(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083235
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】電解液添加剤、これを含むリチウム二次電池用電解液、およびリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20240613BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240613BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240613BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240613BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/587
H01M4/38 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176746
(22)【出願日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】10-2022-0171782
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オルガ・ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】金 多▲ヒョン▼
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲ヒョン▼奉
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル・シャトゥノフ
(72)【発明者】
【氏名】金 善大
(72)【発明者】
【氏名】楊 叡知
(72)【発明者】
【氏名】朴 弘烈
(72)【発明者】
【氏名】朴 相禹
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL07
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ10
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050CB12
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA10
(57)【要約】
【課題】リチウム二次電池の常温寿命特性を向上させながらも高温保管時の抵抗増加を抑制する電解液添加剤、これを含むリチウム二次電池用電解液、およびリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】一実施形態による電解液添加剤は化学式1で表される。前記化学式1に関する詳細内容は明細書に記載のとおりである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される電解液添加剤:
【化1】
上記化学式1中、
Xはハロゲン原子であり;
L
1~L
3はそれぞれ単結合、*-O-*、*-C(=O)O-*、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基であり;
Aは下記化学式2で表される置換基であり;
【化2】
X
1~X
5はそれぞれ窒素原子またはCRであり;
前記X
1~X
5のうちの少なくとも2つは窒素原子であり;
前記Rはそれぞれ水素原子であるか、または隣接する2以上のRが互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~10の芳香族環を形成する。
【請求項2】
前記X1~X5のうちの3つは窒素原子である、請求項1に記載の電解液添加剤。
【請求項3】
前記Aは下記化学式2-1または2-2で表される置換基である、請求項1に記載の電解液添加剤:
【化3】
。
【請求項4】
前記L1は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
前記L2およびL3は全て単結合である、請求項1に記載の電解液添加剤。
【請求項5】
前記化学式1は、下記化学式1-1または化学式1-2で表される、請求項1に記載の電解液添加剤:
【化4】
上記化学式1-1および1-2中、
Xはハロゲン原子であり;
前記L
1は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【請求項6】
前記Xはフッ素原子である、請求項1に記載の電解液添加剤。
【請求項7】
前記化学式1は、下記化学式1-1-1または化学式1-2-1で表される、請求項1に記載の電解液添加剤:
【化5】
。
【請求項8】
非水性有機溶媒、リチウム塩、および請求項1に記載の電解液添加剤を含む、リチウム二次電池用電解液。
【請求項9】
前記電解液添加剤は、リチウム二次電池用電解液の全体100重量部に対して0.1~10重量部で含まれている、請求項8に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項10】
前記非水性有機溶媒は、カーボネート系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、または非プロトン性溶媒を含む、請求項8に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項11】
前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジメチルカーボネート(DMC)を含むカーボネート系溶媒である、請求項10に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項12】
前記リチウム塩は、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide):LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiPO2F2、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(ここで、xおよびyは1~20の整数である)、LiCl、LiI、LiB(C2O4)2(リチウムビス(オキサラート)ボレート(lithium bis(oxalato) borate):LiBOB)、LiDFOB(リチウムジフルオロ(オキサラート)ボレート)、およびLi[PF2(C2O4)2](リチウムジフルオロ(ビスオキサラート)ホスフェート(lithium difluoro(bis oxalato)phosphate)からなる群より選択される一つまたは二つ以上を含む、請求項8に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項13】
前記リチウム塩の濃度は0.1M~2.0Mである、請求項12に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項14】
正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;および
請求項8~13のうちのいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電解液
を含むリチウム二次電池。
【請求項15】
前記正極活物質はニッケル系正極活物質を含む、請求項14に記載のリチウム二次電池。
【請求項16】
前記正極活物質は、LixNiyMn(1-y)O2(ここで、0.5≦x≦1.8、0<y<1)で表される化合物を含む、請求項15に記載のリチウム二次電池。
【請求項17】
