(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081990
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】検視配管
(51)【国際特許分類】
F17D 3/00 20060101AFI20240612BHJP
B65G 11/20 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
F17D3/00
B65G11/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195642
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000187079
【氏名又は名称】昭和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100206689
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】高崎 まり子
(72)【発明者】
【氏名】増田 遥平
(72)【発明者】
【氏名】清水 祥
【テーマコード(参考)】
3F011
3J071
【Fターム(参考)】
3F011AA03
3F011BA02
3F011BC07
3J071AA15
3J071CC07
3J071EE05
3J071EE33
3J071FF16
(57)【要約】
【課題】搬送物を検視するための構造を有する検視配管を提供する。
【解決手段】内部を粉体が落下移動する管体2と、管体内に設けられた減速部材3と、管体2内を流動する粉体を検視するための検視窓4と、を備え、管体2は、検視窓4と減速部材3との間を通過する第1のパスと、検視窓4とは反対側の第2のパスと、に区画されており、第1のパスを通過する粉体が検視窓4の少なくとも一部を覆う高さまで堆積するように、第1のパスの流出口を第1のパスの流入口よりも狭く構成した検視配管1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を粉体が落下移動する管体と、
管体内に設けられた減速部材と、
管体内を流動する粉体を検視するための検視窓と、を備え、
前記管体は、前記検視窓と前記減速部材との間を通過する第1のパスと、前記検視窓とは反対側の第2のパスと、に区画されており、
前記第1のパスを通過する前記粉体が前記検視窓の少なくとも一部を覆う高さまで堆積するように、前記第1のパスの流出口を前記第1のパスの流入口よりも狭く構成した検視配管。
【請求項2】
前記減速部材が、前記第1のパスと前記第2のパスとを区画する上部材と、前記第1のパスの流出口を前記管体の内側面と共に構成する下部材と、を備えて構成され、前記上部材および前記下部材の境界部分が、前記上部材の端部と前記下部材の端部を結ぶ直線よりも前記第2のパス側に配置されている請求項1に記載の検視配管。
【請求項3】
少なくとも前記下部材の位置を移動させることで、前記第1のパスの前記流出口の大きさを調整可能とする隙間調整機構をさらに備える請求項2に記載の検視配管。
【請求項4】
前記上部材および前記下部材が一体的に形成されており、
前記隙間調整機構が、前記上部材および前記下部材の位置を移動させる請求項3に記載の検視配管。
【請求項5】
前記隙間調整機構により前記第1のパスの前記流出口の開口面積の大きさを調整した際も、前記第1のパスの前記流入口の開口面積が、前記第2のパスの前記流入口の開口面積よりも常に小さくなるように構成されている請求項3また4に記載の検視配管。
【請求項6】
前記検視窓の上端が、前記上部材の上端と同じか、それよりも低い位置に設けられていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の検視配管。
【請求項7】
前記減速部材が、側方から視た場合に略弓形または略くの字形であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の検視配管。
【請求項8】
前記第1のパスの前記流出口の大きさを調整可能とする隙間調整機構をさらに備える請求項1に記載の検視配管。
【請求項9】
請求項1ないし4および8のいずれかに記載の検視配管と、
前記検視窓から前記第1のパス内を流動する、前記粉体の光学情報に基づいて前記粉体特性を評価する評価装置と、を備える粉体の評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を観察するための検視窓と減速部材を有する検視配管に関する。なお、本明細書では、粉粒体を含む意味で「粉体」の用語を用いるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来の製粉設備では、配管の一部を分岐させ、分岐路に測定装置を設置することで、品質管理が行われている。しかしながら、分岐路を設けることにはスペース上の制約があり、また、ブリッジ(偏析)が発生すると配管が閉塞されるという課題がある。
