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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082650
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H01Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196628
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 一剛
(72)【発明者】
【氏名】梶山 真一
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA09
5J047BG02
5J047BG10
(57)【要約】
【課題】ビームチルト角調整作業の安全性や容易性を向上させる。
【解決手段】アンテナ装置は、アンテナの上部を支柱に取り付ける上側取付部材20Aを有する。上側取付部材20Aは、支柱に連結される上部支柱連結部材30aと、上部支柱連結部材30aに対してスライド可能なスライド部材30bと、アンテナに連結されるとともに、スライド部材30bに対して回転可能な上部アンテナ連結部材30cと、スライド部材30bをスライド不能とする係合位置とスライド部材30bをスライド可能とする非係合位置とにスライド部材30bに対して相対移動可能な係合部材30dと、係合部材30dのスライド部材30bに対する相対移動を規制する規制位置と係合部材30dのスライド部材30bに対する相対移動を許容する非規制位置とにスライド部材30bに対して移動可能な規制部材30eと、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、前記アンテナを支柱に取り付ける取付部材と、を有するアンテナ装置であって、
前記取付部材は、前記アンテナの上部を前記支柱に取り付ける上側取付部材と、前記アンテナの下部を前記支柱に取り付ける下側取付部材と、から構成され、
前記上側取付部材は、
前記支柱に連結される第1支柱連結部材と、
前記第1支柱連結部材に対してスライド可能なスライド部材と、
前記アンテナに連結されるとともに、前記スライド部材に対して回転可能な第1アンテナ連結部材と、
前記スライド部材をスライド不能とする係合位置と、前記スライド部材をスライド可能とする非係合位置とに、前記スライド部材に対して相対移動可能な係合部材と、
前記係合部材の前記スライド部材に対する相対移動を規制する規制位置と、前記係合部材の前記スライド部材に対する相対移動を許容する非規制位置とに、前記スライド部材に対して移動可能な規制部材と、を有し、
前記スライド部材は、スライド方向に沿って配列された複数の係合溝と、前記複数の係合溝を繋ぐスリットと、を備え、
前記係合部材は、前記係合溝に進入すると、前記スライド部材をスライド不能とし、前記係合溝から離脱すると、前記スライド部材をスライド可能とし、
前記規制部材は、前記スリットに進入すると、前記係合位置から前記非係合位置への前記係合部材の相対移動を規制し、前記スリットから離脱すると、前記係合位置から前記非係合位置への前記係合部材の相対移動を許容し、
前記係合部材を前記係合位置から前記非係合位置に相対移動させた状態の下で、前記スライド部材を前記第1支柱連結部材に対してスライドさせると、前記アンテナが回転し、前記支柱に対する前記アンテナの傾斜角が変化する、
アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記スライド部材は、前記第1支柱連結部材を挟んで対向する一対の側壁を有し、
前記複数の係合溝は、それぞれの前記側壁に設けられ、それぞれの前記側壁の長手方向に沿って一列に並んでおり、
前記スリットは、それぞれの前記側壁に設けられ、それぞれの前記側壁に設けられている前記複数の係合溝を一連に繋いでおり、
前記係合部材を前記係合位置から前記非係合位置に相対移動させた状態の下で、前記スライド部材を前記第1支柱連結部材に対してスライドさせることにより、前記係合部材を一の前記係合溝から他の前記係合溝に移動可能である、
アンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアンテナ装置において、
前記係合部材は、前記第1支柱連結部材および前記スライド部材を貫通し、前記係合溝または前記スリットを通って前記側壁の外に突出する軸部を備えるボルトと、前記軸部にねじ結合されるナットと、を含み、
前記規制部材は、前記側壁の外に突出する前記軸部が挿通される貫通孔が設けられた板部と、前記板部から突出する突起部と、を含み、
前記板部を前記側壁から離間させて、前記突起部を前記スリットから引き出すと、前記規制部材が前記規制位置から前記非規制位置に移動し、
前記板部を前記側壁に近接させて、前記突起部を前記スリットに差し入れると、前記規制部材が前記非規制位置から前記規制位置に移動する、
アンテナ装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のアンテナ装置において、
前記複数の係合溝は、前記係合部材が隣接する一組の前記係合溝の間を移動すると、前記支柱に対する前記アンテナの傾斜角が2°変化する間隔で並んでいる、
