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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084440
(43)【公開日】2024-06-25
(54)【発明の名称】バスバー保持部材及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20240618BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240618BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20240618BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/298
H01M50/503
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198716
(22)【出願日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】森下 慎也
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040DD02
5H040DD03
5H043AA13
5H043AA19
5H043FA04
5H043LA22
(57)【要約】
【課題】容易に配置部における所定の位置にバスバーを配置できるバスバー保持部材及び電池モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】被覆電線40の先端部分の絶縁被覆42を剥がして露出させた露出導体41Xと接続されたバスバー30を保持するバスバー保持部材5は、バスバー30を配置するバスバー保持部52と、並列方向Lに沿った開口Dが形成されたハーネス収容部51とを有する保持部材本体50と、開口Dを塞ぐカバー60とが備えられ、カバー60に、保持部材本体50にカバー60を装着させた装着状態において、バスバー保持部52に配置された連結バスバー30aに設けられた下側延設部351と係止するバスバー支持片63が設けられ、ハーネス収容部51に対するカバー60の装着動作に伴って、連結バスバー30aを所定位置に案内する下端案内部634が備えられている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体を絶縁被覆で被覆した被覆電線の先端部分の前記絶縁被覆を剥がして露出させた露出導体と接続されたバスバーを保持するバスバー保持部材であって、
前記バスバーを配置する配置部と、
前記バスバーと接続された前記被覆電線を収容し、収容された前記被覆電線の長手方向に沿った開口が形成された電線収容部とを有するケースと、
前記開口を塞ぐカバーとが備えられ、
前記カバーに、前記ケースに前記カバーを装着させた装着状態において、前記配置部に配置された前記バスバーに設けられた被係止部と係止する係止部が設けられ、
前記電線収容部に対する前記カバーの装着動作に伴って、前記バスバーを所定位置に案内する案内部が備えられた
バスバー保持部材。
【請求項2】
前記開口を介して前記被覆電線を前記電線収容部に収容する方向を、前記ケースに対して前記カバーを装着する装着方向とし、
前記係止部は、前記装着方向と直交する方向に対して前記被係止部と係止するとともに、前記バスバーの前記装着方向と反対方向への移動を規制する
請求項1に記載のバスバー保持部材。
【請求項3】
前記係止部及び前記被係止部の少なくとも一方に、前記案内部が設けられた
請求項1又は請求項2に記載のバスバー保持部材。
【請求項4】
前記バスバーは、前記配置部に配置された状態において前記電線収容部の側の端部から突出する枠状の突出部を有し、
前記突出部は、
前記端部から前記電線収容部の側に向けて延出する一対の延出部と、
前記延出部の先端側を連結する連結部とを有し、
前記係止部は、一対の前記延出部の間に挿入されるとともに、前記連結部で構成された前記被係止部と係止する
請求項2に記載のバスバー保持部材。
【請求項5】
前記連結部は、前記バスバーよりも前記装着方向の側に配置され、
前記係止部に、前記装着状態において、前記電線収容部の側と反対側に突出するとともに、係止状態において前記バスバーよりも前記装着方向の側に配置される突条部を有する
請求項4に記載のバスバー保持部材。
【請求項6】
前記配置部における前記電線収容部の側と反対側に、前記配置部に配置された前記バスバーの浮き上がりを規制する浮上規制部が設けられた
請求項4に記載のバスバー保持部材。
【請求項7】
前記配置部に、
前記配置部に配置された前記バスバーに向かって付勢する付勢部が備えられた
請求項1又は請求項2に記載のバスバー保持部材。
【請求項8】
前記付勢部は、前記配置部と一体構成された
請求項7に記載のバスバー保持部材。
【請求項9】
並列方向に沿って配置された複数の電池と、
前記電池と電気的に接続するバスバーと、
導体を絶縁被覆で被覆し、前記絶縁被覆の先端側を剥がして露出させた前記導体が前記バスバーと電気的に接続された被覆電線と、
前記バスバーを保持するバスバー保持部材とを備え、
前記バスバー保持部材は、
前記バスバーを配置する配置部と、
前記バスバーと接続された前記被覆電線を収容し、収容された前記被覆電線の長手方向に沿った開口が形成された電線収容部とを有するケースと、
前記開口を塞ぐカバーとが備えられ、
前記カバーに、前記ケースに前記カバーを装着させた装着状態において、前記配置部に配置された前記バスバーに設けられた被係止部と係止する係止部が設けられ、
前記ケースに対する前記カバーの装着動作に伴って、前記バスバーを所定位置に案内する案内部が備えられた
電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、被覆電線の先端から露出する導体と接続されたバスバーを保持するバスバー保持部材及びバスバー保持部材を備えた電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両やハイブリッド車両に搭載される電池モジュールは、特許文献1に例示するように、被覆電線の先端部分と電気的に接続された複数のバスバーを保持するバスバー保持部材と、前記バスバーと接続された複数の電池が備えられた電池ユニットとで構成されており、バスバーを介して被覆電線に接続された電子機器類に電力を供給することができる。
【0003】
