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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085247
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20240619BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240619BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G02B30/56
H01L33/00 L
G02B5/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199670
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 肇
(72)【発明者】
【氏名】宮城 和宏
(72)【発明者】
【氏名】小谷 正和
【テーマコード(参考)】
2H148
2H199
5F142
【Fターム(参考)】
2H148FA01
2H148FA15
2H199BA32
2H199BA63
2H199BB17
2H199BB25
2H199BB52
2H199BB59
2H199BB67
2H199BB68
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD15
5F142CG03
5F142CG14
5F142DA13
5F142DA64
5F142DB20
5F142DB24
5F142GA01
(57)【要約】
【課題】簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る画像表示装置は、結像素子と、複数の光源と、を備える。前記結像素子は、前記複数の光源の光を反射して、複数の結像を空中に形成する。前記結像素子は、第1面を有する基材と、前記基材上のリフレクタアレイと、を有する。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って、複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に平行に配列される。前記複数の2面直交リフレクタは、第1反射面と、前記第1反射面に直交する第2反射面と、をそれぞれ含む。前記2面直交リフレクタの傾きは、前記第1面側に結像するように設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源の光を反射して、複数の結像を空中に形成する結像素子と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する第1直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定された画像表示装置。
【請求項2】
前記複数の光源は、前記第1方向および前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿って配置されるとともに、前記結像素子に光を照射し、
前記結像素子は、前記複数の結像を異なる位置に形成する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記複数の光源は、前記第1方向および前記第2方向を含む平面と平行である第4方向に沿って配置されるとともに、前記結像素子に光を照射し、
前記結像素子は、前記複数の結像を異なる位置に形成する請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記複数の光源は、第1光源と第2光源とを含み、
前記第2光源は、前記第1光源と前記結像素子とを結んだ第2直線上に配置された請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
光源と、
前記光源からの光を反射して結像を空中に形成する複数の結像素子と、
を備え、
前記結像素子のそれぞれは、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する第1直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定された画像表示装置。
【請求項6】
前記複数の結像素子は、前記第1方向および前記第2方向を含む平面と交差する第5方向に沿って配置されるとともに、前記光源からの光を反射し、
前記複数の結像素子は、前記第5方向に沿って前記複数の結像をそれぞれ異なる位置に形成する請求項5記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記複数の結像素子は、前記第1方向および前記第2方向を含む平面と平行である第6方向に沿って配置されるとともに、前記光源からの光を反射し、
前記複数の結像素子は、前記第6方向に沿って前記複数の結像をそれぞれ異なる位置に形成する請求項5記載の画像表示装置。
【請求項8】
複数の光源と、
前記複数の光源の光を反射して、複数の結像をそれぞれ空中に形成する結像素子と、
を備え、
前記結像素子は、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列され、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する第1直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定された画像表示装置。
【請求項9】
光源と、
前記光源の光を反射して、結像を空中にそれぞれ形成する複数の結像素子と、
を備え、
前記結像素子のそれぞれは、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含み、
前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列され、
前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含み、
前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する第1直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定され、
前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含み、
前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定された画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被観察物の実像を空中に表示する反射型結像光学素子およびこれを応用した画像表示装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような画像表示装置は、利用者の必要なときに画像を表示し、その他の場合には、画像を非表示にすることが可能である。また、このような画像表示装置は、空中に画像を表示することから、表示部分の装置が不要である。そのため、自動車内などの限られた空間をより有効に活用できる等のメリットがある。
【0004】
また、このような画像表示装置を応用することにより、非接触型の操作パネルを実現することができる。そのため、自動車内などの利用に加えて、応用分野の広がりが期待される。
【0005】
空中に画像表示できる反射型結像光学素子として、2面直交リフレクタを用いたものや、コーナーキューブリフレクタと呼ばれる再帰性反射機能を有する光学素子を用いたものが実用化されている(たとえば、特許文献2等参照)。それぞれの動作原理により、問題点が指摘されている。たとえば、2面直交リフレクタを用いる結像素子を用いた画像表示装置では、利用者の意図しない場所に虚像が表示されることを回避することが困難であるとされている。
【0006】
コーナーキューブリフレクタを用いた画像表示装置では、光源および結像素子に加えて光学素子を用いることにより、結像の形成位置を比較的自由に設定することができる。一方で、そのための光学素子の構成が複雑になる。
【0007】
簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-146009号公報
【特許文献2】国際公開第2016/199902号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態は、簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、複数の光源と、前記複数の光源の光を反射して、複数の結像を空中に形成する結像素子と、を備える。前記結像素子は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含む。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含む。前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する第1直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、光源と、前記光源からの光を反射して結像を空中に形成する複数の結像素子と、を備える。前記結像素子のそれぞれは、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含む。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含む。前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面とが交差する第1直線と、前記第1方向および前記第1方向に交差する第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に離れるほど大きい値に設定される。
【0012】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、複数の光源と、前記複数の光源の光を反射して、複数の結像をそれぞれ空中に形成する結像素子と、を備える。前記結像素子は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含む。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列される。前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含む。前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する第1直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、光源と、前記光源の光を反射して、結像を空中にそれぞれ形成する複数の結像素子と、を備える。前記結像素子のそれぞれは、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材と、前記基材上に設けられたリフレクタアレイと、を含むか、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を有する基材に設けられたリフレクタアレイと、を含む。前記リフレクタアレイは、第1方向に沿って設けられた複数の2面直交リフレクタを含む複数のリフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行は、前記第1方向に交差する第2方向に互いに間隔をあけて平行に配列される。前記複数の2面直交リフレクタは、前記第1面の側からの光を反射するように設けられた第1反射面と、前記第1反射面に直交するように設けられ、前記第1反射面からの反射光を前記第1面の側に反射するように設けられた第2反射面と、をそれぞれ含む。前記複数のリフレクタ行のそれぞれでは、前記第1反射面と前記第2反射面が交差する第1直線と、前記第1方向および前記第2方向を含む仮想平面と、の間の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記第1反射面と前記仮想平面との間の角度は、45°よりも大きく、90°よりも小さい値に設定される。前記複数のリフレクタ行は、前記複数のリフレクタ行のうち、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、もっとも小さい値に設定された第1リフレクタ行を含む。前記複数のリフレクタ行のうち、残りのリフレクタ行は、前記第1直線と前記仮想平面との間の角度が、前記第1リフレクタ行から前記第2方向に沿って一方向に離れるほど大きい値に設定される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図2】第1の実施形態に係る画像表示装置の表示装置、結像素子および結像のそれぞれの位置を説明するための模式図である。
