(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082858
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】コネクタ部材
(51)【国際特許分類】
H01R 13/514 20060101AFI20240613BHJP
H01R 13/64 20060101ALI20240613BHJP
H01R 9/03 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01R13/514
H01R13/64
H01R9/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197023
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 康也
【テーマコード(参考)】
5E021
5E077
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC29
5E021FC38
5E021JA05
5E021JA12
5E021KA05
5E077BB01
5E077BB11
5E077BB21
5E077JJ22
5E087EE02
5E087EE14
5E087JJ08
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR26
(57)【要約】
【課題】 汎用性が高く、サブ分けの自由度が高いコネクタ部材を提供する。
【解決手段】 コネクタ部材1は、複数の雄型の端子付き電線を装着することが可能な第1ハウジング3と、複数の雌型の端子付き電線を装着することが可能な複数の第2ハウジング5とからなる。第1ハウジング3には、複数の第2ハウジング5が接続可能である。すなわち、コネクタ部材1は、複数の雄型端子付き電線と、複数の第雌型端子付き電線とを一括して接続するための部材である。第1ハウジング3には、第2ハウジング5が収容される複数のハウジング収容部7が設けられる。したがって、一つの第1ハウジング3には、複数の第2ハウジング5を接続することが可能である。ここで、複数のハウジング収容部7は、全て同一の形状で構成される。すなわち、ハウジング収容部7同士を仕切る突起同士の間隔が全てほぼ同一である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の雄型の端子付き電線を装着することが可能な第1ハウジングと、
複数の雌型の端子付き電線を装着することが可能であり、前記第1ハウジングと接続可能な第2ハウジングと、
を具備し、
前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングが収容される複数のハウジング収容部を有し、一つの前記第1ハウジングには、複数の前記第2ハウジングを接続可能であり、
複数の前記ハウジング収容部がそれぞれ略同一の形状であることを特徴とするコネクタ部材。
【請求項2】
雄型のバスバーを装着することが可能な第1ハウジングと、
複数の雌型の端子付き電線を装着することが可能であり、前記第1ハウジングと接続可能な第2ハウジングと、
を具備し、
前記第1ハウジングは、複数のハウジング収容部を有し、一つの前記第1ハウジングには、複数の前記第2ハウジングを接続可能であり、
前記バスバーは、複数の前記ハウジング収容部にまたがるように配置され、前記バスバーの一部は切断可能であり、
複数の前記ハウジング収容部がそれぞれ略同一の形状であることを特徴とするコネクタ部材。
【請求項3】
前記第2ハウジングは同一形状であり、それぞれの前記第2ハウジングは、接続対象となる前記ハウジング収容部毎に異なる誤挿入防止構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ部材。
【請求項4】
前記誤挿入防止構造として、前記第2ハウジングの外周部には、突起が形成され、
前記ハウジング収容部の内面には、溝が形成され、
前記ハウジング収容部の内面に形成された前記溝の形態と対応する形態の前記突起を有する前記第2ハウジングを、当該前記ハウジング収容部に収容可能であることを特徴とする請求項3記載のコネクタ部材。
【請求項5】
前記誤挿入防止構造として、前記第2ハウジングの外周部には、個別に折ることが可能な複数の突起が形成され、
前記ハウジング収容部の内面には、それぞれ異なる形態の溝が形成され、
