(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085271
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】電流電圧変換回路
(51)【国際特許分類】
G01J 1/42 20060101AFI20240619BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20240619BHJP
H01L 31/10 20060101ALN20240619BHJP
【FI】
G01J1/42 B
G01J1/02 B
H01L31/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199713
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕也
【テーマコード(参考)】
2G065
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BA02
2G065BA09
2G065BC01
2G065BC03
2G065BC07
5F149AA01
5F149BA04
5F149KA04
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5F149XB01
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(57)【要約】
【課題】ノイズの影響を低減して低消費電力を実現可能な電流電圧変換回路が提供される。
【解決手段】電流電圧変換回路は、検出素子(20)に接続されて、検出素子の検出信号として出力される電流を電圧に変換する電流電圧変換回路であって、電流を入力して、電圧を出力する第1のインバータ(11)と、検出素子に対して、基準電圧を出力する第2のインバータ(12)と、を備え、第1のインバータ及び第2のインバータは、共通電源に直接的に接続されて共通電源に依存しない電位を供給する供給回路(10)に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出素子に接続されて、前記検出素子の検出信号として出力される電流を電圧に変換する電流電圧変換回路であって、
前記電流を入力して、前記電圧を出力する第1のインバータと、
前記検出素子に対して、基準電圧を出力する第2のインバータと、を備え、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータは、共通電源に直接的に接続されて前記共通電源に依存しない電位を供給する供給回路に接続される、電流電圧変換回路。
【請求項2】
検出素子に接続されて、前記検出素子の検出信号として出力される電流を電圧に変換する電流電圧変換回路であって、
前記電流を入力して、前記電圧を出力する第1のインバータと、
前記検出素子に対して、基準電圧を出力する第2のインバータと、を備え、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータは、共通グランドに直接的に接続されて前記共通グランドに依存しない電位を供給する供給回路に接続される、電流電圧変換回路。
【請求項3】
前記供給回路はレギュレータ又は電流源である、請求項1に記載の電流電圧変換回路。
【請求項4】
前記検出素子は光を検出するフォトダイオードである、請求項1から3のいずれか一項に記載の電流電圧変換回路。
【請求項5】
前記光は赤外線である、請求項4に記載の電流電圧変換回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電流電圧変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
波長が2μm以上の赤外線は、その熱的効果及びガスによる赤外線吸収の効果から、人体を検知する人感センサ、非接触温度計及びガスセンサ等に使用されている。例えば非接触温度計に用いられる赤外線センサは、測定対象から入射する赤外線量に基づいて温度を検出する。また、赤外線センサは、バッテリー駆動の小型の電子機器に備えられて、電子機器の動作の制御に用いられることがある。例えば特許文献1は、イヤホンに備えられ、音量を調整するために、イヤホンが装着されているか否かの判定に使用される赤外線センサを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特にバッテリー駆動の小型の電子機器に備えられる場合に、赤外線センサは低消費電力であることが求められる。赤外線センサは、例えば入射された赤外線量に応じて電流を出力するフォトダイオードと、電流を電圧に変換して増幅する電流電圧変換回路と、を含んで構成される(
図9の左図参照)。例えば電流電圧変換回路が備えるオペアンプをインバータに置換することによって(
図9の右図参照)、電流電圧変換回路を構成する素子の数を減らして、消費電力を低減することができる。インバータに置換した場合には、インバータはレギュレータ等の駆動源の下で駆動させることが好ましい。しかし、インバータを駆動源の下で駆動させると、駆動源のノイズが出力にのって、赤外線センサの検出精度が低下する問題があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、ノイズの影響を低減して低消費電力を実現可能な電流電圧変換回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係る電流電圧変換回路は、
検出素子に接続されて、前記検出素子の検出信号として出力される電流を電圧に変換する電流電圧変換回路であって、
前記電流を入力して、前記電圧を出力する第1のインバータと、
前記検出素子に対して、基準電圧を出力する第2のインバータと、を備え、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータは、共通電源に直接的に接続されて前記共通電源に依存しない電位を供給する供給回路に接続される。
【0007】
(2)本開示の一実施形態に係る電流電圧変換回路は、
検出素子に接続されて、前記検出素子の検出信号として出力される電流を電圧に変換する電流電圧変換回路であって、
前記電流を入力して、前記電圧を出力する第1のインバータと、
前記検出素子に対して、基準電圧を出力する第2のインバータと、を備え、
前記第1のインバータ及び前記第2のインバータは、共通グランドに直接的に接続されて前記共通グランドに依存しない電位を供給する供給回路に接続される。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記供給回路はレギュレータ又は電流源である。
【0009】
(4)本開示の一実施形態として、(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記検出素子は光を検出するフォトダイオードである。
【0010】
(5)本開示の一実施形態として、(4)において、