アンテナ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記下側取付部材は、
前記支柱に連結される第2支柱連結部材と、
前記アンテナに連結される第2アンテナ連結部材と、
前記第2支柱連結部材と前記第2アンテナ連結部材とを回転可能に連結する連結軸と、を有し、
前記上側取付部材の前記スライド部材を前記第1支柱連結部材に対してスライドさせると、前記連結軸を回転軸として前記第2アンテナ連結部材が前記第2支柱連結部材に対して回転する、
アンテナ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアンテナ装置において、
前記連結軸を前記スライド部材の前記第1支柱連結部材に対するスライド方向において異なる2以上の位置に配置可能である、
アンテナ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアンテナ装置において、
前記第2支柱連結部材に、前記連結軸を挿通可能な第1軸孔および第2軸孔が設けられ、
前記第1軸孔と前記第2軸孔とは、前記スライド部材の前記第1支柱連結部材に対するスライド方向において異なる位置に設けられている、
アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビームチルト角を調整可能なアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー方式の移動体通信網の基地局に設置されるアンテナ装置(以下、「基地局用アンテナ」と呼ぶ場合がある。)は、所定のセルに向けて電波を放射するとともに、当該セルから送信される電波を受信する。より特定的には、それぞれの基地局用アンテナは、割り当てられたセル(以下、「自局セル」と呼ぶ場合がある。)に向けて電波を放射するとともに、自局セル内の移動体から送信された電波を受信する。
【0003】
基地局用アンテナには、自局セルの隅々にまで電波を到達させる一方、隣接するセルにはなるべく電波を到達させないことが求められる。そこで、基地局用アンテナにはビームチルト角が与えられる。例えば、基地局用アンテナは、主ビームの放射方向が水平面に対してやや下向きとなるように、支柱に対して傾けられる。
【0004】
適切なビームチルト角は、それぞれのセルの状況によって異なる。そこで、基地局用アンテナを設置する際には、当該基地局用アンテナの自局セルの状況に応じてビームチルト角を調整する必要がある。また、基地局用アンテナを設置した後に、自局セルの状況に変化があった場合には、新たな状況に応じてビームチルト角を調整する必要がある。
【0005】
特許文献1には、アンテナ部と、アンテナ部を支柱に装着するためのアンテナ支持体と、を備えたアンテナ装置が記載されている。アンテナ支持体は、設置用部材,方位調整部材,俯角調整部材などから構成されている。そして、方位調整部材を設置用部材に対して回転させたり、俯角調整部材を方位調整部材に対して回転させたりすることにより、アンテナ部の方位や俯角を調整することができる。
【0006】
しかし、方位調整部材や俯角調整部材を回転させるためには、ボルトやナットを緩めたり、緩めたボルトやナットを再び締めたりする作業が必要となる。しかも、かかる作業は、支柱の上部(高所)で行わなくてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4838102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高所作業であるビームチルト角調整作業の安全性や容易性などを向上させることが求められる。
【0009】
本発明の目的は、ビームチルト角調整作業の安全性や容易性などの向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態のアンテナ装置は、アンテナと、前記アンテナを支柱に取り付ける取付部材と、を有する。前記取付部材は、前記アンテナの上部を前記支柱に取り付ける上側取付部材と、前記アンテナの下部を前記支柱に取り付ける下側取付部材と、から構成される。前記上側取付部材は、前記支柱に連結される第1支柱連結部材と、前記第1支柱連結部材に対してスライド可能なスライド部材と、前記アンテナに連結されるとともに、前記スライド部材に対して回転可能な第1アンテナ連結部材と、前記スライド部材をスライド不能とする係合位置と、前記スライド部材をスライド可能とする非係合位置とに、前記スライド部材に対して相対移動可能な係合部材と、前記係合部材の前記スライド部材に対する相対移動を規制する規制位置と、前記係合部材の前記スライド部材に対する相対移動を許容する非規制位置とに、前記スライド部材に対して移動可能な規制部材と、を有する。前記スライド部材は、スライド方向に沿って配列された複数の係合溝と、前記複数の係合溝を繋ぐスリットと、を備える。前記係合部材は、前記係合溝に進入すると、前記スライド部材をスライド不能とし、前記係合溝から離脱すると、前記スライド部材をスライド可能とする。前記規制部材は、前記スリットに進入すると、前記係合位置から前記非係合位置への前記係合部材の相対移動を規制し、前記スリットから離脱すると、前記係合位置から前記非係合位置への前記係合部材の相対移動を許容する。そして、前記係合部材を前記係合位置から前記非係合位置に相対移動させた状態の下で、前記スライド部材を前記第1支柱連結部材に対してスライドさせると、前記アンテナが回転し、前記支柱に対する前記アンテナの傾斜角が変化する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ビームチルト角調整作業の安全性や容易性の向上が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】アンテナ装置の斜視図である。