複数の前記第2ハウジングに対して、一部の前記突起を除去することで、それぞれの前記第2ハウジング毎に異なる前記突起の配置を形成することが可能であり、
前記ハウジング収容部の内面に形成された前記溝の形態と対応する前記突起を有する前記第2ハウジングを、当該前記ハウジング収容部に収容可能であることを特徴とする請求項4記載のコネクタ部材。
【請求項6】
前記誤挿入防止構造として、前記第2ハウジングの外部には、外周部に突起を有するガイド部材を取り付けることが可能であり、
前記ハウジング収容部の内面には、それぞれ異なる形態の溝が形成され、
複数の前記第2ハウジングに対して、それぞれ異なる前記ガイド部材を取り付けることで、それぞれ異なる前記突起の配置を形成することが可能であり、
前記ハウジング収容部の内面に形成された前記溝の形態と対応する前記突起を有する前記第2ハウジングを、当該前記ハウジング収容部に収容可能であることを特徴とする請求項4記載のコネクタ部材。
【請求項7】
前記誤挿入防止構造として、前記第2ハウジングには、複数の前記雌型の端子付き電線を固定するためのリテーナを取り付けることが可能であり、前記リテーナは、外周部に突起を有し、
前記ハウジング収容部の内面には、それぞれ異なる形態の溝が形成され、
複数の前記第2ハウジングに対して、それぞれ異なる前記リテーナを取り付けることで、それぞれ異なる前記突起の配置を形成することが可能であり、
前記ハウジング収容部の内面に形成された前記溝の形態と対応する前記突起を有する前記第2ハウジングを、当該前記ハウジング収容部に収容可能であることを特徴とする請求項4記載のコネクタ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等に用いられるワイヤハーネスを接続することが可能なコネクタ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車、OA機器、家電製品等の分野では、電力線や信号線として、端子付き電線が使用されている。特に、自動車分野においては、車両の高性能化、高機能化が急速に進められており、車載される各種電気機器や制御機器が増加している。したがって、これに伴い、使用される端子付き電線も増加する傾向にあり、複数の端子付き電線が束ねられたワイヤハーネスが使用される。
【0003】
ここで、機器のグループごとにワイヤハーネスをサブ分けする場合がある。このように、一つのワイヤハーネスを、複数のサブに分けることで効率的に製造することができる。また、コネクタ・端子・電線の数量や種類数が限定され、製造設備の適用条件にも合致しやすくなる。
【0004】
この場合、従来のコネクタでは、ワイヤハーネスのASSY工程において手作業による後嵌め作業が必要となり、小極数のコネクタを多数使用することになる。例えば、サブを跨る回路がある場合には、後嵌めでの対応(サブ同士を結合する後工程での手作業)が必要な場合があり、後嵌めが多ければ加工工数が嵩み、誤挿入のリスクも増大する。一方、コネクタを分割又は回路を分割するなどの対応をとれば、加工費・部品費の増加にもつながり、車両組付ラインでの嵌合作業性も悪化する。
【0005】
このような、サブ分けによる作業の効率化のため、例えば、レバー式分割コネクタが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のレバー式分割コネクタは3分割程度までであるため、さらなる多サブに対応する事は難しい。また、それぞれの分割された雌型のコネクタが所定のサイズで決まっており、サブ分けのコネクタ数が決まってしまうため、サブ分けの自由度が低く、汎用性が低い。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、汎用性が高く、サブ分けの自由度が高いコネクタ部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するために第1の発明は、複数の雄型の端子付き電線を装着することが可能な第1ハウジングと、複数の雌型の端子付き電線を装着することが可能であり、前記第1ハウジングと接続可能な第2ハウジングと、を具備し、前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングが収容される複数のハウジング収容部を有し、一つの前記第1ハウジングには、複数の前記第2ハウジングを接続可能であり、複数の前記ハウジング収容部がそれぞれ略同一の形状であることを特徴とするコネクタ部材である。
【0010】
