(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084363
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】電磁波吸収構造体および熱電変換素子
(51)【国際特許分類】
H10N 10/13 20230101AFI20240618BHJP
【FI】
H10N10/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198598
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】久保 若奈
(57)【要約】
【課題】幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも熱電変換素子上に温度差を生じさせることが可能な電磁波吸収構造体を提供する。
【解決手段】電磁波吸収構造体10は、導電基材1と導電基材1上に配置される複数の導電粒子3と、導電基材1と各導電粒子3との間に配置される誘電体層2と、を備え、導電粒子3の円相当径が50nm~20μmであり、平面視で導電粒子3の密度が0.0025/μm
2以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電基材と
前記導電基材上に配置される複数の導電粒子と、
前記導電基材と前記各導電粒子との間に配置される誘電体層と、
を備え、
前記導電粒子の円相当径が50nm~20.00μmであり、
平面視で前記導電粒子の密度が0.0025/μm2以上である、
電磁波吸収構造体。
【請求項2】
平面視で前記導電粒子の平均粒子間距離が9.00μm以下である、請求項1に記載の電磁波吸収構造体。
【請求項3】
平面視で前記導電粒子間の距離が1nm以上である、請求項1に記載の電磁波吸収構造体。
【請求項4】
前記誘電体層が、前記導電基材を覆う、請求項1に記載の電磁波吸収構造体。
【請求項5】
前記誘電体層が、前記導電粒子を覆う、請求項1に記載の電磁波吸収構造体。
【請求項6】
前記導電粒子がAu、Pt、Ag、Cu、Pd、Al、Ti、Ta、Zr、Si、Sn、Pb、Ga、Ge、Co、Zn、Fe、In、およびBaからなる群から選択される元素を少なくとも1種以上含有する、請求項1に記載の電磁波吸収構造体。
【請求項7】
前記誘電体層の厚さが5nm~200nmである、請求項1に記載の電磁波吸収構造体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電磁波吸収構造体を備える熱電変換素子であって、
前記電磁波吸収構造体の前記導電基材である電極と、
前記電極と電気的に接続される熱電材料と、
を備える、熱電変換素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁波吸収構造体および熱電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
熱を電気に変換する熱電発電は、未利用熱エネルギーのリサイクル技術として期待されている。通常、熱電変換素子は、温度差を電位差に変換するゼーベック効果を用いて発電している。
【0003】
例えば、特許文献1には、熱電変換膜と、前記熱電変換膜の一部の内部又は表面に配設された導電性ナノ構造体と、を備えた熱電変換素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の熱電変換素子は、単一波長の熱エネルギーしか吸収できなかった。そのため、特許文献1の熱電変換素子より幅広い温度域の熱エネルギーを吸収できる構造が求められている。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みなされた発明であり、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも熱電変換素子上に温度差を生じさせることが可能な電磁波吸収構造体および熱電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1>本発明の態様1の電磁波吸収構造体は、
導電基材と
前記導電基材上に配置される複数の導電粒子と、
前記導電基材と前記各導電粒子との間に配置される誘電体層と、
を備え、
前記導電粒子の円相当径が50nm~20.00μmであり、
平面視で前記導電粒子の密度が0.0025/μm2以上である。
<2>本発明の態様2は、態様1の電磁波吸収構造体において、
平面視で前記導電粒子の平均粒子間距離が9.00μm以下であってもよい。
<3>本発明の態様3は、態様1または2の電磁波吸収構造体において、
平面視で前記導電粒子間の距離が1nm以上であってもよい。
<4>本発明の態様4は、態様1~3のいずれか1つに記載の電磁波吸収構造体において、
前記誘電体層が、前記導電基材を覆ってもよい。
<5>本発明の態様5は、態様1~3のいずれか1つに記載の電磁波吸収構造体において、
前記誘電体層が、前記導電粒子を覆ってもよい。
<6>本発明の態様6は、態様1~5のいずれか1つに記載の電磁波吸収構造体において、
前記導電粒子がAu、Pt、Ag、Cu、Pd、Al、Ti、Ta、Zr、Si、Sn、Pb、Ga、Ge、Co、Zn、Fe、In、およびBaからなる群から選択される元素を少なくとも1種以上含有してもよい。
<7>本発明の態様7は、態様1~6のいずれか1つに記載の電磁波吸収構造体において、
前記誘電体層の厚さが5nm~200nmであってもよい。
<8>本発明の態様8の熱電変換素子は、態様1~7のいずれか1つに記載の電磁波吸収構造体を備える熱電変換素子であって、
前記電磁波吸収構造体の前記導電基材である電極と、
前記電極と電気的に接続される熱電材料と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも熱電変換素子上に温度差を生じさせることが可能な電磁波吸収構造体および熱電変換素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る電磁波吸収構造体を示す模式断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る熱電変換素子を示す概略斜視図である。
【
図3】第2実施形態に係る電磁波吸収構造体を示す模式断面図である。
【
図4】第2実施形態に係る熱電変換素子を示す概略斜視図である。
【
図5】第3実施形態に係る熱電変換素子を示す概略斜視図である。
【
図6】
図5に示す熱電変換素子のA-A線に沿った端面図である。
【
図7】第4実施形態に係る熱電変換素子を示す概略斜視図である。
【
図8】
図7に示す熱電変換素子のB-B線に沿った端面図である。
【
図9】電磁波吸収構造体の表面のSEM観察像である。
【
図14】実施例1~4の赤外線吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る電磁波吸収構造体および熱電変換素子を説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法などは一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
