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特開2024-84296トラフ蓋を支持する支持部材、トラフ蓋の支持構造、トラフ蓋
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084296
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】トラフ蓋を支持する支持部材、トラフ蓋の支持構造、トラフ蓋
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/04 20060101AFI20240618BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240618BHJP
   E03F 5/04 20060101ALN20240618BHJP
【FI】
H02G9/04
H02G1/06
E03F5/04 E
E03F5/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198486
(22)【出願日】2022-12-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔掲載アドレス〕 https://visitor.htf2022.sonomama-series.com/venue/5/map/32、及びhttps://visitor.htf2022.sonomama-series.com/booth_contents/venue/5/map/32/panel_2/other_4?pdf=https%3A%2F%2Fhtf2022-prd-vt.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com%2Fcontents%2Fcompany128%2Fpanel2%2FFurukawa%20Electric_other4_pdf.pdf&visitorId=VmlzaXRvcjoxMzE4OQ%3D%3D 〔掲載日〕 令和4年11月17日 〔展示会名〕 ハイウェイテクノフェア 2022 〔展示場所〕 東京国際展示場(東京ビッグサイト)西1・2ホール 〔展示日〕 令和4年11月24日 〔刊行物名〕 「軽量トラフ用部材 強化型セパレータ」ちらし 〔発行日〕 令和4年9月
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】白山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】三谷 康人
(72)【発明者】
【氏名】塩田 裕志
【テーマコード(参考)】
2D063
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
2D063CB03
2D063CB12
2D063CB26
5G352CG03
5G369BA03
5G369DB01
5G369DB05
5G369DB07
(57)【要約】
【課題】 トラフ内部に設置してトラフ蓋を支持する支持部材により支持することで、トラフ蓋にかかる荷重に耐えうるトラフ蓋を支持する支持部材等を提供する。
【解決手段】 支持部材1は、トラフに設置した際に、トラフの幅方向と長手方向に延びる平板状の底板3と、底板3の幅方向の中央から断面が略長方形状の上方に向けて直角に延出する支持板5とが,底板の一方の端部から他方の端部に向けて一体成形された略逆T字形状を有するものである。支持板5は内部が中空構造である。支持板5の中空部には、水平な方向に所定厚さの仕切り壁7が設けられる。仕切り壁7によって形成される、支持板5の最上段の中空部には、中空部を幅方向に2等分する縦壁11が設けられる。また、底板3の上面には固定部9が設けられる。固定部9は、底板3をトラフ本体の底面に対して横ずれを防止してトラフ幅方向の中央に配置して固定部材で固定するための部位である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラフ本体内に配置され、トラフ蓋を支持する所定長さの支持部材であって、前記支持部材は、トラフ幅方向と長手方向に延びる略長方形の平板状の底板と、前記底板の幅方向の中央から断面が略長方形状の上方に向けて直角に延出する支持板とが、前記底板の一方の端部から他方の端部に向けて一体成形された略逆T字形状を有するものであり、
前記支持板は内部が中空構造であり、前記支持板の内部を高さ方向に所定間隔で所定個数の同一形状の中空部に仕切る所定厚さの水平な仕切り壁を設けることで、同一形状の長方形状の空間を所定個数設けて、各区画の壁厚、区画の壁長さを所定長さに形成したものであり、
さらに、前記支持板の少なくとも最上段の中空部には、最上段の中空部の空間を2等分する縦壁が設けられ、前記支持板の荷重支持部である前記支持板の上端面の中央を支持することで、トラフ蓋の幅方向の中央の最大荷重部を補強するとともに、
前記底板の上面の幅方向の端部近傍の両側の対称な位置には、前記底板をトラフ本体の底面に対して横ずれを防止してトラフ幅方向の中央に配置して固定部材で固定するための固定部が設けられることを特徴とするトラフ蓋を支持する支持部材。
【請求項2】
前記底板に形成された前記固定部は、固定部材として皿ねじで固定できるように、皿ねじの頭部が収納できるように略逆台形状の溝が、前記支持板を挟んで前記底板の幅方向の両側の略対称な位置に、前記底板の長手方向に平行に連続して形成したものであるか、あるいは逆円錐台形状の凹部が前記支持板を挟んで前記底板の幅方向に略対称な所定位置に、前記底板の長手方向に所定間隔で設けられることを特徴とする請求項1に記載のトラフ蓋を支持する支持部材。
【請求項3】
前記支持部材が難燃性を有する硬質塩化ビニル樹脂製であり、さらに前記硬質塩化ビニル樹脂がリサイクル樹脂を一部含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトラフ蓋を支持する支持部材。
【請求項4】
トラフ本体とトラフ蓋からなるトラフにおけるトラフ蓋の支持構造であって、
前記トラフ本体は、底面と前記底面の両側に略直角に上方に向けて形成された両側面を有し、前記両側面の外面の少なくとも一部には所定数の補強リブが形成された断面略コの字型であり、
前記両側面の上端部にはトラフ蓋が載置されるもので、
前記トラフ本体内に配置され、前記トラフ蓋を支持する所定長さの支持部材を有し、
前記支持部材は、トラフの幅方向と長手方向に延びる略長方形の平板状の底板と、前記底板の幅方向の中央から断面が略長方形状の上方に向けて直角に延出する支持板とが、前記底板の一方の端部から他方の端部に向けて一体成形された略逆T字形状を有するものであり、
前記支持板は内部が中空構造であり、前記支持板の内部を高さ方向に所定間隔で所定個数の同一形状の中空部に仕切る所定厚さの水平な仕切り壁を設けることで、同一形状の長方形状の空間を所定個数設けて、各区画の壁厚、区画の壁長さを所定長さに形成したものであり、
