(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084365
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198600
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】川田 善之
(72)【発明者】
【氏名】森山 克文
(72)【発明者】
【氏名】森井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】真田 知幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 宏
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106CA22
4M106CA38
4M106DB04
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD23
4M106DJ27
(57)【要約】
【課題】 ウェーハの外観検査を正確に行うことが可能な検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】 検査装置(1、1A、1B)は、ウェーハ上の検査対象物の画像を撮像するカメラ(50)と、カメラにより撮像した画像から検査対象物を検出し、検査対象物の良否の仮判定を行う第1の判定部(10)と、仮判定により異常と判定された検査対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定機(52)と、3次元形状測定機により測定した検査対象物の3次元形状と、カメラにより撮像した画像、又は3次元形状測定機により測定した検査対象物の3次元形状に基づいて、検査対象物の良否の本判定を行う第2の判定部(10)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ上の検査対象物の画像を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像した前記画像から前記検査対象物を検出し、前記検査対象物の良否の仮判定を行う第1の判定部と、
前記仮判定により異常と判定された前記検査対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定機と、
前記3次元形状測定機により測定した前記検査対象物の前記3次元形状と、前記カメラにより撮像した前記画像、又は前記3次元形状測定機により測定した前記検査対象物の3次元形状に基づいて、前記検査対象物の良否の本判定を行う第2の判定部と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記検査対象物は、テストヘッドを用いて前記ウェーハを電気的に検査したときに前記ウェーハの電極パッドに形成された針跡である、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記第1の判定部は、前記カメラにより撮像した前記画像から前記電極パッドに形成された針跡の面積を検出し、前記面積に基づいて前記電極パッドの良否の仮判定を行う、請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記第2の判定部は、前記3次元形状測定機により測定した前記電極パッドの最大谷深さに基づいて前記電極パッドの良否の本判定を行う、請求項2又は3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記カメラと前記3次元形状測定機の位置関係を取得するアライメント部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記アライメント部は、前記カメラ及び前記3次元形状測定機によるアライメントマークの測定結果に基づいて、前記カメラと前記3次元形状測定機の位置関係を取得する、請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
ウェーハ上の検査対象物の画像をカメラにより撮像し、前記画像から前記検査対象物を検出し、前記検査対象物の良否の仮判定を行うステップと、
前記仮判定により異常と判定された前記検査対象物の3次元形状を3次元形状測定機により測定し、前記3次元形状測定機により測定した前記検査対象物の前記3次元形状と、前記カメラにより撮像した前記画像、又は前記3次元形状測定機により測定した前記検査対象物の3次元形状に基づいて、前記検査対象物の良否の本判定を行うステップと、
を備える検査方法。
【請求項8】
前記検査対象物は、テストヘッドを用いて前記ウェーハを電気的に検査したときに前記ウェーハの電極パッドに形成された針跡である、請求項7に記載の検査方法。
【請求項9】
前記カメラと前記3次元形状測定機の位置関係を取得するアライメントステップを備える、請求項7又は8に記載の検査方法。
【請求項10】
前記カメラによりアライメントマークを測定するステップと、
前記3次元形状測定機により前記アライメントマークを測定するステップとを備え、
前記アライメントステップでは、前記カメラ及び前記3次元形状測定機による前記アライメントマークの測定結果に基づいて、前記カメラと前記3次元形状測定機の位置関係を取得する、請求項9に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査装置及び検査方法に係り、特に半導体ウェーハ上に形成された半導体装置の検査を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、ウェーハレベル検査では、半導体ウェーハ(以下、ウェーハという。)上に個々の半導体デバイスに対応する複数のチップが形成された段階で、半導体デバイスの電極パッドをプローブカードのプローブ針に接触させ、テスト信号を供給する。そして、このテスト信号に応じて半導体デバイスが出力する信号をテスタで測定して、半導体デバイスが正常に動作するかを電気的に検査する。
【0003】
上記のようなウェーハレベル検査では、電極パッドの表面の酸化膜のみをプローブ針で削り取って、プローブ針を電極パッドに接触させて導通させるのが理想的である。ウェーハレベル検査では、電極パッドの表面の酸化膜をプローブ針で削り取るためにオーバドライブをかける。そして、ウェーハレベル検査の後に電極パッドに形成された針跡の検出を行う。
【0004】
ウェーハレベル検査の後の針跡の検出において、電極パッドから針跡が検出されなかった場合には、測定不良と判定される。一方、プローブ針が電極パッドに突き刺さって電極パッドの下地層が露出した場合には、その電極パッドを不良として取り扱う。
【0005】
