(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083405
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20240614BHJP
H01L 33/52 20100101ALI20240614BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240614BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240614BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/52
H01L33/60
H01L33/50
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024058427
(22)【出願日】2024-04-01
(62)【分割の表示】P 2023025308の分割
【原出願日】2009-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】湊 俊介
(57)【要約】
【課題】発光素子から光透過部材への光結合効率を高め、発光効率が高く、高輝度な発光を実現できる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置の発光面と受光面を有する光透過部材と、該受光面に対向する出射面を備えて、前記光透過部材に接合される発光素子と、前記発光素子表面から前記光透過部材表面まで延在して設けられて、前記発光素子からの出射光を前記光透過部材に導光する導光部材と、を備え、前記導光部材は、前記発光素子の出射面と前記光透過部材の受光面を互いに対向させて接合する接合領域と、前記接合領域より延在して、該接合領域より外側に突出された前記発光素子及び光透過部材の一方の表面を被覆する第1の被覆領域と、を有すると共に、前記出射光を前記光透過部材側に反射させる第1の反射面が、前記第1の被覆領域の外表面に設けられている発光装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射面を有する発光素子と、
前記出射面を内包し、前記出射面に対向して配置される受光面を有する光透過部材と、
前記発光素子の出射面と前記光透過部材の受光面とを接合するように、前記発光素子の出射面と前記光透過部材の受光面が互いに対向する領域に配置される導光部材と、
前記発光素子が実装される配線を備える基板と、
光反射材料を有する被覆部材を備え、
前記導光部材は、前記領域より外側に位置する前記光透過部材の受光面及び前記発光素子の側面を被覆し、かつ、前記基板の表面から離隔しており、
前記被覆部材は、前記導光部材を介して、前記発光素子の側面を被覆する発光装置。
【請求項2】
前記領域の厚さは、0.01μm~100μmである、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光透過部材と前記発光素子との間に、前記発光素子の出射光で励起される波長変換部材が設けられている、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光透過部材はガラス板であり、
前記波長変換部材は前記ガラス板に備えられた光変換部材である請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光透過部材は、蛍光体と無機物との焼結体である請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基板は、前記発光素子を包囲する枠体をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記枠体は、前記基板と一体に形成されている、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記導光部材は、シリコーン樹脂を含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記被覆部材は、樹脂材料を含み、
前記被覆部材の表面は、前記基板側に凹の曲面を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記樹脂材料はシリコーン樹脂を含む、請求項9に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特に発光効率を高める導光部材を備える発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源として発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)やレーザダイオード(Laser Diode:LD)等の半導体発光素子を搭載した発光装置は、各種の照明や表示装置に利用されている。特に、これら半導体発光素子は消費電力が低く長寿命であるため、蛍光灯に代替可能な次世代照明の光源として注目を集めており、さらなる発光出力および発光効率の向上が求められている。また、車のヘッドライトなどの投光照明のように、配光特性が良く高輝度な光源も求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、LEDチップに光透過性の接着剤により蛍光体チップを固着したLEDチップ組立体を、リードフレームのカップ部や絶縁性基板上に実装し、光散乱剤を混合した保護層や封止樹脂により該LEDチップ組立体を封止した発光装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-141559号公報
【特許文献2】特開2007-019096号公報
【特許文献3】特開2002-305328号公報
【特許文献4】特開平10-151794号公報
【特許文献5】特開2009-043764号公報
【特許文献6】特開2008-300621号公報
【特許文献7】特開2008-277592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1に記載された発光装置において、LEDチップ上に蛍光体チップを接着する光透過性の接着剤が、蛍光体チップから直接あるいは発光素子の側面を伝って、リードフレームのカップ部や絶縁性基板まで垂れる虞があり、LEDチップや蛍光体チップからの出射光が該接着剤により導光されて、絶縁性基板やその上に設けられた電極やリードフレームの表面で吸収されることで、発光装置の光出力が低下するという問題があり、また発光素子や蛍光体チップと、上記基板、電極などの表面とを被覆する透光性樹脂にも同様の問題がある。また、このような透光性の部材による光経路は小さく、狭いものであっても発光装置の特性に及ぼす影響は大きい。さらに、引用文献1のLEDチップと蛍光体チップは、接着剤によりその対向面同士が固着されているに過ぎず、LEDチップから放出される光の蛍光体チップへの結合効率が低いこと、両者の外形の整合が悪い場合に輝度むら、色むらや指向性が悪化することが懸念される。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光素子から出射される光の損失を低減してその利用効率を高め、発光素子から光透過部材への光結合効率を高め、発光効率、輝度を高められる発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光装置は、下記(1)~(15)の構成により、上記目的を達成することができる。
(1) 発光装置の発光面と受光面を有する光透過部材と、該受光面に対向する出射面を備えて、前記光透過部材に接合される発光素子と、前記発光素子表面から前記光透過部材表面まで延在して設けられて、前記発光素子からの出射光を前記光透過部材に導光する導光部材と、を備え、前記導光部材は、前記発光素子の出射面と前記光透過部材の受光面を互いに対向させて接合する接合領域と、前記接合領域より延在して、該接合領域より外側に突出された前記発光素子及び光透過部材の一方の表面を被覆する第1の被覆領域と、を有すると共に、前記出射光を前記光透過部材側に反射させる第1の反射面が、前記第1の被覆領域の外表面に設けられている発光装置。
(2) 前記発光装置は、光反射材料を有する被覆部材を備え、該被覆部材が、前記導光部材の表面を覆い、前記発光面を露出させて前記発光素子及び光透過部材の表面を被覆する上記(1)に記載の発光装置。
(3) 前記光透過部材は、前記発光素子の出射光で励起される波長変換部材である上記(1)又は(2)に記載の発光装置。
(4) 前記第1の被覆領域は、前記発光素子及び光透過部材の一方の前記突出表面と他方の側面を被覆し、前記第1の反射面は、前記側面に対向して設けられている上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の発光装置。
(5) 前記被覆部材は、前記他方の側面を第1の被覆領域の導光部材を介して該表面を覆い、該導光部材から露出された前記発光素子又は光透過部材の側面の表面を覆う上記(4)に記載の発光装置。
(6) 前記光透過部材の受光面の一部が前記出射面より外側に突出しており、前記第1の反射面は、前記発光素子の側面から前記受光面側に傾斜した傾斜面である上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の発光装置。
(7) 前記光透過部材の受光面が、前記発光素子の出射面より大きく、該出射面を内包する上記(6)に記載の発光装置。
(8) 前記発光素子の出射面の一部が該受光面より外側に突出しており、前記第1の反射面は、前記光透過部材の側面から前記出射面側に傾斜した傾斜面である上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の発光装置。
(9) 前記発光素子の出射面が、前記光透過部材の受光面より大きく、該受光面を内包する上記(8)に記載の発光装置。
(10) 前記発光素子が互いに離間されて、前記光透過部材の受光面側に複数接合されており、前記導光部材は、前記離間された発光素子に挟まれた前記受光面の一部を前記接合領域から延在して被覆する第2の被覆領域を有すると共に、前記隣接する発光素子からの出射光をそれぞれ前記受光面側に反射させる第2の反射面が、前記第2の被覆領域の外表面に設けられている上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の発光装置。
