(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082017
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス収容箱
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20240612BHJP
B65D 85/86 20060101ALI20240612BHJP
H02G 3/04 20060101ALN20240612BHJP
【FI】
B65D81/05
B65D85/86
H02G3/04 087
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195695
(22)【出願日】2022-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓太
【テーマコード(参考)】
3E066
3E096
5G357
【Fターム(参考)】
3E066AA01
3E066BA01
3E066BA05
3E066CA01
3E066DB01
3E066HA04
3E066JA01
3E066KA01
3E066KA10
3E066NA43
3E066NA60
3E096AA06
3E096AA09
3E096BA01
3E096BA08
3E096BA30
3E096BB01
3E096CA02
3E096CB03
3E096DA03
3E096EA02
3E096FA09
3E096FA15
3E096GA11
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE08
5G357DG10
(57)【要約】
【課題】様々なワイヤハーネスに汎用的に使用でき、ワイヤハーネス毎の個別設計が不要であり、再利用が可能な収容治具を含むワイヤハーネス収容箱を提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス収容箱1は、収容部10と、連結部材20と、第1収容治具31及び第2収容治具32と、を備える。収容部10は、ワイヤハーネス100を収容する。連結部材20は、収容部10の側面12に設けられる。第1収容治具31及び第2収容治具32は、連結部材20に対して着脱可能であり、ワイヤハーネス100に接触してワイヤハーネス100の動きを規制し、ワイヤハーネス100を規制する位置を変更可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを収容するための収容部と、
前記収容部の内壁面に設けられる連結部材と、
前記連結部材に対して着脱可能であり、前記ワイヤハーネスに接触して当該ワイヤハーネスの動きを規制し、前記ワイヤハーネスを規制する位置を変更可能である収容治具と、
を備えることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記収容治具は、
前記連結部材に取り付けられる取付部と、
前記ワイヤハーネスの動きを規制する規制部と、
を備え、
前記収容治具は、前記内壁面に平行な方向の前記規制部の位置を変更可能であることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項3】
請求項1に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記収容治具は、
前記連結部材に取り付けられる取付部と、
前記ワイヤハーネスの動きを規制する規制部と、
を備え、
前記収容治具は、前記内壁面に垂直な方向の前記規制部の位置を変更可能であることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記取付部又は前記連結部材は、前記連結部材に対する前記取付部の取付位置を変更するための構造を備えることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項5】
請求項2又は3に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記収容治具は、前記連結部材に対する前記取付部の位置を変更することなく、前記規制部の位置を変更する可動構造を備えることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項6】
請求項4に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記連結部材は、複数の第1突起を備え、