図3A】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置を例示する模式的な平面図である。
図3B図3AのIIIB部の模式的な拡大図である。
図4A図3BのIVA-IVA線における模式的な矢視断面図である。
図4B】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置の変形例を例示する模式的な断面図である。
図5】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置を例示する模式的な等価回路図である。
図6】画像表示装置の一部である結像素子を例示する模式的な平面図である。
図7図6の結像素子の一部である基材を例示する模式的な斜視図である。
図8図6のVIII部の模式的な拡大図である。
図9A図8の結像素子の一部である2面直交リフレクタを例示する模式的な平面図である。
図9B図9AのIXB-IXB線における模式的な矢視断面図の例である。
図9C図9Aの2面直交リフレクタの動作を説明するための模式的な斜視図である。
図9D図9Aの2面直交リフレクタの動作を説明するための模式的な斜視図である。
図10図6の結像素子を例示する模式的な側面図である。
図11図6の結像素子を例示する模式的な側面図である。
図12A】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の変形例を例示する模式的な側面図である。
図12B】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の他の変形例を例示する模式的な側面図である。
図13】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な平面図である。
図14】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な側面図である。
図15】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な側面図である。
図16】第2の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図17】第2の実施形態に係る画像表示装置の表示装置、結像素子および結像のそれぞれの位置を説明するための模式図である。
図18】第3の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図19】第4の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図20】第4の実施形態に係る画像表示装置の表示装置、結像素子および結像のそれぞれの位置を説明するための模式図である。
図21】第5の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像表示装置1000は、結像素子310aと、複数の表示装置1100a、1100bと、を備える。画像表示装置1000は、制御装置1410と、撮像部1430と、をさらに備える。画像表示装置1000は、カメラ用照明1440を備えてもよい。
【0018】
図1の例の画像表示装置1000では、結像素子310a、表示装置1100a、1100bおよび制御装置1410は、筐体1300内に配置されている。制御装置1410は、表示装置1100a、1100bとともに筐体1300の上部に配置され、表示装置設置部1340内に配置されている。結像素子310aは、筐体1300内の下部に配置された結像素子設置部1330上に配置されている。筐体1300には、窓枠1322によって区画された開口が設けられ、筐体1300の窓枠1322には窓部材1320が配置されている。窓部材1320は、透光性を有する。
【0019】
画像表示装置1000の説明に際しては、3次元直交座標系を用いて説明することがある。画像表示装置1000の説明のための3次元直交座標系は、α軸、β軸およびγ軸を含む直交座標系である。α軸に平行な方向を「α方向」といい、β軸に平行な方向を「β方向」といい、γ軸に平行な方向を「γ方向」ということがある。
【0020】
図1の例では、α軸およびβ軸を含むαβ平面は、画像表示装置1000が載置された平面1に平行な平面である。α方向は、画像表示装置1000の奥行方向であるものとする。β方向は、画像表示装置1000の幅方向であるものとする。γ軸はαβ平面に直交しており、γ方向は画像表示装置1000の高さ方向であるものとする。
【0021】
2つの表示装置1100a、1100bは、αβ平面に略平行な平面に並んで配置されている。2つの表示装置1100a、1100bは、α方向に沿って配置されている。結像素子310aは、β方向に平行であって、αβ平面から0°以上の角度δを有する平面上に配置されている。なお、角度δを有する平面は、図7図12Aおよび図12Bに関連して後述する結像素子310aの第1面311aおよび仮想平面P0に平行な平面であり、X2Y2平面に平行な面である。つまり、α方向(第3方向)とは、角度δでX2Y2平面に交差する方向である。
【0022】
表示装置1100aは、光Laを結像素子310aに向けて出射するように配置される。表示装置1100bは、光Lbを結像素子310aに向けて出射するように配置される。
【0023】
結像素子310aでは、図6および図8に関連して後に詳述するリフレクタ行22は、上面視において、表示装置1100a、1100bが配置される方向に直交する方向に沿って延伸し、複数のリフレクタ行22は、表示装置1100a、1100bが配置される方向に沿って、後述するX2Y2平面上に並んで配置される。つまり、リフレクタ行22は、γ方向から見たときに、α方向に直交する方向、すなわちβ方向に沿って延伸し、複数のリフレクタ行は、α方向に沿って、後述するX2Y2平面上に並んで配置される。
【0024】
結像素子310aは、光Laを入射し反射光Raを出射し、光Lbを入射し反射光Rbを出射するように配置される。反射光Ra、Rbを出射する角度は、第1面311aおよび仮想平面P0の法線方向である。つまり、反射光Ra、Rbは、αβ平面からほぼ90°-δの角度で出射される。出射された反射光Ra、Rbは、結像I1a、I1bをそれぞれ形成する。
【0025】
表示装置1100a、1100b、結像素子310aおよび結像I1a、I1bのそれぞれの位置について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る画像表示装置の表示装置、結像素子および結像のそれぞれの位置を説明するための模式図である。
図2は、画像表示装置1000が表示する結像I1a、I1bを観測する観測者O1の位置も合わせて示されている。図2は、画像表示装置1000、結像I1a、I1bおよび観測者O1をγ軸の正方向から負方向に向かって見た場合の模式図である。図2では、図6図15に関連して詳述する結像素子310aのリフレクタ行22は、α方向に幅を有しているが、図示の煩雑さを避けるため、リフレクタ行22ごとに直線で示されている。後述する図17および図20についても同様である。
【0026】
α軸の正方向を観測者O1から画像表示装置1000へ向かう方向とすると、図2に示すように、表示装置1100a、1100bは、α軸の正方向に向かってこの順で配置されている。表示装置1100aおよび結像素子310aは、α方向に並んで配置され、表示装置1100bおよび結像素子310aも、α方向に並んで配置されている。結像素子310aは、リフレクタ行22がα方向に直交し、β方向に平行な方向となるように配置されている。
【0027】
表示装置1100aから出射された光Laは、結像素子310aで反射され、結像素子310aは、反射光Raを出射する。反射光Raは結像して、結像I1aを形成する。表示装置1100bから出射された光Lbは、結像素子310aで反射され、結像素子310aは、反射光Rbを出射する。反射光Rbは、結像して、結像I1bを形成する。結像I1a、I1bは、画像表示装置1000と観測者O1との間に形成される。表示装置1100aの位置が、表示装置1100bの位置よりも観測者O1に近いので、結像I1aが形成される位置は、結像I1bが形成される位置よりも観測者O1に近い。また、表示装置1100aの位置が、表示装置1100bの位置よりも-α方向の位置にあるので、結像I1aが形成される位置は、結像I1bが形成される位置よりも-γ方向の位置になる。
【0028】
表示装置1100a、1100bの位置および光の出射面のαβ平面からの角度を適切に設定し、結像素子310aの位置および第1面311aのαβ平面からの角度を適切に設定することによって、図2の例のように、結像I1a、I1bをα方向に並べて形成することができる。これに限らず、結像I1a、I1bのそれぞれの形成位置は任意に設定される。結像I1a、I1bのそれぞれの形成位置を結像が重ならないように設定した場合には、観測者O1は、2つの結像を観測することができる。2つの結像は、同一の画像であってもよいし、異なる画像であってもよい。表示装置を3つ以上とすることによって、異なる形成位置に3つ以上の結像を形成することができる。
【0029】
図1に戻って説明を続ける。
本実施形態に係る画像表示装置1000は、制御装置1410および撮像部1430を備えることによって、観測者O1の位置に応じて、適切な位置に結像I1a、I1bを形成することができる。より具体的には、撮像部1430は、観測者O1を撮像し、観測者O1の位置の情報を含む画像データを生成し、制御装置1410に出力する。制御装置1410は、画像データを画像処理して、観測者O1の位置を検出する。制御装置1410は、検出された観測者O1の位置にもとづいて、表示装置1100a、1100bのそれぞれの位置および光の出射角度を調整し、結像I1a、I1bの位置を修正する。
【0030】
カメラ用照明1440を設ける場合には、カメラ用照明1440は、撮像部1430が撮像する観測者O1を照らすように、たとえば、画像表示装置1000の前面の一部に配置される。カメラ用照明を設けることによって、撮像部1430は、より鮮明に観測者O1を撮像することができ、制御装置1410は、より正確に観測者O1の位置を検出することができる。
【0031】
画像データに観測者O1の目や瞳の位置の情報を含むようにすることによって、制御装置1410は、観測者O1の目や瞳の位置に応じて結像I1a、I1bの形成される位置を調整することができる。このようにすることによって、観測者O1が見ている位置を推定することが可能になり、より適切な位置に結像I1a、I1bの形成される位置を調整することができる。
【0032】
撮像部1430およびカメラ用照明1440は、可視光による画像を取得する場合に限らず、たとえば赤外光による画像を取得するようにしてもよい。観測者O1は、結像I1a、I1bを観測している場合には、結像I1a、I1bを形成している光は観測者O1を照射している。結像I1a、I1bを形成する光の照射を受けた観測者O1を撮像すると、照射された光がノイズとなって、観測者O1の目や瞳の位置を検出することが困難になる場合がある。撮像部1430およびカメラ用照明1440を赤外光の画像を取得できるようにすることにより、画像データからノイズを除去することができ、観測者O1の目や瞳の位置をより正確に検出することが可能になる。
【0033】