この特許文献1のバスバー保持部材には、被覆電線と接続されたバスバーを配置する配置部が設けられている。そして、配置部に配置されたバスバーと電池ユニットの電池とが接続されている。しかしながら、バスバーを配置した位置が所定の位置からわずかに外れている場合や、バスバーが意図せずに移動した場合などにより、配置部における所定の位置にバスバーが配置されていない場合あった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-136164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこでこの発明は、容易に配置部における所定の位置にバスバーを配置できるバスバー保持部材及び電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、導体を絶縁被覆で被覆した被覆電線の先端部分の前記絶縁被覆を剥がして露出させた露出導体と接続されたバスバーを保持するバスバー保持部材であって、前記バスバーを配置する配置部と、前記バスバーと接続された前記被覆電線を収容し、収容された前記被覆電線の長手方向に沿った開口が形成された電線収容部とを有するケースと、前記開口を塞ぐカバーとが備えられ、前記カバーに、前記ケースに前記カバーを装着させた装着状態において、前記配置部に配置された前記バスバーに設けられた被係止部と係止する係止部が設けられ、前記電線収容部に対する前記カバーの装着動作に伴って、前記バスバーを所定位置に案内する案内部が備えられたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、並列方向に沿って配置された複数の電池と、前記電池と電気的に接続するバスバーと、導体を絶縁被覆で被覆し、前記絶縁被覆の先端側を剥がして露出させた前記導体が前記バスバーと電気的に接続された被覆電線と、前記バスバーを保持するバスバー保持部材とを備え、前記バスバー保持部材は、前記バスバーを配置する配置部と、前記バスバーと接続された前記被覆電線を収容し、収容された前記被覆電線の長手方向に沿った開口が形成された電線収容部とを有するケースと、前記開口を塞ぐカバーとが備えられ、前記カバーに、前記ケースに前記カバーを装着させた装着状態において、前記配置部に配置された前記バスバーに設けられた被係止部と係止する係止部が設けられ、前記ケースに対する前記カバーの装着動作に伴って、前記バスバーを所定位置に案内する案内部が備えられた電池モジュールであることを特徴とする。
【0008】
前記カバーは、前記長手方向に沿って前記ケースに装着させてもよいし、前記長手方向と直交する方向に沿って前記ケースに装着させてもよい。
前記案内部は、前記カバー及び前記バスバーの少なくとも一部に設けられている場合や前記ケースに設けられている場合の他、前記カバー、前記ケース及び前記バスバーとは別部材で構成されている場合を含む。なお、前記案内部が前記カバーの装着動作に伴って、前記カバーが前記バスバーと当接して配置部における所定位置にバスバーを案内する場合には、前記案内部は前記カバー及び前記バスバーの少なくとも一方に設けられていればよい。
【0009】
前記係止部は、前記バスバーに設けられた前記被係止部と係止することで前記バスバーを固定できればその構成に限定はなく、例えば、前記バスバーに設けられた凹状あるいは凸条の被係止部に対して嵌合する構成などを含む。
また前記係止部は、前記ケースに対する前記カバーの装着動作による前記バスバーの移動に伴って、前記被係止部と係止する場合や、前記バスバーの移動後に前記被係止部と係止する場合を含む。
【0010】
この発明によると、ケースに対するカバーの装着動作に伴って、案内部が所定の位置にバスバーを案内できるため、配置部における所定の位置にバスバーを移動させることができる。そして、カバーの装着動作により、所定の位置に案内されたバスバーの被係止部に係止部を係止させることができる。
【0011】
このように、バスバーに設けられた被係止部と係止する係止部がカバーに設けられるとともに、ケースにカバーを装着する装着動作に伴って、バスバーを所定位置に案内する案内部が備えられることにより、ケースに対してカバーを装着するだけで、容易にバスバーを配置部における所定の位置に配置することができる。したがって、バスバーを接続対象に効率よく接続させることができる。
【0012】
この発明の態様として、前記開口を介して前記被覆電線を前記電線収容部に収容する方向を、前記ケースに対して前記カバーを装着する装着方向とし、前記係止部は、前記装着方向と直交する方向に対して前記被係止部と係止するとともに、前記バスバーの前記装着方向と反対方向への移動を規制してもよい。
【0013】
この発明によると、ケースにカバーを装着することで、配置部に配置されたバスバーの装着方向と直交する方向に対する移動を規制できるとともに、装着方向と反対方向への浮き上がりを規制できる。したがって、より安定して配置部における所定位置にバスバーを固定できる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記係止部及び前記被係止部の少なくとも一方に、前記案内部が設けられてもよい。
この発明によると、ケースに対するカバーの装着動作に伴って、係止部及び被係止部の少なくとも一方に設けられた案内部でバスバーを所定位置に案内することができるとともに、係止部と被係止部とを係止させることができる。すなわち、案内部によるバスバーの案内の終了と同時に、被係止部と係止部との係止を行うことができる。これにより、配置部における所定の位置にバスバーを効率的に固定できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記バスバーは、前記配置部に配置された状態において前記電線収容部の側の端部から突出する枠状の枠状部を有し、前記枠状部は、前記端部から前記電線収容部の側に向けて延出する一対の延出部と、前記延出部の先端側を連結する連結部とを有し、前記係止部は、一対の前記延出部の間に挿入されるとともに、前記連結部で構成された前記被係止部と係止してもよい。
【0016】
前記枠状部は、連結部と脚部との延伸方向が異なる角形U字状、U字状、H字状など、あるいは連結部と脚部とが連続する半円状、半楕円状、円弧状などで枠状に形成されてもよいし、さらには、互いに向かって傾斜する一対の脚部の交差部分を連結部として枠状に形成されていてもよい。
【0017】
前記延出部は、前記バスバーにおける前記電線収容部の側の端部から延出していれば、その形状は限定されず、前記電線収容部の側に向けて直線状に延出している場合や、前記電線収容部の側に向かうに伴って、前記装着方向又は前記装着方向と反対方向に向けて傾斜あるいは湾曲している場合も含む。すなわち、前記連結部が、前記バスバーの前記電線収容部の側に突出する場合のみならず、前記バスバーにおける前記装着方向又は前記装着方向と反対方向に向けて突出する場合も含む。
【0018】
この発明によると、係止部と連結部との係止箇所を中心としてバスバーが回動した場合には、連結部と係止された係止部が延出部と当接することでバスバーの回動を規制することができる。これにより、配置部における所定の位置にバスバーをより安定して固定できる。
さらにまた、バスバーにおける電線収容部の側の端部よりも、電線収容部の側に、係止部を設けることができるため、カバーのコンパクト化を図ることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記連結部は、前記バスバーよりも前記装着方向の側に配置され、前記係止部に、前記装着状態において、前記電線収容部の側と反対側に突出するとともに、係止状態において前記バスバーよりも前記装着方向の側に配置される突条部を有してもよい。
【0020】
この発明によると、装着状態において、バスバーの本体部分と連結部との間に係止部が配置されるため、装着が解除される方向に向けた外力がカバーに作用した場合には、突条部がバスバーと干渉する。これにより、装着方向と反対側に向けたバスバーの浮き上がりを係止部で確実に規制できるとともに、突条部で係止部と連結部と係止解除を確実に防止できる。したがって、より安定して配置部に配置されたバスバーを固定できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記配置部における前記電線収容部の側と反対側に、前記配置部に配置された前記バスバーの浮き上がりを規制する浮上規制部が設けられてもよい。
