IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小林製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082984
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20240613BHJP
   A23L 2/39 20060101ALI20240613BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240613BHJP
   A23L 33/10 20160101ALN20240613BHJP
【FI】
A23L5/00 A
A23L2/00 Q
A23L2/00 R
A23L2/52 101
A23L2/00 F
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197241
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】東野 貴大
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD07
4B018MD23
4B018MD76
4B018ME14
4B018MF02
4B035LC04
4B035LE01
4B035LG04
4B035LG16
4B035LG32
4B035LG41
4B035LP21
4B117LC04
4B117LC13
4B117LE01
4B117LG04
4B117LK06
4B117LK16
4B117LK20
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】本発明は、脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10を含み、水中での溶解性が向上した経口組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10を含む経口組成物に梅果汁濃縮物を配合することで、経口組成物の水中での溶解性が向上する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10並びに(B)梅果汁濃縮物を含有する経口組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の乾燥重量1重量部当たり、前記(B)成分が乾燥重量で0.02重量部以上含まれる、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
飲用時における前記(A)成分の含有量が、乾燥重量で0.05~40重量%である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項4】
飲用時における前記(B)成分の含有量が、乾燥重量で1~15重量%である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項5】
粉末又は顆粒飲料である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項6】
油性基剤を実質的に含まない、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項7】
乳化剤を実質的に含まない、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項8】
ゲル化剤を実質的に含まない、請求項1に記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水難溶性の有用成分を含み、水中での溶解性が向上した経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミン及び各種タンパク質等の有用成分は、効率的に摂取できるようにするため、飲食品等に配合されて多く市販されている。これらの有用成分の中でも、例えば、脂溶性ビタミン、コエンザイムQ10、及びローヤルゼリー等の成分は、水に難溶であるため、液体飲料の形態で摂取するためには、溶解性を向上させる製剤設計が必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、脂溶性ビタミン含有組成物を可溶化させるため、組成物100質量部中、(a)脂溶性ビタミンを1~20質量部、(b)オクテニルコハク酸澱粉を5~20質量部、(c)アラビアガムを5~20質量部、および(d)多価アルコールを15~63質量部含有することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ローヤルゼリーを高濃度に含有し、長期間保存しても沈殿などの現象が認められない乳化組成物を、pHが4.0以下のローヤルゼリー水分散液を、60℃以上にした状態において、HLB値のより高い乳化剤を用いる乳化処理およびHLB値のより低い乳化剤を用いる乳化処理に分けて乳化処理を行うことで調製する方法が記載されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、脂溶性のコエンザイムQ10を高含量で含む組成物の水性液体への分散性を高めるため、コエンザイムQ10を含む固形組成物に、乳化剤及びキサンタンガムを含有させ、該固形組成物を水に分散した際の平均粒子径が1~50μmとなるように調製することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-240219号公報
【特許文献2】特開2000-232856号公報
