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  • 特開-異物検査装置及び異物検査方法 図1
  • 特開-異物検査装置及び異物検査方法 図2
  • 特開-異物検査装置及び異物検査方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008452
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】異物検査装置及び異物検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
G01N21/89 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110342
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518179302
【氏名又は名称】株式会社サラダクラブ
(72)【発明者】
【氏名】夛胡 健一
(72)【発明者】
【氏名】渡 泰一
(72)【発明者】
【氏名】井上 智
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB01
2G051BA06
2G051BB01
2G051CA04
2G051CB01
2G051CC07
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】 検査対象物の陰に隠れた異物であっても検出することができる異物検査装置及び異物検査方法を提供する。
【解決手段】 検査対象物Aを搬送する光透過性の搬送ベルト2と、検査対象物Aに光を照射する光源3と、検査対象物Aを撮像する撮像手段4と、を備え、撮像に基づいて、検査対象物Aに含まれる異物Bを検出する異物検査装置1である。光源3は、搬送ベルト2の下側から搬送ベルト2を介して検査対象物Aに光を照射する。また、撮像手段4は、搬送ベルト2の下側から搬送ベルト2を介して検査対象物Aを撮像する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を搬送する光透過性の搬送ベルトと、
前記検査対象物に光を照射する光源と、
前記検査対象物を撮像する撮像手段と、を備え、
前記撮像に基づいて、前記検査対象物に含まれる異物を検出する異物検査装置であって、
前記光源は、前記搬送ベルトの下側から前記搬送ベルトを介して前記検査対象物に光を照射し、
前記撮像手段は、前記搬送ベルトの下側から前記搬送ベルトを介して前記検査対象物を撮像する、異物検査装置。
【請求項2】
前記光源が照射する光の波長域には、近赤外線の波長域が含まれる、請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記検査対象物は、近赤外線を反射する葉緑素を含む、請求項2に記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記異物は、前記検査対象物に比べて近赤外線の吸収率が高い、請求項2に記載の異物検査装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、近赤外線の波長域において受光感度を有するモノクロカメラである、請求項2に記載の異物検査装置。
【請求項6】
特定波長域の光を通すフィルタをさらに備え、
前記撮像手段は、前記フィルタ及び前記搬送ベルトを介して前記検査対象物を撮像する、請求項1~5のいずれか1項に記載の異物検査装置。
【請求項7】
検査対象物を搬送する光透過性の搬送ベルトと、
前記検査対象物に光を照射する光源と、
前記検査対象物を撮像する撮像手段と、を用い、
前記撮像に基づいて、前記検査対象物に含まれる異物を検出する異物検査方法であって、
前記光源によって、前記搬送ベルトの下側から前記搬送ベルトを介して前記検査対象物に光を照射するステップと、
前記撮像手段によって、前記搬送ベルトの下側から前記搬送ベルトを介して前記検査対象物を撮像するステップと、を含む、異物検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異物検査装置及び異物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<背景技術の説明>
特許文献1には、検査対象物を搬送する搬送ベルトと、検査対象物に光を照射する光源と、検査対象物を撮像する撮像手段と、を備え、撮像手段の撮像に基づいて、検査対象物に混入した異物を検出する異物検出装置が開示されている。
【0003】
<特許文献1の説明>
しかしながら、特許文献1の異物検出装置では、検査対象物の陰に隠れた異物を検出することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-146251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
<背景技術の課題>
そこで、本開示は、検査対象物の陰に隠れた異物であっても検出することができる異物検査装置及び異物検査方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<請求項1の内容>
1つの側面では、以下のような解決手段を提供する。
(1)検査対象物を搬送する光透過性の搬送ベルトと、前記検査対象物に光を照射する光源と、前記検査対象物を撮像する撮像手段と、を備え、前記撮像に基づいて、前記検査対象物に含まれる異物を検出する異物検査装置であって、前記光源は、前記搬送ベルトの下側から前記搬送ベルトを介して前記検査対象物に光を照射し、前記撮像手段は、前記搬送ベルトの下側から前記搬送ベルトを介して前記検査対象物を撮像することを特徴とする。
