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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084206
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】波長検出装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20240618BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G02B6/12 341
G02B6/12 301
G02B6/12 331
G02B6/12 321
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198349
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛
(72)【発明者】
【氏名】石川 陽三
(72)【発明者】
【氏名】松原 礼高
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】梶 敦次
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AA14
2H137AB11
2H137BA31
2H137BA44
2H137BA48
2H137BA52
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H137BC31
2H137BC32
2H137HA13
2H147AA02
2H147AB16
2H147AB17
2H147AB29
2H147BE01
2H147BE03
2H147BG06
2H147CA17
2H147CA18
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147EA14C
2H147GA21
(57)【要約】
【課題】例えば、波長がそれぞれ異なる複数の光について共用することが可能となる新規な改善された波長検出装置を得る。
【解決手段】波長検出装置は、例えば、光を導波する複数の導波路と、それぞれ導波路で導波され互いに波長が異なる複数の光を合波する合波部と、合波部から出力された光が入力され光の透過率が波長に応じて異なる特性を有するフィルタ部と、フィルタ部から出力された光の強度を検出する検出部と、を備え、複数の導波路、合波部、およびフィルタ部が平面光波回路に構成される。波長検出装置は、複数の光のそれぞれに対応して設けられ、光を透過する状態と透過を抑制する状態とを切り替えるスイッチ部を備えてもよい。また、合波部は、波長分割多重カプラを含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導波する複数の導波路と、
それぞれ前記導波路で導波され互いに波長が異なる複数の光を合波する合波部と、
前記合波部から出力された光が入力され光の透過率が波長に応じて異なる特性を有するフィルタ部と、
前記フィルタ部から出力された光の強度を検出する検出部と、
を備え、前記複数の導波路、前記合波部、および前記フィルタ部が平面光波回路に構成された、波長検出装置。
【請求項2】
前記複数の光のそれぞれに対応して設けられ、前記光を透過する状態と透過を抑制する状態とを切り替えるスイッチ部を備えた、請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項3】
前記合波部は、波長分割多重カプラを含む、請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項4】
前記複数の光は、中心波長が第一波長の第一光と、中心波長が前記第一波長より長い第二波長の第二光と、中心波長が前記第二波長より長い第三波長の第三光と、中心波長が前記第三波長より長い第四波長の第四光と、を含み、
前記合波部は、
前記波長分割多重カプラとして、
前記第一光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第一波長でピークとなるポートと、前記第三光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第三波長でピークとなるポートと、を有した第一波長分割多重カプラと、
前記第二光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第二波長でピークとなるポートと、前記第四光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第四波長でピークとなるポートと、を有した第二波長分割多重カプラと、
前記第一波長分割多重カプラからの出力光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第一波長および前記第三波長でピークとなるポートと、前記第二波長分割多重カプラからの出力光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第二波長および前記第四波長でピークとなるポートと、を有した第三波長分割多重カプラと、