さらに、前記支持板の少なくとも最上段の中空部には、最上段の中空部の空間を2等分する縦壁が設けられ、
前記支持板の荷重支持部である前記支持板の上端面の中央を支持することで、前記トラフ蓋の幅方向の中央の最大荷重部を補強するとともに、
前記底板の上面の幅方向の端部近傍の両側の対称な位置には、前記底板を前記トラフ本体の前記底面に対して横ずれを防止するように固定部材で固定するための固定部が、前記支持部材の前記底板の少なくとも前方及び後方あるいは長手方向に連続して設けられ、
前記固定部において、前記支持部材が前記固定部材により固定されることを特徴とする支持部材によるトラフ蓋の支持構造。
【請求項5】
前記トラフ本体の内部の幅方向の中央に前記支持板の中央を合わせるように前記支持部材を配置した場合に、前記トラフ蓋に掛かる荷重を支持できるように、前記支持部材の前記底板の裏面から前記支持板の上面までの距離は、前記トラフ本体の前記底面の略中央と前記トラフ蓋の裏面の略中央を結ぶ距離に対して、略同一又は僅かに短く形成されていることを特徴とする請求項4に記載の支持部材によるトラフ蓋の支持構造。
【請求項6】
前記トラフ蓋の裏面には、前記トラフ蓋の補強のため、少なくとも幅方向の中央には、長手方向リブ、幅方向リブ或いは格子状リブのいずれかが形成されていて、前記支持部材の先端部は前記トラフ蓋の裏面中央のいずれかのリブを支持するかトラフ蓋の裏面中央を直接支持することを特徴とする請求項4に記載の支持部材によるトラフ蓋の支持構造。
【請求項7】
前記トラフ蓋の裏面の幅方向の両側の所定位置には、リブの先端が徐々に先細る先細り形状の位置決め用リブが、前記幅方向リブを跨いで、前記幅方向リブまたは前記長手方向リブより前記トラフ蓋の裏面の下方に突出するようにトラフ長手方向に沿って形成され、
両側の前記位置決め用リブの外面間の距離は、前記トラフ本体の前記両側面の間の距離と略一致するように形成されていて、
前記トラフ蓋の表面が押圧されて、前記トラフ蓋に荷重がかかった際には、前記支持板の先端部が前記トラフ蓋の裏面の幅方向中央に対向するように配置されることで、前記トラフ蓋に掛かる荷重が支持されることを特徴とする請求項6に記載の支持部材によるトラフ蓋の支持構造。
【請求項8】
前記トラフ蓋の裏面の幅方向の両側の所定位置には、リブの先端が徐々に先細る先細り形状の位置決め用リブが、前記幅方向リブを跨いで、前記幅方向リブまたは前記長手方向リブより前記トラフ蓋の裏面の下方に突出するようにトラフ長手方向に沿って形成され、
両側の前記位置決め用リブの外面間の距離は、前記トラフ本体の前記両側面の間の距離より僅かに広く形成されていて、
前記トラフ蓋の表面が押圧されて、前記トラフ蓋に荷重がかかった際には、前記トラフ蓋の前記位置決め用リブが僅かに下方に移動して、前記位置決め用リブの先細り形状の外側面と前記トラフ本体の前記両側面との接触位置が、先細り形状の基底部側のリブ幅が広い部位に移動することで、前記トラフ本体の前記両側面の上端部の内側を拡開するように変形させて、前記トラフ蓋にかかる荷重の一部が前記トラフ本体の前記両側面によって支持され、
次いで、残りの荷重は、前記支持部材の前記支持板の先端部が前記トラフ蓋の裏面に接することで支持されることを特徴とする請求項6に記載の支持部材によるトラフ蓋の支持構造。
【請求項9】
前記支持部材は、前記支持部材をそのまま使用するか、あるいは長手方向に直角な方向に前記トラフの長さに合わせて所定長さに切断したものであり、前記底板の前記固定部は、前記支持部材を皿ねじで固定できるように、皿ねじの頭部を収納するための略逆台形状の溝が前記支持部材の長手方向に連続して形成したものであるか、あるいは略逆円錐台形状の凹部が前記支持部材の長手方向の前方から後方の所定位置に所定間隔で設けられていることを特徴とする請求項4に記載の支持部材によるトラフ蓋の支持構造。
【請求項10】
トラフ本体に固定されるトラフ蓋であって、
前記トラフ蓋は、前記トラフ蓋の表面の断面形状が、幅方向の中央が両側に対して僅かに突状に湾曲する所定厚さの曲線形状に形成され、
前記トラフ蓋の裏面には、前記トラフ蓋を補強する長手方向リブ、幅方向リブ、格子状リブの少なくともいずれかのリブが形成され、
さらに、前記トラフ蓋の裏面の両側には、前記トラフ蓋の幅方向の両側の所定位置に先端が先細り形状の位置決め用リブが前記幅方向リブを跨いで、前記幅方向リブまたは前記長手方向リブより前記トラフ蓋の裏面側の下方に突出するように相互に対向してトラフ長手方向に沿って形成され、
前記位置決め用リブの底部外面の幅は、トラフ本体の上端部の両側面の間の距離より僅かに広く形成されていることを特徴とするトラフ蓋。
【請求項11】
トラフ本体に固定されるトラフ蓋であって、
前記トラフ蓋は、前記トラフ蓋の表面の断面形状が、幅方向の中央が両側に対して僅かに突状に湾曲する所定厚さの曲線形状に形成され、
前記トラフ蓋は、前記トラフ蓋に高耐荷重性を付与するために厚肉に形成され、
前記トラフ蓋の裏面には、前記トラフ蓋を補強する長手方向リブ、幅方向リブ、格子状リブの少なくともいずれかのリブが形成され、
さらに、前記トラフ蓋の裏面の両側には、前記トラフ蓋の幅方向の両側の所定位置に先端が先細り形状の位置決め用リブが前記幅方向リブを跨いで、前記幅方向リブまたは前記長手方向リブより前記トラフ蓋の裏面側の下方に突出するように相互に対向してトラフ長手方向に沿って形成され、
前記位置決め用リブの底部外面の幅は、トラフ本体の上端部の両側面の間の距離より僅かに広く形成されていることを特徴とするトラフ蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にケーブルが敷設されるトラフにおいて、トラフ蓋を支持する支持部材、支持部材を用いたトラフ蓋の支持構造、及びこれに用いられるトラフ蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力輸送のために用いられる輸送システムとして、トラフを設置して、内部にケーブルを敷設する方法がある。トラフは、ケーブルを収容するトラフ本体の上部にトラフ蓋が被せられて用いられ、トラフ蓋の上を人や車が通行する場合がある。このため、トラフ蓋とトラフ本体は、上方からの荷重に耐えうるように設計する必要がある。
【0003】
このような対策として、例えば、トラフにケーブルを敷設した後、トラフ内に砂を詰めて、トラフ内に詰めた砂によってトラフ蓋が受ける荷重を負担させる方法がある。
【0004】
しかし、トラフに砂を詰める方法では、砂つめの作業負荷が大きい問題がある。すなわち、トラフ本体やトラフ蓋の敷設工事の負荷の他、さらにトラフ本体への砂詰め工事の負荷が重畳される問題がある。さらに、トラフ本体の内部に砂を詰め込むため、トラフ本体内のケーブル保守やケーブルの交換、増設などが困難となる問題がある。
【0005】
一方、近年、トラフとしては軽量化や敷設作業性を考慮して、樹脂製のものが用いられている。しかし、上述したトラフ蓋からの荷重を受けるために、樹脂製のトラフ本体へ金属製のグレーチング蓋を使用することで、これらの蓋部を高強度化する方法がある(例えば特許文献1など)。
