(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083285
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】半導体製造化合物監視プロセス
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206212
(22)【出願日】2023-12-06
(31)【優先権主張番号】63/386,775
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パナギオタ・アルノー
(72)【発明者】
【氏名】トム・ファン・ケステレン
(72)【発明者】
【氏名】メメット・オーハン・タス
(72)【発明者】
【氏名】ギド・ファン・デア・シュタル
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA11
4K030AA12
4K030EA03
(57)【要約】
【課題】本開示の技術の様々な態様は概して、半導体処理に関し、とりわけ半導体製造プロセスによって消費された化学物質の量を監視することに関する。
【解決手段】半導体製造システムであって、化合物のための貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る前記化合物の流れを測定するための化学物質フローセンサと、前記半導体製造システム内の一つ以上の化合物の消費量を監視するように構成されたコントローラであって、前記化合物フローセンサから化合物の流れデータを受信するように、かつ前記半導体製造システムによって消費された化合物の量を前記データから決定するように構成されているコントローラと、を備える半導体製造システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造システムであって、
- 化合物のための貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る前記化合物の流れを測定するための化学物質フローセンサと、
- 前記半導体製造システム内の一つ以上の化合物の消費量を監視するように構成されたコントローラであって、前記化合物フローセンサから化合物の流れデータを受信するように、かつ前記半導体製造システムによって消費された化合物の量を前記データから決定するように構成されているコントローラと、を備える半導体製造システム。
【請求項2】
前記化合物フローセンサが、前記プロセスラインを通る化合物の流れをリアルタイムに監視および検出するために構成されている、請求項1に記載の半導体製造システム。
【請求項3】
前記システムが、前記プロセスライン上のプロセスラインバルブの開閉状態をリアルタイムに監視および検出するための少なくとも一つのセンサを備える、請求項2に記載の半導体製造システム。
【請求項4】
前記化合物フローセンサが、
・前記プロセスライン上の前記プロセスラインバルブの開閉状態を決定することと、
・前記プロセスラインバルブが開放状態を有する時間を測定することとによって、前記プロセスラインを通る化合物の流れを測定し、
前記プロセスラインバルブが開放状態を有する時間にわたって、前記プロセスラインを通る前記化合物の流量を積分することによって、前記化合物の消費量が計算される、請求項3に記載の半導体製造システム。
【請求項5】
前記プロセスラインを通る前記化合物の前記流量が、前記プロセスライン上に位置付けられたフローコントローラ(FC)(マスフローコントローラ(MFC)または液体フローコントローラ(LFC)など)によって設定される、請求項4に記載の半導体製造システム。
【請求項6】
前記コントローラが、
・前記半導体製造システムの総化合物消費量、および/または、
・前記半導体製造システムの部分的化合物消費量を決定するように構成されている、請求項5に記載の半導体製造システム。
【請求項7】
前記半導体製造システムの前記総化合物消費が、設定された閾値レベルを超えると、警告および/または警報を提供するように前記コントローラが構成されている、請求項6に記載の半導体製造システム。
【請求項8】
前記プロセスラインが、前記プロセスチャンバに向かうマニホールドバルブと、ベント出口に向かうマニホールドバルブとを備える、請求項1に記載の半導体製造システム。
【請求項9】
前記システムが、一つ以上のプロセスチャンバに接続された一つ以上の貯蔵容器を備える、請求項1に記載の半導体製造システム。
【請求項10】
前記化合物が前駆体である、請求項1に記載の半導体製造システム。
【請求項11】
前記前駆体が液体前駆体または固体前駆体である、請求項10に記載の半導体製造システム。
【請求項12】
前記前駆体が、金属または半金属を含む液体前駆体または固体前駆体である、請求項10に記載の半導体製造システム。
【請求項13】
前記金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属から選択される、請求項12に記載の半導体製造システム。
【請求項14】
前記液体前駆体または固体前駆体が一つ以上の配位子を含み、前記一つ以上の配位子が、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキン、カルボニル、ジエニル、βジケトネート、置換または非置換シクロジエニル、置換または非置換アリールから選択される、請求項11に記載の半導体製造システム。
【請求項15】
前記液体前駆体または固体前駆体がホモレプティックである、請求項11に記載の半導体製造システム。
【請求項16】
前記液体前駆体または固体前駆体がヘテロレプティックである、請求項11に記載の半導体製造システム。
【請求項17】
前記液体前駆体または固体前駆体が金属-炭素結合を含む、請求項11に記載の半導体製造システム。
【請求項18】
前記液体前駆体または固体前駆体がパイ錯体を含む、請求項11に記載の半導体製造システム。
【請求項19】
半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するための方法であって、
・前記化合物の貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る化合物の流れを測定する工程と、
・前記半導体製造プロセスによって消費された前記化合物の量を前記測定から決定する工程と、を含む方法。
【請求項20】
半導体製造プロセスにおける化合物の消費を監視するために一つ以上のコンピュータによって実施される方法であって、
