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特開2024-83799電解槽ユニットにおける陰極室組立体及び電解装置
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  • 特開-電解槽ユニットにおける陰極室組立体及び電解装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024083799
(43)【公開日】2024-06-24
(54)【発明の名称】電解槽ユニットにおける陰極室組立体及び電解装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/77 20210101AFI20240617BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
C25B9/77
F16J15/10 Y
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197826
(22)【出願日】2022-12-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 仁司
【テーマコード(参考)】
3J040
4K021
【Fターム(参考)】
3J040BA04
3J040EA16
3J040FA06
3J040HA05
4K021AA03
4K021AB01
4K021AB05
4K021BA02
4K021BA03
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC15
4K021EA03
(57)【要約】
【課題】組立に熟練を要する、陰極室の周縁部に望ましくない空間を形成してしまう等の問題を発生させることなく、陰極が劣化した場合には容易に交換することができる陰極室組立体を提供する。
【解決手段】隔壁に形成されているリブに陰極を複数個の締結ねじ又は締結ピンによって直接的に又は間接的に着脱自在に装着することによって、及び/又は隔壁の内面周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジが配設されている形態においては、周縁フランジの内面に矩形状のガスケットの片面を接着し、ガスケットの他面の内周縁部と陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープを貼着することによって、陰極が装着されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の隔壁、並びに該隔壁の内面に対向して順次に積層配列された矩形状の集電体、クッション部材及び陰極を含み、該集電体と該隔壁との間に陰極室が規定されており、該隔壁の内面には間隔をおいて突出する複数個の導電性リブが固定されている、電解槽ユニットにおける陰極室組立体において、
該陰極は複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている、ことを特徴とする陰極室組立体。
【請求項2】
該クッション部材も複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている、請求項1記載の陰極室組立体。
【請求項3】
該複数個の締結ねじ又は締結ピンは、該クッション部材及び該集電体を通して該リブに直接的に又は間接的に固定された締結ねじ又は締結ピンと該陰極、該クッション部材及び該集電体を通して該リブに直接的に又は間接的に固定された締結ねじ又は締結ピンとを含む、請求項2記載の陰極室組立体。
【請求項4】
該集電体は該リブに溶接又は接着によって固定されている、請求項1又は2記載の陰極室組立体。
【請求項5】
該隔壁の内面にはその周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジが配設されており、該集電体、該クッション部材及び該陰極は該周縁フランジの内周側に配設されている、請求項1又は2記載の陰極室組立体。
【請求項6】
該周縁フランジの内面には矩形状のガスケットの片面が接着されており、該ガスケットの他面の内周縁部と該陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープが貼着されている、請求項5記載の陰極室組立体。
【請求項7】
矩形状の隔壁、該隔壁の内面周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジ、並びに該周縁フランジの内周側に且つ該隔壁の内面に対向して順次に積層配列された集電体、クッション部材及び陰極を含み、該集電体と該隔壁との間に陰極室が規定されており、該隔壁の内面には間隔をおいて突出する複数個の導電性リブが固定されている、電解槽ユニットにおける陰極室組立体において、