(11) 前記第2の被覆領域が、前記離間された発光素子の互いに対向する側面を被覆する上記(10)に記載の発光装置。
(12) 前記複数の発光素子は、少なくとも1組が該出射面から前記光透過部材の受光面までの距離が互いに異なる上記(10)又は(11)に記載の発光装置。
(13) 前記発光素子が、半導体層と、該半導体層より出射面側の基板とを有し、前記導光部材が、前記基板の側面まで延在して覆い、前記半導体側面を露出させている上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の発光装置。
(14) 前記発光装置は、光反射性材料を含有し、前記発光面を露出させて、前記発光素子及び前記光透過部材の一部を被覆する被覆部材を備え、前記第1の反射面又は第2の反射面は、前記導光部材と前記被覆部材との界面に設けられている上記(1)乃至(13)のいずれに記載の発光装置。
(15) 前記第1の反射面又は第2の反射面は、前記側面に向かって凸な凸曲面である上記(1)乃至(14)のいずれかに記載の発光装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、互いに対向して配置された光透過部材と発光素子とを、その間とそこから延在した領域に設けられる導光部材により接合させることによって、発光素子から光を効率良く取り出し、導光して光透過部材に光結合することができ、高い発光効率を有し高輝度の発光が可能な発光装置を提供することができる。また、上記導光部材により接合された光透過部材および発光素子を、さらに光反射性の被覆部材により被覆して光透過部材の一部に発光面を備えた発光装置とすることにより、さらに効率良く導光することができ、また光透過部材が波長変換部材である場合には色むらの少ない配光特性および高い発光効率を有し高輝度発光が可能な発光装置を提供することができる。また、このような構造により、発光素子と光透過部材の外形、大きさ、配置が異ならしめて、所望形状、外形寸法の光源できるため、小型化容易な発光装置が得られ、更には適宜光束、輝度などの発光特性を調節可能な発光装置とできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略上面図(b)と、そのAA断面における概略断面図(a)である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る発光装置の光源部周辺を説明する概略断面図である。
【
図3】本発明に係る比較例の発光装置の光源部周辺を説明する概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係る発光素子の概略断面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略断面図(a)と、その光源部周辺を説明する概略断面図(b)である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係る発光装置の光源部周辺を説明する概略断面図である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係る発光装置の光源部周辺を説明するための概略断面図である。
【
図8】本発明の一実施の形態に係る発光装置を説明する概略断面図である。
【
図9】本発明の一実施の形態に係る発光装置を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光素子・装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに特定しない。特に、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、以下に記載されている各実施の形態についても同様に、特に排除する記載が無い限りは各構成等を適宜組み合わせて適用できる。
【0011】
本発明の発光装置は、
図1,2に示すように、主として、発光素子10、光透過部材20、導光部材30、から構成される。発光素子10は、出射面を有し、光透過部材20は、外部に露出された表面21(発光面90)と、該表面21に対向する受光面22と、側面と、を各々有し、発光素子10は、その出射面を光透過部材の受光面22に対向させて配置して、発光素子10および光透過部材20の一方の部材を、他方の部材より外側に突出させる。導光部材30は、発光素子10と光透過部材20とを固着させる接着剤を適用でき、透光性を有して発光素子と光透過部材の表面、具体的には発光素子表面から光透過部材表面まで延在して設けられ、発光素子10の出射光を光透過部材20に導光する機能を有する。この導光部材30は、互いに対向する発光素子の出射面と光透過部材の受光面22とを接合する接合領域31と、この接合領域より延在して、上記突出した表面(発光素子の出射面又は光透過部材の受光面22の一部)を被覆する被覆領域(32,37)と、を有している。導光部材は基板の実装面から離間され、発光素子10の実装側表面より後退して前記光透過部材20側に位置している。したがって、発光素子10から出射される光が導光部材30を伝搬して基板50に導光され、吸収されることを防止することができる。そして、該被覆領域の外表面には、発光素子10から出射される光を光透過部材20側に反射させる反射面が設けられている。このように、導光部材30の外表面の反射により、光の拡散を抑制し導光部材30中に光を集束させて、光透過部材20に導光することができ、吸収による光の損失を低減し、発光素子10から出射される光を効率良く光透過部材20に結合することができ、発光面の輝度分布を改善できる。また、発光素子と光変換部材を接合させることにより、発光面内の輝度や色度を良好な分布にできる。
【0012】
さらに、この被覆領域は、
図1,2,5,6に示すように、上記突出部の表面と他方の側面とを接続するように被覆して、その被覆された側面に対向する導光部材の外表面に前記反射面が設けられていることが好ましい。一方の突出部の表面と、他方の側面と、を接続する傾斜面を外表面とすることで、被覆領域の外側への膨らみを抑え、その外表面で反射される光の光透過部材20までの光路長を短くし、更に外表面が凹曲面であることで、凸曲面の反射面となり導光部材30による導光機能を高めることができる。
【0013】
また、本発明の発光装置は、
図1,2に示すように、さらに光反射性の被覆部材40を備え、発光素子10および光透過部材20の一部をこの被覆部材40により被覆して、光透過部材の露出された表面21を装置の発光面90とでき、面発光型の発光装置とすることもできる。被覆部材40は、光反射性材料45を含有する充填材、封止材としても機能して、発光装置の小型化が実現できる。また、その光反射性により、導光部材30表面を被覆して設けることで、その導光作用を補助し、発光素子10からの出射光の光透過部材への光結合効率をさらに高めることができる。また、発光素子及び光透過部材の表面において、導光部材に被覆された領域と、該領域から露出された領域とを設け、それらの領域を被覆部材で覆うこと、すなわち、露出領域は直接、被覆領域は導光部材を介して、被覆部材に覆うことが好ましい。具体的には被覆部材が、上記被覆領域内の一方の側面を、導光部材30を介して被覆し、導光部材30から露出される他方の側面を被覆する。これにより、被覆部材による光反射機能でもって、被覆領域で導光部材30中の光の閉じ込め作用を強化しながら、露出領域で発光素子10から光透過部材20への光の伝搬領域を制限して、導光部材30により光を光透過部材20に効率良く導くことができる。さらに、前記被覆領域の反射面が、前記導光部材と前記被覆部材との界面に設けられていることにより、さらにその機能を高められ好ましい。このような構成により、発光素子10から出射される光の利用効率を高め、色むらが少なく配光特性に優れた高輝度な発光を実現することができる。
【0014】
(実施の形態1)
図1,2は、本発明の実施の形態1に係る発光装置100であり、
図1(a)の断面は、概略上面の
図1(b)のA-Aにおける概略断面図であり、
図2はその光源部周辺の概略断面図である。
図1に示す例の発光装置100は、発光面90を有する面発光型の発光装置である。この発光装置100は、主として、成長基板1上に半導体素子構造11を有する発光素子10と、発光面90となる表面21が露出され、該表面21と対向する受光面22を有する板状の光透過部材20と、発光素子10の出射光を光透過部材20に導光する導光部材30と、光反射性材料45を含有する被覆部材40と、から構成される。発光素子10は、その成長基板1の裏面である出射面を光透過部材の受光面22に対向させて、基板50の配線層51上にフリップチップ実装されており、介在する導光部材30により光透過部材20と光結合されている。基板50上には、発光素子10および光透過部材20を包囲する枠体55が設けられており、その内側に被覆部材40が充填されて、発光素子10と光透過部材20の一部は被覆部材40により被覆されている。このような発光装置100の発光領域つまり光放出の窓部は、実質的に光透過部材20の表面21にほぼ限定され、この表面21を発光面90とする面発光型の発光装置となる。また、発光装置100は、光透過部材20の表面21の形状、大きさによって、この表面21すなわち発光面90から放出される光の輝度、並びに配光の分布を制御可能となっている。さらに、発光面内の輝度、色度が比較的均一な発光装置となる。ここで、光透過部材、発光素子の平面形状は図示するように矩形状であり、平面で発光素子が光透過部材に内包されている。
【0015】
図2を用いて、その光源部を詳述すると、導光部材30は、発光素子10と光透過部材20とを互いに対向させて接合する接合領域31を有し、より詳細には、光透過部材の受光面22において、発光素子10の出射面と対向する領域に設けられる。具体例、例えば後述の実施例、において、この接合領域の厚さは、0.01μm~100μm程度である。導光部材30が接合領域で介在することで、発光素子と光透過部材とが離間され、大気などの気体が介在する場合に比して、発光素子10の出射面における屈折率差を緩和し、発光素子10から光を効率良く取り出すことができる。したがって、発光素子10の出射面からの光は、接合領域31内に透過されて光透過部材の受光面22に直接的に光結合する。
