IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファスフォードテクノロジ株式会社の特許一覧

特開2024-85339半導体製造装置および半導体装置の製造方法
<>
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図2
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図3
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図4
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図5
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図6
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図7
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図8
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図9
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図10
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図11
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図12
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図13
  • 特開-半導体製造装置および半導体装置の製造方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085339
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199829
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】保坂 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】高野 隆一
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047BB03
5F047BB13
5F047BB19
5F047FA02
5F047FA03
5F047FA08
5F047FA15
5F047FA35
5F047FA72
5F047FA73
5F047FA74
5F047FA79
(57)【要約】
【課題】位置決め精度および検査精度の少なくとも一方の向上が可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体製造装置は、撮像素子を含む本体ユニットと液体レンズを含むレンズユニットとを有する認識カメラと、前記認識カメラで治工具または半導体装置の部材を撮影して前記レンズユニットの焦点が前記治工具または前記部材の表面に合うように前記液体レンズへの印加電圧を調整し、前記レンズユニットの焦点が合った状態において前記認識カメラで前記治工具または前記部材を撮影して画像を取得し、取得した前記画像に基づいて前記治工具または前記部材の状態を認識するよう構成される制御装置と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を含む本体ユニットと液体レンズを含むレンズユニットとを有する認識カメラと、
前記認識カメラで治工具または半導体装置の部材を撮影して前記レンズユニットの焦点が前記治工具または前記部材の表面に合うように前記液体レンズへの印加電圧を調整し、前記レンズユニットの焦点が合った状態において前記認識カメラで前記治工具または前記部材を撮影して画像を取得し、取得した前記画像に基づいて前記治工具または前記部材の状態を認識するよう構成される制御装置と、
を備える半導体製造装置。
【請求項2】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記レンズユニットへの印加電圧を段階的に変化させながら前記認識カメラで前記部材を撮影し、
撮像された前記治工具または前記部材の画像を画像処理して焦点が合っている合焦状態を求め、
前記レンズユニットの合焦状態における印加電圧を導出する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記レンズユニットとの距離が既知の複数の対象物に対して、前記レンズユニットが焦点を合わせた合焦状態の前記液体レンズへの印加電圧を取得し、
取得した前記印加電圧と、前記レンズユニットと前記対象物の距離とから算出した焦点距離との関係を示す複数のデータを作成して前記複数のデータを記憶装置に記憶する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項4】
請求項3の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記レンズユニットへの印加電圧を段階的に変化させながら前記認識カメラで前記対象物を撮影し、
撮像された前記対象物の画像を画像処理して焦点が合っている合焦状態を求め、
前記合焦状態における前記印加電圧を取得する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項5】
請求項3の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記レンズユニットを測定対象物に対して焦点が合った合焦状態にして、当該合焦状態における前記液体レンズへの印加電圧を取得し、
取得した当該印加電圧に対応する焦点距離を記憶された前記複数のデータから求める
よう構成される半導体製造装置。
【請求項6】
請求項5の半導体製造装置において、
前記制御装置は、
前記レンズユニットへの印加電圧を段階的に変化させながら前記認識カメラで前記部材を撮影し、