該周縁フランジの内面には矩形状のガスケットの片面が接着されており、該ガスケットの他面の内周縁部と該陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープが貼着されている、ことを特徴とする陰極室組立体。
【請求項8】
該クッション部材は複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている、請求項7記載の陰極室組立体。
【請求項9】
該集電体は該リブに溶接又は接着によって固定されている、請求項7又は8記載の陰極室組立体。
【請求項10】
請求項1又は7記載の陰極室組立体を含む電解槽ユニットを備えた電解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼロギャップ型アルカリ水電解装置及び食塩電解装置の如き電解装置を構成する電解槽ユニットにおける陰極室組立体及びかかる陰極室組立体を含む電解槽ユニットを備えた電解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、ゼロギャプ型アルカリ水電解装置及び食塩電解装置の如き電解装置においては、複数個の電解槽ユニットを所要圧力を加えて横方向に積み重ねて配列している。電解槽ユニットの各々は、陽極室組立体、陰極室組立体及びこれらの間に配設されたイオン交換膜から構成されている。陰極室組立体は矩形状の隔壁並びに隔壁の内面に対向して順次に積層配列された矩形状の集電体、クッション部材及び陰極を含む。隔壁の内面には間隔をおいて突出する導電性リブが固定されている。従来、集電体、クッション部材及び陰極は、隔壁に形成されているリブに直接的に又は間接的にスポット溶接することによって固定されていた。
【0003】
下記特許文献1には、陰極が劣化した場合に比較的容易に陰極を交換することができるようになすために、陰極を集電体及びクッション部材よりも幾分大きく形成し、隔壁に固定された集電体及びクッション部材に対して陰極の周縁部をクッション部材を跨いで集電体の裏面(隔壁に面する面)側に折り込み、かくして集電体及びクッション部材に陰極を離脱自在に装着することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-7607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上記特許文献1に開示されている陰極室組立体によれば、劣化した陰極を比較的容易に交換することができる。しかしながら、上記特許文献1に開示されている陰極室組立体も、未だ充分に満足し得るものではなく、陰極の周縁部をクッション部材を跨いで集電体の裏面側に折り込む作業が煩雑であり熟練を要する、陰極の周縁部をクッション部材を跨いで集電体の裏面側に折り込む際に陰極、集電体及びクッション部材の周縁部に望ましくない変形が生成され、陰極室の周辺部に望ましくない空間(例えば、かかる空間にNaOHが滞留して電解効率が低下する傾向がある)を形成してしまう虞が少なくない、という問題を有する。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、上記特許文献1に開示されている陰極室組立体における上述したとおりの問題を発生させることなく、陰極が劣化した場合には容易に交換することができる、新規且つ改良された陰極室組立体及びかかる陰極室組立体を含む電解層ユニットを備えた電解装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は鋭意検討の結果、隔壁に形成されているリブに陰極を複数個の締結ねじ又は締結ピンによって直接的に又は間接的に着脱自在に装着することによって、及び/又は隔壁の内面周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジが配設されている形態においては、周縁フランジの内面に矩形状のガスケットの片面を接着し、ガスケットの他面の内周縁部と陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープを貼着することによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0008】
即ち、本発明の第一の局面によれば、上記主たる技術的課題を達成する陰極室組立体として、
矩形状の隔壁、並びに該隔壁の内面に対向して順次に積層配列された矩形状の集電体、クッション部材及び陰極を含み、該集電体と該隔壁との間に陰極室が規定されており、該隔壁の内面には間隔をおいて突出する複数個の導電性リブが固定されている、電解槽ユニットにおける陰極室組立体において、
該陰極は複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている、ことを特徴とする陰極室組立体が提供される。
【0009】