- 貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る化合物の流れに関連するデータを受信する工程と、
- 前記半導体製造プロセスによって消費された前記化合物の量を前記データから決定する工程と、を含む方法。
【請求項21】
貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る前記化合物の流れに関連するデータを受信するように、かつ前記半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を前記データから決定するように構成されたコントローラを備える、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステム。
【請求項22】
コンピュータプログラムでコードされた一つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体であって、一つ以上のコンピュータによって実行される時に、貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る前記化合物の流れに関連するデータが入力として提供されると、半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を決定するための動作を前記一つ以上のコンピュータに実施させる命令を前記コンピュータプログラムが含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術の様々な態様は概して、半導体処理に関し、とりわけ半導体製造プロセスによって消費された化学物質の量を監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体および半導体製造プロセスのさらなる進歩に伴い、製造プロセス中のより優れた均一性およびプロセス制御に対するニーズがある。
【0003】
原子層堆積(ALD)、エピタキシー、プラズマ誘起化学気相成長法(PECVD)、プラズマ原子層堆積(PEALD)、酸化、硬化、拡散(アニーリング)、化学気相成長(CVD)などのプロセスの間、気体、液体、または固体の形態でありうる前駆体および他の化合物がワークピース上に堆積されるか、またはワークピースと接触する。これらの化合物は多くの場合、コンテナまたは貯蔵容器に貯蔵され、そこから反応チャンバ内のワークピースに搬送される。
【0004】
プロセスが実施されている間、化学成分の消耗に起因する製造欠陥を防止するために、消費された化学成分の実際の量を監視することが有利でありうる。実際の消費量を監視する能力は、プロセスの質を確保し、貯蔵容器変更の効率的なスケジューリングを可能にし、高価な化学の使用を最大化し、在庫管理を改善するので重要である。
【0005】
しばしば、反応チャンバ内で使用される化合物の正確な量は、その中の小さな偏差が実際の反応中に大きい質の差をもたらしうるため、厳密に監視される。しかしながら、反応チャンバの中に導入される化合物の量を正確に制御するために、しばしば化合物は、化合物の安定した流れが達成された後に、反応チャンバの中に導入される。実際に、化合物が保管容器から反応チャンバまたはプロセスチャンバに流れ始めると、プロファイルは三つの段階、すなわち(1)定常状態に達するまで化学物質の濃度を上昇させる、プロセスラインを通る化学物質の流れの開始に対応する着手または開始段階、(2)化学物質の流れが定常状態に達し、化学物質の濃度が一定のままになる時点に対応する持続段階、(3)化学物質の濃度がその定常状態から減少する時点に対応するリリース段階に分割されることができる。多くの場合、反応チャンバへの化合物の定常状態送達を理由に、半導体製造プロセス中、持続段階のみがプロセスチャンバに誘導される。他の段階の間、化学物質はしばしば、好ましくは化合物の回復を可能にするシステムに向かって排出される。排出の結果、半導体製造プロセスで使用される化合物の実際の量はしばしば、プロセスによって消費される化合物の実際の量と一致しないことになる。
【0006】
従って、半導体製造プロセス中に消費される化合物の量を監視するための改善された方法および装置に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の技術の様々な態様の第一の概要を本明細書に示し、その後、特定の実施形態についてより詳細に説明する。この概要は、技術概念をより迅速に理解する上で読者を助けることを意図しているものの、その最も重要なまたは不可欠な特徴を特定することも、特許請求の範囲によってのみ限定される本開示の範囲を限定することも意図していない。
【0008】
本開示の一態様は、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するための方法であって、
・前記化合物の貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る化合物の流れを測定する工程と、
・前記半導体製造プロセスによって消費された前記化合物の量を前記測定から決定する工程と、を含む方法である。
【0009】
より具体的に、本明細書に開示の通りの方法は、前記決定する工程が、経時的にプロセスラインを通る化合物の流れの前記測定に基づいて、前記化合物の消費量を計算することを含むことを提供する。
【0010】
より具体的に、本開示による方法は、前記測定工程が少なくとも、
・前記プロセスライン上のプロセスラインバルブの開閉状態を決定することと、
・前記プロセスラインバルブが開放状態を有する時間を測定することと、を含み、
前記半導体製造プロセスによって消費された化合物の前記量は、前記プロセスラインバルブが開放状態を有する時間にわたって、前記プロセスラインを通る前記化合物の流量を積分することによって計算される。
【0011】
より具体的に、本開示による方法は、前記プロセスラインを通る前記化合物の前記流量が、前記プロセスライン上に位置付けられたフローコントローラ(FC)(マスフローコントローラ(MFC)または液体フローコントローラ(LFC)など)によって設定されることを提供する。
【0012】
より具体的に、本開示による方法は、方法が、
・前記半導体製造プロセスの総化合物消費量、および/または、
・前記半導体製造プロセスのサブ工程の部分的化合物消費量を決定することを提供する。
【0013】
より具体的に、本開示による方法は、前記半導体製造プロセスの総化合物消費量が、設定された閾値レベルを超えると、警告および/または警報を提供する工程を方法がさらに含むことを提供する。