結像素子310aは、第1面311aおよび仮想平面P0が筐体1300の底面に対して傾斜するように結像素子設置部1330上に配置されている。結像素子310aは、表示装置1100a、1100bが出射した光La、Lbを入射して、斜め上方に向かう反射光Ra、Rbとして出射する。反射光Ra、Rbは、第1面311aおよび仮想平面P0の略法線方向に出射される。結像素子310aは、反射光Ra、Rbを出射する方向に第1面311aを支持するように設けられた結像素子設置部1330に配置されて固定される。仮想平面P0については、図7に関連して後述する。
【0034】
筐体1300は、結像素子310a、表示装置1100a、1100bおよび制御装置1410を内部の適切な位置に配置するように、任意の適切な外形形状を有する。
【0035】
筐体1300は、遮光部材1310を有する。画像表示装置1000では、遮光部材1310は、筐体1300の一部である。遮光部材1310は、たとえば、筐体1300の内壁に配置された光吸収層である。光吸収層は、たとえば黒色の塗料の塗布層である。画像表示装置1000では、筐体1300の内壁に遮光部材1310を配置することによって、表示装置1100および結像素子310aから出射される光の一部が筐体1300内で反射して迷光となることを抑制する。なお、遮光部材1310は塗料の塗布層であり、筐体1300の構成材の厚さに比べて十分に薄いため、図1では、筐体1300の内壁の面として表されている。
【0036】
窓部材1320は、筐体1300の一部に設けられている。窓部材1320は、筐体1300の一部に形成された開口である窓枠1322の位置に配置されている。窓枠1322は、結像素子310aの第1面311aに対向する位置に開口されている。窓部材1320は、結像素子310aが反射光Ra、Rbを画像表示装置1000の外部に出射できるように、ガラスや透明樹脂等の透光性を有する材料で形成されている。
【0037】
結像素子310aは、第1面311a上に行列状に配置された複数の2面直交リフレクタ30を有している。第1面311aは、窓枠1322の開口および窓部材1320とほぼ平行に配置される。2面直交リフレクタ30は、第1反射面31と第2反射面32とを有しており、それぞれの反射面で1回ずつ反射して、2面直交リフレクタ30の2回反射光が反射光Ra、Rbとして出射される。結像素子310aの構成については、図6図15に関連して後述する。窓部材1320および窓枠1322は、結像素子310aの2回反射光を透過するように設けられる。
【0038】
画像表示装置1000では、結像素子310aの略直上に画像I1a、Ib1を形成するように、表示装置1100および結像素子310aが配置されている。結像素子310aの直上とは、第1面311aの法線方向の位置である。このような配置の場合には、結像素子310aは、1回反射光の一部も第1面311a側に出射され、第1面311aの側で虚像やゴーストを形成することがある。また、結像素子310aの構成によっては、いずれの反射面でも反射されない光が第1面311a側に出射される場合もある。したがって、遮光部材1310は、筐体1300の内壁のうち、少なくとも、表示装置1100からの漏れ光や、結像素子310aの2回反射光以外の光を遮光する位置に配置される。
【0039】
結像素子310aから出射される反射光Ra、Rbは、窓部材1320を透過して、筐体1300の外部で画像I1a、I1bをそれぞれ形成する。窓部材1320は、結像素子310aと、画像I1a、I1bが形成される位置との間に配置される。観測者O1がいる場合には、画像I1a、I1bは、観測者O1と窓部材1320との間に形成される。
【0040】
上述の具体例では、筐体1300の内壁に遮光部材1310を配置するものとしたが、表示装置1100や結像素子310aから放射される漏れ光を遮ることができれば遮光部材1310を内壁に配置する場合に限らない。たとえば、表示装置1100の周囲を黒色塗装した筒体で囲むことによって、表示装置1100からの漏れ光を遮光することができる。結像素子310aの基材を黒色樹脂等で形成することによって、結像素子310aの2回反射光以外の光を遮光することができる。
【0041】
表示装置1100の構成について、詳細に説明する。
図3Aは、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置を例示する模式的な平面図である。
図3Bは、図3AのIIIB部の模式的な拡大図である。
図4Aは、図3BのIVA-IVA線における模式的な矢視断面図である。
図1に示した複数の表示装置1100a、1100bは、同一の構成を備えている。図3A図5に関連して表示装置の構成を説明する場合には、表示装置1100a、1100bを表示装置1100として説明する。
【0042】
表示装置1100の説明に際しては、3次元直交座標系を用いて説明することがある。表示装置1100の説明のための3次元直交座標系は、X1軸、Y1軸およびZ1軸を含む直交座標系である。X1軸に平行な方向を「X1方向」といい、Y1軸に平行な方向を「Y1方向」といい、Z1軸に平行な方向を「Z1方向」ということがある。X1軸およびY1軸を含むX1Y1平面は、表示装置1100の基板の第1面1111aに平行な面であるものとする。第1面1111aは、LED素子が配置され、画素形成領域1112Rが設けられた面である。X1軸は、表示装置1100の画素の行に平行である。Y1軸は、X1軸に直交する。Z1軸は、X1軸およびY1軸に直交し、第1面1111aから第2面1111bに向かって正方向とする。第2面1111bは、基板1110の第1面1111aの反対側に位置する面である。
【0043】
X1Y1Z1直交座標系によれば、表示装置1100は、主として、Z1軸の負方向に向かって光を出射する。図1に示したように、結像素子310aは、表示装置1100が光を出射する側に配置されている。つまり、結像素子310aは、表示装置1100のZ1軸の負方向の側に配置されている。
【0044】
図3Aに示すように、表示装置1100は、X1Y1平面視でほぼ矩形の基板1110を有している。基板1110は、たとえばガラスやポリイミド等の樹脂を用いることができ、Si基板を用いてもよい。表示装置1100においては、光軸C1は、X1Y1平面視において、基板1110の外周がなす形状の中心と一致する。光軸C1は、Z1軸に平行な軸である。光軸C1をZ1軸に一致するものとすると、表示装置1100は、6軸制御により、光軸C1を中心に回転することができる。
【0045】
光軸C1を中心にして、基板1110上に画素形成領域1112Rが設けられている。画素形成領域1112Rには、図3Bに示す画素1112が行列状に配置されている。図3Aに示す例では、画素形成領域1112Rは、ほぼ正方形であるが、任意の形状とすることができる。つまり、画素1112の配列が形成する外周は、任意の形状とすることができる。
【0046】
図3Bに示すように、表示装置1100は、光源となる複数の画素1112を含んでいる。表示装置1100は、複数の画素1112により、所望の画像を表示する。表示装置1100は、制御装置1410に電気的に接続される。表示制御部1416は、表示装置1100が表示する画像に関するデータを表示装置1100に供給する。表示装置1100は、表示制御部1416から供給される画像に関するデータにもとづいて、静止画や動画等を表示する。
【0047】
表示装置1100は、基板1110と、複数の画素1112と、走査回路1130と、複数の走査線1140と、複数の点灯制御線1150と、駆動回路1160と、複数の信号線1170と、を含む。画素1112は、LED素子1120と、個別回路1180と、を含む。なお、図3Bでは、LED素子1120、走査回路1130、駆動回路1160、および個別回路1180は、図示の煩雑さを避けるため、それぞれ四角形で簡易的に示されている。
【0048】
複数のLED素子1120は、行列状に配列されている。以下、X1方向に1行で並ぶ複数のLED素子1120を「行1120i」と言う。
【0049】
図4Aに示すように、基板1110は、第1面1111aと第2面1111bとを有する。第2面1111bは、第1面1111aの反対側の面である。LED素子1120は、第1面1111a上に行列状に配置されている。LED素子1120は、第1面1111a上にフェースダウン実装される。LED素子は、フェースダウン実装に限らず、第1面1111a上にフェースアップ実装されてもよい。
【0050】
LED素子1120は、半導体積層体1121と、アノード電極1125と、カソード電極1126と、を有する。半導体積層体1121は、p型半導体層1122と、p型半導体層1122上に配置された活性層1123と、活性層1123上に配置されたn型半導体層1124と、を有する。半導体積層体1121には、たとえばInAlGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体が用いられる。LED素子1120が発光する光は、本実施形態では可視光である。
【0051】
アノード電極1125は、p型半導体層1122に電気的に接続される。また、アノード電極1125は、図5に関連して後述する個別回路1180の配線1181に電気的に接続される。なお、図4Aおよび図4Bに示す例では、個別回路1180は、Si基板に形成されている。カソード電極1126は、n型半導体層1124に電気的に接続される。また、カソード電極1126は、個別回路1180の別の配線1182に電気的に接続される。アノード電極1125およびカソード電極1126には、たとえば金属材料を用いることができる。
【0052】
図4Aに示す例では、LED素子1120の光出射面1124Sには、複数の凹部1124Tが設けられている。以下では、「LED素子の光出射面」とは、LED素子の表面のうち、主として光が出射する面を意味する。図4Aに示す例では、光出射面1124Sは、n型半導体層1124の一方の面である。より具体的には、光出射面1124Sは、n型半導体層1124が活性層1123に対向する面の反対側に位置する面である。
【0053】
光出射面1124Sに複数の凹部1124Tを形成する方法は、凸部が形成された成長基板上にn型半導体層を成長させる方法やn型半導体層の表面を異方性エッチングにより粗面加工する方法等がある。なお、成長基板は所定のタイミングで剥離され得る。
【0054】
このように、LED素子1120の光出射面1124Sに複数の凹部1124Tが設けられているので、LED素子1120は、より大きな配光角を有する光を出射することができる。
【0055】
LED素子の構成は、上記に限定されない。たとえば、LED素子の光出射面には複数の凹部ではなく複数の凸部が設けられていてもよいし、複数の凹部および複数の凸部の両方が設けられていてもよい。また、成長基板が透光性を有する場合、半導体積層体から成長基板を剥離せず、光出射面に相当する成長基板の表面に複数の凹部および複数の凸部の少なくとも一方を設けてもよい。
【0056】
また、表示装置1100の構造も、上記に限定されない。上記ではLED素子1120は個別回路1180を設けた基板1110上に個別実装されているが、LED素子1120は個別回路1180を設けた基板1110上にボンディングされた半導体積層体から個別に加工され配線されてもよい。
【0057】
図4Bは、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置の変形例を例示する模式的な断面図である。
図4Bは、図3BのIVA-IVA線における矢視断面図に対応しており、図4Aに示した位置と同じ位置における矢視断面図を表している。
図4Bに示すように、画素1112aは、LED素子1120aと、波長変換部材1128とを含んでいる。画素1112aは、図3Bに示した画素1112と同様に、個別回路1180を含んでいる。画素1112aは、図4Bに示す例のように、カラーフィルタ1129をさらに含んでもよい。
【0058】
この変形例では、LED素子1120aは、半導体積層体1121aと、アノード電極1125と、カソード電極1126と、を有する。半導体積層体1121aは、p型半導体層1122と、活性層1123と、n型半導体層1124aと、を有する。活性層1123はp型半導体層1122上に配置され、n型半導体層1124aは活性層1123上に配置されている。n型半導体層1124aは、光出射面1124aSを有する。光出射面1124aSは、凹部や凸部を有しておらず平坦な面である。
【0059】
