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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084366
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
H01L21/66 J
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198601
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】川田 善之
(72)【発明者】
【氏名】森山 克文
(72)【発明者】
【氏名】森井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】真田 知幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 宏
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106DB04
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD23
4M106DJ27
(57)【要約】
【課題】 ウェーハの外観検査を正確かつ高速に行うことが可能な検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】 検査装置(1)は、ウェーハ上の検査対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定機(52)と、検査対象物の配置に関する検査対象物配置情報と、3次元形状測定機の測定視野のサイズに基づいて、ウェーハ上の検査対象物の測定に要する測定コストを計算する計算部(10)とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ上の検査対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定機と、
前記検査対象物の配置に関する検査対象物配置情報と、前記3次元形状測定機の測定視野のサイズに基づいて、前記ウェーハ上の前記検査対象物の測定に要する測定コストを計算する計算部と、
を備える検査装置。
【請求項2】
前記計算部により計算した前記測定コストを出力し、操作者からの操作入力に応じて、前記検査対象物の検査を行う際の測定視野のサイズを選択する選択部を備える、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記計算部は、前記検査対象物配置情報に基づいて、前記測定視野のサイズごとに前記測定コストを計算し、前記測定コストが設定された基準を満足する前記測定視野のサイズを選択する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記測定コストは、前記ウェーハと前記3次元形状測定機とを高さ方向に走査するときの走査速度に関する情報を含んでおり、
前記計算部は、前記3次元形状測定機の前記測定視野が狭いほど、前記走査速度の計算値を大きくする、請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記測定コストは、前記ウェーハ上の検査対象物の測定に要する測定時間に関する情報を含んでおり、
前記計算部は、前記3次元形状測定機の前記測定視野が狭いほど、又は前記測定視野に含めることができる前記検査対象物の個数が多いほど、前記測定時間の計算値を小さくする、請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記ウェーハに形成された前記検査対象物の検査を行う際に、検査済みの検査対象物が前記測定視野に含まれないように、前記測定視野を移動させる測定視野移動部を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記検査対象物は、テストヘッドを用いて前記ウェーハを電気的に検査したときに前記ウェーハの電極パッドに形成された針跡である、請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項8】
ウェーハ上の検査対象物の配置に関する検査対象物配置情報と、3次元形状測定機の測定視野のサイズに基づいて、前記ウェーハ上の前記検査対象物の測定に要する測定コストを計算するステップと、
前記計算した測定視野のサイズを前記3次元形状測定機に設定するステップと、
を備える検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査装置及び検査方法に係り、特に半導体ウェーハ上に形成された半導体装置の検査を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、ウェーハレベル検査では、半導体ウェーハ(以下、ウェーハという。)上に個々の半導体デバイスに対応する複数のチップが形成された段階で、半導体デバイスの電極パッドをプローブカードのプローブ針に接触させ、テスト信号を供給する。そして、このテスト信号に応じて半導体デバイスが出力する信号をテスタで測定して、半導体デバイスが正常に動作するかを電気的に検査する。
