(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085338
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】半導体製造装置、治工具実装方法および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199828
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】名久井 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 明
(72)【発明者】
【氏名】望月 政幸
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047FA02
5F047FA05
5F047FA08
5F047FA15
5F047FA16
5F047FA32
5F047FA73
5F047FA79
(57)【要約】
【課題】製品に対応しない治工具の装着を防止することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は、タグを有する治工具と、前記治工具が交換可能に取り付けられるダイ取扱ユニットと、前記タグからデータを読み出したり、前記タグにデータを書き込んだりするリーダライタと、前記タグから読み出したデータと予め保持しているデータとを比較し、比較結果が一致しない場合、生産を開始しないよう構成される制御装置と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグを有する治工具と、
前記治工具が交換可能に取り付けられるダイ取扱ユニットと、
前記タグからデータを読み出したり、前記タグにデータを書き込んだりするリーダライタと、
前記タグから読み出したデータと予め保持しているデータとを比較し、比較結果が一致しない場合、生産を開始しないよう構成される制御装置と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記データは、前記治工具が取り扱うダイのサイズ、所定の治工具であることを示す履歴番号および前記ダイ取扱ユニットの動作を規定する生産レシピを含み、
比較される前記データは、前記履歴番号または前記生産レシピである半導体製造装置。
【請求項3】
請求項2の半導体製造装置において、
前記データは、さらに、前記治工具のオフセット値を含む半導体製造装置。
【請求項4】
請求項2の半導体製造装置において、
前記データは、さらに、前記治工具の累積動作回数を含む半導体製造装置。
【請求項5】
請求項4の半導体製造装置において、
前記制御装置は、更新時に、過去に製造に用いた治工具の動作が規定された前記生産レシピを含む稼働履歴を前記タグに格納するよう構成される半導体製造装置。
【請求項6】
請求項4の半導体製造装置において、
前記履歴番号は、履歴回数毎に予め決められた規則で付与する番号であり、
前記制御装置は、更新時に、前記履歴番号を含む稼働履歴を前記タグに格納するよう構成される半導体製造装置。
【請求項7】
請求項5または6の半導体製造装置において、
前記更新時は、前記累積動作回数が所定回数を超えた場合、ウエハ交換する場合、生産が終了する場合を含む半導体製造装置。
【請求項8】
請求項1の半導体製造装置において、
さらに、前記リーダライタを前記治工具の近傍に動かすエアシリンダを備える半導体製造装置。
【請求項9】
請求項1の半導体製造装置において、
前記タグは前記ダイ取扱ユニットから電源供給が必要なアクティブタグである半導体製造装置。
【請求項10】
タグを有する治工具が交換可能に取り付けられるダイ取扱ユニットと、前記タグからデータを読み出したり、前記タグにデータを書き込んだりするリーダライタと、を備える半導体製造装置に治工具を実装する方法であって、
前記データは、前記治工具が取り扱うダイのサイズ、所定の治工具であることを示す履歴番号および前記ダイ取扱ユニットの動作を規定する生産レシピを含み、
前記タグから読み出した前記履歴番号または前記生産レシピと予め保持している前記履歴番号または前記生産レシピとを比較し、比較結果が一致しない場合、アラートする治工具実装方法。
【請求項11】
タグを有する治工具と、前記治工具が交換可能に取り付けられるダイ取扱ユニットと、前記タグからデータを読み出したり、前記タグにデータを書き込んだりするリーダライタと、前記タグから読み出したデータと予め保持しているデータとを比較し、比較結果が一致しない場合、生産を開始しないよう構成される制御装置と、を備え、前記データは、前記治工具が取り扱うダイのサイズ、所定の治工具であることを示す履歴番号および前記ダイ取扱ユニットの動作を規定する生産レシピを含み、比較される前記データは、前記履歴番号または前記生産レシピである半導体製造装置にウエハを保持するウエハリングを搬入する工程と、
前記ウエハリングに保持されるウエハからダイをピックアップする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えば治工具が交換可能なダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ダイボンダ等の半導体製造装置は、接合材料を用いて、例えば、素子を基板または素子の上にボンド(載置して接着)する装置である。接合材料は、例えば、液状またはフィルム状の樹脂やはんだ等である。素子は、例えば、半導体チップ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)およびガラスチップ等のダイである。基板は、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム、ガラス基板等である。
【0003】
例えば、ダイボンダにおいては、突上げユニットと協働してピックアップヘッドまたはボンドヘッドに設けられたコレット(吸着ノズル)によって半導体ウエハ(以下、単に、ウエハという。)からダイがピックアップされる。そして、ボンドヘッドによりダイが基板にボンドされる。