負極活物質は、黒鉛、シリコン、またはこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、電解液添加剤、これを含むリチウム二次電池用電解液、およびリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は再充電が可能であり、従来の鉛蓄電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などと比較して単位重量当りエネルギー密度が3倍以上高く高速充電が可能であるため、ノートパソコンや携帯電話機、電動工具、電気自転車用に商品化されており、追加的なエネルギー密度向上のための研究開発が活発に行われている。
【0003】
このようなリチウム二次電池は、リチウムをインターカレーション(intercalation)およびデインターカレーション(deintercalation)することができる正極活物質を含む正極と、リチウムをインターカレーションおよびデインターカレーションすることができる負極活物質を含む負極を含む電池セルに電解質を注入して使用される。
【0004】
前記電解液は負極と正極の間でリチウムイオンを移動させる媒質役割を果たし、一般にリチウム塩が溶解された有機溶媒が使用されており、このような電解液はリチウム二次電池の安定性および性能を決定することに重要である。
【0005】
前記電解液は例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどの高誘電性環状カーボネートとジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどの線状カーボネートの混合溶媒に、LiPF6、LiBF4、LiFSIなどのリチウム塩を添加したものが汎用されている。多様な分野の電池開発が活性化されるにつれて広い温度領域で安定性が確保された電池の開発が重要視されており、電解液の側面からも常温寿命特性を向上させながらも、高温保管時の抵抗増加を抑制することができる有機溶媒と添加剤との最適な組み合わせの開発が重要視されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、リチウム二次電池の常温寿命特性を向上させながらも高温保管時の抵抗増加を抑制する、電解液添加剤を提供する。
【0007】
他の一実施形態は、前記添加剤を含むリチウム二次電池用電解液を提供する。
【0008】
また他の一実施形態は、前記電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態は、下記化学式1で表される電解液添加剤を提供する:
【化1】
上記化学式1中、
Xはハロゲン原子であり;
L
1~L
3はそれぞれ単結合、*-O-*、*-C(=O)O-*、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基であり;
Aは下記化学式2で表される置換基であり;
【化2】
X
1~X
5はそれぞれ窒素原子またはCRであり;
前記X
1~X
5のうちの少なくとも2つは窒素原子であり;
前記Rはそれぞれ水素原子であるか、または隣接する2以上のRが互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~10の芳香族環を形成する。
前記X
1~X
5のうちの3つは窒素原子であってもよい。
【0010】
前記Aは下記化学式2-1または2-2で表される置換基であってもよい:
【化3】
。
前記L
1は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、前記L
2およびL
3は全て単結合であってもよい。
【0011】
前記化学式1は、下記化学式1-1または化学式1-2で表すことができる:
【化4】
上記化学式1-1および1-2中、
Xはハロゲン原子であり;
前記L
1は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
前記Xはフッ素原子であってもよい。
【0012】
前記化学式1は、下記化学式1-1-1または化学式1-2-1で表すことができる:
【化5】
。
【0013】
他の一実施形態は、非水性有機溶媒、リチウム塩、および前述の一実施形態による電解液添加剤を含むリチウム二次電池用電解液を提供する。
【0014】
前記電解液添加剤は、リチウム二次電池用電解液の全体100重量部に対して0.1~10重量部で含まれてもよい。
【0015】
前記非水性有機溶媒は、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を含むことができる。
【0016】
前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジメチルカーボネート(DMC)を含むカーボネート系溶媒であってもよい。
【0017】
前記リチウム塩は、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide):LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiPO2F2、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(ここで、xおよびyは1~20の整数である)、LiCl、LiI、LiB(C2O4)2(リチウムビス(オキサラート)ボレート(lithium bis(oxalato) borate):LiBOB)、LiDFOB(リチウムジフルオロ(オキサラート)ボレート)、およびLi[PF2(C2O4)2](リチウムジフルオロ(ビスオキサラート)ホスフェート(lithium difluoro(bis oxalato)phosphate)からなる群より選択される一つまたは二つ以上を含むことができる。
【0018】
前記リチウム塩の濃度は0.1M~2.0Mであってもよい。
【0019】
また他の一実施形態は、正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;および前述の他の一実施形態によるリチウム二次電池用電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
【0020】
前記正極活物質はニッケル系正極活物質を含むことができる。
【0021】
前記正極活物質は、LixNiyMn(1-y)O2(ここで、0.5≦x≦1.8、0<y<1)で表される化合物を含むことができる。
【0022】
負極活物質は、黒鉛、シリコン、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
一実施形態の電解液添加剤は、電解液に含まれて、リチウム二次電池の常温寿命特性を向上させながらも高温保管時の抵抗増加を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。
【
図2】本発明の一評価例の負極ハーフセルに対するCV特性評価結果を示したグラフである。
【
図3】本発明の一評価例の負極ハーフセルに対するCV特性評価結果を示したグラフである。
【
図4】本発明の一評価例の正極ハーフセルに対するCV特性評価結果を示したグラフである。
【
図5】本発明の一評価例の正極ハーフセルに対するCV特性評価結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲によってのみ定義される。
【0026】
本明細書で“置換”とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換の炭素数1~40のシリル基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~10のフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。
【0027】