この発明により、バスバーの電線収容部の側及びその反対側において、配置部からバスバーが浮き上がりを規制することができるため、バスバー全体の装着方向と反対側に向けた浮き上がりをより確実に規制できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記配置部に、前記配置部に配置された前記バスバーに向かって付勢する付勢部が備えられてもよい。
前記付勢部は、前記配置部に対して前記バスバーが配置された方向に向けた弾性力を前記バスバーに作用させる弾性部材の他、前記配置部における前記バスバーと当接する側の面に貼られたゲルやスポンジなど弾性変形するシート材などを含む。なお、前記付勢部は、前記配置部及び前記浮上規制部と一体又は別体である場合を含む。
【0023】
この発明によると、付勢部は配置部に配置されたバスバーに対して付勢力を有するため、カバーに設けられた係止部とバスバーに設けられた被係止部との間の公差を付勢部で吸収し、係止部と被係止部との係止状態を安定させることができるとともに、振動などによって配置部とバスバーとの間に生じる異音の発生を防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記付勢部は、前記配置部と一体構成されてもよい。
この発明によると、配置部と一体構成された付勢部で、係止部と被係止部との係止状態を安定させることができるとともに、振動などによって配置部とバスバーとの間に生じる異音の発生を防止でき、さらには部品点数を削減できる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、容易に配置部における所定の位置にバスバーを配置できるバスバー保持部材及び電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電池モジュールの概略斜視図。
図2】電池モジュールの概略分解斜視図。
図3】バスバー付電線の説明図。
図4】バスバー付電線の説明図。
図5】電線収容部の拡大概略斜視図。
図6】電線収容部の説明図。
図7】カバーの説明図。
図8】バスバー付電線を保持したバスバー保持部材の説明図。
図9】バスバー付電線を保持したバスバー保持部材の説明図。
図10】バスバー付電線を保持したバスバー保持部材の説明図。
図11】バスバー付電線を保持したバスバー保持部材の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の一実施形態を、以下図1乃至図11とともに説明する。
図1は電池モジュール1を上側HUから視た概略斜視図を示し、図2は電池モジュール1の概略分解斜視図を示す。図3及び図4はバスバー付電線6の説明図を示し、図5は保持部材本体50の先端側LFの拡大概略斜視図を示し、図6は保持部材本体50の説明図を示し、図7はカバー60の説明図を示す。
【0028】
図3図4図6図7について詳述する。図3(a)は導通部材3とワイヤーハーネス4とが接続したバスバー付電線6の先端側LFの拡大概略斜視図を示し、図3(b)は枝線4bが接続した連結バスバー30aの概略平面図を示す。図4(a)は枝線4bが接続した連結バスバー30aを幅方向Wの内側から幅方向Wに沿って視た概略背面図を示し、図4(b)は図3(b)におけるA-A矢視断面図を示す。
【0029】
図6(a)は保持部材本体50の先端側LFの概略平面図を示し、図6(b)は図6(a)におけるB-B矢視断面図を示す。図7(a)はカバー60の先端側LFを右側WRから視た概略正面図を示し、図7(b)は図7(a)におけるC-C矢視断面図を示す。
【0030】
図8(a)はバスバー付電線6を保持した保持部材本体50にカバー60を装着する前の概略断面図を示し、図8(b)はバスバー付電線6を保持した保持部材本体50にカバー60を装着した状態の概略断面図を示す。なお、図8は、図6(a)におけるC-C矢視断面に対応する断面図を示す。
【0031】
図9及び図10は、バスバー付電線6を保持した保持部材本体50にカバー60を装着する過程における、連結バスバー30aの移動及び係止を示す説明図であり、図9(a)はバスバー付電線6を保持した保持部材本体50にカバー60を装着する前の拡大概略断面図を示し、図9(b)及び図10(a)はバスバー付電線6を保持した保持部材本体50にカバー60を装着する途中の拡大概略断面図を示し、図10(b)はバスバー付電線6を保持した保持部材本体50にカバー60を装着した状態の拡大概略断面図を示す。なお、図9及び図10は、図8における右側WRのバスバー保持部52に対応する箇所の拡大断面図を示す。
【0032】
図11(a)は、ハーネス付保持部材7の先端側LFを右側WRから視た概略正面図を示し、図11(b)はバスバー付電線6を保持した保持部材本体50にカバー60を装着する前の概略断面図を示し、図11(c)はバスバー付電線6を保持した保持部材本体50にカバー60を装着した状態の概略断面図を示す。なお、図11(b)及び図11(c)は、図11(a)におけるD-D矢視断面に対応する断面図を示す。
【0033】
ここで、図1における上下方向を高さ方向Hとし、図1において、複数の電池セル20が並列配置されている方向を並列方向Lとする。高さ方向Hと並列方向Lとは互いに直交する。また、並列方向L及び高さ方向Hと直交する方向を幅方向Wとする。そして、図1において、並列方向Lに沿って左方を先端側LFとし、図1における右方を基端側LBとし、幅方向Wに沿って左方を左側WLとし、右方を右側WRとする。また、高さ方向Hに沿って上方を上側HUとし、下方を下側HDとする。
【0034】
電池モジュール1は、図1及び図2に示すように、複数の電池セル20が並列方向Lに沿って並列配置された電池ユニット2と、電池セル20と電気的に接続される複数の導通部材3と、導通部材3と電気的に接続されたワイヤーハーネス4と、導通部材3を保持するバスバー保持部材5とで構成されている。
【0035】
電池ユニット2は、図1及び図2に示すように、並列方向Lに沿って並列配置された複数の電池セル20を備えている。換言すると、電池ユニット2において、電池セル20は並列方向Lに沿って積層されている。
【0036】
電池セル20は、扁平な略箱状に形成された電池本体21と、電池本体21の上面から上側HUに突出するボルト形状の正極端子22と負極端子23とを備えている。なお、正極端子22と負極端子23とは、電池本体21の幅方向Wの両端部分からそれぞれ突出している(図2参照)。
【0037】
このように構成された電池セル20は、上述のように並列方向Lに沿って積層されている。詳述すると、複数の電池セル20は、電池本体21の上面が同一平面状となるとともに、並列方向Lに沿って隣接する電池本体21同士の正極端子22と負極端子23とが互いに隣り合うように並列方向Lに沿って並んで配置している。換言すると、電池セル20は、正極端子22と負極端子23とが交互に逆向きとなるように、電池本体21が並列方向Lに沿って並んで配置されている(図2参照)。
【0038】