図1に、電磁波吸収構造体10の模式断面図を示す。以下の説明において、X方向は、導電基材1の表面1aと平行な方向である。Y方向は、導電基材1の表面1aと平行な方向であって、X方向に交差する方向である。例えば、Y方向は、X方向に略直交する。Z方向は、導電基材1の厚さ方向であって、X方向およびY方向に交差する方向である。例えば、Z方向は、X方向およびY方向に略直交する。Z方向に下の方向とは、Z方向に沿って導電粒子3から導電基材1に向かう方向をいう。Z方向に上の方向とはZ方向に沿って、導電粒子3から導電基材1に向かう方向と反対の方向をいう。ただし本明細書でいう「上」および「下」とは、説明の便宜上の表現であり、重力方向を規定するものではない。
【0012】
(電磁波吸収構造体10)
電磁波吸収構造体10は、導電基材1と、導電基材1上に配置される複数の導電粒子3と、導電基材1と各導電粒子3との間に配置される誘電体層2と、を備える。第1実施形態の場合、電磁波吸収構造体10は、導電基材1と、導電基材1上に配置される誘電体層2と、誘電体層2上に配置される複数の導電粒子3と、を備える。電磁波吸収構造体10において、導電基材1と誘電体層2と導電粒子3とが、導電体、絶縁体、導電体の順に配置され、かつ、導電体(導電粒子)が所定の大きさを有することで、均一な温度環境下において、熱エネルギーを吸収することができる。
【0013】
電磁波吸収構造体10の構造が複雑なため、所定の式によって、導電粒子3の円相当径と熱エネルギーの吸収波長域との関係を表すことは困難である。そのため、本開示の電磁波吸収構造体10の構造は、有限要素法によって当該構造をメッシュで分割してそれぞれのドメインで電磁波吸収を補完的に計算することで、設置予定の温度域に合わせて電磁波吸収体の構造および吸収波長域を設計することができる。
【0014】
(導電基材1)
導電基材1は、熱伝導率に優れ、かつ導電性を有する基材であることが好ましい。導電基材1の材質としては、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。導電基材1の幅、厚さ等は、目的に合わせて適宜設定することができる。
【0015】
(誘電体層2)
誘電体層2の材質は、絶縁性を有していればよく、特に限定されない。誘電体層2の材質としては、MgF2、CaF2、SiO2、ZrO2、ZnO2、Al2O3、MnO2、MoO3、MgO、CaO、WO3、TiO2、BaTiO3、Si3N4、AlN、SiC,ロッシェル塩などの金属含有化合物、ポリエチレンやポリプロピレン、シクロオレフィンポリマーやノルボルネン系樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレンやポリジフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリスチレンやAS樹脂などのスチレン系樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ナイロン、尿素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンオキサイドなどの有機化合物などを適時選択して用いることができる。
【0016】
誘電体層2の誘電率としては、例えば、1~50F/mであることが好ましい。誘電率が1~50F/mであることで、各導電粒子3の分極率が向上する。
【0017】
第1実施形態では、誘電体層2は、導電基材1を覆っている。誘電体層2は導電基材1の全面を覆っていてもよいし、導電基材1と導電粒子3との間のみを覆うように部分的に覆っていてもよい。導電基材1全体を覆うことで、導電基材1の酸化を防止することができるので、導電基材1全体を覆うことが好ましい。このようにすることで、電磁波吸収構造体10の安定性を向上することができる。
【0018】
誘電体層2の厚さは、特に限定されない。誘電体層2の厚さが5nm~200nmであることが好ましい。誘電体層2の厚さが5nm~200nmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、効率よく熱エネルギーを吸収する電磁波吸収構造体10を形成しやすい。誘電体層2の厚さは、吸収する熱エネルギーの波長域に応じて適宜設定することができる。
【0019】
(導電粒子3)
導電粒子3の円相当径が50nm~20.00μmである。導電粒子3の円相当径が50nm~20.00μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、効率よく熱エネルギーを吸収する電磁波吸収構造体10を形成しやすい。導電粒子3の円相当径の範囲は、吸収する熱エネルギーの波長範囲に応じて適宜設定することができる。導電粒子3の円相当径が大きくなるにつれて、熱エネルギーの吸収波長域が長波長側にシフトする。円相当径は平面視で導電粒子3の面積に等しい面積を有する円の直径である。電磁波吸収構造体10には、円相当径が50nm~20.00μmの範囲外の導電粒子3が含まれていてもよい。50nm~20.00μmの範囲外の導電粒子を含む場合は、導電粒子3の全個数に対して90%以上の導電粒子3の円相当径が50nm~20.00μmであればよい。以下に説明する導電粒子3の密度、導電粒子3の平均粒子間距離、導電粒子3間の距離は、円相当径が50nm~20.00μmである導電粒子3の密度、平均粒子間距離、導電粒子3間の距離である。
【0020】
導電粒子3の平均円相当径(平均粒径)は、1μm~20μmであることが好ましい。導電粒子3の平均円相当径)が、1μm~20μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、より効率よく熱エネルギーを吸収することができる。
【0021】
導電粒子3の円相当径の標準誤差は、0.05μm~0.20μmであることが好ましい。導電粒子3の標準誤差が、0.05μm~0.20μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、より効率よく熱エネルギーを吸収することができる。
【0022】
第1実施形態において、平面視で導電粒子3の密度が0.0025個/μm2以上である。導電粒子3の密度が0.0025個/μm2以上となることで、熱エネルギーの吸収量を向上することができる。ここで、「平面視」とは、導電基材1の法線方向(Z方向)から導電基材1を見ること、つもり、電磁波吸収構造体10を上から見ることを指す。より好ましい導電粒子3の密度は0.0090個/μm2以上である。さらに好ましい導電粒子3の密度は1.0000個/μm2以上である。導電粒子3の密度は高いほどよいので、導電粒子3の密度の上限は特に限定されない。導電粒子3の密度の上限は、例えば、100.0000個/μm2以下である。
【0023】