本発明の一例で、“置換”は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数1~10のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、“置換”は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~10のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、“置換”は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数1~5のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、“置換”は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、シアノ基、ハロゲン基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビペニル基、テルフェニル基、トリフルオロメチル基またはナフチル基で置換されたことを意味する。
【0028】
また、本明細書で別途の定義がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0029】
リチウム二次電池は使用する分離膜と電解液の種類によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、およびリチウムポリマー電池などに分類することができ、形態によって円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類することができ、サイズによってバルクタイプと薄膜タイプに分けることができる。これら電池の構造と製造方法はこの分野に広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0030】
ここではリチウム二次電池の一例として円筒形リチウム二次電池を例示的に説明する。
図1は、一実施形態によるリチウム二次電池の構造を概略的に示したものである。
図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、正極114、正極114と対向して位置する負極112、正極114と負極112の間に配置されているセパレータ113および正極114、負極112およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)を含む電池セルと、前記電池セルが入っている電池容器120および前記電池容器120を密封する封入部材140を含む。
【0031】
(電解液添加剤)
以下、一実施形態による電解液添加剤について説明する。
【0032】
リチウム二次電池は初期充放電時に非水電解液が分解されながら、正極および負極表面に不動態能力を有する被膜が形成されて高温保存特性を向上させることができる反面、前記被膜はリチウムイオン電池に広く使用されるリチウム塩(LiPF6など)の熱分解で生成されるHF-とPF5
-などの酸によって劣化することがある。このような酸の攻撃によって正極では遷移金属元素の溶出が発生しながら表面の構造の変化で電極の表面抵抗が増加し、レドックスセンターである金属元素が消失しながら理論容量が減少するので、発現容量が減少することがある。また、このように溶出した遷移金属イオンは強い還元電位帯域で反応する負極に電着されて、電子を消耗するだけでなく、電着される時に被膜を破壊して、負極表面を露出させるため、追加的な電解液分解反応を引き起こす。その結果、負極の抵抗が増加し、不可逆容量が増加しながら、セルの容量が持続的に低下する問題が存在する。
【0033】
反面、一実施形態の電解液添加剤は、前記の問題を解決することができる。具体的に、本発明の一実施形態による添加剤は下記化学式1で表される。
【0034】
【化6】
上記化学式1中、
Xはハロゲン原子であり;
L
1~L
3はそれぞれ独立して、単結合、*-O-*、*-C(=O)O-*、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニレン基であり;
Aは下記化学式2で表される置換基であり;
【化7】
X
1~X
5はそれぞれ窒素原子またはCRであり;
前記X
1~X
5のうちの少なくとも2つは窒素原子であり;
前記Rはそれぞれ水素原子であるか、または隣接する2以上のRが互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~10の芳香族環を形成する。
【0035】
前記ハロゲン原子(X)で置換されたスルホニル(sulfonyl)基は、リチウム塩をベースとするSEI(Solid Electrolyte Interphase)を負極または正極表面に形成することによって、正極と電解質の界面抵抗を低め、負極または正極表面でのリチウムイオン移動を加速化し、負極または正極活物質の分解を抑制することができる。特に、後述の評価例に示されるように、添加剤が正極表面に保護膜を形成する溶媒より優先的に酸化されて、表面にリチウム塩を基ベースとするSEIを形成して不動態化することができる。
【0036】
また、前記化学式2で表される置換基に含まれている2以上の窒素原子は非共有電子対を提供し、PF5
-をキャプチャーしてLiPF6塩を安定化させることによって、リチウム塩の分解によって引き起こされる酸を除去することができる。
【0037】
一方、前記L1~L3は前記ハロゲン原子(X)で置換されたスルホニル(sulfonyl)基および前記化学式2で表される置換基を直接結合させるか連結基によって連結させる。
【0038】
したがって、前記化学式1で表される電解液添加剤は、前記ハロゲン原子(X)で置換されたスルホニル(sulfonyl)基および前記化学式2で表される置換基が、直接結合されるか連結基(L1、L2、L3、またはこれらの組み合わせ)によって連結された構造として、前述の問題を解決し、リチウム二次電池の常温寿命特性を向上させながらも高温保管時の抵抗増加を抑制することができる。
【0039】
以下、前記化学式1で表される電解液添加剤をさらに詳しく説明する。
【0040】
前記ハロゲン原子(X)で置換されたスルホニル(sulfonyl)基において、前記ハロゲン原子(X)は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、ブロム原子(Br)、またはヨード原子(I)であってもよい。具体的に、前記ハロゲン原子(X)は、フッ素原子(F)または塩素原子(Cl)であってもよい。例えば、前記ハロゲン原子(X)はフッ素原子(F)であってもよい。
【0041】
前記Aは、3つの窒素原子を含む五角形の芳香族環またはその誘導体であってもよい。具体的に、前記化学式2で表される置換基であってもよく、前記X
1~X
5のうちの3つは窒素原子であってもよい。例えば、前記Aは、下記化学式2-1または2-2で表される置換基であってもよい:
【化8】
【0042】
前記L1は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、前記L2およびL3は全て単結合であってもよい。具体的に、前記L1は、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキレン基であってもよい。より具体的に、置換もしくは非置換の炭素数1~3のアルキレン基であってもよい。例えば、前記L1は、非置換の炭素数2のアルキレン基(*-CH2CH2-*)であってもよい。
【0043】
前記化学式1は、下記化学式1-1または化学式1-2で表すことができる:
【化9】
上記化学式1-1および1-2中、Xはハロゲン原子であり;前記L
1は置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0044】
前記化学式1の代表的な例は下記の通りである:
【化10】
。
【0045】