【0003】
特許文献1には、被製粉物を破砕するロール製粉機およびロール製粉機で破砕された被製粉物を粒度別に篩い分ける篩機を組合せてなる複数の破砕部と、被製粉物を粉砕するロール製粉機およびロール製粉機で粉砕された被製粉物を粒度別に篩い分ける篩機を組合せてなる複数の粉砕部と、を備え、原料となる被製粉物を、各破砕部及び各粉砕部により段階的に製粉する製粉設備の監視システムであって、各破砕部および各粉砕部の各篩機から排出される上がり粉の各流路に設けられる複数の流量測定装置と、異常の有無を監視可能とする監視装置と、を備え、監視装置は、各流量測定装置による上がり粉の各流量の測定結果に基づいて、異常の有無を監視可能とする製粉設備の監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粉体を搬送する用途の配管においては、分岐路を設けずに搬送される粉体の品質を検査したいとのニーズがある。
【0006】
そこで、本発明は、搬送物を検視するための構造を有する検視配管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]内部を粉体が落下移動する管体と、管体内に設けられた減速部材と、管体内を流動する粉体を検視するための検視窓と、を備え、前記管体は、前記検視窓と前記減速部材との間を通過する第1のパスと、前記検視窓とは反対側の第2のパスと、に区画されており、前記第1のパスを通過する前記粉体が前記検視窓の少なくとも一部を覆う高さまで堆積するように、前記第1のパスの流出口を前記第1のパスの流入口よりも狭く構成した検視配管。
[2]前記減速部材が、前記第1のパスと前記第2のパスとを区画する上部材と、前記第1のパスの流出口を前記管体の内側面と共に構成する下部材と、を備えて構成され、前記上部材および前記下部材の境界部分が、前記上部材の端部と前記下部材の端部を結ぶ直線よりも前記第2のパス側に配置されている[1]に記載の検視配管。
[3]少なくとも前記下部材の位置を移動させることで、前記第1のパスの前記流出口の大きさを調整可能とする隙間調整機構をさらに備える[2]に記載の検視配管。
[4]前記上部材および前記下部材が一体的に形成されており、前記隙間調整機構が、前記上部材および前記下部材の位置を移動させる[3]に記載の検視配管。
[5]前記隙間調整機構により前記第1のパスの前記流出口の開口面積の大きさを調整した際も、前記第1のパスの前記流入口の開口面積が、前記第2のパスの前記流入口の開口面積よりも常に小さくなるように構成されている[3]また[4]に記載の検視配管。
[6]前記検視窓の上端が、前記上部材の上端と同じか、それよりも低い位置に設けられていることを特徴とする[2]ないし[4]のいずれかに記載の検視配管。
[7]前記減速部材が、側方から視た場合に略弓形または略くの字形であることを特徴とする[2]ないし[4]のいずれかに記載の検視配管。
[8]前記第1のパスの前記流出口の大きさを調整可能とする隙間調整機構をさらに備える[1]に記載の検視配管。
[9][1]ないし[4]および[8]のいずれかに記載の検視配管と、前記検視窓から前記第1のパス内を流動する前記粉体の光学情報に基づいて前記粉体特性を評価する評価装置と、を備える粉体の評価システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配管内を搬送される搬送物を検視するための検視窓と減速部材が設けられているので、減速部材により減速された搬送物を検視窓から観察することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態例に係る粉体検視配管の側面断面図である。
【
図2】実施形態例に係る粉体検視配管の底面図である。
【
図3】実施形態例に係る粉体検視配管の側面図である。
【
図5】小麦を製粉する工程の一例を示すフローである。
【