【0007】
<請求項2の内容>
(2)上記(1)の構成において、前記光源が照射する光の波長域には、近赤外線の波長域が含まれることを特徴とする。
【0008】
<請求項3の内容>
(3)上記(2)の構成において、前記検査対象物は、近赤外線を反射する葉緑素を含むことを特徴とする。
【0009】
<請求項4の内容>
(4)上記(2)の構成において、前記異物は、前記検査対象物に比べて近赤外線の吸収率が高いことを特徴とする。
【0010】
<請求項5の内容>
(5)上記(2)の構成において、前記撮像手段は、近赤外線の波長域において受光感度を有するモノクロカメラであることを特徴とする。
【0011】
<請求項6の内容>
(6)上記(1)の構成において、特定波長域の光を通すフィルタをさらに備え、前記撮像手段は、前記フィルタ及び前記搬送ベルトを介して前記検査対象物を撮像することを特徴とする。
【0012】
<請求項7の内容>
(7)検査対象物を搬送する光透過性の搬送ベルトと、前記検査対象物に光を照射する光源と、前記検査対象物を撮像する撮像手段と、を用い、前記撮像に基づいて、前記検査対象物に含まれる異物を検出する異物検査方法であって、前記光源によって、前記搬送ベルトの下側から前記搬送ベルトを介して前記検査対象物に光を照射するステップと、前記撮像手段によって、前記搬送ベルトの下側から前記搬送ベルトを介して前記検査対象物を撮像するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、検査対象物の陰に隠れた異物であっても検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】異物検査装置の全体構成を示す概略図である。
図2】モノクロカメラの特性を示す図である。
図3】異物検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態の説明-1>
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0016】
<異物検査装置の構成-1>
図1は、異物検査装置の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、異物検査装置1は、検査対象物Aに混入又は付着した異物Bを検出する装置であり、搬送ベルト2、光源3、撮像手段4、フィルタ5及び制御部6を備える。
【0017】
<異物検査装置の構成-2>
検査対象物Aは、例えば、葉物野菜(キャベツ、レタス、小松菜、ほうれん草など)であり、近赤外線(波長域=780~2500nm)を反射する葉緑素を含んでいると、効果が高い。異物Bは、例えば、葉物野菜に混入する虫(鱗翅目の幼虫、半翅目であるカメムシ、直翅目であるバッタ、カマキリ目であるカマキリなど)であり、検査対象物Aに比べて近赤外線の吸収率が高い色(茶色、黒など)のものが効果が高い。以下、生食用葉物野菜(検査対象物A)の加工ラインに設置され、生食用葉物野菜に混入又は付着した虫(異物B)の検出に用いられる異物検査装置1について説明する。
【0018】
<搬送ベルトの構成-1>
搬送ベルト2は、ベルトコンベアの構成部品であり、ベルト上面に載置された検査対象物Aをベルト長手方向に搬送する。搬送ベルト2は、光透過性を有しており、特に近赤外線の透過率が高いものが望ましい。
【0019】
<光源の構成-1>
図1に示すように、光源3は、搬送ベルト2の下側に配置されており、搬送ベルト2の下側から搬送ベルト2を介して検査対象物Aに光を照射する。光源3は複数であることが望ましく、複数の光源3によって異なる方向から検査対象物Aに光を照射することで、影の発生を抑制できる。
【0020】
<光源の構成-2>
図2は、光源及びフィルタの特性を示す図である。
光源3が照射する光の波長域には、近赤外線の波長域が含まれる。例えば、図2に示すように、光源3として、ピーク波長が850nm(周辺波長は700~890nm)の近赤外LEDを用いることができる。このような光源3の出射光によれば、可視光に比べて搬送ベルト2を良好に透過するだけでなく、葉緑素を含む検査対象物Aに反射し、再び搬送ベルト2を透過することができる。
【0021】
<撮像手段の構成-1>
図1に示すように、撮像手段4は、搬送ベルト2の下側に配置されており、搬送ベルト2の下側から搬送ベルト2を介して検査対象物Aを撮像する。撮像手段4は、近赤外線の波長域において受光感度を有する。このような撮像手段4によれば、葉緑素を含む検査対象物Aは、近赤外線の反射率が高いため、撮像手段4の撮像において明るい像として現れる。また、異物Bは、近赤外線の吸収率が高いため、撮像手段4の撮像において暗い像として現れる。したがって、検査対象物Aの陰に隠れた異物Bであっても検出することが可能になる。
【0022】
<撮像手段の構成-2>
は、モノクロカメラの特性を示す図である。
本実施形態の撮像手段4には、赤外線カメラに比べて安価なモノクロカメラが用いられる。図に示すように、モノクロカメラは、近赤外線の波長域において受光感度を有しているため(950nm以下)、近赤外線の像を撮像する本実施形態の撮像手段4として用いることができる。ただし、一般的なモノクロカメラは、可視光の波長域においてより高い受光感度を備えるため、影の影響を抑制するためにフィルタ5が併用される。
【0023】
<フィルタの構成-1>