(電解液)
本発明の他の一実施形態によるリチウム二次電池用電解液は、非水性有機溶媒、リチウム塩、および前述の電解液添加剤を含む。
【0046】
前記添加剤は、リチウム二次電池用電解液の全体100重量部に対して0.1~10重量部で含まれてもよい。
【0047】
具体的に、前記添加剤は、リチウム二次電池用電解液の全体100重量部に対して0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、または0.5重量部以上でありながら;10重量部以下、5.0重量部以下、3.0重量部以下、または0.5~1.0重量部で含まれてもよい。
【0048】
添加剤の含量範囲が前記のような場合、高温での抵抗増加が防止されて寿命特性および出力特性が改善されたリチウム二次電池を実現することができる。
【0049】
前記リチウム二次電池用電解液は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、アジポニトリル(AN)、スクシノニトリル(SN)、1,3,6-ヘキサントリシアニド(HTCN)、プロペンスルトン(PST)、プロパンスルトン(PS)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)、リチウムジフルオロホスフェート(LiPO2F2)、および2-フルオロビペニル(2-FBP)のうちの少なくとも1種のその他の添加剤をさらに含むことができる。
【0050】
前記その他の添加剤をさらに含むことによって、寿命がさらに向上することができ、あるいは高温保存時に正極と負極から発生するガスを効果的に制御することができる。
【0051】
前記その他の添加剤は前記リチウム二次電池用電解液の全体100重量部に対して0.2~20重量部の含量で含まれてもよく、具体的に0.2~15重量部、例えば0.2~10重量部で含まれてもよい。
【0052】
その他の添加剤の含量が前記のような場合、被膜抵抗増加を最少化して電池性能向上に寄与できる。
【0053】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たす。
【0054】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、または非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0055】
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。また、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また、前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非プロトン性溶媒としてはR1-CN(R1は炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0056】
前記非水性有機溶媒は単独で、または一つ以上混合して使用することができ、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は目的とする電池性能によって適切に調節することができ、これは当該分野に従事する者には広く理解される。
【0057】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することが良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとは1:9~9:1の体積比で混合して使用するとき、電解液の性能が優れるようになり得る。
【0058】
特に、本発明の一実施形態では、前記非水性有機溶媒は前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートとが2:8~5:5の体積比で含まれたものであってもよく、具体的に、前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートとは2:8~4:6の体積比で含まれたものであってもよい。
【0059】
より具体的に、前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートとは2:8~3:7の体積比で含まれたものであってもよい。
【0060】
例えば、前記非水性有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジメチルカーボネート(DMC)を2:4:4の体積比で含むカーボネート系溶媒であってもよい。
【0061】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒とは1:1~30:1の体積比で混合できる。
【0062】
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、下記化学式4の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【化11】
上記化学式4中、R
3~R
8は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0063】
前記芳香族炭化水素系溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0064】
前記リチウム塩は非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、Li(FSO2)2N(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide:LiFSI)、LiC4F9SO3、LiClO4、LiAlO2、LiAlCl4、LiPO2F2、LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(ここで、xおよびyは1~20の整数である)、LiCl、LiI、LiB(C2O4)2(リチウムビス(オキサラート)ボレート(lithium bis(oxalato)borate:LiBOB)、LiDFOB(リチウムジフルオロ(オキサラート)ボレート)、およびLi[PF2(C2O4)2](リチウムジフルオロ(ビスオキサラート)ホスフェート(lithium difluoro(bis oxalato)phosphate)からなる群より選択される一つまたは二つ以上が挙げられる。リチウム塩の濃度は0.1M~2.0M範囲内で使用することがよい。具体的に、リチウム塩の濃度は0.1M以上、0.5M以上、1.0M以上、または1.15M以上でありながら;2.0M以下、1.8M以下、1.5M以下、または1.3M以下にすることができる。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0065】
(リチウム二次電池)
本発明のまた他の一実施形態は、正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;および前述の電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
【0066】
前記正極は、正極集電体および前記正極集電体上に位置する正極活物質層を含み、前記正極活物質層は正極活物質を含む。
【0067】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションの可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。
【0068】
具体的に、前記正極活物質としては、コバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの少なくとも1種を使用することができる。このような正極活物質は、下記化学式5で表されるリチウム複合酸化物のうちの1種以上であってもよい。