【0003】
上記のようなウェーハレベル検査では、電極パッドの表面の酸化膜のみをプローブ針で削り取って、プローブ針を電極パッドに接触させて導通させるのが理想的である。ウェーハレベル検査では、電極パッドの表面の酸化膜をプローブ針で削り取るためにオーバドライブをかける。そして、ウェーハレベル検査の後に電極パッドに形成された針跡の検出を行う。
【0004】
ウェーハレベル検査の後の針跡の検出において、電極パッドから針跡が検出されなかった場合には、測定不良と判定される。一方、プローブ針が電極パッドに突き刺さって電極パッドの下地層が露出した場合には、その電極パッドを不良として取り扱う。
【0005】
特許文献1には、プローブ針を用いて検査した後に電極パッドの下地層の露出状況を自動的に検出するための針跡検査装置が開示されている。特許文献1では、カメラを用いて、電極パッド上に形成された針跡を撮像し、電極パッドの下地層の露出の有無を検査するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-289818号公報
【特許文献2】特開2022-133631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ウェーハの外観検査では、カメラで撮像したウェーハの画像(2次元画像)から、例えば、上記の針跡以外にも、傷(例えば、パターンが形成されていない無地のウェーハ又はミラーウェーハ上の傷等)又は異物等の有無の検査を行う場合がある。
【0008】
ウェーハの外観検査のうち、例えば、ウェーハレベル検査の後の針跡の検出では、ウェーハレベル検査後にウェーハを照明手段で照明し、ウェーハ上面の画像(2次元画像)をカメラで撮像する。そして、画像の明暗に基づいて電極パッドと下地層とを区別する。
【0009】
上記のように画像の明暗に基づいて電極パッドと下地層とを区別する場合、画像の明暗がウェーハ表面の形状による光の当たり具合に起因するものであるのか、材料の違いに起因するものであるのか、判定が困難な場合がある。例えば、ウェーハ表面の形状に起因する暗部の割合が大きい場合には、下地層の露出がなくても電極パッドが不良と判定されてしまう場合があり得る。
【0010】
このため、検査対象物の3次元形状を非接触で測定可能な3次元形状測定機を用いて、針跡の3次元形状を測定することが考えられる。例えば、特許文献2には、3次元形状測定機を用いて、電極パッドの基準面から陥没している凹部の体積と突出している凸部の体積の体積差から、プローブ針が電極パッドにコンタクトしたときに発生するパーティクル発生量を算出するパーティクル計測装置が開示されている。
【0011】
しかしながら、3次元形状測定機による電極パッドの3次元形状の測定には時間がかかる。例えば、検査対象のロットの検査を終えるのに数日以上の時間を要し、半導体装置(チップ)の製造効率が低下する。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ウェーハの外観検査を正確かつ高速に行うことが可能な検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る検査装置は、ウェーハ上の検査対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定機と、検査対象物の配置に関する検査対象物配置情報と、3次元形状測定機の測定視野のサイズに基づいて、ウェーハ上の検査対象物の測定に要する測定コストを計算する計算部とを備える。
【0014】
本発明の第2の態様に係る検査装置は、第1の態様において、計算部により計算した測定コストを出力し、操作者からの操作入力に応じて、検査対象物の検査を行う際の測定視野のサイズを選択する選択部を備える。
【0015】
本発明の第3の態様に係る検査装置は、第1の態様において、計算部は、検査対象物配置情報に基づいて、測定視野のサイズごとに測定コストを計算し、測定コストが設定された基準を満足する測定視野のサイズを選択する。
【0016】
本発明の第4の態様に係る検査装置は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、測定コストは、ウェーハと3次元形状測定機とを高さ方向に走査するときの走査速度に関する情報を含んでおり、計算部は、3次元形状測定機の測定視野が狭いほど、走査速度の計算値を大きくする。
【0017】
本発明の第5の態様に係る検査装置は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、測定コストは、ウェーハ上の検査対象物の測定に要する測定時間に関する情報を含んでおり、計算部は、3次元形状測定機の測定視野が狭いほど、又は測定視野に含めることができる検査対象物の個数が多いほど、測定時間の計算値を小さくする。
【0018】
本発明の第6の態様に係る検査装置は、第1から第5の態様のいずれかにおいて、ウェーハ上の検査対象物の検査を行う際に、検査済みの検査対象物が測定視野に含まれないように、測定視野を移動させる測定視野移動部を備える。