前記取付部は、複数の第2突起を備え、
前記第1突起同士の隙間に前記第2突起が入り込むことにより、前記取付部が前記連結部材に取り付けられることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項7】
請求項6に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記第1突起は、軸方向と交差する方向に突出又は凹む第1凹凸構造を備え、
前記第2突起は、軸方向と交差する方向に突出又は凹む第2凹凸構造を備え、
前記第1凹凸構造と前記第2凹凸構造は、前記第1突起に対する前記第2突起の差込み長さが異なる複数の状態において、互いに係合可能であることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項8】
請求項1に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記連結部材と前記収容治具は、面ファスナーにより着脱可能であることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項9】
請求項1に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記収容治具は、
前記連結部材に取り付けられる取付部と、
前記ワイヤハーネスの動きを規制する規制部と、
を備え、
前記規制部は、前記ワイヤハーネスに掛かる力を緩和する緩衝材を備えることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【請求項10】
請求項1に記載のワイヤハーネス収容箱であって、
前記収容部は、立方体形状又は直方体形状であり、
前記内壁面は、底面と側面を含み、
前記底面及び前記側面の少なくとも一方に前記連結部材が設けられることを特徴とするワイヤハーネス収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ワイヤハーネスを収容するワイヤハーネス収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子部品等の被梱包物を梱包するための梱包材を開示する。梱包材は、下側凹部付きトレーと、上側凹部付き蓋部と、を備える。下側凹部付きトレーには、被梱包物の下側部の形状に沿う凹部が形成されている。上側凹部付き蓋部には、被梱包物の上部の形状に沿う凹部が形成されている。また、被梱包物にはシャーシピンが形成されている。シャーシピンは所定の間隔で形成されている。下側凹部には、シャーシピンを係止する係止部が形成されている。また、特許文献1には、適切な係止部を選択することにより、様々な間隔のシャーシピンの被梱包物を梱包可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ワイヤハーネスは、ハーネスの本数、ハーネスの太さ、又は、コネクタの形状等が様々である。そのため、特許文献1のように下側凹部の係止部を交換する構成では、様々なワイヤハーネスの収容に対応できない。一方で、ワイヤハーネス毎に専用の収容治具を用いる場合、ワイヤハーネス毎に収容治具の設計が必要になる。更に、専用の収容治具を用いる場合、別のワイヤハーネスに再利用できない。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、様々なワイヤハーネスに汎用的に使用でき、ワイヤハーネス毎の個別設計が不要であり、再利用が可能な収容治具を含むワイヤハーネス収容箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成のワイヤハーネス収容箱が提供される。即ち、ワイヤハーネス収容箱は、収容部と、連結部材と、収容治具と、を備える。前記収容部は、ワイヤハーネスを収容する。前記連結部材は、前記収容部の内壁面に設けられる。前記収容治具は、前記連結部材に対して着脱可能であり、前記ワイヤハーネスに接触して当該ワイヤハーネスの動きを規制し、前記ワイヤハーネスを規制する位置を変更可能である。
【0008】
収容治具がワイヤハーネスを規制する位置を変更可能であるため、ワイヤハーネスの種類に応じて収容治具の位置を変更することにより、ワイヤハーネス収容箱を汎用的に使用できる。更に、ワイヤハーネスに応じた収容治具の設計が不要となるため、ワイヤハーネス収容箱の製造コストを低減できる。また、収容治具が連結部材に対して着脱可能であるため、収容治具を取り外した後に、別のワイヤハーネスに応じた位置に取り付けることにより、ワイヤハーネス収容箱を再利用できる。
