ油で4分間揚げてとんかつを得た。
得られたとんかつをフライ後10分間放置し以下の評価基準で10名のパネラーにより評価を行った。
同時に結着状態も確認した。
なお、表1~2中、澱粉質原料は、リン酸架橋タピオカ澱粉70質量%、薄力小麦粉30質量%の混合物である。
<食感>
5点 適度な柔らかさで非常に良い
4点 やや適度な柔らかさで良い
3点 普通
2点 やや硬すぎて悪い
1点 硬すぎて非常に悪い
【0013】
得られた評価結果を表1~2に示す。
表中、評価は点数を付けた人数と平均点を示している。
【0014】
【0015】
【0016】
実施例1~7、比較例1~2は、いずれも衣の結着がよく、衣がはがれた部分がなかった。
比較例3は、衣が、はがれた部分があり、衣の結着が劣る結果となった。
肉の食感は実施例1~7、比較例3で満足できる結果となった。
比較例1、比較例2は、肉の食感が満足できる結果ではなかった。
比較例1、比較例2は、衣の結着性は、良好だったが、肉の食感が劣り不適とした。
比較例3は、肉の食感は満足できる結果であったが結着性が劣り不適とした。
【0017】
図1は前記比較例1と前記実施例3で得られた、とんかつを短手方向に6等分し、断面を示した写真である。
左側が比較例1、右側が実施例3である。
具材となった豚肉の厚みは、比較例1、実施例3とも同じに調製しているが、比較例1に比較すると、実施例3は、肉の厚みがあり、見た目もよく食感の柔らかさの一因にもなっていると考えられる。
衣の結着は、前記のとおり、どちらも衣のはがれた部分がなく良好であった。