導通部材3は、図3に示すように、幅方向Wの両側のそれぞれにおいて並列方向Lに沿って複数配置されている。この導通部材3は、連結バスバー30aと、左側WLにおいて並列方向Lの両端に配置された2つの単一バスバー30bとで構成されている。連結バスバー30a及び単一バスバー30bは、並列配置された電池セル20の正極端子22及び負極端子23のそれぞれと接続されている。
【0039】
連結バスバー30aは、第一バスバー31と、第一バスバー31と略同形状をした第二バスバー32と、第一バスバー31と第二バスバー32とを並列方向Lに連結する導体連結部33とで一体に構成されている。
一方、単一バスバー30bは第一バスバー31と略同じように構成されている。
【0040】
第一バスバー31は、図3(a)及び図3(b)に示すように、適当な幅長を有する導電性の板材を折り曲げて構成され、電池本体21と接続される第一接続部311と、第一中間部312と、後述する被覆電線40の導体41が接続される導体接続部313とが幅方向Wの外側から内側に向けてこの順で設けられている。
【0041】
第一接続部311及び導体接続部313は平面板状に形成されている。すなわち、第一接続部311及び導体接続部313の主面の法線方向は、ともに高さ方向Hである。このように平面板状に形成された第一接続部311と導体接続部313とは、図4(a)に示すように、上側HUから視て、第一接続部311と導体接続部313との先端側LFの端部が幅方向Wに沿って面一となっている。なお、第一接続部311は、導体接続部313よりも並列方向Lに長くなるように構成されている。
【0042】
また、導体接続部313における幅方向Wの内側の端部には、上側HUに延出する凸部34が設けられている。
凸部34は、図4(a)に示すように、導体接続部313の上面から上側HUに所定間隔を隔てて配置され、並列方向Lに沿って延びる上側延出部341と、上側延出部341の並列方向Lの両側から下側HDに延びる一対の上側脚部342とで門型状に形成している。
【0043】
上側延出部341と一対の上側脚部342とで門型状に形成した凸部34は、導体接続部313の幅方向Wの内側の端部よりも幅方向Wの内側かつ上側HUに向かって突出するように設けられ、上側延出部341と一対の上側脚部342とで囲われる内部開口に被覆電線40の導体41を挿通可能に構成している。すなわち、上側延出部341と導体接続部313の上面との間、及び、一対の上側脚部342同士との間には、枝線4bを挿通できる程度の間隔が形成されている。
【0044】
なお、凸部34は、導体接続部313の基端側LBの端部から基端側LBに向かって一体形成され、上側HUに向かって折り曲げて形成されている。そのため、凸部34は、並列方向Lの厚みが、バスバー30の高さ方向Hの厚みと同じで形成されている。
【0045】
第一中間部312は、第一接続部311の基端側(幅方向Wの内側)の端部と導体接続部313の先端側(幅方向Wの外側)の端部とを高さ方向Hに連結するように形成されている。この第一中間部312の上側HUの端部は導体接続部313の並列方向Lに沿った長さと対応し、第一中間部312の下側HDの端部は第一接続部311の並列方向Lに沿った長さと対応している。そして、第一中間部312における下側HDは、第一中間部312の下側HDと上側HUの端部における並列方向Lに沿った長さの差を埋めるように、基端側LBに向けて突出する中央突出部を有する。
【0046】
このように構成された第一バスバー31は、第一接続部311、第一中間部312及び導体接続部313とで階段状に形成されている。なお、第一接続部311の中央部分には、正極端子22を挿通するための正極貫通孔314が設けられている。
【0047】
第二バスバー32は、図4(a)に示すように、幅方向W及び高さ方向Hに沿った面を対称面として第一バスバー31と略面対称に形成されている。すなわち、第二バスバー32は、電池本体21と接続される第二接続部321と、第二中間部322と、被配置部323とが幅方向Wの外側から内側に向けてこの順で設けられている。
【0048】
第二接続部321及び被配置部323は略同型状の平面板状に形成されている。すなわち、第二接続部321及び被配置部323の主面の法線方向は、ともに高さ方向Hである。このように平面板状に形成された第二接続部321と被配置部323とは、図4(a)に示すように、上側HUから視て、第二接続部321と被配置部323との基端側LBの端部が幅方向Wに沿って面一となっている。なお、第二接続部321は、被配置部323よりも並列方向Lに長くなるように構成されている。
【0049】
この第二バスバー32における幅方向Wの内側の端部には、下側HDに向かって突出するように折り曲げて形成された凹部35が設けられている。
凹部35は、図4(a)に示すように、被配置部323の下面から下側HDに所定間隔を隔てて配置された下側延設部351と、下側延設部351の並列方向Lの両端と被配置部323とを連結する一対の下側脚部352とで門型状に形成している。
【0050】
下側延設部351は、被配置部323における幅方向Wの内側の端部よりも幅方向Wの内側において、被配置部323の下面から下側HDに所定間隔を隔てて下側HDに配置されるとともに、並列方向Lに沿った棒状体である。なお、下側延設部351の並列方向Lに沿った長さは、被配置部323の並列方向Lに沿った長さのおよそ半分である。
【0051】
下側脚部352は、一端が下側延設部351の並列方向Lの両端と連結しているとともに、上側HUに沿って延びており、他端側が幅方向Wの外側に向けて湾曲して被配置部323における幅方向Wの内側の端部と連結している。なお、下側脚部352の高さ方向Hに沿った長さは、第二中間部322の高さ方向Hに沿った長さと略同じ長さとなるように構成されている。
【0052】
なお、凹部35は、被配置部323の基端側LBの端部から基端側LBに向かって一体形成され、下側HDに向かって折り曲げて形成されている。そのため、凹部35は、並列方向Lの厚みが、バスバー30の高さ方向Hの厚みと同じで形成されている。
【0053】
第二中間部322は、第二接続部321の基端側(幅方向Wの内側)の端部と被配置部323の先端側(幅方向Wの外側)の端部を高さ方向Hに連結するように形成されている。第二中間部322の上側HUの端部は被配置部323の並列方向Lに沿った長さと対応し、第二中間部322の下側HDの端部は第二接続部321の並列方向Lに沿った長さと対応している。そして、第二中間部322における下側HDは、第二中間部322の下側HDと上側HUの端部における並列方向Lに沿った長さの差を埋めるように、先端側LFに向けて突出する中央突出部を有する。
【0054】
このように構成された第二バスバー32は、第二接続部321、第二中間部322及び被配置部323とで階段状に形成されている。なお、第二接続部321の中央部分には、負極端子23を挿通するための負極貫通孔324が設けられている。
【0055】
また、第一バスバー31における導体接続部313と、第二バスバー32における被配置部323とは、図4(b)に示すように、高さ方向Hに沿った法線を有する略平板状の導体連結部33で連結されている。なお、本実施形態において、導体連結部33は略平板状に形成されているが、この形状に限定されるわけでなく、幅方向Wから視て下側HDに向けて窪んだ略U字状に形成されていてもよい。
【0056】