【0009】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記収容治具は、取付部と、規制部と、を備える。前記取付部は、前記連結部材に取り付けられる。前記規制部は、前記ワイヤハーネスの動きを規制する。前記収容治具は、前記内壁面に平行な方向の前記規制部の位置を変更可能である。
【0010】
様々な形状のワイヤハーネス(特に内壁面に平行な方向の規制位置が異なる場合)に対応できる。
【0011】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記収容治具は、取付部と、規制部と、を備える。前記取付部は、前記連結部材に取り付けられる。前記規制部は、前記ワイヤハーネスの動きを規制する。前記収容治具は、前記内壁面に垂直な方向の前記規制部の位置を変更可能である。
【0012】
様々な形状のワイヤハーネス(特に内壁面に垂直な方向の規制位置が異なる場合)に対応できる。
【0013】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、前記取付部又は前記連結部材は、前記連結部材に対する前記取付部の取付位置を変更するための構造を備えることが好ましい。
【0014】
収容治具に可動構造を設けることなく、規制部の位置を変更できる。
【0015】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、前記収容治具は、前記連結部材に対する前記取付部の位置を変更することなく、前記規制部の位置を変更する可動構造を備えることが好ましい。
【0016】
これにより、収容治具の取付位置を調整することなく、規制部の位置を変更できる。
【0017】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記連結部材は、複数の第1突起を備える。前記取付部は、複数の第2突起を備える。前記第1突起同士の隙間に前記第2突起が入り込むことにより、前記取付部が前記連結部材に取り付けられる。
【0018】
簡単な構成で連結部材及び取付部を実現できる。
【0019】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1突起は、軸方向と交差する方向に突出又は凹む第1凹凸構造を備える。前記第2突起は、軸方向と交差する方向に突出又は凹む第2凹凸構造を備える。前記第1凹凸構造と前記第2凹凸構造は、前記第1突起に対する前記第2突起の差込み長さが異なる複数の状態において、互いに係合可能である。
【0020】
簡単な構成で、規制部の位置を変更できる。
【0021】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、前記連結部材と前記収容治具は、面ファスナーにより着脱可能であることが好ましい。
【0022】
これにより、着脱が容易である。また、突起を使う場合と比べて、収容部の容積を大きく確保できる。
【0023】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記収容治具は、取付部と、規制部と、を備える。前記取付部は、前記連結部材に取り付けられる。前記規制部は、前記ワイヤハーネスの動きを規制する。前記規制部は、前記ワイヤハーネスに掛かる力を緩和する緩衝材を備える。
【0024】
これにより、ワイヤハーネスを保護できる。また、緩衝材を別途準備して配置する場合と比較して、手間が掛からない。
【0025】
前記のワイヤハーネス収容箱においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記収容部は、立方体形状又は直方体形状である。前記内壁面は、底面と側面を含む。前記底面及び前記側面の少なくとも一方に前記連結部材が設けられる。
【0026】
収容部が立方体形状又は直方体形状であることで、底面及び側面が平面となるので、収容治具を連結部材に着脱させる構造が単純となり易い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係るワイヤハーネス収容箱の斜視図。
【
図2】第1収容治具を収容部から取り外して別の位置に取り付ける作業を示す説明図。
【
図3】連結部材の第1凹凸構造と第1収容治具の第2凹凸構造との差込み長さを異ならせる作業を示す断面図。
【
図4】第2収容治具を収容部から取り外して別の位置に取り付ける作業を示す説明図。
【
図5】第1変形例のワイヤハーネス収容箱の第1収容治具及び第2収容治具に緩衝材が設けられることを示す図。
【