特許文献1には、プローブ針を用いて検査した後に電極パッドの下地層の露出状況を自動的に検出するための針跡検査装置が開示されている。特許文献1では、カメラを用いて、電極パッド上に形成された針跡を撮像し、電極パッドの下地層の露出の有無を検査するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ウェーハの外観検査では、カメラで撮像したウェーハの画像(2次元画像)から、例えば、上記の針跡以外にも、傷(例えば、パターンが形成されていない無地のウェーハ又はミラーウェーハ上の傷等)又は異物等の有無の検査を行う場合がある。
【0008】
ウェーハの外観検査のうち、例えば、ウェーハレベル検査の後の針跡の検出では、ウェーハレベル検査後にウェーハを照明手段で照明し、ウェーハ上面の画像(2次元画像)をカメラで撮像する。そして、画像の明暗に基づいて電極パッドと下地層とを区別する。
【0009】
上記のように画像の明暗に基づいて電極パッドと下地層とを区別する場合、画像の明暗がウェーハ表面の形状による光の当たり具合に起因するものであるのか、材料の違いに起因するものであるのか、判定が困難な場合がある。例えば、ウェーハ表面の形状に起因する暗部の割合が大きい場合には、下地層の露出がなくても電極パッドが不良と判定されてしまう場合があり得る。
【0010】
また、2次元画像を用いたウェーハの傷又は異物等を対象とした外観検査においても、ウェーハの材質、もしくは傷又は異物の形状又は種類によっては、外観検査の結果の良否判定のために十分な精度が得られない場合があり得る。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ウェーハの外観検査を正確に行うことが可能な検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る検査装置は、ウェーハ上の検査対象物の画像を撮像するカメラと、カメラにより撮像した画像から検査対象物を検出し、検査対象物の良否の仮判定を行う第1の判定部と、仮判定により異常と判定された検査対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定機と、3次元形状測定機により測定した検査対象物の3次元形状と、カメラにより撮像した画像、又は3次元形状測定機により測定した検査対象物の3次元形状に基づいて、検査対象物の良否の本判定を行う第2の判定部とを備える。
【0013】
本発明の第2の態様に係る検査装置は、第1の態様に係る検査対象物を、テストヘッドを用いてウェーハを電気的に検査したときにウェーハの電極パッドに形成された針跡としたものである。
【0014】
本発明の第3の態様に係る検査装置は、第2の態様において、第1の判定部は、カメラにより撮像した画像から電極パッドに形成された針跡の面積を検出し、面積に基づいて電極パッドの良否の仮判定を行う。
【0015】
本発明の第4の態様に係る検査装置は、第2又は第3の態様において、第2の判定部は、3次元形状測定機により測定した電極パッドの最大谷深さに基づいて電極パッドの良否の本判定を行う。
【0016】
本発明の第5の態様に係る検査装置は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、カメラと3次元形状測定機の位置関係を取得するアライメント部を備える。
【0017】
本発明の第6の態様に係る検査装置は、第5の態様において、アライメント部が、カメラ及び3次元形状測定機によるアライメントマークの測定結果に基づいて、カメラと前記3次元形状測定機の位置関係を取得する。
【0018】
本発明の第7の態様に係る検査方法は、ウェーハ上の検査対象物の画像をカメラにより撮像し、画像から検査対象物を検出し、検査対象物の良否の仮判定を行うステップと、仮判定により異常と判定された検査対象物の3次元形状を3次元形状測定機により測定し、3次元形状測定機により測定した検査対象物の3次元形状と、カメラにより撮像した画像、又は3次元形状測定機により測定した検査対象物の3次元形状に基づいて、検査対象物の良否の本判定を行うステップとを備える。
【0019】
本発明の第8の態様に係る検査方法は、第7の態様に係る検査対象物を、テストヘッドを用いてウェーハを電気的に検査したときにウェーハの電極パッドに形成された針跡としたものである。
【0020】
本発明の第9の態様に係る検査方法は、第7又は第8の態様において、カメラと3次元形状測定機の位置関係を取得するアライメントステップを備える。
【0021】
本発明の第10の態様に係る検査方法は、第9の態様において、カメラによりアライメントマークを測定するステップと、3次元形状測定機によりこのアライメントマークを測定するステップとを備え、アライメントステップでは、カメラ及び3次元形状測定機によるアライメントマークの測定結果に基づいて、カメラと3次元形状測定機の位置関係を取得する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高速で実施することが可能なカメラを用いた電極パッドの良否の仮判定を、3次元形状測定機による良否の本判定に先行して行い、本判定の対象を絞り込むことができる。これにより、3次元形状測定機によりウェーハレベル検査により電極パッドの表面に形成された針跡の検査を正確に行うことができ、かつ、良否判定に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る検査装置を示す図(ウェーハレベル検査時)である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る検査装置を示す図(電極パッドの検査時)である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る検査装置の制御系を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る検査方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、2Dカメラにより電極パッドを撮像した撮像画像の例を示す図である。
【
図6】
図6は、本判定の対象の電極パッドを3D形状測定機により測定した測定データの例を示す図である。
【
図7】
図7は、電極パッドに形成された針跡の特徴量(最大谷深さ)を説明するための図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る検査方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例に係る検査方法を示すフローチャート(つづき)である。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る検査装置を示す図(ウェーハレベル検査時)である。
【
図11】
図11は、アライメントマークの例を示す平面図及び正面図である。
【
図12】
図12は、2Dカメラと3D形状測定機とのアライメントの手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、アライメントマークの撮像画像の例を示す図である。
【
図14】
図14は、2Dカメラと3D形状測定機の位置関係を説明するための平面図である。
【
図15】
