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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083495
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】接合装置および接合方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240614BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061924
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2023567191の分割
【原出願日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2022100457
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
(72)【発明者】
【氏名】川崎 朋義
(57)【要約】
【課題】被接合物の接合面全体を均一に活性化処理できる接合装置および接合方法を提供する。
【解決手段】接合装置は、基板W1を保持するステージ141と、ステージ141に対向して配置され、基板W2を保持するヘッド142と、ステージ141に固定され、ステージ141における基板W1が配置される領域の外側から基板W2の接合面の一部を含む領域へ粒子ビームを放射する粒子ビーム源161と、ヘッド142を、基板W1、W2が互いに近づく第1方向または基板W1、W2が離れる第2方向へ移動させるヘッド駆動部144と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの被接合物を接合する接合装置であって、
前記2つの被接合物のうちのいずれか一方の被接合物を保持する第1被接合物保持部と、
前記第1被接合物保持部に対向して配置され、前記2つの被接合物のうちの他方の被接合物を保持する第2被接合物保持部と、
前記第1被接合物保持部に固定され、前記第1被接合物保持部における前記一方の被接合物が配置される領域の外側から前記他方の被接合物の接合面の一部を含む領域へ粒子ビームを放射する第1粒子ビーム源と、
前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部との少なくとも一方を、前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部とが互いに近づく第1方向または前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部とが離れる第2方向へ移動させる駆動部と、を備える、
接合装置。
【請求項2】
前記第2被接合物保持部に固定され、前記第2被接合物保持部における前記他方が配置される領域の外側から前記第1被接合物保持部における前記一方の被接合物の接合面の一部を含む領域へ粒子ビームを放射する第2粒子ビーム源を更に備える、
請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記第1粒子ビーム源の粒子ビームの照射方向は、前記他方の被接合物の接合面の垂線に対して傾斜しており、
前記第2粒子ビーム源の粒子ビームの照射方向は、前記一方の被接合物の接合面の垂線に対して傾斜している、
請求項2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記第1粒子ビーム源と前記第2粒子ビーム源との少なくとも一方は、粒子ビームを放射する列状に配置された複数の放射口を有し、前記複数の放射口の並び方向が前記2つの被接合物のうちの、前記放射口から放射される粒子ビームが照射される被接合物の接合面と平行になる姿勢で配置されている、
請求項2または3に記載の接合装置。
【請求項5】
前記第1粒子ビーム源と前記第2粒子ビーム源との少なくとも一方は、
粒子ビームが照射される被接合物の接合面に沿った方向に配列する複数の放射口を有し、
前記複数の放射口それぞれの開口面積は、前記複数の放射口の並び方向における中央部から離れた位置に配置される放射口ほど大きく設定されている、
請求項2または3に記載の接合装置。
【請求項6】
前記第1粒子ビーム源と前記第2粒子ビーム源との少なくとも一方は、
粒子ビームが照射される被接合物の接合面に沿った方向に配列する複数の放射口を有し、
前記複数の放射口それぞれの粒子ビームの放射方向は、前記複数の放射口の並び方向における中央部から離れた位置に配置される放射口ほど前記並び方向と直交する方向から前記並び方向における一方の端部側への傾斜角度が大きく設定されている、
請求項2または3に記載の接合装置。
【請求項7】
前記駆動部は、前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部との間の距離が長くなるほど移動速度が遅くなるように、前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部との少なくとも一方を移動させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項8】
前記2つの被接合物の少なくとも一方は、直径6インチ以下の平面視円形の基板である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の接合装置。