平面視で導電粒子3の平均粒子間距離が9.00μm以下であることが好ましい。平均粒子間距離が9.00μm以下となることで、電磁波吸収構造体10の熱エネルギーの吸収量を向上することができる。より好ましい導電粒子3の平均粒子間距離は、5.00μm以下である。さらに好ましい導電粒子3の平均粒子間距離は、1.00μm以下である。導電粒子3の平均粒子間距離は10nm以上であってもよい。なお、平均粒子間距離は、導電粒子3の重心間距離の平均値である。
【0024】
導電粒子3同士が接触していると、平面視における導電体の合計面積が増え、吸収できる熱エネルギーの波長域が変わる。その結果、吸収できる熱エネルギーの波長域が狭くなる恐れがある。本明細書では、導電粒子3同士が接触している場合は、それらの集まりを1つの導電粒子3とみなす。そのため、平面視で導電粒子3間の距離が、1nm以上であることが好ましい。導電粒子3間の距離が、1nm以上であることで、電磁波吸収構造体10の熱エネルギーの吸収量を向上することができる。導電粒子3間の距離は10nm以上であってもよい。なお、導電粒子3間の距離は、隣り合う粒子間の最短距離である。導電粒子3同士が接触していなければよいので、導電粒子3間の距離の上限は特に限定されない。たとえば、導電粒子3の距離の上限を1μmとしてもよい。
【0025】
複数の導電粒子3は、誘電体層2上に規則的に配置されてもよいし、不規則に配置してもよい。規則的に配置することで、導電粒子3の密度を向上することができる。
【0026】
導電粒子3の材質は、導電性を有していればよく、特に限定されない。導電粒子3は、Au、Pt、Ag、Cu、Pd、Al、Ti、Ta、Zr、Si、Sn、Pb、Ga、Ge、Co、Zn、Fe、In、およびBaからなる群から選択される元素を少なくとも1種以上含有することが好ましい。導電粒子3の材質は、前記記載の元素を少なくとも1種以上含有する酸化物および/または窒化物、あるいはそれらの複合体であってもよい。なお、発熱特性が高い導電粒子3の材質としては、TiN、TaN、ZrN、TiZr等が好ましい。
【0027】
平面視(XY平面)での導電粒子3の形状は、特に限定されない。平面視での導電粒子3の形状は、円状、多角形状であってもよい。また、導電粒子3の形状は、異径形状でも良いし、等方的な形であってもよい。
【0028】
導電粒子3の円相当径、密度、粒子間距離は、例えば以下の方法で評価することができる。電磁波吸収構造体10の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用い観察する。観察して得られたSEM像(500μm×500μm)を、画像解析ソフト(例えば、ImageJ)を用い、導電粒子3の円相当径、密度、平均粒子間距離、導電粒子3間の距離(最短距離)を求める。例えば、円相当径は、画像解析ソフトで求めることができる。密度は画像解析ソフトで求めることができる。平均粒子間距離は画像解析ソフトで求めることができる。導電粒子3間の距離は画像解析ソフトで求めることができる。導電粒子かどうかは例えば、SEMに付属するエネルギー分散型X線分光装置(EDX)を用い、導電粒子を構成する元素の比率を調べることで判定することができる。
【0029】
電磁波吸収構造体10の製造方法は、特に限定されない。例えば、金属粒子などの導電粒子を溶媒に分散させて誘電体層2上に塗布し、乾燥することで電磁波吸収構造体10を得てもよい。また、誘電体層2上に金属膜を成膜した後、所定の温度でアニールすることで、金属からなる導電粒子を形成することで、電磁波吸収構造体10を得てもよい。例えば、アニールで導電粒子3を形成する場合、アニール時の温度、時間、および金属膜の厚さなどによって、導電粒子3の粒径分布などを制御することができる。
【0030】
(熱電変換素子100)
次に、電磁波吸収構造体10を備える熱電変換素子100について説明する。
図2は、第1実施形態に係る熱電変換素子を示す概略斜視図である。熱電変換素子100は、電磁波吸収構造体10を備える熱電変換素子であって、電磁波吸収構造体10の導電基材1である電極41と、電極41と電気的に接続される熱電材料20と、を備える。第1実施形態では、熱電変換素子100は、電磁波吸収構造体10、第2電極42、および熱電材料20を備える。熱電変換素子100は、電磁波吸収構造体10が周囲の熱エネルギーを集約することで、温度勾配を形成できる。そのため、熱電変換素子100は均一な温度環境でも発電することができる。電磁波吸収構造体10と同じ要素については、説明を省略する場合がある。以下、各部について説明する。
【0031】
(電磁波吸収構造体10)
電磁波吸収構造体10は導電基材1、誘電体層2、および導電粒子3を備える。導電基材1が熱電変換素子100の第1電極41となる。
【0032】
(第1電極41)
第1電極41は、熱電材料20の一端と電気的に接続される。第1電極41と熱電材料20との接続は、電気的に接続でき、かつ、熱を熱電材料20に伝えることができれば、特に限定されない。例えば、超音波接合などを用いて第1電極41と熱電材料20とを直接接続してもよいし、ハンダなどを用いて第1電極41と熱電材料20とを接続してもよい。熱電材料20と接触する面を第1面41aとし、その反対の面を第2面41bとしたとき、第2面41bに、誘電体層2が、伝熱可能に配置されている。第1電極41は、電極の一例である。熱電変換素子100の第1電極41は、電磁波吸収構造体10の一部を構成する。第1電極41は、導電性を有していれば、特に限定されない。第1電極41としては、導電性金属からなる基材、導電性金属で被覆した絶縁性セラミックス基材等などが挙げられる。
【0033】
第1電極41に用いられる導電性金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、鉄、チタン、アルミニウム等の金属およびこれらの合金を用いることができる。熱電変換素子100の使用環境において、酸化および熔融の生じない金属を用いることが好ましい。
【0034】
第1電極41に用いられる絶縁性セラミックスとしては、例えば、アルミナ等の酸化物セラミックスからなる基板を用いることができる。絶縁性セラミックスを被覆する金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、および、これらの合金を用いることができる。絶縁性セラミックスを被覆する方法は特に限定されず、蒸着法、上述の金属または合金を含むペーストを塗布する方法等によって形成することができる。
【0035】
第1電極41の幅、厚さ等は、熱電材料20の大きさ、電気抵抗率等に合わせて適宜設定することができる。また、第1電極41から効率よく放熱するためには、熱伝導率が高い材質を選択し、第1電極41を薄くすることが好ましい。第1電極41の厚さは例えば、0.1μm~2mmである。
【0036】
(第2電極42)
第2電極42は、熱電材料20と電気的に接続される。第2電極42と熱電材料20との接続は、電気的に接続でき、かつ、熱を熱電材料20に伝えることができれば、特に限定されない。例えば、超音波接合などを用いて第2電極42と熱電材料20とを直接接続してもよいし、ハンダなどを用いて第2電極42と熱電材料20とを接続してもよい。第2電極42は、導電性を有していれば、特に限定されない。第2電極42としては、導電性金属からなる基材、導電性金属で被覆した絶縁性セラミックス基材等などが挙げられる。