図15は、2Dカメラと3D形状測定機の位置関係を説明するための平面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第3の実施形態に係る検査装置を示す図(ウェーハレベル検査時)である。
【
図17】
図17は、2Dカメラと3D形状測定機とのアライメントの手順を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、2Dカメラの視野とビームのスポットの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って検査装置及び検査方法の実施の形態について説明する。
【0025】
[第1の実施形態]
本実施形態では、ウェーハの外観検査の例として、ウェーハレベル検査の後にウェーハWの電極パッドPに形成された針跡の検出を行う場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。例えば、ウェーハW上にある任意の検査対象物(例えば、傷又は異物等)の測定(検出)にも本実施形態を適用可能である。
【0026】
図1及び
図2は、本発明の第1の実施形態に係る検査装置を示す図である。
図2は、ウェーハレベル検査の実施時の状態を示しており、
図1は、ウェーハレベル検査後のウェーハWの電極パッドPの検査(針跡の検出)時の状態を示している。
【0027】
ウェーハレベル検査の実施時には、
図2に示すように、検査装置1の測定ユニット100のハウジングにテストヘッド70を取り付ける。次に、検査対象のウェーハWの表面に形成された電極パッドPにプローブカード72のプローブ針74を接触させてテスト信号を供給する。そして、このテスト信号に応じて半導体デバイス(チップC)が出力する信号をテスタで測定して、半導体デバイスが正常に動作するかを電気的に検査する。ウェーハレベル検査では、プローブ針74によって電極パッドPの表面の酸化膜の一部が削り取られて、プローブ針74と電極パッドPとが導通する。
【0028】
ウェーハWの電極パッドPの検査時には、
図1に示すように、検査装置1の測定ユニット100に3次元形状測定機(以下、3D形状測定機という。)52を取り付ける。
【0029】
ウェーハWの電極パッドPの検査では、まず、2Dカメラ(例えば、ウェーハWのアライメント用の撮像部)50を用いて仮判定を行う。仮判定では、2Dカメラ50により電極パッドPを撮像する。そして、2Dカメラ50で撮像した画像から、ウェーハレベル検査で電極パッドPに形成された針跡の検出を行い、検出した針跡の良否(OK/NG)の判定を行う。2Dカメラ50で撮像した画像を用いた針跡の良否の判定では、針跡に関する特徴量(第1の特徴量。例えば、面積)に基づいて針跡の良否を判定する。具体的には、電極パッドPにおける針跡の面積が仮判定閾値(第1の閾値)を超えた場合に、針跡が深く掘られている可能性が高く、下地層が露出している可能性が高いと考えられる。このため、電極パッドPにおける針跡の面積が仮判定閾値(第1の閾値)を超えた場合に、その電極パッドPを仮に異常(NG)と判定する。
【0030】
次に、仮判定においてNGと判定された電極パッドPについて、3D形状測定機52を用いて針跡の良否(OK/NG)の判定(本判定)を行う。
【0031】
3D形状測定機52は、電極パッドPの表面に接触することなく、電極パッドPの3次元形状を測定するための装置である。3D形状測定機52における測定手法は特に限定されず、例えば、白色干渉法、SD-OCT法(Spectral Domain Optical Coherence Tomography)、FD-OCT法(Fourier Domain Optical Coherence Tomography)、レーザー共焦点法、三角測量法、光切断法、パターン投影法、光コム法(Optical Comb)及びフォーカスバリエーション法等を適用することができる。また、白色干渉法を用いた3D形状測定機52としては、例えば、特開2016-080564号公報又は特開2016-161312号公報に記載のものを適用することができる。
【0032】
3D形状測定機52を用いた針跡の良否の判定では、仮判定でNGと判定された電極パッドPのみを本判定の対象とする。そして、本判定の対象の電極パッドPについて、3D形状測定機52を用いてその形状を測定し、電極パッドPの特徴量(第2の特徴量。例えば、電極パッドPに形成された針跡の最大谷深さSv)を求める。ここで、最大谷深さSvは、JIS(Japanese Industrial Standards)B 0681-2:2018又はISO(International Organization for Standardization)25178-2:2012により定義されるパラメータである。最大谷深さSvが本判定閾値(第2の閾値)を越えた場合には、針跡により下地層が露出しており、回路へのダメージが生じている可能性が高いとして異常(NG)と判定する。
【0033】
本実施形態によれば、3D形状測定機52を用いることにより、ウェーハレベル検査により形成された針跡の検査を正確に行うことができる。また、本実施形態では、高速で実施することが可能な2Dカメラ50を用いた良否判定を、3D形状測定機52による良否判定に先行して行い、本判定の対象を絞り込むので、良否判定に要する時間を短縮することができる。
【0034】
(検査装置の構成)
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る検査装置1は、測定ユニット100と、検査対象のウェーハWを測定ユニット100に供給及び回収するローダ部200とを含んでいる。測定ユニット100とローダ部200とは分離可能となっている。なお、測定ユニット100及びローダ部200は複数設けることが可能であるが、説明の簡略化のため、それぞれ1個のみ示している。
【0035】
ローダ部200は、ウェーハカセットが載置されるロードポートと、測定ユニット100の各測定ユニット100とウェーハカセットとの間でウェーハWを搬送する搬送ユニット202(
図3参照)とを有する。
【0036】
ローダ部200から各測定ユニット100にウェーハWが供給されると、ウェーハWは、各測定ユニット100のステージSTの保持面に吸着保持される。
【0037】
ステージ移動機構102は、ステージSTの下面(ウェーハWが吸着保持される保持面とは反対側の面)を支持する。ステージ移動機構102は、XYZ方向に移動可能であり、かつ、θ方向(Z方向周りの回転方向)に回転可能に構成される。これにより、ステージSTの保持面に吸着保持されたウェーハWは、ステージ移動機構102により、ステージSTと一体となってXYZ方向に移動及びθ方向に回転可能である。
【0038】
図2に示すように、ウェーハレベル検査時には、検査装置1の測定ユニット100にテストヘッド70を取り付ける。
【0039】
プローブカード72は、ステージSTに対向する位置に設けられており、ステージSTの保持面に対して略平行に配置される。プローブカード72には、ステージSTに対向する面に複数のプローブ針74が形成されている。プローブカード72はテストヘッド70を介してテスタ本体と接続されている。