【請求項9】
2つの被接合物のうちのいずれか一方の被接合物を第1被接合物保持部に保持させ、前記2つの被接合物のうちの他方の被接合物を、前記第1被接合物保持部に対向して配置された第2被接合物保持部に保持させた状態で、前記第1被接合物保持部に固定された第1粒子ビーム源が、前記第1被接合物保持部における前記一方の被接合物が配置される領域の外側から前記第2被接合物保持部における前記他方の被接合物の接合面の一部を含む領域へ粒子ビームを照射しながら、前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部との少なくとも一方を、前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部とが互いに近づく第1方向または前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部とが離れる第2方向へ移動させることにより、前記2つの被接合物それぞれの接合面を活性化させる活性化工程と、
接合面が活性化された前記2つの被接合物の接合面同士を接触させることにより、前記2つの被接合物同士を接合する接合工程と、を含む、
接合方法。
【請求項10】
前記接合工程において、前記第2被接合物保持部に固定された第2粒子ビーム源が、前記第2被接合物保持部における前記他方の被接合物が配置される領域の外側から前記一方の被接合物の接合面の一部を含む領域へ粒子ビームを照射しながら、前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部との少なくとも一方を、前記第1方向または前記第2方向へ移動させる、
請求項9に記載の接合方法。
【請求項11】
前記2つの被接合物の少なくとも一方は、直径6インチ以下の平面視円形の基板である、
請求項9または10に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合装置および接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の基板の接合面へ粒子ビームを照射することにより一対の基板の接合面それぞれを活性化させる表面活性化処理を行った後、一対の基板の接合面同士を接触させることにより一対の基板同士を接合する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、チャンバ内において、一対の基板それぞれを保持したステージを互いに離間した状態で配置し、チャンバ内で定位置に固定された粒子ビーム源からステージに保持された基板ぞれぞれの接合面に向けて粒子ビームを照射することにより基板の接合面を活性化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-8228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、基板の接合面に対して粒子ビームの照射方向が傾斜していることから基板における粒子ビームの入射面に平行な方向において基板に入射する粒子ビームのドーズ量が不均一になってしまう。また、粒子ビーム源としては、ライン状であり、その長手方向が基板に接合面に平行となる姿勢で配置される放電室を有するものが採用される場合がある。しかしながら、このような粒子ビーム源の場合、放電室内で発生させるプラズマ密度が放電室の長手方向において不均一になり、これに伴い、基板の接合面における粒子ビームの入射面と直交する方向における粒子ビームのドーズ量が不均一になってしまう。このように、基板の接合面における粒子ビームの入射面に平行な方向並びに入射面と直交する方向において基板の接合面に入射する粒子ビームのドーズ量が不均一になると、接合面全体を均一に活性化できない虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、被接合物の接合面全体を均一に活性化処理できる接合装置および接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る接合装置は、
2つの被接合物を接合する接合装置であって、
前記2つの被接合物のうちのいずれか一方の被接合物を保持する第1被接合物保持部と、
前記第1被接合物保持部に対向して配置され、前記2つの被接合物のうちの他方の被接合物を保持する第2被接合物保持部と、
前記第1被接合物保持部に固定され、前記第1被接合物保持部における前記一方の被接合物が配置される領域の外側から前記他方の被接合物の接合面の一部を含む領域へ粒子ビームを放射する第1粒子ビーム源と、
前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部との少なくとも一方を、前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部とが互いに近づく第1方向または前記第1被接合物保持部と前記第2被接合物保持部とが離れる第2方向へ移動させる駆動部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被接合物の接合面全体を均一に活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る接合装置の概略正面図である。
図2】実施の形態に係る接合装置の一部を示す図である。