を有した、請求項3に記載の波長検出装置。
【請求項5】
前記フィルタ部は、波長に対する透過率の特性が異なる複数のフィルタを有した、請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項6】
前記導波路が、直線状に延びた延部を有し、
前記合波部および前記フィルタ部が、前記延部の延長線から外れて位置した、請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項7】
前記導波路が、直線状に延びた延部を有し、
前記合波部および前記フィルタ部が、前記延部から漏洩し前記延部の延長線に沿って進む仮想迷光の前記平面光波回路の側面での仮想反射光の進む経路から外れて位置した、請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項8】
前記平面光波回路の、前記導波路とは外れた部位に、空間が設けられた、請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項9】
前記平面光波回路の側面を覆い光を吸収する吸収部を備えた、請求項1に記載の波長検出装置。
【請求項10】
前記導波路を導波される光の伝搬モードを制限するモードフィルタを備えた、請求項1に記載の波長検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ装置から出力される光の波長を検出する波長検出装置(波長モニタ部)が、知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/166615号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、一つの光源から出力された光の波長を、一つの波長検出装置によって検出している。
【0005】
例えば、出力する光の波長がそれぞれ異なる複数の光源を有した光学装置等において、波長検出装置を共用することができれば、有益である。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、波長がそれぞれ異なる複数の光について共用することが可能となる新規な改善された波長検出装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の波長検出装置は、例えば、光を導波する複数の導波路と、それぞれ前記導波路で導波され互いに波長が異なる複数の光を合波する合波部と、前記合波部から出力された光が入力され光の透過率が波長に応じて異なる特性を有するフィルタ部と、前記フィルタ部から出力された光の強度を検出する検出部と、を備え、前記複数の導波路、前記合波部、および前記フィルタ部が平面光波回路に構成される。
【0008】
前記波長検出装置は、前記複数の光のそれぞれに対応して設けられ、前記光を透過する状態と透過を抑制する状態とを切り替えるスイッチ部を備えてもよい。
【0009】
前記波長検出装置では、前記合波部は、波長分割多重カプラを含んでもよい。
【0010】
前記波長検出装置では、前記複数の光は、中心波長が第一波長の第一光と、中心波長が前記第一波長より長い第二波長の第二光と、中心波長が前記第二波長より長い第三波長の第三光と、中心波長が前記第三波長より長い第四波長の第四光と、を含み、前記合波部は、前記波長分割多重カプラとして、前記第一光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第一波長でピークとなるポートと、前記第三光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第三波長でピークとなるポートと、を有した第一波長分割多重カプラと、前記第二光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第二波長でピークとなるポートと、前記第四光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第四波長でピークとなるポートと、を有した第二波長分割多重カプラと、前記第一波長分割多重カプラからの出力光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第一波長および前記第三波長でピークとなるポートと、前記第二波長分割多重カプラからの出力光が入力されるとともに入力された光の透過率が前記第二波長および前記第四波長でピークとなるポートと、を有した第三波長分割多重カプラと、を有してもよい。
【0011】
前記波長検出装置では、前記フィルタ部は、波長に対する透過率の特性が異なる複数のフィルタを有してもよい。
【0012】
前記波長検出装置では、前記導波路が、直線状に延びた延部を有し、前記合波部および前記フィルタ部が、前記延部の延長線から外れて位置してもよい。
【0013】
前記波長検出装置では、前記導波路が、直線状に延びた延部を有し、前記合波部および前記フィルタ部が、前記延部から漏洩し前記延部の延長線に沿って進む仮想迷光の前記平面光波回路の側面での仮想反射光の進む経路から外れて位置してもよい。
【0014】
前記波長検出装置では、前記平面光波回路の、前記導波路とは外れた部位に、空間が設けられてもよい。