【0014】
より具体的に、本開示による方法は、化合物が前駆体であることを提供する。より具体的に、前記前駆体は液体前駆体または固体前駆体である。
【0015】
より具体的に、本開示による方法は、前記前駆体が金属または半金属を含む液体前駆体または固体前駆体であることを提供する。より具体的に、前記金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属から選択される。
【0016】
より具体的に、本開示による方法は、前記液体前駆体または固体前駆体が、一つ以上の配位子を含むことを提供し、一つ以上の配位子は、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキン、カルボニル、ジエニル、βジケトネート、置換または非置換シクロジエニル、置換または非置換アリールから選択される。
【0017】
より具体的に、本開示による方法は、前記液体前駆体または固体前駆体がホモレプティックまたはヘテロレプティックであることを提供する。
【0018】
より具体的に、本開示による方法は、前記液体前駆体または固体前駆体が金属-炭素結合を含むことを提供する。
【0019】
より具体的に、本開示による方法は、前記液体前駆体または固体前駆体がパイ錯体を含むことを提供する。
【0020】
さらなる一態様において、本開示は、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するために一つ以上のコンピュータによって実施される方法であって、
・貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る化合物の流れに関連するデータを受信する工程と、
・前記半導体製造プロセスによって消費された前記化合物の量を前記データから決定する工程と、を含む方法を提供する。
【0021】
本開示の別の態様は、本明細書に開示の通りの方法を実施するように構成されたコントローラを備える半導体製造システムに関する。
【0022】
本開示の別の態様は、
・プロセスラインを通る化合物の流れのリアルタイム監視および検出のために構成された少なくとも一つの化合物流れセンサと、
・化合物流れセンサから化合物の流れデータを受信するように、かつ前記半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を前記データから決定するように構成されたコントローラと、を備える半導体製造システムに関する。
【0023】
本開示の別の態様は、貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る化合物の流れに関連するデータを受信するように、かつ半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を前記データから決定するように構成されたコントローラを備える、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステムに関する。
【0024】
より具体的に、本開示による半導体製造システム、または半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステムは、プロセスラインを通る化合物の流れのリアルタイム監視および検出のための少なくとも一つのセンサをシステムが備えることを提供する。より具体的に、前記システムは、前記プロセスライン上のプロセスラインバルブの開閉状態をリアルタイムで監視および検出するための少なくとも一つのセンサを備える。
【0025】
より具体的に、本開示による半導体製造システム、または半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのまたはシステムは、前記プロセスチャンバに向かうマニホールドバルブおよびベント出口に向かうマニホールドバルブをプロセスラインが備えることを提供する。
【0026】
より具体的に、本開示による半導体製造システム、または半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステムは、システムが一つ以上のプロセスチャンバに接続された一つ以上の貯蔵容器を備えることを提供する。
【0027】
より具体的に、本開示による半導体製造システム、または半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステムは、化合物が前駆体であることを提供する。
【0028】
本開示の別の態様は、コンピュータプログラムでコードされた一つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に関し、コンピュータプログラムは、一つ以上のコンピュータによって実行される時に、貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る前記化合物の流れに関連するデータが入力として提供されると、半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を決定するための動作を一つ以上のコンピュータに実施させる命令を含む。
【0029】
本開示の別の態様は、コントローラ上で実行される時に、前記プロセスラインを通る化合物の流れの測定からのデータが入力として提供されると、本明細書に開示の通りの半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するための方法を実装するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図の以下の説明は、本開示の特定の実施形態に関し、それら実施形態は本質的に単に例示的であり、本教示、それらの適用または使用を限定することを意図していない。
【0031】
【
図1】
図1は、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量が監視される、プロセスチャンバに接続された化合物の貯蔵容器を概略的に示す。
【
図2】
図2は、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量が監視される、プロセスチャンバに接続された化合物の多数の貯蔵容器を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の詳細な説明において、本開示の基礎となる技術は、その異なる態様によって説明される。本開示の態様は、本明細書に概して記載の通り、および図に示される通り、多種多様な異なる構成で配置、置換、結合、および設計されることができ、それらすべては明確に企図されていて、本開示の一部を成すことが容易に理解されよう。本説明は、技術概念をより容易に理解する上で読者を助けることを意図しているものの、特許請求の範囲によってのみ限定される本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0033】