【0004】
このようなダイボンダは、多品種のダイに対応することができるようにするために、ピックアップヘッド、ボンディングヘッド、突上げユニット等のそれぞれの一部を構成する部品(以下、治工具という。)は、取り換え可能になっている。例えば、突上げユニットは、ドーム、アダプタおよびハウジング等の部品で構成され、ドームが取り換え可能である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
治工具が取り換え可能な場合、製品に対応しない治工具を装着することがある。
【0007】
本開示の課題は、製品に対応しない治工具の装着を防止することが可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、タグを有する治工具と、前記治工具が交換可能に取り付けられるダイ取扱ユニットと、前記タグからデータを読み出したり、前記タグにデータを書き込んだりするリーダライタと、前記タグから読み出したデータと予め保持しているデータとを比較し、比較結果が一致しない場合、生産を開始しないよう構成される制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、治工具の装着誤りを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1はダイボンダの構成例を示す概略上面図である。
【
図2】
図2は
図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
【
図3】
図3は
図1に示すウエハ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は
図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は
図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は
図1に示すダイボンダに用いられる突上げユニットおよびその周辺の構成を示す図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(d)はRMSの突上げシーケンスの一例を示す剥離ユニットの断面図であり、
図7(a)は第一状態を示す図であり、
図7(b)は第二状態を示す図であり、
図7(c)は第三状態を示す図であり、
図7(d)は第四状態を示す図である。
【
図8】
図8(a)は
図7(a)~
図7(d)のシーケンスのブロック動作タイミングの一例を示す図であり、
図8(b)は
図8(a)のブロック動作タイミングに対応するタイムチャートレシピの一例を示す図である。
【
図9】
図9は
図6に示すリーダライタの構成例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は治工具実装時の処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は治工具運用時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態および比較例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0012】
半導体製造装置の一実施形態であるダイボンダの構成について
図1から
図3を用いて説明する。
図1はダイボンダの構成例を示す概略上面図である。
図2は
図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
図3は
図1に示すウエハ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0013】
ダイボンダ1は、大別して、ウエハ供給部10と、ピックアップ部20、中間ステージ部30と、ボンディング部40と、搬送部50、基板供給部60と、基板搬出部70と、制御部(制御装置)80と、を有する。Y方向がダイボンダ1の前後方向であり、X方向が左右方向であり、Z方向が上下方向である。ウエハ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。ウエハ供給部10は基板Sに実装するダイDを供給する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。
【0014】
ウエハ供給部10は、ウエハカセットリフタ11と、ウエハ保持台12と、突上げユニット13と、ウエハ認識カメラ14と、を有する。ウエハ供給部10は基板Sに実装するダイDを供給する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。
【0015】
ウエハカセットリフタ11は複数のウエハリングWRが格納されるウエハカセット(不図示)をウエハ搬送高さまで上下動させる。図示しないウエハ修正シュートによりウエハカセットリフタ11から供給されるウエハリングWRのアライメントが行われる。図示しないウエハエキストラクタによりウエハリングWRをウエハカセットから取出してウエハ保持台12に供給したり、ウエハ保持台12から取り出してウエハカセットに収納したりする。
【0016】
ウエハ保持台12は、ウエハリングWRを保持するエキスパンドリング121と、ウエハリングWRに保持されダイシングテープDTを水平に位置決めする支持リング122と、を有する。突上げユニット13は支持リング122の内側に配置される。
【0017】
ダイシングテープDT上にウエハWが接着(貼付)されており、そのウエハWは複数のダイDに分割されている。ウエハWとダイシングテープDTとの間にダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料DFを貼り付けている。接着材料DFは加熱することで硬化する。
【0018】
ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突上げユニット13の位置に移動させる。ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY平面内においてウエハリングWRを回転させる。突上げユニット13は図示しない駆動部によって上下方向に移動する。突上げユニット13はダイシングテープDTからダイDを剥離する。
【0019】
ウエハ認識カメラ14ウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握したり、ダイDの表面検査をしたりする。
【0020】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、Y駆動部23と、を有する。ピックアップヘッド21には、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22が設けられる。ピックアップヘッド21はウエハ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。Y駆動部23はピックアップヘッド21をY軸方向に移動させる。ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0021】
中間ステージ部30は、ダイDが載置される中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ34と、を有する。中間ステージ31は載置されたダイDを吸着する吸引孔を備える。載置されたダイDは中間ステージ31に一時的に保持される。中間ステージ31はダイDが載置される載置ステージであると共に、ダイDがピックアップされるピックアップステージでもある。
【0022】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、Y駆動部43と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41にはダイDを先端に吸着保持するコレット42が設けられる。Y駆動部43はボンドヘッド41をY軸方向に移動させる。基板認識カメラ44は基板SのパッケージエリアPの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンド位置を認識する。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上昇させられ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。ボンディング部40は、ボンドヘッド41を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0023】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SのパッケージエリアP上にボンドし、又は既に基板SのパッケージエリアPの上にボンドされたダイの上に積層する形でボンドする。
【0024】
搬送部50は、基板Sを掴み搬送する搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60から搬送レーン52に沿ってボンド位置まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動して、基板搬出部70に基板Sを渡す。
【0025】
基板供給部60は、搬送治具に格納されて搬入された基板Sを搬送治具から取り出して搬送部50に供給する。基板搬出部70は、搬送部50により搬送された基板Sを搬送治具に格納する。
【0026】
次に、制御部80について
図4を用いて説明する。
図4は
図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0027】
制御系8は、制御部(制御装置)80、駆動部86、信号部87、光学系88およびリーダライタ90等を備える。制御部80は、大別して、主としてCPU(Central Processing Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85と、を有する。記憶装置82は、主記憶装置82aと、補助記憶装置82bと、を有する。主記憶装置82aは実行されるプログラムを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)で構成される。補助記憶装置82bは制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。
【0028】
入出力装置83は、装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。また、入出力装置83は、モータ制御装置83eと、I/O信号制御装置83fと、インタフェース83gと、を有する。モータ制御装置83eは、ウエハ供給部10のXYテーブル(図示せず)やボンドヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御する。I/O信号制御装置83fは、種々のセンサ、照明装置などの明るさを制御するスイッチまたはボリューム等を含む信号部87から信号を取り込み又は制御する。インタフェース83gは、リーダライタ90とのインタフェースを行う。光学系88には、ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34、基板認識カメラ44が含まれる。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0029】
ダイボンダ1の治工具管理方法のために、補助記憶装置82bにリーダライタ制御プログラムと治工具管理プログラムが記憶されており、主記憶装置82aにロードされて、制御・演算装置81により実行される。リーダライタ制御プログラムは、リーダライタ90とデータ通信をおこなうための制御プログラムである。治工具管理プログラムは、タグ100に書き込まれている情報を読みとり、それに基づきダイボンダ1のオペレータに必要な情報を表示し、治工具に設置されたタグ100に治工具の稼動情報(稼働履歴)を書き込むためのプログラムである。