【0016】
本実施の形態では光透過部材の受光面22は、発光素子10の出射面より大きく、それを内包して、受光面22の一部が発光素子10の出射面より外側に突出している。言い換えれば、光透過部材20の側面は発光素子10の側面より外側に位置し、その周縁全体に突出部が設けられている。このような発光装置100は、発光装置の発光面90を、素子の出射面より、比較的大きい光放出の窓部として、放出光の光束を高くできる。そして、導光部材30は、上述の接合領域31から延在して、光透過部材の突出表面と、発光素子10の側面の一部に垂下した該側面とを被覆する第1の被覆領域32を有し、具体的には、この領域は上記接合領域より外側に突出した領域に設けられている。ここで、発光素子10から出射光は、通常、出射面だけでなく、側面や底面側(実装面側)からも放射されるため、その光の一部は主に発光素子の側面から第1の被覆領域32に入射され、導光される。つまり、上述の接合領域の場合と同様に、第1の被覆領域32においても、その発光素子の放射面の屈折率差を緩和し、光取り出し効率を高くできる。ここで、第1の被覆領域32の被覆部材40側に面する外表面、すなわち第1の被覆領域32の発光素子10の側面と対向する外表面は、発光素子10の出射光を、光透過部材20側に反射させる第1の反射面33を有し、従ってその出射光の反射光は、第1の反射面33により光透過部材20の受光面22側に反射されて導光されて、光透過部材20に光結合される。このように、発光素子10から側方への出射光を導光部材30内に一度取り出してから第1の反射面33により反射させることで、導光部材から露出され、発光素子10を光反射性の被覆部材40により直接被覆する形態に比して、発光素子10内での吸収による光の損失を低減でき、一旦、導光部材内で光が伝搬して広がることから、光結合効率や発光特性を高めることができる。
【0017】
上述したように、本実施の形態のように
図1及び
図2に示すように、導光部材30の第1の反射面33が被覆部材40との界面に設けられること反射機能を高められる。また、その界面はこの透光性の導光部材30と透光性基材中に光反射性材料を含有する被覆部材40とで構成されるため、被覆部材中にしみ出す緩やかな反射界面となる。このような構成は、導光部材30に第1の被覆領域32を形成後、被覆部材40を充填することで容易に形成可能であり量産性に優れた構造である。なお、第1の反射面33は、必ずしも被覆部材40との界面に設けられなくてもよい。例えば、第1の被覆領域32の被覆部材40側に面する外表面と被覆部材40とが離間され、その間に空隙が設けられ、第1の反射面33が導光部材30と空気との界面に設けられる形態であってもよい。この形態によれば、この界面において導光部材30側が高屈折率となって、第1の被覆領域32内にて多くの光を反射させることができる。さらに、第1の被覆領域32から空隙内に透過した光成分も被覆部材40の表面にて再度反射させることも可能である。この形態のほか、例えば、第1の被覆領域32の外面に、銀(Ag)やアルミニウム(Al)などの高反射性の金属膜や誘電体多層膜や透光性粒子からなる層を設けて第1の反射面33を形成してもよい。
【0018】
また、発光装置100において、第1の被覆領域32の発光素子10の側面と対向する面は、該側面から光透過部材の受光面22側に傾斜した傾斜面であることが好ましい。これにより、発光素子10から側方に出射される光を光透過部材の受光面22側に良好に反射させることができ、また断面幅が突出表面に向かって広がる形態のため良好な光結合とできる。さらに、この傾斜面は平面であってもよいが、接合領域31に向かって凸な凸曲面であることで、平面である場合に比して第1の反射面33の表面積を増大でき、光の反射効率を高めることができるので好ましい。
【0019】
第1の被覆領域32の形成方法は、特に限定されないが、例えば導光部材30を構成する樹脂材料を発光素子10の出射面上に適量塗布した後、光透過部材20を搭載することで形成することができる。この際、光透過部材20を適度に押圧してもよい。樹脂の塗布は、ディスペンス法、スタンピング法などで、光透過部材20の載置についても、光透過部材20を吸着、搬送、押圧可能なコレットを備えたダイボンディング装置で量産できる。
【0020】
なお、導光部材30を構成する樹脂材料は、発光素子10又は光透過部材20の突出部から直接又は発光素子10の側面を伝って滴り、実装基板50上に達することがある。
図3は、そのような導光部材36に垂下部が設けられる形態を説明するための概略断面図である。本発明と比較されるこの形態は、
図3に示すように、導光部材36の接着樹脂が発光素子10の側面を伝って実装基板50上にまで連続的に垂れると、その垂下部で光経路が形成される。このため、発光素子10から側方又は下方に出射された光が、この垂下部により実装基板50側に導光されて、実装基板50の表面や配線51に到達して、吸収による光損失を生じる。また、垂下部の形成によって、発光素子10と基板50との間の領域へのアンダーフィル70等の形成、被覆部材40の浸入が遮断される場合があり、その空洞化で光の漏れる場合に光損失が起きる。特に、樹脂材料の塗布量が多過ぎると光透過部材20の突出部から基板50上に導光部材36が直接垂下したり、上記接合領域から分離して発光素子10と基板50と架橋したり、しても上記同様に光経路が形成され、光損失を招く虞がある。また、後述の実施の形態3では、本実施の形態のように光透過部材が突出する場合に比して、形成され難い構造であるものの同様に側面を被覆して実装基板に到達する垂下部が設けられ得る。そのため、樹脂材料の塗布量が過剰とならないように適宜調節し、また後述のように突出表面の面積、突出部の位置で調節する。
【0021】
したがって、第1の被覆領域32の外表面は、発光素子10の底面、実装面より前記光透過部材20側に位置していることが好ましく、第1の被覆領域32が被覆する範囲は、発光素子10の側面の途中までであることが好ましい。つまり、
図1,2に示すように、発光素子10の側面において、導光部材に対して、出射面(上方)側に被覆された領域(第1の被覆領域32)と、底面、実装面(下方)側に露出された領域と、が設けられていることが望ましい。さらには、この露出領域は、被覆部材40で被覆されていることが好ましい。より具体的には、発光素子10が素子構造である半導体層11と該半導体層より出射面側の基板1とを有する場合、導光部材30が該基板の側面まで延在して被覆し、該半導体層11の側面を露出させていることが好ましい。これにより、発光層を含む半導体層11側の光反射性を高める一方、基板側の光透過性を高めることができる。また、第1の被覆領域32は、接合領域31から発光素子10の側面に一様に延在して形成されてもよいが、離散的、部分的に接合領域31から発光素子10の側面に垂下して形成されてもよい。
【0022】
このような形態は、導光部材30から露出させたい領域に予め離型剤を塗布するなど表面処理して、その領域が導光部材30等により被覆され難くすることにより達成しやすくなる。離型剤には、一般的に市販されているものを用いることができ、例えばダイキン社製の噴霧タイプのダイフリー、薬液タイプのオプツールなど、フッ素系離型剤を用いることができる。特に、発光素子10の出射面と対向する表面、実装面には表面処理されていることが好ましく、さらにはそこから連続する側面の一部、特に半導体層11の側面、すなわち半導体層11の露出表面に表面処理されていることが好ましい。また、この表面処理と被覆部材40とが一致していなくても良く、一部重なったり、離間されたり、する場合がある。
【0023】
一方、
図1,2に示す例の発光装置100において、光透過部材20の側面は導光部材30から露出され、更に光反射性の被覆部材40により被覆されていることが好ましい。このように、導光部材30が光透過部材20の側面も被覆する場合に比べて、導光部材30の外表面の外側への膨らみを抑えられ、したがって光透過部材20までの光路長を短くでき、光結合効率を高められる。また、上述したように受光面22側への光反射に適した形状、傾斜角を有する第1の反射面33を形成しやすくなり好ましい。
【0024】
次に、本発明の発光装置の各構成部材および構造について、以下に詳述する。
【0025】
(発光素子)
発光素子10は公知のもの、具体的には半導体発光素子を利用でき、特にGaN系化合物半導体であれば、蛍光物質を効率良く励起できる短波長の可視光や紫外光が発光可能であるため好ましい。具体的な発光ピーク波長は240nm以上560nm以下、好ましくは380nm以上470nm以下である。なお、このほか、ZnSe系、InGaAs系、AlInGaP系半導体の発光素子でもよい。
【0026】
(発光素子構造)
半導体層による発光素子構造11は、
図4に例示するように少なくとも第1導電型(n型)層2と第2導電型(p型)層3とにより構成され、更にその間に活性層3を有する構造が好ましい。また、電極構造は、一方の主面側に第1導電型(負)、第2導電型(正)の両電極6,7が設けられる同一面側電極構造が好ましいが、半導体層の各主面に対向して電極が各々設けられる対向電極構造でも良い。発光素子10の実装形態も、例えば上記同一面側電極構造では、電極形成面を実装面として、それに対向する基板1側を主な出射面とするフリップチップ実装が、その出射面と光透過部材20との光学的な接続上好ましい。この他、電極形成面側を主な出射面として、その上に光透過部材を結合する実装、フ
ェイスアップ実装、また配線構造を備えた光透過部材にフリップチップ実装、上記対向電極構造で光透過部材と実装基板に接続すること、ができ、好ましくは発光素子と光透過部材に配線、電極を備えない実施例の実装が良い。なお、半導体層11の成長基板1は、発光素子構造を構成しない場合には除去してもよく、成長基板が除去された半導体層に、支持基板、例えば導電性基板または別の透光性部材・基板を接着した構造とすることもできる。この支持基板に光透過部材20を用いることもでき、その他、ガラス、樹脂などの光透過部材により半導体層が接着・被覆されて、支持された構造の素子でもよい。成長基板の除去は、例えば支持体、装置又はサブマウントに実装又は保持して、剥離、研磨、若しくはLLO(Laser Lift Off)で実施できる。また、発光素子10は光反射構造を有することができ、具体的には、半導体層11の互いに対向する2つの主面の内、光取り出し側(出射面側)と対向する他方の主面を光反射側(