[化学式5]
LixM1
yM2
zM3
1-y-zO2±aXa
上記化学式5中、
0.5≦x≦1.8、0≦a≦0.1、0<y≦1、0≦z≦1、0<y+z≦1、M1、M2およびM3はそれぞれ独立して、Ni、Co、Mn、Al、B、Ba、Ca、Ce、Cr、Fe、Mo、Nb、Si、Sr、Mg、Ti、V、W、ZrまたはLaなどの金属およびこれらの組み合わせから選択される1種以上の元素を含み、XはF、S、PまたはClより選択される1種以上の元素を含む。
【0069】
前記化学式5に該当する正極活物質は、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiaMnbCocO2(a+b+c=1)、LiNiaMnbCocAldO2(a+b+c+d=1)およびLiNieCofAlgO2(e+f+g=1)からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
【0070】
もちろん、前記複合酸化物の金属の一部が他の金属以外の金属で置換されたものを使用することもでき、前記複合酸化物のリン酸化合物、例えばLiFePO4、LiCoPO4、およびLiMnPO4からなる群より選択される少なくとも1種であってもよく、前記複合酸化物の表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または前記複合酸化物とコーティング層を有する複合酸化物を混合して使用することもできる。このコーティング層は、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、およびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも一つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコーティング層を成す化合物は非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としてはMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができればいかなるコーティング方法を使用してもよく、これについては当該分野に従事する者によく理解される内容であるので、詳しい説明は省略する。
【0071】
より具体的に、前記正極活物質としては、ニッケルを必ず含むニッケル系正極活物質を使用することができる。この場合、前記化学式5中、M1はNiであってもよい。例えば、前記LiNibMncCodO2(b+c+d=1)、LiNibMncCodAleO2(b+c+d+e=1)、およびLiNibCodAleO2(b+d+e=1)より選択される正極活物質はハイニッケル(high Ni)系正極活物質であってもよい。前記LiNibMncCodO2(b+c+d=1)およびLiNibMncCodAleO2(b+c+d+e=1)の場合、ニッケルの含量は60%以上(b≧0.6)、または80%以上(b≧0.8)であってもよい。前記LiNibCodAleO2(b+d+e=1)の場合、ニッケルの含量は60%以上(b≧0.6)であって、さらに具体的に80%以上(b≧0.8)であってもよい。
【0072】
一方、前記正極活物質としては、ニッケルを必ず含みながら、コバルトは含まない、ニッケル系コバルトフリー(Co-free)正極活物質を使用することができる。この場合、前記化学式5は下記化学式5-1で表すことができる:
[化学式5-1]
LixNiyMn(1-y)O2
0.5≦x≦1.8、0<y<1であってもよい。
【0073】
前記正極活物質の含量は、正極組成物の全体重量に対して90重量%~98重量%であってもよい。
【0074】
前記導電材およびバインダーの含量は、正極組成物の全体重量に対してそれぞれ1重量%~5重量%であってもよい。
【0075】
前記導電材は正極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0076】
前記バインダーは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としてはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0077】
前記正極集電体としてはAlを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0078】
前記負極は、負極集電体およびこの負極集電体の上に形成される負極活物質を含む負極活物質層を含む。
【0079】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0080】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質として、リチウム二次電池で一般に使用される炭素系負極活物質はいずれのものも使用することができ、その代表的な例としては結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛などの黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としてはソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0081】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Al、およびSnからなる群より選択される金属の合金を使用することができる。
【0082】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としてはSi、Si-C複合体、SiOx(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、Siを除いた14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素)、Sn、SnO2、Sn-R11(前記R11はアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、Siを除いた14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiO2を混合して使用することもできる。
【0083】
前記元素QおよびR11としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0084】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物またはリチウムチタニウム酸化物などが挙げられる。
【0085】
具体的な一実施形態で、前記負極活物質は、黒鉛、シリコン、またはこれらの組み合わせを含むことができる。より具体的に、黒鉛およびSi複合体のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0086】
前記Si複合体はSi系粒子を含むコアおよび非晶質炭素コーティング層を含み、例えば前記Si系粒子はSi粒子、Si-C複合体、SiOx(0<x≦2)およびSi alloyのうちの1種以上を含むことができる。
【0087】
一例として、前記Si複合体は前記Si系粒子を含むコアの中心部に空隙を含み、前記中心部の半径は前記負極活物質の半径の30%~50%に該当し、前記Si系粒子の平均粒径は10nm~200nmであってもよい。
【0088】
本明細書で、平均粒径は、累積分布曲線(cumulative size-distribution curve)で体積比として50%での粒子大きさ(D50)であってもよい。
【0089】
前記Si系粒子の平均粒径が前記範囲に含まれる場合、充放電時に発生する体積膨張を抑制することができ、充放電時粒子破砕による伝導性経路(conductive path)の断絶を防止することができる。