画素1112aでは、保護層1127は、LED素子1120a、配線1181、1182および基板1110の第1面1111aを覆っている。保護層1127には、たとえば、硫黄(S)含有置換基もしくはリン(P)原子含有基を有する高分子材料、または、ポリイミド等の高分子マトリックスに高屈折率の無機ナノ粒子を導入した高屈折率ナノコンポジット材料等の透光性材料を用いることができる。
【0060】
波長変換部材1128は、保護層1127上に配置される。波長変換部材1128は、一般的な蛍光体材料、ペロブスカイト蛍光体材料または量子ドット(Quantum Dot、QD)等の波長変換材料を1種以上含む。LED素子1120aから出射した光は、波長変換部材1128に入射する。波長変換部材1128に含まれる波長変換材料は、LED素子1120aから出射した光のピーク波長を異なるピーク波長の光に変換して出射する。波長変換部材1128に入射された光は、波長変換部材1128内で散乱されるので、波長変換部材1128が発する光は、より広い配光角で出射される。
【0061】
カラーフィルタ1129は、波長変換部材1128上に配置される。カラーフィルタ1129は、LED素子1120aから出射し、波長変換部材1128で波長変換されなかった光の大部分を遮断可能である。これにより、画素1112aからは、主に波長変換部材1128が発する光が出射する。
【0062】
この変形例においては、LED素子1120aの発光ピーク波長は、紫外光の領域であってもよいし、可視光の領域であってもよい。なお、少なくとも1つの画素1112aから青色光を出射させたい場合には、その画素1112aには、波長変換部材1128およびカラーフィルタ1129を設けずに、その画素1112aに属するLED素子1120aから青色光を出射させてもよい。
【0063】
また、LED素子において基板と対向するようにn型半導体層を設け、その上に活性層およびp型半導体層をこの順で積層し、p型半導体層において活性層と対向する面の反対側の面を、LED素子の光出射面としてもよい。
【0064】
図3Bに示すように、走査回路1130は、たとえば、平面視において行列状に配列された複数のLED素子1120とX1方向において隣り合うように基板1110に配置されている。つまり、走査回路1130は、図2に示した画素形成領域1112RのX1方向に平行な外縁に隣り合うように配置されている。走査回路1130は、駆動する行1120iをY1方向に順次切り替え可能な回路である。走査回路1130からは、複数の走査線1140がX1方向に延びている。また、走査回路1130からは、複数の点灯制御線1150がX1方向に延びている。複数の走査線1140および複数の点灯制御線1150は、Y1方向に交互に並んでいる。
【0065】
駆動回路1160はX1Y1平面視において、行列状に配列された複数のLED素子1120とY1方向において隣り合うように基板1110に配置されている。つまり、駆動回路1160は、図3Aに示した画素形成領域1112RのY1方向に平行な外縁に隣り合うように配置されている。駆動回路1160は、駆動させる行1120iに属するLED素子1120のそれぞれの出力を制御可能な回路である。駆動回路1160からは、複数の信号線1170がY1方向に延びている。複数の信号線1170は、X1方向に並んでいる。駆動回路1160は、ICチップにより構成し、このICチップを基板1110上に実装してもよい。
【0066】
走査回路1130、複数の走査線1140、複数の点灯制御線1150、駆動回路1160、複数の信号線1170および個別回路1180は、たとえば、基板1110上に低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicon)プロセスで形成され得る。
【0067】
この例では、1つの画素1112は、1つの個別回路1180と1つのLED素子1120とを含んでいる。1つの画素1112内に、複数のLED素子1120を含んでもよい。1つの画素1112内に複数のLED素子1120を含む場合には、1つの個別回路が複数のLED素子に対応してもよい。あるいは、個別回路1180は、1つの画素1112内でLED素子1120ごとに設けられてもよい。
【0068】
図5は、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である表示装置を例示する模式的な等価回路図である。
図5に示すように、個別回路1180は、第1トランジスタT1と、第2トランジスタT2と、第3トランジスタT3と、キャパシタCmと、複数の配線1181~1185と、を含む。第1トランジスタT1および第3トランジスタT3は、nチャネルのMOSFETである。第2トランジスタT2は、pチャネルのMOSFETである。
【0069】
LED素子1120のカソード電極1126は、配線1182を介して接地線1191に電気的に接続される。接地線1191には、たとえば基準となる電圧が印加される。LED素子1120のアノード電極1125は、配線1181を介して第1トランジスタT1のソース電極に電気的に接続される。
【0070】
第1トランジスタT1のゲート電極は、点灯制御線1150に電気的に接続される。第1トランジスタT1のドレイン電極は、配線1183を介して第2トランジスタT2のドレイン電極に電気的に接続される。第2トランジスタT2のソース電極は、配線1184を介して電源線1192に電気的に接続される。電源線1192には、基準となる電圧よりも十分に高い電圧が印加される。図示しないが、電源線1192および接地線1191には直流電源が接続され、電源線1192と接地線1191との間には、接地線1191に印加される基準の電圧に対して正の直流電圧が印加される。
【0071】
第2トランジスタT2のゲート電極は、配線1185を介して第3トランジスタT3のドレイン電極に電気的に接続される。第3トランジスタT3のソース電極は、信号線1170に電気的に接続される。第3トランジスタT3のゲート電極は、走査線1140に電気的に接続される。
【0072】
配線1185は、キャパシタCmの一方の端子に電気的に接続される。キャパシタCmの他方の端子は、電源線1192に電気的に接続される。
【0073】
走査回路1130は、複数の行1120iのうちの1行を選択し、この行1120iに電気的に接続される走査線1140に、ON信号を出力する。これにより、この行1120iに対応する個別回路1180の第3トランジスタT3がON可能な状態になる。駆動回路1160は、各信号線1170に、この行1120iに属する各LED素子1120の設定出力に応じた駆動信号電圧を有する駆動信号を出力する。これにより、キャパシタCmに駆動信号電圧が保持される。また、この駆動信号電圧により、この行1120iに対応する個別回路1180の第2トランジスタT2がON可能な状態になる。
【0074】
また、走査回路1130は、この行1120iに電気的に接続される点灯制御線1150に、この行1120iの第1トランジスタT1のONとOFFを順次切り替える制御信号を出力する。第1トランジスタT1がONの状態では、この行1120iに属する各LED素子1120に、キャパシタCmに保持されている駆動信号電圧に応じた電流が流れることでLED素子1120の発光輝度が制御される。また、第1トランジスタT1のONとOFFが切り替わることにより、LED素子1120の発光期間が行1120iごとに制御される。
【0075】
走査回路1130は、ON信号を出力する走査線1140および制御信号を出力する点灯制御線1150をY1方向に順次切り替える。これにより、駆動される行1120iがY1方向に順次切り替わる。
【0076】
走査回路、複数の走査線、複数の点灯制御線、駆動回路、複数の信号線および複数の個別回路等の構成は、上記に限定されない。たとえば、個別回路は、第2トランジスタ、第3トランジスタ、キャパシタ、および配線からなり、第1トランジスタが設けられておらず、走査回路からは、複数の走査線が延び、点灯制御線は設けられていなくてもよい。また、各走査線、各点灯制御線、各信号線、および各個別回路における配線等は、基板の表面上ではなく、基板の中に設けられてもよい。また、駆動回路に含まれるトランジスタやキャパシタ等の電気的な素子は、基板上に形成するのではなく別途製造されたものを、基板上に実装してもよい。また、LED素子は、別途製造されたものを基板に実装するのではなく、基板にSi等の半導体材料を用い、LED素子を基板上に形成してもよい。この場合は、各トランジスタ素子はガラス基板上に設けられた低温ポリシリコン素子ではなく、シリコン基板上に設けられたシリコン半導体素子でよい。
【0077】
上述のようなLED素子を有する表示装置は、小さな消費電力で十分な発光輝度が実現される点で好ましいが、これに限るものではない。上述のようなLED素子を用いたLEDディスプレイに代えて、表示装置は、OLEDディスプレイや液晶ディスプレイ等としてもよい。
【0078】
次に、結像素子310aの構成について、詳細に説明する。
図6は、画像表示装置の一部である結像素子を例示する模式的な平面図である。
図1に示したように、本実施形態に係る画像表示装置1000は、結像素子310aを備える。結像素子は、その構成によりさまざまなバリエーションがあり、図1に示した結像素子310aは、そのうちの1つである。以下では、空中に結像を形成する結像素子の動作原理を含めて説明する。まず、結像素子10の構成および動作について説明する。
【0079】
図6に示すように、結像素子10は、基材12と、リフレクタアレイ20と、を備える。基材12は、第1面11aを有しており、リフレクタアレイ20は、第1面11a上に設けられている。図6に示す例では、リフレクタアレイ20は、第1面11aのリフレクタ形成領域14内に設けられている。リフレクタアレイ20は、複数のリフレクタ行22を含む。なお、リフレクタアレイ20は基材12に設けられていてもよい。つまりリフレクタアレイ20と基材12とは一体であってもよい。この場合、基材12の第1面11aが後述するリフレクタアレイ20の2面直交リフレクタとなる。
【0080】
基材12の構成について説明する。
図7は、図6の結像素子の一部である基材を例示する模式的な斜視図である。
図7に示すように、基材12は、第1面11aおよび第2面11bを有している。第2面11bは、第1面11aの反対側に位置する面である。
【0081】
結像素子に関する説明では、図3A等で示した表示装置1100の説明における3次元直交座標系とは異なる3次元直交座標系を用いることがある。結像素子の説明のための3次元直交座標系は、X2軸、Y2軸およびZ2軸を含む直交座標系である。X2軸に平行な方向を「X2方向」といい、Y2軸に平行な方向を「Y2方向」といい、Z2軸に平行な方向を「Z2方向」ということがある。X2軸およびY2軸を含むX2Y2平面は、仮想平面P0に平行な平面として定義される。第1面11aは、第2面11bよりもZ2軸の正方向の側に設けられる。第1面11aは、Y2Z2平面視で、Z2軸の負方向側に凸となる円弧の一部を含んでいる。以下で説明する具体例では、仮想平面P0は、この円弧の一部のうち、Z2軸のもっとも負方向側に位置する点に接する接平面に平行な仮想的な面である。
【0082】
上述したように、第1面11aは曲面であり、リフレクタアレイ20は、曲面上に設けられている。仮想平面P0は、リフレクタ行22のY2軸方向の傾きを設定するときの基準面となる。換言すると、リフレクタ行22は、仮想平面P0に対して設定された角度で、第1面11a上に設けられている。
【0083】
基材12は、透光性を有する材料で形成されており、たとえば、透明樹脂で形成される。
【0084】
結像素子10では、基材12を基準にして第1面11a側に光源を配置すると、第2面11b側ではなく、光源を配置した第1面11a側に結像が形成される。結像が形成される位置は、光源が設けられた位置から十分に離れた位置であって、光源が設けられた位置とは異なる位置とすることができる。
【0085】
図6に戻って説明を続ける。
リフレクタ行22は、X2方向(第1方向)に沿って設けられている。複数のリフレクタ行22は、Y2方向(第2方向)に沿って、互いにほぼ平行になるように設けられている。複数のリフレクタ行22は、隣り合ったリフレクタ行22ごとにY2方向に間隔23をあけて、ほぼ等間隔で配列されている。リフレクタ行22の間隔23のY2方向の長さは、任意の長さとすることができ、たとえば、リフレクタ行22のY2方向の長さ程度とすることができる。リフレクタ行22の間隔23を形成する領域には、第1面11a側に光源を配置した場合に、リフレクタ行22で反射しない光線やリフレクタ行22で1回反射した反射光等が入射される。これらの光線等は、結像に寄与しないため、この間隔23を広くとると、結像素子10に入射される光線のうち結像に寄与する割り合いが小さくなる。そのため、間隔23のY2方向の長さは、図8に関連して後述する2面直交リフレクタの寸法や反射面の効率等に応じて、適切な長さとされる。