図1における下側)とし、この光反射側の半導体層内や電極などに光反射構造を設けることができる。光反射構造の例として、半導体層内に多層膜反射層が設ける構造、あるいは半導体層の上にAg、Al等の光反射性の高い金属膜や誘電体多層膜を有する電極、反射層を設けた構造がある。
【0027】
(窒化物半導体発光素子)
発光素子10の一例として、
図4の窒化物半導体の発光素子10では、成長基板1であるC面サファイア基板の上に、第1の窒化物半導体層2であるn型半導体層、活性層3である発光層、第2の窒化物半導体層4であるp型半導体層が順にエピタキシャル成長されている。そして、n型層2の一部が露出されて第1の電極7であるn型パッド電極を形成し、p型層4のほぼ全面にITO等の透光性導電層5、第2の電極6であるp型パッド電極が形成されている。さらに、保護膜8をn型、p型パッド電極6,7の表面を露出し、半導体層を被覆して設けられる。なお、n型パッド電極7は、p型同様に透光性導電層を介して形成してもよい。成長基板1は、C面サファイアの他、R面、及びA面、スピネル(MgAl
2O
4)のような絶縁性基板、また炭化珪素(6H、4H、3C)、Si、ZnS、ZnO、GaAs、GaNやAlN等の半導体の導電性基板がある。窒化物半導体の例としては、一般式がIn
xAl
yGa
1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)の他、BやP、Asを混晶してもよい。また、n型、p型半導体層2,4は、単層、多層を特に限定されず、活性層3は単一(SQW)又は多重量子井戸構造(MQW)が好ましい。青色発光の素子構造11の例としては、サファイア基板上に、バッファ層などの窒化物半導体の下地層、例えば低温成長薄膜GaNとGaN層、を介して、n型半導体層として、例えばSiドープGaNのn型コンタクト層とGaN/InGaNのn型多層膜層が積層され、続いてInGaN/GaNのMQWの活性層、更にp型半導体層として、例えばMgドープのInGaN/AlGaNのp型多層膜層とMgドープGaNのp型コンタクト層が積層された構造がある。
【0028】
(光透過部材)
また
図1の発光装置100は、発光素子10からの光を透過する光透過部材20を備える。光透過部材20は、通過する光の少なくとも一部を波長変換可能な波長変換材料を有する光変換部材であることが好ましい。例えば実施例のように、光源からの一次光が、光透過部材20中の波長変換材料としての蛍光体を励起することで、一次光と異なった波長を持つ二次光が得られ、さらに一次光との混色により、所望の色相を有する出射光を実現できる。
【0029】
上述の通り、実施の形態1の光透過部材20は、表面21(発光面90)からの平面視において発光素子10を内包し、その側面が、発光素子10の側面(端面)よりも外方に突出し、発光素子10の出射面より幅広な受光面22でもって導光部材を介して光学的に接続されるため損失が少ない。なお、光透過部材の側面の発光素子の側面に対する突出長さは、発光素子の厚さに比して、例えば0.25倍以上5倍以下であり、具体的には0.5倍以上2倍以下である。例として、実施例1の発光装置においては、光透過部材20の終端に約50μmの幅で突出している。このほか、後述の実施の形態3に示すように、光透過部材の側面が、発光素子の側面よりも内側に位置する、つまり発光素子の出射面が突出させる形態でもよく、この例のように光透過部材の受光面22を発光素子10の出射面より小さくした形態であってもよい。この形態であれば、その突出長さは、光透過部材の厚さに比して、例えば0.25倍以上5倍以下であり、具体的には0.5倍以上2倍以下である。発光素子に対して発光領域を絞ることで相対的に輝度が高められ、また混色の均一化が図れ、色ムラが低減される。また、光透過部材20の側面が発光素子10の側面と略同一面上に位置する形態であれば、光透過部材の外縁部において、発光素子10からの光量が不足して色ムラが発生しやすくなるのを抑制できる。
【0030】
ここで、光透過部材20の母材となる透光性材料としては、下記被覆部材40と同様な材料を用いることができ、例えば樹脂、又はガラスなどの無機物を用いることができる。変換機能を備えない場合も、蛍光体を除いて、又はそれに置換して、光変換の光透過部材と同様の材料を用いることが好ましい。また、表面21、受光面22は、実施例のように光透過部材が板状である場合には、両面とも略平坦な面であること、更には対向する両面が互いに略平行であることが本発明の導光部材を介した光結合の効率が高まり、また接合が容易となり好ましい。一方で、板状に限らず、全体又は一部に曲面を有する形態、凹凸面などの面状の形態など、種々の形状若しくは形態、例えば集光、分散するための形状、例えばレンズ状などのような光学的な形状とすることもできる。また、波長変換機能として、発光素子の一次光とその変換光(二次光)の混色光を発光する他に、例えば発光素子の紫外光による変換光、若しくは複数の変換光による混色光のように、一次光から変換された二次光を主に出射する発光装置とすることもできる。
【0031】
波長変換機能を備えた光透過部材20は、具体的にガラス板、それに光変換部材を備えたもの、あるいは光変換部材の蛍光体結晶若しくはその相を有する単結晶体、多結晶体、アモルファス体、セラミック体、あるいは蛍光体結晶粒子による、それと適宜付加された透光性材料との焼結体、凝集体、多孔質性材料、それらに透光性材料、例えば透光性樹脂を混入、含浸したもの、あるいは蛍光体粒子を含有する透光性部材、例えば透光性樹脂の成形体等から構成される。なお、光透過部材20は、樹脂等の有機材料よりも無機材料で構成されることが耐熱性の観点からは好ましい。具体的には蛍光体を含有する透光性の無機材料からなることが好ましく、特に蛍光体と無機物(結合材、バインダー)との焼結体、あるいは蛍光体からなる焼結体や結晶とすることで信頼性が高まる。なお、実施例のYAGの蛍光体を用いる場合、YAGの単結晶や高純度の焼結体のほか、アルミナ(Al2O3)を結合材とするYAG/アルミナの焼結体、ガラスを結合材とした焼結体が信頼性の観点から好ましい。また、光透過部材20を板状とすることで、面状に構成される発光素子10の出射面との結合効率が良く、光透過部材20の主面とが略平行になるよう容易に位置合わせできる。加えて、光透過部材20の厚みを略一定とすることで、通過する光の波長変換量を略均一として混色の割合を安定させ、発光面90の部位における色むらを抑止できる。このため、1つの光透過部材20に複数の発光素子10を搭載する場合において、個々の発光素子10の配置に起因する発光面90内の輝度や色度の分布にむらが少なく略均一で高輝度の発光を得ることができる。なお、波長変換機能を備えた光透過部材20の厚みは、発光効率や色度調整において、10μm以上500μm以下であることが好ましく、さらには50μm以上300μm以下であることがより好ましい。
【0032】
波長変換部材は、青色発光素子と好適に組み合わせて白色発光とでき、波長変換部材に用いられる代表的な蛍光体としては、ガーネット構造のセリウムで付括されたYAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)及びLAG系蛍光体(ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)が挙げられ、特に、高輝度且つ長時間の使用時においては(Re1-xSmx)3(Al1-yGay)5O12:Ce(0≦x<1、0≦y≦1、但し、Reは、Y、Gd、La、Luからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。)等が好ましい。またYAG、LAG、BAM、BAM:Mn、(Zn、Cd)Zn:Cu、CCA、SCA、SCESN、SESN、CESN、CASBN及びCaAlSiN3:Euからなる群から選択される少なくとも1種を含む蛍光体が使用できる。波長変換部材は、光透過部材の他に、例えば光透過部材と発光素子との間、その結合部材中、発光素子と被覆部材との間、にも設けることもできる。光透過部材、波長変換部材及び焼結体も同様に発光装置中に配置できる。黄~赤色発光を有する窒化物系蛍光体等を用いて赤味成分を増し、平均演色評価数Raの高い照明や電球色LED等を実現することもできる。具体的には、発光素子の発光波長に合わせてCIEの色度図上の色度点の異なる蛍光体の量を調整し含有させることでその蛍光体間と発光素子で結ばれる色度図上の任意の点を発光させることができる。その他に、近紫外~可視光を黄色~赤色域に変換する窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、珪酸塩蛍光体を用いることができる。例えば、L2SiO4:Eu(Lはアルカリ土類金属)、特に(SrxMae1-x)2SiO4:Eu(MaeはCa、Baなどのアルカリ土類金属)などが挙げられる。窒化物系蛍光体、オキシナイトライド(酸窒化物)蛍光体としては、Sr-Ca-Si-N:Eu、Ca-Si-N:Eu、Sr-Si-N:Eu、Sr-Ca-Si-O-N:Eu、Ca-Si-O-N:Eu、Sr-Si-O-N:Euなどがあり、アルカリ土類窒化ケイ素蛍光体としては、一般式LSi2O2N2:Eu、一般式LxSiyN(2/3x+4/3y):Eu若しくはLxSiyOzN(2/3x+4/3y-2/3z):Eu(Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれか)で表される。
【0033】
(被覆部材)
被覆部材40は、
図1に示すように、光透過部材20の一部を被覆し、具体的には光透過部材20の側面の少なくとも一部を被覆する。そして、本発明においては、被覆部材が素子等から垂下され、光の漏れ経路の形成を防ぐことから、基板、更にはそれに設けられた配線より、被覆部材の反射率が高いことが好ましい。また、光反射材料を含有する被覆部材40は、その基材は透光性の樹脂材料が好ましく、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物等を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の透光性を有する絶縁樹脂組成物を用いることができる。また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れた被覆部材も利用できる。さらに、ガラス、シリカゲル等の耐光性に優れた無機物を用いることもできる。また、樹脂材料を成形することで、所望の形状に成形でき、また所望領域を被覆でき、本発明では光源部の発光素子、導光部材、光透過部材の表面、特にその側面を被覆して形成できる。また、その発光面側の表面も同様に所望形状とでき、図示するような平坦な面状の他、凹や凸の曲面とできる。実施の形態1では耐熱性・耐候性の観点から被覆部材としてシリコーン樹脂を使用する。