図2】アンテナ装置の側面図である。
図3A】取付部材によって実現されるビームチルト角の調整(変化)を示す説明図である。
図3B】取付部材によって実現されるビームチルト角の調整(変化)を示す他の説明図である。
図4A】上側取付部材の上方斜視図である。
図4B】上側取付部材の下方斜視図である。
図5】上側取付部材の分解斜視図である。
図6】規制部材を示す断面図である。
図7A】規制部材を規制位置から非規制位置に移動させる手順を示す断面図である。
図7B】規制部材を規制位置から非規制位置に移動させる手順を示す他の断面図である。
図8】係合部材を係合位置から非係合位置に相対移動させる手順を示す部分拡大図である。
図9A】下側取付部材の上方斜視図である。
図9B】下側取付部材の下方斜視図である。
図10】下側取付部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0014】
<アンテナ装置の概要>
図1は、本実施形態に係るアンテナ装置1の斜視図である。図2は、本実施形態に係るアンテナ装置1の側面図である。なお、図2では、アンテナ10の内部構造を示すために、一部の構成の図示を省略してある。
【0015】
アンテナ装置1は、セルラー方式の移動体通信網の基地局に設置されるアンテナ装置である。つまり、アンテナ装置は、基地局用アンテナである。
【0016】
アンテナ装置1は、アンテナ10と、アンテナ10を支柱2に取り付ける取付部材20と、を有する。アンテナ10は筒形状、より特定的には円筒形状を有している。アンテナ10は、取付部材20により、その長手方向が上下方向(鉛直方向)に沿う向きで支柱2に取り付けられている。
【0017】
多くの場合、支柱2は建物の屋上などの高所に設けられ、アンテナ10は支柱2の上部に取り付けられる。さらに、アンテナ10には、ビームチルト角が与えられる。より特定的には、アンテナ10は、主ビームの放射方向が水平面に対して下向き又は上向きとなるように、支柱2に対して傾けられる。
【0018】
取付部材20は、アンテナ10にビームチルト角を与え、また、アンテナ10に与えられているビームチルト角を変更する機能を有する。つまり、取付部材20は、アンテナ10を支柱2に取り付ける固定手段であると同時に、アンテナ10のビームチルト角を調整する調整手段でもある。
【0019】
<アンテナ>
アンテナ10は、レドーム11と、レドーム11に収容された複数のアンテナエレメント12と、を備えている。レドーム11は、レドーム本体13,トップカバー14a及びボトムカバー14bを備えている。レドーム本体13は、両端が開口している円筒形の容器である。トップカバー14aは、レドーム本体13の上端開口部を閉塞し、ボトムカバー14bは、レドーム本体13の下端開口部を閉塞している。
【0020】
複数のアンテナエレメント12は、レドーム11の径方向中央または略中央に配置され、レドーム11の長手方向に沿って一列に並んでいる。より特定的には、レドーム11内には当該レドーム11の長手方向に延びる反射器15が設けられており、当該反射器15の前面に複数のアンテナエレメント12が搭載されている。別の見方をすると、反射器15は、複数のアンテナエレメント12を支持するフレームである。
【0021】
レドーム11のボトムカバー14bには、給電ケーブルが接続されるコネクタ16を含む複数のコネクタが設けられている。コネクタ16に接続された給電ケーブル(不図示)を通じてアンテナエレメント12に電力が供給される。
【0022】
<取付部材>
取付部材20は、アンテナ10の上部を支柱2に取り付ける上側取付部材20Aと、アンテナ10の下部を支柱2に取り付ける下側取付部材20Bと、から構成されている。上側取付部材20Aは、支柱2に取り付けられているアンテナ10の上部を支柱2から遠ざけたり、支柱2に近づけたりする。一方、下側取付部材20Bは、支柱2に取り付けられているアンテナ10の下部を回転可能に支持する。
【0023】
図3A図3Bは、取付部材20によって実現されるビームチルト角の調整(変化)を示す説明図である。図3Aに示されている上側取付部材20Aによってアンテナ10の上部が支柱2から遠ざけられると、下側取付部材20Bによって支持されているアンテナ10の下部を支点として当該アンテナ10が右回りに回転する。この結果、支柱2の中心軸L1に対するアンテナ10の中心軸L2の傾斜角が増大する(図3A図3B)。
【0024】
一方、図3Bに示されている上側取付部材20Aによってアンテナ10の上部が支柱2に近づけられると、下側取付部材20Bによって支持されているアンテナ10の下部を支点として当該アンテナ10が左回りに回転する。この結果、支柱2の中心軸L1に対するアンテナ10の中心軸L2の傾斜角が減少する(図3B図3A)。なお、図3Aに示されている中心軸L2の中心軸L1に対する傾斜角は0°である。つまり、アンテナ10は支柱2と平行である。