【0086】
リフレクタ行22のそれぞれは、X2方向に接続された多数の2面直交リフレクタを含んでいるため、図6では、煩雑さを回避するために塗りつぶされて示されている。図6に示す例では、結像素子10はX2方向に横長の形状をしている。これは、結像を両眼で視認するためには有利だからである。結像素子10のX2Y2平面視での形状は、これに限らず、用途に応じて、Y2方向に縦長の形状を選択してもよい。
【0087】
なお、図1に示した画像表示装置1000のように、結像素子310aの第1面311aの法線方向に画像を結像させる場合には、隣り合うリフレクタ行22の間隔を設けなくてもよい。また、隣り合うリフレクタ行22の間隔を設ける場合に、設けたリフレクタ行の間隔を反射面にしてもよい。
【0088】
図8は、図6のVIII部の模式的な拡大図である。
図8に示すように、リフレクタ行22は、複数の2面直交リフレクタ30を含む。複数の2面直交リフレクタ30は、X2方向に沿って相互に接続され、連続して設けられている。2面直交リフレクタ30は、第1反射面31および第2反射面32を含む。2面直交リフレクタ30は、図6に示した第1面11a上に形成された基部36上に設けられている。第1反射面31および第2反射面32は、それぞれの正面視で、ほぼ正方形とされ、正方形のそれぞれの1辺で反射面同士が谷の向きにほぼ直交するように接続されている。
【0089】
以下、2面直交リフレクタ30において、第1反射面31と第2反射面32との接続線を、谷側接続線33というものとする。谷側接続線33の反対側の位置の第1反射面31の辺、および、谷側接続線33の反対側の位置の第2反射面32の辺をそれぞれ山側接続線34というものとする。
【0090】
2面直交リフレクタ30の第1反射面31は、山側接続線34で、X2軸の負方向側に隣接する2面直交リフレクタ30の第2反射面32に接続される。2面直交リフレクタ30の第2反射面32は、山側接続線34で、X2軸の正方向側に隣接する他方の2面直交リフレクタ30の第1反射面31に接続される。このようにして、複数の2面直交リフレクタ30は、X2方向に沿って相互に接続され、連続して設けられている。
【0091】
本実施形態の結像素子10では、第1反射面31および第2反射面32の寸法は、たとえば、数μmから数100μmとすることができる。たとえば、表示する画像の大きさや解像度等に応じて、2面直交リフレクタ30の集積数が設定される。たとえば、1つの結像素子10の中には、数10~数1000個の2面直交リフレクタ30が集積される。たとえば100μm角の反射面を有する1000個の2面直交リフレクタを、Y2方向14cm程度にわたって配列することができる。
【0092】
結像素子10のリフレクタ行22は、図8に示した拡大図のように、谷側接続線33および山側接続線34のX2軸方向の位置が同じになるように配置されている。これに限らず、リフレクタ行22ごとに谷側接続線33および山側接続線34のX2軸方向の位置をずらしてもよい。
【0093】
図9Aは、図8の結像素子の一部である2面直交リフレクタを例示する模式的な平面図である。
図9Bは、図9AのIXB-IXB線における模式的な矢視断面図の例である。
図9Aおよび図9Bに示すように、2面直交リフレクタ30は、第1反射面31および第2反射面32を含んでおり、第1反射面31および第2反射面32は、基部36上に設けられている。基部36は、第1反射面31および第2反射面32が、第1面11aの接平面Pに対して所望の角度となるように設けられている。
【0094】
基部36は、V字状に成形された透光性を有する部材であり、たとえば透明樹脂で形成され、基材12と一体で成形される。第1反射面31および第2反射面32は、基材12のV字形に成形された箇所に光反射性を有する金属材料等の薄膜形成等により形成される。このような例に限らず、第1反射面31、第2反射面32、基部36および基材12は、それぞれあるいは一部が別体で形成されて、それらを1つに組み立てて、結像素子10を形成するようにしてもよい。また、透明樹脂の表面がたとえば鏡面加工等されており、透明樹脂の表面反射率が十分に高い場合には、第1反射面31および第2反射面32は、透明樹脂の表面のままとすることもできる。間隔23や基部36は、虚像観測抑制等のために、光透過性や光吸収性をもたせることが好ましい。
【0095】
2面直交リフレクタ30は、以下のように形成してもよい。透明樹脂の表面に第1反射面31および第2反射面32を形成する。形成した第1反射面31および第2反射面32が空気中に露出し、第1反射面31および第2反射面32を形成した面の反対の面から光が入射するように配置する。こうすることで、透明樹脂と空気の屈折率差によって、第1反射面31および第2反射面32を全反射面として機能させることができる。
【0096】
第1反射面31および第2反射面32は、谷側接続線33でほぼ直交するように接続されている。第1反射面31において、谷側接続線33の反対側の位置に山側接続線34があり、第2反射面32において、谷側接続線33の反対側の位置に山側接続線34がある。
【0097】
谷側接続線33の端部を頂点33a、33bと呼ぶ。頂点33aの位置は、頂点33bの位置よりも、Z2軸の正方向の側とされる。つまり、頂点33aは、頂点33bよりも基材12から離れた位置とされている。山側接続線34の端部を頂点34a、34bと呼ぶ。頂点34aの位置は、頂点34bの位置よりも、Z2軸の正方向の側とされる。つまり、頂点34aは、頂点34bよりも基材12から離れた位置とされている。したがって、頂点34aは、もっとも基材12から離れた位置となり、頂点33bは、もっとも基材12に近い位置に配置されることとなる。
【0098】
図9Bには、2面直交リフレクタ30、第1面11aと接平面Pとの関係が示されている。2面直交リフレクタ30は、谷側接続線33の下側の頂点33bで第1面11aに接している。接平面Pは、頂点33bの位置における第1面11aに接する平面である。2面直交リフレクタ30は、谷側接続線33が接平面Pと角度θをなすように第1面11a上に設けられる。
【0099】
図9Cおよび図9Dは、図9Aの2面直交リフレクタの動作を説明するための模式的な斜視図である。
図9Cに示すように、光線LLが第1反射面31に入射すると、光線LLは、第1反射面31によって反射される。第1反射面31によって反射された1回反射光LR1は、第2反射面32によって再度反射される。第2反射面32によって反射された2回反射光LR2は、入射光の光源と同じ側に出射される。このようにして、2面直交リフレクタ30は、第1面11a側からの入射光を第1面11a側であって、光源の位置とは異なる位置に向かって出射する。2面直交リフレクタ30は、このように、2つの反射面で2回反射して、入射する光線LLの進行してきた側に2回反射光LR2を反射する。
【0100】
2面直交リフレクタ30の反射動作は、可逆的である。2面直交リフレクタ30に入射する光線は、図9Cにおいて、2回反射光LR2に沿って逆方向から入射した場合には、入射する光線LLに沿って逆方向に反射される。具体的には、図9Dに示すように、2面直交リフレクタ30に入射した光線LLは、第2反射面32で反射され、1回反射光LR1として、第1反射面31に入射する。1回反射光LR1は、第1反射面31で反射されて2回反射光LR2として出射する。
【0101】
図8図9Aに示したように、2面直交リフレクタ30は、谷側接続線33を基準に線対称であり、接平面Pに対する第1反射面31の角度は、接平面Pに対する第2反射面32の角度とほぼ等しくなるように配置される。そのため、2面直交リフレクタ30は、光線が最初に第1反射面31に入射する場合と、光線が最初に第2反射面32に入射する場合とでは、同様の動作をして反射光を出射する。たとえば、図9Cでは、光線LLは、最初に第1反射面31に入射し反射されるものとしたが、最初に第2反射面32に入射し反射される場合であっても、2面直交リフレクタ30の動作は、上述と同様に説明することができる。また、図9Dでは、光線LLは、最初に第1反射面31に入射して、第1反射面31による1回反射光が第2反射面32で反射されて第2反射光として出射されてもよい。以下では、結像素子の動作を説明する場合には、特に断らない限り、最初に第1反射面31で反射する場合について説明することとする。
【0102】
図10は、図6の結像素子を例示する模式的な側面図である。
図10では、リフレクタアレイ20は、図9Aおよび図9Bに示した2面直交リフレクタ30の頂点33aを結んだ包絡線で示されている。以降、結像素子を表す側面図において、2面直交リフレクタ30の構成を示して説明する必要がない場合には、図10に示したように、リフレクタアレイ20は、2面直交リフレクタ30の頂点33aの包絡線を1点鎖線にして表すこととする。
【0103】
図10に示すように、結像素子10では、第1面11aが曲面であるため、リフレクタアレイ20は、曲面状に設けられている。第1面11aは、Y2Z2平面視でZ2軸の負方向側に凸となる円弧の一部を含んでおり、リフレクタアレイ20もこの円弧状に設けられ、頂点の包絡線も円弧となる。円弧の半径は、結像素子10と結像素子10の第1面11a側に設けられる光源との距離にもとづいて設定される。たとえばリフレクタアレイ20の円弧の半径は、結像素子10と光源との間の距離の2倍程度とされる。
【0104】
図9Cおよび図9Dに関連して説明したように、結像素子10は、光線の入射および反射の方向について、可逆性を有している。結像素子10において、入射および反射の方向を逆にした場合には、円弧の半径は、結像素子10と第1面11a側に形成される結像との距離にもとづいて設定される。上述と同様に、リフレクタアレイ20の円弧の半径は、結像素子10と結像との間の距離の2倍程度とされる。
【0105】
結像素子10では、第1面11aに接する接平面のうち、Z2軸方向の負方向側のもっとも低い位置に接する接平面は、XY平面に平行な仮想平面P0である。
【0106】
図11は、図6の結像素子を例示する模式的な側面図である。
図11には、図6および図8に示したリフレクタ行22を構成する1つの2面直交リフレクタが示されている。図6および図8に関連して説明したように、複数のリフレクタ行22のそれぞれは、X2方向に沿って設けられ、Y2方向にほぼ等間隔で配列されている。1つのリフレクタ行22を構成する複数の2面直交リフレクタの仮想平面P0に対する角度は、ほぼ同じとされる。したがって、仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30の角度は、その2面直交リフレクタ30が属するリフレクタ行22の仮想平面P0に対する角度を表す。
【0107】
図11では、Y2方向に配列された多数個の2面直交リフレクタのうち、5個の2面直交リフレクタ30-1~30-5が拡大されて模式的に示されている。Y2軸における位置を区別するために符号を変えてあるが、2面直交リフレクタ30-1~30-5の構成は、図9Aおよび図9Bに関連して説明した2面直交リフレクタ30と同じである。図9Bに示した基部36の表記は、図示の煩雑さを回避するために図示を省略している。
【0108】
図11に示すように、2面直交リフレクタ30-1~30-5は、第1面11aのY2軸における位置に応じて、仮想平面P0に対する角度Θ1~Θ5が異なっている。2面直交リフレクタ30-1~30-5のそれぞれの角度Θ1~Θ5は、仮想平面P0に対する谷側接続線(第1直線)33-1~33-5の角度で表される。
【0109】
図11に示す例では、2面直交リフレクタ30-1~30-5は、Y2軸の正方向に向かって、この順に配置されている。2面直交リフレクタ30-1~30-5の角度Θ1~Θ5は、この順に大きな値に設定される。つまり、角度Θ1~Θ5の大きさは、Θ1<Θ2<Θ3<Θ4<Θ5とされる。
【0110】