【0040】
ウェーハWには複数のチップCが形成されており、各チップCは1以上の電極パッドPを備える。ステージ移動機構102によりステージSTをXYZ方向に移動又はθ方向に回転させることにより、各プローブ針74を対応する電極パッドPにコンタクトさせるようにウェーハWとプローブカード72との位置合わせを行う。
【0041】
検査装置1によりプローブ針74と電極パッドPとの位置合わせ及びコンタクトが行われた後、テストヘッド70、プローブカード72及びプローブ針74を介して、テスタ本体から電気信号をチップCに送り、ウェーハW上のチップCの電気的特性の検査(ウェーハレベル検査)を行う。電気的特性の検査結果は、入出力部(
図3参照)により操作者が確認可能な形態で出力される。
【0042】
ウェーハW上のチップCの電気的特性の検査が終了した後、ウェーハWは搬送ユニットにより検査装置1からローダ部200に搬送されて回収される。
【0043】
図1に示すように、ウェーハWの電極パッドPの検査時には、検査装置1の測定ユニット100に3D形状測定機52を取り付ける。そして、2Dカメラ50及び3D形状測定機52により、ウェーハレベル検査で電極パッドPに形成された針跡を順次検出し、電極パッドPに形成された針跡の良否判定を行う。
【0044】
なお、本実施形態では、2Dカメラ50と3D形状測定機52との位置関係は既知又は校正済みとする。
【0045】
また、本実施形態では、2Dカメラ50と3D形状測定機52とを別々に取り付けたが、これに限定されない。例えば、レボルバー機構により、2Dカメラ50と3D形状測定機52とを切替可能としてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、検査装置1の測定ユニット100に対してテストヘッド70と3D形状測定機52とを着脱可能としたが、これに限定されない。例えば、ウェーハレベル検査と、ウェーハレベル検査後の電極パッドPの検査とは、別々の装置で行うようにしてもよい。
【0047】
また、テストヘッド70、2Dカメラ50及び3D形状測定機52等とステージSTとは、相対的に移動可能であればよく、ステージSTに対してテストヘッド70、2Dカメラ50及び3D形状測定機52等を移動可能としてもよい。
【0048】
(検査装置の制御系)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る検査装置の制御系を示すブロック図である。
【0049】
図3に示すように、本実施形態に係る検査装置1は、制御部10、入出力部12、搬送ユニット駆動部14、搬送アーム駆動部16及び測定制御部18を備える。
【0050】
制御部10は、プロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)等)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージデバイス(例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等)を含んでいる。制御部10では、ストレージデバイスに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムをプロセッサにより実行することにより、検査装置1の各部の機能が実現される。制御部10は、第1の判定部及び第2の判定部の一例である。
【0051】
入出力部12は、検査装置1の操作のためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)、及びユーザからの操作入力を受け付けるための操作部(例えば、タッチパネル、又はキーボード、ポインティングデバイス等)等を含んでいる。
【0052】
搬送ユニット駆動部14は、ローダ部200内において、搬送ユニット202を、XYZ方向に移動させ、かつθ方向(Z方向周り)に回転させるためのモータ等を含んでいる。
【0053】
搬送アーム駆動部16は、搬送ユニット202に取り付けられた搬送アーム204をその長さ方向に伸縮させるためのモータと、搬送アーム204の吸着孔にウェーハWを吸着するための制御弁等を含んでいる。この制御弁は、検査装置1の設置場所に設けられたバキューム(ポンプ)に接続される。
【0054】
制御部10は、搬送ユニット駆動部14及び搬送アーム駆動部16により搬送ユニット202及び搬送アーム204をそれぞれ制御して、複数のウェーハカセットからウェーハWを取り出したり、複数の測定ユニット100に対してウェーハWの搬入及び搬出を行ったりする。
【0055】
針合わせカメラ54は、プローブ針74の先端位置の検出を行うための装置であり、例えば、ステージSTに設けられる。制御部10は、プローブ針74の先端位置の検出結果と、2Dカメラ50による電極パッドPの検出結果に基づいて、プローブ針74と電極パッドPとの位置合わせを行う。
【0056】
測定制御部18は、制御部10からの制御信号にしたがって、測定ユニット100に設けられたウェーハWの検査用のテストヘッド70の駆動制御、2Dカメラ50の撮像制御、3D形状測定機52の計測制御、及び針合わせカメラ54の撮像制御を行う。なお、テストヘッド70及び2Dカメラ50としては、例えば、特開2019-102591号公報に記載のものを用いることができる。
【0057】
(検査方法)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る検査方法を示すフローチャートである。
【0058】
ウェーハWのロットの検査が開始されると、検査対象のウェーハWの枚数のパラメータiをi=1に設定する(ステップS10)。そして、1枚目のウェーハW1がステージSTにロードされ(ステップS12)、ウェーハW1のウェーハレベル検査が実施される(ステップS14)。
【0059】
ウェーハレベル検査の後、2Dカメラ50及び3D形状測定機52を用いて電極パッドPの良否判定が行われる(ステップS16及びS18)。
【0060】
ステップS16では、2Dカメラ50を用いて電極パッドPの良否判定が行われる。2Dカメラ50を用いた電極パッドPの検出は、3D形状測定機52を用いる場合と比較して短時間で実施することができる。このため、ステップS16では、ウェーハW1のすべての電極パッドPを検査対象としてもよい。
【0061】
図5は、2Dカメラ50により電極パッドPを撮像した撮像画像IMGの例を示す図である。
【0062】
ステップS16では、まず、電極パッドPの検出を行う。
図5に示すように、ウェーハW(例えば、シリコン)の表面と電極パッドP(例えば、アルミニウム)の表面とは光に対する反射率が異なるため、撮像画像IMGにおける明度が異なる。具体的には、電極パッドPの表面は、ウェーハWの表面よりも明るくなっている。制御部10は、撮像画像IMGにおける明暗の差に基づいて電極パッドPを検出する。なお、撮像画像IMGにおける明暗の差に加えて、電極パッドPの形状、サイズ又は配置の設計値に基づいて電極パッドPを検出してもよい。
【0063】
次に、2Dカメラ50による撮像画像から電極パッドPに形成された針跡を検出する。