【0090】
前記Si系粒子を含むコアは非晶質炭素を追加的に含み、この時、前記中心部は非晶質炭素を含まず、非晶質炭素は負極活物質の表面部にのみ存在することになる。
【0091】
この時、表面部とは、中心部の最表面から負極活物質の最表面までの領域を意味する。
【0092】
また、Si系粒子は負極活物質に全体的に実質的に均一に含まれるものであって、即ち、中心部と表面部に実質的に均一な濃度で存在することになる。
【0093】
前記非晶質炭素は、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0094】
例えば、前記Si-C複合体は、Si粒子、そして結晶質炭素を含むことができる。
【0095】
前記Si粒子は、前記Si-C複合体の全体重量に対して1~60重量%で含まれてもよく、例えば3~60重量%で含まれてもよい。
【0096】
前記結晶質炭素は例えば黒鉛であってもよく、具体的には天然黒鉛、人造黒鉛、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0097】
前記結晶質炭素の平均粒径は5μm~30μmであってもよい。
【0098】
前記負極活物質が黒鉛およびSi複合体を共に含む場合、前記黒鉛およびSi複合体は混合物の形態で含まれてもよく、この場合、前記黒鉛およびSi複合体は99:1~50:50の重量比で含まれてもよい。
【0099】
さらに具体的には、前記黒鉛およびSi複合体は97:3~80:20、95:5~80:20の重量比で含まれてもよい。
【0100】
前記非晶質炭素前駆体としては、石炭系ピッチ、メソフェーズピッチ、石油系ピッチ、石炭系オイル、石油系重質油またはフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子樹脂を使用することができる。
【0101】
前記負極活物質層で、負極活物質の含量は負極活物質層全体重量に対して95重量%~99重量%であってもよい。
【0102】
本発明の一実施形態において、前記負極活物質層はバインダーを含み、選択的に導電材をさらに含んでもよい。前記負極活物質層で、バインダーの含量は負極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。また導電材をさらに含む場合には負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、導電材を1重量%~5重量%使用することができる。
【0103】
前記バインダーは負極活物質粒子を互いによく付着させ、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては非水溶性バインダー、水溶性バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0104】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0105】
前記水溶性バインダーとしては、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーが挙げられる。前記ゴム系バインダーはスチレンブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。前記高分子樹脂バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。
【0106】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与することができるセルロース系列化合物を増粘剤としてさらに含むことができる。このセルロース系列化合物としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としてはNa、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤使用含量は負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であってもよい。
【0107】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさない電子伝導性材料であればいずれのものも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0108】
前記負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0109】
リチウム二次電池の種類によって正極と負極の間にセパレータが存在することもある。このようなセパレータは、多孔性基材であるか;または複合多孔性基材であってもよい。
【0110】
多孔性基材は空隙を含む基材であって、前記空隙を通じてリチウムイオンが移動できる。前記多孔性基材は例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどの混合多層膜を使用することができるのはもちろんである。
【0111】
前記複合多孔性基材は、多孔性基材および前記多孔性基材上に位置する機能層を含む形態であってもよい。前記機能層は追加的な機能付加が可能になる観点から、例えば耐熱層、および接着層のうちの少なくとも一つであってもよく、例えば前記耐熱層は耐熱性樹脂および選択的にフィラーを含むことができる。
【0112】
また、前記接着層は、接着性樹脂および選択的にフィラーを含むことができる。
【0113】
前記フィラーは、有機フィラーであっても無機フィラーであってもよい。
【0114】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の一実施形態に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例0115】
(合成例:添加剤の合成)
下記公開された手続によって添加剤を製造した:J.Org.Chem.、Vol.44、No.22、1979]。適切なトリアゾールをジメチルホルムアミド(DMF)でエテンスルホニルフルオリド(ESF)と反応させた。
【0116】
合成例1:化学式1-1-1で表される化合物の合成
DMF(20mL)中のベンゾトリアゾール(5.96g、0.05mol)の溶液にDMF10mL中のESF(5.5g、0.05mol)の溶液を添加した。反応混合物を45℃で4時間攪拌した。60℃でロータリーエバポレーターによってDMFを除去し、トルエンを残留物に添加した。沈殿した生成物をろ過し、トルエンで洗浄し、真空で乾燥させて下記化学式1-1-1で表される化合物(2-(1H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イル)エタンスルホニルフルオライド)を得た。
【化12】
1H NMR(400MHz、CDCl3)4.17(m、2H)、5.17(t、2H)、7.44(1m、1H)、7.60(m、1H)、8.10(d、1H);19F NMR(376MHz、CDCl3)57.44。
【0117】
合成例2:化学式1-2-1で表される化合物の合成
DMF(25mL)中のトリアゾール(4.49g、0.065mol)の溶液にDMF10mL中のESF(7.72g、0.07mol)の溶液を添加した。反応混合物を室温で4時間攪拌した。60℃でロータリーエバポレーターによってDMFを除去しトルエンを残留物に添加した。沈殿した生成物をろ過し、トルエンで洗浄し、真空で乾燥させて下記化学式1-2-1で表される化合物(2-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)エタンスルホニルフルオライド)を得た。
【化13】
。
1H NMR(400MHz、CDCl3)4.01(m、2H)、4.73(t、2H)、8.01(s、1H)、8.19(s、1H);19F NMR(376MHz、CDCl3)57.83.