【0019】
本発明の第7の態様に係る検査装置は、第1から第6の態様のいずれかに係る検査対象物を、テストヘッドを用いてウェーハを電気的に検査したときにウェーハの電極パッドに形成された針跡としたものである。
【0020】
本発明の第8の態様に係る検査方法は、ウェーハ上の検査対象物の配置に関する検査対象物配置情報と、3次元形状測定機の測定視野のサイズに基づいて、ウェーハ上の検査対象物の測定に要する測定コストを計算するステップと、計算した測定視野のサイズを3次元形状測定機に設定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、3次元形状測定機の測定視野のサイズを適切に設定することにより、ウェーハレベル検査により形成された針跡の検査を正確かつ高速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る検査装置を示す図(ウェーハレベル検査時)である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る検査装置を示す図(電極パッドの検査時)である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る検査装置の制御系を示すブロック図である。
図4図4は、ウェーハの平面図である。
図5図5は、チップ(図4の領域V)を拡大して示す平面図である。
図6図6は、電極パッドの測定時間の例を示すテーブルである。
図7図7は、3D形状測定機とウェーハとのZ方向の走査速度を設定する機能を示すブロック図である。
図8図8は、3D形状測定機の測定視野のサイズを設定する機能を示すブロック図である。
図9図9は、電極パッドの測定手順を説明するための図である。
図10図10は、電極パッドに形成された針跡Mの特徴量(最大谷深さ)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に従って検査装置及び検査方法の実施の形態について説明する。
【0024】
[検査装置]
本実施形態では、ウェーハの外観検査の例として、ウェーハレベル検査の後にウェーハWの電極パッドPに形成された針跡の検出を行う場合について説明するが、本開示はこれに限定されない。例えば、ウェーハW上にある任意の検査対象物(例えば、傷又は異物等)の測定(検出)にも本実施形態を適用可能である。
【0025】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る検査装置を示す図である。図2は、ウェーハレベル検査の実施時の状態を示しており、図1は、ウェーハレベル検査後のウェーハWの電極パッドPの検査(針跡の検出)時の状態を示している。
【0026】
ウェーハレベル検査の実施時には、図2に示すように、検査装置1の測定ユニット100のハウジングにテストヘッド70を取り付ける。次に、検査対象のウェーハWの表面に形成された電極パッドPにプローブカード72のプローブ針74を接触させてテスト信号を供給する。そして、このテスト信号に応じて半導体デバイス(チップC)が出力する信号をテスタで測定して、半導体デバイスが正常に動作するかを電気的に検査する。ウェーハレベル検査では、プローブ針74によって電極パッドPの表面の酸化膜の一部が削り取られて、プローブ針74と電極パッドPとが導通する。
【0027】
ウェーハWの電極パッドPの検査時には、図1に示すように、検査装置1の測定ユニット100に3次元形状測定機(以下、3D形状測定機という。)52を取り付ける。
【0028】
ウェーハWの電極パッドPの検査では、まず、2Dカメラ(例えば、ウェーハWのアライメント用の撮像部)50を用いてチップCの画像を撮像し、電極パッドPのXY平面視での配置に関する情報を含む電極パッド配置情報を取得する。
【0029】
次に、上記の電極パッドPの配置情報に基づいて、3D形状測定機52を用いた電極パッドPの検査の検査条件の設定を行う。具体的には、例えば、(A)高さ方向(Z方向)の走査速度の設定、(B)3D形状測定機52の視野サイズの設定、又は(C)電極パッドPの測定順序の設定等を行う。
【0030】
次に、上記の検査条件に従って3D形状測定機52を用いた電極パッドPの検査を実施する。3D形状測定機52は、電極パッドPの表面に接触することなく、電極パッドPの3次元形状を測定するための装置である。3D形状測定機52における測定手法は特に限定されず、例えば、白色干渉法、SD-OCT法(Spectral Domain Optical Coherence Tomography)、FD-OCT法(Fourier Domain Optical Coherence Tomography)、レーザー共焦点法、三角測量法、光切断法、パターン投影法、光コム法(Optical Comb)及びフォーカスバリエーション法等を適用することができる。また、白色干渉法を用いた3D形状測定機52としては、例えば、特開2016-080564号公報又は特開2016-161312号公報に記載のものを適用することができる。
【0031】