単一バスバー30bは、上述のように、第一バスバー31と略同様に構成されている。先端側LFに配置される単一バスバー30bは、右側WRに配置された連結バスバー30aにおける第一バスバー31と対となるように配置されているため、単一バスバー30bにおける正極貫通孔314は負極端子23が接続される。
【0057】
同様に、基端側LBに配置される単一バスバー30bは、右側WRに配置された連結バスバー30aにおける第二バスバー32と対となるように配置されているため、単一バスバー30bにおける正極貫通孔314は正極端子22が接続される。
以下、連結バスバー30a及び単一バスバー30bをまとめて説明する場合には、バスバー30とする。
【0058】
なお、電池セル20の配置に合わせて、連結バスバー30aにおける正極貫通孔314及び負極貫通孔324は、負極端子23及び正極端子22をそれぞれ挿通させてもよい。この際、単一バスバー30bにおける正極貫通孔314に接続される端子も適宜変更される。
【0059】
ワイヤーハーネス4は、図3に示すように、複数の被覆電線40を束ねて構成された幹線4aと、幹線4aから分岐する各被覆電線40で構成され複数の枝線4bが設けられている。
被覆電線40は、中心に配置された導体41と、導体41の外側を覆う絶縁被覆42とで構成されている。被覆電線40の先端は絶縁被覆42の一部を剥がしてあるため、導体41が露出している。この露出した導体41を露出導体41Xとする。
【0060】
このように露出された露出導体41Xは、図3及び図4(b)に示すように、第一バスバー31における導体接続部313において、幅方向Wに沿って配置されるとともに、導体接続部313と導体41とが溶接され、バスバー付電線6を構成している。
なお、導体接続部313に対して導体41を溶接する溶接方法としては、超音波溶接、振動溶接、あるいはレーザ溶接などの適宜の溶接方法で溶接すればよい。
【0061】
バスバー保持部材5は、幅方向Wに並んで配置された一対のハーネス収容部51と、ハーネス収容部51から幅方向Wの外側に向けて延出する複数のバスバー保持部52とを備える保持部材本体50と、ハーネス収容部51の上方に設けた開口Dを蓋うカバー60とを有する(図2参照)。
【0062】
ハーネス収容部51は、並列方向Lに沿って幹線4aを収容することができ、図5に示すように、並列方向Lに沿って延出する平板状の底部511と、底部511の幅方向Wの内側から上側HUに向けて立設する内側壁部512と、底部511の幅方向Wの外側から上側HUに向けて立設する外側壁部513とで構成されている。すなわち、ハーネス収容部51は、並列方向Lに沿って上側HUが開口する開口Dを有する断面凹状に形成されており、被覆電線40を束ねたワイヤーハーネス4の幹線4aを収納する収容空間が形成されている。
【0063】
幅方向Wの外側に配置された外側壁部513には、図5及び図6(a)に示すように、幹線4aから分岐する枝線4bが挿通できる挿通口53が並列方向Lに所定の間隔を隔てて複数設けられているとともに、カバー60を係止固定する係止枠54が所定の位置に設けられている。換言すると、外側壁部513は、並列方向Lに所定の間隔を隔てて設けられた挿通口53で分断されている。
【0064】
挿通口53は、図5及び図6(b)に示すように、外側壁部513の上端から下端までを板厚方向(幅方向W)に貫通させて形成され、収容空間に収容された幹線4aから分岐する枝線4b(被覆電線40)が挿通可能に構成されている。また、並列方向Lに沿って隣接する挿通口53同士の間隔は、並列方向Lに沿って並列配置された電池セル20における正極端子22と隣接する負極端子23との間隔の二倍に等しい。
【0065】
係止枠54は、図6(a)に示すように、高さ方向Hから視て略矩形状の枠状体であり、外側壁部513から幅方向Wの外側に向けて延出する一対の延出部541と、一対の延出部541における幅方向Wの外側端部を連結する係止連結部542とで構成されている。
【0066】
一対の延出部541を連結する係止連結部542は、図5(a)に示すように、幅方向Wから視て下側HDが開いた凹状に構成されている。換言すると、係止連結部542は、延出部541の上端部分を並列方向Lに沿って連結している。なお、先端側LFに設けられた延出部541は挿通口53を形成している。
【0067】
このように構成されたハーネス収容部51は、挿通口53が幅方向Wの外側に向くように幅方向Wに並んで並列配置されている。ここで、左側WLに配置されたハーネス収容部51(ハーネス収容部51Lとする。)に設けられて挿通口53と、右側WRに配置されたハーネス収容部51(ハーネス収容部51Rとする。)に設けられた挿通口53とは、電池セル20における正極端子22と隣接する負極端子23との間隔だけズラして設けられている。また、ハーネス収容部51Lにおける並列方向Lの両端部分には、幅方向Wの外側に設けられた外側壁部513を貫通させた端部連通口55が、別途設けられている。
【0068】
また、幅方向Wに並列配置されたハーネス収容部51同士は、並列方向Lの両端部分、及び、並列方向Lの中央部分における所定箇所で互いに連結されている。そして、ハーネス収容部51の先端側LFを連結する連結部位には、収容空間に収容された幹線4aを挿通するためのハーネス挿通孔が設けられている。
【0069】
バスバー保持部52は、図5及び図6に示すように、第一バスバー31の導体接続部313を配置する第一配置部521と、第二バスバー32の被配置部323を配置する第二配置部522とで構成されている。なお、第一配置部521と第二配置部522とは、並列方向Lに沿って、導体連結部33の並列方向Lに沿った長さだけ隔てて配置されている。
【0070】
第一配置部521は、挿通口53が設けられた位置において、底部511から幅方向Wの外側に向けて延出している。この第一配置部521の幅方向Wの長さは、導体接続部313の幅方向Wの長さと略等しく、幅方向Wの外側の端部は下側HDに向けてわずかに突出している。
【0071】
また、第一配置部521の先端には、図5及び図6に示すように、基端側LBに向けて突出する第一凸部523が設けられている。詳述すると、第一凸部523は、第一配置部521における幅方向Wの内側端部から、幅方向Wの外側及び基端側LBに向けて突出する略直方体状の凸条体である。なお、第一凸部523は、第一接続部311の板厚と略同じ長さだけ幅方向Wの外側に向けて突出しており、第一接続部311と導体接続部313の並列方向Lの長さの差分だけ基端側LBに向けて突出している。
【0072】
第二配置部522は、係止枠54の基端側LBにおいて外側壁部513の下面から幅方向Wの外側に向けて延出した略板状で構成されている。この第二配置部522の幅方向Wの長さは、被配置部323の幅方向Wの長さと略等しい。また、この第二配置部522は、外側壁部513から幅方向Wの中央部分にかけて高さ方向Hに貫通した貫通孔56を有する。
【0073】
このように貫通孔56が設けられた第二配置部522には、幅方向Wの外側から幅方向Wに沿って貫通孔56に向けて延出する付勢部57が設けられている。
詳述すると、付勢部57は、貫通孔56を形成する第二配置部522の内周面から延出する弾性片であり、幅方向Wの内側に向かうに伴って被配置部323が配置される上側HUに向かって傾斜するように形成されている。また、付勢部57の先端部分は、貫通孔56における幅方向Wの中央部部分に対応する位置に配置されている。このため、付勢部57は高さ方向Hに沿って外力が作用した場合に付勢力を有する。