【0030】
半導体装置の製造工程の一部にダイを基板に搭載してパッケージを組み立てる工程がある。パッケージを組み立てる工程の一部に、ウエハからダイを分割するダイシング工程と、分割したダイを基板の上に搭載するダイボンディング工程とがある。ダイボンダ1を用いたダイボンディング工程(半導体装置の製造方法)について
図5を用いて説明する。
図5は
図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0031】
(ウエハ搬入工程:工程S1)
ウエハリングWRがウエハカセットリフタ11のウエハカセットに供給される。供給されたウエハリングWRがウエハ保持台12に供給される。なお、ウエハWは、予めプローバ等の検査装置により、ダイ毎に検査され、ダイ毎に良、不良を示すウエハマップデータが生成されており、制御部80の記憶装置に記憶される。
【0032】
(基板搬入工程:工程S2)
基板Sが格納された搬送治具が基板供給部60に供給される。基板供給部60で搬送治具から基板Sが取り出され、基板Sが搬送爪51に固定される。
【0033】
(ピックアップ工程:工程S3)
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台12が動かされる。ウエハ認識カメラ14よりダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データを画像処理することによって、ダイボンダのダイ位置基準点からのウエハ保持台12上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、ウエハ保持台12の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0034】
位置決めされたダイDは突上げユニット13およびピックアップヘッド21によりダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0035】
ステージ認識カメラ34により中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データを画像処理することによって、ダイボンダのダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データを画像処理することによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0036】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はウエハ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0037】
(ボンド工程:工程S4)
搬送部50により基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44により撮像され、撮影によって取得された画像データに基づいて基板Sの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1の基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、基板Sの表面検査が行われる。
【0038】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42により吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によりボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。基板認識カメラ44により基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。
【0039】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板SのすべてのパッケージエリアPにダイDがボンドされる。
【0040】
(基板搬出工程:工程S5)
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送爪51から基板Sが取り出されて搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板Sが格納されている搬送治具が搬出される。
【0041】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDが実装された基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージが完成する。
【0042】
積層ボンドする場合は、ワイヤボンディング工程に続いて、ダイDが実装された基板Sが載置格納された搬送治具がダイボンダに搬入されて基板S上に実装されたダイDの上にダイDが積層され、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sがモールド工程に搬送され、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0043】
突上げユニット13の構成について
図6を用いて説明する。
図6は
図1に示すダイボンダに用いられる突上げユニットおよびその周辺の構成を示す図である。
【0044】
突上げユニット13は、治工具としてのドーム131とドーム131が装着されるハウジング132とを備える。ドーム131には、例えば、ダイシングテープDTに貼付されているダイDを突き上げるブロックが設けられている。ドーム131は、ハウジング132より取り外し可能、すなわち、交換可能となっている。
【0045】