【0015】
前記波長検出装置は、前記平面光波回路の側面を覆い光を吸収する吸収部を備えてもよい。
【0016】
前記波長検出装置は、前記導波路を導波される光の伝搬モードを制限するモードフィルタを備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、例えば、波長がそれぞれ異なる複数の光について共用することが可能となる新規な改善された波長検出装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の波長検出装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、第1実施形態の波長検出装置に含まれる合波部の例示的な概略構成図である。
図3図3は、第1実施形態の波長検出装置に含まれる合波部の波長と透過率との関係を示す例示的なグラフである。
図4図4は、第2実施形態の波長検出装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図5図5は、第3実施形態の波長検出装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図6図6は、第4実施形態の波長検出装置の例示的かつ模式的な平面図である。
図7図7は、第4実施形態の波長検出装置の一部の例示的かつ模式的な側面図である。
図8図8は、第5実施形態の波長検出装置の例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な複数の実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0020】
以下に示される複数の実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0021】
本明細書において、序数は、光や、波長、構成等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではないし、個数を限定するものでもない。
【0022】
各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。Z方向は、積層方向あるいは高さ方向とも称されうる。
【0023】
また、各図は説明を目的とした模式図であって、各図と実物とでスケールや比率は、必ずしも一致しない。
【0024】
[第1実施形態]
[全体構成]
図1は、第1実施形態の波長検出装置100A(100)の概略構成を示す平面図である。波長検出装置100は、光源としてのレーザ装置10-1~10-4のそれぞれが出力する光の波長を検出する。
【0025】
レーザ装置10-1~10-4は、それぞれ波長が異なる光を出力する。レーザ装置10-1~10-4は、例えば、供給された電流に応じて光を出力する半導体レーザ素子を含んでいる。
【0026】
本実施形態では、レーザ装置10-1は、中心波長がλ1の光を出力する。レーザ装置10-2は、中心波長がλ1より長いλ2の光を出力する。レーザ装置10-3は、中心波長がλ2より長いλ3の光を出力する。また、レーザ装置10-4は、中心波長がλ3より長いλ4の光を出力する。
【0027】
波長検出装置100は、平面光波回路101(PLC:planar lightwave circuit)と、複数のスイッチ150A(150)と、検出部140と、を備えている。
【0028】
スイッチ150は、レーザ装置10-1~10-4のそれぞれに対応して設けられている。スイッチ150は、それぞれ、光を透過する状態と、光の透過を抑制する状態と、を切り替えることができる。スイッチ150Aは、例えば、レーザ装置10-1~10-4のゲートスイッチとして構成されうる。スイッチ150は、スイッチ部の一例である。
【0029】
平面光波回路101には、複数の導波路102、合波部110、分岐部120、およびフィルタ部130が構成されている。平面光波回路101は、基板と、基板上に積層された積層部と、を有している。また、平面光波回路101は、例えば、石英系ガラス材料や、シリコン系材料で作られる。
【0030】
レーザ装置10-1~10-4から出力された光は、スイッチ150を介して、それぞれ、異なる導波路102に入力される。本実施形態では、一例として、四つのレーザ装置10-1~10-4から出力された光は、四つの導波路102に入力される。
【0031】
導波路102は、それぞれ、コアと当該コアを取り囲むクラッドとによって構成され、コアにおいて光を導波する。図1では、導波路102のコアが線状に描かれている。
【0032】
合波部110は、レーザ装置10-1~10-4から入力され導波路102で伝送された光、すなわち、互いに波長が異なる複数の光を、合波する。本実施形態では、合波部110は、四つの導波路102で導波された、波長が異なる四つの光を、合波することができる。合波部110の詳細な構成については、後述する。
【0033】
分岐部120は、合波部110から出力された光を、複数の導波路102に分岐する。本実施形態では、分岐部120は、スプリッタ121,122を有しており、これらスプリッタ121,122は、それぞれ、1×2スプリッタとして構成されている。分岐部120は、合波部110から出力された光を、三つの導波路102に分岐する。