本明細書全体を通して、「一つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」の参照は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体の様々な個所での「一つの実施形態において(in one embodiment)」または「一実施形態において(in an embodiment)」という句の使用は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。
【0034】
本明細書で使用される「備えること(comprising)」、「備える(comprises)」、および「からなる(comprised of)」という用語は、「含むこと(including)」、「含む(includes)」、または「含むこと(containing)」、「含む(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加的な、列挙されていない部材、要素または方法工程を除外しない。「含むこと(comprising)」、「含む(comprises)」、および「からなる(comprised of)」という用語は、列挙された部材、要素、または方法工程を指す場合、前述の列挙された部材、要素、または方法工程「からなる(consist of)」実施形態も含む。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈による別途明確な指示がない限り、単数形の参照対象と複数形の参照対象の両方を含む。
【0035】
本明細書で使用される「左」、「右」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「上に」、「下に」などの相対的な用語は、説明目的で使用され、必ずしも永久的な相対的位置を記述するためではない。そのような用語は適切な状況下で互換性があることと、本明細書に記載の通りの実施形態は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、本明細書に図示または記載されたもの以外の向きで動作可能であることとが理解されるべきである。
【0036】
本明細書において互いに「隣接」していると記述される物体は、記述される物体間の機能的関係を反映する。すなわち、この用語は、記述される物体が、その句が使用される文脈に適切な場合に、指定された機能を実施するように隣接している必要があることを示し、これは直接の(すなわち、物理的な)接触または間接的な(すなわち、すぐそばまたは近くでの)接触でありうる。
【0037】
本明細書において「接続され」または「結合され」ていると記述される物体は、記述される物体間の機能的関係を反映する。すなわち、この用語は、記述される物体が、その用語が使用される文脈に適切な場合に、指定された機能を実施するように接続されている必要があることを示し、これは電気的または非電気的(すなわち、物理的)な様式での直接のまたは間接的な接続でありうる。
【0038】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、働き、特徴、特性、状態、構造、品目、または結果の完全なまたはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれている物体は、物体が完全に囲まれているか、またはほぼ完全に囲まれていることを意味することになる。絶対的な完全性からの逸脱の正確な許容可能な程度は一部の場合において、特定の状況に依存しうる。しかしながら、一般的に言えば、完全さに近いことは、絶対的かつ全面的な完全さが得られた場合と同じ全体的な結果を有するようになる。「実質的に」の使用は、働き、特徴、特性、状態、構造、品目、または結果の完全またはほぼ完全な欠如を指すように否定的な意味で使用される場合、等しく適用可能である。
【0039】
本明細書で使用される「約」という用語は、特定の文脈に応じて、所与の値が、その値または端点を「わずかに上回る」または「わずかに下回る」可能性があることを規定することによって、数値または範囲端点に柔軟性を提供するために使用される。別段の記載がない限り、特定の数または数値範囲に従った「約」という用語の使用はまた、「約」という用語なしのそのような数値用語または数値範囲を裏付けるものと理解されるべきである。例えば、「約30」の詳述は、30をわずかに上回る値およびわずかに下回る値を裏付けるものとしてだけでなく、実際の数値30も同様に裏付けるものとして解釈されるべきである。
【0040】
端点による数値範囲の詳述は、それぞれの範囲内に包含されるすべての数および分数だけでなく、詳述された端点を含む。さらに、本説明および特許請求の範囲における第一、第二、第三などの用語は、指定のない限り、類似要素間を区別するために使用され、必ずしも順序または時系列を記述するために使用されない。そのように使用される用語は適切な状況下で互換性があることと、本明細書に記載の開示の実施形態は、本明細書に記載または図示される以外の順序で動作可能であることとが理解されるべきである。
【0041】
本明細書における参照は、性能を「改善」(例えば、文脈に応じて、結果を増加または減少)する装置、構造、システム、または方法に対してなされてもよい。別段の記載がない限り、こうした「改善」は、先行技術における装置、構造、システム、または方法との比較に基づいて得られる利益の測定基準であることが理解されるべきである。さらに、性能の改善の程度は、開示された実施形態間で変動する場合があることと、性能の改善の量、程度、または実現における均等性または一貫性は、普遍的に適用可能であると想定されるべきではないこととが理解されるべきである。
【0042】