好ましくは、該クッション部材も複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている。好適形態においては、該複数個の締結ねじ又は締結ピンは、該クッション部材及び該集電体を通して該リブに直接的に又は間接的に固定された締結ねじ又は締結ピンと該陰極、該クッション部材及び該集電体を通して該リブに直接的に又は間接的に固定された締結ねじ又は締結ピンとを含む。該集電体は該リブに溶接又は接着によって固定されているのが好都合である。該隔壁の内面にはその周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジが配設されており、該集電体、該クッション部材及び該陰極は該周縁フランジの内周側に配設されているのが望ましい。該周縁フランジの内面には矩形状のガスケットの片面が接着されており、該ガスケットの他面の内周縁部と該陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープが貼着されているのが好適である。
【0010】
本発明の他の局面によれば、上記主たる技術的課題を達成する陰極室組立体として、
矩形状の隔壁、該隔壁の内面周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジ、並びに外周縁フランジの内周側に且つ該隔壁の内面に対向して順次に積層配列された集電体、クッション部材及び陰極を含み、該集電体と該隔壁との間に陰極室が規定されており、該隔壁の内面には間隔をおいて突出する複数個の導電性リブが固定されている、電解槽ユニットにおける陰極室組立体において、
該周縁フランジの内面には矩形状のガスケットの片面が接着されており、該ガスケットの他面の内周縁部と該陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープが貼着されている、ことを特徴とする陰極室組立体が提供される。
【0011】
好ましくは、該クッション部材は複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている。該集電体は該リブに溶接又は接着によって固定されているのが好都合である。
【0012】
本発明の更に他の局面によれば、上記のとおりの陰極室組立体を含む電解槽ユニットを備えた電解装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の陰極室組立体によれば、複数個の締結ねじ又は締結ピンによって陰極をリブに直接的に或いは間接的に装着する、及び/又は周縁フランジの内面に片面が接着された矩形状のガスケットの他面の内周縁部と該陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープを貼着することによって陰極を装着するので、陰極の装着操作を充分容易に且つ迅速に実施することができる。陰極が劣化された場合には、締結ねじ又は締結ピンを離脱することによって、及び/又は貼着テープを剥離することによって劣化した陰極を離脱し、次いで新しい陰極を締結ねじ又は締結ピンによって及び/又は貼着テープによって装着すればよく、容易に陰極交換をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従って構成された陰極室組立体の好適実施形態を含む電解槽ユニットを備えた電解装置を示す簡略図。
図2図1に示す電解装置における電解槽ユニットの模式的部分断面図。
図3図2に示す電解槽ユニットにおける陰極室組立体の組立様式を説明するための簡略部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に従って構成された陰極室組立体の好適実施形態を含む電解槽ユニットを備えた電解装置を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
【0016】
図1には、本発明に従って構成された陰極室組立体の好適実施形態を含む電解槽ユニットを備えた電解装置が簡略に示されている。全体を番号2で示す電解装置は、ゼロギャップ型と称される形態であり、複数個の電解槽ユニット4を横方向に積み重ね配列して構成されている。複数個の電解槽ユニット4は、それ自体は当業者には周知の構成でよい流体圧式締付機構であるのが好都合である締付機構(図示していない)によって所要圧力を加えて積み重ねられている。
【0017】
電解槽ユニット4の一部を図示している図2を参照して説明すると、電解槽ユニット4の各々は、陰極室組立体6、陽極室組立体8及びこれらの間に介在された膜(アルカリ水電解装置の場合はイオン透過性材料から構成された隔膜、食塩電解装置の場合はイオン交換膜)10とから構成されている。陰極室組立体6、膜10及び陽極室組立体8は、実際は相互に密接されているが、図2においては構成要素を明確に図示するために便宜上構成要素を互いに離隔して図示している。