図3】実施の形態に係る放電室の概略正面図である。
図4A】実施の形態に係る接合装置の一部を示し、ステージ-ヘッド間距離が最短になった状態を示す図である。
図4B】実施の形態に係る接合装置の一部を示し、ステージ-ヘッド間距離が最長になった状態を示す図である。
図5A】実施の形態に係るステージにおける粒子ビームの照射領域を示す図である。
図5B】実施の形態に係るヘッドにおける粒子ビームの照射領域を示す図である。
図6】実施の形態に係る接合装置の動作説明図である。
図7】比較例1に係る放電室の概略正面図である。
図8】活性化処理における粒子ビームのドーズ量の均一性の評価に用いた基板の膜厚測定箇所を示す図である。
図9A】比較例1に係る活性化処理前後のSiO膜の膜厚分布を示し、図8のP軸方向の膜厚分布を示す図である。
図9B】比較例1に係る活性化処理前後のSiO膜の膜厚分布を示し、図8のQ軸方向の膜厚分布を示す図である。
図10A】比較例1に係る活性化処理前後のSiO膜の膜厚分布を示し、図8のP軸方向の膜厚分布を示す図である。
図10B】比較例1に係る活性化処理前後のSiO膜の膜厚分布を示し、図8のQ軸方向の膜厚分布を示す図である。
図11A】実施の形態に係る活性化処理前後のSiO膜の膜厚分布を示し、図8のP軸方向の膜厚分布を示す図である。
図11B】実施の形態に係る活性化処理前後のSiO膜の膜厚分布を示し、図8のQ軸方向の膜厚分布を示す図である。
図12A】実施の形態に係る活性化処理前後のSiO膜の膜厚分布を示し、図8のP軸方向の膜厚分布を示す図である。
図12B】実施の形態に係る活性化処理前後のSiO膜の膜厚分布を示し、図8のQ軸方向の膜厚分布を示す図である。
図13A】比較例2に係る接合装置の一部を示す図である。
図13B】比較例2に係る接合装置で基板に粒子ビームを照射したときのドーズ量の分布を示す図である。
図14】比較例1、2および実施の形態に係る粒子ビーム源におけるプラズマの分布の模式図である。
図15】変形例に係る接合装置の一部を示す図である。
図16】変形例に係る接合装置の動作説明図である。
図17】変形例に係る放電室の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態1に係る接合装置について、図を参照しながら説明する。本実施の形態に係る接合装置は、減圧雰囲気にあるチャンバ内で、2つの基板の接合面に対して活性化処理を行い、その後、基板同士を接触させて加圧することにより、2つの基板を接合する。ここで、基板としては、例えば、Si基板、SiOガラス基板等のガラス基板、酸化物基板(例えば、酸化ケイ素(SiO)基板、サファイア基板を含むアルミナ基板(Al)、酸化ガリウム(Ga)等)、窒化物基板(例えば、窒化ケイ素(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN))、GaAs基板、炭化ケイ素(SiC)基板、タンタル酸リチウム(Lt:LiTaO)基板、ニオブ酸リチウム基板(Ln:LiNbO)、ダイヤモンド基板などのいずれかからなる被接合物である。或いは、基板W1、W2として、接合面にAu、Cu、Al、Ti等の金属から形成された電極が設けられた基板であってもよい。また、基板W1、W2は、それぞれ、直径6インチ以下の平面視円形の基板であることが好ましい。活性化処理では、2つの基板それぞれの互いに接合される接合面に対して、粒子ビームを照射することにより基板の接合面を活性化する。なお、活性化処理の前に基板を加熱してもよいし、2つの基板同士を接触させて加圧する際に加熱してもよい。
【0010】
本実施の形態に係る接合装置は、図1に示すように、チャンバ120と、ステージ141と、ヘッド142と、ステージ駆動部143と、ヘッド駆動部144と、基板加熱部1411、1421と、位置ずれ量測定部150と、粒子ビーム源161、162と、を備える。なお、以下の説明において、適宜図2の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。チャンバ120は、排気管121bと排気弁121cとを介して真空ポンプ121aに接続されている。排気弁121cを開状態にして真空ポンプ121aを作動させると、チャンバ120内の気体が、排気管121bを通してチャンバ120外へ排出され、チャンバ120内の気圧が低減(減圧)される。なお、チャンバ120内の気圧は、10-5Pa以下にすることができる。また、排気弁121cの開閉量を変動させて排気量を調節することにより、チャンバ120内の気圧(真空度)を調節することができる。
【0011】
ステージ141とヘッド142とは、チャンバ120内において、Z方向において互いに対向するように配置されている。ステージ141は、その上面で基板W1を保持する第1被接合物保持部であり、ヘッド142は、その下面で基板W2を保持する第2被接合物保持部である。なお、ステージ141の上面とヘッド142の下面とは、基板W1、W2のステージ141、ヘッド142との接触面が鏡面でステージ141、ヘッド142から剥がれにくい場合を考慮して、粗面加工が施されていてもよい。ステージ141およびヘッド142は、それぞれ基板W1、W2を保持する保持機構(図示せず)を有する。保持機構は、静電チャック、機械式クランプ等を有する。また、ステージ141は、周部に段部141aが形成された形状を有する。そして、ステージ141に基板W1、W2が載置された状態において、基板W1、W2の周部が段部141aの上方に配置される。
