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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083509
(43)【公開日】2024-06-21
(54)【発明の名称】杜仲加工物を含む固形組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240614BHJP
   A61K 36/46 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240614BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240614BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240614BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20240614BHJP
   A61P 1/16 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 9/12 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 13/02 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 15/06 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 15/00 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 21/00 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 13/12 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 19/00 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/46
A61K9/20
A61K47/42
A61K47/12
A23L5/00 A
A23L19/00 A
A61P1/16
A61P9/12
A61P13/02
A61P15/06
A61P15/00
A61P21/00
A61P13/12
A61P19/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062388
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2019116667の分割
【原出願日】2019-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】荻山 大輝
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、杜仲加工物を含み、十分な錠剤硬度を備えさせる製剤技術を提供することである。
【解決手段】杜仲加工物と共にナットウキナーゼを含有させた固形組成物を打錠成型することにより、流通等に耐え得る十分な硬度を有する錠剤が得られる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杜仲葉のエキス末、ナットウキナーゼ、及びステアリン酸カルシウムを含有し、錠剤である固形組成物(但し、葛根抽出物と野菊花抽出物を含む場合、及びプロバイオティックスとキトオリゴ糖を含む場合を除く)。
【請求項2】
食品又は内服用医薬品である、請求項1に記載の固形組成物。
【請求項3】
杜仲葉のエキス末、ナットウキナーゼ、及びステアリン酸カルシウムを含有する粉末状又は顆粒状の固形組成物(但し、葛根抽出物と野菊花抽出物を含む場合、及びプロバイオティックスとキトオリゴ糖を含む場合を除く)であり、打錠成形に供するための原料として使用される、固形組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杜仲加工物を含み、十分な錠剤硬度を備えさせ得る固形組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
中国原産の落葉性植物である杜仲科杜仲は、生薬として神農本草経の上品に収載されている。現在、生薬として用いられている杜仲は、ほとんど中国大陸で自生又は栽培されているものであって、樹齢20年程度の成木を伐採し、その樹皮を剥離し、得られた皮部分を薬用原料として用いている。杜仲の薬効としては、中薬大辞典、中華人民共和国薬典には「肝腎を補う、肋骨を強める、胎を安らげる効能があり、腰、背の酸痛、足膝萎弱(膝の麻痺)、残尿、女性の不正出血、早流産、高血圧を治す」などと記載されており、薬効成分としてピノレジノール・ジ-O-β-D-グルコシド等のイリドイド化合物やその他のリグナン化合物が含まれていると報告されている。杜仲には、このような有効性が広く知られているため、従来、生薬を調理したり、葉を焙煎して茶にしたりして食されている。また、杜仲加工物の特性を活かした経口組成物も種々提案されている(例えば、特許文献1及び2等参照)。
【0003】