【0034】
また、被覆部材40は、上記基材中に少なくとも1種類の光反射性材料45を含有してなる。光反射性材料45を含有することで、被覆部材40の反射率が高まり、更に好適には低吸収性の粒子を用いると、光吸収、損失が低減され、光散乱性を備えた被覆部材とできる。被覆部材40中に含有される光反射性材料45は、Ti、Zr、Nb、Al、Siからなる群から選択される1種の酸化物、若しくはAlN、MgFの少なくとも1種であり、具体的にはTiO2、ZrO2、Nb2O5、Al2O3、MgF、AlN、SiO2よりなる群から選択される少なくとも1種である。光反射性材料の粒子が、Ti、Zr、Nb、Alからなる群から選択される1種の酸化物であることで、材料の高い反射性及び低吸収性とでき、基材、特に透光性樹脂との屈折率差を高められ、好ましい。また、被覆部材40は、上記光反射性材料による成形体でもって構成することもでき、具体的には上記粒子を凝集した凝集体、焼結体、などの多孔質材料とすることもでき、その他に、ゾル・ゲル法による成形体でもよく、上記光反射性材料と多孔質内の空気との屈折率差を大きくし、光反射性を高められるため、また無機材料で構成できるため、好ましい。一方、上記樹脂などの母材を備えた被覆部材と比較すると、所望の形状に成形すること及びその被覆領域の制御性が良く、また封止性能、気密性能を高めること、ができ、本発明では上記母材を備えた被覆部材とする方が好ましい。また、両者の被覆部材の特性を考慮して、両者の複合的な成形体とでき、例えば、多孔質成形体の外表面側に樹脂を含浸させ、発光素子側の内表面側では多孔質とした構造とできる。このように、被覆部材若しくはそれによる包囲体は、内部領域と外部とが連通されたり、気体透過性であったりしてもよく、少なくとも光が漏れ出さない形態であれば良い。
【0035】
上述した母材中に光反射性材料45を含有する被覆部材40では、その含有濃度、密度により光の漏れ出す深さが異なるため、発光装置形状、大きさに応じて、適宜濃度、密度を調整すると良い。例えば比較的小さな発光装置で肉厚を小さくする場合は、高濃度の光反射性材料45を備えることが好ましい。一方で、光反射性材料45を含有する被覆部材40の原料の調製、その原料の塗布、成形などの製造過程において、それに適したようにその濃度を調整する。上記多孔質体についても同様である。一例として、実施例の場合には、光反射性材料45の含有濃度は20重量パーセント濃度(wt%)以上、その肉厚は20μm以上とするのが好適であり、発光面90から高輝度で指向性の高い放出光が得られ、適度な粘性で被覆部材によるアンダーフィルの形成など容易にできる。また、光反射性材料の濃度を高くすれば被覆部材の熱拡散性を高めることができる。
【0036】
被覆部材の形成領域は、光透過部材20における少なくとも側面に被覆部材40を設け、好ましくは発光素子の側面も被覆し、更に好ましくは、光透過部材及び発光素子を含む光源部において発光面を露出させてその他を被覆し、導光部材30を介する場合も同様である。これにより、光透過部材の側面から光が漏れ出すのを回避でき、その側面からの比較的強度の大きい、また光り変換部材を有する場合は色味差を有する光を抑止して、放射光の指向性を良好にし、輝度ムラ、色ムラを低減できる。また、各部材、素子の側面を被覆して、光取り出し方向側へ制限することで、指向性、輝度を高められる。また、光透過部材20が波長変換材料を含有する場合には、この波長変換材料の発熱が特に著しいため、それを改善できる。光透過部材20の側面が被覆部材40により被覆され、かつ表面21が露出されていれば、その外面形状は特に限定されず、
図1に示すように表出面が光透過部材の表面21よりも窪んだ構造でもよい。この発光面90が突出することで被覆部材40による遮光を回避でき、また略同一面でもよく、所望の表面とできる。実施の形態1において、被覆部材40は受光面22の一部も被覆し、図示するように、発光素子10の周囲を、具体的に光透過部材の受光面22において発光素子10との対向域を除く領域を、被覆する。この構成により、
図2に観るように、受光面22において、光学的な接続領域(接合領域31)と、導光部材(被覆領域32,33)を介して被覆される被覆領域とが設けられる。また、被覆領域で、光透過部材の受光面22側へと進行した光を光取り出し側へと反射させ、基板50での光吸収などによる一次光の光損失を抑制できる。
図5,8に示すように、複数の発光素子10が1つの光透過部材20に接合される場合には、その発光素子間(第2の被覆領域34)についても被覆部材40が充填されて、受光面22の離間領域を被覆することが好ましい。接合領域の光変換部材の熱に対し、この構成により上記離間領域の放熱性を高めることができ、上述のように光透過部材の突出部、第1の被覆領域32においても同様に好ましい。
【0037】
(添加部材)
また、被覆部材40には、光反射性材料45、光変換部材の他、粘度増量剤等を適宜添加することができ、これによって所望の発光色、それら部材若しくは装置表面の色、例えば高コントラスト化の為の黒色など、また所望の指向特性を有する発光装置が得られる。同様に不要な波長をカットするフィルター材として各種着色剤を添加できる。他の部材、また導光部材、封止部材、光透過部材などの光透過性材料も同様である。
【0038】
(導光部材)
導光部材30は、発光素子10と光透過部材20との間に介在して双方の部材を固着する接着剤に用いられる。この導光部材は、透光性を有して、発光素子10の出射光を光透過部材側へ導光でき、双方の部材を光学的に結合できる材質が好ましい。その材料としては上記各部材に用いられる樹脂材料が挙げられ、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂など透光性の熱硬化性樹脂がよく、シリコーン樹脂は耐熱性、耐光性に優れるため好ましい。また、シリコーン樹脂を使用すれば、上記フッ素系離型剤の効果が高いため好ましい。さらに、ジメチル系シリコーン樹脂であれば高温耐性など信頼性において優れ、フェニル系シリコーン樹脂であれば屈折率を高くして発光素子10からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0039】
(実装基板50)
一方、
図1の発光装置100において、上記の発光素子10が実装される基板50は、少なくとも表面が素子の電極と接続される配線51を形成したものが利用でき、また外部接続用の配線52などが設けられても良い。基板の材料は、例として窒化アルミニウム(AlN)で構成され、単結晶、多結晶、焼結基板、他の材料としてアルミナ等のセラミック、ガラス、Si等の半金属あるいは金属基板、またそれらの積層体、複合体が使用でき、金属性、セラミックは放熱性が高いため好ましい。なお、基板50は配線が無くてもよく、例えば
図4の素子で成長基板側を実装して素子の電極を装置の電極にワイヤー接続する形態、光透過部材に配線を設けて接続する形態でもでもよい。また、図示する発光装置のように、被覆部材40が実装基板50の上に設けられる形態の他、実装基板50の外側側面も覆う形態でもよい。また実装基板50は、少なくともその表面が高反射性材料で構成されることが好ましい。
図1,2に示すように、発光素子10は、導電性接着材60により配線51上に接着されて外部と電気的に接続される。導電性接着材60は、半田、Agペースト、Auバンプなどが利用できる。
【0040】
(枠体、積層基板、基材)
図1に示す発光装置100は、枠体55を有し、被覆部材40の保持部材である。枠体55は、セラミックや樹脂などで形成することができる。光反射性の高いアルミナが好ましいが、表面に反射膜を形成すればこれに限らない。樹脂であれば、スクリーン印刷等を用いるほか、成形体を実装基板に接着してもよい。また、被覆部材40と同様に光反射性材料を用いるなどして、反射率を高くすると好ましい。また、上記添加部材同様に、枠体を目的に応じて着色してもよい。なお、この枠体は、被覆部材を充填又は成形後に、取り外すこともできる。また、枠体として、積層基板56、基材などでキャビティ構造を有する装置基体など、発光素子の実装基板に一体に形成されている形態でもよい。
【0041】
(発光装置の製造方法)
図1に示される例の発光装置100の製造方法の一例として以下に説明する。まず、実装基板50上または発光素子10にバンプ60を形成しフリップチップ実装する。この例では個片化前の基板50上で、1つの発光装置に対応する領域に1個のLEDチップを並べて実装する。次に、発光素子10の出射面側(サファイア基板裏面あるいはLLOで基板除去した場合であれば窒化物半導体露出面)に、導光部材30を塗布して、光透過部材20を積層し、その樹脂30を熱硬化して接合する。次に、発光素子10の周囲に立設された枠体55内に、光透過部材20の側面を被覆するように、ディスペンサ(液体定量吐出装置)等により、被覆部材40を構成する樹脂をポッティングする。滴下された樹脂40は、表面張力によって発光素子10、光透過部材20の側面を這い上がり被覆し、表面21より枠体55に向かって低くなる傾斜表面が形成される。また、樹脂40の表出面を表面21と略同一面となるよう平坦化してもよい。そして、樹脂40を硬化させた後、所定の位置でダイシングを行い、所望の大きさに切り出して発光装置100を得る。
【0042】
(実施の形態2)
図5(a)は、本発明の実施の形態2に係る発光装置200の概略断面図であり、
図5(b)はその光源部周辺を説明するための概略断面図である。発光装置200において、発光素子10の個数および導光部材30の構造を除く他の構成については、上述の実施の形態1と実質上同様であり、したがって同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0043】