【特許文献3】特開2019-55927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及びコエンザイムQ10といった水難溶成分を可溶化するには、一般的に、添加剤である界面活性剤及び/又はゲル化剤が用いられる。一方で、これらの水難溶成分を可溶化するために、他の有用成分を用いることができれば、複合的な効果も得られるため望ましいと考えられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10を含み、水中での溶解性が向上した経口組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を行ったところ、脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10を含む経口組成物に梅果汁濃縮物(いわゆる梅エキス)を配合することで、水中での溶解性を向上できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10、並びに(B)梅果汁濃縮物を含有する経口組成物。
項2. 前記(A)成分の乾燥重量1重量部当たり、前記(B)成分が乾燥重量で0.02重量部以上含まれる、項1に記載の経口組成物。
項3. 飲用時における前記(A)成分の含有量が、乾燥重量0.05~40重量%である、項1又は2に記載の経口組成物。
項4. 飲用時における前記(B)成分の含有量が、乾燥重量で1~15重量%である、項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
項5. 粉末又は顆粒飲料である、項1~4のいずれかに記載の経口組成物。
項6. 油性基剤を実質的に含まない、項1~5のいずれかに記載の経口組成物。
項7. 乳化剤を実質的に含まない、項1~6のいずれかに記載の経口組成物。
項8. ゲル化剤を実質的に含まない、項1~7のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10を含み、水中での溶解性が向上した経口組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の経口組成物は、(A)脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10(以下において、これらを「所定の水難溶性成分」又は「(A)成分」とも記載する。)、並びに(B)梅果汁濃縮物(以下において、「(B)成分」とも記載する。)を含有することを特徴とする。以下、本開示の経口組成物について詳述する。なお、本明細書において、2つの数値と「~」とにより示される数値範囲は、当該2つの数値を下限値及び上限値として含むものとする。例えば、2~15重量%との表記は、2重量%以上15重量%以下を意味する。さらに、水中での溶解性が向上しているとは、飲用時の状態つまり水と混合されている液体組成物の状態で目開き500μmのメッシュに通した場合、(B)成分を含まない場合に比べ、メッシュ上に残存する成分量を低減し通過できる成分量を増大させることをいう。
【0013】
(A)所定の水難溶性成分
本発明では、(A)成分として、脂溶性ビタミン、ローヤルゼリー、及び/又はコエンザイムQ10を含む。
【0014】
脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンとしては、具体的には、ビタミンE類、ビタミンA類、ビタミンD類、及びビタミンK類が挙げられる。
【0015】
ビタミンE類とは、トコフェロール、トコトリエノール、及びそれらの誘導体を指す。本開示で使用されるトコフェロールの誘導体の種類については、食品に配合可能であることを限度として特に制限されない。例えば、トコフェロールの誘導体としては、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール、リノレン酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、(リノール酸/オレイン酸)トコフェロール等のトコフェロール有機酸エステル等が挙げられる。トコフェロール、トコトリエノール、及びそれらの誘導体は、α-、β-、γ-、及びδ-のいずれであってもよく、またd体又はdl体のいずれであってもよい。これらのビタミンE類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
ビタミンA類とは、ビタミンA1(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、ビタミンA2(3-デヒドロレチノール、3-デヒドロレチナール、3-デヒドロレチノイン酸)、及びこれらの誘導体を指す。本開示で使用されるビタミンA1及びA2の誘導体の種類については、食品に配合可能であることを限度として特に制限されない。例えば、ビタミンA1及びA2の誘導体としては、酢酸レチノール、酪酸レチノール、プロピオン酸レチノール、パルミチン酸レチノール、リノール酸レチノール、オクチル酸レチノール、ラウリル酸レチノール、オレイン酸レチノール及びリノレン酸レチノール等のレチノール有機酸エステル等が挙げられる。これらのビタミンA類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
ビタミンD類とは、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)及びこれらの誘導体を指す。本開示で使用されるビタミンD2及びD3の誘導体の種類については、食品に配合可能であることを限度として特に制限されない。例えば、ビタミンD2及びD3の誘導体としては、25-ヒドロキシビタミンD3、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、1α,24,25-トリヒドロキシビタミンD3等のビタミンD3の代謝産物、並びにこれらの合成アナログである、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、フッ素化ビタミンD3等が挙げられる。これらのビタミンD類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