ドーム131には、タグ100が取り付けられている。例えば、突上げユニット13のドーム131の下部にタグ100を設置する溝を設けて、ここに接着するなどして設置してもよい。ドーム131にフランジを設け、フランジに溝を設けて、ここにタグ100を設置してもよい。
【0046】
リーダライタ90は、決められた周波数帯の無線信号により、治工具に設置されたタグ100に格納されている情報を読み取り、また、タグ100に情報を格納するために、制御部80との仲立ちとなる装置である。リーダライタ90は、突上げユニット13の電波の届く範囲の適当な位置に設置される。
【0047】
リーダライタ90はドーム131の近傍にエアシリンダ110等により移動可能に設けられてもよい。これにより、治工具であるドーム131の金属表面にタグ100を取り付け、ドーム131内に収納しドームの動作に影響なく検知することが可能となる。
【0048】
次に、突上げユニット13の内部構成について
図7(a)~
図7(d)を用いて説明する。
図7(a)~
図7(d)はRMSの突上げシーケンスの一例を示す剥離ユニットの断面図であり、
図7(a)は第一状態を示す図であり、
図7(b)は第二状態を示す図であり、
図7(c)は第三状態を示す図であり、
図7(d)は第四状態を示す図である。
【0049】
突上げユニット13は、ドーム131内に、ブロックBLK1~BLK4を有する。ドーム131はその上面にダイシングテープDTを吸着する複数の吸引孔(不図示)を有する。四つのブロックBLK1~BLK4は図示しない四本のニードルにより独立に上下運動が可能である。四本のニードルはそれぞれ四つのモータにより駆動される。同心四角状のブロックBLK1~BLK4の平面形状はダイDの形状に合うように構成される。
【0050】
例えば、突上げユニット13は、ブロックBLK1~BLK4を同時に突上げ、その後さらに、ブロックBLK2~BLK4を同時に突上げ、その後さらに、ブロックBLK3,BLK4を同時に突上げ、その後さらに、ブロックBLK4を突上げてピラミッド状にする。また、突上げユニット13は、ブロックBLK1~BLK4を同時に突上げてからブロックBLK1、ブロックBLK2、ブロックBLK3の順に下げたりする。後者を本開示ではRMS(Reverse Multi Step)という。
【0051】
RMSの動作について
図7(a)~
図7(d)、
図8(a)および
図8(b)を用いて説明する。
図8(a)は
図7(a)~
図7(d)のシーケンスのブロック動作タイミングの一例を示す図であり、
図8(b)は
図8(a)のブロック動作タイミングに対応するタイムチャートレシピの一例を示す図である。
【0052】
ピックアップ動作はダイシングテープDT上の目的とするダイDが突上げユニット13とコレット22に位置決めされるところから開始する。位置決めが完了すると突上げユニット13の図示していない吸引孔および間隙を介して真空引きすることによって、ダイシングテープDTが突上げユニット13の上面に吸着される。このとき、ブロックBLK1~BLK4の上面はドーム131の上面と同一の高さ(初期位置)にある。ここで、初期位置を0とする。その状態で真空供給源から真空が供給され、コレット22がダイDのデバイス面に向けて真空引きしながら降下し、着地する。
【0053】
その後、
図7(a)に示すように、ブロックBLK1~BLK4が同時に所定の高さ(h1)まで一定の速度(s1)で上昇して第一状態になる。ここで、
図8(a)に示すように、ブロックBLK1~BLK4がh1に到達する時間をt1とすると、t1=h1/s1である。その後、所定時間(t2)待機する。ダイDはコレット22とブロックBLK1~BLK4に挟まれたまま上昇する。このとき、ダイシングテープDTの周辺部はドーム131に真空吸着されたままなので、ダイDの周辺で張力が生じ、その結果、ダイD周辺でダイシングテープDTの剥離が開始されることになる。
【0054】
続いて、
図7(b)に示すように、ブロックBLK1がドーム131の上面よりも下の所定の高さ(-h2)に一定の速度(s2)で下降して第二状態になる。ここで、
図8(a)に示すように、ブロックBLK1が所定の高さ(-h2)に到達する時間をt3とすると、t3=(h1+h2)/s2である。ブロックBLK1がドーム131の上面よりも下がることにより、ダイシングテープDTの支えがなくなり、ダイシングテープDTの張力によりダイシングテープDTの剥離が進行する。
【0055】
続いて、
図7(c)に示すように、ブロックBLK2がドーム131の上面よりも下の所定の高さ(-h2)に一定の速度(s2)で下降して第三状態になる。ここで、
図8(a)に示すように、ブロックBLK2が所定の高さ(-h2)に到達する時間をt4とすると、t4=(h1+h2)/s2である。ブロックBLK2がドーム131の上面よりも下がることにより、ダイシングテープDTの支えがなくなり、ダイシングテープDTの張力によりダイシングテープDTの剥離がさらに進行する。
【0056】
続いて、
図7(d)に示すように、ブロックBLK3がドーム131の上面よりも下の所定の高さ(-h2)に一定の速度(s2)で下降して第四状態になる。ここで、
図8(a)に示すように、ブロックBLK3が所定の高さ(-h2)に到達する時間をt5とすると、t5=(h1+h2)/s2である。ブロックBLK3がドーム131の上面よりも下がることにより、ダイシングテープDTの支えがなくなり、ダイシングテープDTの張力によりダイシングテープDTの剥離がさらに進行する。
【0057】
その後、コレット22を上方に引き上げる。また、
図8(a)に示すように、第四状態から所定時間(t6)後ブロックBLK1~BLK3が一定の速度(s3)で上昇し、ブロックBLK4が一定の速度(s4)で下降し初期位置に戻る。ここで、ブロックBLK1~BLK3が初期位置に到達する時間をt8とすると、t8=h2/s3であり、ブロックBLK4が初期位置に到達する時間をt9とすると、t9=h1/s4である。これにより、ダイDをダイシングテープDTから剥がす作業が完了する。
【0058】
次に、RMSの動作の設定方法および制御について