撮像された前記測定対象物の画像を画像処理して焦点が合っている合焦状態を求め、
前記合焦状態における前記印加電圧を取得する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項7】
請求項5の半導体製造装置において、
前記測定対象物は、基板またはボンドヘッドによって既に基板に載置されたダイまたは基板に載置されているダイに載置されたダイであり、
前記制御装置は、
前記焦点距離に基づいて前記測定対象物の高さを算出し、
算出された前記測定対象物の高さに基づいて前記ボンドヘッドの着地高さを制御する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項8】
請求項5の半導体製造装置において、
前記測定対象物は、基板またはボンドヘッドによって既に基板に載置されたダイまたは基板に載置されているダイに載置されたダイであり、
前記制御装置は、
前記焦点距離に基づいて前記測定対象物の高さを算出し、
算出された前記測定対象物の高さに基づいて載置されたダイの状態を確認する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項9】
請求項6の半導体製造装置において、
前記測定対象物は、塗布装置で基板に塗布されたペーストであり、
前記制御装置は、
前記焦点距離に基づいて前記測定対象物の高さを算出し、
前記合焦状態における前記測定対象物の画像に基づいて測定対象の部材の外形を求め、
前記測定対象物の高さおよび前記測定対象物の外形に基づいて前記ペーストの塗布量を算出し、
算出された前記塗布量に基づいて前記塗布装置の塗布量を制御する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項10】
請求項5の半導体製造装置において、
前記測定対象物は、ヘッドに装着されたコレットまたは当該コレットで吸着されたダイであり、
前記制御装置は、
前記焦点距離に基づいて前記測定対象物までの距離を算出し、
算出された前記測定対象物までの距離に基づいて前記コレットの装着状態または前記ダイの吸着状態を確認する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項11】
請求項5の半導体製造装置において、
前記測定対象物は、剥離ユニットのブロック部であり、
前記制御装置は、
前記焦点距離に基づいて前記測定対象物までの距離を算出し、
算出された前記測定対象物までの距離に基づいて前記ブロック部の作動を確認する
よう構成される半導体製造装置。
【請求項12】
撮像素子を含む本体ユニットと液体レンズを含むレンズユニットとを有する認識カメラと、前記認識カメラで治工具または半導体装置の部材を撮影して前記レンズユニットの焦点が前記治工具または前記部材の表面に合うように前記液体レンズへの印加電圧を調整し、前記レンズユニットの焦点が合った状態において前記認識カメラで前記治工具または前記部材を撮影して画像を取得し、取得した前記画像に基づいて前記治工具または前記部材の状態を認識するよう構成される制御装置と、を備える半導体製造装置に基板を搬入する工程と、
前記基板に部材をアタッチする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12の半導体装置の製造方法において、
前記認識カメラで前記部材または前記基板を撮影して前記レンズユニットの焦点が前記部材または前記基板の表面に合うように前記液体レンズへの印加電圧を調整し、前記レンズユニットの焦点が合った状態において前記認識カメラで前記部材または前記基板を撮影して画像を取得し、取得した前記画像に基づいて前記部材または前記基板の状態を認識する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12の半導体装置の製造方法において、
前記治工具は、ヘッドに装着されたコレットまたは剥離ユニットのブロック部である半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体製造装置に関し、例えば半導体装置の部材の確認を認識カメラで行うダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ダイボンダ等の半導体製造装置は、接合材料を用いて、例えば、素子を基板または素子の上にボンド(載置して接着)する装置である。接合材料、素子および基板は半導体装置の部材である。接合材料は、例えば、液状またはフィルム状の樹脂やはんだ等である。素子は、例えば、半導体チップ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)およびガラスチップ等のダイである。基板は、例えば、配線基板や金属薄板で形成されるリードフレーム、ガラス基板等である。
【0003】
ダイボンダにおいては、例えば、カメラ(撮像装置およびレンズ)により素子や基板、接合材料等の撮像対象物を撮影し、撮影により取得した画像を画像処理することにより、位置決めや検査が行われている。撮像装置の設置位置、または、撮像対象物が載置されるステージの設置位置、または、レンズと撮像装置の撮像面(受光デバイス面)との位置関係の調整などが行われ、焦点が最も合う位置に調整される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-51472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、固定焦点レンズを用い、そのレンズの設置位置が固定されている。例えば、被写界深度を超えて撮像対象物の厚さが変化すると焦点が合わなくなり、位置決め精度または検査精度が低下することがある。
【0006】