【0012】
ステージ駆動部143は、ステージ141をXY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりすることができる。
【0013】
ヘッド駆動部144は、矢印AR1に示すようにヘッド142を昇降させる昇降駆動部1441と、ヘッド142をXY方向へ移動させるXY方向駆動部1442と、ヘッド142をZ軸周りの回転方向に回転させる回転駆動部1443と、を有する。また、ヘッド駆動部144は、ヘッド142のステージ141に対する傾きを調整するためのピエゾアクチュエータ1444と、ヘッド142に加わる圧力を測定するための圧力センサ1445と、を有する。XY方向駆動部1442および回転駆動部1443が、X方向、Y方向、Z軸周りの回転方向において、ヘッド142をステージ141に対して相対的に移動させることにより、ステージ141に保持された基板W1とヘッド142に保持された基板W2とのアライメントが可能となる。なお、ステージ駆動部143は、ステージ141の鉛直下方に配置された構成に限定されるものではなく、例えば、ステージ141の鉛直下方に圧力を受けるバックアップ部(図示せず)を設け、ステージ駆動部143が、ステージ141の外周部に配置し、ステージ141の側方からステージ141を駆動する構成であってもよい。
【0014】
昇降駆動部1441は、ヘッド142を鉛直下方向へ移動させることにより、ヘッド142をステージ141に近づける。また、昇降駆動部1441は、ヘッド142を鉛直上方向に移動させることにより、ヘッド142をステージ141から遠ざける。そして、昇降駆動部1441は、基板W1、W2同士が接触した状態においてヘッド142に対してステージ141に近づく方向への駆動力を作用させると、基板W2が基板W1に押し付けられる。また、昇降駆動部1441には、ヘッド142に対してステージ141に近づく方向へ作用させる駆動力を測定する圧力センサ1441aが設けられている。圧力センサ1441aによる測定値から、昇降駆動部1441により基板W2が基板W1に押し付けられたときに基板W1、W2の接合面に作用する圧力が検出できる。圧力センサ1441aは、例えば圧電素子を有する。
【0015】
ピエゾアクチュエータ1444と圧力センサ1445との組は、ヘッド142とXY方向駆動部1442との間に複数組配置されている。圧力センサ1445は、ピエゾアクチュエータ1444の上端部とXY方向駆動部1442の下側との間に介在している。ピエゾアクチュエータ1444は、各別に上下方向に伸縮可能であり、これらが伸縮することにより、ヘッド142のX軸周りおよびY軸周りの傾きとヘッド142の上下方向の位置とが微調整される。また、圧力センサ1445は、例えば圧電素子を有し、ヘッド142の下面における複数箇所での加圧力を測定する。そして、複数の圧力センサ1445で測定された加圧力が等しくなるように複数のピエゾアクチュエータ1444それぞれを駆動することにより、ヘッド142の下面とステージ141の上面とを平行に維持しつつ基板W1、W2同士を接触させることができる。
【0016】
基板加熱部1411、1421は、例えば前述の保持機構が静電チャックの場合、ステージ141、ヘッド142における、基板W1、W2が当接する面側から見て保持機構の裏側に埋め込まれた電熱ヒータを有する第1被接合物加熱部である。基板加熱部1411、1421は、ステージ141、ヘッド142に支持されている基板W1、W2に熱を伝達することにより基板W1、W2を加熱する。また、基板加熱部1411、1421の発熱量を調節することにより、基板W1、W2またはそれらの接合面の温度を調節できる。位置ずれ量測定部150は、基板W1、W2それぞれに設けられた位置合わせ用のマーク(アライメントマーク)の位置を認識することにより、基板W1の基板W2に対する水平方向の位置ずれ量を測定する。位置ずれ量測定部150は、例えば基板W1、W2を透過する光(例えば赤外光)を用いて基板W1、W2のアライメントマークを認識する。ステージ駆動部143は、位置ずれ量測定部150により測定された位置ずれ量に基づいて、ステージ141を水平方向に移動させたり回転させたりすることにより、基板W1、W2の相互間の位置合わせ動作(アライメント動作)を実行する。
【0017】
粒子ビーム源161、162は、例えば高速原子ビーム(FAB、Fast Atom Beam)源であり、それぞれ、ビーム源支持部122A、122Bを介してステージ141、ヘッド142に固定されている。ここで、粒子ビーム源161の粒子ビームの照射軸J1に沿った照射方向AR21は、基板W2の接合面の垂線n2に対して傾斜している。また、粒子ビーム源162の粒子ビームの照射軸J2に沿った照射方向AR22は、基板W1の接合面の垂線n1に対して傾斜している。粒子ビーム源161、162は、それぞれ、例えば図2に示すように、放電室1601と、放電室1601内に配置される電極1602と、ビーム源駆動部(図示せず)と、アルゴンガスを放電室1601内へ供給するガス供給部1604と、を有する。放電室1601は、炭素材料から長尺箱状に形成され、その周壁には、中性原子を含む粒子ビームを放射する複数の放射口1601a、1601b、1601cが設けられている。
【0018】