より一般化して換言すると、2面直交リフレクタ30-1~30-5の角度Θ1~Θ5は、もっとも小さい値に設定された2面直交リフレクタのリフレクタ行(第1リフレクタ行)22を基準にして、Y2軸上を一方向に向かって離れるほど大きい値である。また、角度Θ1~Θ5は、基準とされたリフレクタ行22からY2軸上を他方向に向かって離れるほど小さい値である。図11の例では、もっとも小さい角度に設定された2面直交リフレクタ30-1の位置を基準とすると、Y2軸の正方向に向かって、角度Θ1~Θ5の大きさは、Θ1<Θ2<Θ3<Θ4<Θ5となる。
【0111】
2面直交リフレクタの角度Θ1~Θ5は、0°<Θ1~Θ5<90°とすることができる。第1反射面31と仮想平面P0とのなす角は、角度Θ1~Θ5にそれぞれ連動して決定されるが、45°<(第1反射面31と仮想平面P0とのなす角)<90°とすることができる。第2反射面32と仮想平面P0とのなす角は、第1反射面31と仮想平面P0とのなす角と等しい。したがって、45°<(第2反射面32と仮想平面P0とのなす角)<90°となる。
【0112】
2面直交リフレクタ30-1~30-5のそれぞれの傾きは、2面直交リフレクタ30-1~30-5が配置された第1面11aにおける接平面P1~P5に対する角度でも設定される。2面直交リフレクタ30-1~30-5の接平面P1~P5に対する角度は、2面直交リフレクタ30-1~30-5のY2軸における位置によらず、一定の角度θとされる。たとえば、角度θは、コーナーキューブリフレクタの各反射面が水平面となす角度にもとづいており、30°程度とされ、より詳細には、35.3°とされる。
【0113】
この例の結像素子10では、2面直交リフレクタ30-1~30-5の角度Θ1~Θ5は、基材12を基準としたときに、第1面11a側に設けられた光源から入射される光線を、第1面11a側に結像させるように適切に設定される。結像位置は、光源の位置と異なる空中とされる。仮想平面P0に対する2面直交リフレクタの角度は、たとえば実験やシミュレーション等によって決定される。
【0114】
仮想平面P0に対する2面直交リフレクタの角度は、Y2軸における位置に応じて大きくなるように設定され、あるいは、Y2軸における位置に応じて小さくなるように設定されればよいので、第1面11aは真円の円弧の一部でなくてもよい。たとえば、第1面11aは、楕円の円弧の一部であってもよいし、リフレクタ行の行数に応じた多角形の一部であってもよい。また、2面直交リフレクタの角度は、2面直交リフレクタのY2軸における位置に応じて角度を設定できればよいので、仮想平面P0を基準とせずに、仮想平面P0に対して任意の角度をなす他の平面を基準にしてもよい。
【0115】
結像素子の変形例について説明する。
図12Aは、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の変形例を例示する模式的な側面図である。
図12Bは、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の他の変形例を例示する模式的な側面図である。
仮想平面P0に対する2面直交リフレクタの角度を、図6に示した結像素子10と同様に設定できれば、リフレクタアレイ20は、曲面上に形成される必要はなく、1つの平面上に設けられるようにしてもよい。
図12Aおよび図12Bでは、図11に関連して説明した場合と同様に、5個の2面直交リフレクタ30-1~30-5が拡大されて模式的に示されている。5個の2面直交リフレクタ30-1~30-5は、それぞれが配置された位置に応じた傾きが併せて示されている。
【0116】
図12Aに示すように、本変形例の結像素子310は、リフレクタアレイ20と、基材312と、を備える。基材312は、第1面311aおよび第2面311bを有する。第2面311bは、第1面311aの反対側の位置に設けられている。第1面311aは、X2Y2平面にほぼ平行な平面である。第1面311aは、仮想平面P0としてもよい。基材312は、図11に示した例の場合と同様に、たとえば透光性を有する材料で形成される。
【0117】
仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30-1~30-5の角度は、それぞれΘ1~Θ5であり、角度Θ1~Θ5の大きさは、Θ1<Θ2<Θ3<Θ4<Θ5となる。2面直交リフレクタ30-1~30-5のY2軸における位置は、図11に示した2面直交リフレクタ30-1~30-5のY2軸における位置と同じである。したがって、図11の場合のY2軸における位置に応じた円弧の接平面P1~P5とした場合に、2面直交リフレクタ30-1~30-5と接平面P1~P5のなす角は、すべて同じ値の角度θとなる。
【0118】
図12Bに示すように、本変形例の結像素子310aは、リフレクタアレイ20と、基材312と、を備え、保護層314をさらに備える。リフレクタアレイ20および基材312の構成は、図12Aに関連して説明した結像素子310と同じである。保護層314は、リフレクタアレイ20および第1面311aを覆うように設けられる。
【0119】
保護層314は、保護層314を介して光線が結像素子310aに入射された場合に、光線の透過量がほぼ一定となるように、光透過性の高い材料が用いられる。保護層314の表面313aも入射された光線の屈折角がほぼ一定となるように、十分な平坦性を有することが好ましい。
【0120】
本変形例では、基材312を平板とすることができるので、第1面や第2面を曲面とすることにともなう基材の厚みを低減することができるので、結像素子310、310aを薄型化することが可能になる。図12Aに示した結像素子310は、基材312の第1面311aにリフレクタアレイ20が形成され、第2面311bは、フラットな面を有する部材である。そのため、樹脂基材を用いたプレス機による生産に好適である。また、結像素子310は、ロール・ツー・ロール方式による生産が容易であるなど、生産面における優位性を有している。ロール・ツー・ロール方式とは、ロール状に巻かれた基材の材料を連続的に工程に供給して加工や処理等を行う生産方式である。ロール・ツー・ロール方式は、板状やフィルム状の樹脂成型品の生産等に一般的に利用されている。
【0121】
本実施形態に係る画像表示装置1000では、図12Bに示した結像素子310aを備える。これに限らず、画像表示装置は、上述した結像素子10、310のいずれかを備えるようにしてもよい。なお、結像素子10、310、310aの構成要素は、適宜組み合わせることができる。たとえば、結像素子10の第1面11a側に保護層314を設けるようにしてもよい。
【0122】
次に、結像素子の動作について動作原理を含めて説明する。以下では、特に断らない限り、図6図11に関連して説明した結像素子10について説明する。変形例の結像素子310、310aの動作は、結像素子10の場合と同様に理解することができる。
【0123】
図13は、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な平面図である。
図13に示すように、第1反射面31および第2反射面32は、ほぼ直交して配置され谷側接続線33で接続されている。頂点33bは、Z2軸方向の最小値となるように配置されている。
【0124】
第1反射面31に入射する光線LLは、第1反射面31で反射される。第1反射面31で反射された1回反射光LR1は、第2反射面32で反射される。2面直交リフレクタ30では、コーナーキューブリフレクタ(たとえば、特許文献2)とは異なり、3つ目の反射面を有していないので、第2反射面32によって反射された2回反射光LR2は、そのまま直進する。ここで、谷側接続線33は、X2Y2平面に対して所定の角度で設けられているので、2面直交リフレクタ30から出射される2回反射光LR2は、光線LLが入射される側と同じ側に出射される。
【0125】
図14および図15は、第1の実施形態に係る画像表示装置の一部である結像素子の動作を説明するための模式的な側面図である。
図14の例では、光源Sは、第1面11aの側であって、仮想平面P0の法線方向に配置される。なお、図12Aおよび図12Bに示した変形例の結像素子310、310aの場合には、光源は、第1面311aの側であって、第1面311aの法線方向に配置される。
図14に示すように、結像素子10では、第1面11aは、YZ平面視でZ2軸の負方向側に凸となるように、円弧の一部として設定される。2面直交リフレクタ30-1~30-3は、第1面11a上に配置される。仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30-1~30-3の傾きを表す角度Θ1~Θ3は、図14に示す例では、Y2軸の正方向に向かって大きくなるように設定されている。このように角度Θ1~Θ3を設定することによって、2面直交リフレクタ30によって2回反射された2回反射光LR2は、光源Sが設けられた第1面11a側で結像Iを形成する。
【0126】
結像素子10は、光源Sの位置と結像Iの位置とを入れ替えても動作する。
図15では、2面直交リフレクタ30-1~30-3の構成や、2面直交リフレクタ30-1~30-3、第1面11aおよび仮想平面P0の関係は、図14に関連して説明した場合と同じである。
図15に示すように、光源Sは、図14に関連して説明した場合の結像Iの位置に設けられており、このときには、図14の場合の光源Sの位置に結像Iが形成される。光源Sから出射された光線LLは、2面直交リフレクタ30-1~30-3でそれぞれ2回反射されて、2回反射光LR2は、結像Iの位置で結像する。つまり、図15に示す例では、結像Iは、第1面11aの側であって、仮想平面P0の法線方向に形成される。なお、図12Aおよび図12Bに示した変形例の結像素子310、310aの場合には、結像は、第1面311aの側であって、第1面311aの法線方向に形成される。
【0127】
光源Sがいずれの位置の場合であっても、実験やシミュレーション等を用いることによって、2面直交リフレクタに入射した光線を2回反射して所望の位置に結像させるように、2面直交リフレクタの角度を適切に設定することができる。たとえば、図14に示した実施形態の場合では、光源Sは、リフレクタアレイのほぼ直上とされ、図15に示した実施形態の場合では、結像Iが形成される位置が、リフレクタアレイのほぼ直上とされている。2面直交リフレクタの仮想平面P0に対する角度を適宜調整して設けることで、これらの光源Sや結像Iの位置を適宜変更することも可能である。このような設計変更に際しては、光線追跡シミュレーションなどの光線解析ツールを有効に活用することができる。
【0128】
本実施形態に係る画像表示装置1000では、リフレクタアレイの直上に結像が形成される。この場合においても、光源である表示装置1100の位置と結像Iが形成される位置とを入れ替えることが可能である。なお、図1の画像表示装置1000において、表示装置1100の位置と結像が形成される位置とを入れ替えた場合には、入れ替え後の光路に応じて、筐体および光透過部材の構成を変更する必要があることは言うまでもないことである。
【0129】
本実施形態に係る画像表示装置1000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置1000は、結像素子310aを備える。図8および図12B等に示したように、結像素子310aでは、仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30の角度は、0°よりも大きく、90°よりも小さく設定される。その上で、仮想平面P0に対する2面直交リフレクタ30の角度は、2面直交リフレクタ30がY2軸方向に配置された位置に応じて、異なるように設定され、基準の位置の2面直交リフレクタ30からY2軸方向の一方向に離れるにしたがって、大きくなるように設定され、Y2軸方向の他方向に離れるにしたがって、小さくなるように設定される。このように設定することによって、基材312を基準にしたときに、第1面311a側からの光線を2回反射して、第1面311a側に結像させることができる。
【0130】
結像素子310aでは、2面直交リフレクタ30の仮想平面P0に対する角度を適切に設定することによって、基材312を基準に第1面311a側の任意の位置に表示装置1100a、1100bを配置し、リフレクタアレイの直上の所望の位置に結像I1a、I1bを形成することができる。
【0131】
本実施形態に係る画像表示装置1000は、複数の表示装置1100a、1100bを備える。複数の表示装置1100a、1100bの位置および光が出射される角度を適切に設定することによって、複数の表示装置1100a、1100bが出射する光で形成される画像に応じた結像I1a、I1bを重ならないように空中にそれぞれ形成することができる。