一方、杜仲加工物を含む経口組成物は、摂取を容易にするために錠剤にして提供することがある。杜仲加工物を含む経口組成物を錠剤として提供する場合には、表面の摩損や流通(輸送)時に割れを抑制するために、十分な錠剤硬度を備えさせることが重要になる。しかしながら、従来技術では、杜仲加工物を含む錠剤について、錠剤硬度に着目した検討は十分に行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第02/76240号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、杜仲加工物を含む錠剤について種々検討を行ったところ、杜仲加工物を通常の手法で錠剤化しても、十分な錠剤硬度を備えさせることができないことを知得した。そこで、本発明の目的は、当該欠点を克服し、杜仲加工物を含み、十分な錠剤硬度を備えさせる製剤技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、杜仲加工物と共にナットウキナーゼを含有させた固形組成物を打錠成型することにより、流通等に耐え得る十分な硬度を有する錠剤が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)杜仲加工物、及び(B)ナットウキナーゼを含有する、固形組成物。
項2. 前記(A)成分が、杜仲葉の加工物である、項1に記載の固形組成物。
項3. 前記(A)成分が、杜仲葉のエキスである、項1又は2に記載の固形組成物。
項4. 粉末状又は顆粒状であり、打錠成形に供するための原料として使用される、項1~3のいずれかに記載の固形組成物。
項5. 錠剤状であって、食品又は内服用医薬品である、項1~3のいずれかに記載の固形組成物。
項6. 杜仲加工物を含む錠剤の硬度を向上させる方法であって、
錠剤中に杜仲加工物と共にナットウキナーゼを含有させる、錠剤硬度の向上方法。
項7. ナットウキナーゼを有効成分とする、杜仲加工物を含む錠剤の硬度を向上させるために使用される錠剤硬度の向上剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明の固形組成物によれば、杜仲加工物を含んでいながらも、錠剤にした場合に十分な硬度を備えさせることができるので、杜仲加工物を含む錠剤に対して流通等に耐えうる物理的強度を具備させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.固形組成物
本発明の固形組成物は、杜仲加工物((A)成分と表記することもある)、及びナットウキナーゼ((B)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の固形組成物について詳述する。
【0010】
[杜仲加工物]
本発明の固形組成物は、杜仲加工物を含有する。杜仲加工物とは、杜仲(Eucommia ulmoides oliver)を加工した素材であり、具体的には、杜仲の粉砕物(生、乾燥物、及び焙煎物等を含む)、杜仲エキス(エキス末、顆粒状のエキス等)等が挙げられる。
【0011】
杜仲加工物において、杜仲の使用部位は、特に制限されないが、例えば、葉、樹皮、果実、種子、葉柄、木部、根、根茎等が挙げられる。これらの部位は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、好ましくは葉が挙げられる。以下、杜仲葉(杜仲茶葉と称されることもある)の粉砕物及びエキス末について説明する。
【0012】
杜仲葉の粉砕物は、杜仲葉を、必要に応じて、蒸熱、揉捻、乾燥、焙煎等の処理に供した後に、粉砕することによって得ることができる。
【0013】
杜仲葉のエキスは、杜仲葉を抽出処理に供して抽出液を得た後に、当該抽出液を乾燥することによって得ることができる。
【0014】
抽出原料として使用される杜仲葉は、そのままの生の状態であってもよいが、必要に応じて、粉砕、切断、蒸熱、揉捻、乾燥、焙煎等の前処理に供されていてもよい。
【0015】
抽出処理については、植物抽出物の製造に使用される一般的な抽出手法であればよく、例えば、溶媒抽出処理、超臨界抽出処理、水蒸気蒸留処理等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは溶媒抽出処理が挙げられる。
【0016】
溶媒抽出処理に使用される抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の炭素数1~4の低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;これらの混合液等が挙げられる。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは、水、低級アルコール、及びこれらの混合液、より好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合液、更に好ましくは水が挙げられる。
【0017】
溶媒抽出処理は、抽出溶媒中に、杜仲葉を浸漬又は還流させて行えばよく、例えば、杜仲葉1重量部当たり抽出溶媒1~50重量部程度を使用して、5分~数時間程度、好ましくは10~90分間程度行えばよい。また、溶媒抽出処理時の温度条件としては、例えば、室温(25℃)~100℃程度、好ましくは60~100℃程度であればよい。
【0018】