【0034】
三つの導波路102のうち、二つの導波路102を通る光は、フィルタ部130を経由して平面光波回路101から出力され、残りの一つの導波路102(102-0)を通る光は、フィルタ部130を経由せずに平面光波回路101から出力される。
【0035】
フィルタ部130は、フィルタ131,132を有している。フィルタ131,132は、光の透過率が波長に応じて異なる特性、すなわち、周期的なあるいは一つの特定の波長(ピーク波長)で透過率が最大となり、波長が当該ピーク波長から離れるほど、透過率が低くなる特性を、有している。
【0036】
また、フィルタ131,132は、当該特性、すなわち波長に対する透過率の特性が、互いに異なっている。一例として、フィルタ131,132は、一方のフィルタの波長に対する透過率の変化率が最大となる波長と他方のフィルタのピーク波長とが略一致するよう、構成されうる。フィルタ131,132は、例えば、リング共振器や、マッハツェンダ干渉計として構成されうる。
【0037】
フィルタ131を経由した光は、導波路102(102-1)を通って平面光波回路101から出力され、フィルタ132を経由した光は、導波路102(102-2)を通って平面光波回路101から出力される。
【0038】
検出部140-0~140-2は、それぞれ、導波路102-0~102-2を通った光の強度を検出する。検出部140-0~140-2は、例えば、フォトダイオードとして構成されうる。
【0039】
当該検出部140-0~140-2の構成の場合、不図示の制御部は、検出部140-0で検出された光の強度に対する検出部140-1で検出された光の強度の比(強度比)と、検出部140-0で検出された光の強度に対する検出部140-2で検出された光の強度の比(強度比)と、に基づいて、光の波長を検出することができる。
【0040】
なお、分岐部120、フィルタ部130、および検出部140の構成は、図1の構成には限定されず、種々に変形して実施することができる。例えば、フィルタ部130の数は、1であってもよいし、検出部140の数は、1や2であってもよい。
【0041】
[合波部の構成]
図2は、合波部110の例示的な概略構成図である。図2に示されるように、本実施形態では、合波部110は、三つの波長分割多重カプラ111,112,113を有して構成されている。
【0042】
波長分割多重カプラ111のポート111aには、レーザ装置10-1からの光L11が入力され、ポート111bには、レーザ装置10-3からの光L13が入力される。波長分割多重カプラ111は、光L11と光L13とを合波することができる。光L11は、第一光の一例であり、光L13は、第三光の一例である。
【0043】
波長分割多重カプラ112のポート112aには、レーザ装置10-2からの光L12が入力され、ポート112bには、レーザ装置10-4からの光L14が入力される。波長分割多重カプラ112は、光L12と光L14とを合波することができる。光L12は、第二光の一例であり、光L14は、第四光の一例である。
【0044】
波長分割多重カプラ113のポート113aには、波長分割多重カプラ111から出力された光L21が入力され、ポート113bには、波長分割多重カプラ112から出力された光L22が入力される。波長分割多重カプラ113は、光L21と光L22とを合波することができる。
【0045】
図3は、三つの波長分割多重カプラ111,112,113の波長と透過率の特性を示すグラフである。グラフの下段は、波長分割多重カプラ111,112の特性を示し、グラフの上段は、波長分割多重カプラ113の特性を示している。
【0046】
図3のグラフの下段において、波長分割多重カプラ111の波長-透過率特性は、太い実線と太い破線とで示しており、太い実線は、ポート111aに入力した光に対する波長-透過率特性を示すとともに、太い破線は、ポート111bに入力した光に対する波長-透過率特性を示している。これら太い実線および太い破線に示されるように、波長分割多重カプラ111は、透過率が波長に対して正弦波状に変化するよう構成されている。波長分割多重カプラ111は、ポート111aに入力した光に対しては、波長λ1で透過率が最大(トップピーク)となり、かつ波長λ3で透過率が最小(ボトムピーク)となるよう構成されている。また、波長分割多重カプラ111は、ポート111bに入力した光に対しては、波長λ1で透過率が最小(ボトムピーク)となり、かつ波長λ3で透過率が最大(トップピーク)となるよう構成されている。このような構成において、ポート111aに中心波長が波長λ1となる光L11を入力し、ポート111bに中心波長が波長λ3となる光L13を入力することにより、波長分割多重カプラ111において、光L11,L13の双方に対して損失の小さい導波路を構成することができる。
【0047】