【0025】
以下の説明では、特に断らない限り、アンテナ10の傾斜角とは、中心軸L1に対する中心軸L2の傾斜角を意味し、ビームチルト角と同義である。また、支柱2に対してアンテナ10が取り付けられている側を“前方”とし、反対側を“後方”とする。さらに、上下方向および前後方向の双方と直交する方向を左右方向とする。
【0026】
<上側取付部材>
図4Aは、上側取付部材20Aの上方斜視図であり、図4Bは、上側取付部材20Aの下方斜視図である。また、図5は、上側取付部材20Aの分解斜視図である。
【0027】
上側取付部材20Aは、第1支柱連結部材30a,スライド部材30b,第1アンテナ連結部材30c,係合部材30d,規制部材30e等を有する。少なくとも、ここに列挙した上側取付部材20Aの構成要素は、全て金属製である。つまり、上側取付部材20Aは、複数の金属部材の組立体である。
【0028】
<第1支柱連結部材>
図1に示されるように、第1支柱連結部材30aは、支柱2に連結される。言い換えれば、第1支柱連結部材30aは、支柱2に固定される。以下の説明では、第1支柱連結部材30aを“上部支柱連結部材30a”と呼ぶ場合がある。
【0029】
図5に示されるように、上部支柱連結部材30aは、一対のクランプ41,42と、これらクランプ41,42を互いに連結する2本のネジ軸43と、ネジ軸43に装着される複数のナット44と、を有する。
【0030】
クランプ41,42は、支柱2(図1)を径方向両側から挟む。より特定的には、クランプ41,42は、支柱2を前後から挟む。図4Bに示されるように、それぞれのネジ軸43は、クランプ41,42を前後方向に貫通している。そして、クランプ41,42から突出しているそれぞれのネジ軸43の両端にナット44が装着されている。この結果、ナット44が締め込まれると、支柱2を挟んで対向しているクランプ41,42が互いに近接し、支柱2を挟み込む。
【0031】
なお、それぞれのクランプ41,42には、V溝が設けられている。支柱2は、それぞれのクランプ41,42のV溝の間に挟まれる。そこで、それぞれのV溝の内面には、滑り止めのための複数の突起が設けられている。
【0032】
図5に示されるように、上部支柱連結部材30aは、ネジ軸43及びナット44によってクランプ41,42に共締めされる接続部材(ジョイント部材)45をさらに有する。図4Bに示されるように、接続部材45は、クランプ41の前面に当接され、クランプ41,42と一体化されている。
【0033】
図5に示されるように、接続部材45は、対向する右側板46a及び左側板46bを含んでおり、全体として略コ字形の平面形状を有する。右側板46a及び左側板46bは、クランプ41に対して前方に突出している。
【0034】
右側板46a及び左側板46bには、係合部材30dが挿通される矩形(菱形)の貫通孔47がそれぞれ設けられている。係合部材30dの詳細については後に説明する。
【0035】
<スライド部材>
図4A図4Bに示されているスライド部材30bは、同図に示されている上部支柱連結部材30aに、スライド可能に組付けられている。この結果、図1図2に示されているスライド部材30bは、支柱2に対して前後に移動可能である。
【0036】
図4A図4Bに示されるように、スライド部材30bは、上部支柱連結部材30aを挟んで対向する一対の側壁を有する。より特定的には、スライド部材30bは、上部支柱連結部材30aを挟んで対向する右側壁51と左側壁52とを有する。さらに、スライド部材30bは、右側壁51と左側壁52とを繋ぐ天井壁53を有する。右側壁51及び左側壁52は、スライド部材30bのスライド方向(前後方向)に延びている。天井壁53は、右側壁51の一方の長辺(上辺)と左側壁52の一方の長辺(上辺)との間を繋いでいる。
【0037】
図5に示されるように、スライド部材30bには、スライド方向に沿って配列された複数の係合溝54が設けられている。より特定的には、右側壁51及び左側壁52に8個の係合溝54がそれぞれ設けられており、それら係合溝54は、右側壁51及び左側壁52の長手方向に沿って一列に並んでいる。
【0038】
さらに、右側壁51及び左側壁52には、係合溝54の配列方向に沿って延びるスリット55が設けられている。右側壁51及び左側壁52に設けられているスリット55は、それぞれの係合溝54の下部を互いに繋いでいる。別の見方をすると、右側壁51及び左側壁52に設けられている複数の係合溝54は、スリット55によって一連に繋がれている。
【0039】
スライド部材30bの天井壁53には、支柱2との干渉を避けるための切欠き56が設けられている。この結果、スライド部材30bは、右側壁51及び左側壁52の後端が支柱2の背後に至るまで後方にスライド可能である(図1参照)。別の見方をすると、上側取付部材20Aは、アンテナ10の上部を支柱2に近い位置で保持することができる。
【0040】
<第1アンテナ連結部材>
図1図2に示されるように、第1アンテナ連結部材30cは、アンテナ10の上部に連結されるとともに、スライド部材30bに連結されている。より特定的には、第1アンテナ連結部材30cの一側はアンテナ10の上部に連結され、第1アンテナ連結部材30cの他側はスライド部材30bに回転可能に連結されている。以下の説明では、第1アンテナ連結部材30cを“上部アンテナ連結部材30c”と呼ぶ場合がある。