また、第2の発明は、雄型のバスバー部材を装着することが可能な第1ハウジングと、複数の雌型の端子付き電線を装着することが可能であり、前記第1ハウジングと接続可能な第2ハウジングと、を具備し、前記第1ハウジングは、複数のハウジング収容部を有し、一つの前記第1ハウジングには、複数の前記第2ハウジングを接続可能であり、前記バスバー部材は、複数の前記ハウジング収容部にまたがるように配置され、前記バスバー部材の一部は切断可能であり、複数の前記ハウジング収容部がそれぞれ略同一の形状であることを特徴とするコネクタ部材である。
【0011】
第1の発明及び第2の発明において、前記第2ハウジングは同一形状であり、それぞれの前記第2ハウジングは、接続対象となる前記ハウジング収容部毎に異なる誤挿入防止構造を有することが望ましい。
【0012】
この場合、前記誤挿入防止構造として、前記第2ハウジングの外周部には、突起が形成され、前記ハウジング収容部の内面には、溝が形成され、前記ハウジング収容部の内面に形成された前記溝の形態と対応する形態の前記突起を有する前記第2ハウジングを、当該前記ハウジング収容部に収容可能であってもよい。
【0013】
また、前記誤挿入防止構造として、前記第2ハウジングの外周部には、個別に折ることが可能な複数の突起が形成され、前記ハウジング収容部の内面には、それぞれ異なる形態の溝が形成され、複数の前記第2ハウジングに対して、一部の前記突起を除去することで、それぞれの前記第2ハウジング毎に異なる前記突起の配置を形成することが可能であり、前記ハウジング収容部の内面に形成された前記溝の形態と対応する前記突起を有する前記第2ハウジングを、当該前記ハウジング収容部に収容可能であってもよい。
【0014】
また、前記誤挿入防止構造として、前記第2ハウジングの外部には、外周部に突起を有するガイド部材を取り付けることが可能であり、前記ハウジング収容部の内面には、それぞれ異なる形態の溝が形成され、複数の前記第2ハウジングに対して、それぞれ異なる前記ガイド部材を取り付けることで、それぞれ異なる前記突起の配置を形成することが可能であり、前記ハウジング収容部の内面に形成された前記溝の形態と対応する前記突起を有する前記第2ハウジングを、当該前記ハウジング収容部に収容可能であってもよい。
【0015】
また、前記誤挿入防止構造として、前記第2ハウジングには、複数の前記雌型の端子付き電線を固定するためのリテーナを取り付けることが可能であり、前記リテーナは、外周部に突起を有し、前記ハウジング収容部の内面には、それぞれ異なる形態の溝が形成され、複数の前記第2ハウジングに対して、それぞれ異なる前記リテーナを取り付けることで、それぞれ異なる前記突起の配置を形成することが可能であり、前記ハウジング収容部の内面に形成された前記溝の形態と対応する前記突起を有する前記第2ハウジングを、当該前記ハウジング収容部に収容可能であってもよい。
【0016】
第1の発明によれば、第1ハウジングに複数の第2ハウジングを接続可能であり、第2ハウジングが収容されるハウジング収容部の形状がすべて同一であるため、第2ハウジングの部材を共有化して必要な数の第2ハウジングを第1ハウジングに接続することができる。このため、汎用性が高くサブ分けの自由度が高い、いわゆるワイヤtoワイヤのコネクタ構造を得ることができる。
【0017】
また、第2の発明によれば、第1の発明と同様の効果を有し、となりあう端子付き電線同士をバスバー部材によって導通させて接続することが可能なジョイントコネクタ構造を得ることができる。
【0018】
また、第1の発明及び第2の発明において、全ての第2ハウジングが同一形状であっても、それぞれの第2ハウジングが、接続対象となるハウジング収容部毎に異なる誤挿入防止構造を有すれば、誤挿入を抑制することができる。
【0019】
また、それぞれのハウジング収容部の内面に、それぞれ異なる形態の溝が形成され、誤挿入防止構造として、第2ハウジングの外周部には、個別に折ることが可能な複数の突起が形成されれば、溝と突起の位置が合致した第2ハウジングのみが対象となるハウジング収容部に挿入可能となる。このため、第2ハウジングの誤挿入が抑制される。この際、同一の第2ハウジングを共用することができるため部品種類の増加を抑制することができる。
【0020】
また、それぞれのハウジング収容部の内面に、それぞれ異なる形態の溝が形成され、誤挿入防止構造として、第2ハウジングの外部に、外周部に突起を有するガイド部材を取り付けることが可能であれば、ガイド部材のみを交換することで、溝と突起の位置が合致した第2ハウジングのみが対象となるハウジング収容部に挿入可能となる。このため、第2ハウジングの誤挿入が抑制される。この際、同一の第2ハウジングを共用することができるため部品種類の増加を抑制することができる。