さらに、本開示の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、および電子部品またはモジュールを含んでもよく、これは考察の目的で、コンポーネントの大部分がハードウェアにのみ実装されているかのように図示および説明されてもよい。しかしながら、当業者であれば、この詳細な説明を読むことによって、少なくとも一つの実施形態において、本開示の電子ベースの態様が、マイクロプロセッサおよび/または特定用途向け集積回路などの一つ以上の処理装置によって実行可能なソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体上に格納された命令)内に実装されうることを認識するであろう。そのため、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースの装置、ならびに複数の異なる構造構成要素を利用して、本開示の技術を実装しうることに留意すべきである。例えば、本明細書に記載の「サーバー」および「コンピューティング装置」は、一つ以上の処理装置と、一つ以上のコンピュータ可読媒体モジュールと、一つ以上の入出力インターフェースと、構成要素を接続する様々な接続とを含むことができる。
【0043】
本開示の技術の様々な態様の概要を本明細書で以下に示し、その後、特定の実施形態についてより詳細に説明する。この概要は、技術概念をより迅速に理解する上で読者を助けることを意図しているものの、その最も重要なまたは不可欠な特徴を特定することも、特許請求の範囲によってのみ限定される本開示の範囲を限定することも意図していない。特定の実施形態を説明する際に、添付図面を参照するが、これは、記載の実施形態の理解を助けるためにのみ提供される。
【0044】
本明細書には、半導体製造プロセスで使用される化合物の実際の消費量を決定するための方法およびシステムが開示されている。典型的に、半導体製造プロセスで使用される化合物の実際の消費量は、半導体製造プロセスの反応チャンバに導入される化合物の量と一致しない。多くの場合、かなりの量の化合物が、例えば化合物の排出などの副次的なプロセスによって失われる。加えて、半導体製造プロセスによって消費されるすべての化合物が、半導体製造プロセスの反応チャンバに実際に導入されるわけではない(例えば、プロセスラインを洗浄するために使用される化合物)。これらの化合物の消費量を追跡することも重要である。本明細書に開示の通りの方法およびシステムは、半導体製造プロセス全体によって使用される化合物の実際の消費量の測定および決定を提供する。
【0045】
本開示の一態様は、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するための方法であって、
・前記化合物の貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る化合物の流れを測定する工程と、
・前記半導体製造プロセスによって消費された前記化合物の量を前記測定から決定する工程と、を含む方法である。
【0046】
本明細書で言及される「化合物」という用語は、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ誘起化学気相成長法(PECVD)、拡散(アニーリング)、およびエピタキシーなどの半導体製造技術で使用される化合物を指す。化合物は、プロセスチャンバ内で実施される特定のプロセスに基づいて選択されてもよい。化合物は、気体状、液体状、または固体状であってもよく、例えば前駆体などの反応物質、アンモニアおよび不活性ガスなどのキャリアガス、ならびに他のものであってもよい。キャリアガスは、N2、および希ガス(例えば、Ar、Ne、He、Xe、Krなど)を含んでもよい。一部の実施形態において、キャリアガスは、実質的にN2、Ar、He、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0047】
本明細書で言及される「プロセスチャンバ」または「反応器チャンバ」という用語は、化合物送達システムに連結される反応チャンバを指す。プロセスチャンバは、処理される基材(半導体ウエハなど)を支持するためにその中に配置された基材支持体を有する内体積を含みうる。プロセスチャンバは、ALD、CVD、またはこれに類するもののために構成されてもよい。プロセスチャンバは、例えば内体積内にプラズマを生成するための、または基材支持体上に配置された基材に無線周波数バイアスを提供するための、一つ以上の無線周波数または他のエネルギー源などの追加の構成要素を含む処理システムをさらに備えてもよい。
【0048】
本明細書で言及される「貯蔵容器」という用語は、プロセスチャンバに連結され、かつ化合物を含むチャンバを指す。「プロセスライン」は、貯蔵容器をプロセスチャンバに接続し、従って化合物をそれらのそれぞれの貯蔵容器からプロセスチャンバに導く。
【0049】
プロセスラインを通る化合物の流れを測定することによって、半導体製造プロセスで使用された化合物の実際の消費量を決定することができる。これは、使用されるすべての化学物質の消費量追跡を可能にする。消費された量は、化合物のうちの一つ以上が残り少ない場合、早期段階で半導体製造プロセスのユーザーに通知するために報告および使用されることができる属性値である。このようにして、化合物のうちの一つ以上の枯渇によって引き起こされる半導体製造プロセスの問題を回避することができる。
【0050】
半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を測定によって決定することは典型的に、プロセスラインバルブが開いている全時間での実際の流量から計算される。これは、反応器バルブのマニホールド状態とは無関係であろうことを意味する。半導体製造プロセスで使用される化合物の実際の消費量の正しい監視は、予防保全(貯蔵容器の交換など)のより良い計画を可能にする。また、化合物の使用に関するフィードバックを可能にし、これは消費量の最適化およびコスト削減を可能にする。
【0051】
より具体的に、本明細書に開示の通りの方法は、前記決定する工程が、経時的にプロセスラインを通る化合物の流れの前記測定に基づいて、前記化合物の消費量を計算することを含むことを提供する。
【0052】
より具体的に、本開示による方法は、前記測定工程が少なくとも、
・前記プロセスライン上のプロセスラインバルブの開閉状態を決定することと、
・前記プロセスラインバルブが開放状態を有する時間を測定することと、を含み、
前記半導体製造プロセスによって消費された化合物の前記量は、前記プロセスラインバルブが開放状態を有する時間にわたって、前記プロセスラインを通る前記化合物の流量を積分することによって計算される。
【0053】