【0006】
特許文献1の発明では、全体形状が略U字型のトラフ本体の側壁部の外側に補強用の縦リブが所定間隔で形成され、さらにトラフ両端部の縦リブを繋ぐように横リブが形成されている。一対のL字部材を横リブにボルト固定することで、グレーチング蓋を収容する収容空間が形成される。この収容空間にグレーチング蓋がボルトで固定されることで、トラフ本体を傷つけずに、トラフ本体にグレーチング蓋を取り付けることができると同時に、グレーチング蓋に掛かる応力を水平方向と垂直方向の応力に分離して、トラフ本体で荷重負担をすることができる。
【0007】
また、この他にもトラフには各種の構造が提案されている(特許文献2~特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6935563号公報
【特許文献2】特開2003-174709号公報
【特許文献3】特開2010-178525号公報
【特許文献4】特開2000-50451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のような高荷重用の金属製のグレーチング蓋を用いる方法では、グレーチング蓋のコストが高いという問題がある。すなわち、従来の樹脂製のトラフ蓋に比べてコストが非常に高くなり、高コストとなる問題がある。
【0010】
また、特許文献2には、ケーブルラックに使用される、上下に撓み防止用リブを有する平板状のセパレーターが開示されている。セパレーターを可撓性の板材で形成することで、セパレーターを持ち上げたときの撓みが大きくなり、運搬時や装着時における不都合を防止することができる。
【0011】
しかし、特許文献2の発明は、荷重を支持する支持部材に関する発明ではなく、トラフ蓋の荷重を受けることをできるものではない。このため、支持部材の先端部に掛かる荷重をトラフ底部に掛かるときに分散する機能を有することはできない。
【0012】
また、特許文献3には、トラフ本体と、トラフ蓋と、このトラフ蓋の両側をトラフ本体の両側壁部に取り付ける固定金具と、長手方向に隣り合うトラフ蓋を連結する連結金具とを備えるトラフ蓋の固定構造が開示されている。特許文献3の固定金具は、上側横板部と下側横板部とでトラフ蓋の両側縁部を挟み付けてトラフ蓋に固定すると共に、 縦板部と弾性押付片とでトラフ本体の両側壁部の上部を挟み付けることにより、トラフ蓋をトラフ本体に固定するものである。
【0013】
しかし、特許文献3の発明は、トラフ本体の側壁部を両側から挟み付けることでトラフ蓋に固定する固定金具に関するものであり、トラフ蓋自体がリブ構造によって位置決めされるものではない。さらに、トラフ蓋を支持するための支持部材と合わせて使用するものでもない。
【0014】
また、特許文献4は、ケーブルラックに装着するセパレーター装置に関するものである。特許文献4では、ケーブルラックの長手方向に沿って立設される帯板状を成し、板面方向に屈曲自在なセパレーター本体と、ケーブルラックの子桁に着脱自在に装着され、この子桁に立設したセパレーター本体の下部両面を 挟着支持する支持体を設けた支持金具とが設けられる。
【0015】
特許文献4の支持金具は、子桁の上面に装着する固定体と、セパレーター本体を挟着支持する支持体とから成り、この支持体は、セパレーター本体の一方の下側面に当接する支持片と、この支持片に当接したセパレーター本体の他方の下側面に圧接する挟着片とから成るものである。しかし、特許文献4のセパレーターは、トラフ蓋の荷重を支持するものではない。
【0016】
このように、従来の方法は、トラフ蓋からの荷重を受けるための十分な耐荷重性と、低コストで良好な取り扱い性とを両立した樹脂製トラフが存在しなかった。このため、簡易な構造でトラフ蓋からの荷重を受けることが可能なトラフ蓋の支持構造が望まれている。
【0017】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、トラフ内部に設置してトラフ蓋を支持する支持部材により支持することで、トラフ蓋にかかる荷重に耐えうるトラフ蓋を支持する支持部材、支持部材を用いたトラフ蓋の支持構造、及びこれに用いられるトラフ蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達するために第1の発明は、トラフ本体内に配置され、トラフ蓋を支持する所定長さの支持部材であって、前記支持部材は、トラフの幅方向と長手方向に延びる略長方形の平板状の底板と、前記底板の幅方向の中央から断面が略長方形状の上方に向けて直角に延出する支持板とが、底板の一方の端部から他方の端部に向けて一体成形された略逆T字形状を有するものであり、前記支持板は内部が中空構造であり、前記支持板の内部を高さ方向に所定間隔で所定個数の同一形状の中空部に仕切る所定厚さの水平な仕切り壁を設けることで、同一形状の長方形状の空間を所定個数設けて、各区画の壁厚、区画の壁長さを所定長さに形成したものであり、さらに、前記支持板の少なくとも最上段の中空部には、最上段の中空部の空間を2等分する縦壁が設けられ、前記支持板の荷重支持部である前記支持板の上端面の中央を支持することで、トラフ蓋の幅方向の中央の最大荷重部を補強するとともに、前記底板の上面の幅方向の端部近傍の両側の対称な位置には、前記底板をトラフ本体の底面に対して横ずれを防止してトラフ幅方向の中央に配置して固定部材で固定するための固定部が設けられることを特徴とするトラフ蓋を支持する支持部材である。本発明の支持部材は、構造強度上は、最上段の中空部に設けた縦壁のみで十分であるが、少なくとも最上段の中空部を2等分する縦壁が設けられるとは、最上段の中空部以外の所定個数の残りの長方形状の中空部のいずれかを2等分する縦壁が適宜必要に応じて設けられてもよいことを意味する。
【0019】
前記底板に形成された前記固定部は、固定部材として皿ねじで固定できるように、皿ねじの頭部が収納できるように略逆台形状の溝が、前記支持板を挟んで底板の幅方向の両側の略対称な位置に、前記底板の長手方向に平行に連続して形成したものであるか、あるいは逆円錐台形状の凹部が前記支持板を挟んで底板の幅方向に略対称な所定位置に、前記底板の長手方向に所定間隔で設けられてもよい。
【0020】
前記支持部材が難燃性を有する硬質塩化ビニル樹脂製であり、さらに前記硬質塩化ビニル樹脂がリサイクル樹脂を一部含むものであってもよい。
【0021】
第1の発明によれば、支持部材が中空構造の支柱であるため、支持部材を軽量化することができ、作業性が向上する。また、中空構造の個数、各区画の壁厚、区画の壁長さ、水平な仕切り壁の厚さを適宜設定してそれが適切かどうかを強度計算により求めることができる。この際、荷重分布を均等とすることで安定して支持部材がトラフ蓋の荷重を支持することができる。
【0022】
また、支持板の最大荷重支持部がトラフ蓋の中央になるため、トラフ蓋の幅方向の荷重分布を考慮して、最大荷重がかかる支持板の荷重支持部である上端面の中央を補強することで、支持板先端部の局部変形を防止することができる。