本発明の発光装置において、1つの光透過部材20に接合される発光素子10の個数は特に限定されない。実施の形態1の単数に対して、発光素子10を複数とすることで、光透過部材、発光面の大きさ、形状に応じて、また所望の発光特性とするために、複数の発光素子を適宜配置でき、また個別に駆動させることもでき、所望形状、発光特性の発光面が得られ好ましい。なお、複数の発光素子10を搭載する場合、互いに適度に離間して設けられ、またこの離間距離は、発光装置の配光特性、放熱性、並びに発光素子の実装精度を考慮して適宜決めることができ、例えば、発光素子の寸法に比して10%以内とする。このほか、複数の発光素子10は互いに結合されていてもよい。また、本実施の形態では、2つを列状に並べているが、これに限らず、格子状配置など、また規則的、不規則的など、種々の配置が可能であり、好適には各素子間を略等間隔で配置して強度分布を小さくすると良い。
【0044】
発光装置200は、実装基板50上に複数(図中は2個)の発光素子10が互いに離間されて実装されており、その複数の発光素子10を包含する大きさの受光面22を有する光透過部材20が、その上に導光部材30を介して接合されている。なお、この発光装置200では、枠体は基板50に積層されてキャビティ構造を有する基体56となっており、また、上面側の実装素子用の配線層51とそれに電気的に接続され、外部接続用の配線層52が基体56下面側にも設けられている。
【0045】
このような発光装置200において、接合領域31は、光透過部材の受光面22と各発光素子10の出射面との対向領域に各々設けられる。また、上述した第1の被覆領域32は、複数の発光素子の中で、受光面内で外側に配置される発光素子10で、その外側に面した側面に設けられ、また受光面22の周縁部を突出表面として被覆し、その外表面に第1の反射面33が設けられて、発光素子10から側方に出射される光を光透過部材の受光面22側に反射し、導光することができる。また、この例では、図示していないが、受光面の一端部に複数の発光素子が配置され、その端部側の側面に第1の被覆領域、第1反射面が各々設けられるが、それが各素子単位で分離されていても良い。好ましくは互いに接合され、1つの第1の被覆領域、第1反射面が共通であると良く、それが形成される程度に近接して配置されると良い。この時、素子間で、凹みが設けられた第1の被覆領域で有っても良い。
【0046】
また、1つの光透過部材20の受光面22側に複数個の発光素子10を接合する場合、導光部材30は、隣接する発光素子に挟まれた離間領域においても垂下し、すなわち隣接する発光素子10の互いに対向する側面の一部と、該素子に挟まれた受光面22の一部と、を接合領域31から延在して被覆する第2の被覆領域34を有する。この第2の被覆領域34は通常、隣接する発光素子10の互いに対向する側面同士を接続するように設けられる。また、この第2の被覆領域34の外表面も、発光素子10の実装面より光透過部材20側に位置していることにより、すなわち実装基板から導光部材が分離されることで、基板50に導光、漏洩して吸収されることを防止できる。そして、この第2の被覆領域34の外表面に、発光素子10から出射される光を受光面22側に反射させる第2の反射面35が設けられている。このように、1つの光透過部材20の受光面22に複数の発光素子10が搭載される発光装置において、導光部材30の第2の反射面35により、複数の発光素子10から側方、その離間領域に出射される光を良好に取り出し、光透過部材の受光面22側に反射して光透過部材20に光結合できる。また、この第2の反射面35についても、実施の形態1の発光装置100における第1の反射面と同様の傾斜面を有することが好ましい。特に、図示するように、素子間で1つの凸曲面であると、離間領域において好適に各素子からの出射光を反射して、相互に混合させることができ好ましい。
【0047】
なお、第2の反射面35は、光透過部材の受光面22からの距離が、その発光素子10における各出射面より遠くに設けられていることが好ましい。これにより、
図8(実施の形態5)のように出射面より受光面の近くに反射面35、又は上記凸曲面の突端が設けられる場合、出射面と受光面との間に設けられる場合に比べて、各発光素子10の出射光を広範に拡散して導光することができ、離間領域における光束の低下を軽減し、したがって、各発光素子10の配置及びその配光に起因する輝度むら、色度むらを低減することができ、発光面内の輝度を均一化することができる。他方、
図8に見るような前者の場合は、各発光素子を分離しやすく、輝度むらが大きくなるが、光取り出し効率を高められ、それを利用する場合には好ましい。
【0048】
また、複数の発光素子10は、少なくとも1組が、実装ズレなどにより出射面の高さが異なり、その各発光素子の出射面から光透過部材の受光面22までの距離が互いに異なように、導光部材を介在させると良い。これにより、1つの発光素子10からその隣接する発光素子10への光入射を低減し、発光素子10内での光吸収による光束の損失を抑えることができる。このような形態は、発光素子10を実装基板50上に接着させる導電性接着材60の厚みなどにより調整することができる。
【0049】
第2の反射面35は、第1の反射面同様に、導光部材30と隣接する発光素子10に挟まれた被覆部材40との界面に設けられていることが好ましい。隣接する発光素子に挟まれた離間領域は、実装基板50上には、配線などの金属膜が形成されず基板表面が露出される場合も多く、光吸収を生じやすいため、少なくともこの基板の表面が被覆部材により被覆されていることが好ましく、被覆部材40が充填され、第2の反射面35が被覆部材40との界面に設けられていることが更に好ましい。また、上述のように、離間領域に充填された被覆部材40と第2の反射面35との間に空隙が設けられた形態でもよい。
【0050】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る発光装置の光源部周辺を説明する概略断面図である。この発光装置において、発光素子10と光透過部材20との大きさの関係および導光部材30の構造を除く他の構成については、上述の実施の形態1と同様であり、したがって同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図6に示す例の発光装置において、光透過部材の受光面22は、発光素子10の出射面より小さく、出射面の一部が受光面22より外側に突出している。言い換えれば、光透過部材20の側面は発光素子10の側面より内側に位置している。このような発光装置は、発光装置の発光面90を比較的小さい光放出の窓部として、放出光の輝度を高めることができる。すなわち、上述の実施の形態1,2と異なり、導光部材が発光素子の突出表面と、その突出した端部より内側に設けられた光透過部材の側面とに延在されて、その領域を被覆している。
【0051】
本実施形態の発光装置において、導光部材30は、発光素子10の出射面の光透過部材との対向領域と、光透過部材の受光面22と、を接合する接合領域31を有する。また、導光部材30は、この接合領域31から延在して、光透過部材20の側面に這い上がり、光透過部材20の側面を被覆する第1の被覆領域32を有している。この光透過部材20の側面を被覆する第1の被覆領域32は、発光素子10の出射光を反射して集光し、特にその端部の光を反射して、光透過部材20側に導光することができる。また、この第1の被覆領域32の外表面も、発光素子10の実装面より光透過部材20側に位置していることにより、実装基板50への光の漏洩を防止できる。ここで、第1の被覆領域32の被覆部材40側に面する外表面、すなわち第1の被覆領域32の光透過部材の側面と対向する外表面は、発光素子10の出射光を光透過部材20側に反射させる第1の反射面33を有している。したがって、第1の被覆領域32に透過された光は、第1の反射面33により光透過部材20側に反射されて、該反射光が光透過部材20に光結合し、発光面90から装置外部へ放出される。このように、発光素子10から光透過部材の受光面22側に出射される光を、光透過部材に効率良く光結合させることにより、発光素子10から出射される光の利用効率を高めることができる。
【0052】
本実施の形態の発光装置における第1の反射面33も、実施の形態1,2の発光装置100における第1の反射面33と同様の界面の構成とすることができ、また同様に、特に被覆部材40との界面に設けられていることが好ましい。また、第1の被覆領域32の光透過部材20の側面と対向する外表面は、該側面から発光素子10の出射面側に傾斜した傾斜面であるで、第1の反射面33も同様に傾斜した傾斜面となり、光透過部材20側に良好に反射させることができ好ましい。さらに、この傾斜面は平面であってもよいが、上述したように接合領域31に向かって凸な凸曲面であることで第1の反射面33の表面積を増大でき、光の反射効率を高めることができるので好ましい。
【0053】
一方、
図6に示す例の発光装置において、発光素子10の側面は導光部材30から露出されており、光反射性の被覆部材40により被覆されていることが好ましい。このように、導光部材30の外表面が、発光素子10の出射面と光透過部材20の側面とを接続するように設けられることにより、導光部材30が発光素子10の側面も被覆する場合に比べて、導光部材30の外表面の外側への膨らみを抑えることができる。したがって、導光部材30の外表面で反射される光の光透過部材20までの光路長を短くすることができ、導光部材30内での光吸収を低減し、光透過部材20への光結合効率を高めることができる。また、光透過部材20側への光反射に適した形状、傾斜角を有する第1の反射面33を形成しやすくなり、第1の反射面33による反射効率を高めることができる。
【0054】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4に係る発光装置の光源部周辺を説明する概略断面図である。