前記光は赤外線である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ノイズの影響を低減して低消費電力を実現可能な電流電圧変換回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る電流電圧変換回路の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の電流電圧変換回路の効果を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係る電流電圧変換回路の別の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、供給回路の別の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、供給回路の別の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、電流電圧変換回路の別の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、電流電圧変換回路の別の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、電流電圧変換回路の別の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、低消費電力化の手法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る電流電圧変換回路が説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る電流電圧変換回路の構成例を示す回路図である。電流電圧変換回路は、検出素子20に接続されて、検出素子20の検出信号として出力される電流を電圧に変換する。また、電流電圧変換回路は、検出素子20及び後段の回路とともに、検出装置を構成する。本実施形態において、検出素子20は光を検出するフォトダイオードである。また、フォトダイオードが検出する光は赤外線である。フォトダイオードは、入射された赤外線の強さを電流に変換して出力する。ここで、検出素子20は赤外線検出用のフォトダイオードに限定されるものでない。以下に説明する電流電圧変換回路に接続される検出素子20は、例えば赤外線以外の光を検出するフォトダイオードであってよいし、フォトトランジスタであってよい。
【0015】
電流電圧変換回路は、第1のインバータ11と、第2のインバータ12と、を備えて構成される。第1のインバータ11は、検出素子20の検出信号である電流を入力して、電圧を出力する。
図1の例では、第1のインバータ11に帰還抵抗(R)が設けられており、第1のインバータ11の出力電圧がそのまま電流電圧変換回路の出力(OUT)となる。上記の通り、従来構成の電流電圧変換回路が備えるオペアンプをインバータに置換することによって消費電力低減が可能であるが(
図9参照)、第1のインバータ11はオペアンプを置換する回路に対応する。
【0016】
第2のインバータ12は、検出素子20に対して、基準電圧を出力する。本実施形態において、第2のインバータ12の出力がフォトダイオードのアノードと接続され、第1のインバータ11の入力がフォトダイオードのカソードと接続される。ただし、接続の極性は
図1に示されるものに限定されない。
【0017】
電流電圧変換回路は、本実施形態において供給回路10に接続される。供給回路10は、共通電源(VDD)に直接的に接続されているが、電流電圧変換回路などに対してVDDに依存しない電位を供給する。ここで、共通電源(VDD)は、電流電圧変換回路の後段の回路で使用される電源である。供給回路10は、後述するようにレギュレータであってよい。第1のインバータ11及び第2のインバータ12の電源には、供給回路10の出力が用いられる。
【0018】
ここで、上記のように、従来構成の電流電圧変換回路において単純にオペアンプをインバータに置換した場合に、供給回路10からのノイズが伝わり、検出装置としての検出精度が低下する問題があった。本実施形態に係る電流電圧変換回路において、検出素子20に対して基準電圧を出力する回路は第2のインバータ12で構成される。さらに第2のインバータ12の電源は、第1のインバータ11の電源(供給回路10)と共通化されている。
【0019】
図2は、本実施形態に係る電流電圧変換回路による供給回路10のノイズの影響を低減する効果を説明するための図である。供給回路10の出力が第1のインバータ11の電源に接続されるノードをn1とする。また、供給回路10の出力が第2のインバータ12の電源に接続されるノードをn2とする。また、
図2では、フォトダイオードが電流源と抵抗(R0)を含む等価回路に置き換えられている。n1から電流電圧変換回路の出力であるOUTまでのゲインは以下の式(1)で示される。また、n2からOUTまでのゲインは以下の式(2)で示される。
【0020】
【0021】
ここで、式(1)及び式(2)において、R0は、フォトダイオードの等価回路における抵抗の抵抗値である。Rは、第1のインバータ11の帰還抵抗の抵抗値である。P1は第1のインバータ11の電源除去比(PSRR)である。P2は第2のインバータ12の電源除去比(PSRR)である。OUTまでの経路は共通であるため、式(1)と式(2)とを合成することによって、電流電圧変換回路としてのゲインが得られる。また、第1のインバータ11の電源と第2のインバータ12の電源は、共に供給回路10の出力を用いる。そのため、供給回路10のノイズが生じた際の電源除去比が同じ(P1=P2)になるように設計することで、式(1)と式(2)のR/R0についての項は打ち消される。よって、本実施形態に係る電流電圧変換回路は、供給回路10のノイズの影響を低減することができる。
【0022】
図1の例では、共通電源(VDD)を基準とする供給回路10のノイズを低減させる回路構成になっているが、共通グランド(GND)を基準とする回路構成も可能である。共通グランド(GND)は、電流電圧変換回路の後段の回路でグランドとして使用される。
図3に示すように、供給回路10は、共通グランド(GND)に直接的に接続されているが、共通グランド(GND)に依存しない電位を供給する。第1のインバータ11及び第2のインバータ12のグランドには、供給回路10の出力が用いられる。
図3に示される電流電圧変換回路は、
図1と同様に、従来構成で用いられていたオペアンプを第1のインバータ11に置換することによって、低消費電力を実現できる。また、
図3に示される電流電圧変換回路は、
図1と同様に、供給回路10のノイズの影響を低減することができる。
【0023】
ここで、例えば供給回路10は、
図4に示すような定電流レギュレータであってよい。また、例えば供給回路10は、
図5に示すような電流源であってよい。
【0024】
また、電流電圧変換回路は、第1のインバータ11に帰還抵抗(R)を設ける構成に限定されない。例えば
図6に示すように、帰還抵抗(R)に代えてキャパシタ(C)が設けられてよい。
【0025】
また、電流電圧変換回路は、増幅回路としての機能を高めるために、オペアンプをさらに含む構成であってよい。例えば
図7に示すように、電流電圧変換回路は、第1のインバータ11及び第2のインバータ12のそれぞれの出力と直列に接続されるオペアンプを備える構成であってよい。
【0026】
また、電流電圧変換回路は、検出素子20に対する制御が可能なように付加回路を備えてよい。例えば
図8に示すように、電流電圧変換回路は、検出素子20であるフォトダイオードにかかる電位差をゼロにする、いわゆるオートゼロ機構を備える構成であってよい。この場合に、さらに、フォトダイオードとの接続部分にチョッパスイッチが追加されてよい。
【0027】
以上のように、本実施形態に係る電流電圧変換回路は、上記の構成によって、ノイズの影響を低減して低消費電力を実現可能にする。
【0028】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 供給回路
11 第1のインバータ
12 第2のインバータ
20 検出素子