電極パッドPの検査では、3D形状測定機52を用いてその3次元形状を測定し、電極パッドPの特徴量(例えば、電極パッドPに形成された針跡の最大谷深さSv)を求める。ここで、最大谷深さSvは、JIS(Japanese Industrial Standards)B 0681-2:2018又はISO(International Organization for Standardization)25178-2:2012により定義されるパラメータである。最大谷深さSvが閾値を越えた場合には、針跡により下地層が露出しており、回路へのダメージが生じている可能性が高いとして異常(NG)と判定する。
【0032】
本実施形態によれば、3D形状測定機52を用いた電極パッドPの検査条件を適切に設定することにより、電極パッドPに形成された針跡の検査を正確かつ高速で行うことができる。
【0033】
なお、本実施形態では、2Dカメラ50を用いて電極パッドPの配置に関する情報を取得するようにしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、電極パッドPの配置についてチップCの設計情報を用いて、2Dカメラ50を用いた取得工程を省略してもよい。また、2Dカメラ50により撮像した画像とチップCの設計情報とを比較して、両者の差分が閾値以上の場合に、2Dカメラ50により撮像した画像から電極パッドPの配置に関する情報を取得してもよい。
【0034】
(検査装置の構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る検査装置1は、測定ユニット100と、検査対象のウェーハWを測定ユニット100に供給及び回収するローダ部200とを含んでいる。測定ユニット100とローダ部200とは分離可能となっている。なお、測定ユニット100及びローダ部200は複数設けることが可能であるが、説明の簡略化のため、それぞれ1個のみ示している。
【0035】
ローダ部200は、ウェーハカセットが載置されるロードポートと、測定ユニット100の各測定ユニット100とウェーハカセットとの間でウェーハWを搬送する搬送ユニット202(図3参照)とを有する。
【0036】
ローダ部200から各測定ユニット100にウェーハWが供給されると、ウェーハWは、各測定ユニット100のステージSTの保持面に吸着保持される。
【0037】
ステージ移動機構102は、ステージSTの下面(ウェーハWが吸着保持される保持面とは反対側の面)を支持する。ステージ移動機構102は、XYZ方向に移動可能であり、かつ、θ方向(Z方向周りの回転方向)に回転可能に構成される。これにより、ステージSTの保持面に吸着保持されたウェーハWは、ステージ移動機構102により、ステージSTと一体となってXYZ方向に移動及びθ方向に回転可能である。
【0038】
図2に示すように、ウェーハレベル検査時には、検査装置1の測定ユニット100にテストヘッド70を取り付ける。
【0039】
プローブカード72は、ステージSTに対向する位置に設けられており、ステージSTの保持面に対して略平行に配置される。プローブカード72には、ステージSTに対向する面に複数のプローブ針74が形成されている。プローブカード72はテストヘッド70を介してテスタ本体と接続されている。
【0040】
ウェーハWには複数のチップCが形成されており、各チップCは1以上の電極パッドPを備える。ステージ移動機構102によりステージSTをXYZ方向に移動又はθ方向に回転させることにより、各プローブ針74を対応する電極パッドPにコンタクトさせるようにウェーハWとプローブカード72との位置合わせを行う。
【0041】
検査装置1によりプローブ針74と電極パッドPとの位置合わせ及びコンタクトが行われた後、テストヘッド70、プローブカード72及びプローブ針74を介して、テスタ本体から電気信号をチップCに送り、ウェーハW上のチップCの電気的特性の検査(ウェーハレベル検査)を行う。電気的特性の検査結果は、入出力部12(図3参照)により操作者が確認可能な形態で出力される。
【0042】
ウェーハW上のチップCの電気的特性の検査が終了した後、ウェーハWは搬送ユニットにより検査装置1からローダ部200に搬送されて回収される。
【0043】
図1に示すように、ウェーハWの電極パッドPの検査時には、検査装置1の測定ユニット100に3D形状測定機52を取り付ける。そして、3D形状測定機52により、ウェーハレベル検査で電極パッドPに形成された針跡を順次検出し、電極パッドPに形成された針跡の良否判定を行う。
【0044】
なお、本実施形態では、2Dカメラ50と3D形状測定機52とを別々に取り付けたが、これに限定されない。例えば、レボルバー機構により、2Dカメラ50と3D形状測定機52とを切替可能としてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、検査装置1の測定ユニット100に対してテストヘッド70と3D形状測定機52とを着脱可能としたが、これに限定されない。例えば、ウェーハレベル検査と、ウェーハレベル検査後の電極パッドPの検査とは、別々の装置で行うようにしてもよい。
【0046】
また、テストヘッド70、2Dカメラ50及び3D形状測定機52等とステージSTとは、相対的に移動可能であればよく、ステージSTに対してテストヘッド70、2Dカメラ50及び3D形状測定機52等を移動可能としてもよい。