【0037】
第2電極42に用いられる導電性金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、鉄、チタン、アルミニウム等の金属およびこれらの合金を用いることができる。熱電変換素子100の使用環境において、酸化および熔融の生じない金属を用いることが好ましい。
【0038】
第2電極42に用いられる絶縁性セラミックスとしては、例えば、アルミナ等の酸化物セラミックスからなる基板を用いることができる。絶縁性セラミックスを被覆する金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、および、これらの合金を用いることができる。絶縁性セラミックスを被覆する方法は特に限定されず、蒸着法、上述の金属または合金を含むペーストを塗布する方法等によって形成することができる。
【0039】
第2電極42の幅、厚さ等は、熱電材料20の大きさ、電気抵抗率等に合わせて適宜設定することができる。また、第2電極42から効率よく放熱するためには、熱伝導率が高い材質を選択し、第2電極42を薄くすることが好ましい。第2電極42の厚さは例えば、0.1μm~2mmである。
【0040】
(熱電材料20)
熱電材料20は一方の端が第1電極41と接続され、他方の端が第2電極42と接続される。熱電材料20は、p型熱電材料またはn型熱電材料である。特に限定されず、公知の熱電変換素子に用いられる公知の材料を用いることができる。例えば、熱電材料20としては、BiTe系材料、BiSb系材料、BiSbTe系材料などが挙げられる。
【0041】
以上、第1実施形態に係る電磁波吸収構造体10および熱電変換素子100について説明した。第1実施形態に係る電磁波吸収構造体10によれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも熱電変換素子上に温度差を生じさせることが可能である。電磁波吸収構造体10を備える熱電変換素子100によれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも発電することが可能である。
【0042】
(第2実施形態)
図3に、電磁波吸収構造体10Bの模式断面図を示す。電磁波吸収構造体10Bは、導電基材1と、導電基材1上に配置される複数の導電粒子3と、導電基材1と各導電粒子3との間に配置される誘電体層(被覆層)4と、を備える。第2実施形態の場合、電磁波吸収構造体10Bは、導電基材1と、導電基材1上に配置される複数の複合粒子5と、を備える。複合粒子5は、導電粒子3と導電粒子3の周りの少なくとも導電基材1との間の部分を被覆する誘電体層4と、を備える。電磁波吸収構造体10Bにおいて、導電基材1と誘電体層(被覆層)4と導電粒子3とが、導電体、絶縁体、導電体の順に配置され、かつ、導電体が所定の大きさを有することで、熱エネルギーを吸収することができる。
【0043】
電磁波吸収構造体10Bの構造が複雑なため、所定の式によって、導電粒子3の円相当径と熱エネルギーの吸収波長域との関係を表すことは困難である。そのため、本開示の電磁波吸収構造体10Bの構造は、第1実施形態の電磁波吸収構造体10と同様に有限要素法によって当該構造をメッシュで分割してそれぞれのドメインで電磁波吸収を補完的に計算することで、設置予定の温度域に合わせて電磁波吸収体の構造および吸収波長域を設計することができる。
【0044】
(導電基材1)
導電基材1は、熱伝導率に優れ、かつ導電性を有する基材であることが好ましい。導電基材1の材質としては、例えば、銀、銅、アルミニウムなどが挙げられる。導電基材1の幅、厚さ等は、目的に合わせて適宜設定することができる。
【0045】
(複合粒子5)
複数の複合粒子5が、導電基材1上に配置される。複合粒子5は、導電粒子3と導電粒子3上に配置される誘電体層4とを備える。導電粒子3の間に誘電体層4があることで、平面視における導電体としての合計面積が変わらない。複合粒子5は異なる粒径をもつ導電粒子3によって構成されることから、複合粒子5は幅広い波長範囲で共鳴をもつことができ、結果的により多くの熱エネルギーを吸収することが可能になる。
【0046】
複数の複合粒子5は、導電基材1上に規則的に配置されてもよいし、不規則に配置してもよい。複合粒子5を導電基材1上に規則的に配置することで、導電粒子3の密度を向上することができるので好ましい。
【0047】
複合粒子5の円相当径が55nm~20.00μmである。複合粒子5の円相当径が55nm~20.00μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、効率よく熱エネルギーを吸収する電磁波吸収構造体10Bを形成しやすい。複合粒子5の円相当径の範囲は、導電粒子3の円相当径と、誘電体層4の厚さとから決定される。電磁波吸収構造体10Bには、円相当径が55nm~20.00μmの範囲外の複合粒子が含まれていてもよい。その場合は、複合粒子5の全個数に対して90%以上の複合粒子5の円相当径が55nm~20.00μmであればよい。以下に説明する密度、平均粒子間距離、導電粒子3間の距離は、円相当径が55nm~20.00μmである導電粒子の密度、平均粒子間距離、導電粒子3間の距離である。以下に説明する複合粒子5の密度、複合粒子5の平均粒子間距離、複合粒子5間の距離は、円相当径が55nm~20.00μmである複合粒子5の密度、平均粒子間距離、導電粒子3間の距離である。
【0048】
複合粒子5の平均円相当径(平均粒径)は、1μm~20μmであることが好ましい。複合粒子5の平均円相当径が、1μm~20μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、より効率よく熱エネルギーを吸収することができる。
【0049】
複合粒子5の円相当径の標準誤差は、0.05μm~0.20μmであることが好ましい。複合粒子5の標準誤差が、0.05μm~0.20μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、より効率よく熱エネルギーを吸収することができる。
【0050】
第2実施形態において、平面視で複合粒子5の密度が0.0025個/μm2以上である。複合粒子5が互いに離れた状態であれば、複合粒子5の中心には導電粒子3があるので、複合粒子5の密度と導電粒子3の密度とは等しい。複合粒子5の密度が0.0025個/μm2以上となることで、熱エネルギーの吸収量を向上することができる。より好ましい複合粒子5の密度は0.0090個/μm2以上である。さらに好ましい複合粒子5の密度は1.0000個/μm2以上である。複合粒子5の密度は高いほどよいので、複合粒子5の密度の上限は特に限定されない。複合粒子5の密度の上限は、例えば、100.0000個/μm2以下である。
【0051】