【0074】
また、第二配置部522の先端には、図5及び図6に示すように、基端側LBに向けて突出する第二凸部524が第一凸部523と面対称となるように設けられている。詳述すると、第二凸部524は、第二配置部522における幅方向Wの内側端部から、幅方向Wの外側及び先端側LFに向けて突出する略直方体状の凸条体である。なお、第二凸部524は、第一接続部311の板厚と略同じ長さだけ幅方向Wの外側に向けて突出しており、第一接続部311と導体接続部313の並列方向Lの長さの差分だけ先端側LFに向けて突出している。
【0075】
なお、ハーネス収容部51の左側WLにおける並列方向Lの両端部分に設けられた端部連通口55に対応する位置には、バスバー保持部52の代わりに第一配置部521のみが設けられている。
このように構成された保持部材本体50は、ハーネス収容部51に幹線4aを収容できるとともに、挿通口53に枝線4bを挿通させることができ、さらにはバスバー保持部52に導体接続部313及び被配置部323を配置させることができる。すなわち、保持部材本体50は、導通部材3を保持することができる。
【0076】
カバー60は、保持部材本体50における一対のハーネス収容部51に被せて係止することで、開口Dを塞ぐことができる。このカバー60は、平面視において中央部分が高さ方向Hに貫通する環状の矩形形状で形成されたカバー本体61と、カバー本体61における幅方向Wの外側端部から下側HDに向けて延出する係止部62とバスバー支持片63を備えている(図7(a)及び図7(b)参照)。
【0077】
係止部62は、図7(a)及び図7(b)に示すように、保持部材本体50との装着状態における係止枠54に対応する位置において、カバー本体61の幅方向Wの外側端部から下側HDに延出する略平板の挿通板621と、挿通板621の並列方向Lの中央部分から幅方向Wの外側に突出する係止凸部622とで構成されている。このように構成された係止部62は、カバー60で開口Dを塞いだ状態において、外側壁部513と係止連結部542との間に挿通板621が挿通されるとともに、係止凸部622が係止連結部542の下側HD端部と係止する。これにより、カバー60と保持部材本体50とを係止固定することができる。
【0078】
バスバー支持片63は、図7(a)及び図7(b)に示すように、保持部材本体50との装着状態における第二配置部522に対応する位置において、カバー本体61から下側HDに向けて突出しており、カバー本体61における幅方向Wの外側端部から下側HDに沿って延設する延設部631と、延設部631の先端から下側HDに突出する凸条支持部632と、凸条支持部632から幅方向Wの外側に向けて突出する凸条係止部633とで構成されている。
【0079】
延設部631は、被配置部323の板厚のおよそ2倍に等しい奥行き(幅方向Wに沿った長さ)を有するとともに、一対の下側脚部352同士の間隔と略等しい幅(並列方向Lに沿った長さ)を有する略柱状体で構成されている。
【0080】
凸条支持部632は、延設部631の下側HDの端部における幅方向Wの内側から下側HDに突出している柱状体であり、被配置部323の板厚と略等しい奥行き(幅方向Wに沿った長さ)を有するとともに、被配置部323の底面と下側脚部352との間隔と略等しい高さ(高さ方向Hに沿った長さ)を有する。
【0081】
凸条支持部632から幅方向Wの外側に突出する凸条係止部633の下側HD端部は、係止凸部622の下面と面一に構成され、幅方向Wの外側に向かうに伴って下側HDに傾斜する下端案内部634が備えられている。また、凸条係止部633の上側HUには、幅方向Wの外側に向かうに伴って下側HDに傾斜する上端案内部635と、上端案内部635の幅方向Wの内側において、幅方向W及び並列方向Lに沿った平面状の平面部636が備えられている。なお、平面部636は延設部631の下側HD端部と連結している。
【0082】
このように保持部材本体50とカバー60とで構成されたバスバー保持部材5とバスバー付電線6は、開口Dを介してハーネス収容部51に幹線4aを収納し、挿通口53に枝線4bを挿通させるとともに、第一配置部521及び第二配置部522に導体接続部313及び被配置部323を配置させて、バスバー付電線6を保持部材本体50に収納させることができる(図8(a)参照)。そして、バスバー付電線6を保持部材本体50に収納させた状態において、開口Dを塞ぐように、カバー60を上側HUから下側HDに移動させ、係止枠54と係止部62とを係止固定させることで、ハーネス付保持部材7を構成することができる(図8(b)参照)。
【0083】
ここで、導体接続部313には露出導体41Xが溶接されているため、カバー60を装着させる前の状態において、図8(a)及び図9(a)に示すように、枝線4bによって幅方向Wの外側に押された導体接続部313が、第一配置部521における所望の位置から幅方向Wの外側に配置されることがある。しかしながら、バスバー付電線6を収納できるバスバー保持部材5では、カバー60を装着させることで、バスバー30を所望の位置に配置することができる。
【0084】
詳述すると、導体接続部313及び被配置部323を、第一配置部521及び第二配置部522に配置した状態において、ハーネス収容部51の開口Dを塞ぐように、カバー60を上側HUから下側HDに移動させることにより、図9(b)に示すように、下端案内部634が下側延設部351と当接する。
【0085】
この状態でカバー60を下側HDに移動させることで、図10(a)に示すように、下側延設部351が下端案内部634に押されて幅方向Wの内側に案内され、第二バスバー32を幅方向Wの内側に移動させることができる。また、導体接続部313の下面が上端案内部635と当接することで、凸条係止部633が導体接続部313の下方側に案内されることとなる。
【0086】
そして、カバー60を下側HDにさらに移動させることで、図10(b)に示すように、下側延設部351の上面に凸条支持部632の下面が当接し、被配置部323の浮き上がりを規制するとともに、導体接続部313の下面に平面部636が当接し、バスバー支持片63が導体接続部313と下側脚部352との間から抜けることを規制できる。このように装着動作に伴うバスバー支持片63と下側延設部351との係止により、被配置部323を所望の位置に配置させることができるとともに、所望の位置で被配置部323を係止することができる。
【0087】
なお、凸条係止部633は、一対の下側脚部352同士の間隔と略等しい幅を有しているため、バスバー支持片63で係止された係止箇所を枢動中心として、バスバー30が枢動した場合に、凸条係止部633が下側脚部352と当接する、あるいは、凸条係止部633が被配置部323における幅方向Wの外側端面と当接するため、係止箇所を枢動中心としたバスバー30の枢動を規制できる。
【0088】
また、図11(a)に示すように、カバー60の装着に伴うバスバー30の幅方向Wの内側への移動により、第一接続部311及び第二接続部321における幅方向Wの内側端部の上側HUに、第一凸部523及び第二凸部524が配置されるため、第一接続部311及び第二接続部321が上側HUに移動することを規制することができる。
【0089】