本明細書で使用される「プロセスラインバルブ」という用語は、貯蔵容器からプロセスチャンバへの化合物の流れを制御するバルブを指す。プロセスラインバルブは、貯蔵容器の近傍に、とりわけプロセスラインのまだ分岐していない部分上の貯蔵容器から下流に位置付けられる。実際に、プロセスラインは、貯蔵容器とプロセスチャンバ(例えば、排気システムへの分岐)の間で分岐してもよい一方で、プロセスラインバルブは、プロセスラインの非分岐部上の貯蔵容器から下流の貯蔵容器の近傍に位置付けられる。
【0054】
前記プロセスラインを通る前記化合物の流量は、前記プロセスライン上に位置付けられたフローメータ(マスフローメータ(MFM)または液体フローメータ(LFM)など)を使用して測定されることができる。フローメータは、プロセスラインを通る化合物の流量を決定し、本明細書に開示の通りの方法において、この値は、半導体製造プロセスによって消費された化合物の実際の量を計算するために使用される。
【0055】
より具体的に、本開示による方法は、前記プロセスラインを通る前記化合物の前記流量が、前記プロセスライン上に位置付けられたフローコントローラ(FC)(マスフローコントローラ(MFC)または液体フローコントローラ(LFC)など)によって設定されることを提供する。
【0056】
プロセスラインバルブが開いた構成にある時間を決定することによって、化合物の実際の消費量は、プロセスラインを通る固定流量を使用することによって、または前記プロセスライン上に位置付けられたフローコントローラ(FC)(マスフローコントローラ(MFC)または液体フローコントローラ(LFC)など)を使用することによって決定されることができる。プロセスライン上のフローコントローラ(FC)は、プロセスラインを通る流量の正確な調節を可能にする。
【0057】
特定の一実施形態において、化合物の実際の消費量の計算はまた、フローコントローラを通る化合物の残留流れを測定すること、かつ含めることを含む。実際に、プロセスライン弁が、閉じた位置に切り替えられると、化合物の残留流れは依然としてフローコントローラを通過しうる。残留流れは限定的でありうる一方で、本明細書に開示の通りの方法およびシステムにおいて、残留流れの量も計算に追加することは妥当でありうる。
【0058】
より具体的に、本開示による方法は、方法が、
・前記半導体製造プロセスの総化合物消費量、および/または、
・前記半導体製造プロセスのサブ工程の部分的化合物消費量を決定することを提供する。
【0059】
本明細書に開示の通りの方法およびシステムは、半導体製造プロセス全体にわたる総化合物消費および/または半導体製造プロセスの特定のサブ工程の部分的化合物消費のいずれかまたは両方の正確な追跡を可能にし、それによって、化合物消費量の異なるレシピ/ジョブ間の比較および最適化を可能にする。典型的に、カウンターは、システム内の各化合物の総消費量を記録し、カウンターは、例えば貯蔵容器が交換された時にユーザーによってリセットされることができる。また、プロセスのサブ工程を記録することは、さらなる最適化および廃棄物の低減を可能にする。
【0060】
より具体的に、本開示による方法は、前記半導体製造プロセスの総化合物消費量が、設定された閾値レベルを超えると、警告および/または警報を提供する工程を方法がさらに含むことを提供する。一般に、半導体製造プロセスの消費量が、設定された閾値を超えた時に、警告および/またはが提供される。閾値はユーザーによって設定されることができる。また、システムの誤動作を検出するために特定の閾値を設定することができ、それによって早期警告システムがちょうど間に合う時に介入することを可能にし、好ましくはウエハスクラップおよび予防保全のスケジューリングを回避する。
【0061】
本明細書で使用される通りの前記半導体製造プロセスの総化合物消費は、半導体製造プロセスの全寿命にわたる総化合物消費を測定する値もしくはカウンター、および/または前記化合物の貯蔵容器の最後の交換以降の総化合物消費量を測定する値もしくはカウンターとすることができる。追加的に、または代替的に、値またはカウンターは、化合物貯蔵容器がいつ枯渇するかをより明確に示すための逆カウントまたは逆さカウントである。
【0062】
より具体的に、本開示による方法は、化合物が前駆体であることを提供する。より具体的に、前記前駆体は液体前駆体または固体前駆体である。典型的な半導体製造工程中、基材は、前駆体パルスおよび反応物質パルスを典型的に含む複数の堆積サイクルを経る。所定の量の堆積サイクル後、方法は終了する。こうした前駆体パルスの間、液体前駆体または固体前駆体は、前駆体容器(貯蔵容器)からプロセスチャンバに搬送される。固体前駆体の場合、これは、前駆体容器を通してキャリアガスを流すことによって行われ、それによって、その後プロセスチャンバに提供されるキャリアガスおよび気化した固体前駆体を含むプロセスガスを生成する。これは典型的に、特定の時間間隔で、前駆体容器からプロセスチャンバへの液体前駆体または固体前駆体の搬送が起こるパルス列で発生する。単一の前駆体パルスは三つの段階、すなわち(1)定常状態に達するまで前駆体の濃度を上昇させる、プロセスラインを通る前駆体の流れの開始に対応する着手または開始段階、(2)前駆体の流れが定常状態に達し、前駆体の濃度が同じままになる時点に対応する持続段階、(3)前駆体の濃度がその定常状態から減少する時点に対応するリリース段階を含むことができる。半導体製造プロセス、特にプロセスチャンバの中に入れられる持続段階の流れでは、着手段階およびリリース段階の流れは、例えばベントに再配向される。また、プロセスラインおよび/またはプロセスチャンバのパージを可能にするために、パージバルブをパージライン上で使用してもよい。パージは、プロセスチャンバを洗浄するために、かつその特定のパルスの後に表面に付着していないいかなる前駆体も除去するために、前駆体パルス間に不活性ガスを用いて行われることができる。パージガスの消費量もまた、本明細書に開示の通りの方法およびシステムを使用して追跡されることができる。
【0063】