平面視で複合粒子5の平均粒子間距離が9.00μm以下であることが好ましい。複合粒子5の平均粒子間距離が9.00μm以下となることで、電磁波吸収構造体10Bの熱エネルギーの吸収量を向上することができる。より好ましい複合粒子5の平均粒子間距離は、5.00μm以下である。さらに好ましい複合粒子5の平均粒子間距離は、1.00μm以下である。導電粒子3の平均粒子間距離は10nm以上であってもよい。なお、複合粒子5の平均粒子間距離は、複合粒子5の重心間距離の平均値である。導電粒子3の重心と複合粒子5の重心とは、略等しいので、複合粒子5の平均粒子間距離は、導電粒子3の平均粒子間距離と略等しい。
【0052】
平面視で複合粒子5間の距離が1nm以上であることが好ましい。複合粒子5間の距離が1nm以上であることで、電磁波吸収構造体10の熱エネルギーの吸収量を向上することができる。複合粒子5間の距離は10nm以上であってもよい。なお、複合粒子5間の距離は、隣り合う粒子間の最短距離である。
【0053】
(導電粒子3)
導電粒子3の円相当径が50nm~20.00μmである。導電粒子3の円相当径が50nm~20.00μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、効率よく熱エネルギーを吸収する電磁波吸収構造体10Bを形成しやすい。導電粒子3の円相当径の範囲は、吸収する熱エネルギーの波長範囲に応じて適宜設定することができる。電磁波吸収構造体10Bには、円相当径が50nm~20.00μmの範囲外の導電粒子が含まれていてもよい。その場合は、導電粒子3の全個数に対して90%以上の粒子の円相当径が50nm~20.00μmであればよい。以下に説明する密度、平均粒子間距離、導電粒子3間の距離は、円相当径が50nm~20.00μmである導電粒子の密度、平均粒子間距離、導電粒子3間の距離である。
【0054】
導電粒子3の平均円相当径(平均粒径)は、1μm~20μmであることが好ましい。導電粒子3の平均円相当径が、1μm~20μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、より効率よく熱エネルギーを吸収することができる。
【0055】
導電粒子3の円相当径の標準誤差は、0.05μm~0.20μmであることが好ましい。導電粒子3の標準誤差が、0.05μm~0.20μmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、より効率よく熱エネルギーを吸収することができる。
【0056】
第2実施形態において、平面視で導電粒子3の密度が0.0025個/μm2以上である。導電粒子3の密度が0.0025個/μm2以上となることで、熱エネルギーの吸収量を向上することができる。より好ましい導電粒子3の密度は0.0090個/μm2以上である。さらに好ましい導電粒子3の密度は1.0000個/μm2以上である。導電粒子3の密度は高いほどよいので、導電粒子3の密度の上限は特に限定されない。導電粒子3の密度の上限は、例えば、100.0000個/μm2以下である。
【0057】
平面視で導電粒子3の平均粒子間距離が9.00μm以下であることが好ましい。平均粒子間距離が9.00μm以下となることで、電磁波吸収構造体10Bの熱エネルギーの吸収量を向上することができる。より好ましい導電粒子3の平均粒子間距離は、5.00μm以下である。さらに好ましい導電粒子3の平均粒子間距離は、1.00μm以下である。導電粒子3の平均粒子間距離は10nm以上であってもよい。
【0058】
平面視で導電粒子3間の距離が1nm以上であることが好ましい。導電粒子3間の距離が1nm以上であることで、電磁波吸収構造体10Bの熱エネルギーの吸収量を向上することができる。導電粒子3間の距離は10nm以上であってもよい。
【0059】
導電粒子3の材質は、導電性を有していればよく、特に限定されない。導電粒子3は、Au、Pt、Ag、Cu、Pd、Al、Ti、Ta、Zr、Si、Sn、Pb、Ga、Ge、Co、Zn、Fe、In、およびBaからなる群から選択される元素を少なくとも1種以上含有することが好ましい。導電粒子3の材質は、前記記載の元素を少なくとも1種以上含有する酸化物および/または窒化物、あるいはそれらの複合体であってもよい。なお、発熱特性が高い導電粒子3の材質としては、TiN、TaN、ZrN、TiZr等が好ましい。
【0060】
平面視(XY平面)での導電粒子3の形状は、特に限定されない。平面視での導電粒子3の形状は、円状、多角形状であってもよい。また、導電粒子3の形状は、異径形状でも良いし、等方的な形であってもよい。
【0061】
複合粒子5の円相当径、密度、粒子間距離は、例えば以下の方法で評価することができる。また、複合粒子5の円相当径、密度、粒子間距離から、導電粒子3の円相当径、密度、粒子間距離は以下の方法で評価することができる。電磁波吸収構造体10Bの表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察する。観察して得られたSEM像(500μm×500μm)を、画像解析ソフト(例えば、ImageJ)を用い、複合粒子5の円相当径、密度、粒子間距離を求めることができる。例えば、円相当径は、ImageJで求めることができる。密度は、ImageJで求めることができる。平均粒子間距離ImageJで求めることができる。複合粒子5間の距離はImageJで求めることができる。次に、例えば、集束イオンビーム(FIB)を用い、複合粒子5の断面資料を作成し、SEMで観察を行う。得られた断面観察像から、10~100個の複合粒子5の誘電体層(被覆層)の厚さを測定し、平均値を計算する。得られた平均値の厚さの誘電体層4で導電粒子3が覆われていると仮定して、導電粒子3の円相当径などを再計算する。具体的には、複合粒子5の円相当径から誘電体層4の厚さの2倍の値を引いた値を導電粒子3の円相当径とする。複合粒子5の密度を導電粒子3の密度とする。複合粒子5の平均粒子間距離の値を導電粒子3の平均粒子間距離とする。複合粒子5間の距離に誘電体層4の厚さの2倍の値を加えた値を導電粒子3間の距離とする。
【0062】
(誘電体層4)
誘電体層(被覆層)4は、導電粒子3の表面上に配置され、導電粒子3を被覆する。誘電体層(被覆層)4の材質は、絶縁性を有していればよく、特に限定されない。誘電体層2の材質としては、MgF2、CaF2、SiO2、ZrO2、ZnO2、Al2O3、MnO2、MoO3、MgO、CaO、WO3、TiO2、BaTiO3、Si3N4、AlN、SiC,ロッシェル塩などの金属含有化合物、ポリエチレンやポリプロピレン、シクロオレフィンポリマーやノルボルネン系樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレンやポリジフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、ポリスチレンやAS樹脂などのスチレン系樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ナイロン、尿素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンオキサイドなどの有機化合物などを適時選択して用いることができる。