【0041】
図4A図4Bに示されるように、上部アンテナ連結部材30cは、アンテナ10に固定されるブラケット部61と、スライド部材30bの先端に回転可能に連結される連結片62と、を有する。
【0042】
ブラケット部61は、レドーム11の外周面に沿う円弧形状を有している。図1に示されるように、ブラケット部61は、レドーム11の外周面に当接されている。図2に示されるように、レドーム11の外周面に当接されているブラケット部61は、ボルトによって直接的または間接的に反射器15の上部に固定されている。
【0043】
図4A図4Bに示されるように、連結片62は、スライド部材30bの先端にボルト63及びナット64によって連結されている。よって、ナット64を緩めると、ボルト63の軸部を回転軸として、上部アンテナ連結部材30cとスライド部材30bとを相対回転させることができる。
【0044】
<係合部材>
図5に示されるように、係合部材30dは、二組のボルト71及びナット72を含んでいる。図4A図4Bに示されるように、それぞれのボルト71は、上部支柱連結部材30a及びスライド部材30bを貫通する軸部71aと、軸部71aの一端に設けられた頭部71bとを有しており、ナット72は軸部71aにねじ結合されている。
【0045】
一方のボルト71の軸部71aは、接続部材45の右側板46aに設けられている貫通孔47(図5),スライド部材30bの右側壁51に設けられている係合溝54,規制部材30eをこの順で貫通して右側壁51の外に突出している。他方のボルト71の軸部71aは、接続部材45の左側板46bに設けられている貫通孔47(図5),スライド部材30bの左側壁52に設けられている係合溝54,規制部材30eをこの順で貫通して左側壁52の外に突出している。
【0046】
なお、それぞれのボルト71の軸部71aの根元(頭部71bの下面)には、貫通孔47に嵌合する矩形部が設けられている。それぞれのボルト71は、矩形部が貫通孔47に嵌合することにより、上部支柱連結部材30aに対して移動不能かつ回転不能とされている。
【0047】
もっとも、それぞれのボルト71は、スライド部材30bに対して相対移動可能である。具体的には、それぞれのボルト71は、スライド部材30bを上部支柱連結部材30aに対してスライド不能とする係合位置と、スライド部材30bを上部支柱連結部材30aに対してスライド可能とする非係合位置とに、スライド部材30bに対して相対移動可能である。
【0048】
既述のとおり、ボルト71は、上部支柱連結部材30aに対して移動不能かつ回転不能とされており、その軸部71aはスライド部材30bを貫通している。この結果、軸部71aがスライド部材30bに設けられている複数の係合溝54のいずれかに進入していると、スライド部材30bは、上部支柱連結部材30aに対してスライド不能となる。一方、軸部71aがスライド部材30bに設けられている係合溝54から離脱すると、スライド部材30bは、上部支柱連結部材30aに対してスライド可能となる。
【0049】
つまり、軸部71aがいずれかの係合溝54に進入(係合)しているとき、ボルト71は、スライド部材30bをスライド不能とする係合位置にある。一方、軸部71aが係合溝54から離脱しているとき(いずれの係合溝54にも進入していないとき)、ボルト71は、スライド部材30bをスライド可能とする非係合位置にある。別の見方をすると、軸部71aを係合溝54からスリット55に相対移動させると、ボルト71は、係合位置から非係合位置に相対移動する。また、軸部71aをスリット55から係合溝54に相対移動させると、ボルト71は、非係合位置から係合位置に相対移動する。
【0050】
<規制部材>
図4A図4Bに示されるように、2つの規制部材30eがスライド部材30bの左右両側に配置されている。より特定的には、一方の規制部材30eは、スライド部材30bの右側壁51の外側に配置され(図4A)、他方の規制部材30eは、スライド部材30bの左側壁52の外側に配置されている(図4B)。
【0051】
図5に示されるように、それぞれの規制部材30eは、板部81及び突起部82を有する金属板(座金)である。板部81には、ボルト71の軸部71aを挿通可能な貫通孔83が設けられている。
【0052】
図6に示されるように、係合溝54を通ってスライド部材30bの右側壁51又は左側壁52から突出しているボルト71の軸部71aは、貫通孔83を通って規制部材30eの外側に突出している。そして、規制部材30eの外側に突出している軸部71aに、ナット72がねじ結合されている。
【0053】
つまり、一方の規制部材30eの板部81は、スライド部材30bの右側壁51とナット72との間に挟まれている。また、他方の規制部材30eの板部81は、スライド部材30bの左側壁52と他のナット72との間に挟まれている。
【0054】
さらに、一方の規制部材30eの板部81は、ナット72によって右側壁51に押し付けられており、他方の規制部材30eの板部81は、他のナット72によって左側壁52に押し付けられている。このとき、それぞれの規制部材30eの突起部82は、スリット55の内側に進入しており、スリット55の内面(底面)と対向している。よって、規制部材30eの突起部82がスリット55の内面に接触している状態で、ナット72をボルト71の軸部71aにねじ結合させることにより、設計通りにビームチルト角を調整することができる。