抽出処理後に固液分離により固形物を除去することにより、杜仲葉の抽出液が得られる。抽出処理により得られた抽出液は、必要に応じて、濾過処理;ポリスチレンゲル(ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体等)、イオン交換樹脂、活性炭等の担体を充填したカラムを用いた各種クロマトグラフィー等の精製処理に供した後に、乾燥処理することによってエキス末が得られる。乾燥処理は、例えば、スプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等によって行うことができる。また、得られたエキス末は、必要に応じて顆粒状に成形してもよい。
【0019】
本発明の固形組成物において、杜仲加工物の含有量については、特に制限されないが、例えば、5~90重量%が挙げられる。より具体的には、杜仲加工物が杜仲葉の粉砕物である場合であれば、杜仲葉の粉砕物の含有量として、7~90重量%、好ましくは10~90重量%、より好ましくは15~90重量%が挙げられる。また、杜仲加工物が杜仲葉のエキスの場合であれば、杜仲葉のエキスの含有量として、5~90重量%、好ましくは10~90重量%、より好ましくは15~90重量%が挙げられる。
【0020】
[(B)ナットウキナーゼ]
本発明の固形組成物はナットウキナーゼを含有する。このように、杜仲加工物とナットウキナーゼを併用することによって、錠剤にした際に十分な硬度を備えさせることができる。
【0021】
本発明で使用されるナットウキナーゼは、公知の製造方法で得ることができる。ナットウキナーゼの具体的な製造方法としては、納豆菌を培養する方法、ナットウキナーゼをコードする遺伝子を組み込んだ形質転換体から得る方法、化学合成によって合成する方法等が挙げられる。本発明で使用されるナットウキナーゼは、いずれの製造方法で得られたものであってもよいが、製造コストの低減等の観点から、納豆菌を培養する方法で得られたものが好ましい。
【0022】
また、本発明で使用されるナットウキナーゼは、精製品であってもよいが、食品や内服用医薬品に配合可能であることを限度として、精製されていない状態であってもよい。例えば、納豆菌を培養することにより得られたナットウキナーゼを使用する場合であれば、納豆菌の培養物の抽出物であってもよい。更には、納豆菌の培養物を、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等に供してナットウキナーゼを精製したものであってもよく、また、納豆菌の培養物を必要に応じて固液分離等の粗精製処理に供した後に、水分の除去又は乾燥させたもの等であってもよい。
【0023】
また、ナットウキナーゼは、賦形剤等を添加した粉末品、粗精製品、精製品等として市販されており、本発明では、ナットウキナーゼとして、これらの市販品を使用することもできる。
【0024】
本発明の固形組成物におけるナットウキナーゼの含有量としては、例えば、1~60000FU/gが挙げられる。錠剤にした際の硬度をより一層向上させるという観点から、本発明の固形組成物におけるナットウキナーゼの含有量として、好ましくは100~35000FU/g、より好ましくは150~35000FU/gが挙げられる。
【0025】
また、本発明の固形組成物において、杜仲加工物とナットウキナーゼの比率は、前述する各成分の含有量に応じた範囲内であればよいが、例えば、杜仲加工物1g当たり、ナットウキナーゼが2000~400000FUとなる比率が挙げられる。錠剤にした際の硬度をより一層向上させるという観点から、杜仲加工物1g当たり、ナットウキナーゼが、好ましくは3000~300000FU、より好ましくは4000~200000FUが挙げられる。
【0026】
なお、本発明において、ナットウキナーゼの活性を示す「FU」は、公益財団法人日本健康・栄養食品協会が2003年1月15日に公示したナットウ菌培養エキス食品の規格基準に従うフィブリン分解活性単位である。
【0027】
[滑沢剤]
本発明の固形組成物は、錠剤への成型性を高めるために、滑沢剤が含まれていることが好ましい。滑沢剤としては、具体的には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油等があげられる。これらの滑沢剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本発明の固形組成物に滑沢剤を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.5~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%が挙げられる。
【0029】
[その他の成分]
本発明の固形組成物は、前述する成分に加えて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、食品や内服用医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、糖質、植物性油脂、植物性油脂、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス(ブラックジンジャーの抽出物以外)、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