【0063】
誘電体層4の誘電率としては、例えば、1~50F/mであることが好ましい。誘電率が1~50F/mであることで、各導電粒子3の分極率が向上する。
【0064】
第2実施形態では、誘電体層4は、導電粒子3を覆っている。誘電体層4は導電粒子3の全面を覆っていてもよいし、導電基材1と導電粒子3との間のみを覆うように部分的に導電粒子3を覆っていてもよい。導電粒子3全体を覆うことで、導電粒子3の酸化を防止することができるので、導電粒子3全体を覆うことが好ましい。このようにすることで、電磁波吸収構造体10Bの安定性を向上することができる。
【0065】
誘電体層4の厚さは、特に限定されない。誘電体層4の厚さが5nm~200nmであることが好ましい。誘電体層4の厚さが5nm~200nmであることで、環境温度が数十℃~500℃において、効率よく熱エネルギーを吸収する電磁波吸収構造体10Bを形成しやすい。また、吸収する熱エネルギーの波長範囲に応じて適宜設定することができる。
【0066】
電磁波吸収構造体10Bの製造方法は、特に限定されない。例えば、複合粒子5を溶媒に分散させて導電基材1上に塗布し、乾燥することで電磁波吸収構造体10Bを得てもよい。複合粒子5は、ゾルゲル法を用いて作製することができる。例えば、銀ナノ粒子の場合、銀ナノ粒子水分散液にテトラエトキシシランを添加し、1分~60分間攪拌することで、SiO2の被覆層を形成することができる。攪拌時間によって誘電体層4の厚さを制御することができる。
【0067】
(熱電変換素子100B)
次に、電磁波吸収構造体10Bを備える熱電変換素子100Bについて説明する。
図4は、第2実施形態に係る熱電変換素子を示す概略斜視図である。熱電変換素子100Bは、電磁波吸収構造体10Bを備える熱電変換素子であって、電磁波吸収構造体10Bの導電基材1である電極41と、電極41と電気的に接続される熱電材料20と、を備える。第2実施形態では、熱電変換素子100Bは、電磁波吸収構造体10B、第2電極42、および熱電材料20を備える。熱電変換素子100Bは、電磁波吸収構造体10Bが周囲の熱エネルギーを集約することで、温度勾配を形成できる。そのため、熱電変換素子100Bは均一な温度環境でも発電することができる。以下の説明では、熱電変換素子100、電磁波吸収構造体10、電磁波吸収構造体10Bと同じ要素については、説明を省略する場合がある。以下、各部について説明する。
【0068】
(電磁波吸収構造体10B)
電磁波吸収構造体10Bは導電基材1、導電基材1上に配置される複数の複合粒子5と、を備える。導電基材1が熱電変換素子100Bの第1電極41となる。
【0069】
(第1電極41)
第1電極41は、熱電材料20の一端と電気的に接続される。第1電極41と熱電材料20との接続は、電気的に接続でき、かつ、熱を熱電材料20に伝えることができれば、特に限定されない。例えば、超音波接合などを用いて第1電極41と熱電材料20とを直接接続してもよいし、ハンダなどを用いて第1電極41と熱電材料20とを接続してもよい。熱電材料20と接触する面を第1面41aとし、その反対の面を第2面41bとしたとき、第2面41bに、複合粒子5が伝熱可能に配置されている。第1電極41は、電極の一例である。熱電変換素子100Bの第1電極41は、電磁波吸収構造体10Bの一部を構成する。第1電極41は、導電性を有していれば、特に限定されない。第1電極41としては、導電性金属からなる基材、導電性金属で被覆した絶縁性セラミックス基材等などが挙げられる。
【0070】
(第2電極42)
第2電極42は、熱電材料20と電気的に接続される。第2電極42と熱電材料20との接続は、電気的に接続でき、かつ、熱を熱電材料20に伝えることができれば、特に限定されない。例えば、超音波接合などを用いて第2電極42と熱電材料20とを直接接続してもよいし、ハンダなどを用いて第2電極42と熱電材料20とを接続してもよい。第2電極42は、導電性を有していれば、特に限定されない。第2電極42としては、導電性金属からなる基材、導電性金属で被覆した絶縁性セラミックス基材等などが挙げられる。
【0071】
(熱電材料20)
熱電材料20は一方の端が第1電極41と接続され、他方の端が第2電極42と接続される。熱電材料20は、p型熱電材料またはn型熱電材料である。特に限定されず、公知の熱電変換素子に用いられる公知の材料を用いることができる。例えば、熱電材料20としては、BiTe系材料、BiSb系材料、BiSbTe系材料などが挙げられる。
【0072】
以上、第2実施形態に係る電磁波吸収構造体10Bおよび熱電変換素子100Bについて説明した。第2実施形態に係る電磁波吸収構造体10Bによれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも熱電変換素子上に温度差を生じさせることが可能である。電磁波吸収構造体10Bを備える熱電変換素子100Bによれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも発電することが可能である。
【0073】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態に係る熱電変換素子を示す概略斜視図である。
図6は、
図5に示す熱電変換素子のA-A線に沿う端面図である。熱電変換素子100Cは、電磁波吸収構造体10Cを備える熱電変換素子であって、電磁波吸収構造体10Cの導電基材1Cである電極41Cと、電極41Cと電気的に接続される熱電材料(p型熱電材料21およびn型熱電材料22)と、を備える。第3実施形態では、熱電変換素子100Cは、電磁波吸収構造体10C、第2電極42C、p型熱電材料21、n型熱電材料22、および絶縁基板52を備える。p型熱電材料21とn型熱電材料22とは第1電極41Cおよび第2電極42Cを介し、電気的に直列に交互に接続されている。熱電変換素子100Cは、電磁波吸収構造体10Cが周囲の熱エネルギーを集約することで、温度勾配を形成できる。そのため、熱電変換素子100Cは均一な温度環境でも発電することができる。以下の説明では、熱電変換素子100、熱電変換素子100B、電磁波吸収構造体10、電磁波吸収構造体10Bと同じ要素については、説明を省略する場合がある。以下、各部について説明する。
【0074】
(絶縁基板52)
絶縁基板52は、第2電極42Cを固定する機能を備える。絶縁基板52の材質は、使用する温度(例えば、200℃)以上の融点を持ち、第2電極42Cとの間で絶縁する材料であれば、特に限定されない。絶縁基板52の材質としては、例えばアルミナである。
【0075】
(電磁波吸収構造体10C)
電磁波吸収構造体10Cは、導電基材1Cと、導電基材1C上に配置される誘電体層2と、誘電体層2上に配置される複数の導電粒子3と、を備える。導電基材1Cは第1電極41Cである。
【0076】
(第1電極41C)