複数の放射口1601a、1601b、1601cは、例えば図3に示すように、それぞれ、放電室1601の長手方向に沿って列状に配置されている。ここで、放射口1601a、1601b、1601cそれぞれの並び方向は、放射口1601a、1601b、1601cから放射される粒子ビームが照射される基板W1、W2の接合面と平行になる姿勢で配置されている。即ち、複数の放射口1601a、1601b、1601cは、粒子ビームが照射される基板W1、W2の接合面に沿った方向に配列している。また、複数の放射口1601a、1601b、1601cそれぞれの開口面積は、複数の放射口1601a、1601b、1601cの並び方向、即ち、放電室1601の長手方向における中央部から離れた位置に配置される放射口1601a、1601b、1601cほど大きくなるように設定されている。放電室1601の長手方向における中央部の領域Po1に隣接する領域Po2に配設される複数の放射口1601bの開口径D2は、領域Po1に配設される複数の放射口1601aの開口径D1に比べて大きい。また、放電室1601の長手方向における両端部の領域Po3に配設される複数の放射口1601cの開口径D3は、領域Po2に配設される複数の放射口1601cの開口径D2に比べて大きい。
【0019】
ビーム源駆動部は、放電室1601内にアルゴンガスのプラズマを発生させるプラズマ発生部(図示せず)と、電極1602と放電室1601の周壁との間に直流電圧を印加する直流電源(図示せず)と、を有する。ビーム源駆動部は、放電室1601内にアルゴンガスのプラズマを発生させた状態で、放電室1601の周壁と電極1602との間に直流電圧を印加する。このとき、プラズマ中のアルゴンイオンが、放電室1601の周壁に引き寄せられる。このとき、放射口1601aへ向かうアルゴンイオンは、放射口1601aを通り抜ける際、放射口1601aの外周部の、炭素材料から形成された放電室1601の周壁から電子を受け取る。そして、このアルゴンイオンは、電気的に中性化されたアルゴン原子となって放電室1601外へ放出される。ここで、粒子ビーム源161、162への供給電力は、例えば1kV、100mAに設定されている。そして、粒子ビーム源161、162それぞれの放電室1601内へ導入されるアルゴンガスの流量は、例えば50sccmに設定される。また、放電室1601内で発生するアルゴンを含むプラズマは、放電室1601の長手方向における両端部の密度が放電室1601の中央部の密度に比べて小さくなる。これに対して、放電室1601の複数の放射口1601a、1601b、1601cは、前述のように、放電室1601の長手方向における中央部(領域Po1)から離れた位置に配置される放射口1601b、1601cほど開口径D2、D3が大きくなるように設定されている。このため、粒子ビーム源161から基板W1における領域P11、P21に照射される粒子ビームのドーズ量を、領域P11、P21におけるX軸方向において均一にすることができる。また、粒子ビーム源161から基板W2における領域P12、P22に照射される粒子ビームの密度が、領域P12、P22におけるX軸方向において均一にすることができる。
【0020】
次に、本実施の形態に係る接合装置の動作について説明する。図4Aに示すように、粒子ビーム源161は、粒子ビームをヘッド142に保持された基板W2へ照射し、粒子ビーム源162は、粒子ビームをステージ141に保持された基板W1へ照射する。ここで、粒子ビーム源161は、基板W2における-Y方向側の領域P12に粒子ビームを照射し、粒子ビーム源162は、基板W1における+Y方向側の領域P11に粒子ビームを照射しているとする。この状態から、接合装置が、矢印AR11に示すように、ヘッド142をステージ141から離れる方向へ移動させると、基板W2における粒子ビームが照射される領域が、図5Aの矢印AR21に示すように、領域P12から+Y方向へ移動する。また、基板W1における粒子ビームが照射される領域が、図5Bの矢印AR22に示すように、領域P11から-Y方向へ移動する。そして、図4Bに示すように、粒子ビーム源161が、基板W2における+Y方向側の領域P22に粒子ビームを照射し、粒子ビーム源162が、基板W1における-Y方向側の領域P21に粒子ビームを照射している状態となる。次に、接合装置が、矢印AR12に示すように、ヘッド142をステージ141に近づく方向へ移動させると、基板W2における粒子ビームが照射される領域が、領域P22から-Y方向へ移動し、基板W1における粒子ビームが照射される領域が、領域P12から+Y方向へ移動する。そして、再び図4Aに示す状態になる。ここで、ヘッド142は、ステージ141から距離H1だけ離間した位置と、ステージ141から距離H2だけ離間した位置と、の間で繰り返し昇降する。また、距離H1と距離H2とは、例えば1:3となるように設定される。具体的には、距離H1が50mm、距離H2が150mmとなるように設定される。なお、ヘッド142は、基板W1、W2における粒子ビームが照射される領域のーY方向側の端縁が基板W1、W2の+Y方向側の端と一致した状態から、その+Y方向側の端縁が基板W1、W2の-Y方向側の端縁と一致した状態となるまで移動するように昇降させるのが好ましい。
【0021】
また、接合装置は、図6に示すように、ステージ141とヘッド142との間の距離に応じて、ヘッド142の移動速度を変化させる。具体的には、ステージ141とヘッド142との間の距離が比較的長く、基板W1、W2に到達する粒子ビームの密度が小さい状態では、ヘッド142の移動速度を遅くする。一方、ステージ141とヘッド142との間の距離が比較的短く、基板W1、W2に到達する粒子ビームの密度が大きい状態では、ヘッド142の移動速度を早くする。これにより、ステージ141に対するヘッド142の位置に関わらず、単位時間当たりに基板W1、W2に到達する粒子ビームの量を均一にすることができるので、基板W1、W2の接合面内における粒子ビームによるエッチングレートを均一にすることができる。