更に、本発明の固形組成物は、更に必要に応じて、前述する成分の他に、基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品や医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、水、低級アルコール、高級アルコール、水溶性高分子、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、キレート剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
[剤型・形態]
本発明の固形組成物の剤型としては、粉末、顆粒、錠剤等が挙げられる。
【0032】
本発明の固形組成物は、粉末又は顆粒である場合には、例えば、打錠成形に供するための原料として使用される。本発明の固形組成物を顆粒状にする場合には、例えば、市湿式造粒等の公知の手法によって行うことができる。
【0033】
錠剤状の発明の固形組成物は、粉末又は顆粒状の本発明の固形組成物を打錠成形することにより得ることができる。また、錠剤には、必要に応じてコーティングを施してコーティング錠にしてもよい。本発明の固形組成物が錠剤である場合には、サプリメントとして、一般の飲食品、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等の食品として使用してもよく、また内服用医薬品として使用してもよい。
【0034】
本発明の固形組成物を錠剤にする場合の打錠条件については、特に制限されないが、例えば、打錠圧を8~15kN程度、好ましくは8~13kN程度に設定すればよい。
【0035】
本発明の固形組成物が錠剤である場合、その錠剤硬度としては、具体的には、100N以上、好ましくは100~300N、より好ましくは100~200Nが挙げられる。本発明において、錠剤硬度は、ロードセル式錠剤硬度計(破断端子の試験スピード0.5mm/秒)によって測定される値である。
【0036】
2.錠剤硬度の向上方法・錠剤硬度の向上剤
本発明の錠剤硬度の向上方法は、杜仲加工物を含む錠剤の硬度を向上させる方法であって、錠剤中に杜仲加工物と共にナットウキナーゼを含有させることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の錠剤硬度の向上剤は、杜仲加工物を含む錠剤の硬度を向上させるために使用される剤であって、ナットウキナーゼを有効成分とすることを特徴とする。
【0038】
これらの錠剤硬度の向上方法及び錠剤硬度の向上剤において、使用される成分の種類や使用量、具体的実施態様等については、前記「1.固形組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例0039】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
製造例:杜仲葉エキス末の調製
以下に示す実施例、比較例、及び処方例において使用した「杜仲葉エキス末」は以下の方法により製造した。
【0041】
杜仲の生葉5kgを、日本茶製造用の送帯蒸機により110℃で90秒間蒸熱した。生葉を送帯蒸し機の投入口から機内に投入し、コンベヤ上を移動する間に上下スチーム供給装置からスチームを当て、110℃で90秒間蒸熱した。次にこの蒸熱後の杜仲葉を、揉捻機を用いて30分間揉捻した後、揉捻物を乾燥機を用いて80℃で5時間、水分量を5%以下に乾燥させた。その後、炒葉機(IR-10SP型:寺田製作所)を用いて110℃で30分間焙煎した。焙煎した杜仲茶葉1kgを90℃の熱水15kgに投入し、90℃で30分間抽出し14kg得た。その後150メッシュのフィルターを用いて濾過し、濾液を5℃に冷却し一晩放置した。上澄み液を取り出し、減圧下50℃で濾液を濃縮し1kg得た。濃縮液をクボタ株式会社製、遠心分離器で処理し、1800rpmの回転速度により遠心分離により沈殿物を除去し、得られた上澄み液を加熱殺菌(85℃、2時間)し、杜仲葉水抽出エキスを得た。当該濃縮エキス液をスプレードライ法により乾燥し、杜仲葉エキス粉末(300g)を得た。
【0042】
試験例1
表1に示す組成の錠剤を製造した。具体的な製造方法は以下に示す通りである。先ず、所定量の杜仲茶エキス末、ナットウキナーゼ、及びステアリン酸カルシウムを混合し固形組成物を調製した。次いで、得られた固形組成物を打錠機(20kNテーブルプレスTB-20H、NPaシステム株式会社製)を使用して、打錠圧10kNで打錠し、錠剤(径約8mm、厚み約4mm)を得た。
【0043】
得られた各錠剤について、ロードセル式錠剤硬度計PC-30(岡田精工株式会社)を用いて、破断端子の試験スピード0.5mm/秒に設定して、錠剤の硬度を測定した。
【0044】
得られた結果を表1に示す。杜仲茶エキス末及び滑沢剤を含む固形組成物では、打錠して錠剤にすると、錠剤硬度が70N程度であり、流通に耐え得る硬度を備えることはできなかった(比較例1)。また、ナットウキナーゼ粉末及び滑沢剤を含む固形組成物でも、打錠後の錠剤は、錠剤硬度が不充分であった(比較例2)。これに対して、杜仲茶エキス末と共に、ナットウキナーゼ粉末、及び滑沢剤を含む固形組成物を打錠すると、錠剤硬度が著しく高く、流通に耐え得る十分な硬度を備えていた(実施例1~3)。
【0045】
【表1】