詳述すると、カバー60を装着に伴って、バスバー30が幅方向Wの内側へ移動するため、第一凸部523及び第二凸部524よりも幅方向Wの外側に配置された第一接続部311及び第二接続部321における幅方向Wの内側端部(図11(b)参照)を、第一凸部523及び第二凸部524の下側HDに配置することができる(図11(c)参照)。これにより、第一接続部311及び第二接続部321が上側HUに移動することを規制することができる。
【0090】
なお、被配置部323を配置する第二配置部522には、付勢部57が設けられているため、例えば、ハーネス収容部51に対してカバー60を装着させた状態において、第二配置部522とバスバー支持片63との間に公差がある場合であっても、付勢部57が第二配置部522に配置された被配置部323とバスバー支持片63との間の交差を吸収することができ、確実に係止凸部622を下側延設部351に当接させることができる。したがって、より確実にバスバー30の浮き上がりを規制できるとともに、バスバー保持部52及びバスバー支持片63とバスバー30との間で異音が発生することを防止できる。
【0091】
このように、導体41を絶縁被覆42で被覆した被覆電線40の先端部分の絶縁被覆42を剥がして露出させた露出導体41Xと接続されたバスバー30を保持するバスバー保持部材5は、バスバー30を配置するバスバー保持部52と、バスバー30と接続された被覆電線40を収容し、収容された被覆電線40の並列方向Lに沿った開口Dが形成されたハーネス収容部51とを有する保持部材本体50と、開口Dを塞ぐカバー60とが備えられている。そして、カバー60に、保持部材本体50にカバー60を装着させた装着状態において、バスバー保持部52に配置された連結バスバー30aに設けられた下側延設部351と係止するバスバー支持片63が設けられている。また、バスバー保持部材5は、ハーネス収容部51に対するカバー60の装着動作に伴って、連結バスバー30aを所定位置に案内する下端案内部634が備えられている。
【0092】
また電池モジュール1は、並列方向Lに沿って配置された複数の電池セル20と、電池セル20と電気的に接続するバスバー30と、導体41を絶縁被覆42で被覆し、絶縁被覆42の先端側を剥がして露出させた導体41がバスバー30と電気的に接続された被覆電線40と、バスバー30を保持するバスバー保持部材5とを備えている。そして、バスバー保持部材5は、バスバー30を配置するバスバー保持部52と、バスバー30と接続された被覆電線40を収容し、収容された被覆電線40の並列方向Lに沿った開口Dが形成されたハーネス収容部51とを有する保持部材本体50と、開口Dを塞ぐカバー60とが備えられている。カバー60には、保持部材本体50にカバー60を装着させた装着状態において、バスバー保持部52に配置された連結バスバー30aに設けられた下側延設部351と係止するバスバー支持片63が設けられ、保持部材本体50に対するカバー60の装着動作に伴って、連結バスバー30aを所定位置に案内する下端案内部634が備えられている。
【0093】
これにより、保持部材本体50に対するカバー60の装着動作に伴って、下端案内部634が所定の位置に連結バスバー30aを案内できるため、バスバー保持部52における所定の位置に連結バスバー30aを移動させることができる。そして、カバー60の装着動作により、所定の位置に案内された連結バスバー30aの下側延設部351にバスバー支持片63を係止させることができる。
【0094】
このように、連結バスバー30aに設けられた下側延設部351と係止するバスバー支持片63がカバー60に設けられるとともに、保持部材本体50にカバー60を装着する装着動作に伴って、連結バスバー30aを所定位置に案内する下端案内部634が備えられることにより、保持部材本体50に対してカバー60を装着するだけで、連結バスバー30aをバスバー保持部52における所定の位置に配置することができる。したがって、連結バスバー30aを接続対象に効率よく接続させることができる。
【0095】
また、開口Dを介して被覆電線40をハーネス収容部51に収容する方向を、保持部材本体50に対してカバー60を装着する下側HDとし、バスバー支持片63は、下側HDと直交する方向(幅方向W)に対して下側延設部351と係止するとともに、連結バスバー30aの下側HDと反対方向への移動を規制している。
【0096】
これにより、保持部材本体50にカバー60を装着することで、バスバー保持部52に配置された連結バスバー30aの幅方向Wに対する移動を規制できるとともに、下側HDと反対方向(上側HU)への浮き上がりを規制できる。したがって、より安定してバスバー保持部52における所定位置に連結バスバー30aを固定できる。
【0097】
また、バスバー支持片63に、下端案内部634が設けられていることにより、保持部材本体50に対するカバー60の装着動作に伴って、バスバー支持片63に設けられた下端案内部634で連結バスバー30aを所定位置に案内することができるとともに、バスバー支持片63と下側延設部351とを係止させることができる。すなわち、下端案内部634による連結バスバー30aの案内の終了と同時に、下側延設部351とバスバー支持片63との係止を行うことができるため、バスバー保持部52における所定の位置に連結バスバー30aを効率的に固定できる。
【0098】
また、連結バスバー30aは、バスバー保持部52に配置された状態においてハーネス収容部51の側の端部から突出する枠状の凹部35を有し、凹部35は、導体接続部313の幅方向Wの内側端部からハーネス収容部51の側に向けて延出する一対の下側脚部352と、下側脚部352の先端側を連結する下側延設部351とを有し、バスバー支持片63は、一対の下側脚部352の間に挿入されるとともに、下側延設部351と係止している。
【0099】
これにより、連結バスバー30aに対して上側HUに外力が作用した場合に、バスバー支持片63と下側延設部351とが高さ方向Hに沿って当接することとなるため、バスバー支持片63と下側延設部351との係止が解除されることを規制できる。また、バスバー支持片63と下側延設部351との係止箇所を中心として連結バスバー30aが回動した場合には、下側延設部351と係止されたバスバー支持片63が下側脚部352と当接することで連結バスバー30aの回動を規制することができる。これにより、バスバー保持部52における所定の位置に連結バスバー30aをより安定して固定できる。
さらにまた、連結バスバー30aにおけるハーネス収容部51の側の端部よりも、ハーネス収容部51の側に、バスバー支持片63を設けることができるため、カバー60のコンパクト化を図ることができる。
【0100】
さらにまた、下側延設部351は、連結バスバー30aよりも下側HDの側に配置され、バスバー支持片63に、装着状態において、ハーネス収容部51の側と反対側に突出するとともに、係止状態において連結バスバー30aよりも下側HDの側に配置される凸条係止部633を有している。
【0101】
これにより、装着状態において、連結バスバー30aと下側延設部351との間にバスバー支持片63が配置されるため、装着が解除される方向(上側HU)に向けた外力がカバー60に作用した場合には、凸条係止部633が連結バスバー30aと干渉する。このため、上側HUに向けた連結バスバー30aの浮き上がりをバスバー支持片63で確実に規制できるとともに、凸条係止部633でバスバー支持片63と下側延設部351と係止解除を確実に防止できる。したがって、より安定してバスバー保持部52に配置された連結バスバー30aを固定できる。