図6】第2変形例のワイヤハーネス収容箱の収容部及び第1収容治具が面ファスナーで着脱可能であることを示す図。
【
図7】第3変形例のワイヤハーネス収容箱の第1収容治具がスライド構造により内壁面に垂直な方向の位置を調整可能であることを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0029】
図1には、ワイヤハーネス100を収容するためのワイヤハーネス収容箱1が示されている。ワイヤハーネス100は、複数の電線を束ねて、電線の端部にコネクタを取り付けた部品である。ワイヤハーネス100のコネクタは、別の電線又は電気機器に接続される。ワイヤハーネス収容箱1は、例えば、ワイヤハーネス100を組立工場に運搬する際に用いられる。
【0030】
本実施形態のワイヤハーネス100は、自動車用である。従って、ワイヤハーネス100は車体に沿って配索されており、ワイヤハーネス100のコネクタは車載機器等に接続される。なお、ワイヤハーネス収容箱1は、自動車用以外のワイヤハーネス100に適用することもできる。
【0031】
図1に示すように、ワイヤハーネス収容箱1は、収容部10と、連結部材20と、第1収容治具31と、第2収容治具32と、を備える。
【0032】
収容部10は、箱状の部材であり、ワイヤハーネス100を収容することができる。収容部10は、例えば樹脂製であるが、樹脂以外の材料で構成されていてもよい。本実施形態の収容部10は、直方体形状であるが、立方体形状であってもよい。また、本実施形態において、直方体形状又は立方体形状とは、厳密な直方体又は立方体に限られず、略直方体又は略立方体であってもよい。また、収容部10は、直方体形状又は立方体形状に限られず、それ以外の形状(例えば円柱形状)であってもよい。また、
図1には示す収容部10の上部を閉鎖する蓋部を別途設けてもよい。
【0033】
収容部10は、1つの底面11と、4つの側面12と、を含む。底面11及び側面12は、ワイヤハーネス100の収容空間側の面である。従って、底面11及び側面12が内壁面に相当する。
【0034】
連結部材20は、底面11及び4つの側面12(即ち、収容部10の内壁面)に設けられる。連結部材20は、第1収容治具31又は第2収容治具32を取り付けるための部材である。連結部材20は、複数の第1突起21を備える。第1突起21は、それぞれ略同じ長さの円柱状の部分である。第1突起21は、互いに直交する2つの方向に並べて配置されている。連結部材20は、収容部10の内壁面に貼り付けられていてもよいし、収容部10の内壁面を機械加工することにより形成されていてもよい。連結部材20は、樹脂製であり、弾性変形可能である。
【0035】
本実施形態では、連結部材20は全ての内壁面の略全体に設けられている。これに代えて、底面11のみ又は側面12のみに連結部材20が設けられてもよい。また、1つの内壁面の一部にのみ連結部材20が設けられてもよい。連結部材20は、第1収容治具31及び第2収容治具32を取付可能であれば、本実施形態とは異なる形状であってもよい(詳細は後述の第2変形例及び第3変形例を参照)。
【0036】
第1収容治具31及び第2収容治具32は、連結部材20に着脱可能に取り付けられる。第1収容治具31及び第2収容治具32は、例えば樹脂製であるが、樹脂以外の材料で構成されていてもよい。第1収容治具31及び第2収容治具32は、ワイヤハーネス100を収容部10に適切に収容するために用いられる。適切に収容とは、例えば、ワイヤハーネス100が過剰に振動することを防止しつつ、かつ、ワイヤハーネス100に過剰な力が掛かりにくいことである。特に、ワイヤハーネス100を構成する電線が高圧用の電線である場合、この種の電線は太径であるため可撓性が低い。そのため、ワイヤハーネス100を自在に曲げることは好ましくない。なお、ワイヤハーネス100を構成する電線は、高圧用の電線以外であってもよい。
【0037】
図2に示すように、第1収容治具31は、取付部40と、規制部50と、を備える。取付部40は、第1収容治具31の表面に貼り付けられていてもよいし、第1収容治具31の表面を機械加工することにより形成されていてもよい。本実施形態では第1収容治具31の一面のみに取付部40が設けられるが、第1収容治具31の複数の面に取付部40が設けられてもよい。
【0038】
取付部40は、連結部材20と同様、並べて配置された複数の第2突起41を備える。第2突起41は、樹脂製であり、弾性変形可能である。連結部材20に対して取付部40を押し付けることにより、第1突起21同士の隙間に第2突起41が入り込み、第2突起41同士の隙間に第1突起21が入り込む。第1突起21及び第2突起41は弾性変形可能であるため、連結部材20に対して取付部40を強く押し付けることにより、第1突起21と第2突起41が復元力により押圧し合うため、第1突起21と第2突起41が係合する。また、第1収容治具31を底面11から離間する方向に引っ張ることで、第1突起21と第2突起41の係合が外れる。以上のように、第1収容治具31は、連結部材20に対して着脱可能である。