図5に示すように、針跡Mは、電極パッドPのうちプローブ針74により掘られた部分であるため、針跡Mでは光が散乱されて2Dカメラ50側に到達しづらくなる。このため、針跡Mは、電極パッドPの針跡M以外の部分よりも暗くなる。制御部10は、撮像画像IMGから検出した電極パッドPの中で周囲よりも暗い領域を針跡Mとして検出する。
【0064】
なお、電極パッドPの検出と針跡Mの検出の順序については、特に限定されず、順次行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0065】
次に、制御部10は、針跡Mの検出結果に基づいて、第1の特徴量を算出し、針跡Mの良否の仮判定を行う。第1の特徴量としては、例えば、針跡Mの面積を用いることができる。制御部10は、撮像画像IMGから検出した針跡Mの面積が仮判定閾値(第1の閾値)を超えた場合に、針跡が深く掘られている可能性が高く、下地層が露出している可能性が高いので、電極パッドPを仮に異常(NG)と判定する。
【0066】
ここで、針跡Mの良否は、電極パッドPにおけるプローブ針74の移動量(引き摺る距離)等の影響を受ける場合がある。このため、針跡Mの面積に関する仮判定閾値(第1の閾値)は、例えば、プローブ針74の太さに基づいて、例えば、プローブ針74の太さ又はXY平面における断面積と略等しい値に設定してもよい。この場合、仮判定でNGとなる条件を厳しくすることができ、検査の精度を高めることができる。
【0067】
なお、仮判定は、上記の例に限定されない。例えば、電極パッドPの厚さ、電極パッドPに対して針跡Mの面積が占める割合、位置又は電極パッドPの材質の強度(脆さ)に基づいて仮判定を行ってもよい。例えば、電極パッドPが厚いほど、下地層が露出しにくいと考えられるので、針跡Mの面積に関する仮判定閾値(第1の閾値)を大きくしてもよい。また、電極パッドPの材質の強度が低い(脆い)ほど、電極パッドPの裂け等が生じる可能性が高いと考えられるので、針跡Mの面積に関する仮判定閾値(第1の閾値)を小さくしてもよい。
【0068】
また、電極パッドPに対して針跡Mの面積が占める割合が基準値以上の場合、電極パッドPにおいて針跡M以外の部分が基準値以下の場合、電極パッドP端部と針跡Mとの距離が基準値以下の場合等には、電極パッドPの裂け等が生じる可能性が高いと考えられるので、仮に異常(NG)と判定するようにしてもよい。この場合、電極パッドPの材質の強度に応じて各基準値を調整してもよく、例えば、電極パッドPの強度が低い(脆い)ほど、仮に異常(NG)と判定する基準を厳しくしてもよい。
【0069】
次に、仮判定(ステップS16)でNGとなった電極パッドPに対して、3D形状測定機52を用いて良否判定(本判定)を行う(ステップS18)。
【0070】
図6は、本判定の対象の電極パッドPを3D形状測定機52により測定した測定データの例を示す図である。
図6では、3D形状測定機52により測定した3次元座標を明暗により立体的に示している。
【0071】
ステップS18では、まず、仮判定でNGとなった電極パッドPを含む領域の3次元形状の測定を行う。本実施形態では、2Dカメラ50と3D形状測定機52との位置関係は既知又は校正済みとなっている。したがって、2Dカメラ50による撮像画像IMGにおける電極パッドPの位置(座標)に基づいて、3D形状測定機52を用いて、仮判定でNGとなった電極パッドPを含む領域の測定を行うことができる。
【0072】
図6に示すように、3D形状測定機52による測定データR1は、仮判定でNGとなった本判定の対象の電極パッドPを含む領域の位置ごとの3次元座標(XYZ座標)の測定結果と、例えば、本判定の対象の電極パッドPと隣り合う電極パッドとの間のウェーハW(チップC)の表面の領域Wsを含む領域の3次元座標の測定結果とを含んでいる。
【0073】
制御部10は、測定データR1から、本判定の対象の電極パッドPを抽出する。本実施形態では、例えば、本判定の対象の電極パッドPの高さ(Z座標)と、隣り合う電極パッドとの間のウェーハW(チップC)の表面の領域Wsの高さ(Z座標)との差hに基づいて電極パッドPを抽出する。具体的には、制御部10は、例えば、電極パッドPの高さ(Z座標)から厚さ分低い領域を除外することにより、電極パッドPの表面領域を抽出する。
【0074】
次に、制御部10は、電極パッドPの表面領域を抽出した測定データR2から、針跡Mに関する第2の特徴量を算出する。本実施形態では、第2の特徴量として、JIS B 0681-2:2018又はISO 25178-2:2012により定義される最大谷深さSvを用いる。
【0075】
図7は、電極パッドPに形成された針跡Mの特徴量(最大谷深さSv)を説明するための図である。
図7では、電極パッドPの表面の3次元形状(凹凸)をX方向に沿う曲線で示している。
【0076】
最大谷深さSvは、電極パッドPの表面において高さ(Z座標)が平均値(相加平均値)となる平均面Pmを基準とした高さの最小値の絶対値である。なお、
図7において、Spは最大山高さであり、平均面Pmからを基準とした最大値である。また、Szは、電極パッドPの表面の最も高い点から最も低い点までの距離を示す最大高さであり、Sz=Sp+Svである。
【0077】
制御部10は、例えば、最大谷深さSvと電極パッドPの厚さの設計値との関係に基づいて、電極パッドPの良否の本判定を行う。具体的には、例えば、最大谷深さSvが電極パッドPの厚さの設計値以上、又はこの設計値の90%以上の場合に、その電極パッドPをNGと判定する。
【0078】
なお、本判定は、上記の例に限定されない。例えば、電極パッドPの厚さ、電極パッドPに対して針跡Mの面積が占める割合、位置又は電極パッドPの材質の強度(脆さ)に基づいて本判定の最大谷深さSvに関する本判定閾値(第2の閾値)を変更してもよい。例えば、電極パッドPが厚いほど、下地層が露出しにくいと考えられるので、最大谷深さSvに関する本判定閾値(第2の閾値)を電極パッドPの厚さの設計値により近い値にしてもよい。また、電極パッドPの材質の強度が低い(脆い)ほど、電極パッドPの裂け等が生じる可能性が高いと考えられるので、最大谷深さSvに関する本判定閾値(第2の閾値)を電極パッドPの厚さの設計値により小さい値にしてもよい。
【0079】
また、電極パッドPに対して針跡Mの面積が占める割合が基準値以上の場合、電極パッドPにおいて針跡M以外の部分が基準値以下の場合、電極パッドP端部と針跡Mとの距離が基準値以下の場合等には、電極パッドPの裂け等が生じる可能性が高いと考えられるので、NGと判定するようにしてもよい。この場合、電極パッドPの材質の強度に応じて各基準値を調整してもよく、例えば、電極パッドPの強度が低い(脆い)ほど、NGと判定する基準を厳しくしてもよい。
【0080】
また、例えば、仮判定における第1の特徴量として針跡Mの面積を用いた場合、本判定では、電極パッドP端部と針跡Mとの距離が基準値以下という特徴量と、3D形状測定機52で測定した第2の特徴量(最大谷深さSv)とを併せて用いてもよい。
【0081】