図8(b)を用いて説明する。タイムチャートレシピには、突上げユニット13の各ブロックBLK1~BLK4の動作を、ブロック毎およびステップ毎にステップの時間、ブロックの上昇または下降の速度、ブロックの高さ(位置)が設定される。制御部80は、このタイムチャートレシピに基づいてニードルを介して各ブロックBLK1~BLK4をそれぞれ駆動するモータを制御するよう構成される。
【0059】
設定項目の異なる複数のタイムチャートレシピ(生産レシピ)を用意しておき、オペレータは、GUI(Graphical User Interface)によって複数のタイムチャートレシピから一つのタイムチャートレシピを選択し、選択したタイムチャートレシピの項目に設定値を入力する。または、オペレータは、予め設定値が入力されたタイムチャートレシピを外部機器からダイボンダ等の半導体製造装置にデータ通信するか、または、外部記憶装置から半導体製造装置にインストールする。ここで、外部記憶装置は、例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリである。また、制御部80はセンサにより検知した状態に基づいてリアルタイムにタイムチャートレシピを書換えて突上げ動作の変更が可能である。
【0060】
次に、リーダライタ90とタグ100の構成と動作について
図9から
図11を用いて説明する。
図9は
図6に示すリーダライタの構成例を示すブロック図である。
図10は
図6に示すタグの構成例を示すブロック図である。
図11は
図6に示すタグの他の構成例を示すブロック図である。
【0061】
図9に示すように、リーダライタ90は、制御部(CNT)91、インタフェース部(I/F)92、メモリ(MM)93、送信部(TX)94および受信部(RX)95を備える。リーダライタ90は、RFID(Radio Frequency Identification)リーダライタともいう。
【0062】
制御部91は、インタフェース部92から入ってくる制御部80の指示に従い、リーダライタ90の各部を制御する。メモリ93には、タグ100から読取ったデータやリーダライタ90の制御情報が格納されており、制御部91から読み出される。送信部94は、D/A変換を行い、アンテナ111から電波を送信する。受信部95は、アンテナ111から電波を受け、A/D変換を行い、データを制御部91に送る。
【0063】
図10に示すように、タグ100は、制御部(CNT)101、メモリ(MM)103、送信部(TX)104および受信部(RX)105および電力生成部(PG)106を備える。タグ100は、RFIDタグともいう。
【0064】
制御部101は、アンテナ112から入ってくるリーダライタ90のコマンドに従い、タグ100の各部を制御する。メモリ103には、このタグ100の格納情報が記憶されている。電力生成部106は、電波を受信し、タグ100の動作に必要な電力を生成する。
【0065】
なお、タグ100は、
図11に示すように、電力生成部106を有さない電源供給が必要なアクティブタグとして構成してもよい。電源が電源線113を介して電源供給部(PS)107に供給されるようにしてもよい。電源線113はドーム131およびハウジング132を介して装置が備える電源に接続される。確認は組付け起動時と生産開始前に行う。これにより、所定の治工具以外の治工具では、タグ100に電源が供給されず、タグ100からデータを読み出すこと(検知)ができなくすることが可能となる。
【0066】
制御部101はメモリ103からデータを読み出し、送信部104は読み出されたデータのD/A変換を行い、アンテナ112から電波を送信する。受信部105は、アンテナ111から電波を受け、A/D変換を行ってデータを取得し、制御部101はそのデータをメモリ103に格納する。
【0067】
次に、治工具管理方法に用いられるデータについて
図12を用いて説明する。
図12はタグに格納されるデータ例を示す図である。以下の説明では、ドーム131を治工具と称している。
【0068】
図11に示すタグ100が有するデータ(情報)は、
図10に示すメモリ103の中に格納されている。ここで、一つのタグ100ごとに、「タグシリアルNO」、「ダイ寸法」、「累積動作回数」、「製造履歴」および「履歴回数」等の情報が格納される。
【0069】
「タグシリアルNO」は、タグ100ごとに採られる固有の識別子である。「ダイ寸法」は、治工具が対象とするダイの寸法を格納する。例えば、「5mm×7mm」、「7mm×8mm」四方などである。
【0070】
ここまでのデータおよび後述する「履歴番号」は、治工具の出荷のときに設定されるデータ(出荷時情報)である。
【0071】
ダイボンダ1は、治工具と共に顧客に出荷される。なお、ダイボンダ1の装置とは切り離して、治工具単体が顧客に出荷される場合もある。本明細書では、治工具の出荷とは、ダイボンダ1の出荷と治工具単体の出荷の両方をいう。
【0072】
タグ100のメモリ103に出荷時情報を書き込む場合、ダイボンダ1に設けられるリーダライタ90を使用してもよいし、パーソナルコンピュータなどの情報処理機器につないだリーダライタを使用してもよい。
【0073】
なお、治工具の出荷のときに設定されるデータに、「オフセット値」を含めてもよい。「オフセット値」は、治工具が有する固有値であり、例えば、基準の治工具の高さ(例えば、ドーム131の下面から上面までの高さ)に対するオフセット値である。例えば、「100μm」、「-200μm」などである。
【0074】
以下の「累積動作回数」、「製造履歴」、「履歴回数」および「履歴番号」は、ダイボンダ1で治工具を運用したときの稼動履歴としてタグ100に格納される。稼働履歴は、「累積動作回数」が更新所定回数に達するとき、治工具に対応する製品の生産終了時(品種交換時)、生産開始前、ウエハの交換時、等に更新される更新情報である。
【0075】
「累積動作回数」は、突上げユニット13の治工具により、ウエハからダイを剥離したときの工程の回数である。「製造履歴」は、例えば、
図8(b)に示すような、実際に突上げユニット13の動作に用いた生産レシピである。「履歴回数」は、稼働履歴の更新回数である。