【0021】
また、それぞれのハウジング収容部の内面に、それぞれ異なる形態の溝が形成され、誤挿入防止構造として、第2ハウジングに、雌型の端子付き電線を固定するためのリテーナを取り付けることが可能であり、リテーナが、外周部に突起を有すれば、リテーナのみを交換することで、溝と突起の位置が合致した第2ハウジングのみが対象となるハウジング収容部に挿入可能となる。このため、第2ハウジングの誤挿入が抑制される。この際、同一の第2ハウジングを共用することができるため部品種類の増加を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、汎用性が高く、サブ分けの自由度が高いコネクタ部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】(a)、(b)は、第1ハウジング3と第2ハウジング5との接続方法を示す図。
【
図3】(a)は、第1ハウジング3に、第2ハウジング5を挿入した状態の正面図、(b)は、一部の第2ハウジング5aを挿入した状態を示す図。
【
図4】(a)は、第2ハウジング5bの斜視図、(b)は、(a)のA部拡大図であって、突起13を折る工程を示す図。
【
図6】第2ハウジング5cにガイド部材19を取り付ける方法を示す図。
【
図7】第2ハウジング5dにリテーナ25を取り付ける方法を示す図。
【
図8】(a)、(b)は、第1ハウジング3aと第2ハウジング5との接続方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、コネクタ部材1の分解斜視図である。コネクタ部材1は、ワイヤハーネス同士を接続可能ないわゆるワイヤtoワイヤのコネクタであり、複数の雄型の端子付き電線を装着することが可能な第1ハウジング3と、複数の雌型の端子付き電線を装着することが可能な複数の第2ハウジング5とからなる。
【0025】
第1ハウジング3には、複数の第2ハウジング5が接続可能である。すなわち、コネクタ部材1は、複数の雄型端子付き電線と、複数の雌型端子付き電線とを一括して接続するための部材である。なお、以下の図において、特に示されない限り、端子付き電線の図示を省略する。
【0026】
第1ハウジング3には、複数のハウジング収容部7が設けられる。それぞれのハウジング収容部7には、個々の第2ハウジング5がそれぞれ収容される。すなわち、前述したように、一つの第1ハウジング3には、複数の第2ハウジング5を接続することが可能である。
【0027】
ハウジング収容部7同士は、上下に形成される突起8によって部分的に空間が仕切られており、突起8以外の部位では、全てのハウジング収容部7が連続した空間となる。なお、第2ハウジング5の並列方向を第1ハウジング3及び第2ハウジング5の幅方向とし、第2ハウジング5における端子付き電線の併設方向を、第1ハウジング3及び第2ハウジング5の上下方向とする。ここで、複数のハウジング収容部7は、略同一の形状(同一幅)で構成される。すなわち、ハウジング収容部7同士を仕切る突起8同士の間隔(端部においては、突起8と側壁との間隔)が全てほぼ同一である。なお、複数のハウジング収容部7が、全て同一の形状(同一幅)で構成されることが望ましい。
【0028】
なお、図示した例では、第1ハウジング3は、六つのハウジング収容部7を有する例を示すが、ハウジング収容部7の個数(第2ハウジング5の接続数)は特に限定されない。また、第2ハウジング5は、上下方向に四つの端子収容部(雌型端子付き電線)が接続可能である例を示すが、一つの第2ハウジング5に対して接続可能な端子付き電線の数は図示した例には限られない。
【0029】
図2(a)、
図2(b)は、第1ハウジング3と第2ハウジング5とを接続する方法を示す上下方向の断面図である。前述したように、第1ハウジング3には、複数の雄型端子付き電線9が配置され、ハウジング収容部7には、雄型端子が突出する。また、第2ハウジング5には、複数の雌型端子付き電線11が配置される。第2ハウジング5を第1ハウジング3のハウジング収容部7に挿入することで、雄型端子と雌型端子とが接続される。すなわち、ワイヤハーネス同士が接続される。
【0030】