【0047】
(検査装置の制御系)
図3は、本発明の一実施形態に係る検査装置の制御系を示すブロック図である。
【0048】
図3に示すように、本実施形態に係る検査装置1は、制御部10、入出力部12、搬送ユニット駆動部14、搬送アーム駆動部16及び測定制御部18を備える。
【0049】
制御部10は、プロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)等)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージデバイス(例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等)を含んでいる。制御部10では、ストレージデバイスに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムをプロセッサにより実行することにより、検査装置1の各部の機能が実現される。
【0050】
入出力部12は、検査装置1の操作のためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)、及び操作者からの操作入力を受け付けるための操作部(例えば、タッチパネル、又はキーボード、ポインティングデバイス等)等を含んでいる。
【0051】
搬送ユニット駆動部14は、ローダ部200内において、搬送ユニット202を、XYZ方向に移動させ、かつθ方向(Z方向周り)に回転させるためのモータ等を含んでいる。
【0052】
搬送アーム駆動部16は、搬送ユニット202に取り付けられた搬送アーム204をその長さ方向に伸縮させるためのモータと、搬送アーム204の吸着孔にウェーハWを吸着するための制御弁等を含んでいる。この制御弁は、検査装置1の設置場所に設けられたバキューム(ポンプ)に接続される。
【0053】
制御部10は、搬送ユニット駆動部14及び搬送アーム駆動部16により搬送ユニット202及び搬送アーム204をそれぞれ制御して、複数のウェーハカセットからウェーハWを取り出したり、複数の測定ユニット100に対してウェーハWの搬入及び搬出を行ったりする。
【0054】
針合わせカメラ54は、プローブ針74の先端位置の検出を行うための装置であり、例えば、ステージSTに設けられる。制御部10は、プローブ針74の先端位置の検出結果と、2Dカメラ50による電極パッドPの検出結果に基づいて、プローブ針74と電極パッドPとの位置合わせを行う。
【0055】
測定制御部18は、制御部10からの制御信号にしたがって、測定ユニット100に設けられたウェーハWの検査用のテストヘッド70の駆動制御、2Dカメラ50の撮像制御、3D形状測定機52の計測制御、及び針合わせカメラ54の撮像制御を行う。なお、テストヘッド70及び2Dカメラ50としては、例えば、特開2019-102591号公報に記載のものを用いることができる。
【0056】
[検査条件の設定]
次に、検査条件の設定手順について説明する。図4は、ウェーハWの平面図である。図4に示すように、ウェーハWの表面には、複数のチップCが形成されており、複数のチップCには、それぞれ電極パッドPが形成されている。
【0057】
図5は、チップC(図4の領域V)を拡大して示す平面図である。図5のC1は、単位面積当たりの電極パッドPの密度(個数密度)が大きいチップの例であり、図5のC2は、単位面積当たりの電極パッドPの密度が小さい例である。
【0058】
電極パッドPの密度が大きい例C1では、3D形状測定機52の測定視野VF1の中に複数個(例C1では4個)の電極パッドPを含めることができる。この場合、3D形状測定機52によるZ方向の走査1回で、測定視野VF1内の複数個の電極パッドPの測定をまとめて行うことができる。
【0059】
一方、電極パッドPの密度が小さい例C2では、3D形状測定機52の測定視野VF1の中に電極パッドPを1個しか含めることができない。この場合には、符号VF2で示すように、電極パッドPに合わせて測定視野を狭く設定する。測定視野を狭く設定することにより、3D形状測定機52によるZ方向の走査速度を早くすることができる。さらに、測定視野が狭まると、3D形状の測定範囲が狭まり、処理する測定データの量が小さくなるので、3D形状の解析に要する時間を短縮することができる。
【0060】
上記のように、3D形状測定機52の測定視野内に含めることができる電極パッドPの個数が多いほど(測定視野が広いほど)、Z方向の走査回数を減らすことができる。一方、3D形状測定機52の測定視野が狭いほど、Z方向の走査と3D形状の解析に要する時間を短縮することができる。
【0061】
以下、検査条件のうち(A)Z方向の走査速度と(B)測定視野のサイズ(視野範囲PA)について具体的に説明する。
【0062】
3D形状測定機52は、ウェーハWに対してZ方向に相対的に走査する際に、所定のスケール(間隔)ごとに出力されるトリガ信号に応じて撮像を行う。3D形状測定機52のウェーハWに対する走査速度をV(nm/s)、3D形状測定機52のサンプリング間隔をD(nm)とすると、3D形状測定機52のサンプリング周波数をF(Hz)は、下記の式により表される。
【0063】
=V/D (1)