【0102】
また、バスバー保持部52におけるハーネス収容部51の側と反対側(幅方向Wの外側)に、バスバー保持部52に配置された連結バスバー30aの浮き上がりを規制する第一凸部523及び第二凸部524が設けられていることにより、連結バスバー30aのハーネス収容部51の側(幅方向Wの内側)及びその反対側(幅方向Wの外側)において、バスバー保持部52から連結バスバー30aが浮き上がりを規制することができるため、連結バスバー30a全体の下側HDと反対側に向けた浮き上がりをより確実に規制できる。
【0103】
また、バスバー保持部52に、バスバー保持部52に配置された連結バスバー30aに向かって付勢する付勢部57が備えられている。これにより、付勢部57はバスバー保持部52に配置された連結バスバー30aに対して付勢力を有するため、バスバー保持部52に対する連結バスバー30aが配置された方向に沿って、所望の位置となるように連結バスバー30aの位置を調整できる。すなわち、カバー60に設けられたバスバー支持片63と連結バスバー30aに設けられた下側延設部351との間の公差を付勢部57で吸収し、バスバー支持片63と下側延設部351との係止状態を安定させることができるとともに、振動などによってバスバー保持部52と連結バスバー30aとの間に生じる異音の発生を防止できる。
【0104】
また、付勢部57は、バスバー保持部52と一体構成されていることにより、バスバー支持片63と下側延設部351との係止状態を安定させることができるとともに、振動などによってバスバー保持部52と連結バスバー30aとの間に生じる異音の発生を防止でき、さらには部品点数を削減できる。
【0105】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の導体は、導体41に対応し、
以下同様に、
絶縁被覆は、絶縁被覆42に対応し、
被覆電線は、被覆電線40に対応し、
露出導体は、露出導体41Xに対応し、
バスバーは、バスバー30に対応し、
バスバー保持部材は、バスバー保持部材5に対応し、
配置部は、バスバー保持部52に対応し、
長手方向は、並列方向Lに対応し、
開口は、開口Dに対応し、
電線収容部は、ハーネス収容部51に対応し、
ケースは、保持部材本体50に対応し、
カバーは、カバー60に対応し、
被係止部及び連結部は、下側延設部351に対応し、
係止部は、バスバー支持片63に対応し、
案内部は、下端案内部634に対応し、
装着方向は、下側HDに対応し、
突出部及び枠状部は、凹部35に対応し、
延出部は、下側脚部352に対応し、
突条部は、凸条係止部633に対応し、
浮上規制部は、第一凸部523及び第二凸部524に対応し、
付勢部は、付勢部57に対応し、
電池は、電池セル20に対応し、
電池モジュールは、電池モジュール1に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0106】
例えば、この実施形態において、導体41と導体接続部313との接続は、溶接としているが、導体41と313とを導電性接着剤による接着した場合や、オープンバレルのように導体41に導体接続部313の一部をカシメて接続させた場合など、導電可能に一体化されていればどのような状態を含んでもよい。
【0107】
また、本実施形態において、バスバー30は第一バスバー31と第二バスバー32とを導体連結部33で連結した二股形状で構成されているが、必ずしも二股である必要はなく、例えば第二バスバー32のみで構成されていてもよい。なお、第二バスバー32のみで構成されている場合には、バスバー支持片63は、露出導体41Xを避けて係止する構成となる。
【0108】
また、本実施形態において、カバー60は、高さ方向Hに沿って保持部材本体50に着脱できる構成としているが、並列方向Lに沿って保持部材本体50に装着する構成としてもよい。
また、付勢部57は、バスバー30に向けた付勢力を有していればどのような構成であってもよく、例えば、バスバー保持部52及びバスバー支持片63の少なくとも一方のバスバー30と当接する側の面に貼られたゲルやスポンジなど弾性変形するシート材などとしてもよい。
【0109】
また、バスバー支持片63は、バスバー30に係止することでバスバー30を固定できればその構成に限定はなく、例えば、下端案内部634とは別構成としていてもよい。また、バスバー30と係止するバスバー支持片63は、バスバー30に設けられた凹状あるいは凸条部分と嵌合する構成としてもよい。
【0110】
さらにまたバスバー支持片63は、保持部材本体50に対するカバー60の装着動作によるバスバー30の移動に伴って、下側延設部351と係止する構成としているが、バスバー30の移動後に下側延設部351と係止する構成としてもよい。すなわち、バスバー30を案内のみを先に行う構成と、バスバー30を係止固定する構成とを、一体又は別体で設けてもよい。
【0111】
また、本実施形態において、バスバー30を案内する下端案内部634は、カバー60に設けられているが、例えば、バスバー支持片63と協働してバスバー30を案内する構成をバスバー30の一部に設けてもよいし、保持部材本体50に設けてもよい。具体的には、カバー60の装着動作によりバスバー支持片63と当接する下側延設部351を所定方向に傾斜させる構成としてもよいし、カバー60及びバスバー30の双方に設けてもよい。また、バスバー30を所定方向に案内できれば、カバー60、保持部材本体50及びバスバー30とは別部材で構成されていてもよい。
【0112】
なお、凹部35は、下側延設部351と脚部との延伸方向が異なる角形U字状、U字状、H字状など、あるいは下側延設部351と脚部とが連続する半円状、半楕円状、円弧状などで枠状に形成されてもよいし、さらには、互いに向かって傾斜する一対の脚部の交差部分を下側延設部351として枠状に形成されていてもよい。
【0113】
また、本実施形態において、下側脚部352は下側HDに向かって湾曲する構成としているが、バスバー30におけるハーネス収容部51の側の端部から延出していれば、その形状は限定されず、ハーネス収容部51の側に向けて直線状に延出している場合や、ハーネス収容部51の側に向かうに伴って、上側HUに向かって湾曲する構成、下側HD又は上側HUに向けて傾斜していてもよい。すなわち、凹部35がバスバー30における下側HDに突出する場合のみならず、バスバー30のハーネス収容部51の側に向けて幅方向Wに沿って突出する構成や、上側HUに向けて突出する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 電池モジュール
5 バスバー保持部材
20 電池セル
30 バスバー
35 凹部
40 被覆電線
41 導体
42 絶縁被覆
41X 露出導体
50 保持部材本体
51 ハーネス収容部
52 バスバー保持部
54 係止枠
57 付勢部
60 カバー
63 スバー支持片
352 下側脚部
351 下側延設部
633 凸条係止部
523 第一凸部
524 第二凸部
634 下端案内部
L 並列方向
D 開口
HD 下側
図1
図2
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