図3(a)は、第1ハウジング3に第2ハウジング5を挿入した状態の正面図(端子付き電線の図示を省略する)である。前述したように、ハウジング収容部7の大きさはすべて同一である。また、全ての第2ハウジング5は略同一形状(同一幅)である。すなわち、第2ハウジング5は、全て共通の部材を使用可能である。
【0031】
なお、
図3(b)に示すように、複数の第2ハウジング5が連結された第2ハウジング5aを用いてもよい。第2ハウジング5aは、例えば一対の第2ハウジング5が連結されたものであり、連結部においては、前述したハウジング収容部7を仕切る突起8を避けるための溝が形成される。このように、第2ハウジング5を複数連結した第2ハウジング5aを用いることも可能である。
【0032】
以上、本実施形態のコネクタ部材1によれば、略同一の形状のハウジング収容部7を有する第1ハウジング3に対して、複数の第2ハウジング5等を挿入可能とすることで、汎用性が高く、サブ分けの自由度も高い。
【0033】
次に、本実施形態のコネクタ部材1に対して、第1ハウジング3のそれぞれのハウジング収容部7に対して、誤った第2ハウジングが挿入されることを防止する誤挿入防止構造について説明する。なお、以下の説明では、同一の形状の第2ハウジング5を基本として説明するが、第2ハウジング5aにも適用可能である。
【0034】
図4(a)は、第2ハウジング5bを示す図である。第2ハウジング5bは、第2ハウジング5と略同様の構成であるが、それぞれの第2ハウジング5bには、接続対象となるハウジング収容部7毎に異なる誤挿入防止構造を形成可能である点で異なる。
【0035】
図4(a)に示すように、本実施形態において、誤挿入防止構造は複数個所に形成された突起13である。図示した例では、第2ハウジング5bの上面において、幅方向に離間して四か所の突起13が形成される。なお、突起13の配置される部位や個数は図示した例には限られない。例えば、第2ハウジング5bの外周部であれば、下面側に突起を設けてもよく、突起13は三つ以下であってもよい。
【0036】
図4(b)に示すように、四つの突起は、いずれも個別に折り曲げて簡単に除去することが可能である。図示した例では、手前の突起13を一つ折り曲げて除去した例を示す。この場合には、残りの三つの突起13が残ることとなる。
【0037】
図5は、第1ハウジング3のそれぞれのハウジング収容部7の上部の形態を示す図である。前記ハウジング収容部の上部の内面には、それぞれ異なる形態の溝15が形成される。すなわち、ハウジング収容部7に対する溝15の位置が異なる。なお、溝15の配置だけではなく個数を変えてもよい。
【0038】
前述したように、第2ハウジング5bは、上面に複数の突起13が形成され、それぞれの突起13は個別に除去することが可能である。このため、複数の第2ハウジング5bに対して、一部の突起13を除去することで、それぞれの第2ハウジング5b毎に異なる突起13の配置を形成することが可能である。例えば、四つの突起13に対して二つをそれぞれ除去し、除去する突起13の位置をそれぞれの第2ハウジング5bごと変えることで、六通りの突起13の配置の種類を変えることができる。
【0039】
なお、第1ハウジング3のハウジング収容部7の個数がさらに多い場合には、突起を二つ残した第2ハウジング5bだけでなく、突起を三つ残した第2ハウジング5bなどを加えることで、さらに多数の形態を形成することができる。また、最初に形成しておく突起13の個数を五つ以上に増やせば、さらに多くの種類に適合させることができる。
【0040】
このように、複数の第2ハウジング5bごとに異なる突起13の配置とすることで、それぞれのハウジング収容部7の内面に形成された溝15の形態と対応する配置の突起13を有する第2ハウジング5bのみが当該ハウジング収容部7に収容可能となる。このため、第2ハウジング5bの誤挿入を抑制することができる。なお、第2ハウジング5bごとに誤挿入防止構造としての突起13の配置が異なる場合でも、本発明では、その他の本体のサイズ(幅や高さ)が同一であれば、同一の形状であるとする。
【0041】
また、同一の形状の第2ハウジング5bを用いた際に、第2ハウジング5bが誤挿入防止構造を有すれば、第1ハウジング3のハウジング収容部7に対して、誤った位置に挿入することを抑制することができる。
【0042】