図7に示す例において、導光部材30の形態、並びに光透過部材の表面21の形状を除く他の構成については、上述の実施の形態1と実質上同様であり、したがって同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図7に示す例の発光装置において、光透過部材の受光面22は、発光素子10の出射面より大きく、受光面22の一部が発光素子10の出射面より外側に突出している。そして、導光部材30は、光透過部材の受光面22の発光素子との対向領域と、発光素子10の出射面と、を接合する接合領域31を有し、また接合領域31から延在して光透過部材20の突出部の受光面22を被覆し、発光素子10の実装面より光透過部材20側に外表面を有する第3の被覆領域37を有している。また発光素子10の側面及び光透過部材20の側面は、導光部材30から露出されている。そして、この第3の被覆領域37の外表面は、発光素子10から出射される光を、光透過部材20の受光面22側に反射させる第3の反射面38を有している。ここで、第3の被覆領域、第3の反射面は、それぞれ上述の第1の被覆領域、第1の反射面の一形態である。
【0055】
第3の被覆領域37の外表面は、発光素子10の出射面の終端から光透過部材20の突出部の受光面22側に傾斜した傾斜面であることが好ましい。これにより、第3の反射面38が発光素子10の出射面の端部から光透過部材20の突出部の受光面22側に傾斜した傾斜面となり、発光素子10の出射光、光透過部材からの反射光、発光を光透過部材の受光面22側に良好に反射させることができる。さらに、この傾斜面は平面であってもよいが、接合領域31に向かって凸な凸曲面であることで、平面である場合に比して第3の反射面38の表面積を増大でき、光の反射効率を高めることができるので好ましい。また、第3の反射面38は、実施の形態1の第1の反射面33と同様に、被覆部材40との界面に設けられていることが好ましいが、空隙により被覆部材40とが離間されてもよいし、金属膜や誘電体多層膜を設けて形成することもできる。
【0056】
このような導光部材30でもって、発光素子10と光透過部材20とを接合することにより、接合領域31だけで発光素子10と光透過部材20とを接合する場合に比して、発光素子10の出射光を好適に結合することができ、発光面内の輝度や色度分布の均一化を図ることができる。このような導光部材30の導光機能は、光透過部材20の側面に対する発光素子10の側面の突出長さに依るため、例えば上述の範囲とするとよい。このような導光部材30の被覆形態は、導光部材の量、突出幅、表面積を適宜調整することで達成でき、また発光素子10の側面の略全域に離型剤を塗布し発光素子10の側面への導光部材30の垂下を妨げることにより達成できる。光透過部材20の側面にも離型剤を塗布しても良く、高精度に作製できる。この例では、発光素子の側面が露出されるため、実施の形態1,2のように側面が被覆されないことで、戻り光、変換光に対して導光部材による素子への再入光を抑えることができ、すなわち、導光部材と発光素子との接触面積を最小にして、結合効率を高められる。また、
図7に示す例で光透過部材の表面23は凹凸面となっており、光透過部材20を透過する光を該凹凸により散乱させ、光透過部材20からの光の取り出し効率の向上、また輝度むらや色むらの低減、均一な配光を図ることができる。特に、複数の発光素子10を搭載する場合には、そのことに起因する輝度むら、色むらが低減されるので好ましい。このような凹凸は、光透過部材の表面に研磨、ドライエッチング、ウエットエッチングなどの処理を形成でき、不規則な凹凸構造のほか、規則的なパターンの凹凸構造も形成できる。また、このような凹凸構造は、光透過部材の表面だけでなく、受光面、さらに光路上にある各部材の表面に設けて同様な効果を得ることができ、特に導光部材との界面若しくはそれと接する部材の表面、例えば、基板1の半導体層11側表面に設けてもよく、実施例では詳述していないがそのような構造を用いている。
【0057】
(変形例)
なお、上述の実施の形態1~4では、主として発光素子及び光透過部材のいずれか一方が、他方に内包される、つまり他方の内側にある場合について記述したが、本発明の発光装置における発光素子と光透過部材の関係は、この形態に限られず、一方が、他方より外側に突出した突出部を少なくとも部分的に有していればよい。例えば、発光素子を構成する側面のうちの1つ、あるいは1つの側面の一部が、光透過部材を構成する側面から外側に突出して、他の側面が互いに略同一面となる、又は光透過部材が突出しているような形態でもよく、またその逆の形態でもよい。このような形態では、その突出した1つの側面又はその側面の一部に第1の被覆領域が設けられる。また、上面視において、発光素子及び光透過部材のいずれか一方の両側に突出部が設けられる形態であってもよい。このような形態の場合、突出部を有する領域の断面において、実施の形態1及び実施の形態2で説明した第1の被覆領域32の少なくとも一方が設けられる。また、発光素子が複数の場合には、各素子でそれぞれ発光素子と光透過部材に第1の被覆領域が設けられて混在することもある。好適には、いずれか一方に第1の被覆領域が設けられる形態、すなわち第1,3の実施形態のいずれかとすることがその導光部材の機能上好ましく、またその一部側面に略同一面が混在しても良い。更に好ましくは、光透過部材の外周全体で発光素子との間で第1の被覆領域がいずれかの形態で統一されていると良い。これは、発光面内の輝度および色度にむらを低減できるためであり、発光素子及び光透過部材のいずれか一方の側面が他方より内側に内包されていることが最も好ましい。
【0058】
以上説明したように、本発明における導光部材は、発光素子と光透過部材の表面と、その間に設けられ、両者を光結合させ、それにより複合光源を形成するものであり、その素子と部材間で、それらが対向する接合領域と、一方の突出表面、又はそれとその端部より内側に設けられた他方の端面は、その接合領域から延在して被覆した上記第1の被覆領域と、が設けられる。導光部材は、具体的には、樹脂材料を用い、接着剤としても利用するため、上述した通り、突出表面を設けることで、接合領域からその表面まで濡れて広がり、また、その突出表面から更に他方の端部となる側面にまで濡れて広がっても良い。このように、導光部材はその作製時、具体的には樹脂硬化前に、各表面への樹脂の濡れを利用しているため、先ず、その材料の量及びその塗布方法と、上記突出表面の突出幅、面積で制御し、それに加えて、離型剤を用いて他の領域への広がりを制御できる。従って、導光部材の具体的な形態としては、接合領域においてその肉厚は、光透過部材より小さく、更に成長基板より小さくして、複合光源を小さくし、その結合効率を高めることが好ましい。また、その時の突出幅は、発光素子又は光透過部材の肉厚に比して0.25倍~5倍程度とすることで製造時の制御が容易で、好適な素子からの光の拡散、集光ができる。上述の通り、実施の形態1,3に示すように、一方の突出部から他方の端部を被覆する場合は、突出部側の端部は露出されていることが好ましく、被覆される場合に比して、光源の広がりを抑えて、本発明の各特性の向上を図ることができ好ましい。また、被覆する場合には、上記他方の端部のそれより薄肉であると、その影響を小さくでき、また後述の被覆部材と同様な効果が期待でき好ましい。
【0059】
また、突出表面の被覆領域は、上述の通り、
図7に示すように接合領域より薄肉にすると好ましいが、素子側面を離型処理して露出させ、厚肉にしても、本発明の効果を期待できる。第1,3の実施の形態に観るように、素子側面の被覆領域により、各種特性が影響を受けるが、半導体層11と異なる異種材料の透光性基板1を有する場合には、その基板を被覆することで、導光部材と同様に、光透過部材と素子間の光伝搬領域として、その導光部材の機能を補助させることができ好ましい。特に、光変換部材の場合には変換光の成分もその領域に含まれるため、色度むら、配向性に効果がある。また、基板1が除去された素子では、出射面からの光成分が側面よりも極めて多くなるため、素子側面が露出されても良い。上述の通り、被覆部材があることで、複合光源への光閉じ込め、発光面からの光放出、及びその結合における導光部材の機能を補助できるが、金属膜や誘電体多層膜のような反射膜でも代用できる。実施例のように、光反射材料を有する場合には、基材中に光がしみ出すため、被覆内部よりも光源の光が広がることになり、これにより、光の拡散、集光の効率が高められ、更に、発光特性、輝度ムラ、指向性に好適に、特に導光部材の機能に相乗的に寄与し、好ましい。また、光変換部材の場合にも、色むら、配向性に好適に寄与して好ましく、更に、その側面が被覆されることで、表面21と色、波長成分比の異なり、比較的高い、側面発光を抑えられ好ましい。
【0060】
また、発光素子10及び光透過部材20,24のいずれか突出部を有するほうの部材は、他方の部材と対向する側の表面と該表面から連続する側面とに明確な境界がなくてもよい。例えば、実施の形態1の発光装置100において、光透過部材20の受光面22と側面とが一体化されて1つの曲面、例えば球面又はその一部により構成されていてもよい。さらに、光透過部材の受光面22と発光素子10の出射面とを熱圧着による結晶接合等により直接接合して、突出部に第1の被覆領域を有し、複数の発光素子を有する場合にはその素子間に第2の被覆領域を有する導光部材30を形成することもできる。
【0061】
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5に係る発光装置300の概略断面図であり、発光装置300において、上述の実施の形態1乃至4と実質上同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図8に示す例は、光反射性材料45を含有する被覆部材40により発光素子10及び光透過部材20を被覆して、光透過部材20の表面21を発光面とする面発光型の光源を形成し、その光源を覆って、更に被覆部材の一部を覆って、半球状の光学レンズとなる封止部材80を設けたものである。この発光装置300は、実装基板50の上面側の配線パターン51上に複数(図中は2個)の発光素子10がフリップチップ実装されており、その上に1つの光透過部材20が導光部材30により接合されている。なお、実施の形態1で見る枠体は、この例では被覆部材40を成形後に除去しており、被覆部材40の側面が外部に露出されて発光装置の外表面を構成している。光透過部材の受光面22の断面の幅は、最も外側に位置する発光素子10の各外側の側面間の距離より小さく、言い換えれば、複数の発光素子が設けられる領域の幅より小さい。また、最外郭に位置する発光素子10の側面は、光透過部材20の側面より外側に突出している。そして、導光部材30は、隣接する発光素子に挟まれた離間領域には、実施の形態2と同様の第2の被覆領域及び第2の反射面35を有し、光透過部材20の側面と最外郭に位置する発光素子10の出射面の突出部とを接続する領域に実施の形態3と同様の第1の被覆領域及び第1の反射面33を有している。