本開示の課題は、位置決め精度および検査精度の少なくとも一方の向上が可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、半導体製造装置は、撮像素子を含む本体ユニットと液体レンズを含むレンズユニットとを有する認識カメラと、前記認識カメラで治工具または半導体装置の部材を撮影して前記レンズユニットの焦点が前記治工具または前記部材の表面に合うように前記液体レンズへの印加電圧を調整し、前記レンズユニットの焦点が合った状態において前記認識カメラで前記治工具または前記部材を撮影して画像を取得し、取得した前記画像に基づいて前記治工具または前記部材の状態を認識するよう構成される制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、位置決め精度および検査精度の少なくとも一方の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。
図2図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
図3図3図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
図4図4図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図5図5図2に示す基板認識カメラの構成を示す図である。
図6図6は焦点調整方法を示すフローチャートである。
図7図7は比較例における基板認識カメラの動作を示す模式図である。
図8図8図5に示す基板認識カメラの動作を示す模式図である。
図9図9は印加電圧と焦点距離の関係データの作成方法を示すフローチャートである。
図10図10は焦点距離の測定方法を示すフローチャートである。
図11図11は第一変形例におけるダイボンダのプリフォームカメラを説明するための図である。
図12図12はコレットを含むボンドヘッドの先端部の構造を示す図である。
図13図13は第二変形例におけるダイボンダのアンダビジョンカメラを説明するための図である。
図14図14は第三変形例におけるダイボンダのウエハ認識カメラおよび剥離ユニットの要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
半導体製造装置の一実施形態であるダイボンダの構成について図1から図2を用いて説明する。図1は実施形態におけるダイボンダの構成例を示す概略上面図である。図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図である。
【0012】
ダイボンダ1は、大別して、ウエハ供給部10と、ピックアップ部20、中間ステージ部30と、ボンディング部40と、搬送部50、基板供給部60と、基板搬出部70と、制御部(制御装置)80と、を有する。Y方向がダイボンダ1の前後方向であり、X方向が左右方向であり、Z方向が上下方向である。ウエハ供給部10がダイボンダ1の前側に配置され、ボンディング部40が後側に配置される。
【0013】
ウエハ供給部10は、ウエハカセットリフタ11と、ウエハ保持台12と、剥離ユニット13と、ウエハ認識カメラ14と、を有する。
【0014】
ウエハカセットリフタ11は複数のウエハリングWRが格納されるウエハカセット(不図示)をウエハ搬送高さまで上下動させる。ウエハ修正シュート(不図示)はウエハカセットリフタ11から供給されるウエハリングWRのアライメントを行う。ウエハエキストラクタ(不図示)はウエハリングWRをウエハカセットから取出してウエハ保持台12に供給したり、ウエハ保持台12から取り出してウエハカセットに収納したりする。
【0015】
ダイシングテープDT上にウエハWが接着(貼付)されており、そのウエハWは複数のダイDに分割されている。ウエハWとダイシングテープDTとの間にダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料DFを貼り付けている。接着材料DFは加熱することで硬化する。
【0016】
ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを剥離ユニット13の位置に移動させる。また、ウエハ保持台12は図示しない駆動部によってXY平面内においてウエハリングWRを回転またはXY移動させる。剥離ユニット13は図示しない駆動部によって上下方向に移動する。剥離ユニット13はダイシングテープDTからダイDを剥離する。
【0017】
ウエハ認識カメラ14はウエハWからピックアップするダイDのピックアップ位置を把握したり、ダイDの表面検査をしたりする。
【0018】
ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21と、Y駆動部23と、を有する。ピックアップヘッド21には、剥離されたダイDを先端に吸着保持するコレット22が設けられる。ピックアップヘッド21はウエハ供給部10からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。Y駆動部23はピックアップヘッド21をY軸方向に移動させる。ピックアップ部20は、ピックアップヘッド21を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0019】
中間ステージ部30は、ダイDが載置される中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ34と、を有する。中間ステージ31は載置されたダイDを吸着する吸引孔を備える。載置されたダイDは中間ステージ31に一時的に保持される。中間ステージ31はダイDが載置される載置ステージであると共に、ダイDがピックアップされるピックアップステージでもある。
【0020】
ボンディング部40は、ボンドヘッド41と、Y駆動部43と、基板認識カメラ44と、ボンドステージ46と、を有する。ボンドヘッド41にはダイDを先端に吸着保持するコレット42が設けられる。Y駆動部43はボンドヘッド41をY軸方向に移動させる。基板認識カメラ44は基板Sの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンド位置を認識する。ここで、基板Sには、最終的に一つのパッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。位置認識マークはパッケージエリアPごとに設けられる。ボンドステージ46は、基板SにダイDが載置される際、上昇させられ、基板Sを下方から支える。ボンドステージ46は基板Sを真空吸着するための吸引口(不図示)を有し、基板Sを固定することが可能である。ボンドステージ46は基板Sを加熱する加熱部(不図示)を有する。ボンディング部40は、ボンドヘッド41を昇降、回転及びX方向移動させる各駆動部(不図示)を有する。