【0132】
表示装置1100a、1100bをα方向(第3方向)に沿って配置することによって、表示装置1100a、1100bからα方向に離隔して配置された結像素子310aは、α方向に沿って異なる位置に結像I1a、I1bを形成することができる。
【0133】
(第2の実施形態)
図16は、第2の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図16に示すように、本実施形態に係る画像表示装置2000は、結像素子310aと、複数の表示装置1100a、1100bと、を備える。図1に示した画像表示装置1000の場合と同様に、画像表示装置2000は、制御装置1410と、撮像部1430と、を備え、カメラ用照明1440をさらに備えてもよい。本実施形態に係る画像表示装置2000は、表示装置1100a、1100bの配置が、図1に示した画像表示装置1000の場合と相違する。他の点では、本実施形態に係る画像表示装置2000の構成要素は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の構成要素と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0134】
表示装置1100a、1100bは、αβ平面に平行な平面に配置され、β方向に沿って配置されている。図1に示した例と同様に、結像素子310aは、β方向に平行であって、αβ平面から0°以上の角度δを有する平面上に配置されている。つまり、β方向(第4方向)は、X2Y2平面に平行な方向である。
【0135】
表示装置1100aは、光Laを結像素子310aに向けて出射するように配置される。表示装置1100bは、光Lbを結像素子310aに向けて出射するように配置される。
【0136】
結像素子310aでは、図2に示した例と同様に、リフレクタ行22は、γ方向から見たときに、α方向に直交する方向、すなわちβ方向に延伸し、複数のリフレクタ行22は、α方向に沿って並んで配置される。
【0137】
結像素子310aは、光Laを入射し反射光Raを出射し、光Lbを入射し反射光Rbを出射するように配置される。図2に示した例と同様に、反射光Ra、Rbを出射する角度は、第1面311aおよび仮想平面P0の略法線方向である。つまり、反射光Ra、Rbは、αβ平面からほぼ90°-δの角度で出射される。出射された反射光Ra、Rbは、結像I1a、I1bをそれぞれ形成する。
【0138】
図17は、第2の実施形態に係る画像表示装置の表示装置、結像素子および結像のそれぞれの位置を説明するための模式図である。
図17を用いて、本実施形態に係る画像表示装置2000における表示装置1100a、1100bの配置について説明する。
【0139】
画像表示装置2000では、表示装置1100a、1100bの配置により、異なる位置に結像I2a、I2bが形成され、結像I2a、I2bを異なる観測者O2a、O2bが観測する。図17は、画像表示装置2000が表示する結像I2a、I2bを観測する観測者O2a、O2bの位置も合わせて示している。図17は、画像表示装置2000、結像I2a、I2bおよび観測者O2a、O2bをγ軸の正方向から負方向に向かって見た場合の模式図である。
【0140】
α軸の正方向を観測者O2a、O2bから画像表示装置2000に向かう方向とし、観測者O2a、O2bは、β方向に離隔して並んで位置するものとする。この場合には、図17に示すように、結像素子310aおよび表示装置1100aは、α方向に配置され、結像素子310aおよび表示装置1100bもα方向に配置される。
【0141】
結像素子310aは、図1に示した例と同様に、リフレクタ行22がα方向に直交して延伸し、複数のリフレクタ行22は、α方向に並んで配置される。
【0142】
2つの表示装置1100a、1100bは、β方向に沿って配置される。図17の具体例では、表示装置1100a、1100bは、β方向の正方向に向かってこの順に配置されている。表示装置1100a、1100bは、結像素子310aに向かって光La、Lbを出射する向きにそれぞれ配置される。
【0143】
表示装置1100aから出射された光Laは、結像素子310aで反射され、結像素子310aは、反射光Raを出射する。反射光Raは結像して結像I2aを形成する。表示装置1100bから出射された光Lbは、結像素子310aで反射され、結像素子310aは、反射光Rbを出射する。反射光Rbは、結像して結像I2bを形成する。結像I2aは、画像表示装置2000と観測者O2aとの間に形成され、結像I2bは、画像表示装置2000と観測者O2bとの間に形成される。結像I2a、I2bは、β方向に離隔して並んで形成される。
【0144】
表示装置1100a、1100bの位置および角度を適切に設定し、結像素子310aの位置および第1面311aのαβ平面からの角度を適切に設定することによって、図17の例のように、結像I2a、I2bをβ方向に沿って並べて形成することができる。結像I2aが形成される位置と、結像I2bが形成される位置とを十分な距離を離すようにすることによって、観測者O2aが結像I2aを観測し、観測者O2bが結像I2bを観測するようにできる。
【0145】
たとえば、画像表示装置2000は自動車等の車両に配置されており、観測者O2aが運転者であり、観測者O2bが同乗者の場合には、結像I2aを運転者のための情報とし、結像I2bを同乗者のための情報を表示するものとすることができる。表示装置を3つ以上とすることによって、異なる形成位置に3つ以上の結像を形成することができる。
【0146】
本実施形態に係る画像表示装置2000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置2000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000と同様の効果を奏する。そのほか、画像表示装置2000は、以下の効果を奏する。すなわち、複数の表示装置1100a、1100bをβ方向(第4方向)に沿って離隔して配置することによって、結像I2a、I2bをβ方向に離隔して、形成することができる。表示装置1100a、1100bの離隔距離や光の出射角度等を適切に設定することによって、十分に離れた位置に複数の結像I2a、I2bを形成することができる。十分に離れた位置に形成された結像I2a、I2bは、複数の観測者O2a、O2bでそれぞれ観測することができ、単一の画像表示装置2000であっても、複数の利用者に情報を提供することが可能である。なお、複数の利用者を想定した具体例を記載したが、単一の利用者が同時に結像I2a、I2bを観測できるように、複数の表示装置1100a、1100bをβ方向に沿って離隔して配置することも可能である。
【0147】
(第3の実施形態)
図18は、第3の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図18に示すように、本実施形態に係る画像表示装置3000は、結像素子310aと、複数の表示装置1100a、1100bと、を備える。図1に示した画像表示装置1000の場合と同様に、画像表示装置3000は、制御装置1410と、撮像部1430と、を備え、カメラ用照明1440を備えてもよい。本実施形態に係る画像表示装置3000は、表示装置1100a、1100bの配置が、図1に示した画像表示装置1000の場合と相違する。他の点では、本実施形態に係る画像表示装置3000の構成要素は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の構成要素と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0148】
表示装置1100a、1100bは、出射する光が結像素子310aに向かうように配置される。表示装置(第2光源)1100bは、表示装置(第1光源)1100aと結像素子310aとを結んだ直線(第2直線)C2上に配置される。直線C2は、たとえば、図2A図3Bに示した、表示装置1100a、1100bのそれぞれの基板1110の第1面1111aに交差し、結像素子310aの第1面311aに交差する。
【0149】
なお、結像素子310aに近い側に配置される表示装置1100aは、表示装置1100bが出射する光を透過するように構成される必要がある。図3A図4Bに関連して説明したように、表示装置1100a、1100bの基板1110をガラス等の透光性を有する材料で形成することによって、光を透過する表示装置1100aとすることができる。
【0150】
表示装置1100aは光Laを出射し、光Laを入射した結像素子310aは、反射光Raを出射する。出射された反射光Raは、結像I3aを形成する。表示装置1100bは光Lbを出射し、光Lbを入射した結像素子310aは、反射光Rbを出射する。出射された反射光Rbは、結像I3bを形成する。
【0151】
表示装置1100aは、表示装置1100bよりも結像素子310aに近い位置に配置されているので、結像素子310aの反射光Raによる結像I3aは、結像素子310aにより近い位置に形成される。表示装置1100bが出射する光によって形成される結像I3bは、結像I3aよりも結像素子310aから離れた位置に形成される。観測者O3から見た場合には、表示装置1100aによる結像I3aの位置は、表示装置1100bによる結像I3bの位置よりも離れて見える。表示装置1100a、1100bの位置、光の出射角度および結像素子310aの設置角度等を適切に設定することによって、観測者O3から見た場合に、結像I3a、I3bを重なる位置で結像させることができる。このようにすることによって、観測者O3は、より多くの情報を得ることができ、立体的な画像として視認することができる。
【0152】
本実施形態に係る画像表示装置3000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置3000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000と同様の効果を奏する。そのほか、画像表示装置3000は、以下の効果を奏する。すなわち、画像表示装置3000では、複数の表示装置1100a、1100bを備えており、表示装置1100bは、表示装置1100aと結像素子310aとを結んだ直線上に配置されている。そのため、観測者O3から見て、少なくとも一部が重なって見える結像I3a、I3bを空中に形成することができる。結像I3a、I3bのそれぞれの画像を異なるものとすることによって、観測者O3は、より多くの情報量を有する空中画像を観測することができる。観測者O3は、立体的な画像を観測することができる。
【0153】
(第4の実施形態)
図19は、第4の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図19に示すように、本実施形態に係る画像表示装置4000は、複数の結像素子310a1、310a2と、表示装置1100と、を備える。図1に示した画像表示装置1000の場合と同様に、画像表示装置2000は、制御装置1410と、撮像部1430と、を備え、カメラ用照明1440をさらに備えてもよい。本実施形態に係る画像表示装置4000では、第1の実施形態に係る画像表示装置1000における複数の表示装置に代えて、複数の結像素子310a1、310a2を備える点で相違する。他の点では、本実施形態に係る画像表示装置4000の構成要素は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000の構成要素と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0154】
表示装置1100は、光Lを複数の結像素子310a1、310a2に向けて出射するように配置される。
【0155】
複数の結像素子310a1、310a2は、これらを区別するために異なる符号を付している。これらの結像素子310a1、310a2は、図12Bに関連して説明した結像素子310aと同一の構成を備えているものとする。
【0156】