図3のグラフの下段において、波長分割多重カプラ112の波長-透過率特性は、細い実線と細い破線とで示しており、細い実線は、ポート112aに入力した光に対する波長-透過率特性を示すとともに、細い破線は、ポート112bに入力した光に対する波長-透過率特性を示している。これら細い実線および細い破線に示されるように、波長分割多重カプラ112は、透過率が波長に対して正弦波状に変化するよう構成されている。波長分割多重カプラ112は、ポート112aに入力した光に対しては、波長λ2で透過率が最大(トップピーク)となり、かつ波長λ4で透過率が最小(ボトムピーク)となるよう構成されている。また、波長分割多重カプラ112は、ポート112bに入力した光に対しては、波長λ2で透過率が最小(ボトムピーク)となり、かつ波長λ4で透過率が最大(トップピーク)となるよう構成されている。このような構成において、ポート112aに中心波長が波長λ2となる光L12を入力し、ポート112bに中心波長が波長λ4となる光L14を入力することにより、波長分割多重カプラ112において、光L12,L14の双方に対して損失の小さい導波路を構成することができる。
【0048】
また、図3のグラフの上段において、波長分割多重カプラ113の波長-透過率特性は、実線と破線とで示しており、実線は、ポート113aに入力した光に対する波長-透過率特性を示すとともに、破線は、ポート113bに入力した光に対する波長-透過率特性を示している。これら実線および破線に示されるように、波長分割多重カプラ113は、透過率が波長に対して正弦波状にかつ周期的に変化するよう構成されている。波長分割多重カプラ113は、ポート113aに入力した光に対しては、波長λ1,λ3で透過率が最大(トップピーク)となり、かつ波長λ2,λ4で透過率が最小(ボトムピーク)となるよう構成されている。また、波長分割多重カプラ113は、ポート113bに入力した光に対しては、波長λ2,λ4で透過率が最大(トップピーク)となり、かつ波長λ1,λ3で透過率が最小(ボトムピーク)となるよう構成されている。このような構成において、ポート113aに、波長分割多重カプラ111から出力され、中心波長がλ1である光L11と中心波長がλ3である光L13とを含む光L21を入力するとともに、ポート113bに、波長分割多重カプラ112から出力され、中心波長がλ2である光L12と中心波長がλ4である光L14とを含む光L22を入力することにより、波長分割多重カプラ113において、光L21,L22の双方、すなわち、光L11,L12,L13,L14に対して損失の小さい導波路を構成することができる。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態では、波長検出装置100は、互いに波長が異なる複数の光L11~L14を合波する合波部110を備えているため、分岐部120、フィルタ部130、および検出部140の構成を、当該複数の光L11~L14で共用することができる。よって、本実施形態によれば、例えば、波長が異なる複数の光のそれぞれについて、分岐部120、フィルタ部130、および検出部140を備えた構成に比べて、波長検出装置100をより小さく構成できるとともに、波長検出装置100の製造に要する手間やコストを抑制することができるという効果が得られる。
【0050】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の波長検出装置100B(100)の概略構成を示す平面図である。本実施形態の波長検出装置100Bは、第1実施形態の波長検出装置100Aが備えていた平面光波回路101外のスイッチ150Aに替えて、平面光波回路101内のスイッチ150B(150)を備えている。当該スイッチ150Bは、例えば、可変光減衰器(VOA:variable optical attenuator)として構成されうる。
【0051】
スイッチ150が異なる点を除き、本実施形態の波長検出装置100Bは、第1実施形態の波長検出装置100Aと同様の構成を備えている。本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0052】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態の波長検出装置100C(100)の概略構成を示す平面図である。本実施形態の波長検出装置100Cは、第1実施形態の波長検出装置100Aと同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
ただし、本実施形態の波長検出装置100Cは、導波路102の経路が、第1実施形態および第2実施形態と相違している。
【0054】
具体的には、まず、レーザ装置10-1~10-4から入力された光が、それぞれ、導波路102のX方向に直線状に延びた区間102eで導波され、合波部110、分岐部120、およびフィルタ部130が、当該区間102eの延長線(図5中のX方向へ向かう二点鎖線の矢印)から外れて位置している。区間102eは、延部の一例である。
【0055】
さらに、区間102eから漏洩し当該区間102eの延長線に沿って進む仮想迷光の、平面光波回路101の側面101b1(101b)での仮想反射光の進む経路(図5中のX方向の反対方向へ向かう二点鎖線の矢印)から外れて位置している。
【0056】
このような構成の本実施形態によれば、区間102eから漏れた迷光、および当該迷光の側面101b1における反射光が、合波部110、分岐部120、およびフィルタ部130と結合して、検出部140による強度の検出、ひいては波長検出装置100による波長の検出に支障を来すのを、抑制することができる。
【0057】
[第4実施形態]