特に、本開示による方法およびシステムにおいて、前駆体は金属または半金属を含む固体前駆体である。より具体的に、前記金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、またはそれらの組み合わせから選択される。より具体的に、前記半金属、すなわち金属の特性と非金属の特性の中間の特性を有する元素は、シリコン、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモンおよび/またはテルルである。固体前駆体はまた、一つ以上の配位子を含んでもよく、一つ以上の配位子は、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキン、カルボニル、ジエニル、β-ジケトネート、置換もしくは非置換のシクロジエニル、置換もしくは非置換のアリール、またはそれらの組み合わせから選択される。好適なハロゲンには、F、Br、Cl、および/またはIが含まれる。好適なアルキル、アルケニル、アルキン、ジエニル、シクロジエニルは典型的に、C1~C8化合物である。シクロジエニルおよびアリール上の好適な置換基は、C1~C3アルキルを含む。適切なベータジケトネートには、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロペンタン-2,4-ジオネート(hfac)および/または2,4-ペンタンジオン(hacac)が含まれる。特定の実施形態において、固体前駆体は、ホモレプティック化合物(すべての配位子が同一である金属化合物)またはヘテロレプティック化合物(二つ以上の異なる種類の配位子を有する金属化合物)である。さらに特定の実施形態において、固体前駆体は金属-炭素結合を含む。さらに特定の実施形態において、固体前駆体はパイ錯体を含む。例示的な固体前駆体はHfCl4である。
【0064】
固体前駆体の消費量の計算において、プロセスライン内の流量に加えて、他の要因、例えば固体前駆体容器内の流入ガス(例えば、キャリアガスおよび前駆体の圧力を決定するガス)が考慮される。説明すると、従って典型的に、ユーザーによって定義される換算係数が使用される可能性がある。
【0065】
特に、本開示による方法およびシステムにおいて、前駆体は金属を含む液体前駆体であり、より具体的に前記金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、またはそれらの組み合わせから選択される。液体前駆体はまた、一つ以上の配位子を含んでもよく、一つ以上の配位子は、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキン、カルボニル、ジエニル、β-ジケトネート、置換もしくは非置換のシクロジエニル、置換もしくは非置換のアリール、またはそれらの組み合わせから選択される。好適なハロゲンには、F、Br、Cl、および/またはIが含まれる。特定の実施形態において、液体前駆体は、ホモレプティック化合物(すべての配位子が同一である金属化合物)またはヘテロレプティック化合物(二つ以上の異なる種類の配位子を有する金属化合物)である。さらに特定の実施形態において、液体前駆体は金属-炭素結合を含む。さらに特定の実施形態において、液体前駆体はパイ錯体を含む。例示的な液体前駆体は、トリメチルアルミニウム(TMA)、テトラキス-エチルメチルアミノハフニウム(TEMAHf)、オクタクロロトリシラン(OCTS)、N,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミン(SAM24)、トリクロロシラン、ジクロロシラン、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、ホウ酸トリメチル(TMB)、トリクロロエタン、三臭化ホウ素、オキシ塩化燐、フルオロトリエトキシシラン(FTES)、テトラキス-ジメチルアミノチタン(TDMAT)、テトラキス-ジエチルアミノ(TDEAT)、CuTMVS、トリメチルシクロテトラシロキサン(TOMCATS)、ジエチルシラン、ホウ酸トリエチル(TEB)、亜リン酸トリメチル(TMPI)、塩化チタンTiCl4、トリシランSi3H8およびリン酸トリエチル(TEPO)、五塩化モリブデンMoCl5、二塩化モリブデンジオキシMoO2Cl2である。
【0066】
さらなる一態様において、本開示は、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するために一つ以上のコンピュータによって実施される方法であって、
・貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る化合物の流れに関連するデータを受信する工程と、
・前記半導体製造プロセスによって消費された前記化合物の量を前記データから決定する工程と、を含む方法を提供する。
【0067】
本開示の別の態様は、本明細書に開示の通りの方法を実施するように構成されたコントローラを備える半導体製造システムに関する。
【0068】
本開示の別の態様は、
・プロセスラインを通る化合物の流れのリアルタイム監視および検出のために構成された少なくとも一つの化合物流れセンサと、
・化合物流れセンサから化合物の流れデータを受信するように、かつ前記半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を前記データから決定するように構成されたコントローラと、を備える半導体製造システムに関する。
【0069】
本開示の別の態様は、貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る化合物の流れに関連するデータを受信するように、かつ半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を前記データから決定するように構成されたコントローラを備える、半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステムに関する。
【0070】
より具体的に、本明細書に開示の通りのシステムは、貯蔵容器が枯渇する、および/または再充填を必要とするまでの残り時間を決定するように前記コントローラがさらに構成されることを提供する。
【0071】
より具体的に、本明細書に開示の通りのシステムは、前記貯蔵容器に残存する化学物質の量および/または実際に消費された化学物質の量をさらなるシステムコントローラに伝達するように前記コントローラが構成されることを提供する。
【0072】
より具体的に、本開示によるシステムは、前記コントローラまたは前記システムコントローラが、各貯蔵容器中に残存する化合物の量および/または実際に消費された各化合物の量をグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)上に表示するように構成され、前記貯蔵容器がほぼ枯渇した時に、前記コントローラまたは前記システムコントローラが前記GUI上に警告/警報メッセージを生成するようにさらに構成されることを提供する。
【0073】