【0018】
陽極室組立体8及び膜10は、本発明に従って個性された陰極室組立体6の構成要素ではなく且つ当業者には周知の形態のものでよく、それ故に本明細書においては陽極室組立体8及び膜10の詳細な説明は省略する。
【0019】
図2を参照して説明を続けると、図示の陰極室組立体6は、矩形状の隔壁12と共に、隔壁12の周縁に沿って延在する全体として矩形状(換言すれば矩形額縁形状)である周縁フランジ14を含んでいる。周縁フランジ14は外周壁14a、内面壁14b及び内周壁14cを有する。内面壁14bは図2において上下方向に真直に延びる内周部(図2において下部)、図2において上方に向かって幾分外側(図2において左側)に傾斜して延びる傾斜部、及び図2において上下方向に真直に延びる外周部(図2において上部)を有する。かような周縁フランジ14は溶接、接着剤又は締結ねじの如き適宜の接合手段(図示していない)によって隔壁12に固定されている。隔壁12及び周縁フランジ14はニッケル板の如き適宜の導電性金属板から形成することができる。周縁フランジ14の内面壁14bの露呈面(図2において右側面)、更に詳しくは内面壁14bの真直に延びる内周部(図2において下部)の露呈面には、接着剤を介して或いは両面接着テープを介してガスケット16が固定されている。ガスケット16は全体として矩形状であり、その横断面形状は図2において上下方向に細長く延びる長方形である。ガスケット16は天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム(SR)、エチレン-プロピレンゴム(EPT)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FR)、イソブチレン-イソプレンゴム(IIR)、ウレタンゴム(UR)、又はクロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)の如き耐アルカリ性を有するエラストマーから形成されているのが好都合である。
【0020】
陰極室組立体6は、更に、隔壁12の内面(図2において右側面)に対向して順次に配列された集電体18、クッション部材20及び陰極22を含んでおり、集電体18と隔壁12との間に陰極室24が規定されている。集電体18、クッション部材20及び陰極22は、周縁フランジ14及びガスケット16の内周側に配設されている。陰極22の外周縁はガスケット16の内周面に接触乃至近接されているのが好都合である。集電体18は、例えばニッケルの如き適宜の金属から形成されたエキスパンドメタルから構成することができる。クッション部材20は、例えばニッケルの如き適宜の導電性金属から形成された金属線の集合体から形成された弾性マットから構成することができる。陰極22はニッケルの如き適宜の導電性金属から形成された平織金属網或いはエキスパンドメタルから構成することができる。
【0021】
隔壁12の内面には、図2において上下方向に或いは図2において紙面に垂直な方向に適宜の間隔をおいて突出する複数個の導電性リブ26が配設されている。適宜の導電性材料から形成された板形片でよいリブ26は溶接或いは接着の如き適宜の手段によって隔壁12に固定されている。集電体18はリブ26に溶接又は接着によって固定されているのが好都合である。一方、陰極22は締結ねじ又は締結ピン(図2においては図面の複雑化を避けるために締結ねじ又は締結ピンを図示していない)によってリブ26に直接的に又は間接的に(即ちリブ26に固定された受部材を介して)着脱自在に装着されている。クッション部材20も、締結ねじ又は締結ピン(図2においては図面の複雑化を避けるために締結ねじ又は締結ピンを図示していない)によってリブ26に直接的に又は間接的に(即ちリブ26に固定された受部材を介して)着脱自在に装着されているのが好ましい。更に、ガスケット16の内周縁部と陰極22の露呈面(図2において右面)の外周縁部とに跨って貼着テープ28が貼着されている。貼着テープ28は周方向全体に渡って貼着されている、即ち上縁部、両側縁部及び下縁部の夫々においてそれらの全長に渡って貼着されているのが好都合である。所望ならば、周方向に間隔をおいた複数個の部位において貼着テープ28を貼着することもできる。貼着テープ28は、片面に接着剤が塗布されている耐アルカリ性に優れた絶縁性合成樹脂フィルム製テープ、特にポリテトラフルオロエチレンフィルム製テープ、から形成されているのが好適である。
【0022】
図示の実施形態においては、陰極22は締結ねじ又は締結ピンを介してリブ26に装着されていると共に貼着テープ28を介してガスケット16に装着されているが、所望ならば締結ねじ又は締結ピンと貼着テープ28とのいずれか一方を省略する、換言すれば貼着テープ28を省略して締結ねじ又は締結ピンによってリブ26に装着するのみ、或いは締結ねじ又は締結ピンを省略して貼着テープ28によってガスケット16に装着するのみでもよい。
【0023】