【0039】
規制部50は、ワイヤハーネス100の動きを規制する部分である。第1収容治具31は上面にワイヤハーネス100が配置されるので、第1収容治具31の上面が規制部50に相当する。規制部50はワイヤハーネス100に接触して、ワイヤハーネス100の動きを規制する。本実施形態の規制部50は、ワイヤハーネス100が電線の幅方向に移動しないように規制する一対の規制壁を備える。なお、規制壁は必須の構成要素ではなく省略可能である。
【0040】
第1収容治具31は連結部材20に対して着脱可能であり、第1収容治具31は連結部材20が形成されている任意の箇所に取付可能である。従って、
図2に示すように、連結部材20から第1収容治具31を取り外し、連結部材20の別の位置取り付けることができる。第1収容治具31の位置を変更することにより、内壁面(底面11)に平行な方向の規制部50の位置(即ち、ワイヤハーネス100を規制する位置)が変更される。収容されるワイヤハーネス100の種類に応じて、第1収容治具31の位置を変更することにより、様々な種類のワイヤハーネス100に対して汎用的に第1収容治具31を使用できる。
【0041】
本実施形態では、連結部材20が備える複数の第1突起21と、取付部40が備える複数の第2突起41と、を含む構造が、第1収容治具31の取付位置を変更するための構造に相当する。なお、本実施形態とは異なる構造により、第1収容治具31の取付位置が変更可能であってもよい(詳細は後述の第2変形例及び第3変形例を参照)。
【0042】
第1収容治具31は、更に、内壁面(底面11)に垂直な方向の取付位置を変更可能である。具体的には、
図3に示すように、第1突起21は、第1凹凸構造22を備える。第1凹凸構造22は、第1突起21の軸方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に突出又は凹む形状である。第2突起41は、第2凹凸構造42を備える。第2凹凸構造42は、第2突起41の軸方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に突出又は凹む形状である。
【0043】
第1凹凸構造22と第2凹凸構造42の形状は対応している。詳細には、第1凹凸構造22の凸部が第2凹凸構造42の凹部に入り込み、第2凹凸構造42の凸部が第2凹凸構造42の凹部に入り込む。これにより、第1突起21と第2突起41が係合する。また、第1凹凸構造22と第2凹凸構造42は複数の凹部と凸部をそれぞれ有するため、
図3に示すように、第1突起21に対する第2突起41の差込み長さを異ならせても、第1突起21と第2突起41は係合可能である。この構造により、第1収容治具31を連結部材20に対して押圧することにより、第1収容治具31の取付高さが段階的に変化する。以上により、第1収容治具31は、内壁面(底面11)に垂直な方向の取付位置を変更可能である。収容されるワイヤハーネス100の種類に応じて、第1収容治具31の取付高さを変更することにより、一層汎用的に第1収容治具31を使用できる。
【0044】
図4に示すように、第2収容治具32は、取付部40と、規制部50と、を備える。第2収容治具32の取付部40は、上述した第1収容治具31の取付部40と同じ構造である。ただし、第2収容治具32は側面12に設けられた連結部材20に取り付けられる。具体的には、第2収容治具32は棒状の部材であり、長手方向の両端部に取付部40が設けられている。第2収容治具32の2つの取付部40は、対向する2つの側面12の連結部材20にそれぞれ取り付けられる。これにより、底面11から離間した位置に第2収容治具32を配置できる。
【0045】
第2収容治具32の規制部50は、第1収容治具31の規制部50と同様、ワイヤハーネス100に接触して、ワイヤハーネス100の動きを規制する部分である。具体的には、第2収容治具32は、ワイヤハーネス100の上方に位置し、ワイヤハーネス100が底面から浮き上がらないように抑える。
【0046】
また、第2収容治具32は、第1収容治具31と同様、内壁面(側面12)に平行な方向の取付位置を変更可能である(
図4を参照)。
【0047】