また、誤挿入防止構造として、個別に折ることが可能な複数の突起13を第2ハウジング5bの外周面に配置することで、製造時や取り扱い時においては、第2ハウジング5bを共通部品として取り扱うことができる。この場合でも、折って除去する突起13(折らずに残す突起13)をそれぞれの第2ハウジング5bごとに代えることで、対応する位置に溝15を有するハウジング収容部7にのみ挿入可能とすることができる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、突起13を折って除去する例について説明したが、完全に突起13を除去するのではなく、突起13を変形させてもよい。例えば、挿入防止構造として、第2ハウジング5bの外周部に、個別に変形させることが可能な突起13を形成しておき、複数の第2ハウジング5bに対して、突起13を変形させて、それぞれの第2ハウジング5b毎に異なる突起13の形態にしてもよい。この場合でも、ハウジング収容部7の内面に形成された溝15の形態と対応する形態の突起13を有する第2ハウジング5bを、当該ハウジング収容部7に収容可能とすることができる。
【0044】
次に、誤挿入防止構造について、第2の実施形態について説明する。
図6は、誤挿入防止構造を有する第2ハウジング5cを示す図である。なお、以下の説明において第1の実施形態と同様の機能を有する構成については
図1~
図5と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0045】
第2ハウジング5cは、第2ハウジング5b等と略同様の構成であるが、ガイド部材19を用いる点で異なる。ガイド部材19は、下面にガイド突起23を有する。第2ハウジング5cの上面には、ガイド突起23をスライド挿入することが可能なガイド溝17が形成される。すなわち、誤挿入防止構造であるガイド部材19は、第2ハウジング5cの上部に取り付け可能である。
【0046】
ガイド部材19の上面には複数の突起21が形成される。このように、第2ハウジング5cの外部に、外周部に突起21を有するガイド部材19を取り付けることが可能であるため、それぞれの第2ハウジング5cの上面に突起21を配置することができる。
【0047】
前述したように、ハウジング収容部7の上部の内面には、それぞれ異なる形態の溝15が形成される。複数の第2ハウジング5cに対して、それぞれ異なる種類(異なる突起21の配置)のガイド部材19を取り付けることで、第2ハウジング5cごとに異なる突起21の配置を形成することが可能である。すなわち、ハウジング収容部7の内面に形成された溝15の形態(配置)と対応する突起21を有する第2ハウジング5cを、当該ハウジング収容部7に収容可能となる。
【0048】
なお、上述した説明では、それぞれのガイド部材19に対して二つの突起21が配置される例を示したが、突起21の個数は特に限定されない。例えば、それぞれのガイド部材19に配置される突起21は一つでもよい。一つの突起21であっても、対応する溝15とともに配置を少しずつずらすことで、互いの位置が一致する第2ハウジング5cのみを対象となるハウジング収容部7に挿入することができる。
【0049】
また、突起21の配置だけではなく、ガイド部材19ごとに突起21の太さや高さなどを変えてもよい。また、第2ハウジング5cと第1ハウジング3との接続方向における、突起21の配置と溝15の深さ等によっても、誤挿入防止構造とすることができる。
【0050】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2の実施形態では、第2ハウジング5cはすべて共通の部材を用いることができるが、ガイド部材19は、複数種類が必要となる。しかし、小さな部材であるガイド部材19のみを複数種類用いればよいため、第2ハウジング5cを複数種類使用する場合と比較して、保管や取り扱いが容易である。
【0051】
次に、誤挿入防止構造について、第3の実施形態について説明する。
図7は、誤挿入防止構造を有する第2ハウジング5dを示す図である。第2ハウジング5dは、第2ハウジング5等と略同様の構成であるが、リテーナ25を用いる点で異なる。
【0052】
第2ハウジング5dには、複数の雌型端子付き電線11(
図2参照)を固定するためのリテーナ25を取り付けることが可能である。リテーナ25は、外周部に突起27を有する。例えば、第2ハウジング5dの上部に当たる部位に突起27が形成される。すなわち、誤挿入防止構造であるリテーナ25を、第2ハウジング5dに取り付け可能であるため、それぞれの第2ハウジング5dの上面に突起27を配置することができる。
【0053】