ビタミンK類とは、ビタミンK1(フィロキノン)、ビタミンK2(メナキノン-4、メナキノン-5、メナキノン-6、メナキノン-7、メナキノン-8、メナキノン-9等のメナキノン)、ビタミンK3(メナジオン)、ビタミンK4(メナジオール)、ビタミンK5(4-アミノ-2-メチル-1-ナフトール)等のビタミンK及びその誘導体を指す。本開示で使用されるビタミンK1、K2、K3、K4及びK5の誘導体の種類については、食品に配合可能であることを限度として特に制限されない。例えば、ビタミンK1及びK2の誘導体としては、アルキル化物、エポキシ化物、還元化物等が挙げられる。これらのビタミンK類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本開示の経口組成物において、脂溶性ビタミンとして、ビタミンE類、ビタミンA類、ビタミンD類、及びビタミンK類の中から1種のビタミン類を選択して単独で使用してもよく、2種以上のビタミン類を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
ローヤルゼリー
ローヤルゼリーは、ミツバチ科ミツバチ属に属するヨーロッパミツバチ(学名:Apis melifera L.,別名:セイヨウミツバチ)又はトウヨウミツバチ(学名:Apis indeca Radoszkowski)の働き蜂(日齢3~12日)が下咽頭腺及び大腮腺からの分泌物を混合して作る乳白色のゼリー状物質であり、10-ヒドロキシデセン酸その他の脂肪酸、アミノ酸、各種ビタミン、ミネラル等の栄養素を含んでいる。
【0021】
本開示で用いられるローヤルゼリーの具体的な形態としては、生ローヤルゼリー、濃縮ローヤルゼリー(非乾燥ローヤルゼリー及び乾燥ローヤルゼリーを含む)が挙げられる。
【0022】
コエンザイムQ10
コエンザイムQ10は、補酵素Qとも呼ばれる、高等動物に存在する補酵素の1種である。本開示で用いられるコエンザイムQ10の具体例としては、酸化型(ユビデカレノン)及び還元型(ユビキノール)が挙げられ、これらのコエンザイムQ10は、一方を単独で使用してもよく、また両方を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
本開示の経口組成物に含まれる(A)成分の含有量(総量)については特に限定されないが、経口組成物の乾燥重量100重量部当たりの(A)成分の乾燥重量の比率で、例えば0.1~80重量部、好ましくは0.5~56重量部、より好ましくは1~35重量部、さらに好ましくは1.5~15重量部、一層好ましくは2~10重量部、より一層好ましくは2~5重量部が挙げられる。また、本開示の経口組成物の飲用時における(A)成分の含有量として、乾燥重量で例えば0.05~40重量%、好ましくは0.08~30重量%、より好ましくは0.1~12重量%、さらに好ましくは0.15~5重量%、一層好ましくは0.18~1重量%、又は0.18~0.5重量%が挙げられる。
【0024】
(B)梅果汁濃縮物
本開示の経口組成物は、(B)成分として梅果汁濃縮物を含有する。(B)成分は、(A)成分の水中での溶解性を向上させる。
【0025】
本開示で用いられる(B)成分は、一般的に梅エキス又は梅肉エキスと称されるものであり、具体的には、梅の果汁を少なくとも黒色のペースト状(飴状)に煮詰めることによって得られるものである。本発明において、(B)成分の具体的な形態としては、ペースト及び乾燥物(ペーストの水分を除去したもの)が挙げられる。
【0026】
本開示の経口組成物において、(B)成分の含有量については、溶解性向上効果の求められる程度に応じて適宜設定すればよいが、(A)成分の乾燥重量(総量)1重量部当たりの(B)成分の乾燥重量として、例えば0.02重量部以上が挙げられ、溶解性向上効果をより一層高める観点から、好ましくは0.1重量部以上、0.25重量部以上又は0.4重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上、さらに好ましくは2重量部以上、一層好ましくは10重量部以上、より一層好ましくは25重量部以上、30重量部以上、35重量部以上又は40重量部以上が挙げられる。(A)成分の乾燥重量(総量)1重量部当たりの(B)成分の乾燥重量は、その上限においても特に限定されるものではないが、例えば50重量部以下又は45重量部以下が挙げられる。
【0027】
本開示の経口組成物における(B)成分の具体的な含有量としては、各成分についての上記含有量に応じて定まるが、例えば、経口組成物の乾燥重量100重量部当たりの(B)成分の乾燥重量の比率で、例えば20~99重量部が挙げられ、分散性向上効果をより一層高める観点から、25~99重量部、より好ましくは40~99重量部、さらに好ましくは60~99重量部、一層好ましくは85~99重量部、90~99重量部、又は95~98重量部挙げられる。また、本開示の経口組成物の飲用時における(B)成分の含有量として、乾燥重量で例えば1~15重量%、好ましくは5~12重量%、より好ましくは7~10重量%が挙げられる。
【0028】
その他の成分
本開示の経口組成物は、上記(A)成分及び(B)成分の他に、必要に応じて他の栄養成分及び/又は薬理成分を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。このような栄養成分及び薬理成分としては、食品及び/又は医薬品において使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン(上記(A)成分以外)、ミネラル、糖質、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する栄養成分及び/又は薬理成分の種類並びに経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0029】
更に、本開示の経口組成物は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて基剤及び/又は添加剤等を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品及び/又は医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、水性基剤(例えば、水、炭素数2~4の1価アルコール)、油性基剤(例えば、油脂、炭化水素等)、多価アルコール、ゲル化剤(キサンタンガム、ペクチン、グアーガム、アラビアガム、タマリンドガム、カラギーナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、寒天等)、界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリド等の合成界面活性剤、乳化能を有する澱粉(例えば、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン等の加工澱粉)、レシチン、サポニン、カゼイン等)、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する基剤及び/又は添加剤の種類並びに経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0030】