本実施形態で示した第1収容治具31及び第2収容治具32は、一例であり、ワイヤハーネス100の動きを規制する部材であれば、様々な形状の収容治具に対して、本実施形態の構造を適用可能である。また、ワイヤハーネス収容箱1に取り付けられる収容治具の種類及び数は任意であり、ワイヤハーネス100の種類に応じて適宜変更可能である。また、一度使用したワイヤハーネス収容箱1に対して、次に使用するワイヤハーネス100の種類に応じて第1収容治具31及び第2収容治具32の位置及び数を変更することで、ワイヤハーネス収容箱1を再利用できる。
【0048】
次に、
図5を参照して、上記実施形態の第1変形例を説明する。
図5は、第1変形例のワイヤハーネス収容箱1の第1収容治具31及び第2収容治具32の斜視図である。なお、以後の第1変形例から第3変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0049】
第1変形例の第1収容治具31及び第2収容治具32の規制部50は、緩衝材51を備える。緩衝材51は、例えば、空気が封入された袋、又は、スポンジ等の発泡材である。緩衝材51は規制部50に接着されている。これにより、ワイヤハーネス100を保護できる。また、緩衝材51を別途配置する場合と比較して、作業者の手間を軽減できる。
【0050】
次に、
図6を参照して、上記実施形態の第2変形例を説明する。
図6は、第2変形例のワイヤハーネス収容箱1の収容部10及び第1収容治具31の斜視図である。
【0051】
上記実施形態では、並べて配置された複数の突起により、第1収容治具31及び第2収容治具32が収容部10に着脱可能である。これに対し、第2変形例では、収容部10の底面11及び側面12には、第1面ファスナー61が貼り付けられている。更に、第1収容治具31及び第2収容治具32の表面には、第2面ファスナー62が貼り付けられている。
【0052】
第1面ファスナー61と第2面ファスナー62の一方にはループ状の繊維が並べて配置されており、他方にはフック状の繊維が並べて配置されている。これにより、第1面ファスナー61と第2面ファスナー62は係合可能であるとともに、強い力を掛けることで第1面ファスナー61と第2面ファスナー62を離間可能である。これにより、第1収容治具31及び第2収容治具32は、収容部10に着脱可能である。
【0053】
次に、
図7を参照して、上記実施形態の第3変形例を説明する。
図7は、第3変形例のワイヤハーネス収容箱1の第1収容治具31を、第1収容治具31の近傍から見た側面図である。
【0054】
上記実施形態では、並べて配置された複数の突起の凹凸構造により、第1収容治具31の差込み長さを変更して、内壁面に垂直な方向の規制部50の位置を変更可能である。これに対し、第3変形例では、スライド構造70により、内壁面に垂直な方向の規制部50の位置を変更可能である。
【0055】
図7に示すように、第3変形例の第1収容治具31は、ベース部52を備える。ベース部52には、取付部40が設けられている。規制部50とベース部52は、スライド構造70を介して連結されている。
【0056】
スライド構造70は、スライド棒71と、スライド孔72と、固定孔73と、ボルト74と、で構成されている。スライド棒71はベース部52に固定されている。スライド孔72は規制部50に形成されている。スライド棒71はスライド孔72に挿入される。スライド棒71はスライド孔72に沿ってスライド可能である。スライド棒71にはネジ溝が切られた固定孔73が形成されている。規制部50にも図略の固定孔が形成されている。スライド棒71の固定孔73と、規制部50の固定孔と、を合わせてボルト74を挿入して締め付けることにより、ベース部52と規制部50を連結させることができる。
【0057】
ここで、スライド棒71には高さ方向に複数の固定孔73が形成されている。従って、使用する固定孔73を異ならせることにより、ベース部52に対する規制部50の高さを異ならせることができる。以上に示したように、スライド構造70により、内壁面に垂直な方向の規制部50の位置を変更可能である。第3変形例の構造では、連結部材20に対する取付部40の位置を変更することなく、規制部50の位置を変更可能である。
【0058】
また、第3変形例の連結部材20及び取付部40には、凹凸構造が形成されていない。この場合であっても、連結部材20と取付部40が力(弾性力に基づく復元力)を及ぼし合うことにより、両者を係合可能である。
【0059】
第3変形例では、スライド構造70を用いて、内壁面に垂直な方向の規制部50の位置を変更可能である。同じ原理により、スライド構造70を用いて、内壁面に平行な方向の規制部50の位置を変更することもできる。また、スライド構造70に代えて、ボールネジ等の構造により、規制部50の位置を変更してもよい。