第1電極41Cは、p型熱電材料21の一端と電気的に接続され、n型熱電材料22の一端と電気的に接続される。第1電極41Cとp型熱電材料21およびn型熱電材料22との接続は、電気的に接続でき、かつ、熱をp型熱電材料21およびn型熱電材料22に伝えることができれば、特に限定されない。例えば、超音波接合などを用いて第1電極41Cとp型熱電材料21およびn型熱電材料22とを直接接続してもよいし、ハンダなどを用いて第1電極41Cとp型熱電材料21およびn型熱電材料22とを接続してもよい。p型熱電材料21およびn型熱電材料22と接触する面を第1面41Caとし、その反対の面を第2面41Cbとする。第1電極41Cは、電極の一例である。第1電極41Cは、導電性を有していれば、特に限定されない。第1電極41Cとしては、導電性金属からなる基材、導電性金属で被覆した絶縁性セラミックス基材等などが挙げられる。
【0077】
第1電極41Cの幅、厚さ等は、p型熱電材料21、n型熱電材料22の大きさ、電気抵抗率等に合わせて適宜設定することができる。また、第1電極41Cから効率よく放熱するためには、熱伝導率が高い材質を選択し、第1電極41Cを薄くすることが好ましい。第1電極41Cの厚さは例えば、0.1μm~2mmである。
【0078】
(第2電極42C)
第2電極42Cは、絶縁基板52の表面52a上に固定される。第2電極42Cは、p型熱電材料21の一端と電気的に接続され、n型熱電材料22の一端と電気的に接続される。第2電極42Cとp型熱電材料21およびn型熱電材料22との接続は、電気的に接続でき、かつ、熱をp型熱電材料21およびn型熱電材料22に伝えることができれば、特に限定されない。例えば、超音波接合などを用いて第2電極42Cとp型熱電材料21およびn型熱電材料22とを直接接続してもよいし、ハンダなどを用いて第2電極42Cとp型熱電材料21およびn型熱電材料22とを接続してもよい。第2電極42Cは、導電性を有していれば、特に限定されない。第2電極42Cとしては、導電性金属からなる基材、導電性金属で被覆した絶縁性セラミックス基材等などが挙げられる。
【0079】
第2電極42Cの幅、厚さ等は、p型熱電材料21、n型熱電材料22の大きさ、電気抵抗率等に合わせて適宜設定することができる。また、第2電極42Cから効率よく放熱するためには、熱伝導率が高い材質を選択し、第2電極42Cを薄くすることが好ましい。第2電極42Cの厚さは例えば、0.1μm~2mmである。
【0080】
(p型熱電材料21)
p型熱電材料21は一方の端が第1電極41Cと接続され、他方の端が第2電極42Cと接続される。p型熱電材料21は、特に限定されず、公知の熱電変換素子に用いられる公知の材料を用いることができる。例えば、p型熱電材料21としては、BiTe系材料、BiSb系材料、BiSbTe系材料などが挙げられる。
【0081】
(n型熱電材料22)
n型熱電材料22は一方の端が第1電極41Cと接続され、他方の端が第2電極42Cと接続される。n型熱電材料22は、特に限定されず、公知の熱電変換素子に用いられる公知の材料を用いることができる。例えば、n型熱電材料22としては、BiTe系材料、BiSb系材料、BiSbTe系材料などが挙げられる。
【0082】
以上、第3実施形態に係る熱電変換素子100Cおよび電磁波吸収構造体10Cについて説明した。第3実施形態に係る電磁波吸収構造体10Cによれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも熱電変換素子上に温度差を生じさせることが可能である。電磁波吸収構造体10Cを備える熱電変換素子100Cによれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも発電することが可能である。
【0083】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態に係る熱電変換素子を示す概略斜視図である。
図8は、
図7に示す熱電変換素子のB-B線に沿う端面図である。熱電変換素子100Dは、電磁波吸収構造体10Dを備える熱電変換素子であって、電磁波吸収構造体10Dの導電基材1Dである電極41Dと、電極41Dと電気的に接続される熱電材料(p型熱電材料21およびn型熱電材料22)と、を備える。第4実施形態では、熱電変換素子100Dは、電磁波吸収構造体10D、第2電極42D、p型熱電材料21、n型熱電材料22、および絶縁基板52を備える。p型熱電材料21とn型熱電材料22とは第1電極41Dおよび第2電極42Dを介し、電気的に直列に交互に接続されている。熱電変換素子100Dは、電磁波吸収構造体10Dが周囲の熱エネルギーを集約することで、温度勾配を形成できる。そのため、熱電変換素子100Dは均一な温度環境でも発電することができる。以下の説明では、熱電変換素子100、熱電変換素子100B、熱電変換素子100C、電磁波吸収構造体10、電磁波吸収構造体10Bと同じ要素については、説明を省略する場合がある。以下、各部について説明する。
【0084】
(電磁波吸収構造体10D)
電磁波吸収構造体10Dは、導電基材1Dと、導電基材1D上に配置される複数の複合粒子5と、を備える。導電基材1Dは第1電極41Dとなる。複合粒子5は、導電粒子3と導電粒子3の表面に配置される誘電体層(被覆層)4とを備える。
【0085】
(第1電極41D)
第1電極41Dは、p型熱電材料21の一端と電気的に接続され、n型熱電材料22の一端と電気的に接続される。第1電極41Dとp型熱電材料21およびn型熱電材料22との接続は、電気的に接続でき、かつ、熱をp型熱電材料21およびn型熱電材料22に伝えることができれば、特に限定されない。例えば、超音波接合などを用いて第1電極41Dとp型熱電材料21およびn型熱電材料22とを直接接続してもよいし、ハンダなどを用いて第1電極41Dとp型熱電材料21およびn型熱電材料22とを接続してもよい。p型熱電材料21およびn型熱電材料22と接触する面を第1面41Daとし、その反対の面を第2面41Dbとする。第1電極41Dは、電極の一例である。第1電極41Dは、導電性を有していれば、特に限定されない。第1電極41Dとしては、導電性金属からなる基材、導電性金属で被覆した絶縁性セラミックス基材等などが挙げられる。
【0086】
(第2電極42D)
第2電極42Dは、絶縁基板52の表面52a上に固定される。第2電極42Dは、p型熱電材料21の一端と電気的に接続され、n型熱電材料22の一端と電気的に接続される。第2電極42Dとp型熱電材料21およびn型熱電材料22との接続は、電気的に接続でき、かつ、熱をp型熱電材料21およびn型熱電材料22に伝えることができれば、特に限定されない。例えば、超音波接合などを用いて第2電極42Dとp型熱電材料21およびn型熱電材料22とを直接接続してもよいし、ハンダなどを用いて第2電極42Dとp型熱電材料21およびn型熱電材料22とを接続してもよい。第2電極42Dは、導電性を有していれば、特に限定されない。第2電極42Dとしては、導電性金属からなる基材、導電性金属で被覆した絶縁性セラミックス基材等などが挙げられる。
【0087】