図6は、第4実施形態の波長検出装置100D(100)の概略構成を示す平面図である。本実施形態の波長検出装置100Dは、第1実施形態の波長検出装置100Aと同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
ただし、本実施形態の波長検出装置100Dにあっては、平面光波回路101の、導波路102とは外れた位置に、空間101cが設けられている。空間101cは、例えば、平面光波回路101のZ方向の端部に位置する頂面101aに開口した開口によって、形成されている。空間101cは、溝や凹部とも称されうる。
【0059】
空間101cは、導波路102と外れた種々の位置に設けることができる。空間101cは、平面光波回路101内で迷光が伝播するのを抑制することができる。
【0060】
空間101cのうち、空間101c1は、合波部110、分岐部120、およびフィルタ部130と、レーザ装置10-1~10-4から出力されスイッチ150を介して平面光波回路101に入力された光が導波される導波路102の区間102eと、の間に、位置している。このような構成によれば、当該空間101c1によって、区間102eから漏れた迷光を遮ることができるため、当該迷光が合波部110、分岐部120、およびフィルタ部130に結合と結合して、検出部140による強度の検出、ひいては波長検出装置100による波長の検出に支障を来すのを、抑制することができる。
【0061】
また、空間101cのうち、空間101c2は、平面光波回路101の、光が出力される側面101b2の近傍で、導波路102の間に設けられている。このような構成によれば、側面101b2への外部からの戻り光、例えば出力光に対する検出部140からの反射光が平面光波回路101内に進入した場合に、当該光が平面光波回路101内で伝播するのを抑制することができる。
【0062】
さらに、本実施形態では、平面光波回路101の、Z方向と交差した方向(X方向やY方向)の端面としての側面101bには、当該側面101bを覆うように、光を吸収する吸収層160が設けられている。吸収層160は、例えば、黒色塗膜である。吸収層160によれば、平面光波回路101内を伝播した迷光が、側面101bで反射されるのを抑制することができるとともに、外部から側面101bを介して平面光波回路101内に光が進入するのを抑制することができる。吸収層160は、吸収部の一例である。
【0063】
図7は、本実施形態の平面光波回路101の、導波路102の出力端近傍を見た側面図である。図7に示されるように、平面光波回路101は、基板101dと、当該基板101d上に形成された積層部101eと、を含んでいる。コア102aおよびクラッド102bは、積層部101eに形成されている。そして、図7に示されるように、吸収層160は、側面101b2において、導波路102の出力端のコア102aとクラッド102bの一部とを除く部位を覆うように設けられている。このような構成により、吸収層160が、導波路102における本来の光の伝送を阻害するのを、回避することができる。
【0064】
[第5実施形態]
図8は、第5実施形態の波長検出装置100E(100)の概略構成を示す平面図である。本実施形態の波長検出装置100Eは、第1実施形態の波長検出装置100Aと同様の構成を備えている。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
ただし、本実施形態の波長検出装置100Eにあっては、平面光波回路101は、導波路102を導波される光の伝搬モードを制限するモードフィルタ170が設けられている。モードフィルタ170により、高次モードでの光の伝搬を抑制することができるため、導波路102から光が漏れて迷光が生じるのを抑制することができる。よって、このような構成によれば、当該迷光が合波部110、分岐部120、およびフィルタ部130に結合と結合して、検出部140による強度の検出、ひいては波長検出装置100による波長の検出に支障を来すのを、抑制することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
10-1~10-4…レーザ装置
100,100A~100E…波長検出装置
101…平面光波回路
101a…頂面
101b,101b1,101b2…側面
101c,101c1,101c2…空間
101d…基板
101e…積層部
102,102-0~102-2…導波路
102a…コア
102b…クラッド
102e…区間(延部)
110…合波部
111…波長分割多重カプラ(第一波長分割多重カプラ)
112…波長分割多重カプラ(第二波長分割多重カプラ)
113…波長分割多重カプラ(第三波長分割多重カプラ)
111a,111b,112a,112b,113a,113b…ポート
120…分岐部
121,122…スプリッタ
130…フィルタ部
131,132…フィルタ
140,140-0~140-2…検出部
150,150A,150B…スイッチ(スイッチ部)
160…吸収層(吸収部)
170…モードフィルタ
L11…光(第一光)
L12…光(第二光)
L13…光(第三光)
L14…光(第四光)
L21,L22…光
X…方向
Y…方向
Z…方向
λ1~λ4…波長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8