次に、図3を参照して陰極室組立体6の組立様式の典型例を説明する。最初に、図3(a)に図示するとおり、上述したとおりにして部分的に組み立てられた隔壁12、周縁フランジ14及び集電体18を、適宜の支持面(図示していない)上に、隔壁12の外面が支持面上に位置するように横臥させる。そして、周縁フランジ14の内面壁14bにおける真直に延在する下部外面、図3(a)においては左部外面、の全体に渡って及び/又はガスケット16の片面の全体に渡って、接着剤30を塗布する。次いで、図3(b)に図示するとおり、ガスケット16の片面を周縁フランジ14の内面壁14bにおける真直に延在する下部外面に押し付け、かくして周縁フランジ14の内面壁14bにおける真直に延在する下部外面にガスケット16を接着する。所望ならば、周縁フランジ14の内面壁14bにおける真直に延在する下部外面の全体に渡って及び/又はガスケット16の片面の全体に渡ってではなくて、周縁フランジ14の内面壁14bにおける真直に延在する下部外面における周方向に間隔をおいた複数個の部位において及び/又はガスケット16の片面の周方向における間隔をおいた複数個の部位において、接着剤30を塗布することもできる。また、接着剤30に代えて両面接着テープを介して、周縁フランジ14の内面壁14bにおける真直に延在する下部外面にガスケット16を接着することもできる。
【0024】
次いで、図3(c)に図示するとおり、集電体18上にクッション部材20を載置し、図2において上下方向及び紙面に垂直な方向(図3において横方向及び紙面に垂直な方向)に適宜の間隔をおいた複数個の部位において、クッション部材20(更に詳細にはクッション部材20を構成している金属線間)及び集電体18(更に詳しくは集電体18に本来的に形成されている開口或いは締結ねじ32のために形成した孔)を通して、リブ26に直接的に締結ねじ32を螺着して(或いは締結ピンを打ち込んで)クッション部材20を装着する。必要ならば、リブ26の突出端部(図3において上端部)に合成樹脂製又は金属製でよい適宜の受部材(図示していない)を固定し、かかる受部材に締結ねじ32を螺着し(或いは締結ピンを打ち込み)、受部材を介して間接的にリブ26にクッション部材20を装着することもできる。次いで、図3(d)に図示する如く、クッション部材20上に陰極22を載置し、図2において上下方向及び紙面に垂直な方向(図3において横方向及び紙面に垂直な方向)に適宜の間隔をおいた複数個の部位において、陰極22(更に詳しくは陰極22に本来的に形成されている開口或いは締結ねじ34のために形成した孔)、クッション部材20及び集電体18を通してリブ26に直接的に締結ねじ34を螺着して(或いは締結ピンを打ち込んで)陰極22を装着する。必要ならば、リブ26の突出端部(図3において上端部)に固定された上記受部材に締結ねじ34を螺着し(或いは締結ピンを打ち込み)、上記受部材を介して間接的にリブ26に陰極22を装着することもできる。上記締結ねじ32及び34を螺着する(或いは締結ピンを打ち込む)部位は、陰極室24の角部においてはガスが滞留する傾向があり、そしてまた陰極室24の上端縁部にはガスポケットが形成される傾向があるので、これらの部位を避けた部位であるのが好都合である。
【0025】
しかる後に、図3(e)に図示する如く、ガスケット16と陰極22に跨って貼着テープ28を貼着する。貼着テープ28は周方向全体に渡って貼着する、即ち上縁部、両側縁部及び下縁部のそれぞれにおいてそれらの全長に渡って貼着するのが好都合である。所望ならば、周方向に間隔をおいた複数個の部位において貼着テープ28を貼着することもできる。
【符号の説明】
【0026】
2:電解装置
4:電解槽ユニット
6:陰極室組立体
8:陽極室組立体
10:膜
12:隔壁
14:周縁フランジ
16:ガスケット
18:集電体
20:クッション部材
22:陰極
24:陰極室
26:リブ
28:貼着テープ
30:接着剤
32:締結ねじ
34:締結ねじ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の隔壁、並びに該隔壁の内面に対向して順次に積層配列された矩形状の集電体、クッション部材及び陰極を含み、該集電体と該隔壁との間に陰極室が規定されており、該隔壁の内面には間隔をおいて突出する複数個の導電性リブが固定されている、電解槽ユニットにおける陰極室組立体において、
該陰極は複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該導電性リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている、ことを特徴とする陰極室組立体。
【請求項2】
該クッション部材も複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該導電性リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている、請求項1記載の陰極室組立体。