【0118】
比較合成例1:化学式Aで表される化合物の合成
前記化学式1-1-1で表される化合物(4.5g、0.02mol)と氷酢酸(30ml)を100℃、48時間反応させた。その後、反応混合物を真空で乾燥させ、残留物にアセトンを添加した。沈殿した生成物をろ過し、無水アセトンで洗浄し、真空で乾燥させて下記化学式Aで表される化合物を得た。
【化14】
【0119】
比較合成例2:化学式Bで表される化合物の合成
メチルエチルケトン(MEK)(50ml)中のベンゾトリアゾール(5.96g、0.05mol)の溶液にメチルビニルスルホン(5.3g、0.05mol)と重炭酸カリウムを添加して反応させた。反応混合物を24時間還流した後、ロータリーエバポレーターによってろ過溶媒を除去し、真空で乾燥させて下記化学式Bで表される化合物を得た。
【化15】
【0120】
(実施例:電解液の製造)
実施例1
下記のリチウム塩、非水性有機溶媒、および添加剤を混合して、実施例1の電解液を製造した。
リチウム塩:LiPF6 1.15M
非水性有機溶媒:エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート(EC:EMC:DMC=20:40:40の体積比)
添加剤:化学式1-1-1で表される化合物0.5重量部
(但し、前記電解液組成において“重量部”は添加剤を除いた電解液の全体(リチウム塩+非水性有機溶媒)100重量に対する添加剤の相対的な重量を意味する。)
そして、上記電解液を用いた実施例1として、リチウム二次電池セルを好適に作製した。
【0121】
実施例2
電解液添加剤として前記化学式1-1-1で表される化合物の代わりに前記化学式1-2-1で表される化合物を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施例2の電解液を製造した。
【0122】
また、前記実施例2の電解液を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施例2のリチウム二次電池を製作した。
【0123】
実施例3
電解液添加剤として前記化学式1-1-1で表される化合物を0.2重量部使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施例3の電解液を製造した。
【0124】
また、前記実施例3の電解液を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施例3のリチウム二次電池を製作した。
【0125】
実施例4
電解液添加剤として前記化学式1-1-1で表される化合物を1.0重量部使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施例4の電解液を製造した。
【0126】
また、前記実施例4の電解液を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施例4のリチウム二次電池を製作した。
【0127】
実施例5
電解液添加剤として前記化学式1-2-1で表される化合物を1.0重量部使用したことを除いては、前記実施例2と同様な方法で実施例5の電解液を製造した。
【0128】
また、前記実施例5の電解液を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で実施例5のリチウム二次電池を製作した。
【0129】
比較例1(Ref.)