複数の結像素子310a1、310a2は、β方向に離隔して配置される。結像素子310a1は、β方向に平行であって、αβ平面から0°以上の角度δaを有する平面上に配置されている。結像素子310a2は、β方向に平行であって、αβ平面から0°以上の角度δbを有する平面上に配置されている。つまり、β方向(第6方向)は、X2Y2平面に平行な方向である。角度δa、δbは、同一であってもよいし、異なってもよい。角度δa、δbは、結像I4a、I4bが形成される位置に応じて適切な値が選定される。
【0157】
結像素子310a1、310a2では、図2に示した例と同様に、γ方向から見たときに、それぞれのリフレクタ行22は、α方向に直交する方向、すなわちβ方向に延伸し、それぞれの複数のリフレクタ行22は、α方向に沿って並んで配置される。結像素子310a1、310a2のそれぞれのリフレクタ行22は、平行な方向に延伸してもよいし、結像I4a、I4bの位置に応じて、β軸から0°よりも大きい角度を有してもよい。
【0158】
結像素子310a1は、光Lを入射し反射光Raを出射するように配置される。結像素子310a2は、光Lを入射し反射光Rbを出射するように配置される。図2に示した例と同様に、反射光Ra、Rbを出射する角度は、第1面311aおよび仮想平面P0の法線方向である。つまり、反射光Raは、αβ平面からほぼ90°-δaの角度で出射され、反射光Rbは、αβ平面からほぼ90°-δbの角度で出射される。出射された反射光Ra、Rbは、結像I4a、I4bをそれぞれ形成する。
【0159】
図20は、第4の実施形態に係る画像表示装置の表示装置、結像素子および結像のそれぞれの位置を説明するための模式図である。
図20を用いて、本実施形態に係る画像表示装置4000における結像素子310a1、310a2の配置について説明する。
【0160】
画像表示装置4000では、結像素子310a1、310a2の配置により、異なる位置に結像I4a、I4bが形成され、図17に関連して説明した画像表示装置2000の場合と同様に、結像I4a、I4bを異なる観測者O4a、O4bが観測することができる。図20は、画像表示装置4000が表示する結像I4a、I4bを観測する観測者O4a、O4bの位置も合わせて示している。図20は、画像表示装置4000、結像I4a、I4bおよび観測者O4a、O4bをγ軸の正方向から負方向に向かって見た場合の模式図である。
【0161】
α軸の正方向を観測者O2a、O2bから画像表示装置4000に向かう方向とし、観測者O4a、O4bは、β方向に離隔して並んで位置するものとする。この場合には、図20に示すように、結像素子310a1および表示装置1100は、α方向に配置され、結像素子310a2および表示装置1100もα方向に配置される。結像素子310a1および結像素子310a2は、β方向に離隔して配置される。
【0162】
結像素子310a1、310a2は、図1に示した例と同様に、リフレクタ行22がα方向に直交して延伸し、複数のリフレクタ行22は、α方向に並んで配置される。
【0163】
表示装置1100から出射された光Lは、結像素子310a1で反射され、結像素子310a1は、反射光Raを出射する。反射光Raは結像して結像I4aを形成する。同時に、表示装置1100から出射された光Lは、結像素子310a2で反射され、結像素子310a2は、反射光Rbを出射する。反射光Rbは、結像して結像I4bを形成する。結像I4aは、画像表示装置4000と観測者O4aとの間に形成され、結像I4bは、画像表示装置4000と観測者O4bとの間に形成される。結像I4a、I4bは、β方向に離隔して並んで形成される。
【0164】
表示装置1100の位置および光の出射面のαβ平面からの角度を適切に設定し、結像素子310a1、310a2の位置およびそれぞれの第1面311aのαβ平面からの角度δa、δbを適切に設定することによって、結像I4a、I4bをβ方向に沿って並べて形成することができる。結像I4aが形成される位置と、結像I4bが形成される位置とを十分な距離を離すようにすることによって、観測者O4aが結像I4aを観測し、観測者O4bが結像I4bを観測するようにできる。なお、本実施形態に係る画像表示装置4000は、表示装置1100は、同一の画像を形成する光Lを複数の結像素子310a1、310a2に同時に出射するので、反射光Ra、Rbが形成する結像I4a、I4bは、同一の画像となる。
【0165】
本実施形態に係る画像表示装置4000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置4000は、第1の実施形態に係る画像表示装置1000と同様の効果を奏する。そのほか、画像表示装置4000は、以下の効果を奏する。すなわち、複数の結像素子310a1、310a2をβ方向に沿って離隔して配置することによって、β方向に離隔して結像I4a、I4bを形成することができる。結像素子310a1、310a2の離隔距離や光の出射角度等を適切に設定することによって、十分に離れた位置に複数の結像I4a、I4bを形成することができる。結像I4a、I4bは、同一の画像を表示しており、単一の画像表示装置4000であっても、複数の利用者に同時に同一の情報を提供することが可能である。
【0166】
複数の結像素子310a1、310a2をβ方向(第6方向)に離隔して配置することに代えて、複数の結像素子310a1、310a2をα方向(第5方向)に離隔して配置してもよい。この場合、α方向に離隔して結像I4a、I4bを形成することができる。また、3つ以上の結像素子を設けることによって、3つ以上の結像を形成するようにしてもよい。
【0167】
(第5の実施形態)
図21は、第5の実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的な断面図である。
図21に示すように、本実施形態に係る画像表示装置5000は、結像素子310と、複数の表示装置1100a、1100bと、を備える。本実施形態に係る画像表示装置5000は、画像表示装置1000~4000の場合と同様に、画像表示装置5000は、撮像部1430を備えてもよく、カメラ用照明1440をさらに備えてもよい。画像表示装置5000は、表示装置1100a、1100bの位置と結像素子310の位置との関係が、画像表示装置1000~4000と相違する。また、画像表示装置5000は、画像表示装置1000~4000の結像素子310aとは異なる結像素子310を備える。他の点では、画像表示装置5000の構成要素は、画像表示装置1000~4000の構成要素と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0168】
画像表示装置5000では、図1に示した画像表示装置1000と同様に、複数の表示装置1100a、1100bは、αβ平面に平行な平面に並んで配置され、α方向に沿って配置されている。結像素子310は、筐体5300内の底部に配置されている。結像素子310の第1面311aおよび仮想平面P0は、αβ平面に平行に配置されている。表示装置1100a、1100bは、結像素子310の直上に配置され、光La、Lbを結像素子310に照射する。結像素子310は、光La、Lbを反射して、反射光Ra、Rbを第1面311aの斜め上方に向けて出射する。結像素子310で反射された反射光Ra、Rbは、結像I5a、I5bをそれぞれ形成する。結像I5a、I5bは、α方向に並んで形成される。
【0169】
結像素子310に関しては、図12Aおよび図12Bに関連して説明したように、筐体内のスペースや画像表示装置の設置場所等に応じて、いずれかの形態の結像素子10、310、310aが配置される。本実施形態に係る画像表示装置5000は、結像素子310を備えるが、筐体等の応じて他の結像素子10、310aを備えてもよい。
【0170】
画像表示装置5000では、表示装置1100a、1100bが結像素子310の直上に配置されている。このような配置とするために、筐体5300の形状が設定されている。筐体の形状等は、任意に適切なものとすることができる。
【0171】
表示装置1100a、1100bが結像素子310の直上に配置されたことによって、表示装置1100a、1100bが出射した光La、Lbは、下方に進行して結像素子310を照射する。結像素子310は、入射した光の一部を2面直交リフレクタで2回反射して、反射光Ra、Rbを出射する。窓部材5320は、結像素子310で2回反射された反射光Ra、Rbを透過する位置に配置される。
【0172】
結像素子310の2面直交リフレクタで1回だけ反射された光や2面直交リフレクタで反射されなかった光は、図5に示した、隣り合うリフレクタ行22の間隔23から第2面311b側に抜けていく。したがって、結像素子310は、2回反射光以外の光を第1面311a側に出射することがない。そのため、本実施形態に係る画像表示装置5000では、光源となる表示装置1100が結像素子310の第1面311aの法線方向に配置されるので、結像素子310では、隣り合うリフレクタ行22の間隔23が設けられる。
【0173】
第2面311bに抜けていく光は、筐体5300の内部で再度反射して迷光とならないように、この例では、筐体5300内の底面に遮光部材5310が配置されている。遮光部材5310は、筐体5300の内部の側壁面にも配置されている。遮光部材5310は、図1に示した遮光部材1310と同様に、たとえば筐体5300の内壁の底面および壁面に形成された黒色の塗料の塗布膜である。遮光部材5310は、筐体5300の構成材の厚さに比べて十分に薄いため、図21では、筐体5300の内部の面として表されている。
【0174】
本実施形態に係る画像表示装置5000では、結像素子310は、入射した光La、Lbの2回反射光Ra、Rbのみを出射し、その他の光を第1面311a側に反射等しない。そのため、図14に関連して説明したように、結像素子310は、第1面311aの側に実像以外のゴースト画像の形成が低減される。
【0175】
本実施形態に係る画像表示装置5000の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置5000は、上述した第1の実施形態に係る画像表示装置1000と同様の効果を奏する。そのほか、本実施形態に係る画像表示装置5000では、表示装置1100を第1面311aの法線方向である結像素子310の略直上に配置し、結像素子310の2回反射光を結像素子310の側方に出射して結像させる。そのため、実像以外のゴースト画像の表示を低減することができる。
【0176】
なお、本実施形態に係る画像表示装置5000について、他の実施形態に係る画像表示装置1000~4000のように、光源である表示装置は、結像素子の略直上に空中画像を結像させるように配置してもよい。
【0177】
上述した他の実施形態に係る画像表示装置1000~4000のそれぞれについて、本実施形態の場合の表示装置、結像素子および結像の形成位置の関係を適用することができる。本実施形態における表示装置、結像素子および結像の形成位置の関係を他の実施形態に係る画像表示装置に適用しても上述と同じ効果を奏するのは言うまでもない。
【0178】
以上説明した実施形態によれば、簡素な構造で空中に画像を表示できる画像表示装置を実現することができる。
【0179】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0180】
10、310、310a、310a1、310a2…結像素子、12、312…基材、20…リフレクタアレイ、22…リフレクタ行、23…間隔、30…2面直交リフレクタ、31…第1反射面、32…第2反射面、1000、2000、3000、4000、5000…画像表示装置、1100、1100a、1100b…表示装置、1112、1112a…画素、1120、1120a…LED素子、1300、5300…筐体、1410、5410…制御装置、1430…撮像部、1440…カメラ用照明
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
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図8
図9A
図9B
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図10
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図12B
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