【0076】
「履歴番号」は、履歴回数毎にあらかじめ決められたルールで付与される番号である。履歴番号で所定の治工具かどうかが判断される。なお、治工具の出荷のときは、履歴回数「0」であり、これに基づいて「履歴番号」が付与され、タグ100に格納される。
【0077】
なお、稼働履歴として、「装置シリアルNO」や「対象製品」を含めてもよい。「装置シリアルNO」はダイボンダごとに採られる固有の識別子である。その治工具が用いられたダイボンダの識別子が格納される。「対象製品」は、その治工具が対象としているウエハ毎につけられる製品名である。
【0078】
次に、ダイボンダの治工具管理方法の運用モデルについて
図13および
図14を用いて説明する。
図13は、治工具実装時の処理を示すフローチャートである。
図14は治工具運用時の処理を示すフローチャートである。
【0079】
先ず、オペレータはダイボンダ1の装置電源を投入(ONに)する(ステップS300)。なお、以下のダイボンダ1の各処理は、制御部80により実行される。
【0080】
次に、製造条件入力画面をモニタ83aに表示する(ステップS301)。
【0081】
そして、オペレータは、タッチパネル83bなどの入力装置を用いて、製造条件入力画面のダイ寸法および生産レシピを入力して製造条件を指定する(ステップS302)。
【0082】
リーダライタ90が、治工具のタグ100から格納されている情報を読取る(ステップS303)。タグ100から読み出される情報には、「タグシリアルNO」、「ダイ寸法」、「累積動作回数」、「製造履歴」および「履歴回数」が含まれる。
【0083】
そして、指定された製造条件(設定条件)とタグ100より読取った情報が一致するかを判定する(ステップS304)。
【0084】
過去に製造に用いていない治工具の場合、「製造履歴」がタグ100に格納されていない。したがって、ステップS302において入力された生産レシピとの比較ができない。この場合、タグ100に格納されている「履歴回数」は「0」であるので、制御部80は、これに基づいて「履歴番号」を生成し、タグ100に格納されている「履歴番号」と比較する。そして、制御部80は、ステップS302において入力されたダイ寸法とタグ100に格納されている「ダイ寸法」と比較する。
【0085】
過去に製造に用いた治工具の場合、制御部80は、ステップS302において入力された「ダイ寸法」および「生産レシピ」とタグ100に格納されている「ダイ寸法」および「製造履歴」とをそれぞれ比較する。
【0086】
設定条件とタグ100に格納されている情報が一致しないときには、制御部80は、アラートし、例えば、モニタ83aにエラーメッセージを表示し、オペレータに治工具の取付・交換を指示する(ステップS305)。なお、ステップS304の「NO」は、治工具が取付けられていないとき、すなわち、タグ100から情報を読取れなかったときも含まれる。
【0087】
次に、オペレータは必要な治工具の取付・交換を行い(ステップS306)、ステップS303に戻る。
【0088】
一方、ステップS304で、設定条件とタグ100より読取った情報が一致するときには、制御部80は、タグ100より読取った情報の内で、「累積動作回数」の値と、所定値を比較判定する(ステップS307)。ここで、所定値は上述した更新所定回数とは異なるものである。所定値は交換が必要な規定回数よりも少ない値であり、生産を開始すると生産中に規定回数に達する可能性がある値である。「累積動作回数」が所定値を越えるものがあるときには、制御部80は、モニタ83aに警告メッセージ、例えば、「治工具の動作回数が規定回数に近づいています」、「治工具の動作回数が規定回数を越えています」と表示する(ステップS308)。「治工具の動作回数が規定回数に近づいています」を表示する場合、動作回数も表示される。規定回数は、例えば、600万回である。
【0089】
オペレータが、治工具を交換必要と判断したときには(ステップS309)、ステップS306に行く。「累積動作回数」は所定値を超えているが、規定回数に達していない場合、オペレータの判断で治工具を交換せず、生産開始は可能である。
【0090】
制御部80は、累積動作回数と所定値を比較判定し(ステップS307)、累積動作回数が所定値を越えないとき、または、オペレータが、治工具を交換必要と判断しないときには(ステップS309)、治工具の取付・交換作業を完了する(ステップS310)。
【0091】
そして、治工具の高さ補正ティーチングを実施する(ステップS311)。生産レシピに基づいて突上げられたブロックBLK1~BLK4の高さが所定の高さになっているかどうかを位置センサ等で測定し、所定の高さになっていないときは高さを補正(生産レシピを補正)する。
【0092】
なお、前回の高さ補正ティーチング時の治工具(突き上げブロック)のオフセット値をタグ100から読み込んで記憶している場合、前回の治工具の「オフセット値」および今回の治工具の「オフセット値」を利用して高さ補正ティーチングを省略または簡略することが可能である。または高さ補正ティーチングの実施結果と治工具のタグ100に格納されている生産レシピとを比較して、その差が規定以上大きい場合、警告メッセージを表示(アラートを発出)し不良を防止することが可能である。
【0093】
治工具が同じでもダイボンダが異なると高さ補正が異なることがあるので、「オフセット値」に加え「装置シリアルNO」を用いて管理するようにしてもよい。これにより、装置間での治工具の共通化が可能となる。
【0094】
次に、オペレータは、製品の生産の開始の指示をする(ステップS312)。例えば、モニタ83aに表示されるメイン操作画面より、オペレータは「生産開始」ボタンをクリックする。ダイボンダ1は生産を行う。ステップS303においてタグ100から読み取った「累積動作回数」に生産数が加算される。
【0095】
累積動作回数と規定回数を比較判定し(ステップS313)、「累積動作回数」が規定回数を越えるものがあるときには、モニタ83aに警告メッセージ、例えば、「治工具の動作回数が規定回数を越えています」と表示する(ステップS319)。