3D形状測定機52のサンプリング周波数Fは、トリガ信号に基づいて3D形状測定機52が観察画像を撮影した場合の1秒間に撮影される観察画像の枚数となる。
【0064】
3D形状測定機52が1秒間で撮影可能なフレーム(撮影画像)の数の最大値である最大フレームレートF[fps]と、3D形状測定機52の視野範囲PAとは、下記の式に示すように、通常概ね反比例の関係がある。
【0065】
≒A/PA (A:比例係数) (2)
最大フレームレートFよりサンプリング周波数Fが大きい場合(F<F)、最大フレームレートFを超えるスピードで撮影の指示をすると超えた分は無視されて、いわゆるフレームドロップが発生する。フレームドロップが発生すると測定精度の低下を招くおそれがある。このため、最大フレームレートFをサンプリング周波数F以上にする必要がある(F≧F)。実際には、振動等の影響を考慮して、サンプリング周波数FをF=α×F(0<α<1)とする。
【0066】
=α×Fを式(1)及び式(2)に代入すると、下記の式(3)が得られる。
【0067】
≒D×α×A/PA (3)
式(3)に示すように、視野範囲PAが狭いほど、Z方向の走査速度Vを早くすることができる。例えば、サンプリング間隔D=20nm、α=0.1、A=8×10、Z方向の走査範囲=40μmとする。この場合の測定時間の例を図6に示す。
【0068】
図6に示すように、測定視野の画素数が400万画素の場合の測定時間は約19秒であるのに対し、100万画素の場合の測定時間は約7.5~9.5秒である。
【0069】
測定視野に電極パッドPを4個含める場合(例C1)、測定視野を400万画素とすると電極パッド1個当たりの測定時間は19÷4=4.75秒/個となる。これに対し、測定視野を100万画素とすると(電極パッド1個当りの割当画素数を略同じにした場合)、電極パッド1個当たりの測定時間は7.5~9.5秒/個となる。すなわち、測定視野に電極パッドPを4個含める場合には、測定視野を400万画素とした方が有利である。
【0070】
一方、測定視野に電極パッドPを1個だけ含める場合(例C2)、測定視野を400万画素とすると電極パッド1個当たりの測定時間は19秒/個となる。これに対し、測定視野を100万画素とすると電極パッド1個当たりの測定時間は7.5~9.5秒/個となる。すなわち、測定視野に電極パッドPを1個だけ含める場合には、測定視野を100万画素とした方が有利である。
【0071】
上記のように、測定対象の電極パッドPの配置及び密度に応じて適切に測定視野のサイズを選択することにより、電極パッドPの検査を高速化することができる。
【0072】
次に、検査条件(A)及び(B)を設定する機能について、図7及び図8を参照して説明する。図7及び図8に示す機能は、制御部10のプロセッサが、電極パッド配置情報D10等の所要のデータを取得し、下記の機能を実現するためのソフトウェアを実行することにより実現される。すなわち、制御部10は、計算部の一例である。
【0073】
図7は、3D形状測定機52とウェーハWとのZ方向の走査速度を設定する機能を示すブロック図である。図7は、複数個の電極パッドPを測定する場合において、測定視野のサイズに応じて最適なZ方向の走査速度(測定時間)を設定する例を示している。
【0074】
視野サイズ仮選択部110は、測定視野の視野サイズを仮に選択する。この仮選択は、入出力部12の操作部を介して操作者の操作入力を受け付けることにより行われてもよいし、例えば、検査対象のウェーハW(ロット)の種類等により自動選択されてもよい。
【0075】
Z走査コスト計算部112は、2Dカメラ50により撮像されたウェーハWの画像から電極パッドPの配置に関する情報を含む電極パッド配置情報D10を取得する。また、Z走査コスト計算部112は、視野サイズ仮選択部110による仮選択の結果を取得する。そして、Z走査コスト計算部112は、電極パッド配置情報D10と視野サイズの仮選択の結果に基づいて、Z方向の走査に要する測定コスト(すなわち、Z方向の走査速度又は走査に要する時間を含む測定時間)を計算する。
【0076】
上記の通り、測定視野を狭く設定することにより、3D形状測定機52によるZ方向の走査速度を速くすることができる。さらに、測定視野が狭まると、3D形状の測定範囲が狭まり、処理する測定データの量が小さくなるので、3D形状の解析に要する時間を短縮することができる。
【0077】
Z走査コスト計算部112は、Z方向の走査速度に相関のあるインデックス及び測定視野のサイズに相関のあるインデックスに基づいて、Z方向の走査速度又は走査に要する時間を含む測定時間を計算する。ここで、Z方向の走査速度に相関のあるインデックスは、例えば、3D形状測定機52とウェーハWとをZ方向に相対移動するためのモータの回転速度、このモータに供給される電流、又はこのモータのパルス間隔(PWM(Pulse Width Modulation)制御の場合)等である。具体的には、Z走査コスト計算部112は、3D形状測定機52の測定視野が狭いほど、走査速度の計算値を大きくする。また、Z走査コスト計算部112は、3D形状測定機52の測定視野が狭いほど、又は測定視野に含めることができる電極パッドの個数が多いほど、測定時間の計算値を小さくする。
【0078】