【0021】
このような構成によって、ボンドヘッド41は、ステージ認識カメラ34の撮像データに基づいてピックアップ位置や姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップする。そして、ボンドヘッド41は、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SのパッケージエリアP上にボンドし、または既に基板SのパッケージエリアPの上にボンドされたダイの上に積層する形でボンドする。
【0022】
搬送部50は、基板Sを掴み搬送する搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部60から搬送レーン52に沿ってボンド位置まで移動し、ボンド後、基板搬出部70まで移動して、基板搬出部70に基板Sを渡す。
【0023】
基板供給部60は、搬送治具に格納されて搬入された基板Sを搬送治具から取り出して搬送部50に供給する。基板搬出部70は、搬送部50により搬送された基板Sを搬送治具に格納する。
【0024】
次に、制御部80について図3を用いて説明する。図3図1に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
制御系8は制御部(制御装置)80と駆動部86と信号部87と光学系88とを備える。制御部80は、大別して、主としてCPU(Central Processing Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は主記憶装置82aと補助記憶装置82bとを有する。主記憶装置82aは、処理プログラムなどを記憶しているRAM(Random Access Memory)で構成されている。補助記憶装置82bは制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成されている。
【0026】
入出力装置83は、装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタ83aを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。入出力装置83は、さらに、モータ制御装置83eと、I/O信号制御装置83fと、焦点制御装置83gと、を有する。モータ制御装置83eは、ウエハ供給部10のXYテーブル(図示せず)やボンドヘッドテーブルのZY駆動軸、剥離ユニット13の駆動部等の駆動部86を制御する。I/O信号制御装置83fは、後述する変位計等の種々のセンサや照明装置などの明るさを制御するスイッチやボリューム等を含む信号部87から信号を取り込み又は制御する。光学系88には、ウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34、基板認識カメラ44が含まれる。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0027】
制御部80は画像取込装置83dを介してウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34および基板認識カメラ44で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウエアにより、制御・演算装置81を用いてダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置決め、並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81が算出したダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置に基づいてソフトウエアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスによりウエハ上のダイの位置決めを行い、ピックアップ部20およびボンディング部40の駆動部で動作させダイDを基板SのパッケージエリアP上にボンドする。使用するウエハ認識カメラ14、ステージ認識カメラ34および基板認識カメラ44は光強度や色を数値化する。
【0028】
ダイボンダ1を用いた半導体装置の製造工程の一部(半導体装置の製造方法)について図4を用いて説明する。図4図1に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下の説明において、ダイボンダ1を構成する各部の動作は制御部80により制御される。
【0029】
(ウエハ搬入工程:工程S1)
ウエハリングWRがウエハカセットリフタ11のウエハカセットに供給される。供給されたウエハリングWRがウエハ保持台12に供給される。
【0030】
(基板搬入工程:工程S2)
基板Sが格納された搬送治具が基板供給部60に供給される。基板供給部60で搬送治具から基板Sが取り出され、基板Sが搬送爪51に固定される。
【0031】
(ピックアップ工程:工程S3)
工程S1後、所望するダイDをダイシングテープDTからピックアップできるようにウエハ保持台12が動かされる。ウエハ認識カメラ14によりダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダのダイ位置基準点からのウエハ保持台12上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、ウエハ保持台12の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0032】
位置決めされたダイDは剥離ユニット13およびピックアップヘッド21によりダイシングテープDTから剥離される。ダイシングテープDTから剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21に設けられたコレット22に吸着、保持されて、中間ステージ31に搬送されて載置される。