以上、第4実施形態に係る熱電変換素子100Dおよび電磁波吸収構造体10Dについて説明した。第4実施形態に係る電磁波吸収構造体10Dによれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも熱電変換素子上に温度差を生じさせることが可能である。電磁波吸収構造体10Dを備える熱電変換素子100Dによれば、より幅広い波長域の熱エネルギーを吸収可能であり、かつ、均一な温度環境下でも発電することが可能である。
【0088】
以上、本発明の実施形態に係る熱電変換素子および電磁波吸収構造体について詳説した。本発明は、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0089】
上述の態様では、ゼーベック効果を利用した熱電変換素子で説明したが、本発明においては、例えば特開2009-130070号、同2009-151000号、同2011ー249746号、同2012-109367号、同2014-154850号、同2015ー222789号等に開示されているスピンゼーベック効果を利用した熱電変換素子と組み合わせることも可能である。
【実施例0090】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性および効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0091】
(実施例1)
導電基材として、銅(Cu)基板を用いた。Cu基板上に誘電体層としてCaF2(厚さ:60nm)を形成した。その後、真空蒸着で銀(Ag)層を100nm積層した。得られた積層体を400℃で1時間加熱して導電粒子を形成し、電磁波吸収構造体を得た。
【0092】
(実施例2)
導電基材として、Cu基板を用いた。Cu基板上に誘電体層としてCaF2(厚さ:60nm)を形成した。その後、真空蒸着でAg層を150nm積層した。得られた積層体を400℃で1時間加熱して導電粒子を形成し、電磁波吸収構造体を得た。
【0093】
(実施例3)
導電基材として、Cu基板を用いた。Cu基板上に誘電体層としてCaF2(厚さ:60nm)を形成した。その後、真空蒸着でAg層を200nm積層した。得られた積層体を400℃で1時間加熱して導電粒子を形成し、電磁波吸収構造体を得た。
【0094】
(実施例4)
導電基材として、Cu基板を用いた。Cu基板上に誘電体層としてCaF2(厚さ:60nm)を形成した。その後、真空蒸着でAg層を300nm積層した。得られた積層体を400℃で1時間加熱して導電粒子を形成し、電磁波吸収構造体を得た。
【0095】
(実施例5)
導電基材として、Cu基板を用いた。Cu基板上にAg層(厚さ:150nm)、誘電体層CaF2層(厚さ:60nm)、Ag層(厚さ:100nm)を積層し積層体を得た。Ag層(厚さ:100nm)とCaF2層(厚さ:60nm)の間には、パターニングした電子線レジスト層を介在させた。電子線レジスト層のリフトオフを行い、Ag層(厚さ:100nm)からなる導電粒子を形成した。これによって、電磁波吸収構造体を得た。得られた導電粒子の円相当径は、2μmで、各導電粒子の間隔は3μmとし、密度は0.1個/μm2とした。
【0096】
(円相当径、平均円相当径、粒子間距離、密度)
走査型電子顕微鏡(SEM)で実施例1~4の電磁波吸収構造体を観察した。
図9のようなSEM観察で得られた観察像に対し、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて、粒径(円相当径)、粒子間距離(重心間距離)、密度を求めた。得られた粒径(円相当径)、粒子間距離、密度から平均値を求めた。得られた結果を表1に示す。また、得られた各実施例の粒径分布を
図10~13に示す。なお、実施例1~4については全て最短距離が1nm以上であった。
【0097】
(赤外線吸収測定)
実施例1~4の電磁波吸収構造体が熱エネルギーを吸収できるか確認するために、赤外線吸収測定を行った。測定は、日本分光社製FT/IR-6300を用い、反射法で測定を行った。得られた結果を
図14に示す。
【0098】
(熱電評価)
実施例4および実施例5の熱電評価を行った。熱電材料は、p型ビスマスアンチモンテルル素子を用い、熱電材料の一方の端に実施例4または実施例5のCu基板を固定し、もう一方の端に導電粒子が無いCu基板を固定し、熱電変換素子を作製した。熱電評価は、100℃に設定した電気炉内の熱輻射環境における各熱電変換素子の熱電出力を測定した。具体的には、電気炉温度が熱安定状態に達した時の熱電素子両端で発生する出力電圧を測定した。比較例として、熱電材料の一方の端に導電粒子が無いCu基板を固定し、もう一方の端に導電粒子が無いCu基板を固定し、熱電変換素子を作製し、同様に熱電評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0099】
【0100】
【0101】
実施例1の粒径分布を
図10に示す。
図10の横軸は、粒径(μm)、縦軸は導電粒子の個数(個)を示す。
図10に示す通り、実施例1の電磁波吸収構造体の導電粒子の粒径は、1μm~9μmの範囲であった。
【0102】
実施例2の粒径分布を
図11に示す。
図11の横軸は、粒径(μm)、縦軸は導電粒子の個数(個)を示す。
図11に示す通り、実施例2の電磁波吸収構造体の導電粒子の粒径は、1μm~2μmの範囲であった。
【0103】
実施例3の粒径分布を
図12に示す。
図12の横軸は、粒径(μm)、縦軸は導電粒子の個数(個)を示す。
図12に示す通り、実施例3の電磁波吸収構造体の導電粒子の粒径は、2μm~10μmの範囲であった。
【0104】
実施例4の粒径分布を
図13に示す。
図13の横軸は、粒径(μm)、縦軸は導電粒子の個数(個)を示す。
図13に示す通り、実施例4の電磁波吸収構造体の導電粒子の粒径は、1μm~4μmの範囲であった。
【0105】
表1に示す通り、実施例1~4の電磁波吸収構造体は、導電粒子の粒径(円相当径)が50nm~20.00μmを満足し、かつ、導電粒子の密度が0.0025個/μm2以上であった。
【0106】
図14に実施例1~4の赤外線吸収スペクトルを示す。
図14の横軸は、波長(μm)であり、縦軸は吸収率(%)である。
図14に示す通り、実施例1~4の電磁波吸収構造体は、いずれも波長2.5μm~20μmの波長の赤外線を吸収していることが分かった。また、
図14の結果から、電磁波吸収構造体が吸収する波長域は、導電粒子3の粒径に応じて変化することが確認できた。これによって、例えば、均一の温度環境下に電磁波吸収構造体を備える熱電変換素子を設置した場合に、電磁波吸収構造体がこれらの波長の赤外線を吸収し、温度勾配を形成することができる。
【0107】
表2に示す通り、導電体、絶縁体、導電体の順に配置され、かつ、導電粒子の円相当径が所定の範囲である実施例4および実施例5の熱電変換素子は、100℃の均一温度環境下で出力電圧が測定されたのに対し、導電粒子が無く、導電体、絶縁体、導電体の構造がない比較例の熱電変換素子では、発電されなかった。以上より、均一の温度環境下に電磁波吸収構造体を備える熱電変換素子を設置した場合に、電磁波吸収構造体がこれらの波長の赤外線を吸収し発電できることが確認された。また、出力電圧は、密度が高い実施例5の方が高かったことから、密度が高いほうがより発電量が増えることが確認された。