ウェーハW1のウェーハレベル検査(ステップS14)と電極パッドPの検査(ステップS16及びS18)が終了すると、ウェーハW1がステージSTからアンロードされる(ステップS20)。そして、i=i+1として(ステップS22のNo、ステップS24)、次のウェーハW2のウェーハレベル検査(ステップS14)と電極パッドPの検査(ステップS16及びS18)が行われる。
【0082】
ステップS12~S24を繰り返して、検査対象のロットのウェーハWiのウェーハレベル検査(ステップS14)と電極パッドPの検査(ステップS16及びS18)が終了すると(ステップS22のYes)、検査フローを終了する。
【0083】
3D形状測定機52は、Z方向の情報を得ることができるというメリットがあるが、2Dカメラ50と比較すると、1軸増えるため、測定の速度が遅くなる。例えば、3D形状測定機52として、白色干渉顕微鏡又はフォーカスバリエーション法を用いた装置を使用する場合には、3次元的な形状を取得するために傾斜面での感度が大きい高NA(Numerical Aperture)のレンズを使用する。高NAのレンズは倍率が大きくなるため、測定視野は狭くなる。そのため、1回の走査で測定できるウェーハW上の面積は小さくなる。ウェーハW上で広い面積の測定を行うためには、XY方向に測定視野を移動して複数回Z方向の走査を行う必要があるため、測定に時間がかかる。一方で2Dカメラ50の場合には、上記の3D形状測定機52の場合の制約がないことから、視野が大きいレンズを使用することができる。また、2Dカメラ50の場合、Z方向の走査の必要がないため、測定を高速で行うことができる。
【0084】
本実施形態によれば、高速で実施することが可能な2Dカメラ50を用いた電極パッドPの良否判定を、3D形状測定機52による良否判定に先行して行い、本判定の対象を絞り込むことができる。これにより、3D形状測定機52によりウェーハレベル検査により電極パッドPの表面に形成された針跡Mの検査を正確に行うことができ、かつ、良否判定に要する時間を短縮することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、検査対象物を電極パッドPに形成された針跡Mとしたが、既述のように本開示はこれに限定されない。例えば、ウェーハW上の傷又は異物等の検査対象物を検出するための外観検査にも本実施形態を適用可能である。
【0086】
例えば、検査対象物がウェーハW上の傷の場合には、傷の大きさ(例えば、最大寸法又は最小寸法)、傷の深さ(例えば、最大谷深さSv又は最大高さSz)、傷の面積(例えば、ウェーハWの単位面積当たりに占める傷の面積の割合)、傷の配置(例えば、単位面積当たりの個数等)のうちの少なくとも1つの特徴量が基準値を超える場合に、ウェーハWを異常と判定してもよい。また、上記の特徴量に代えて、又は上記の特徴量に加えて、傷とデバイスとの間の距離が基準値以下である場合には、ウェーハWを異常と判定してもよい。
【0087】
また、検査対象物が異物の場合には、例えば、異物の大きさ(例えば、最大寸法又は最小寸法)、異物の配置(例えば、単位面積当たりの個数等)のうちの少なくとも1つの特徴量が基準値を超える場合に、ウェーハWを異常と判定してもよい。また、上記の特徴量に代えて、又は上記の特徴量に加えて、異物の種類に基づいてウェーハWの良否の判定を行ってもよい。例えば、異物の3次元形状に基づいて異物がエア等により容易に除去可能なものであると推定される場合には、上記の特徴量に関わらず、ウェーハWを異常なしと判断してもよい。
【0088】
[変形例]
なお、第1の実施形態では、ウェーハ1枚ごとに2Dカメラ50を用いた仮判定と3D形状測定機52を用いた本判定を順番に行ったが、ウェーハWの検査の順番はこれに限定されない。例えば、最初に1ロットについて2Dカメラ50を用いた仮判定を行い、その後に仮判定で異常判定の電極パッドPを含むウェーハWに対して、3D形状測定機52を用いた本判定を行ってもよい。
【0089】
図8及び
図9は、変形例に係る検査方法を示すフローチャートである。
図8は、2Dカメラ50を用いた仮判定のフローチャートであり、
図9は、3D形状測定機52を用いた本判定のフローチャートである。
【0090】
ウェーハWのロットの仮判定が開始されると、
図8に示すように、検査対象のウェーハWの枚数のパラメータiをi=1に設定する(ステップS50)。そして、1枚目のウェーハW1がステージSTにロードされ(ステップS52)、2Dカメラ50を用いて電極パッドPの良否判定(仮判定)が行われる(ステップS54)。
【0091】
仮判定(ステップS54)が終了すると、ウェーハW1がステージSTからアンロードされる(ステップS56)。そして、i=i+1として(ステップS58のNo、ステップS60)、次のウェーハW2について仮判定(ステップS54)が行われる。
【0092】
ステップS52~S60を繰り返して、検査対象のロットのウェーハWiの仮判定(ステップS54)が終了すると(ステップS58のYes)、仮判定フローを終了する。
【0093】
次に、ウェーハWのロットの本判定が開始されると、
図9に示すように、検査対象のウェーハWの枚数のパラメータjをj=1に設定する(ステップS70)。そして、1枚目のウェーハW1が仮判定で異常判定だった電極パッドPを含んでいない場合には(ステップS72のNo)、j=j+1として本判定の対象を変更する(ステップS74)。
【0094】
一方、1枚目のウェーハW1が仮判定で異常判定の電極パッドPを含んでいる場合には(ステップS72のYes)、ウェーハW1がステージSTにロードされ(ステップS76)、3D形状測定機52を用いて電極パッドPの良否判定(本判定)が行われる(ステップS78)。
【0095】
本判定(ステップS78)が終了すると、ウェーハW1がステージSTからアンロードされる(ステップS80)。そして、j=j+1として(ステップS82のNo、ステップS74)、次のウェーハW2について仮判定(ステップS72~S82)が行われる。
【0096】
ステップS72~S82を繰り返して、検査対象のロットのウェーハWjの仮判定(ステップS72~S82)が終了すると(ステップS82のYes)、本判定フローを終了する。
【0097】
変形例においても、2Dカメラ50を用いた電極パッドPの良否判定を、3D形状測定機52による良否判定に先行して行うことにより、電極パッドPの表面に形成された針跡Mの検査を正確かつ高速で行うことができる。
【0098】
なお、
図8及び
図9は、ウェーハレベル検査のステップを含んでおらず、ウェーハレベル検査後に電極パッドPの検査を行う場合の手順を示している。本開示はこれに限定されず、
図8及び
図9のフローに(例えば、
図8のステップS52とS54の間に)ウェーハレベル検査を含めてもよい。
【0099】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、2Dカメラ50と3D形状測定機52との位置関係は既知又は校正済みであることを前提としている。これに対して、本実施形態では、2Dカメラ50と3D形状測定機52との位置合わせ(アライメント)を行う。
【0100】