【0033】
ステージ認識カメラ34により中間ステージ31の上のダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダのダイ位置基準点からの中間ステージ31上のダイDのずれ量(X、Y、θ方向)が算出されて位置決めが行われる。なお、ダイ位置基準点は、予め、中間ステージ31の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、ダイDの表面検査が行われる。
【0034】
ダイDを中間ステージ31に搬送したピックアップヘッド21はウエハ供給部10に戻される。上述した手順に従って、次のダイDがダイシングテープDTから剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープDTから1個ずつダイDが剥離される。
【0035】
(ボンド工程:工程S4)
搬送部50により基板Sがボンドステージ46に搬送される。ボンドステージ46上に載置された基板Sが基板認識カメラ44により撮像され、撮影によって取得された画像データに基づいて基板Sの位置決めおよび表面検査が行われる。画像データが画像処理されることによって、ダイボンダ1の基板位置基準点からの基板Sのずれ量(X、Y、θ方向)が算出される。なお、基板位置基準点は、予め、ボンディング部40の所定の位置を装置の初期設定として保持されている。画像データが画像処理されることによって、基板Sの表面検査が行われる。
【0036】
工程S3において算出された中間ステージ31上のダイDのずれ量からボンドヘッド41の吸着位置が補正されてダイDがコレット42により吸着される。中間ステージ31からダイDを吸着したボンドヘッド41によりボンドステージ46に支持された基板Sの所定箇所にダイDがボンドされる。ここで、基板Sの所定箇所は、基板SのパッケージエリアP、または、すでに素子が載置されており、それに加える形で素子をボンドする際の領域、または、積層ボンドする素子のボンド領域である。基板認識カメラ44により基板SにボンドされたダイDが撮影され、撮影により取得された画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンドされたかどうか等の検査が行われる。
【0037】
ダイDを基板Sにボンドしたボンドヘッド41は中間ステージ31に戻される。上述した手順に従って、次のダイDが中間ステージ31からピックアップされ、基板Sにボンドされる。これが繰り返されて基板SのすべてのパッケージエリアPにダイDがボンドされる。
【0038】
(基板搬出工程:工程S5)
ダイDがボンドされた基板Sが基板搬出部70に搬送される。基板搬出部70で搬送爪51から基板Sが取り出されて搬送治具に格納される。ダイボンダ1から基板Sが格納されている搬送治具が搬出される。
【0039】
上述したように、ダイDは、基板S上に実装され、ダイボンダ1から搬出される。その後、例えば、ダイDが実装された基板Sが格納された搬送治具がワイヤボンディング工程に搬送され、ダイDの電極はAuワイヤ等を介して基板Sの電極と電気的に接続される。そして、基板Sがモールド工程に搬送され、ダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、半導体パッケージ(半導体装置)が完成する。
【0040】
積層ボンドする場合は、ワイヤボンディング工程に続いて、ダイDが実装された基板Sが載置格納された搬送治具がダイボンダに搬入されて基板S上に実装されたダイDの上にダイDが積層される。そして、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第二段目より上のダイDは、上述した方法でダイシングテープDTから剥離された後、ボンディング部に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sがモールド工程に搬送され、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージ(半導体装置)が完成する。
【0041】
(基板認識カメラの構成)
基板認識カメラ44の構成について、図5を参照して説明する。図5図2に示す基板認識カメラの構成を示す図である。
【0042】
基板認識カメラ44は、主として、本体ユニット441と当該本体ユニット441に取り付けられるレンズユニット442とを備える。本体ユニット441は、撮像素子441aと、撮像制御部441bと、を備える。撮像制御部441bは、図示しないCPUや各種メモリ、AD変換回路、可変電圧電源回路などを有する。レンズユニット442は、可変焦点レンズとしての液体レンズにより構成される。レンズユニット442は、撮像素子441aの光軸と同軸となるように配置されている。
【0043】
レンズユニット442は、屈折率の異なる液体442f,442g間に湾曲する界面442hを形成したレンズであり、印加電圧に応じて界面442hの曲率を変化させることができ、焦点距離を瞬時に調整することができる。液体レンズはレンズを変形させることにより焦点距離の調整が可能である。印加電圧が高いほど焦点距離は短くなり、印加電圧が低いほど焦点距離は長くなる。
【0044】
例えば、互いに対向する2枚の透明基板442a,442bと、円筒形ホルダ442cとによって密閉空間が形成され、この密閉空間内に屈折率の異なる非混和性の2種類の液体442f,442gが封入されている。円筒形ホルダ442cは、光軸方向に2つの電極442d,442eが設けられ、一方の液体442fには非導電性の油が用いられ、他方の液体442gには導電性の水溶液が用いられている。このため、電極442d,442e間に電圧を印加し、導電性の液体442gが一方の電極442dに引き寄せられると、非導電性の液体442fは液滴のような形状に変化し、両液体442f,442g間に湾曲した界面442hが形成される。当該界面442hの曲率は電圧に応じて変化するため、焦点距離を高速に変化させることが可能である。
【0045】