次に、オペレータは必要な治工具の取付・交換を行い(ステップS320)、ステップS303に戻る。
【0096】
累積動作回数と規定回数を比較判定し(ステップS313)、累積動作回数が規定回数を越えないとき、稼働履歴を更新する場合(ステップS314)、制御部80は稼働履歴をリーダライタ90に書き込む。稼働履歴を更新する場合とは、「累積動作回数」が所定回数を超えた場合、ウエハ交換する場合、生産が終了する場合等である。
【0097】
そして、リーダライタ90は、入力された稼動履歴の値に基づいて、治工具のタグ100に格納されている情報を更新する(ステップS315)。制御部80側での稼動履歴は、稼動制御プログラムにより主記憶装置82aや補助記憶装置82bに格納されるようになっている。
【0098】
そして、同じ製品を製造するときには(ステップS316)、ステップS313に戻り生産を継続し、そうでないときは、ステップS317に移る。
【0099】
そして、次の製品を製造するときには(S317)、オペレータは、
図13のステップS301に戻り、そうでないときには、オペレータはダイボンダ1の装置電源を遮断(OFFに)する(S318)。
【0100】
制御部80は、製造に用いた治工具の稼働履歴を更新毎にタグ100に記憶し、制御部80は、タグ100に前回または指定した過去に記憶された稼働履歴と入力された生産レシピ、治工具と使用する生産レシピが合っているかどうかが確認可能である。これにより、製品と対応しない治工具の誤った取付けによる不良発生を防止することが可能となる。
【0101】
ダイボンダ用の治工具は、消耗品としてアフターサービスで純正品として販売される。しかし、ユーザは、純正品を購入せずに、自分であるいは第三者に依頼して、治工具を作成することがある。治工具の品質・精度は、ダイの剥離精度などに影響を及ぼし、不良品を作る原因ともなる。本実施形態では、タグ100が取付けられた純正品の治工具を使用したときに、制御部80に、タグ100ごとの稼動履歴(「製造履歴」や「履歴番号」)が格納される。したがって、タグを付けていない治工具または純正品のタグを付けていない治工具(純正品でない治工具)を使用できなくすることが可能である。これにより、純正品を使用しない(製品と対応しない治工具を使用する)ことによる不良発生を防止することが可能となる。
【0102】
また、タグ100に格納され治工具のオフセット値などの装置の運用条件を自動的にダイボンダの装置側にローディングし自動設定することにより、顧客における生産性向上および品質向上を図ることができる。すなわち、治工具のオフセット値の活用により、ティーチング等の段取り時間を短縮することができる。
【0103】
また、タグ100内に稼動履歴として治工具の動作回数を格納しておき、動作回数を所定値と比較することにより、治工具の磨耗、劣化を考慮した利用をすることが可能である。すなわち、稼動履歴を参照して、オペレータに警告メッセージを出力することにより、使いすぎた治工具を使用することを避けるようにして、製造における不良の発生を未然に防止することが可能となる。
【0104】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0105】
例えば、実施形態では、突上げユニットの治工具を例に説明したが、ピックアップヘッドやボンドヘッド等のダイ取扱ユニットの治工具(例えば、コレットやコレットホルダ)にも適用可能である。
【0106】
実施形態では、タグ100としてRFIDを例に説明したが、タグ100はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)で構成してもよい。
【0107】
実施形態では突上げユニットには四つのブロックおよび四本のニードルを例に説明したが、ブロックおよびニードルの数はこれに限定されるものではない。例えば四以上であってもよい。
【0108】
実施形態では、ニードルは同じ数のモータにより駆動される例で説明したが、ニードルの本数とモータの数は異なっても良い。例えば一つのモータでカムを駆動し、カムによってニードルを決められた順に突き上げてもよい。また、モータに代えて、エアシリンダやピエゾアクチュエータ等によってニードルを駆動してもよい。
【0109】
実施形態では、中間ステージからダイをピックアップし、ボンドステージに保持された基板にボンドするボンドヘッドの例を説明した。これに限定されるものではなく、ウエハ保持台からダイをピックアップし、中間ステージに載置するピックアップヘッドにも適用できる。この場合、ウエハ保持台が第一のステージであり、中間ステージが第二のステージである。
【0110】
実施形態では、ピックアップヘッドによりウエハからピックアップしたダイを中間ステージに載置し、ボンドヘッドにより中間ステージからダイをピックアップする例について説明した。これに限定されるものではなく、ピックアップヘッドおよび中間ステージを備えず、ボンドヘッドによりウエハからピックアップしたダイを基板にボンドするダイレクトボンドにも適用できる。この場合、ウエハ保持台が第一のステージであり、ボンドステージが第二のステージである。
【0111】
また、実施形態ではウエハの裏面にDAFが貼付されているが、DAFはなくてもよい。
【0112】
また、実施形態ではピックアップヘッドおよびボンドヘッドをそれぞれ1つ備えているが、それぞれ2つ以上であってもよい。
【0113】
実施形態では、ダイボンダを例に説明したが、フリップチップボンダやチップマウンタ等の実装装置にも適用できる。
【0114】
実施形態では、ダイボンダを例に説明したが、ピックアップしたダイをトレイに載置する半導体製造装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0115】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
13・・・突上げユニット(ダイ取扱ユニット)
131・・・ドーム(治工具)
80・・・制御部
90・・・リーダライタ
100・・・タグ