【0055】
別の見方をすると、規制部材30eの突起部82は、スリットの内面(底面)の上に重なっている。この結果、スライド部材30bは、上方への回転が規制されている。
【0056】
もっとも、ナット72を緩めて規制部材30eを移動させると、規制部材30eによる規制が解除される。具体的には、図7Aに示されるように、ナット72を緩める。次いで、図7Bに示されるように、一方の規制部材30eの板部81を右側壁51から離間させ、突起部82をスリット55から引き出す。また、他方の規制部材30eの板部81を左側壁52から離間させ、突起部82をスリット55から引き出す。
【0057】
すると、規制部材30eによる規制が解除され、スライド部材30bを上方に回転させることができる。具体的には、図8に示されるように、ボルト63を支点としてスライド部材30bを上方に回転させることができる。別の見方をすると、スライド部材30bの後方を持ち上げ、スライド部材30bを傾けることができる。
【0058】
スライド部材30bが持ち上げられると、ボルト71がスライド部材30bに対して相対的に下方に移動し、ボルト71の軸部71aが係合溝54から離脱する。言い換えれば、ボルト71の軸部71aが係合溝54からスリット55に相対移動する。つまり、ボルト71が係合位置から非係合位置に相対移動し、スライド部材30bが上部支柱連結部材30aに対して前後にスライド可能となる。
【0059】
然る後、規制部材30eを元の位置に戻すと、スライド部材30bの上方への回転が再び規制される。別の見方をすると、係合位置から非係合位置へのボルト71の相対移動が再び規制される。具体的には、図7Bに示されている一方の規制部材30eの板部81を右側壁51に近接させて突起部82をスリット55に差し入れるとともに、他方の規制部材30eの板部81を左側壁52に近接させて突起部82をスリット55に差し入れる。
【0060】
上記のように、規制部材30eは、ボルト71のスライド部材30bに対する相対移動を規制する規制位置と、ボルト71のスライド部材30bに対する相対移動を許容する非規制位置と、に移動可能である。
【0061】
さらに、規制部材30eは、板部81がスライド部材30bの側壁から離間され、突起部82が当該側壁に設けられているスリット55から引き出されると、規制位置から非規制位置に移動する。また、規制部材30eは、板部81がスライド部材30bの側壁に近接され、突起部82が当該側壁に設けられているスリット55に差し入れられると、非規制位置から規制位置に移動する。
【0062】
なお、ボルト71との結合が解除されるまでナット72を緩めなくとも、規制部材30eを規制位置から非規制位置に移動させることができる(図7B)。よって、ビームチルト角の調整作業中にボルト71,ナット72,規制部材30e等が脱落する恐れはない。
【0063】
<下側取付部材>
図9Aは、下側取付部材20Bの上方斜視図であり、図9Bは、下側取付部材20Bの下方斜視図である。また、図10は、下側取付部材20Bの分解斜視図である。
【0064】
下側取付部材20Bは、第2支柱連結部材90aや第2アンテナ連結部材90c等を有する。少なくとも、ここに列挙した下側取付部材20Bの構成要素は、全て金属製である。つまり、下側取付部材20Bは、複数の金属部材の組立体である。
【0065】
<第2支柱連結部材>
図1に示されるように、第2支柱連結部材90aは、支柱2に連結される。言い換えれば、第2支柱連結部材90aは、支柱2に固定される。以下の説明では、第2支柱連結部材90aを“下部支柱連結部材90a”と呼ぶ場合がある。
【0066】
図10に示されるように、下部支柱連結部材90aは、一対のクランプ141,142と、これらクランプ141,142を互いに連結する2本のネジ軸143と、ネジ軸143に装着される複数のナット144と、を有する。
【0067】
クランプ141,142は、支柱2(図1)を径方向両側から挟む。より特定的には、クランプ141,142は、支柱2を前後から挟む。図9Bに示されるように、それぞれのネジ軸143は、クランプ141,142を前後方向に貫通している。そして、クランプ141,142から突出しているそれぞれのネジ軸143の両端にナット144が装着されている。この結果、ナット144が締め込まれると、支柱2を挟んで対向しているクランプ141,142が互いに近接し、支柱2を挟み込む。
【0068】
なお、それぞれのクランプ141,142には、V溝が設けられている。支柱2は、それぞれの141,142のV溝の間に挟まれる。そこで、それぞれのV溝の内面には、滑り止めのための複数の突起が設けられている。
【0069】
図10に示されるように、下部支柱連結部材90aは、ネジ軸143及びナット144によってクランプ141,142に共締めされる接続部材(ジョイント部材)145をさらに有する。図9A図9Bに示されるように、接続部材145は、クランプ141の前面に当接され、クランプ141,142と一体化されている。
【0070】
接続部材145は、対向する右側板146aと左側板146bとを備えている。さらに、右側板46a及び左側板46bには、第1軸孔147及び第2軸孔148がそれぞれ設けられている。