撮像素子441aは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などである。撮像素子441aは、本体ユニット441において、その撮像面にレンズユニット442の光軸が直交するように配置される。この撮像素子441aは、レンズユニット442の透過光を、撮像面に結像された光の強弱に応じて発生される電気信号に変換する。
【0046】
撮像制御部441bは、制御部80の焦点制御装置83gから入力される電圧指令値またはメモリに記憶されている電圧指令値に基づいてレンズユニット442の電極442d,442e間に電圧を印加して、レンズユニット442の焦点距離(焦点位置)を調整する。そして、撮像制御部441bは、撮像素子441aにより変換された電気信号をデジタル信号に変換して対象物を撮像する。そして、撮像制御部441bは、撮像により取得した画像データを制御部80の画像取込装置83dに転送する。
【0047】
焦点調整方法について図6を用いて説明する。図6は焦点調整方法を示すフローチャートである。
【0048】
(ステップS11)
制御部80は、レンズユニット442の電極442d,442eへの印加電圧を段階的に変化させながらレンズユニット442を介して対象物を撮影する。
【0049】
(ステップS12)
制御部80は、撮像された対象物の画像を画像処理して焦点が合っている状態(合焦状態)を求める。制御部80は、例えば、撮像された対象物の画像のうちコントラストが最も高い画像が撮像されたときのレンズユニット442の状態を合焦状態とする。
【0050】
(ステップS13)
制御部80は、レンズユニット442の合焦状態における印加電圧を導出する。
【0051】
制御部80は、導出した印加電圧をレンズユニット442の電極442d,442eに印加して(対象物に焦点を合わせて)対象物を撮影して画像を取得する。なお、ステップS11において撮影した画像のうち導出した印加電圧で撮影した画像は焦点が合っているので、制御部80は当該画像を取得するようにしてもよい。
【0052】
基板認識カメラ44の動作例について図7および図8を用いて説明する。図7は比較例における基板認識カメラの動作を示す模式図である。図8図5に示す基板認識カメラの動作を示す模式図である。
【0053】
基板認識カメラ44による基板SやダイDの表面高さおよび位置の認識では、高精度な画像が求められる場合、レンズユニット442で焦点を合わせることが望ましい。例えば、積層ボンドの場合、基板Sの上にダイD1が載置され、載置されたダイD1の上にダイD2が載置され、ダイの表面高さが変化する。
【0054】
図7に示すように、レンズユニット442として、モータを用いてレンズ442iの高さを変更して焦点を合わせるもの(比較例)を使用することがある。比較例では、レンズ442iの形状は変化しない。
【0055】
比較例では、基板Sの上に載置されたダイD1を撮影する場合、レンズユニット442のレンズ442iを動かしてダイD1の表面に焦点を合わせる。そのときのダイD1側の焦点距離をfaとする。ダイD1の上に載置されたダイD2を撮影する場合、レンズユニット442のレンズ442iを動かしてダイD2の表面に焦点を合わせる。そのときのダイD2側の焦点距離をfbとする。fa≠fbである。
【0056】
比較例では、モータ移動時に振動が発生することから、振動を抑えるために移動速度を落とす必要がある。撮像する際も振動が収束するまで待ち時間が必要なので時間のロスが発生する。
【0057】
他方、実施形態では、レンズユニット442を液体レンズで構成して印加電圧により焦点を合わせる。実施形態では、比較例と異なりレンズの高さは変化しない。
【0058】
図8に示すように、基板Sの上に載置されたダイD1を撮影する場合、レンズユニット442に所定電圧を印加してダイD1の表面に焦点を合わせる。そのときのダイD1側の焦点距離をfaとする。ダイD1の上に載置されたダイD2を撮影する場合、レンズユニット442に所定電圧を印加してダイD2の表面に焦点を合わせる。そのときのダイD2側の焦点距離をfbとする。ここで、fa>fbである。
【0059】
レンズユニット442を構成する液体レンズは電気制御による媒質界面の変形を利用して焦点距離を変更するので、機械的な動作が無く、比較例よりも応答時間の短縮が可能である。また、レンズユニット442は機械的な動作が無いので振動が発生しないので、振動が無くなるまで待機する必要が無く、比較例よりも撮影までの時間の短縮が可能である。また、レンズユニット442を構成する液体レンズはモータを使う必要が無いため、比較例よりもカメラの小型化および軽量化が可能である。
【0060】
焦点距離の測定方法について図9および図10を用いて説明する。図9は印加電圧と焦点距離の関係データの作成方法を示すフローチャートである。図10は焦点距離の測定方法を示すフローチャートである。
【0061】
(ステップS21)
予め、制御部80は、レンズとの距離が既知の対象物に対して、制御部80がレンズユニット442の焦点合わせを行った際のレンズユニット442の電極442d,442eへの印加電圧を取得する。焦点合わせは図6に示す方法で行う。レンズとの距離が異なる複数の対象物に対して合焦状態の印加電圧を取得する。
【0062】
(ステップS22)
制御部80は、取得したレンズユニット442の電極442d,442eへの印加電圧とレンズと対象物の距離とから算出した焦点距離との関係を示すデータを作成して記憶装置82に記憶しておく。
【0063】
(ステップS31)
制御部80は、測定対象物に対してレンズユニット442を合焦状態にし、そのときの電極442d,442eへの印加電圧を取得する。合焦状態には図6に示す方法で行う。
【0064】
(ステップS32)
制御部80は、予め作成されている印加電圧と焦点距離との関係を示すデータを用いて取得した印加電圧から焦点距離を求める。
【0065】
ステップS31において、合焦状態の画像が取得されているので、対象物の認識と焦点距離測定が並行して行うことが可能である。
【0066】
対象物が載置される基板Sまでの焦点距離と基板Sに載置された対象物までの焦点距離を測定することにより、対象物の高さを測定することが可能である。これにより、例えば、図8に示す積層されたダイD2の高さの計測が可能になる。
【0067】