図6】変形例に係る粉体検視配管の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の検視配管は、搬送される粉体を検視するために使用される。本発明に係る検視配管で搬送される粉体は、特に限定されず、例えば、食品材料や飼料材料、医薬材料、化粧品材料、工業用材料などを搬送することができる。なお、本発明に係る粉体は、粒体や粉体、造粒されたものを包含する。粉体の大きさは特に限定されず、例えば、三軸径(粒子を外接直方体に置き換えた際の、直方体の各寸法)の最も長い辺(長辺)が10mm以下、好ましくは5mm以下であり、3mm以下、2mm以下、1mm以下であってもよい。また、本発明に係る粉体の別の好ましい態様としては、ブリッジ(偏析)等による閉塞の頻度を抑えることができるため、中心粒子径が100μm以上であり、より好ましくは300μm以上であり、500μm以上であってもよい。以下に添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明の検視配管1は、一例として、
図1~4に示すように、管体2と、減速部材3と、検視窓4とを少なくとも備えて構成される。
管体2は、延びる方向上部から下部に粉体を搬送できる。管体2の形状は、特に限定はないが、例えば、直線状に延びている。好ましい形態の管体2は、後述するように、検視窓4は平面であることが好ましいことから、平面の検視窓4を容易に設けられるように、少なくとも1つ以上の平面である側面をもつ形状である。また、管体2は、水平線と管体2の延びる方向が略垂直となるように取り付けられていてもよいし、傾けて取り付けられていてもよい。管体2の好ましい配置形態は、水平線と管体2の延びる方向とが構成する角度が45~80度であり、より好ましくは検視窓4が略下向きになるように管体2が傾いて配置されている。
【0012】
管体2は、一例として、
図1~4に示すように、底板2a、天板2bおよび一対の側板2c,2dからなり、長手方向中央部分の断面は直方体状である。管体2の長手方向上部および下部の断面は、図示しない両端部の前後工程の配管とそれぞれフランジ接続できるように、略円形である。底板2aには、検視窓4が設けられ、また、底板2aと水平線とが構成する角度が例えば45~80度となるように傾けて取り付けられる。
【0013】
減速部材3は、管体2の内側に取り付けられ、管体2内を検視窓側の第1のパスP1および反対側の第2のパスP2という2つのルートに区画する部材である。減速部材3は、第1のパスP1からの排出量を、流出口Gの大きさ(開口面積)により調整し、減速部材3と管体2の検視窓側の側面との間に粉体を堆積させる。第1のパスP1における粉体の堆積は、流出口Gから粉体が継続的に排出されている状態で実現される。流出口Gからの排出速度を上回る量の粉体が第1のパスP1に供給された場合には、減速部材3の上端まで粉体が堆積し、第2のパスP2から溢れた粉体が減速部材3の上端から第2のパスP2側に流出(オーバーフロー)する。そのため、流出口Gの排出量を上回る量の粉体が一時的に供給されたり、ブリッジ(偏析)が発生したりしても、閉塞の問題は生じない。また、第2のパスP2の流入口の最小開口面積が、第1のパスP1の流入口の最大開口面積よりも大きくなるように構成することが好ましい。
【0014】
第1のパスP1の排出量や粉体の堆積量の調整、ブリッジの解消は、例えば、減速部材3の位置や角度などを変更し、流出口Gの大きさを調整することにより行う。減速部材3の位置や角度は、手動で変更してもよいし、モーターなどの電気駆動装置を設置して行ってもよい。電気駆動装置により減速部材3の位置を調整する場合、オペレーター操作に基づいてもよいし、コンピュータプログラムにより時間に基づいて自動制御してもよいし、検視結果に基づいて(例えば、撮像画像から判別された堆積量の多寡に応じて)自動制御してもよい。また、粉体の堆積量は、検視窓4から検視できれば特に限定されなく、検視する目的に応じて調整すればよい。例えば、検視窓4の一部を覆う量の粉体が堆積していてもよく、すべてを覆う量の粉体が堆積していてもよい。堆積する量により粗充填密度から密充填密度まで、粉体の密度が調整できる。粉体を適切に検視するためには、検視する箇所(例えば、後述の受光光学系のレンズと対向する箇所)に粉体が堆積していることが好ましく、検視する箇所において堆積した粉体が自重により検視窓4に押しつけられていることがより好ましい。押しつけられた状態とするためには検視窓4の高さの少なくとも7割、好ましくは高さの8割以上の高さまで粉体が堆積するようにする。また、減速部材3の素材は、特に限定されないが、耐摩耗鋼や耐摩耗性のある樹脂(例えば、超高分子ポリエチレン樹脂)などが好ましい。
【0015】
減速部材3は、一例として、
図1に示すように、側面から視て略くの字形であり、上部材31と、下部材32と、回動軸33と、を備えている。