【0071】
図10に示されるように、第1軸孔147と第2軸孔148とは、スライド部材30bの上部支柱連結部材30aに対するスライド方向において異なる位置に設けられている。つまり、第1軸孔147と第2軸孔148とは、前後方向で異なる位置に設けられている。
【0072】
より特定的には、第2軸孔148は、第1軸孔147よりも後方に設けられている。よって、下部支柱連結部材90aが支柱2に固定されると、第2軸孔148は、第1軸孔147よりも前後方向で支柱2に近い位置に配置される(図2参照)。
【0073】
<第2アンテナ連結部材>
図1図2に示されるように、第2アンテナ連結部材90cは、アンテナ10の下部に連結されるとともに、下部支柱連結部材90aに連結されている。より特定的には、第2アンテナ連結部材90cの一側はアンテナ10の下部に連結され、第2アンテナ連結部材90cの他側は接続部材145に回転可能に連結されている。以下の説明では、第2アンテナ連結部材90cを“下部アンテナ連結部材90c”と呼ぶ場合がある。
【0074】
図9A図9Bに示されるように、下部アンテナ連結部材90cは、アンテナ10に固定されるブラケット部161と、接続部材145の先端に回転可能に連結される連結片162と、を有する。
【0075】
ブラケット部161は、レドーム11の外周面に沿う円弧形状を有している。図1に示されるように、ブラケット部161は、レドーム11の外周面に当接されている。図2に示されるように、レドーム11の外周面に当接されているブラケット部161は、ボルトによって直接的または間接的に反射器15の下部に固定されている。
【0076】
図9A図9Bに示されるように、連結片162は、当該連結片162及び接続部材145を貫通する2本のボルト163と、それらボルトにねじ結合されたナット164とによって、接続部材145に連結されている。
【0077】
一方のボルト163の軸部163aは、接続部材145の右側板146aに設けられている第1軸孔147に挿通され、右側板146aの外側に突出している。他方のボルト163の軸部163aは、接続部材145の左側板146bに設けられている第1軸孔147に挿通され、左側板146bの外側に突出している。
【0078】
そして、右側板146a及び左側板146bから突出しているそれぞれのボルト163の軸部163aにナット164がねじ結合されている。よって、ナット164を緩めると、ボルト163の軸部163aを回転軸として、下部アンテナ連結部材90cと下部支柱連結部材90a(接続部材145)とを相対回転させることができる。
【0079】
つまり、それぞれのボルト163の軸部163aは、下部支柱連結部材90a及び下部アンテナ連結部材90cを貫通し、これらを相対回転可能に連結する連結軸である。
【0080】
既述のとおり、接続部材145の右側板146a及び左側板146bには、前後方向で位置が異なる第1軸孔147及び第2軸孔148がそれぞれ設けられている。よって、ボルト163の軸部163aを第1軸孔147又は第2軸孔148のいずれかに選択的に通すことができる。つまり、連結軸としての軸部163aは、前後方向で異なる2以上の位置に配置可能である。
【0081】
<ビームチルト角の調整手順>
次に、ビームチルト角の調整手順の一例について説明する。ここでは、アンテナ10のビームチルト角を図3Aに示されている角度から図3Bに示されている角度に変更する場合を例にとって、ビームチルト角の調整手順について概説する。
【0082】
なお、図3Aに示されているアンテナ10のビームチルト角が0°であることは既述のとおりである。一方、図3Bに示されているアンテナ10のビームチルト角は6°である。また、以下の説明では、図3Aに示されているボルト71が進入(係合)している係合溝54を“第1の係合溝54”と呼び、図3Bに示されているボルト71が進入(係合)している係合溝54を“第2の係合溝54”と呼んで他の係合溝54と区別する場合がある。もっとも、かかる区別は説明の便宜上の区別に過ぎない。
【0083】
まず、ナット72を緩め、規制部材30eを規制位置から非規制位置に移動させる。かかる手順の詳細については、図7A図7Bを参照しながら既に説明した通りである。
【0084】
次いで、スライド部材30bを斜めに持ち上げることにより、ボルト71を係合位置から非係合位置に相対移動させる。言い換えれば、ボルト71の軸部71aを第1の係合溝54から離脱させ、第1の係合溝54の下方のスリット55に移動させる。かかる手順の詳細については、図8を参照しながら既に説明した通りである。
【0085】
その後、スライド部材30bを上部支柱連結部材30aに対して前方にスライドさせる。言い換えれば、スライド部材30bを前方へ突き出す。このとき、ボルト71は、スリット55を通って後方に相対移動する。
【0086】
スライド部材30bが前方にスライドすると、一側がスライド部材30bに連結され、他側がアンテナ10の上部に連結されている上部アンテナ連結部材30cが前方に移動する。この結果、アンテナ10の上部が前方に移動し、支柱2から遠ざかる。同時に、一側が下部支柱連結部材90a(接続部材145)に回転可能に連結され、他側がアンテナ10の下部に連結されている下部アンテナ連結部材90cは、ボルト163の軸部163aを回転軸として、接続部材145に対して回転する。この結果、アンテナ10が回転し、アンテナ10のビームチルト角が変更される。