また、ダイD2の高さの計測結果をボンドヘッドの着地位置にフィードバックして衝撃荷重の低減を図ることが可能である。これにより、ボンディング不良を低減することが可能となる。
【0068】
固定焦点距離のレンズユニットの場合、基板Sの表面検査を行うため、少なくとも一つのパッケージエリアが基板認識カメラ44の視野内に入るよう比較的低倍率に設定される。位置決めにおいても、パッケージエリアの周辺に設けられるアライメントを用いるので、少なくとも一つのパッケージエリアが基板認識カメラ44の視野内に入るようにされる。他方、本実施形態における基板認識カメラ44は可変焦点距離のレンズユニット442を用いるので、視野を狭めて高倍率にすることが可能である。よって、より高精度のボンド位置の認識や表面検査が可能となる。
【0069】
ボンド後のダイDの中央部と四隅の領域に対して合焦状態の印加電圧から焦点距離を求めてそれぞれの高さを測定するようにしてもよい。これにより、ボンド後のダイDのチルト(四隅のせり上がり)を検出することが可能になる。
【0070】
基板認識カメラ44に液体レンズを用いる例について説明したが、ウエハ認識カメラ14およびステージ認識カメラ34の少なくとも一つを基板認識カメラ44と同様の構成にしてもよい。
【0071】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施例の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0072】
(第一変形例)
第一変形例におけるダイボンダについて図11を用いて説明する。図11は第一変形例におけるダイボンダのプリフォームカメラを説明するための図である。
【0073】
実施形態におけるダイボンダは、例えば、ペースト状の接着剤(ペースト)の塗布を行うプリフォーム部を備えていない。他方、第一変形例におけるダイボンダはプリフォーム部90を備える。リフォーム部90は塗布されたペーストPAの外観検査(外形認識)を行うためのプリフォームカメラ94を有する。第一変形例におけるダイボンダのリフォーム部90以外の構成およびその動作は実施形態におけるダイボンダと同様である。
【0074】
プリフォームカメラ94は基板認識カメラ44と同様の構成である。すなわち、本体ユニット941は実施形態の本体ユニット441と同様の構成であり、レンズユニット942は実施形態のレンズユニット442と同様の構成である。
【0075】
制御部80は、塗布されたペーストPAをプリフォームカメラ94で撮影して外形を認識する場合、ペーストPAの高さ測定において取得した画像を用いてもよい。これにより、ペースト外形と高さ測定結果からペーストの塗布量把握が可能となる。すなわち、制御部80は、撮影されたペーストPAの画像から画像処理によりペーストPAの塗布面積を算出し、算出された塗布面積および測定されたペーストPAの高さに基づいてペーストPAの塗布量を推定する。
【0076】
また、制御部80は、焦点制御装置83gがペーストPAの焦点合わせを行った際に取得したレンズユニット942への印加電圧(電気的出力値)に基づいてペースト塗布量のフィードバックを行うようにしてもよい。
【0077】
また、制御部80は、プリフォームカメラ94の視野を狭めてレンズユニット942を高倍率にしてペーストPAの検査を行うようにしてもよい。
【0078】
(第二変形例)
第二変形例におけるダイボンダについて図12および図13を用いて説明する。図12はコレットを含むボンドヘッドの先端部の構造を示す図である。図13は第二変形例におけるダイボンダのアンダビジョンカメラを説明するための図である。
【0079】
実施形態におけるダイボンダは、ボンドヘッド41等の先端部に取り付けられるコレット42のダイ吸着面を撮影するアンダビジョンカメラを備えていない。他方、第二変形例におけるダイボンダはボンドヘッド41等の先端部に取り付けられるコレット42のダイ吸着面を撮影するアンダビジョンカメラ47を備える。第二変形例におけるダイボンダのアンダビジョンカメラ以外の構成およびその動作は実施形態におけるダイボンダと同様である。アンダビジョンカメラ47は、例えば、搬送レーン52に対して搬送される基板Sとは反対側であってボンドヘッド41の移動範囲内に配置される。
【0080】
まず、ボンドヘッド41の先端部の構造について図12を用いて説明する。ボンドヘッド41は円筒状のホルダ41hとシャンク41sとコレット42とを備えている。円筒状のホルダ41hは、例えば、図示しない真空源から供給されダイを吸着するための真空をその内部に導く。シャンク41sは、ホルダ41hの先端に、例えば、ネジ412等の固定手段により固定して取り付けられる。コレット42は、シャンク41sの下端面に取り付けられる、例えば、ゴム等の弾性部材で形成されている。また、一般に、ホルダ41hは、ボンドヘッド41と一体であり、他方、シャンク41sとコレット42は、吸着するダイの形状やサイズに応じて、適宜、交換可能な構造となっている。例えば、それぞれの部品は、挿入形式にすることにより、その取付方向を間違えないように構成されている。
【0081】
特に、上述したゴムのコレット42は、既述のように、ダイDをピックアップする際、ダイDに着地し、その吸着面に圧力を受ける。その後、ホルダ41h、シャンク41s、そして、コレット42の中心軸に沿って形成された孔を介して真空によりダイDを吸着し、吸着したダイDをハンドリングする。即ち、ボンドヘッド41の移動により、ダイDを基板S上に搬送する。
【0082】
その後、搬送したダイDを、基板S上に着地する。その際、ボンドヘッド41により、鉛直方向に、接合のための荷重を受け、かかる工程を繰り返すことから、コレット42は徐々に変形し、ある程度の生産量に達すると、交換することが必要となる。
【0083】
そして、当該交換の際、コレット42単体で、または、シャンク41sと一体で行うが、その際、新たに交換したコレット42とシャンク41sとの接合部、または、シャンク41sとホルダ41hの接合部において、誤差が生じてしまう。ここで、交換されるコレット42およびシャンク41sを装置部品または治工具という。
【0084】