図1の例では、回動軸33が上部材31と下部材32の境界部分となる。上部材31は、管体2内を第1のパスP1および第2のパスP2という2つのルートに区画する板状の部材である。上部材31は、管体2の長手方向中心線と例えば0~45度または10~30度の角度を構成するように配置される。別の観点からは、上部材31と下部材32の境界部分が、上部材31の端部と下部材32の端部を結んだ直線よりも第2のパス側に位置するように配置される。また、下部材32は、上部材31の下部と接続しており、検視窓側から視える上部材31および下部材32の各面が、例えば90~150度または100~140度の角度を構成する。上部材31および下部材32の幅は、管体2の内側の幅よりも僅かに小さく構成されている(
図4参照)。上部材31が管体2の長手方向中心線と構成する角度や、流出口Gの大きさは、回動軸33を中心に上部材31および下部材32を回転させることにより調整することが可能である。
【0016】
検視窓4は、管体2の側面に設けられた開口部であり、この開口部を塞ぐように透明部材41が取り付けられ、管体2内を搬送される粉体を検視することができる。一例として、管体2の透明部材41と当接する部分にパッキンを設けてもよく、また、粉体のサンプリングなどで使用するために透明部材41を開閉可能に構成してもよい。また、透明部材41の一部を開閉可能とする開閉部を設けてもよい。検視窓4の形態は、特に限定はないが、好ましくは透明部材41の内面および対向する外面が平面である。透明部材41の内面および対向する外面が平面であることで、光の屈折などが抑えられる。また、検視窓4の透明部材41の内面は、管体2の内面と面一となるように構成されている。透明部材41は、管体2内を搬送される粉体と直に接するように配置されているため、粉体との摩擦により傷がつかない部材を採用することが好ましく、また、静電気が起きにくい部材を作用することが好ましい。例えば、ポリカーボネート、サファイアガラスなどが挙げられる。
【0017】
検視窓4による検視の方法は、特に限定はなく、例えば、肉眼による視認でもよいし、後述する撮像装置や分光分析装置などの受光光学系を使ってもよい。なお、受光光学系を構成する装置の照射面および/または受光面を検視窓4に取り付け、上述の透明部材41としてもよい。受光光学系から得られた光学情報は、例えば、処理装置と記憶装置を備えたコンピュータに送信され、専用のソフトウェアにより粉体特性を評価することができる。例えば、撮像装置による静止画像を専用のソフトウェアで情報処理することにより、粉体の形状や色などの粉体特性を評価でき、分光分析装置による吸収スペクトルを専用のソフトウェアで情報処理することにより、粉体の成分などの粉体特性を評価することができる。また、視認または受光光学系から得られた情報は、単独または他の情報と組合わせて、前後工程の制御に用いたり、減速部材3の位置や角度の制御に用いることもできる。
【0018】
本発明の検視配管1は、一例として、
図1~3に示すように、さらに窓枠部材5、受光光学系6、隙間調整機構7などを備えていてもよい。
窓枠部材5は、検視で用いられる撮像装置や分光分析装置などの受光光学系6を格納する。一例として、
図3に示すように、窓枠部材5は、検視窓4を覆う大きさで、また、管体2の中心から離れる方向に突出している。窓枠部材5は、管体2に接合され、検視窓4から観察可能とするための開口がある第1板部材51と、突出部53を含む第2板部材52を備えている。第1板部材51および第2板部材52は、管体2の幅方向(水平方向)の長さがともに管体2より長く、管体2の外側に位置する部分にボトル孔54が設けられている。第2板部材52は、ボルト孔54に挿通されたボルト55により、第1板部材51に固定されている。
【0019】
受光光学系6は、検視窓から粉体を検視する際に用いられる装置であり、一例として、窓枠部材5に格納され、粉体の形状や色などを観察するための静止画像を撮像する撮像装置を用いることができる。受光光学系6を構成する撮像装置は、高速カメラを用いてもよいが、減速部材3で流動速度が減速された粉体を撮像するため、シャッター速度を例えば1/500秒に設定できる汎用カメラを用いることができる。また、受光光学系6が格納された窓枠部材5内には、例えば、突出部53に複数のLEDチップを環状に配置してなる光源(図示せず)が配置されており、受光光学系6の受光面(レンズ)の後ろ側から検視窓4を照らしている。なお、光源は、受光光学系6に採用するカメラの種類により最適なものを選択することができ、可視光カメラを採用する場合は白色光源などを用いることができるが、赤外線カメラを採用する場合は赤外光を照射する光源を採用できるし、紫外線カメラを採用する場合は紫外光を照射する光源を採用することができる。
【0020】
隙間調整機構7は、減速部材3の位置や角度を調整し固定する。隙間調整機構7は、一例として、