すなわち、本実施形態では、ウェーハレベル検査(ステップS14)の後、電極パッドPの検査(ステップS16及びS18)の前に、制御部10により、2Dカメラ50と3D形状測定機52とのアライメントを行う。ここで、制御部10は、アライメント部の一例である。
【0101】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る検査装置を示す図(ウェーハレベル検査時)である。
図10に示すように、本実施形態に係る検査装置1Aでは、ステージSTに連結したサブステージSSTが設けられており、アライメントマークMAがサブステージSST上に形成されている。
【0102】
図11は、アライメントマークMAの例を示す平面図及び正面図である。
図11には、アライメントマークMAの例を3つ示してある。なお、
図11の左下に示す座標軸は、検査装置1A(ステージST)を基準とした座標系である。
【0103】
図11に示すように、本実施形態に係るアライメントマークMAは、XY平面視で2本の直交する線分を組み合わせてなる十字形状であり、Z方向に段差を有する。
【0104】
ここで、アライメントマークMAと下地となるサブステージSSTとは、材質が異なることが望ましい。
【0105】
図11の(a)に示す例では、サブステージSSTの表面に対してアライメントマークMAの十字形状の部分が突出しており、突出部分の断面形状は矩形となっている。一方、
図11の(b)に示す例では、サブステージSSTの表面に対してアライメントマークMAの十字形状の部分が陥没しており、陥没部分の断面形状は矩形となっている。なお、
図11の(b)では、陥没部分の断面形状は丸みを帯びていてもよい。また、
図11の(c)に示す例では、(a)と同様に、サブステージSSTの表面に対してアライメントマークMAの十字形状の部分が突出しているが、突出部分の先端形状は丸みを帯びている。いずれの例も、2Dカメラ50と3D形状測定機52とのアライメントに適用可能である。
【0106】
なお、
図11に示す例では、アライメントマークMAの形状を十字形状としたが、これに限定されない。アライメントマークMAは、例えば、独立した2方向の成分を有する形状、具体的には、矩形、菱形、三角形、オーバル(例えば、楕円、長円又は卵形等)又はL字形状等であってもよい。また、独立した2方向の成分は有しないが、円形のアライメントマークMAであっても、その中心座標を求めて利用することができるので、本実施形態に係る2Dカメラ50と3D形状測定機52とのアライメントに適用可能である。
【0107】
図12は、2Dカメラ50と3D形状測定機52とのアライメントの手順(アライメントステップ)を示すフローチャートである。
【0108】
まず、2Dカメラ50の下にサブステージSSTを移動させて、アライメントマークMAを撮像する(ステップS100)。ステップS100では、例えば、サブステージSSTの位置の設計値等に基づいて、2Dカメラ50の下にサブステージSSTを移動させる。
【0109】
次に、ステージSTのXY座標(Xs,Ys)を読み取り、2Dカメラ50を用いてアライメントマークMAを撮像する。ここで、2Dカメラ50がカラーカメラの場合には、グレースケール画像に変換してもよい。
【0110】
図13は、アライメントマークMAの撮像画像の例を示す図である。なお、
図13の左下に示す座標軸は、検査装置1A(ステージST)を基準とした座標系である。
【0111】
図13において、VF1は2Dカメラ50の視野を示しており、ステージSTの座標系における視野VF1の中心を(Xs2,Ys2)とする。なお、2Dカメラ50の視野座標系における視野VF1の中心は(0,0)である。また、視野VF1のX方向の画素数をnとする。
【0112】
図13に示すように、アライメントマークMAを撮像画像からある断面(例えば、X=XL1,XL2、Y=YL1,YL2等)で抜き出し、アライメントマークMAの中心、すなわち、十字形状の交点(Xc2,Yc2)を計算する。
【0113】
図13に示す例では、アライメントマークMAがサブステージSSTの表面よりも明度が高くなっている。Y=YL1で抜き出した断面では、アライメントマークMAの位置に対応して、明度が閾値thを越える部分が検出される。この明度が閾値thを越える部分の画素位置PxIDの平均値を求めて、PxIDの平均値に画素位置PxIDを距離に変換するための係数を乗算する。これにより、Y=YL1で抜き出した断面におけるアライメントマークMAの中心のX座標(2Dカメラ50の視野座標系におけるX座標)X(YL1)が求まる。
【0114】
図13に示すように、XY方向の複数の断面で、アライメントマークMAの中心のXY座標(2Dカメラ50の視野座標系におけるXY座標)を算出する。そして、これらの平均値をアライメントマークMAの中心のXY座標(2Dカメラ50の視野座標系におけるXY座標)(Xc2,Yc2)として求める。
【0115】
アライメントマークMAの中心の座標(Xc2,Yc2)は、下記の式により表される。なお、下記の式では、XY方向にそれぞれ抜き出した断面の数をそれぞれN及びMとする。
【0116】
Xc2={X(YL1)+X(YL2)+X(YL3)+…+X(YLN)}/N
Yc2={Y(XL1)+Y(XL2)+Y(XL3)+…+Y(XLM)}/M
なお、
図13に示す例において、抜き出す断面は視野VFの端から20%程度の位置で抜き出すのが望ましい。
【0117】
次に、ステージSTの座標系におけるアライメントマークMAの位置を求める。ステージSTの座標系におけるアライメントマークMAの中心の位置は(Xc2+Xs2,Yc2+Ys2)となる。
【0118】
次に、3D形状測定機52の下にサブステージSSTを移動させ、アライメントマークMAを測定する(ステップS102)。ステップS102では、ステップS100と同様に、アライメントマークMAの形状を測定し、アライメントマークMAの中心を求める。なお、ステップS102では、アライメントマークMAの明暗ではなく、3D形状データにおけるZ方向の高さの差を用いてアライメントマークMAを検出する。3D形状測定機52の視野座標系におけるアライメントマークMAの中心のXY座標を(Xc3,Yc3)、ステージSTの座標系における3D形状測定機52の視野の中心を(Xs3,Ys3)すると、アライメントマークMAの中心のステージSTの座標系における位置は(Xc3+Xs3,Yc3+Ys3)となる。
【0119】
なお、フォーカスバリエーション等の手法を用いる3D形状測定機52の場合には、3D形状データを取得せず、3D形状測定機52に搭載されているカメラを用いてアライメントマークMAの2D画像を取得し、この2D画像を用いてアライメントを行ってもよい。
【0120】
次に、2Dカメラ50と3D形状測定機52の位置関係を求める(ステップS104)。
【0121】
上記の通り、2Dカメラ50と3D形状測定機52によりそれぞれ求めたアライメントマークMAの位置は、ステージSTの座標系で(Xc2+Xs2,Yc2+Ys2)及び(Xc3+Xs3,Yc3+Ys3)である。
【0122】
図14及び