【0022】
ここで、本実施の形態に係る接合装置を用いて、活性化処理における基板W1、W2の接合面への粒子ビームのドーズ量の均一性を、比較例1に係る接合装置の場合と比較しながら評価した結果について説明する。比較例1に係る接合装置は、例えば図7に示すように、炭素材料から長尺箱状に形成され、その周壁に粒子ビームを放射する同一の開口径D1を有する複数の放射口91601aが設けられた放電室91601を有する粒子ビーム源9161、9162を備える。なお、比較例1、2に係る接合装置は、粒子ビーム源9161、9162のみが実施の形態に係る接合装置と相違しその他の構成並びに動作は実施の形態に係る接合装置と同様である。そこで、以下、比較例1に係る接合装置の構成について、適宜、実施の形態に係る接合装置の各構成について用いた符号と同一の符号を用いて説明する。但し、比較例1に係る接合装置は、ヘッド142を一定の移動速度で昇降させる。また、この評価では、基板W1、W2として、Si基板上に熱酸化処理によりSiO膜が形成された直径4インチの基板を使用した。そして、比較例に係る粒子ビーム源9161、9162を用いて基板のSiO膜側を活性化処理した前後のSiO膜の膜厚分布と、実施の形態に係る粒子ビーム源161、162を用いて基板W1、W2のSiO膜側を活性化処理した前後のSiO膜の膜厚分布と、を比較した。ここで、比較例1、実施の形態に係る接合装置のステージ141とヘッド142とのそれぞれに、基板W1、W2におけるSiO膜側が粒子ビーム源9161、9162、161、162側に向くようにして保持させた。また、比較例1に係る接合装置では、ヘッド142を移動速度3.5mm/secで10回繰り返し昇降させた。実施の形態に係る接合装置では、ステージ141とヘッド142との間の距離に応じて、ヘッド142の移動速度を3.5mm/sec乃至1.5mmsecの間で変化させながら10回繰り返し昇降させた。
【0023】
基板W1、W2のSiO膜の膜厚分布は、図8に示すように、基板W1、W2上の13個の領域P1乃至P13で膜厚の測定を行うことにより行った。なお、領域P1乃至P13それぞれの中心位置は、それぞれ、基板W1、W2の中心のP軸座標、Q軸座標をそれぞれ0[mm]とした場合、下記表1に示す座標となるようにした。
【0024】
【表1】
【0025】
比較例1では、ヘッド142に保持された基板W2のSiO膜について、活性化処理前後で図9Aおよび図9Bに示すような膜厚分布が得られ、ステージ141に保持された基板W1のSiO膜について、活性化処理前後で図10Aおよび図10Bに示すような膜厚分布が得られた。ここで、ヘッド142に保持された基板W2のSiO膜の活性化処理後の膜厚の面内均一性は、4.0%であり、ステージ141に保持された基板W1のSiO膜の活性化処理後の膜厚の面内均一性は、4.0%であった。なお、「面内均一性」は、基板W1、W2の領域P1乃至P13それぞれにおけるSiO膜の膜厚のメジアンの領域P1乃至P13それぞれにおけるSiO膜の膜厚の平均値に対する比率に相当する。
【0026】
また、実施の形態では、ヘッド142に保持された基板W2のSiO膜について、活性化処理前後で図11Aおよび図11Bに示すような膜厚分布が得られ、ステージ141に保持された基板W1のSiO膜について、活性化処理前後で図12Aおよび図12Bに示すような膜厚分布が得られた。ここで、ヘッド142に保持された基板W2のSiO膜の活性化処理後の膜厚の面内均一性は、1.2%であり、ステージ141に保持された基板W1のSiO膜の活性化処理後の膜厚の面内均一性は、1.1%であった。比較例1および実施の形態に係る結果から、ステージ141とヘッド142との間の距離に応じてヘッド142の移動速度を変化させるとともに、実施の形態に係る粒子ビーム源161、162のように、放電室1601の複数の放射口1601a、1601b、1601cが、放電室1601の長手方向における中央部から離れた位置に配置される放射口1601b、1601cほど開口径が大きくなるように設定されているほうが基板W1、W2のSiO膜の面内均一性が向上することが判る。ここで、基板W1、W2のSiO膜の面内均一性は、基板W1、W2に照射される粒子ビームのドーズ量の均一性に依存することから、実施の形態に係る粒子ビーム源161、162は、比較例1に係る粒子ビーム源9161、9162と比べて、基板W1、W2の面内に照射される粒子ビームのドーズ量の均一性が向上していることが判る。つまり、実施の形態では、比較例1に比べて基板W1、W2の面内に照射される粒子ビームのドーズ量の均一性が向上していることが判る。
【0027】