図3に示すように、一方の端部が減速部材3の回動軸33と軸止めされるアーム71と、アーム71の傾きを調整するためのロッド72と、ロッド72を回動可能に軸止めする固定具73と、を備えている。アーム71の回動軸53とは反対側の端部には、ロッド72が挿通される貫通孔を有するロッド受け71aが設けられている。ロッド受け71aの貫通孔にはねじ溝が形成されており、ロッド72の外周に設けられたねじ溝と螺合する。ロッド72の下方の端部は、管体2に固定された固定具73が有する回動軸74に連結されている。そのため、ロッド72の端部に設けられたハンドル75を回動することにより、ロッド受け71を上下させてアーム71の傾きを無段階に調整することが可能である。
【0021】
図4は、
図1の粉体検視配管1のA-A断面図である。
図4(a)は、流出口Gが狭くなるように減速部材3の角度を調整した様子を説明する図であり、
図4(b)は、流出口Gが大きくなるように減速部材3の角度を調整した様子を説明する図である。
図4(a)は、減速部材3が
図1に示す位置を説明している。
図1において、減速部材3を時計回りに回動させると、
図4(b)に示すように、上部材31の上端部が底板2aに近付くことで第2のパスP2の流入口が広がり、下部材32の下端部が底板2aから離れることで第1のパスP1の流出口Gが広がる。
隙間調整機構7による調整は、所望の条件が見つかったら、検視対象の粉体の種類、受光光学系などが変わらない限り固定しておくこともできる。
【0022】
以上に説明した実施形態例の粉体検視配管1によれば、分岐配管を設けずとも、第1のパスP1内に堆積された粉体を連続的に検視することが可能となる。
また、減速部材3を回動することで、第1のパスP1内に堆積する粉体の量を調整でき、堆積した粉体は自重により検視窓4に押しつけられるため、検視に適した粉体の密度を実現することが可能である。
また、減速部材3により堆積された粉体がオーバーフローした場合でも、第2のパスP2が設けられていることから、管体2が粉体で閉塞されるという問題は生じない。
【0023】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態例の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0024】
例えば、実施形態例では、減速部材3を2枚の上下板状部材を角部をもって連結する構成を開示したが、
図6に示すように、1枚の円弧状または略弓形の板状部材により減速部材(上部材34、下部材35)を構成してもよい。
図6の例においても、上部材34と下部材35の境界部分をなす回動軸33が、上部材34の端部と下部材35の端部を結んだ直線よりも第2のパス側に位置するように配置されている。
また、実施形態例では、上部材31および下部材32の両方が回動する構成としたが、下部材32のみを回動させることで流出口Gの大きさを調整する構成を採用してもよい。
また、実施形態例では、流出口Gを回動軸33により調整する構成としたが、回動軸に代わり、上部材31および下部材32を検視窓4に近接および遠ざける直線動作を可能とする隙間調整機構を採用してもよい。
【0025】
本発明の検視配管は、一例として、小麦の製粉工程で用いることができる。
図5は、小麦を製粉する工程の一例を示すフローである。
図5のフローでは、まず、原料となる小麦から異物などを取り除く精選処理(S1)が行われ、次に、粗選処理された小麦粒に一定量の水分を添加する加水処理(S2)を施して小麦粒の硬度を低下させ、次いで、ブレーキロールなどの粉砕機により粉砕処理(S3)を施し、さらに、粉砕された粉状物をシフターなどで粒度分けするなどの篩い分け処理(S4)が行われる。さらに、ピュリファイヤー(純化機)により外皮破片と純度の高い胚乳破片(セモリナ)に分画する純化処理(S5)、スムースロールによる粉砕処理(S6)、シフターによる篩い分け処理(S7)および希望する品質、等級の小麦粉となるように上り粉を組合わせる仕上げ処理(S8)を経て、紙袋などに袋詰め、または、コンテナバッグやタンクローリー車などに積み込み、出荷するのが一般的な小麦の製粉フローである。本発明の検視配管は、どの工程の後に設置してもよく、例えば、S1工程後では異物混入などの検視、S2工程後では小麦粒の水分含量などの検視、S3、S4工程後では粉体の粒度などの検視、S5工程後では小麦粉の色や灰分などの検視、S6、S7、S8工程後では小麦粉の水分、灰分、蛋白、損傷澱粉含量、粒度などの検視が挙げられる。
【符号の説明】
【0026】
1…粉体検視配管
2…管体
3…減速部材
31…上部材
32…下部材
33…回動軸
34…上部材(変形例)
35…下部材(変形例)
4…検視窓
5…窓枠部材
51…第1板部材
52…第2板部材
53…窓枠
6…受光光学系
7…隙間調整機構