【請求項3】
該複数個の締結ねじ又は締結ピンは、該クッション部材及び該集電体を通して該導電性リブに直接的に又は間接的に固定された締結ねじ又は締結ピンと該陰極、該クッション部材及び該集電体を通して該導電性リブに直接的に又は間接的に固定された締結ねじ又は締結ピンとを含む、請求項2記載の陰極室組立体。
【請求項4】
該集電体は該導電性リブに溶接又は接着によって固定されている、請求項1又は2記載の陰極室組立体。
【請求項5】
該隔壁の内面にはその周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジが配設されており、該集電体、該クッション部材及び該陰極は該周縁フランジの内周側に配設されている、請求項1又は2記載の陰極室組立体。
【請求項6】
該周縁フランジの内面には矩形状のガスケットの片面が接着されており、該ガスケットの他面の内周縁部と該陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープが貼着されている、請求項5記載の陰極室組立体。
【請求項7】
矩形状の隔壁、該隔壁の内面周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジ、並びに該周縁フランジの内周側に且つ該隔壁の内面に対向して順次に積層配列された集電体、クッション部材及び陰極を含み、該集電体と該隔壁との間に陰極室が規定されており、該隔壁の内面には間隔をおいて突出する複数個の導電性リブが固定されている、電解槽ユニットにおける陰極室組立体において、
該周縁フランジの内面には矩形状のガスケットの片面が接着されており、該ガスケットの他面の内周縁部と該陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープが貼着されている、ことを特徴とする陰極室組立体。
【請求項8】
該クッション部材は複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該導電性リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている、請求項7記載の陰極室組立体。
【請求項9】
該集電体は該導電性リブに溶接又は接着によって固定されている、請求項7又は8記載の陰極室組立体。
【請求項10】
請求項1又は7記載の陰極室組立体を含む電解槽ユニットを備えた電解装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
即ち、本発明の第一の局面によれば、上記主たる技術的課題を達成する陰極室組立体として、
矩形状の隔壁、並びに該隔壁の内面に対向して順次に積層配列された矩形状の集電体、クッション部材及び陰極を含み、該集電体と該隔壁との間に陰極室が規定されており、該隔壁の内面には間隔をおいて突出する複数個の導電性リブが固定されている、電解槽ユニットにおける陰極室組立体において、
該陰極は複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該導電性リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている、ことを特徴とする陰極室組立体が提供される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
好ましくは、該クッション部材も複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該導電性リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている。好適形態においては、該複数個の締結ねじ又は締結ピンは、該クッション部材及び該集電体を通して該導電性リブに直接的に又は間接的に固定された締結ねじ又は締結ピンと該陰極、該クッション部材及び該集電体を通して該導電性リブに直接的に又は間接的に固定された締結ねじ又は締結ピンとを含む。該集電体は該導電性リブに溶接又は接着によって固定されているのが好都合である。該隔壁の内面にはその周縁部に沿って延在する矩形枠形状の周縁フランジが配設されており、該集電体、該クッション部材及び該陰極は該周縁フランジの内周側に配設されているのが望ましい。該周縁フランジの内面には矩形状のガスケットの片面が接着されており、該ガスケットの他面の内周縁部と該陰極の露呈面の外周縁部とに跨って貼着テープが貼着されているのが好適である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
好ましくは、該クッション部材は複数個の締結ねじ又は締結ピンによって該導電性リブに直接的に又は間接的に着脱自在に装着されている。該集電体は該導電性リブに溶接又は接着によって固定されているのが好都合である。