ところで、図13Aに示すような従来の接合装置では、粒子ビーム源161、162の位置が固定されており、基板W1、W2の外側から基板W1、W2の接合面に向かって粒子ビームを照射する。この構成では、基板W1、W2における粒子ビーム源161、162に近い側のほうのドーズ量が粒子ビーム源の遠い側のドーズ量に比べて大きくなる。このため、基板W1、W2における粒子ビーム源161、162に近い側のほうのエッチング量が粒子ビーム源の遠い側のエッチング量に比べて大きくなり、基板W1、W2の±Y方向の両端部でエッチング量に差異が生じてしまう。また、図13Bに示すように、従来の粒子ビーム源9161が、長尺箱状の放電室91601を有する場合、放電室91601内で発生したプラズマは、放電室1601の長手方向における中央部の密度に比べて長手方向における両端部の密度が小さくなる。このため、放電室91601の長手方向に沿って列状に設けられた放射口91601aの開口面積が等しい場合、放電室91601の長手方向における両端部近傍に設けられた放射口91601aから放射される粒子ビームのドーズ量が、放電室91601の中央部近傍に設けられた放射口91601aから放射される粒子ビームのドーズ量に比べて小さくなってしまう。このため、基板W1、W2のX軸方向における中央部とX軸方向における両端部とで基板W1、W2のエッチング量に差異が生じてしまう。このため、図14に示すように基板W1、W2それぞれのX方向およびY方向でエッチング量の斑が生じてしまう。
【0028】
これに対して、本実施の形態に係る接合装置では、粒子ビーム源161が、ステージ141に固定され、ステージ141における基板W1が配置される領域の外側から基板W2の接合面の一部を含む領域へ粒子ビームを放射しながら、ヘッド駆動部144が、ヘッド142を±Z方向へ移動させる。これにより、ヘッド142が±Z方向へ移動するのに伴い、基板W2の接合面における粒子ビームが照射される領域が基板W2の接合面内において移動する。従って、ヘッド142の±Z方向への移動を繰り返すことにより、基板W2のY軸方向において均一に粒子ビームを照射することができる。また、本実施の形態に係る粒子ビーム源161、162は、粒子ビームが照射される基板W1、W2の接合面に沿った方向に配列する複数の放射口1601a、1601b、1601cを有し、複数の放射口1601a、1601b、1601cそれぞれの開口面積が、複数の放射口1601a、1601b、1601cの並び方向、即ち、放電室1601の長手方向における中央部から離れた位置に配置される放射口(例えば1601c)ほど大きくなるように設定されている。これにより、複数の放射口1601a、1601b、1601cそれぞれから放射される粒子ビームのドーズ量が均一になるので、基板W1、W2のX軸方向において均一に粒子ビームを照射することができる。従って、基板W1、W2の接合面全体を均一に活性化することができる。
【0029】
本実施の形態に係る接合装置は、粒子ビームを照射できる範囲がある程度限定されることから、特に、基板W1、W2が4インチ未満のいわゆる小径基板について適用されることが好ましい。
【0030】
また、本実施の形態に係る接合装置は、粒子ビーム源161が、ステージ141に固定され、ステージ141における基板W1が配置される領域の外側から基板W2の接合面の一部を含む領域へ粒子ビームを放射しながら、ヘッド駆動部144が、ヘッド142を±Z方向へ移動させる。これにより、ヘッド142が±Z方向へ移動するのに伴い、基板W2の接合面における粒子ビームが照射される領域が基板W2の接合面内において移動する。従って、ヘッド142の±Z方向への移動を繰り返すことにより、基板W2の接合面全体に均一に粒子ビームを照射することができ、接合面全体を均一に活性化することができる。そして、粒子ビーム源161を支持しつつ粒子ビーム源161を基板W2に対して水平な方向へ移動させるための搬送機構が不要なので、その分、装置全体の小型化を図ることができる。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば図15に示すように、粒子ビーム源161、162が、それぞれ、ステージ141、ヘッド142に固定されていないものであってもよい。なお、図15において、実施の形態と同様の構成については図2と同一の符号を付している。本変形例に係る接合装置は、粒子ビーム源161、162を纏めて支持し、粒子ビーム源161、162を基板W1、W2の対向方向と直交する水平方向へ移動させる水平駆動部3163を備える。本変形例に係る接合装置では、図16に示すように、粒子ビーム源161、162は、それぞれ、基板W1、W2の接合面へ粒子ビームを照射させながら矢印AR32に示すように移動していく。なお、本変形例に係る接合装置が、粒子ビーム源161、162に代えて、後述の図17に示す放電室21601を有する粒子ビーム源2161、2162を備えるものであってもよい。
【0032】
前述の実施の形態で説明した接合装置では、粒子ビームの基板W1、W2への照射中において、粒子ビーム161、162と基板W1、W2との間の距離が変化するために、基板W1、W2へ照射される粒子ビームのドーズ量が変化しこれに伴い基板W1、W2表面のエッチングレートが変化してしまう。これに対して、本構成によれば、粒子ビーム源161、162と基板W1、W2との間の距離を一定に維持しながら粒子ビームを基板W1、W2に照射することができるので、粒子ビーム161、162の移動速度を一定としつつ、基板W1、W2に照射される粒子ビームのドーズ量を均一にできる。
【0033】