【0087】
スライド部材30bを所望の距離だけ前方にスライドさせた後、持ち上げていたスライド部材30bを元の位置(高さ)に戻す。言い換えれば、ボルト71の軸部71aを第1の係合溝54の下方から第2の係合溝54の下方まで相対移動させた後、スライド部材30bを元の位置(高さ)に戻す。すると、ボルト71の軸部71aが第2の係合溝54に進入(係合)する。つまり、ボルト71が非係合位置から係合位置に相対移動し、スライド部材30bがスライド不能になる。この結果、アンテナ10は、変更後のビームチルト角で保持される。
【0088】
次いで、規制部材30eを非規制位置から規制位置に戻し、ナット72を締める。規制部材30eが規制位置に戻された後は、係合位置から非係合位置へのボルト71の相対移動が規制される。よって、規制部材30eを非規制位置から規制位置に移動させてからナット72を締め込むまでの間にビームチルト角が意図せず変更されてしまうことはなく、ナット72を慌てて締める必要はない。
【0089】
ここで、スライド部材30bに設けられている8個の係合溝54は、隣接する一組の係合溝54の間をボルト71の軸部71aが移動すると、アンテナ10のビームチルト角が2°変化する間隔で並んでいる。よって、スライド部材30bを前後にスライドさせ、ボルト71の軸部71aを一の係合溝54から他の一の係合溝54に移動させることにより、アンテナ10のビームチルト角を0°~14°の範囲内で2°刻みで調整することができる。
【0090】
なお、それぞれの係合溝54の近傍には、ボルト71の軸部71aが当該係合溝54に進入(係合)しているときに得られるビームチルト角を表わす数字が打刻されている。但し、それぞれの数字が表しているビームチルト角は、下部アンテナ連結部材90cの回転軸であるボルト163の軸部163aが第1軸孔147に挿通されているときに得られるビームチルト角である。
【0091】
本実施形態では、下部支柱連結部材90a(接続部材145)に、ボルト163の軸部163aを挿通可能な2つの軸孔(第1軸孔147,第2軸孔148)が設けられている。さらに、第1軸孔147と第2軸孔148とは、スライド部材30bのスライド方向(前後方向)において異なる位置に設けられている。
【0092】
したがって、軸部163aが挿通される軸孔を第1軸孔147から第2軸孔148に変更することによっても、アンテナ10のビームチルト角を調整することができる。
【0093】
具体的には、軸部163aが挿通される軸孔を第1軸孔147から第2軸孔148に変更すると、アンテナ10のビームチルト角が1°変化する。例えば、第1の係合溝54にボルト71の軸部71aが進入(係合)している状態の下で、ボルト163の軸部163aが挿通されている軸孔を第1軸孔147から第2軸孔148に変更すると、ビームチルト角は3°(2°+1°)になる。
【0094】
総じて、本実施形態のアンテナ装置1では、アンテナ10のビームチルト角を0°~15°の範囲内で1°刻みで調整することができる。なお、係合溝54の増設やピッチ変更によって同様の調整幅(1°)を実現しようとした場合、ピッチが過剰に狭くなり、スライド部材30bの強度が低下する懸念がある。
【0095】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、係合溝54の数やピッチは、適宜変更することができる。軸部163aが挿通される軸孔の数や位置も、適宜変更することができる。
【0096】
上部支柱連結部材30aのクランプ41と接続部材45とは、一体成形してもよい。同様に、下部支柱連結部材90aのクランプ141と接続部材145とは、一体成形してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…アンテナ装置、2…支柱、10…アンテナ、11…レドーム、12…アンテナエレメント、13…レドーム本体、14a…トップカバー、14b…ボトムカバー、15…反射器、16…コネクタ、20…取付部材、20A…上側取付部材、20B…下側取付部材、30a…第1支柱連結部材(上部支柱連結部材)、30b…スライド部材、30c…第1アンテナ連結部材(上部アンテナ連結部材)、30d…係合部材、30e…規制部材、41,42…クランプ、43…ネジ軸、44…ナット、45…接続部材、46a…右側板、46b…左側板、47…貫通孔、51…右側壁、52…左側壁、53…天井壁、54…係合溝、55…スリット、61…ブラケット部、62…連結片、63…ボルト、64…ナット、71…ボルト、71a…軸部、71b…頭部、72…ナット、81…板部、82…突起部、83…貫通孔、90a…第2支柱連結部材(下部支柱連結部材)、90c…第2アンテナ連結部材(下部アンテナ連結部材)、141,142…クランプ、143…ネジ軸、144…ナット、145…接続部材、146a…右側板、146b…左側板、147…第1軸孔、148…第2軸孔、161…ブラケット部、162…連結片、163…ボルト、163a…軸部、164…ナット、164a…軸部、L1…中心軸、L2…中心軸
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10