【0023】
また、支持部材に底板があることで、支持板を直接トラフ本体に取り付ける場合と異なり、支持部材に係る荷重を底板全体に分散することができる。このため、トラフ本体の底面の応力集中による変形による破損を防止することができる。また、支持部材の底板とトラフ底面が一体化するので、トラフ底面の剛性を向上することができる。
【0024】
また、トラフ本体の内部に支持部材を配置した際に、支持板によって、トラフ本体内の収納空間を幅方向に2つに仕切ることができるため、支持部材をトラフ本体のセパレーターとして機能させることもできる。
【0025】
また、支持部材の底板に、略逆台形状の溝を長手方向に連続して形成することで、トラフ内の任意の位置に支持部材を固定することができる。または、支持部材の底板の長手方向の前方及び後方の所定位置に逆円錐台形状の凹部を設けることで、支持部材をトラフ本体の所定の位置に固定することができる。
【0026】
なお、支持部材は所定の強度と難燃性が必要なため、難燃性硬質ポリエチレン樹脂に代わって、硬質塩化ビニル樹脂であることが望ましい。例えば、アルミニウム合金を用いることも可能であるが、コストや重量の問題があるため、難燃性の硬質塩化ビニル樹脂であることが望ましい。
【0027】
第2の発明は、トラフ本体とトラフ蓋からなるトラフにおけるトラフ蓋の支持構造であって、前記トラフ本体は、底面と前記底面の両側に略直角に上方に向けて形成された両側面を有し、前記両側面の外面の少なくとも一部には所定数の補強リブが形成された断面略コの字型であり、前記両側面の上端部にはトラフ蓋が載置されるもので、前記トラフ本体内に配置され、前記トラフ蓋を支持する所定長さの支持部材を有し、前記支持部材は、トラフの幅方向と長手方向に延びる略長方形の平板状の底板と、前記底板の幅方向の中央から断面が略長方形状の上方に向けて直角に延出する支持板とが底板の一方の端部から他方の端部に向けて一体成形された略逆T字形状を有するものであり、前記支持板は内部が中空構造であり、前記支持板の内部を高さ方向に所定間隔で所定個数の同一形状の中空部に仕切る所定厚さの水平な仕切り壁を設けることで、同一形状の長方形状の空間を所定個数設けて、各区画の壁厚、区画の壁長さを所定長さに形成したものであり、さらに、前記支持板の少なくとも最上段の中空部には、最上段の中空部の空間を2等分する縦壁が設けられ、前記支持板の荷重支持部である前記支持板の上端面の中央を支持することで、前記トラフ蓋の幅方向の中央の最大荷重部を補強するとともに、前記底板の上面の幅方向の端部近傍の両側の対称な位置には、前記底板を前記トラフ本体の前記底面に対して横ずれを防止するように固定部材で固定するための固定部が、前記支持部材の前記底板の少なくとも前方及び後方あるいは長手方向に連続して設けられ、前記固定部において、前記支持部材が前記固定部材により固定されることを特徴とする支持部材によるトラフ蓋の支持構造である。本発明の支持構造に用いる支持部材に関して、構造強度上は最上段に設けた縦壁のみで十分であるが、最上段の中空部以外の所定個数の残りの長方形状の中空部のいずれかを2等分する縦壁が適宜必要に応じて設けられてもよいことを意味する。
【0028】
前記トラフ本体の内部の幅方向の中央に前記支持板の中央を合わせるように前記支持部材を配置した場合に、前記トラフ蓋に掛かる荷重を支持できるように、前記支持部材の前記底板の裏面から前記支持板の上面までの距離は、前記トラフ本体の前記底面の略中央と前記トラフ蓋の裏面の略中央を結ぶ距離に対して、略同一又は僅かに短く形成されていてもよい。
【0029】
前記トラフ蓋の裏面には、前記トラフ蓋の補強のため、少なくとも幅方向の中央には、長手方向リブ、幅方向リブ或いは格子状リブのいずれかが形成されていて、前記支持部材の先端部は前記トラフ蓋の裏面中央のいずれかのリブを支持するかトラフ蓋の裏面中央を直接支持してもよい。
【0030】
前記トラフ蓋の裏面の幅方向の両側の所定位置には、リブの先端が徐々に先細る先細り形状の位置決め用リブが、前記幅方向リブを跨いで、前記幅方向リブまたは前記長手方向リブより前記トラフ蓋の裏面の下方に突出するようにトラフ長手方向に沿って形成され、両側の前記位置決め用リブの外面間の距離は、前記トラフ本体の前記両側面の間の距離と略一致するように形成されていて、前記トラフ蓋の表面が押圧されて、前記トラフ蓋に荷重がかかった際には、前記支持板の先端部が前記トラフ蓋の裏面の幅方向中央に対向するように配置されることで、前記トラフ蓋に掛かる荷重が支持されてもよい。
【0031】
前記トラフ蓋の裏面の幅方向の両側の所定位置には、リブの先端が徐々に先細る先細り形状の位置決め用リブが、前記幅方向リブを跨いで、前記幅方向リブまたは前記長手方向リブより前記トラフ蓋の裏面の下方に突出するようにトラフ長手方向に沿って形成され、両側の前記位置決め用リブの外面間の距離は、前記トラフ本体の前記両側面の間の距離より僅かに広く形成されていて、前記トラフ蓋の表面が押圧されて、前記トラフ蓋に荷重がかかった際には、前記トラフ蓋の前記位置決め用リブが僅かに下方に移動して、前記位置決め用リブの先細り形状の外側面と前記トラフ本体の前記両側面との接触位置が、先細り形状の基底部側のリブ幅が広い部位に移動することで、前記トラフ本体の前記両側面の上端部の内側を拡開するように変形させて、前記トラフ蓋にかかる荷重の一部が前記トラフ本体の前記両側面によって支持され、次いで、残りの荷重は、前記支持部材の前記支持板の先端部が前記トラフ蓋の裏面に接することで支持されていてもよい。
【0032】
前記支持部材は、前記支持部材をそのまま使用するか、あるいは長手方向に直角な方向に前記トラフの長さに合わせて所定長さに切断したものであり、前記底板の前記固定部は、前記支持部材を皿ねじで固定できるように、皿ねじの頭部を収納するための略逆台形状の溝が前記支持部材の長手方向に連続して形成したものであるか、あるいは略逆円錐台形状の凹部が前記支持部材の長手方向の前方から後方の所定位置に所定間隔で設けられていてもよい。
【0033】
第2の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができる。すなわち、トラフ内部に設置した支持部材によってトラフ蓋を支持することで、トラフ蓋にかかる荷重に耐えうる支持部材を用いたトラフ蓋の支持構造を得ることができる。
【0034】
また、支持部材の底板の裏面から支持板の上面までの距離を、トラフ本体の底面の略中央とトラフ蓋の裏面の略中央を結ぶ距離と略同一又は僅かに短く形成することで、支持部材による荷重支持効果を確実に得ることができる。
【0035】
また、トラフ蓋の裏面に所定のリブを形成することで、トラフ蓋の強度を上げることができる。この際、支持部材の支持板によってリブを支持することで、高い荷重支持効果を得ることができる。
【0036】
また、トラフ蓋の裏面に位置決め用リブを設けることで、トラフ蓋とトラフ本体とを確実に位置決めすることができる。このため、支持部材の中央位置とトラフ蓋の中央位置とを確実に合わせることができ、トラフ蓋に掛かる荷重の中心である最大荷重位置を支持部材で支持することができる。