本開示の経口組成物は、水中での溶解性に優れているため、好ましい形態において、(A)成分の溶解性向上に使用される、油性基剤、ゲル化剤及び/又は界面活性剤を実質的に含まない。油性基剤、ゲル化剤及び/又は界面活性剤を実質的に含まないとは、本開示の経口組成物の飲用時における、油性基剤、ゲル化剤、界面活性剤の各々の含有量が0.5重量%以下(好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、最も好ましくは0重量%)であることをいう。
【0031】
製剤形態・製品分類
本開示の経口組成物の製剤形態については特に限定されず、液状、半固形状(ゲル状、ペースト状)、固体状のいずれであってもよい。本開示の経口組成物が固体状である場合、用時に水に分散させることが容易な粉末又は顆粒であることが好ましい。
【0032】
また、本開示の経口組成物は、非乳化組成物及び乳化組成物のいずれであってもよいが、好ましくは非乳化組成物である。
【0033】
本開示の経口組成物の製品分類については特に限定されず、飲食品(特別用途食品及び保健機能食品(栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品等)、並びに、一般食品(栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、サプリメント等)を含む)及び内服用医薬品(内服用の医薬部外品を含む)のいずれであってもよい。
【0034】
本開示の経口組成物のより具体的な製品分類としては非濃縮飲料(希釈せずに飲用する形態の飲料。液状の製剤形態で調製される場合。)、濃縮飲料(水で希釈して飲用する形態の飲料。液状又は半固形状の製剤形態で調製される場合。)、及び粉末又は顆粒飲料(水に分散して飲用する形態の飲料。固形状の製剤形態で調製される場合。)が挙げられる。
【0035】
用途
本開示の経口組成物は、(A)成分及び/又は(B)成分の公知の作用効果を利用する用途に使用できる。本開示の経口組成物の用途の例としては、栄養補給、間脳自律神経中枢の老化防止、血清コレステロール値の増加抑制、抗腫瘍、一過性の血流増加、精神的又は身体的疲労の改善、抗酸化、血糖値上昇抑制、食欲抑制、肥満解消、ピロリ菌抑制、便通改善、肝機能強化及び/又はカルシウムの吸収促進等の用途が挙げられる。
【0036】
本開示の経口組成物の飲用時の形態は、水と混合されている液体組成物である。本開示の経口組成物が液状の製剤形態で調製されたもの(非濃縮飲料)である場合は、希釈せず飲用することができ、液状又は半固形状の製剤形態で調製されたもの(濃縮飲料)である場合は、水で希釈して飲用することができ、固形状(粉末又は顆粒)の製剤形態で調製されたもの(粉末又は顆粒飲料)である場合は、水に分散して飲用できる。
【実施例0037】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
試験例1
(A)成分、(B)成分及び/又はクエン酸を、表1~3に示す組成となるように混合して液状の経口組成物(全量50g)を調製した。(A)成分について、ビタミンEとしてはαトコフェロール、ビタミンAとしてはレチノール、ビタミンDとしてはビタミンD3、ビタミンKとしてはビタミンK2、ローヤルゼリーとしては生ローヤルゼリーを凍結乾燥した乾燥物、コエンザイムQ10としては還元型コエンザイムQ10を用いた。(B)成分として用いた梅果汁濃縮物は、梅の果汁を黒色のペースト状になるまで煮詰めた、いわゆる梅エキスと称されるものである。得られた液体を、調製後30分経過時に、目開き500μmのメッシュでろ過し、メッシュ上の残渣を軽量し、下記式に基づいてメッシュの通過率を導出した。通過率が大きいほど、溶解性が向上していることを示す。結果を表1~3に示す。
【0039】
【数1】
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
表1~3に示す通り、(A)成分を単独で水中に含む場合には通過率が極めて低い(比較例1、3、5、7)ことに対し、(B)をさらに配合することで、溶解性が顕著に向上した(実施例1~22)。また、(B)成分の主要成分であるクエン酸を(A)成分に配合しても溶解性はほとんど向上しなかった(比較例2、4、6、8)ため、(A)成分に(B)成分を加えることによる溶解性の向上は、(B)成分を構成するクエン酸以外の成分の作用も相まって奏されることが判った。さらに、(A)成分及び(B)成分を含む経口組成物を粉末状又は顆粒状で製剤し、その後水と混合した場合、並びに、(A)成分及び(B)成分を含む経口組成物をペースト状で製剤し、その後水と混合した場合も、実施例1~22と同様に、(B)を含まない場合に比べて通過率が高く、溶解性が向上した。
【0044】
試験例2
水中に(B)成分を混合し、その後(A)成分を表4の組成となるように混合することで、実施例23~26の液体の経口組成物を調製した(全量はいずれも50gであった。)。なお、(A)成分及び(B)成分としては、試験例1と同じものを用いた。得られた液体の経口組成物について、試験例1と同様の操作により通過率を測定した。結果を表4に示す。なお、表4では、実施例23~26と共に、調製法が異なることを除いてそれぞれ同じ組成である実施例1、5、15、19も併せて示す。
【0045】
【表4】
【0046】
表4に示すとおり、水中に(B)成分を混合し、その後(A)成分を混合して調製した場合(実施例23~26)に比べ、(A)成分及び(B)成分を混合し、その後水と混合した場合(実施例1、5、15、19)の方が、溶解性向上効果が高いことが判った。