前述したように、ハウジング収容部7の上部の内面には、それぞれ異なる形態の溝15が形成される。複数の第2ハウジング5dに対して、それぞれ異なる種類(異なる突起27の配置)のリテーナ25を取り付けることで、第2ハウジング5dごとに異なる突起27の配置を形成することが可能である。すなわち、ハウジング収容部7の内面に形成された溝15の形態(配置)と対応する突起27を有する第2ハウジング5dを、当該ハウジング収容部7に収容可能となる。
【0054】
なお、上述した説明では、それぞれのリテーナ25に対して二つの突起27が配置される例を示したが、第2の実施形態と同様に、突起27の個数は特に限定されない。また、突起27のサイズを変えてもよい。
【0055】
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2の実施形態と同様に、第2ハウジング5dはすべて共通の部材を用いることができるが、リテーナ25は、複数種類が必要となる。しかし、小さな部材であるリテーナ25のみを複数種類用いればよいため、第2ハウジング5dを複数種類使用する場合と比較して、保管や取り扱いが容易である。
【0056】
なお、上述した各実施形態では、コネクタ部材が、ワイヤハーネス同士を接続するための中継コネクタ(いわゆるワイヤtoワイヤコネクタ)である例を示したが、本発明のコネクタ部材は、所定の隣り合う端子付き電線同士を導通させることが可能な、いわゆるジョイントコネクタとしても利用可能である。
【0057】
図8(a)は、コネクタ部材1aを示す幅方向の断面図である。コネクタ部材1aは、雄型のバスバー部材29を装着することが可能な第1ハウジング3aと、複数の雌型端子付き電線11を装着することが可能な第2ハウジング5からなる。第1ハウジング3aには第2ハウジング5が接続可能である。なお、第2ハウジング5a~5dも適用可能である。
【0058】
第1ハウジング3aには、第2ハウジング5が収容される複数のハウジング収容部7が設けられる。したがって、一つの第1ハウジング3には、複数の第2ハウジング5を接続することが可能である。前述したように、ハウジング収容部7同士は、上下に形成される突起8によって部分的に空間が仕切られており、突起8以外の部位では、全てのハウジング収容部7が連続した空間となる。ここで、複数のハウジング収容部7は、略同一の形状(サイズ)で構成される。すなわち、ハウジング収容部7同士を仕切る突起8同士の間隔(端部においては、突起8と側壁との間隔)が全てほぼ同一である。なお、この場合でも、複数のハウジング収容部7は、全て同一の形状(幅)で構成されることが望ましい。
【0059】
バスバー部材29は、複数のハウジング収容部7にまたがるように配置される。例えば、図示したように、バスバー部材29は、幅方向の全体にまたがるように配置され、バスバー部材29の一部が切断可能である。例えば、第1ハウジング3aには、隣り合うハウジング収容部7の間に凹部又は孔が形成され、当該部位において、バスバー部材29を切断することができる。このため、バスバー部材29は、切断部31で切除されて、切断部31以外の部位において、隣り合うハウジング収容部7にまたがるように配置することができる。
【0060】
バスバー部材29の一部はハウジング収容部7に突出して雄型端子となる。すなわち、
図8(b)に示すように、第1ハウジング3aに第2ハウジング5を挿入すると、雌型端子付き電線11の雌端子と、バスバー部材29とが接続される。この際、一部の隣り合うバスバー部材29の雄端子同士は接続されているため、所望の隣り合う雌型端子付き電線11同士を接続することができる。
【0061】
なお、第2ハウジング5に対して、前述したような誤挿入防止構造を形成し、第1ハウジング3aの所望の位置に溝15を形成することで、コネクタ部材1aに対しても、所定のハウジング収容部7に、正しい第2ハウジングを挿入することができる。
【0062】
以上のように、コネクタ部材1aを用いれば、ジョイントコネクタとしても利用することができる。なお、バスバー部材29は、幅方向だけでなく、上下方向の雌型端子付き電線11同士を導通可能としてもよい。
【0063】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0064】
1、1a………コネクタ部材
3、3a………第1ハウジング
5、5a、5b、5c、5d………第2ハウジング
7………ハウジング収容部
8………突起
9………雄型端子付き電線
11………雌型端子付き電線
13………突起
15………溝
17………ガイド溝
19………ガイド部材
21………突起
23………ガイド突起
25………リテーナ
27………突起
29………バスバー部材
31………切断部