【0037】
また、支持部材の底板に、略逆台形状の溝を長手方向に連続して形成することで、トラフ内の任意の位置に支持部材を固定することができる。または、支持部材の底板の長手方向の前方及び後方の所定位置に逆円錐台形状の凹部を設けることで、支持部材をトラフ本体の所定の位置に固定することができる。
【0038】
なお、上記の効果は、トラフを所定長さに切断したものであっても、同様に支持部材を所定位置に固定することができる。このように、トラフ本体へ支持部材の固定が可能であるため、トラフ蓋の幅方向中央と支持部材の中央部を一致させて、支持部材をトラフ長手方向に平行に固定することができる。このため、トラフ蓋を安定して支持することができる。
【0039】
第3の発明は、トラフ本体に固定されるトラフ蓋であって、前記トラフ蓋は、前記トラフ蓋の表面の断面形状が、幅方向の中央が両側に対して僅かに突状に湾曲する所定厚さの曲線形状に形成され、前記トラフ蓋の裏面には、前記トラフ蓋を補強する長手方向リブ、幅方向リブ、格子状リブの少なくともいずれかのリブが形成され、さらに、前記トラフ蓋の裏面の両側には、前記トラフ蓋の幅方向の両側の所定位置に先端が先細り形状の位置決め用リブが前記幅方向リブを跨いで、前記幅方向リブまたは前記長手方向リブより前記トラフ蓋の裏面側の下方に突出するように相互に対向してトラフ長手方向に沿って形成され、前記位置決め用リブの底部外面の幅は、前記トラフ本体の上端部の前記両側面の間の距離より僅かに広く形成されていることを特徴とするトラフ蓋である。
【0040】
また、第4の発明は、トラフ本体に固定されるトラフ蓋であって、前記トラフ蓋は、前記トラフ蓋の表面の断面形状が、幅方向の中央が両側に対して僅かに突状に湾曲する所定厚さの曲線形状に形成され、前記トラフ蓋は、前記トラフ蓋に高耐荷重性を付与するために厚肉に形成され、前記トラフ蓋の裏面には、前記トラフ蓋を補強する長手方向リブ、幅方向リブ、格子状リブの少なくともいずれかのリブが形成され、さらに、前記トラフ蓋の裏面の両側には、前記トラフ蓋の幅方向の両側の所定位置に先端が先細り形状の位置決め用リブが前記幅方向リブを跨いで、前記幅方向リブまたは前記長手方向リブより前記トラフ蓋の裏面側の下方に突出するように相互に対向してトラフ長手方向に沿って形成され、前記位置決め用リブの底部外面の幅は、前記トラフ本体の上端部の前記両側面の間の距離より僅かに広く形成されていることを特徴とするトラフ蓋である。
【0041】
第3、第4の発明によれば、トラフ蓋の裏面に位置決め用リブを設けることで、トラフ蓋とトラフ本体とを確実に位置決めすることができる。このため、支持部材の中央位置とトラフ蓋の中央位置とを確実に合わせることができ、トラフ蓋に掛かる荷重の中心である最大荷重位置を支持部材で支持することができる。上記の他、位置決めリブによりトラフ蓋の構造強度を向上させることができる。さらに位置決めリブを厚肉に形成することでさらにトラフ蓋の強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、トラフ内部に設置してトラフ蓋を支持する支持部材により支持することで、トラフ蓋にかかる荷重に耐えうるトラフ蓋を支持する支持部材、支持部材を用いたトラフ蓋の支持構造、及びこれに用いられるトラフ蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】支持部材1を示す斜視図。
図2】(a)は、支持部材1の端部拡大図、(b)は平面図。
図3】トラフ13の分解斜視図。
図4】トラフ13の組立斜視図。
図5】トラフ13の断面図。
図6】(a)、(b)は固定部9近傍の拡大図。
図7】(a)は、他の支持部材1の端部拡大図、(b)は平面図。
図8】(a)~(c)は、各部寸法を示す図。
図9】他のトラフ蓋17aを用いたトラフ13の断面図。
図10】トラフ蓋17aの背面図。
図11】他のトラフ蓋17bを用いたトラフ13の断面図。
図12】トラフ蓋17bの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、支持部材1を示す斜視図、図2(a)は、支持部材1の端部近傍の拡大図、図2(b)は支持部材1の平面図である。支持部材1は、後述するトラフ本体内に配置され、トラフ蓋を支持する部材であり、所定長さで構成される。
【0045】
支持部材1は、トラフに設置した際に、トラフの幅方向と長手方向に延びる平板状の底板3と、底板3の幅方向の中央から断面が略長方形状の上方に向けて直角に延出する支持板5とが底板の3一方の端部から他方の端部に向けて一体成形された略逆T字形状を有するものである。支持部材1は例えば難燃性を有する硬質塩化ビニル樹脂製であり、さらに必要に応じて硬質塩化ビニル樹脂がリサイクル樹脂を一部含んでもよい。なお、支持部材1の長手方向(図2(b)において、左右方向)と、トラフの長手方向が対応し、支持部材1の幅方向(図2(b)において、上下方向)と、トラフの幅方向が対応する。
【0046】
支持板5は内部が中空構造である。支持板5の中空部には、水平な方向に所定厚さの仕切り壁7が設けられる。仕切り壁7によって、支持板5の内部は、高さ方向に所定間隔で所定個数の同一形状の中空部に仕切られる。このように複数の仕切り壁7を設けることで、同一形状の長方形状の空間を所定個数設けて、各区画の壁厚、区画の壁長さを所定長さに形成することができる。なお、仕切り壁7の個数は特に限定されないが、強度計算によって、適切な仕切り壁7によって形成される中空構造の個数、各区画の壁厚、区画の壁長さ、仕切り壁7の厚さ等を適宜設定することができる。
【0047】
また、仕切り壁7によって形成される、支持板5の少なくとも最上段の中空部には、最上段の中空部の空間を幅方向に2等分する縦壁11が設けられる。詳細は後述するが、支持板5の上端面がトラフ蓋からの荷重支持部となる。このため、支持板5の上端面の中央を縦壁11で支持することで、トラフ蓋の幅方向の中央の最大荷重部を補強することができる。縦壁の補強効果は後述する。
【0048】
底板3の上面において、支持部材1の幅方向の端部近傍の両側(幅方向)に幅方向に対称な所定位置には、長手方向の一方の端部から他方の端部に向けて、固定部9が設けられる。固定部9は、底板3をトラフ本体の底面に対して横ずれを防止してトラフ幅方向の中央に配置して固定部材で固定するための部位である。なお、支持部材1のトラフ本体への固定方法及び固定部材等の詳細については後述する。
【0049】
次に、トラフ本体とトラフ蓋からなるトラフにおける、支持部材1によるトラフ蓋の支持構造について詳細に説明する。図3は、トラフ蓋の支持構造20を示す分解斜視図であり、図4は、トラフ蓋の支持構造20を示す組立斜視図である。また、図5は、トラフ蓋の支持構造20を示す断面図である。
【0050】
トラフ13は、トラフ本体15とトラフ蓋17からなる。トラフ本体15及びトラフ蓋17は樹脂製であり、材質は特に限定されないが、例えば、水酸化マグネシウムと炭酸カルシウムが所定量加えられた難燃性ポリエチレン樹脂製である。トラフ13は、例えばプレス成型や射出成型によって成型される。