【0062】
このような発光装置300の構成によれば、導光部材30の第1及び第2の被覆領域、第1及び第2の反射面33,35により、発光素子10から出射される光を光透過部材20へ効率良く結合することができ、また光透過部材20から封止部材80へ光を効率良く取り出すことができ、より高出力の発光装置が得られる。また、光学レンズ80により、光透過部材の表面21における配光特性よりその放出光は誇張される或いは変化するが、本発明の導光部材30により、光の輝度、色度のむらを均一化できるため、配光特性に優れた発光装置が得られる。さらに、該封止部材80は、光透過部材の表面21と被覆部材40の表面の一部を連続して被覆しており、封止部材80の光を、被覆部材40表面で反射させ外部に効率良く取り出せ、被覆部材40の発光側の表面を光透過部材20の側面から基板50側に傾斜した凹面とすることで、光が拡散され、発光装置の放出光を広い配向とできる。このように本発明の発光装置には、発光面の光透過部材表面に光学部材を接合して、所望の発光特性とすることができる。
【0063】
(封止部材)
ここで、封止部材80は、光透過部材より屈折率が低いと、その表面21と接合して光の取り出し効率を向上させることができる。封止部材80の発光側の表面は目的に応じて種々の形状に形成することができる。例えば
図8に示すように、発光側の表面を球面状(半球面状)のレンズ形状、凸曲面とすることで、光透過部材の発光に対し効率良く外部に取り出すことができる。また、これに限らず、種々の光学素子、所望形状の光学部材とでき、凹レンズ形状、放物曲面、先端が平坦な凸形状とでき、また凹凸面として光を散乱させてもよい。
【0064】
封止部材80は、上述の被覆部材30の基材、導光部材と同様に、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂材料を用いて形成することができる。また、封止部材80は、発光素子10や光透過部材20を保護する封止材としての役割も果たすため、耐候性、耐熱性、硬度に優れる材料が好ましく、上記のなかではエポキシ樹脂、又は硬質のシリコーン樹脂が好ましい。このほか、ガラスを用いてもよい。さらに、封止部材80に、上述のような蛍光体、及び/又はTiO2などの光散乱粒子、及び/又は石英ガラス等のフィラーなどを適宜添加することができる。封止部材80は圧縮成形、トランスファー成形などにより形成する。
【0065】
(実施の形態6)
図9は、本発明の実施の形態6に係る発光装置400の概略断面図であり、上述の実施の形態1,2と実質上同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図9に示す例の発光装置400において、凹部を有する実装基体(パッケージ)56の底部の略中央に発光素子10がフリップチップ実装されている。その実装部は、実装基体56の一部であるが、サブマウントであってもよい。発光素子10上には、導光部材30を介して光透過部材24が載置され、接合されている。そして、凹部が封止部材84で充填されて、発光装置400の発光面82となる表面を有する光変換部材81により、凹部が閉蓋されている。光透過部材24、光変換部材81は、それぞれ上述の光透過部材、上述の光透過部材20が波長変換材料を含有する場合と同様の構成とすることができ、封止部材も実施の形態5と同様の構成、例えば透光性樹脂で構成できる。特にこの例では、光透過部材24に波長変換材料を含まずともよく、図示するような板状の他、集光、拡散可能な光学素子でも良く、光散乱材を混合してもよい。また、凹部の内面から実装部の凸部側面を被覆するように、凹曲面の表面を有する反射膜が設けられ、各部材24,84に向かって反射・集光させることができる。ここでは、この反射膜を、上記光反射性材料46を含有する被覆部材41により形成して、上述した樹脂の這い上がりにより凹曲反射面としている。なお、被覆部材41は、その表面に被覆部材41の代替としてAgやAl等高反射性の金属膜を形成してもよいし、上述のような蛍光体を含有する光変換部材を設けてもよいし、被覆部材を設けず、従来のように実装基体の内面を反射面とする形態でも良い。また凹部内は、封止部材84に光変換部材が含有されても良く、気密封止、大気であっても良く、また上記部材81は、部材24同様に光変換部材を含有しない部材でも良い。すなわち、各部材24,41,81,84のいずれかに光変換部材を設けて変換光を含む発光装置とでき、いずれにも含まれずに発光素子の発光を取り出す発光装置とすることもできる。
【0066】
このような発光装置400においても、上記実施の形態2と同様に、導光部材30は上述の接合領域31と第1の被覆領域と第1の反射面33を有し、凹部内は封止部材84で充填されるため、第1の被覆領域の外表面は透光性の封止部材との界面を成しており、第1の反射面33はその界面に設けられている。すなわち、導光部材と封止部材とに屈折率差を設けると、その界面反射を利用でき、第1の被覆領域側を高屈折率にすると反射率を高くでき好ましく、気密封止の場合も同様である。発光素子10から光は全方位に拡散されて放出されるが、その一部の光成分を、第1の反射面33の内面により光透過部材24の受光面26側に光を反射させてその発光面25から出射させ、一部を凹部で反射させ、
光透過部材81から取り出すことができる。したがって、発光素子10の光を光透過部材24で集光させて表面25から放出し、正面方向、発光面82の輝度を高め、凹部内での光の拡散を抑制して光吸収を低減することができる。また第2の反射面35及びその第2の被覆領域も同様である。
【0067】
さらに、発光素子10が光反射性の被覆部材40に被覆されていない本実施の形態4の場合には、発光素子10の側面に設けられる第1及び第2の被覆領域の被覆範囲は、実施の形態1と同様、又は実施の形態1より広範なほうが好ましい。発光素子10側面の導光部材30による被覆範囲が広ければ、発光素子10から導光部材30内への光の取り出し効率を高められ、さらに第1及び第2の反射面33,35の表面積を増大でき、光透過部材20への光の結合効率を高められる。但し、上述のように、実装基体56での光吸収による光の損失を回避するため、導光部材30は、発光素子10の実装面より光透過部材20側に位置する外表面を有し、実装基体56の表面と離間されていることが好ましい。
【0068】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0069】
(実施例1)
実施例1の発光装置の光源部は、
図5に示すように、AlNのセラミックス基板50の配線51上に、発光素子10として約1mm×1mmの略正方形のLEDチップ(サファイア基板10上に窒化物半導体11が積層された構造で発光波長455nm)2個をフリップチップ実装し、その上に板状の光変換部材である光透過部材20としてYAGとアルミナ(Al
2O
3)との焼結体、この表面21及び受光面22の外形は約1.1mm×2.2mmの略矩形状であり、厚みは約150μm、を1枚載置し、導光部材30により互いに接合する。このとき、導光部材30となるシリコーン樹脂は、各LEDの出射面(基板1の裏面)上に適量をピンセットで塗布し、その上に光透過部材20をピンセットで載置し、発光素子10の側面の一部に垂下させ、150℃のオーブン内で60分間樹脂を熱硬化し、図示するように2つのLEDが光透過部材の受光面に内包されるように接着する。このようにして、導光部材30に、LEDと光透過部材間の接合領域31と、LEDの光源の外側の側面を被覆する第1の被覆領域32と、LED間の内側の側面を被覆する第2の被覆領域34が形成され、この時、LED側面は、基板と、半導体層11の一部又は略全部に導光部材が形成される。そして、
図1に示すように、基板50の配線51上にLEDを実装し、発光素子10及び光透過部材20を包囲する枠体の内側の凹所に被覆部材40を充填し、光透過部材20の表面21が発光面として露出される状態、発光素子10および光透過部材20が被覆部材40により被包し、
図8に示すように枠体を除去して発光装置を得る。ここで、被覆部材40は、粒径約270nmのTiO
2の微粒子である光反射性材料45を約23重量パーセント濃度で含有するシリコーン樹脂である。この実施例1の発光装置は、電流350mAで駆動させると、光束約167[lm](色度y値約0.339)、最大輝度6086[cd/cm
2]、平均輝度3524[cd/cm
2]で発光する、高光束かつ高輝度のものが得られる。
【0070】
(実施例2)
実施例2の発光装置は、
図6に示すように、1つの発光素子の出射面に1つの光透過部材の受光面が内包される形態であり、実施例1における発光素子を、1つのサファイア基板上に6つの素子構造が設けられた約1mm×6.5mmの略矩形状の1個のLEDチップ10とし、さらに光透過部材20を約0.8mm×6.3mmの略矩形状として、実施例1と同様に発光装置を作製する。なお、光透過部材20の載置時に、軽く押圧して、導光部材30を光透過部材20の側面の一部に這い上がらせ第1の被覆領域32を形成する。この実施例2の発光装置は、電流700mAで駆動させると、光束約740[lm](色度y値約0.280)、最大輝度4629[cd/cm
2]、平均輝度4123[cd/cm
2]で発光する、高光束かつ高輝度のものが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の発光装置は、照明用光源、LEDディスプレイ、液晶表示装置などのバックライト光源、信号機、照明式スイッチ、各種センサ及び各種インジケータ等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0072】
10…発光素子(1…成長基板、2…第1導電型(n型)半導体層、3…活性層、4…第2導電型(p型)半導体層、5…透光性導電層、6…第2の電極(p側パッド電極)、7…第1の電極(n側パッド電極)、8…保護膜、11…素子構造)
20,24…光透過部材(21,23,25…表面、22,26…受光面)
30…導光部材(31…接合領域、32…第1の被覆領域、33…第1の反射面、34…第2の被覆領域、35…第2の反射面、37…第3の被覆領域、38…第3の反射面)、40,41…被覆部材、45,46…光反射性材料
50…実装基板(51,52…配線、55…枠体、56…積層基板又は基材)、60…導電性接着材