添加剤を使用していないことを除いては、前記実施例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0130】
比較例2
電解液添加剤として前記化学式1-1-1で表される化合物の代わりに前記化学式Aで表される化合物を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で比較例2の電解液を製造した。
【0131】
また、前記比較例2の電解液を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で比較例2のリチウム二次電池を製作した。
【0132】
比較例3
電解液添加剤として前記化学式1-1-1で表される化合物の代わりに前記化学式Bで表される化合物を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で比較例3の電解液を製造した。
【0133】
また、前記比較例3の電解液を使用したことを除いては、前記実施例1と同様な方法で比較例3のリチウム二次電池を製作した。
【0134】
前記実施例1~8および比較例1~3による電解液添加剤組成を下記表1に示した。
【0135】
【0136】
参考として、上記表1で、リチウム塩のモル濃度(M)は電解液1Lを基準にして溶けているリチウム塩の量(モルの数)を意味し、非水性有機溶媒の体積比はEC:EMC:DMCの体積比を意味し、添加剤の重量部は添加剤を除いた電解液の全体(リチウム塩+非水性有機溶媒)100重量に対する添加剤の相対的な重量を意味する。
【0137】
(評価例:リチウム二次電池の評価)
評価1:常温寿命特性および高温保管前後の抵抗特性
(1)常温寿命特性
実施例1~5、および比較例1~3によるリチウム二次電池に対して、常温寿命特性を評価し、その結果を表2に示した。
【0138】
具体的に、25℃、0.33C充電(CC/CV、4.3V、0.025C Cut-off)/1.0C放電(CC、2.5V Cut-off)条件で150サイクルの間にリチウム二次電池を充放電した後、下記式1によって寿命(容量維持率)を計算した。
[式1]
容量維持率=(150cycle後容量/1cycle後容量)*100
【0139】
(2)高温保管前後の抵抗特性
実施例1~5、および比較例1~3によるリチウム二次電池に対して、高温保管前後の直流内部抵抗(DC-IR:Direct current internal resistance)特性を評価し、その結果を表2に示した。
【0140】
具体的に、リチウム二次電池に対して△V/△I(電圧の変化/電流の変化)値で初期直流抵抗(DC-IR)を測定した後、電池内部の最大エネルギー状態を満充電状態(SOC100%)にし、この状態で高温(60℃)で30日間保管した後、直流抵抗を測定して、DCIR増加率(%)を下記式2によって計算した。
[式2]
DC-IR増加率=(60℃で30日保管後DC-IR-初期DC-IR)/初期DC-IR*100
【0141】
【0142】
表2を参照すれば、一実施形態の電解液添加剤は、電解液に含まれて、リチウム二次電池の常温寿命特性を向上させながらも高温保管時の抵抗増加を抑制する。
【0143】
評価例2:循環電流特性
実施例1~2、および比較例1によるリチウム二次電池に対して、作動電極が負極である場合と正極である場合に対してそれぞれ、循環電流(cyclic voltammetry)特性を評価し、その結果を
図2および3に示した。
【0144】
(1)負極ハーフセル
負極活物質としてD50が5μmである人造黒鉛、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド、および導電材としてアセチレンブラックをそれぞれ96:2:2の重量比で混合して、N-メチルピロリドンに分散させて負極活物質スラリーを製造した。
【0145】
前記負極活物質スラリーを14μm厚さのAl箔の上にコーティングし、110℃で乾燥した後、圧延(press)して正極を製造した。
【0146】
対極(正極)として10μm厚さのLi箔を使用し、前記負極を使用しながら、厚さ25μmのポリエチレン材質のセパレータを組み立てて電極組立体を製造し、前記電解液を注入して、通常の方法でCR2032型コイン-ハーフセル形態のリチウム二次電池を製作した。
【0147】
印加電圧を3Vから0Vに至るまで変化させながら、0.1mV/sのスキャン速度で、リチウム二次電池の1~3サイクルを行った。これによって、循環電流(cyclic voltammetry)特性を評価し、その結果を
図2および3に示した。
【0148】
(2)正極ハーフセル
正極活物質としてD50が5μmであるLiNi0.8Mn0.2O2、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド、および導電材としてアセチレンブラックをそれぞれ96:2:2の重量比で混合して、N-メチルピロリドンに分散させて正極活物質スラリーを製造した。
【0149】
前記正極活物質スラリーを14μm厚さのAl箔の上にコーティングし、110℃で乾燥した後、圧延(press)して正極を製造した。
【0150】
対極(負極)として10μm厚さのLi箔を使用し、前記正極を使用しながら、25μmのポリエチレン材質のセパレータを組み立てて電極組立体を製造し、前記電解液を注入して、通常の方法でCR2032型コイン-ハーフセル形態のリチウム二次電池を製作した。
【0151】
印加電圧を3Vから4.5Vに至るまで変化させながら、0.1mV/sのスキャン速度で、リチウム二次電池の1~3サイクルを行った。これによって、循環電流(cyclic voltammetry)特性を評価し、その結果を
図4および5に示した。
【0152】
図2~5は、一実施形態による添加剤が負極または正極表面にSEIを形成して不動態化することができることを示す。
【0153】
特に、正極活物質としてニッケルを必ず含みながらコバルトは含まないニッケル系コバルトフリー(Co-free)正極活物質を使用する時、添加剤が正極表面に保護膜を形成する溶媒より優先的に酸化して、表面にリチウム塩を基ベースとするSEIを形成して不動態化することができる。
【0154】
総合的に、前記実施例1~5に代表される一実施形態の電解液添加剤は、前記ハロゲン原子(X)で置換されたスルホニル(sulfonyl)基および前記化学式2で表される置換基が直接結合されるか連結基(L1、L2、L3、またはこれらの組み合わせ)によって連結された構造を有し、前述の問題を解決し、リチウム二次電池の常温寿命特性を向上させながらも高温保管時抵抗増加を抑制する効果を奏する。
【0155】
以上を通じて本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。