「コントローラ」は、処理システムの様々な構成要素に結合されて、それらの動作が制御されてもよい。コントローラは一般に、中央処理装置(CPU)と、メモリと、CPUのサポート回路とを備える。コントローラは、処理システムを直接制御してもよく、または特定のプロセスチャンバおよび/またはサポートシステム構成要素に関連付けられたコンピュータ(またはコントローラ)を介して制御してもよい。コントローラは、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するための産業場面で使用されることができる、任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの一つであってもよい。CPUのメモリ、またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、NANDメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、フラッシュ、または任意の他の形態の(ローカルまたはリモートの)デジタルストレージなど、容易に利用可能なメモリのうちの一つ以上であってもよい。サポート回路は、従来的な様式でプロセッサを支持するためにCPUに結合される。これらの回路には、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどが含まれる。本明細書に記載の通りの発明の方法は、本明細書に記載の様式で処理システムの動作を制御するために、実行されうるか、または呼び出されうるソフトウェアルーチンとして、メモリに格納されてもよい。ソフトウェアルーチンはまた、CPUによって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第二のCPUによって格納および/または実行されてもよい。
【0074】
より具体的に、本開示による半導体製造システム、または半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステムは、プロセスラインを通る化合物の流れのリアルタイム監視および検出のための少なくとも一つのセンサをシステムが備えることを提供する。より具体的に、前記システムは、前記プロセスライン上のプロセスラインバルブの開閉状態をリアルタイムで監視および検出するための少なくとも一つのセンサを備える。
【0075】
より具体的に、本開示による半導体製造システム、または半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのまたはシステムは、前記プロセスチャンバに向かうマニホールドバルブおよびベント出口に向かうマニホールドバルブをプロセスラインが備えることを提供する。
【0076】
より具体的に、本開示による半導体製造システム、または半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステムは、システムが一つ以上のプロセスチャンバに接続された一つ以上の貯蔵容器を備えることを提供する。
【0077】
実際に、本明細書に記載の通りの方法およびシステムは、半導体製造プロセスで使用される幾つかの化合物の消費量を監視するために使用することができる。各化合物のプロセスラインは、互いに平行に走ることが好ましいものの、製造プロセスおよび使用される化学物質のタイプに応じて、これらのプロセスラインの一部は互いに組み合わせられることができる。
【0078】
より具体的に、本開示による半導体製造システム、または半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するためのシステムは、化合物が前駆体であることを提供する。
【0079】
本開示の別の態様は、コンピュータプログラムでコードされた一つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に関し、コンピュータプログラムは、一つ以上のコンピュータによって実行される時に、貯蔵容器をプロセスチャンバに流体接続するプロセスラインを通る前記化合物の流れに関連するデータが入力として提供されると、半導体製造プロセスによって消費された化合物の量を決定するための動作を一つ以上のコンピュータに実施させる命令を含む。
【0080】
本開示の別の態様は、コントローラ上で実行される時に、前記プロセスラインを通る化合物の流れの測定からのデータが入力として提供されると、本明細書に開示の通りの半導体製造プロセスにおける化合物の消費量を監視するための方法を実装するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【0081】
本明細書に記載の通りの例示的なシステムを
図1に示す。
図1は、本開示のなおも追加的な例示的実施形態によるシステムを図示する。システムは、本明細書に記載の通りの方法を実施するために、および/または本明細書に記載の通りの構造または装置部分を形成するために使用されることができる。ALDシステムの図示例において(類似の構成を他の半導体製造システムに適用することができる)、システムは、プロセスラインを通してプロセスチャンバ(2)に流体接続された貯蔵容器(1)を含む。プロセスラインを通る流量は、フローコントローラ(5)によって制御される。プロセスチャンバ(2)の近くで、プロセスラインは二つに枝分かれして、第一の分岐はプロセスチャンバ(2)につながり、第二の分岐はベント出口(8)につながる。両方の分岐を通る流れは、各々の分岐上のマニホールドバルブ(6、7)によって制御される。貯蔵容器(1)の近くで、プロセスラインバルブ(3)は、貯蔵容器(1)を出る化学物質の流れを制御する。コントローラ(4)は、半導体製造プロセスによって消費されている化学成分の実際の量を測定するために使用される。
【0082】
図2は、この図において幾つかの化合物の消費量が決定されることを除き、
図1に類似したシステムを示す。
【0083】
図1および
図2は特に、ALDタイプのシステムに関することに留意されたい。同様の構成を、他のタイプの半導体処理に適した異なる装置を備える他の半導体製造システムに適用することができる。行われるプロセスに応じて、バルブのレイアウトおよび分布の違いが存在しうる。例えば、時には単一の入口ラインのみが使用されるが、単一の入口ラインは、並列に配置された、または半導体プロセスの別の部分に向けられている幾つかのFCに分岐する。
【0084】
また、プロセスラインおよび/またはプロセスチャンバのパージを可能にするために、パージバルブをパージライン上で使用してもよい。パージは不活性ガスを用いて行われることができる。ALDプロセスにおいて、典型的に各前駆体パルス工程の後にパージ工程があり、これは、プロセスチャンバを洗浄するために、かつその特定のパルスの後に表面に付着していないいかなる前駆体も除去するために使用される。
【外国語明細書】