【0060】
以上に説明したように、本実施形態のワイヤハーネス収容箱1は、収容部10と、連結部材20と、収容治具(具体的には第1収容治具31、第2収容治具32、以下同じ)と、を備える。収容部10は、ワイヤハーネス100を収容する。連結部材20は、収容部10の側面12に設けられる。収容治具は、連結部材20に対して着脱可能であり、ワイヤハーネス100に接触してワイヤハーネス100の動きを規制し、ワイヤハーネス100を規制する位置を変更可能である。
【0061】
収容治具がワイヤハーネス100を規制する位置を変更可能であるため、ワイヤハーネス100の種類に応じて収容治具の位置を変更することにより、ワイヤハーネス収容箱1を汎用的に使用できる。更に、ワイヤハーネス100に応じた収容治具の設計が不要となるため、ワイヤハーネス収容箱1の製造コストを低減できる。また、収容治具が連結部材20に対して着脱可能であるため、収容治具を取り外した後に、別のワイヤハーネス100に応じた位置に取り付けることにより、ワイヤハーネス収容箱1を再利用できる。
【0062】
本実施形態のワイヤハーネス収容箱1において、収容治具は、取付部40と、規制部50と、を備える。取付部40は、連結部材20に取り付けられる。規制部50は、ワイヤハーネス100の動きを規制する。収容治具は、側面12に平行な方向の規制部50の位置を変更可能である。
【0063】
様々な形状のワイヤハーネス100(特に内壁面に平行な方向の規制位置が異なる場合)に対応できる。
【0064】
本実施形態のワイヤハーネス収容箱1において、収容治具は、取付部40と、規制部50と、を備える。取付部40は、連結部材20に取り付けられる。規制部50は、ワイヤハーネス100の動きを規制する。収容治具は、側面12に垂直な方向の規制部50の位置を変更可能である。
【0065】
様々な形状のワイヤハーネス100(特に内壁面に垂直な方向の規制位置が異なる場合)に対応できる。
【0066】
本実施形態のワイヤハーネス収容箱1において、取付部40又は連結部材20は、連結部材20に対する取付部40の取付位置を変更するための構造を備える。
【0067】
収容治具に可動構造を設けることなく、規制部50の位置を変更できる。
【0068】
第3変形例のワイヤハーネス収容箱1において、収容治具は、連結部材20に対する取付部40の位置を変更することなく、規制部50の位置を変更する可動構造(スライド構造70)を備える。
【0069】
これにより、収容治具の取付位置を調整することなく、規制部50の位置を変更できる。
【0070】
本実施形態のワイヤハーネス収容箱1において、連結部材20は、複数の第1突起21を備える。取付部40は、複数の第2突起41を備える。前記第1突起同士の隙間に第2突起41が入り込むことにより、取付部40が連結部材20に取り付けられる。
【0071】
簡単な構成で連結部材20及び取付部40を実現できる。
【0072】
本実施形態のワイヤハーネス収容箱1において、第1突起21は、軸方向と交差する方向に突出又は凹む第1凹凸構造22を備える。第2突起41は、軸方向と交差する方向に突出又は凹む第2凹凸構造42を備える。第1凹凸構造22と第2凹凸構造42は、第1突起21に対する第2突起41の差込み長さが異なる複数の状態において、互いに係合可能である。
【0073】
簡単な構成で、規制部50の位置を変更できる。
【0074】
第2変形例のワイヤハーネス収容箱1において、連結部材20と収容治具は、面ファスナーにより着脱可能である。
【0075】
これにより、着脱が容易である。また、突起を使う場合と比べて、収容部10の容積を大きく確保できる。
【0076】
第1変形例のワイヤハーネス収容箱1において、収容治具は、取付部40と、規制部50と、を備える。取付部40は、連結部材20に取り付けられる。規制部50は、ワイヤハーネス100の動きを規制する。規制部50は、ワイヤハーネス100に掛かる力を緩和する緩衝材51を備える。
【0077】
これにより、ワイヤハーネス100を保護できる。また、緩衝材51を別途準備して配置する場合と比較して、手間が掛からない。
【0078】
本実施形態のワイヤハーネス収容箱1において、収容部10は、立方体形状又は直方体形状である。側面12は、底面11と側面12を含む。底面11及び側面12の少なくとも一方に連結部材20が設けられる。
【0079】
収容部が立方体形状又は直方体形状であることで、底面11及び側面12が平面となるので、収容治具を連結部材20に着脱させる構造が単純となり易い。
【符号の説明】
【0080】
1 ワイヤハーネス収容箱
10 収容部
20 連結部材
31 第1収容治具
32 第2収容治具