【0051】
トラフ本体15は、底面21と、底面21の両側に略直角に上方に向けて形成された両方の側面23を有し、断面略コの字型である。また、両側面の外面の少なくとも一部には所定数の補強リブ25が形成される。なお、トラフ13は、例えば、1m程度の長さである。
【0052】
トラフ蓋17は、トラフ本体15の両方の側面23の上端部に載置される。なお、トラフ蓋17は、図示を省略した固定金具等によってトラフ本体15に固定可能である。トラフ蓋17の表面の断面形状は、幅方向の中央が両側に対して僅かに上方に突状に湾曲する所定厚さの曲線形状に形成される。トラフ蓋17の裏面の幅方向の両側の所定位置には、位置決め用リブ27が設けられる。位置決め用リブ27は、リブの先端が徐々に先細る先細り形状である。なお、トラフ蓋17は、トラフ蓋17に高耐荷重性を付与するために厚肉に形成される。
【0053】
なお、トラフ13は、長手方向の両端部に、それぞれ設けられる雄嵌合部と雌嵌合部とを有し、複数のトラフ13を長手方向に配置し、隣り合うトラフ13同士を連結することができる。
【0054】
前述したように、トラフ本体15の底面21には、支持部材1が固定される。図6(a)、図6(b)は、図5のA部拡大図である。支持部材1の底板3には、固定部9が設けられる。固定部9は、溝であり、支持板5を挟んで底板3の幅方向の両側の略対称な位置に、底板3の長手方向に平行に連続して設けられる。固定部9において、支持部材1が固定部材19によって固定される。
【0055】
なお、底板3に形成された固定部9には、固定部材19として皿ねじで固定される。固定部9の溝は、皿ねじの頭部が収納できるように断面が略逆台形状で形成される。したがって。図6(b)に示すように、支持部材1をトラフ本体15へ固定した際には、固定部9には、固定部材19の頭部が収納可能である。
【0056】
なお、固定部9は、支持部材1の長手方向に対して連続して形成される溝でなくてもよい。図7(a)は、他の支持部材1の実施形態を示す端部拡大図であり、図7(b)は、平面図である。図7に示す例では、固定部9は、支持板5を挟んで底板3の幅方向に略対称な所定位置に、底板3の長手方向の前方から後方の所定位置に所定間隔で設けられる。この場合には、固定部9は、略逆円錐台形状の凹部となる。なお、固定部9は、少なくとも支持部材1の長手方向の前方及び後方に形成される。
【0057】
次に、各部材の寸法について詳細に説明する。図8(a)は、トラフ蓋17とトラフ本体15を示す図である。前述したように、トラフ蓋17の裏面には位置決め用リブ27が形成される。ここで、両側の位置決め用リブ27の底部外面間の距離をW1とする。また、トラフ本体15の両方の側面23同士の内面間の距離をW2とする。この際、両側の位置決め用リブ27の外面間の距離W1は、トラフ本体15の両方の側面23の間の距離W2と略一致するように形成される。
【0058】
このため、トラフ蓋17をトラフ本体15に対して確実に位置決めすることができる。すなわち、トラフ蓋17の幅方向の中央位置を、トラフ本体15の幅方向の中央位置と合わせることができる。
【0059】
また、図8(b)に示すように、トラフ蓋17をトラフ本体15に被せた際に、トラフ本体15の底面21の略中央とトラフ蓋17の裏面の略中央を結ぶ距離をH1とする。また、図8(c)に示すように、支持部材1の底板3の裏面から支持板5の上面までの距離をH2とする。
【0060】
ここで、トラフ本体15の内部の幅方向の中央に、支持部材1の支持板5の中央を合わせるように支持部材1が配置される。この場合において、トラフ蓋17に掛かる荷重を、支持部材1によって確実に支持できるようにするためには、支持部材1の底板3の裏面から支持板5の上面までの距離H2に対して、トラフ本体15の底面21の略中央とトラフ蓋17の裏面の略中央を結ぶ距離H1が略同一又は僅かに短く形成されていることが望ましい。
【0061】
このようにすることで、図5に示すように、トラフ蓋の支持構造20では、支持部材1の支持板5の上端面でトラフ蓋17の略中央を支持することができる。すなわち、トラフ蓋17の表面が押圧されて、トラフ蓋17に荷重がかかった際には、支持板5の先端部がトラフ蓋17の裏面の幅方向中央に対向するように配置されることで、トラフ蓋17に掛かる荷重が支持部材1で支持することができる。
【0062】
なお、前述した説明では、トラフ蓋17の両側の位置決め用リブ27の外面間の距離W1は、トラフ本体15の両方の側面23の間の距離W2と略同一としたが、これには限られない。例えば、両側の位置決め用リブ27の外面間の距離W1を、トラフ本体15の上端部における両方の側面23の間の距離W2より僅かに広く形成してもよい。
【0063】
このようにすることで、トラフ蓋17の表面が押圧されてトラフ蓋17に荷重がかかった際に、トラフ蓋17の位置決め用リブ27が僅かに下方に移動する。このため、位置決め用リブ27の先細り形状の外側面とトラフ本体15の両方の側面との接触位置が、先細り形状の基底部側のリブ幅が広い部位に移動する。この結果、トラフ本体15の両方の側面23の上端部の内側が拡開するように変形して、トラフ蓋17にかかる荷重の一部をトラフ本体15の両方の側面23によって支持することが可能となる。次いで、残りの荷重は、支持部材1の支持板5の先端部がトラフ蓋17の裏面に接することで、トラフ蓋17からの荷重を支持することができる。
【0064】
なお、前述したように、支持部材1は樹脂製である。このため、容易に切断することができる。このため、支持部材1は、長尺の支持部材1をそのまま使用することもできるし、あるいは長手方向に直角な方向にトラフ13の長さに合わせて所定長さに切断することもできる。このように、長尺の支持部材1を、適宜任意の長さに調整して使用することができる。
【0065】
また、前述した説明では、トラフ蓋17に高耐荷重性を付与するために、トラフ蓋17を厚肉に形成する例を示したが、これには限られない。図9は、トラフ蓋17aを用いたトラフ蓋の支持構造を示す断面図であり、図10は、トラフ蓋17aの背面図である。
【0066】
トラフ蓋17aは、トラフ蓋17と略同様の構成であるが、トラフ蓋17aの裏面には、幅方向リブ31が形成される点で異なる。幅方向リブ31は、トラフ蓋17aの幅方向に沿って形成される。また、幅方向リブ31は、トラフ蓋17aの長手方向には所定の間隔で複数配置される。このように幅方向リブ31を形成することによって、トラフ蓋17を軽量化して、強度を向上させることができる。
【0067】
ここで、前述したように、トラフ蓋17aの裏面の両側には、トラフ蓋17aの幅方向の両側の所定位置に先端が先細り形状の位置決め用リブ27が配置される。位置決め用リブ27は、トラフ蓋17aの長手方向に形成される。この際、位置決め用リブ27は、幅方向リブ31を跨いで形成される。また、一対の位置決め用リブ27は、幅方向リブ31よりもトラフ蓋17aの裏面側の下方に突出するように相互に対向してトラフ長手方向に沿って形成される。