次に、アンダビジョンカメラ47の構成および動作について図13を用いて説明する。アンダビジョンカメラ47は基板認識カメラ44と同様の構成である。すなわち、本体ユニット471は実施形態の本体ユニット441と同様の構成であり、レンズユニット472は実施形態のレンズユニット442と同様の構成である。
【0085】
すなわち、第二変形例におけるダイボンダにおいては、上述した構成を備えたアンダビジョンカメラ47がボンドヘッド41の下方に配置されている。これにより、コレット42の裏面であるコレット42の吸着面を撮像することが可能である。
【0086】
制御部80は、アンダビジョンカメラ47でコレット42を撮影して外形を認識すると共に、コレット42の高さ測定を並行して行う。
【0087】
より具体的には、予め、取り付けまたは交換するコレットの取り付けるべき高さまたは交換前の高さが分かっていれば、当該コレットのアンダビジョンカメラ47に対する位置座標(Z軸)が分かることとなる。コレットの交換の際には、交換前後に測定したコレット高さの差を算出し、そのコレット高さの差が所定値よりも大きい場合、アラートして再取付けを促す。コレット高さの差が所定値以下の場合、同じ高さになるようにボンドヘッド41の位置(高さ=Z軸)を調整するようにしてもよい。これにより、コレットの自動的な交換が可能になる。
【0088】
また、コレット42が傾斜して取り付けられる場合がある。コレット42の互いに離間した少なくとも三か所の領域に対して合焦状態の印加電圧から焦点距離を求めてそれぞれの高さを測定するようにしてもよい。高さの差が所定値よりも大きい場合、アラートして再取付けを促す。高さの差が所定値以下の場合、同じ高さになるようにボンドヘッド41の位置(傾き)を調整するようにしてもよい。これにより、コレットの自動的な交換が可能になる。
【0089】
なお、コレット42が傾斜して取り付けられた場合、例えば、方形の外形を有するコレットの画像は、各辺の長さに変化を生じることとなる。この場合において、交換前後に撮像したコレット画像が、同じ位置で、かつ、同じサイズになるようにボンドヘッド41の傾斜角度を調整するようにしてもよい。これにより、コレットの自動的な交換が可能になる。
【0090】
アンダビジョンンカメラ47でコレット42に吸着されたダイDを撮影して、ダイチルト(傾き)の確認を行うようにしてもよい。
【0091】
第二変形例では、アンダビジョンンカメラ47がボンドヘッド41のコレット42を撮影する例を説明したが、ピックアップヘッド21のコレット22を撮影するようにしてもよい。
【0092】
(第三変形例)
第三変形例におけるダイボンダについて図14を用いて説明する。図14は第三変形例におけるダイボンダのウエハ認識カメラおよび剥離ユニットの要部を示す図である。
【0093】
図14に示すように、剥離ユニット13は複数のブロック131a~131dを有するブロック部131と、ダイシングテープDTを吸着する複数の吸引孔(不図示)を有するドームヘッド132と、を有する。四つのブロック131a~131dは制御部80により独立に上下運動が可能である。同心四角状のブロック131a~131dの平面形状はダイDの形状に合うように構成される。ブロック部131およびドームヘッド132を装置部品または治工具という。
【0094】
例えば、制御部80は、タイムチャートレシピに基づいて、各ブロック131a~131dをそれぞれ駆動するモータ等を制御する。ここで、タイムチャートレシピには各ブロック131a~131dの動作がブロック毎およびステップ毎にステップの時間、ブロックの上昇または下降の速度、ブロックの高さ(位置)等により設定される。これにより、剥離ユニット13はステップ動作を行う。
【0095】
ウエハ認識カメラ14は基板認識カメラ44と同様の構成である。すなわち、本体ユニット141は実施形態の本体ユニット441と同様の構成であり、レンズユニット142は実施形態のレンズユニット442と同様の構成である。
【0096】
第三変形例におけるダイボンダにおいては、上述した構成を備えたウエハ認識カメラ14が剥離ユニット13の上方に配置されている。これにより、剥離ユニット13の上面を撮像することが可能である。
【0097】
制御部80は、ウエハ認識カメラ14で剥離ユニット13の上面を撮影してブロック部131およびドームヘッド132の高さ測定を行うようにしてもよい。これにより、ブロック131a~131dがタイムチャートにより設定されたブロックの高さかどうかを確認(ブロック部131の動作確認)することが可能である。
【0098】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0099】
例えば、実施形態では、焦点調整および焦点距離測定の処理を制御部80で行う例を説明したが、基板認識カメラ44の撮像制御部441bで行うようにしてもよい。
【0100】
また、実施形態では、撮像制御部441bがレンズユニット442に電圧を印加する例を説明したが、制御部80の焦点制御装置83gが電圧を印加するようにしてもよい。
【0101】
また、実施形態では、ウエハ供給部からダイをピックアップヘッドでピックアップして中間ステージに載置し、中間ステージに載置されたダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダについて説明した。しかし、これに限定されるものではなく、ウエハ供給部からダイをピックアップするダイボンディング装置に適用可能である。
【0102】
例えば、中間ステージとピックアップヘッドがなく、ウエハ供給部のダイをボンディングヘッドで基板にボンディングするダイボンダにも適用可能である。
【0103】
また、中間ステージがなく、ウエハ供給部からダイをピックアップしダイピックアップヘッドを上に回転してダイをボンディングヘッドに受け渡しボンディングヘッドで基板にボンディングするフリップチップボンダに適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1・・・ダイボンダ(半導体製造装置)
44・・・基板認識カメラ
441・・・本体ユニット
442・・・レンズユニット
80・・・制御部(制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14