実施の形態において、例えば図17に示す粒子ビーム源2161、2162のように、放電室21601が、放射方向が異なる複数種類の放射口21601a、21601b、21601cを有するものであってもよい。ここで、放射口21601a、21601b、21601cそれぞれの並び方向は、放射口21601a、21601b、21601cから放射される粒子ビームが照射される基板W1、W2の接合面と平行になる姿勢で配置されている。即ち、複数の放射口21601a、21601b、21601cは、粒子ビームが照射される基板W1、W2の接合面に沿った方向に配列している。また、複数の放射口21601a、21601b、21601cそれぞれの開口面積は、複数の放射口21601a、21601b、21601cの並び方向、即ち、放電室21601の長手方向における中央部から離れた位置に配置される放射口21601a、21601b、21601cほど放電室21601の長手方向と直交する方向から長手方向における一方の端部側への傾斜角度が大きく設定されている。具体的には、放電室21601の長手方向における中央部の領域Po21に配設される複数の放射口21601aの粒子ビームの放射軸J21は、放電室21601の長手方向と直交する方向に略平行である。また、放電室21601の長手方向で領域Po21に隣接する領域Po22に配設される複数の放射口21601bの放射軸J22は、放電室21601の長手方向に直交する方向、即ち、放射軸J21に対して角度θ21だけ傾斜している。更に、放電室21601の長手方向の両端部の領域Po23に配設される複数の放射口21601cの放射軸J23は、放電室21601の長手方向に直交する方向、即ち、放射軸J21に対して角度θ22だけ傾斜しており、角度θ22は、角度θ21よりも大きい。
【0034】
本変形例に係る粒子ビーム源2161、2162では、放電室21601内で発生するプラズマの密度が比較的高い放電室21601の長手方向における中央部に近いところから、放電室21601の長手方向における両端部に配設された放射口21601cを通じて粒子ビームが放射される。このため、放射口21601a、21601b、21601cから放射される粒子ビームのドーズ量の差異を低減することができる。これにより、粒子ビーム源2161、2162それぞれから基板W2、W1に到達する粒子ビームのドーズ量を、基板W2、W1における粒子ビームが照射される領域P12、P22、P11、P21でX軸方向において均一にすることができる。従って、基板W1の領域P11、P21、基板W2の領域P12、P22のY軸方向において基板W1、W2のエッチングレートを均一にすることができる。
【0035】
実施の形態において、ステージ141とヘッド142との間の距離に応じて、粒子ビーム源161、162の少なくとも一方の粒子ビームの放射方向を変更する放射方向変更部(図示せず)を備えるものであってもよい。
【0036】
実施の形態では、ステージ141、ヘッド142のそれぞれに固定された2つの粒子ビーム源161、162を備える例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば接合装置が、ステージ141に固定された1つの粒子ビーム源を備えるものであってもよいし、ヘッド142に固定された1つの粒子ビーム源を備えるものであってもよい。
【0037】
実施の形態では、ヘッド142を昇降させる例について説明したが、これに限らず、例えばヘッド142の鉛直方向への移動を規制した状態で、ステージ141を昇降させるものであってもよいし、或いは、ステージ141とヘッド142との両方が昇降するものであってもよい。
【0038】
実施の形態において、活性化処理工程において、粒子ビームを基板W1、W2の接合面に照射する例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばイオンガンを用いてイオンビームを基板W1、W2の接合面に照射するようにしてもよい。また、各実施の形態において、粒子ビーム源161、162が、アルゴンとともにSi粒子を基板W1、W2の接合面へ照射するものであってもよい。
【0039】
各実施の形態では、被接合物が、基板W1、W2である例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、被接合物が、チップおよび基板であってもよい。
【0040】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0041】
本出願は、2022年6月22日に出願された日本国特許出願特願2022-100457号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2022-100457号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えばCMOS(Complementary MOS)イメージセンサやメモリ、演算素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の製造に好適である。
【符号の説明】
【0043】
120:チャンバ、121a:真空ポンプ、121b:排気管、121c:排気弁、122A、122B:ビーム源支持部、141:ステージ、142:ヘッド、143:ステージ駆動部、144:ヘッド駆動部、150:位置ずれ量測定部、161,162,2161,2162:粒子ビーム源、1411,1421:基板加熱部、1441:昇降駆動部、1441a,1445:圧力センサ、1442:XY方向駆動部、1443:回転駆動部、1444:ピエゾアクチュエータ、1601:放電室、1601a,21601a:放射口、1602:電極、J1,J2:照射軸、n1,n2:垂線、W1,W2:基板
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17