図1に示すように、フィルタ5は、搬送ベルト2と撮像手段4との間に配置される。フィルタ5は、通す光の波長域を特定可能であり、近赤外線のみを通すように特定波長域が選択される。つまり、撮像手段4は、光源3で照射される検査対象物Aを、フィルタ5及び搬送ベルト2を介して撮像することで、光源3及びフィルタ5の重複波長域の像が得られる。
【0024】
<制御部の構成-1>
制御部6は、撮像手段4の撮像に基づいて、検査対象物Aに含まれる異物Bを検出する。例えば、撮像手段4を構成するモノクロカメラが8ビット(256階調)のグレースケール画像を撮像する場合、制御部6は、グレースケール画像の階調に基づいて、検査対象物Aに含まれる異物Bを検出する。具体例としては、撮像を所定画素間隔のグリッドで区分けし、各グリッド領域の合計階調値を算出し、この合計階調値が所定の閾値以下のとき、そのグリッド位置に異物Bが存在すると判定する。
【0025】
<異物検査方法の説明-1>
つぎに、本実施形態の異物検査方法について、図1及び図を参照して説明する。
【0026】
<異物検査方法の説明-2>
本実施形態の異物検査方法は、前述した搬送ベルト2、光源3及び撮像手段4を用い、撮像手段4の撮像に基づいて、検査対象物Aに含まれる異物Bを検出する方法であり、図に示すように、3つのステップ(S1~S3)が含まれる。
【0027】
<異物検査方法の説明-3>
ステップ1では、光源3によって、搬送ベルト2の下側から搬送ベルト2を介して検査対象物Aに光を照射する。
ステップ2では、撮像手段4によって、搬送ベルト2の下側から搬送ベルト2を介して検査対象物Aを撮像する。
ステップ3では、撮像手段4の撮像に基づいて、検査対象物Aに含まれる異物Bを検出する。
【0028】
<実施形態の効果-1>
以上のように説明した本実施形態の異物検査装置1によれば、光源3は、搬送ベルト2の下側から搬送ベルト2を介して検査対象物Aに光を照射し、撮像手段4は、搬送ベルト2の下側から搬送ベルト2を介して検査対象物Aを撮像する。そのため、撮像手段4の撮像に基づいて、検査対象物Aの陰に隠れた異物Bも検出することが可能になる。
【0029】
<実施形態の効果-2>
また、光源3が照射する光の波長域には、近赤外線の波長域が含まれるので、可視光に比べて搬送ベルト2を良好に透過できるだけでなく、検査対象物Aに反射した光を搬送ベルト2を介して撮像手段4で撮像することが可能になる。
【0030】
<実施形態の効果-3>
また、検査対象物Aは、近赤外線を反射する葉緑素を含むので、撮像における検査対象物Aの識別が容易になる。
【0031】
<実施形態の効果-4>
また、異物Bは、検査対象物Aに比べて近赤外線の吸収率が高いので、撮像における検査対象物Aと異物Bとの識別が容易になる。
【0032】
<実施形態の効果-5>
また、撮像手段4は、近赤外線の波長域において受光感度を有するモノクロカメラであるため、高価な赤外線カメラを使用する場合に比べて、異物検査装置1のコスト削減が図れる。
【0033】
<実施形態の効果-6>
また、異物検査装置1は、特定波長域の光を通すフィルタ5をさらに備え、撮像手段4は、フィルタ5及び搬送ベルト2を介して検査対象物Aを撮像するので、特定波長領域の選択に基づいて、影の影響などを抑制できる。
【0034】
<変形例の説明-1>
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0035】
<変形例の説明-2>
例えば、前述した異物検査装置1では、撮像手段4としてモノクロカメラを使用しているが、撮像手段4は、赤外線カメラであってもよい。
【0036】
<変形例の説明-3>
また、前述した異物検査装置1では、搬送ベルト2の下側にのみ光源3を配置しているが、搬送ベルト2の上下両側に光源3を配置し、搬送ベルト2の上下両側から検査対象物Aに光を照射するようにしてもよい。
【0037】
<変形例の説明-4>
また、前述した異物検査装置1は、搬送ベルト2の下側にのみ撮像手段4を配置しているが、搬送ベルト2の上下両側に撮像手段4を配置し、搬送ベルト2の上下両側から検査対象物Aを撮像するようにしてもよい。このような変形例によれば、例えば、検査対象物Aが葉物野菜である場合、上下両側の撮像手段4の撮像に基づいて、葉物野菜の表面及び裏面に付着した虫(異物B)を同時に検出することが可能になる。
【0038】
<変形例の説明-5>
また、前述した異物検査装置1では、ピーク波長が850nmの光源3を使用しているが、光源3のピーク波長は、850nmに限定されないことは勿論であり、例えば、730~880nmの範囲で選択することができる。例えば、光源3のピーク波長が850nmの場合は、検出しにくい緑色系の虫と、葉緑素の少ないキャベツなどの葉物野菜との組合せであっても、混入した虫を高精度に検出することができる。これに対し、748nmの場合は、検出しにくい緑色系の虫と、葉緑素の少ないキャベツなどの葉物野菜との組合せでは、混入した虫の検出が難しくなる可能性があるが、検出しやすい色の虫と、葉緑素の多い葉物野菜との組合せでは、虫の検出が可能である。また、780nmの場合は、葉緑素の少ないキャベツなどの葉物野菜において、虫の検出精度が低下する傾向があるが、実用上問題のない検出精度が得られる。なお、730nm未満の場合は、モノクロカメラの受光感度は高いが、葉物野菜と虫の階調に差が生じにくく、虫の検出が困難になる。また、880nmを超える場合は、モノクロカメラの受光感度が低下するため、混入した虫の検出が難しくなる。
【符号の説明】
【0039】
1 異物検査装置
2 搬送ベルト
3 光源
4 撮像手段
5 フィルタ
6 制御部
A 検査対象物
B 異物
図1
図2
図3