【0068】
また、上述の説明では、トラフ蓋17aに高耐荷重性を付与するために、トラフ蓋17aの裏面に、複数の幅方向リブ31を形成したが、これには限られない。図11は、トラフ蓋17bを用いたトラフ蓋の支持構造を示す断面図であり、図12は、トラフ蓋17bの背面図である。
【0069】
トラフ蓋17bはトラフ蓋17aと略同様の構成であるが、トラフ蓋17bの裏面には、長手方向リブ29が形成される点で異なる。長手方向リブ29は、トラフ蓋17bの長手方向に沿って形成される。また、長手方向リブ29は、トラフ蓋17bの幅方向には所定の間隔で複数配置される。なお、図示した例では、長手方向リブ29に加えて幅方向リブ31も形成されるが、長手方向リブ29だけでもよい。長手方向リブ29と幅方向リブ31の両方が形成されることで、格子状のリブ構造を得ることができる。
【0070】
この場合でも、一対の位置決め用リブ27は、長手方向リブ29(格子状リブ)よりもトラフ蓋17bの裏面側の下方に突出するように相互に対向してトラフ長手方向に沿って形成される。すなわち、位置決め用リブ27は、他の補強用のいずれのリブよりもトラフ蓋の下方に突出する。
【0071】
なお、長手方向リブ29は、少なくともトラフ蓋17bの幅方向の中央に配置される。すなわち、トラフ蓋の裏面には、トラフ蓋の補強のため、少なくとも幅方向の中央に、長手方向リブ29、幅方向リブ31或いは格子状リブのいずれかが形成される。図5に示すように、トラフ蓋17を用いる場合には、支持部材1の先端部によって、トラフ蓋17の裏面中央を直接支持することができるが、図9図11に示すように、トラフ蓋17a、17bの裏面に、幅方向リブ31や長手方向リブ29を形成することで、支持部材1の先端部によって、トラフ蓋17a、17bの裏面中央のいずれかのリブを支持することができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、トラフ本体15の内部に支持部材1を設置して、支持部材1によってトラフ蓋17、17a、17bを支持することで、トラフ蓋17等にかかる荷重を支持部材1で受けることができる。特に、支持部材1の底板3の裏面から支持板5の上面までの距離H2を、トラフ本体15の底面21の略中央とトラフ蓋17等の裏面の略中央を結ぶ距離H1と略同一又は僅かに短く形成することで、支持部材1による荷重支持効果を確実に得ることができる。
【0073】
また、支持部材1の底板3が、トラフ本体15の底面21に固定されて一体化するため、支持部材1の底板3によって、トラフ本体15の底面21の肉厚が増加した場合と同様の効果を得ることができる。このため、トラフ本体15の補強効果を得ることができる。
【0074】
また、トラフ蓋17a、17bの裏面に幅方向リブ31又は長手方向リブ29を形成することで、トラフ蓋17a、17bを軽量化して強度を上げることができる。この際、支持部材1の支持板5によって幅方向リブ31又は長手方向リブ29を支持することで、高い荷重支持効果を得ることができる。
【0075】
なお、上述の通り、補強リブとしては、長手方向リブ29、幅方向リブ31または格子状リブ(長手方向リブ29+幅方向リブ31)が考えられるが、基本的には、トラフ蓋17に掛かる荷重を考えた場合には、幅方向の中央の最大荷重部を支持できればよい。このため、幅方向リブ31は必須の補強構造であり、さらに必要に応じて、これに長手方向リブ29を組み合わせて両者が直交する格子状リブとすることができる。この際、格子状リブを形成する幅方向リブと長手方向リブの高さは同一にすることで、支持部材1の先端の支持板5の上端面で、両方の補強リブを支持することが可能になる。
【0076】
また、補強リブは、トラフ蓋17の裏面に突出して形成されるため、幅方向リブ31のみがトラフ蓋17の裏面に多数形成された場合には、支持部材1は多数の幅方向リブ31の中央部を支持するようにトラフ本体15の幅方向の中央に配置される。
【0077】
同様に、格子状リブがトラフ蓋17の裏面に全体に渡って多数形成された場合には、格子状リブは、トラフ蓋17の幅方向の中心に対して対称に形成され、格子状リブを形成する1本の長手方向リブ29がトラフ蓋17の裏面の中央を、長手方向に貫通するように設けられる。このため、支持部材1は、長手方向リブ29と、これと交差するすべての幅方向リブ31の一部を支持することが望ましい。
【0078】
ここで、長手方向リブ29、幅方向リブ31形成するリブ幅、リブ高さや、格子状リブの場合には、格子の間隔や格子の数は、トラフ蓋17に必要とされる耐荷重性に応じて、計算により適宜決定することができる。
【0079】
また、トラフ蓋17等の裏面の両側に、長手方向に平行な位置決め用リブ27を設けることで、トラフ蓋17等とトラフ本体15とを確実に位置決めすることができる。このため、支持部材1の中央位置とトラフ蓋17等の中央位置とを確実に合わせることができ、トラフ蓋17等にかかる荷重の中心である最大荷重位置を支持部材1で支持することができる。また、位置決め用リブ27は、長手方向リブ29または幅方向リブ31と同様のリブ構造であるため、位置決め効果だけでなく、トラフ蓋17を補強する効果を有する。
【0080】
また、位置決め用リブ27の幅を、トラフ本体15の側面23の内側の距離と略一致するように形成されることで、トラフ蓋17をトラフ本体15に対してトラフ幅方向の中央の所定位置に固定することができる。このため、支持部材1でトラフ蓋17の荷重を安定して支持することができる。
【0081】
また、位置決め用リブ27の形状を先細り形状として、さらに位置決め用リブ27(先細り部の外側面)の幅を、トラフ本体15の側面23の内側(内側面)の距離より僅かに広く形成してもよい。この場合、トラフ蓋17に荷重がかかると、トラフ蓋17の表面が押圧されることで、トラフ蓋17の位置決め用リブ27の外側面が僅かに下方に移動する。このため、トラフ蓋17の位置決め用リブ27の先細り形状の外側面と、トラフ本体15の接触位置が先細り形状の基底部側のリブ幅が広い部位に移動する。この結果、トラフ本体15の両側面の上端部の内側が拡開するように変形して、トラフ蓋17にかかる荷重の一部をトラフ本体15の両方の側面23によって支持することができる。
【0082】
また、支持部材1の底板3に、固定部9として、略逆台形状の溝を長手方向に連続して形成することで、トラフ本体15の長手方向の任意の位置に支持部材1を固定することができる。また、支持部材1をトラフ13の長さに応じて調整するために切断された場合であっても、所定位置で支持部材1をトラフ本体15に固定することができる。なお、支持部材1の底板3の長手方向の所定位置に、固定部9として、逆円錐台形状の凹部を設けても、支持部材1をトラフ本体15の所定の位置に固定することができる。
【0083】
また、固定部材19によって支持部材1のトラフ本体15の中心に固定することができるため、例えば大雨や台風による雨水や泥水の流入により、支持部材1の支持板5が水平方向に押圧されることで、支持部材1を配置した位置がずれることを抑制することができるとともに、地震や走行車両等の振動によって、支持部材1がトラフ本体15の中心軸からずれたり、斜め方向を向くことがない。