Z走査コスト表示部114は、Z走査コスト計算部112による計算結果を入出力部12の表示部に出力する。これにより、操作者は、仮選択した測定視野の視野サイズに対応するZ方向の走査速度又は測定時間を確認することができる。そして、入出力部12を介して操作者からの操作入力を受け付けることにより、測定視野の視野サイズの仮選択を変更して、Z方向の走査速度又は測定時間の再計算を行わせることができる。すなわち、操作者は、再計算の結果を参照しながら、トライアンドエラーの形式で、Z方向の走査速度又は測定時間を選択(本選択)することができる。
【0079】
視野サイズ本選択部116は、入出力部12を介して操作者からの操作入力を受け付けることにより、Z方向の走査速度又は測定時間を選択(本選択)する。
【0080】
なお、本実施形態では、操作者が入出力部12を介して本選択を行うようにしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、電極パッド配置情報及び測定視野のサイズのすべてのパターン(例えば、検査装置1に登録済みのパターン)について、制御部10により計算を行い、計算の結果、測定時間が最短の測定視野のサイズを自動的に選択するようにしてもよい。また、制御部10により、電極パッド配置情報に基づいて、測定視野のサイズのパターンごとに計算を順番に行って、測定時間(測定コスト)が基準値以下になった時点の測定視野のサイズを自動的に選択するようにしてもよい。すなわち、測定コストが所定の基準(例えば、すべてのパターンについて計算した結果のうち測定時間が最短である、又は測定時間が基準値以下になる等)を満足する測定視野のサイズを、制御部10が自動選択するようにしてもよい。
【0081】
図8は、3D形状測定機52の測定視野のサイズを設定する機能を示すブロック図である。
【0082】
図8に示すように、制御部10のストレージ120には、視野サイズ設定情報D20が複数種類あらかじめ格納されている。視野サイズ設定情報D20は、プローバ、検査装置1のメーカ、操作者又は操作者の管理者等によりあらかじめストレージ120に登録されるようにしてもよい。
【0083】
測定時間計算部122は、2Dカメラ50により撮像されたウェーハWの画像から電極パッドPの配置に関する情報を含む電極パッド配置情報D10を取得する。また、測定時間計算部122は、視野サイズ設定情報D20をストレージ120から読み出す。測定時間計算部122は、電極パッド配置情報D10に基づいて視野サイズ設定情報D20ごとに測定時間を計算する。測定時間計算部122は、Z方向の走査速度に相関のあるインデックス及び測定視野のサイズに相関のあるインデックスに基づいて、測定時間を計算する。具体的には、測定時間計算部122は、3D形状測定機52の測定視野が狭いほど、走査速度の計算値を大きくする。また、測定時間計算部122は、3D形状測定機52の測定視野が狭いほど、又は測定視野に含めることができる電極パッドの個数が多いほど、測定時間の計算値を小さくする。
【0084】
測定時間表示部124は、測定時間計算部122による計算結果を入出力部12の表示部に出力する。これにより、操作者は、視野サイズ設定情報D20ごとの測定時間を確認することができる。
【0085】
上記の通り、3D形状測定機52の測定視野内に含めることができる電極パッドPの個数が多いほど(測定視野が広いほど)、Z方向の走査回数を減らすことができ、測定時間を短縮することができる。また、測定視野が狭まると、3D形状の測定範囲が狭まり、処理する測定データの量が小さくなるので、3D形状の解析に要する時間を短縮することができる。
【0086】
視野サイズ選択部126は、入出力部12を介して操作者からの操作入力を受け付けることにより、測定視野の視野サイズを選択する。
【0087】
次に、検査条件のうち(C)電極パッドPの測定手順の決定アルゴリズムについて説明する。図9は、電極パッドPの測定手順を説明するための図である。
【0088】
図9に示す例では、チップCの上側(+Y)から順に、左側から右側(+X側)に順次電極パッドPの検査を行う。制御部10は、1か所目の検査位置では、測定視野VF(1)内に左上端部の4個の電極パッドPが収まるように、3D形状測定機52とウェーハWの相対位置を調整する。2か所目の検査位置では、制御部10は、測定視野VF(2)内に検査済みの電極パッドPが含まれないように、ウェーハWに対して3D形状測定機52を右側(+X側)に移動する。ここで、制御部10は、測定視野移動部の一例である。
【0089】
+X側への走査を繰り返して、+X側の端部の電極パッドPの検査が終了すると(5か所目)、6か所目の検査位置では、測定視野VF(6)内に検査済みの電極パッドPが含まれないように、ウェーハWに対して3D形状測定機52が左側(-X側)に戻されて、下側(-Y側)に移動される。これを順次繰り返すことにより、チップCのすべての電極パッドPの検査が行われる。
【0090】
この場合、1チップ内の測定箇所数をn(p)、1つの測定箇所の測定に要する時間をt1(p)とすると、1チップの測定に要する時間をT1(p)は、下記の式により表される。ここで、pは測定視野VF(1)、VF(2)、…の画素数である。
【0091】
T1(p)=n(p)×t1(p)