図15は、2Dカメラ50と3D形状測定機52の位置関係を説明するための平面図である。
図15は、
図14の領域XVの拡大図である。
図15において、2Dカメラ50と3D形状測定機52の視野をそれぞれVF1及びVF2とする。
【0123】
2Dカメラ50で測定した電極パッドPの位置が、ステージSTの座標系で(Xpn,Ypn)であるとする。このとき、2Dカメラ50からみた3D形状測定機52の位置は(Xc3+Xs3-Xc2-Xs2,Yc3+Ys3-Yc2-Ys2)である。
【0124】
したがって、2Dカメラ50で測定した電極パッドPの位置、すなわち、ステージSTの座標系で(Xpn、Ypn)は、3D形状測定機52では、ステージSTの座標系で(Xpn+Xc3+Xs3-Xc2-Xs2,Ypn+Yc3+Ys3-Yc2-Ys2)で測定すればよい。
【0125】
ここで、2Dカメラ50の座標系からステージSTの座標系の変換は、下記のようになる。2Dカメラ50の座標系で(Xp2,Yp2)の位置にある電極パッドPは、ステージSTの座標系で(Xpn,Ypn)=(Xs2+Xp2,Ys2+Yp2)となる。
【0126】
検査装置1Aでは、温度変化に起因する2Dカメラ50又は3D形状測定機52のドリフトにより、2Dカメラ50と3D形状測定機52と位置関係が変動することが考えられる。本実施形態によれば、2Dカメラ50と3D形状測定機52との位置合わせを行うことにより、電極パッドPの検査の精度を向上させることができる。
【0127】
なお、本実施形態に係るアライメントは、検査対象のウェーハW毎又はロット毎など、実施の周期は特に限定されない。アライメントの実施時期は、例えば、環境(温度変化)に起因するドリフトの程度により決定することができる。
【0128】
また、本実施形態では、アライメントマークMAが形成されたサブステージSSTをステージSTに連結したが、本開示はこれに限定されない。例えば、上記のアライメントマークMAをウェーハW上に設けて、2Dカメラ50と3D形状測定機52とのアライメントに適用してもよい。
【0129】
[第3の実施形態]
第2の実施形態では、2Dカメラ50と3D形状測定機52とのアライメントのためにアライメントマークMAを設けた。これに対して、第3の実施形態では、アライメントマークMAを用いることなく、2Dカメラ50と3D形状測定機52とのアライメントを行う。
【0130】
図16は、本発明の第3の実施形態に係る検査装置を示す図(ウェーハレベル検査時)である。
【0131】
図16に示すように、本実施形態に係る検査装置1Bでは、ステージSTの端部には、針合わせカメラ54と、上面にミラーが形成されたミラーステージMSTがともに連結されている。
【0132】
本実施形態では、針合わせカメラ54を用いて、2Dカメラ50及び3D形状測定機52から出力されるビームを検出することにより、2Dカメラ50と3D形状測定機52の位置関係を求める。
【0133】
図17は、2Dカメラ50と3D形状測定機52とのアライメントの手順を示すフローチャートである。
図18は、2Dカメラ50の例を示すブロック図である。
【0134】
まず、2Dカメラ50の校正を行う(ステップS200)。ステップS200では、検査装置1B及びその設置環境の温度変化に起因する光源500と撮像素子512(
図18参照)等の取り付け誤差などを測定及び校正する。
【0135】
ステップS200では、まず、2Dカメラ50の下にミラーステージMSTを移動させて、2Dカメラ50に搭載されている光源500から、ミラーステージMSTに向けてビームL1を出力する。光源500から出力されたビームは、コリメートレンズ502により平行光となって、ハーフミラー504及びミラー506により順次反射されて、集光レンズ508により集光されてミラーステージMSTに到達する。ミラーステージMSTからの反射光は、集光レンズ508及びミラー506を経て、ハーフミラー504を透過して集光レンズ510により撮像素子512に集光される。こうして、ミラーステージMST上面で反射されたビームL1は2Dカメラ50の撮像素子512により検出する。
【0136】
なお、2Dカメラ50の光学系は、
図18の例に限定されるものではなく、例えば、ミラー506を省略してもよい。
【0137】
ステップS200では、2Dカメラ50の座標系で(ΔX2d、ΔY2d)の位置にビームL1が見えたとする(
図19参照)。
【0138】
次に、針合せカメラ54の視野中心で2Dカメラ50からのビームL1の焦点が観測できるようにステージSTを移動し、ビームL1の座標を検出する(ステップS202)。ここで、針合わせカメラ54の視野サイズは、2Dカメラ50に搭載されているビームL1のスポット径より十分大きく、3D形状測定機52の測定光のスポット径より十分大きいものとする。
【0139】
針合わせカメラ54の座標系で、ビームL1の位置(ΔXp1,ΔYp1)とし、このときのステージSTの位置を(Xs1,Ys1)とする。このとき、ステージSTの座標系で2Dカメラ50の視野VF1の中心Aは、下記の式により表される。
【0140】
A=(Xs1-ΔX2d-ΔXp1,Ys1-ΔY2d-ΔYp1)
次に、針合せカメラ54の視野中心で3D形状測定機52からの測定光L2(例えば、白色干渉顕微鏡の白色光等)を観測できるようにステージSTを移動し、測定光L2の座標を検出する(ステップS204)。針合わせカメラ54の座標系で、3D形状測定機52のビーム位置(ΔXp2,ΔYp2)をとし、このときのステージSTの位置を(Xs2,Ys2)とする。このとき、ステージSTの座標系で3D形状測定機52の位置Bは、下記の式により表される。
【0141】
B=(Xs2-ΔXp2,Ys2-ΔYp2)
次に、2Dカメラ50と3D形状測定機52の位置関係を求める(ステップS206)。2Dカメラ50に対する3D形状測定機52の位置はB-Aとなる。
【0142】
検査装置1Bでも、温度変化に起因する2Dカメラ50又は3D形状測定機52のドリフトにより、2Dカメラ50と3D形状測定機52と位置関係が変動する。本実施形態によれば、2Dカメラ50と3D形状測定機52との位置合わせを行うことにより、電極パッドPの検査の精度を向上させることができる。
【0143】
なお、本実施形態に係るアライメントについても、第2の実施形態と同様に、検査対象のウェーハW毎又はロット毎など、実施の周期は特に限定されない。アライメントの実施時期は、例えば、環境(温度変化)に起因するドリフトの程度により決定することができる。
【0144】
なお、2Dカメラ50の視野VF1の中心AとビームL1の焦点位置が校正済みの場合には、ミラーステージMSTを用いた校正(ステップS200)は省略することができる。
【0145】
また、3D形状測定機52に外部のアライメント用ビームの光源を設けた場合には、同光源を用いることにより、第3の実施形態と同様にアライメントを行うことができる。
【符号の説明】
【0146】
1、1A、1B…検査装置、10…制御部、12…入出力部、14…搬送ユニット駆動部、16…搬送アーム駆動部、18…測定制御部、20…測定部、50…2Dカメラ、52…3D形状測定機、54…針合わせカメラ、70…テストヘッド