【0084】
また、支持部材1が中空構造の支柱であるため、支持部材1を軽量化することができ、作業性が向上する。また、中空構造の個数、各区画の壁厚、区画の壁長さ、水平な仕切り壁7の厚さを適宜設定して、それが適切かどうかを強度計算により求めることができる。この際、荷重分布を均等とすることで安定して支持部材1がトラフ蓋17等の荷重を支持することができる。
【0085】
また、支持板5の最大荷重支持部がトラフ蓋17等の中央になるため、トラフ蓋17等の幅方向の荷重分布を考慮して、最大荷重がかかる支持板5の荷重支持部である上端面の中央を縦壁11で補強することで、支持板5の先端部の局部変形を防止するとともに、支持板5の耐荷重性を向上させることができる。
【0086】
また、支持部材1に底板3があることで、支持板5を直接トラフ本体15に取り付ける場合と異なり、支持部材1に係る荷重を底板3の全体に分散することができる。このため、トラフ本体15の底面21の応力集中による変形による破損を防止することができる。
【0087】
また、トラフ本体15の内部に支持部材1を配置した際、支持板5によって、トラフ本体15の内部の収納空間を幅方向に2つに仕切ることができる。このため、支持部材1をトラフ本体15のセパレーターとして機能させることもできる。すなわち、支持部材1の両側にそれぞれケーブルを敷設することができる。
【0088】
なお、トラフ13へのケーブル敷設及び増設の作業に関しては、一般的に、トラフ蓋17を開いてトラフ本体15へのケーブルの落し込みによる施工方法と、数10m間隔でトラフ蓋17を開け、通線紐等によってケーブルを引き込みによって敷設する方法がある。これらのいずれの施工方法に対しても、支持部材1をセパレーターとして利用した場合に、施工を阻害しない構造となる。
【0089】
また、トラフ本体15は、通常、高密度ポリエチレンに、炭酸カルシウムや水酸化マグネシウムなどの無機添加剤を加えることで難燃組成にするので、支持部材1に硬質塩化ビニル樹脂を用いることで、支持部材1の強度向上及び難燃性の向上と合わせて、コスト低減を同時に達成することができる。
【0090】
次に、製品の中空部の寸法の決定方法について、その一例を説明する。前述した実施形態の支持部材1は、所定厚さの平板状の底板3と平板の中央から断面が略長方形状の上方に向けて直角に延出する支持板5とが一体成形された略逆T字形状を有するものである。ここで、支持板5は内部が中空構造であり、所定厚さの水平な仕切り壁7を設けることで、同一形状の長方形状の空間を所定個数設け、各区画の壁厚、区画の壁長さを所定長さに形成することができる。
【0091】
まず、支持部材1にかかる荷重は例えば50KNに設定する。また、中空構造の外周部の壁厚を例えば、4mm~4.5mmに設定する。また、中空部の水平方向の仕切り壁7の厚さを壁厚と同一に設定する。また、支持部材1の支持板5の天板の幅W=20mmと、長さ(高さ)L=128mmを設定する。
【0092】
次に、支持部材1の高さHmmとすると、複数の同一形状の区画高さをH/Nmmに設定して、強度計算を行い発生応力と変位を計算により求めて、これに安全係数を設定して、発生応力を許容応力で割った値が、製品で設定された安全係数をクリアするかどうかで、具体的な製品寸法として設計可能かどうかを判断する。
【0093】
このようにして、支持部材1の寸法を計算して、実際の製品の適否を判断する。この際、許容応力は、支持部材1を構成する材料により異なるため、例えば、使用材料が高密度ポリプロピレンの場合には、15MPa(環境配慮の観点で再生材含む)硬質塩化ビニルの場合には、40MPa(環境配慮の観点で再生材含む)である。
【0094】
また、先ほど中空構造の壁厚を4mmとしたが、許容応力が低いHDPEを使用する場合には、壁厚が厚くなり、それでも壁厚によっては、安全係数が十分に確保できない問題がある。また、壁厚を厚くすると、中空構造でない中実の支持板5の場合には、安全係数が十分確保できるが、製品重量が重く、コストも高くなる。
【実施例0095】
表1には、HDPEと硬質塩化ビニルを用いて、上記の計算を行った1例を示す。なお、支持部材に関する荷重は、25トントラック1輪荷重50KNに衝撃係数1.4掛けて圧縮荷重70KNに設定して計算した。
【0096】
【表1】
【0097】
許容応力が低いHDPEでの試算では、仕切り壁数を3個から4個(すなわち、中空構造数が4個と5個)、壁厚を5mm~7.8mmの範囲で変えて、試算例1~試算例4として試算を行った。また、塩化ビニル(PVC)の場合は、仕切り壁数を3個(中空構造の空間の個数が4個)、壁厚4.5mmにて試算を行ない試算例5とした。さらに、比較のために、HDPEを中実構造の支持板とした場合の構造計算を行い、これを試算例6として評価に加えた。
【0098】
この際、試算結果の設計的な強度評価の結果は、安全係数を1.3に設定し、合否の評価を行った。安全係数が1.3を超えるものは、支持板が中空構造の支持部材では試算例4、試算例5のみであり、比較例として加えた支持板が中実構造の試算例6も安全係数が1.3を超えた。一方、重量とコストの対比を行った結果、重量(軽量化)、コストの面も含めて、総合的に満足するのは、許容応力が高い硬質PVCのみであることを確認した。
【0099】
なお、上記は、計算上の確認であるため、試算例4、5、7に関して実際に試作品を作成して試作品での実際の強度を確認した。表中の「試作品」は、試作品の結果である。なお、「重量」と「コスト」は、試作例5を合格基準として評価した。実際の試作品は、試算結果とほぼ同様の結果が得られた。さらに、試算例5の最上段の中空構造を補強している試算例6は、支持板の上端面の変形も認めらなかった。
【0100】
ここで、最上段の空間の中央に縦壁を設けるのは、トラフ蓋が受ける実荷重は、最上段の中央が最も大きいため、この部分を補強する必要があるためである。なお。縦壁の有無で計算したところ、縦壁を設けることにより、試算例6では、試算例5の発生応力が半分になり、約2倍程度強度アップする計算になる。実際の試算例5と試算例6に相当する試験材を作成して発生応力を求めて両者の強度向上効果を確認した結果、計算結果と同様の結果が得られた。
【0101】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0102】
1………支持部材
3………底板
5………支持板
7………仕切り壁
9………固定部
11………縦壁
13………トラフ
15………トラフ本体
17、17a、17b………トラフ蓋
19………固定部材
20………トラフ蓋の支持構造
21………底面
23………側面
25………補強リブ
27………位置決め用リブ
29………長手方向リブ
31………幅方向リブ
図1
図2
図3
図4
図5
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図12