なお、図7に示す例では、3D形状測定機52が+X側の端部に達した後、-X側に戻したが、本開示はこれに限定されない。例えば、3D形状測定機52が+X側の端部に達した後、-X側に移動させつつジグザグ状に検査を行ってもよい。また、例えば、+X側端部まで、-Y側端部まで、-X側端部まで、未検査領域の+Y側端部までのように渦巻状に検査を行ってもよい。
【0092】
[3D形状測定機52を用いた電極パッドPの検査]
上記の検査条件の設定の後、制御部10は、電極パッドPの表面領域を抽出した測定データから、針跡Mに関する特徴量を算出し、電極パッドPの良否の判定を行う。本実施形態では、特徴量として、JIS B 0681-2:2018又はISO 25178-2:2012により定義される最大谷深さSvを用いる。
【0093】
図10は、電極パッドPに形成された針跡Mの特徴量(最大谷深さSv)を説明するための図である。図10では、電極パッドPの表面の3次元形状(凹凸)をX方向に沿う曲線で示している。
【0094】
最大谷深さSvは、電極パッドPの表面において高さ(Z座標)が平均値(相加平均値)となる平均面Pmを基準とした高さの最小値の絶対値である。なお、図10において、Spは最大山高さであり、平均面Pmからを基準とした最大値である。また、Szは、電極パッドPの表面の最も高い点から最も低い点までの距離を示す最大高さであり、Sz=Sp+Svである。
【0095】
制御部10は、例えば、最大谷深さSvと電極パッドPの厚さの設計値との関係に基づいて、電極パッドPの良否の判定を行う。具体的には、例えば、最大谷深さSvが電極パッドPの厚さの設計値以上、又はこの設計値の90%以上の場合に、その電極パッドPをNGと判定する。
【0096】
なお、判定は、上記の例に限定されない。例えば、電極パッドPの厚さ、電極パッドPに対して針跡Mの面積が占める割合、位置又は電極パッドPの材質の強度(脆さ)に基づいて判定の最大谷深さSvに関する閾値を変更してもよい。例えば、電極パッドPが厚いほど、下地層が露出しにくいと考えられるので、最大谷深さSvに関する閾値を電極パッドPの厚さの設計値により近い値にしてもよい。また、電極パッドPの材質の強度が低い(脆い)ほど、電極パッドPの裂け等が生じる可能性が高いと考えられるので、最大谷深さSvに関する閾値を電極パッドPの厚さの設計値により小さい値にしてもよい。
【0097】
また、電極パッドPに対して針跡Mの面積が占める割合が基準値以上の場合、電極パッドPにおいて針跡M以外の部分が基準値以下の場合、電極パッドP端部と針跡Mとの距離が基準値以下の場合等には、電極パッドPの裂け等が生じる可能性が高いと考えられるので、NGと判定するようにしてもよい。この場合、電極パッドPの材質の強度に応じて各基準値を調整してもよく、例えば、電極パッドPの強度が低い(脆い)ほど、NGと判定する基準を厳しくしてもよい。
【0098】
本実施形態によれば、3D形状測定機52による検査条件を適切に設定することにより、電極パッドPの検査を正確かつ高速に行うことができる。
【0099】
なお、本実施形態では、検査対象物を電極パッドPに形成された針跡Mとしたが、既述のように本開示はこれに限定されない。例えば、ウェーハW上の傷又は異物等の検査対象物を検出するための外観検査にも本実施形態を適用可能である。
【0100】
例えば、検査対象物がウェーハW上の傷の場合には、傷の大きさ(例えば、最大寸法又は最小寸法)、傷の深さ(例えば、最大谷深さSv又は最大高さSz)、傷の面積(例えば、ウェーハWの単位面積当たりに占める傷の面積の割合)、傷の配置(例えば、単位面積当たりの個数等)のうちの少なくとも1つの特徴量が基準値を超える場合に、ウェーハWを異常と判定してもよい。また、上記の特徴量に代えて、又は上記の特徴量に加えて、傷とデバイスとの間の距離が基準値以下である場合には、ウェーハWを異常と判定してもよい。
【0101】
また、検査対象物が異物の場合には、例えば、異物の大きさ(例えば、最大寸法又は最小寸法)、異物の配置(例えば、単位面積当たりの個数等)のうちの少なくとも1つの特徴量が基準値を超える場合に、ウェーハWを異常と判定してもよい。また、上記の特徴量に代えて、又は上記の特徴量に加えて、異物の種類に基づいてウェーハWの良否の判定を行ってもよい。例えば、異物の3次元形状に基づいて異物がエア等により容易に除去可能なものであると推定される場合には、上記の特徴量に関わらず、ウェーハWを異常なしと判断してもよい。
【0102】
また、検査対象物が傷又は異物の場合、例えば、2Dカメラ50によりウェーハWを撮像した画像から傷又は異物の位置の検出を行い、検査対象物の配置に関する検査対象物配置情報を取得する。そして、この検査対象物配置情報と、3D形状測定機52の測定視野のサイズに基づいて、測定コストを計算すればよい。
【符号の説明】
【0103】
1…検査装置、10…制御部、12…入出力部、14…搬送ユニット駆動部、16…搬送アーム駆動部、18…測定制御部、20…測定部、50…2Dカメラ、52…3D形状測定機、54…針合わせカメラ、70…テストヘッド
図1
図2
図3
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図10